2018年8月3日金曜日

市場環境チェック

株式市場への影響が大きい金利、金融政策、企業業績などをチェックしていく。

■ファンダメンタルズ
<インフレ>
・米国の予想インフレ率は2018年度が2.4%。
・欧州の予想インフレ率は2018年度が1.5%。
・日本の予想インフレ率は2018年度が0.9%。
→米欧のインフレ速度は高まりつつあるが、今のところ特に問題なし。

<金利>
・米国の短期金利は2.66%で長期金利は2.99%。
・日本の短期金利は-0.11%で長期金利は0.11%。
→米国の長期金利は上がり始めているが、日本や欧州の金利は低いままなのでしばらく3%程度が続きそう。
→米国の短期金利が長期金利を上回ると景気後退に陥るといわれるが、もうしばらく大丈夫そう。
→実質長期金利(名目長期金利-インフレ率)が潜在成長率を上回ると景気後退に陥るといわれるが、足下の実質長期金利は0.5%で、潜在成長率は1.8%。

<債務>
・米国の民間債務残高はGDP比150%で横ばい傾向。
・日本の民間債務残高はGDP比150%で横ばい傾向。
・中国の民間債務残高はGDP比200%で現在も上昇中。日本のバブル期のピーク220%に近づきつつある。
・新興国の債務はここ10年の金融緩和で膨らんでいる。
・過去10年で債務を最も膨らませたのは各国政府と中央銀行になる。
→米企業債務は過去最高水準に達しているが、利益がそれを上回っているので特に問題なさそう。
→中国の債務は危険水準に達しているが、習政権は経済の筆頭課題に金融危機封じ込めを据えているので、それほど心配しなくてもよさそう。
→新興国は米利上げや原油高などで通貨安・高インフレ・高金利になり、債務圧縮局面に入りそうだが比較的穏やかなものになりそう。

<金融政策>
・米国は引き締めに転じている。
・日本は金融緩和を継続しているが限界に近づきつつある。
・欧州は量的緩和を2018年12月に終了し、利上げは19年の夏以降になる。
・世界の量的緩和は2017年3月にピークをつけ、その後は減少傾向にある。2019年には明確なマイナスへと転じる。
→やや問題あり。引き締め速度は穏やかだが全体的に引き締め傾向。
*米国はトランプ大統領の財政出動により次の景気後退期の策は金融政策しか残されていない。そのためFRBは粛々と金融縮小を進めていくしかない。
*日本は次の景気後退期に、ヘリマネなどの禁じ手をのぞけば、金融面でも財政面でも打つ手がない。

<経済成長率>
・世界の2018年のGDP成長率は3.9%、2019年も3.9%と良好。
・米国の2018年のGDP成長率は2.9%、2019年は2.7%と良好。
・ユーロ圏の2018年のGDP成長率は2.2%、2019年は1.9%と良好。
・日本の2018年のGDP成長率は1.0%、2019年は0.9%とまずまず。
現在、世界同時成長が起きており、このような状態は通常2,3年続くという。ただしこのような世界同時成長は景気サイクルの終盤に見られる特徴的な現象とも言われている。
世界同時成長は海外で6割を稼ぐ日本企業には追い風になる。
*半面、海外の景気後退期は日本企業にとって強い向かい風になる。このような経済構造に円高効果が加わり、日本株は米国株の1.5倍くらい下落する。
*アメリカの財政支出の効果は2019年に切れるので20年以降に景気後退リスクがある。
→中期的には特に問題なし

<EPS成長率>
・世界株式の2018年の予想EPS上昇率は11%、2019年も11%。
・米国の2018年の予想EPS上昇率はは20%(うち減税効果分が8%)。
・日本株式の2018年の予想EPS上昇率は10%。
*もし為替が105円程度で落ち着いた場合、日本の今期のEPS成長率は0%になる。

<政治>
・日本は安定。
・海外は不安定。トランプさんは少なくとも中間選挙が終わるまでは、国民ウケする短期目線の政策を推進していきそう。
 米国と中国の覇権争いは、ハイテク・軍事分野を中心に今後長期にわたり続きそう。ただ両国とも持ちつ持たれつなところもあるので、すぐに景気後退に陥るほどの貿易戦争には至らないように思う。

<その他の景気後退シグナル>
・過去の景気後退期はすべて米国の需給ギャップがプラスに転じた後に始まっているが今は-0.3。
・コモディティ、米国債、米国株、ドルの4資産の値動きで、年間収益が高い順位が、コモディティ、米国債の順番になるとその翌年に景気後退が起きると言われているが、今年は今のところコモディティ、米国株の順。
・景気拡大期の終盤は鈍化した成長率を引き上げるため巨大M&Aが盛んになるといわれているが、今がまさにその状態。


■テクニカル
・チャート
日経平均は25日線、75日線、200日線が収斂しているのでそろそろ上下どちらかに大きく動きそう。もし23000を超えれば戻り売り圧力がなくなり上値は軽くなる。
<1年チャート>

NYダウも日経平均と同じように長短の移動平均線が収れんしているのでそろそろ上下どちからに振れそう。底値を徐々に切り上げており、戻り売りもそれほどないので、上振れするかもしれない。
<1年チャート>

ナスダックは典型的な上昇トレンドだがやや過熱感がある。
<5年チャート>

・ディストリビューションデー
日経平均 6日
NYダウ 3日
ナスダック 2日
→特に問題なし

・騰落レシオ
日経平均 100
NYダウ 116
ナスダック ?

・信用評価損益率
ー9.90%

eワラントのトレーディングインディケーター
<サムモデル>「買い」
危険度:11月43% →12月62% →1月69% →2月74% →3月52% →4月52% →5月36% →6月43% →7月39% →8月44%

<オノダモデル>「買い」
2018/1/18に「売り」に転換。2018/2/20に「買い」に転換 。2018/5/18に「売り」に転換 。2018/7/17に「買い」に転換。

■まとめ
中期的には特に問題なし。今年2月に株価が下がり始めてから6ヶ月たつので「期日向かいの買い」が入りそうだが、トランプ大統領の“ディール”がネックになりそう。

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