2018年12月7日金曜日

売買チェック

■買い
・ WTI原油価格連動型上場投信
ボックス相場の下限に来たと思ったから。
*インフレや貿易収支への影響が大きい原油価格について考えるため購入。

持ち株チェック

保有比率の高い順に見ていく。

■弁護士ドットコム
基本シナリオ:法律分野をITで変革し最強のプラットフォーマーに
クラウドサインは最強のビジネスチャットツールを手がける(米)Slackと業務提携した。この会社のIRを見ていると契約様式を根本から変えようという意志が伝わってくるので、今後に期待が持てる。・・しかしここのスタッフのセンスと行動力は並じゃない。今後3年の予想売上高成長率は年率30%程度。今年の予想平均時価総額は売上の20倍程度の620億円(株価2800円)。来年の予想平均時価総額は820億円(株価3800円)。変動率は±30%。

■シンクロフード
基本シナリオ:飲食店の運営をITで変革・サポートし総合プラットフォーマーとして盤石な地位を築く
決算下振れで株価急落。会社説明によると下振れしたのは期ズレや天候不順、投資によるとのことだが、それでも売上の伸び率(24%)には物足りなさを感じる。今最も投資している分野が求人事業というのも不透明感が強い。この分野は「デス・バイ・アマゾン」ならぬ「デス・バイ・インディード」になる可能性が高い。実際、すでに求人広告掲載数は、ここ2ヶ月、前月比減となっている。*インディードも減っているので季節要因かもしれない。

ただユーザー登録数が加速気味なのはよい兆候。今後成長率は若干鈍化していくかもしれないが基本シナリオはまだ完全には崩れていない。今後3年の予想売上高成長率は年率30%から20~25%にダウン。今後1年の予想平均株価は成長率低下や金利上昇に伴い850円(変動率35%)にダウン。株価は最高値(1763円)から「半値八掛け二割引」の値(564円)まで落ちたので底打ちしたように見える。

業績に最もインパクトのある求人広告掲載数を記録していく。関東 2158(2344)  関西 624(688)  東海 334(313)  九州 118(105)  北海道・東北 110(127) 総計 3344(3577)
市場独占型の求人プラットフォーマー・インディードの掲載数も記録していく。東京都の飲食店 47120(79902) 大阪府の飲食店 28540(29653)
*( )内は先月の数

■アイスタイル
基本シナリオ:美容分野をITで変革し最強のプラットフォーマーに
アイスタイル主催のビューティーデイ(12月3日)は一時アクセス激増によりパンクという失態を犯したようだが(笑)、1日3億円の売上目標をクリアし、2000ブランドを集めることができたので成功したように見える。アイスタイルの新戦略「ブランドオフィシャル」には@コスメECへのブランド誘致がカギになると思うので、一時的にしろ2000ブランドを集めたのは大きな前進に見える。

@コスメのデータを利用したアジア販売も加速しているようだが、この事業は日本で販売されている優良コスメをアジアに紹介する役割も担っているので、@コスメに登録しているコスメ会社との関係がより深まり、これもまた「ブランドオフィシャル」にプラスに働きそう。・・ただそれでもEC事業は「デス・バイ・アマゾン」の領域でもあるので、そこがゆくゆくは問題になりそうでもある。今後3年の売上高成長率は年率20%。今後1年の予想平均株価は金利上昇に伴い1300円から1100円にダウン。(変動率±30%)。

■ペプチドリーム
基本シナリオ:ペプチド創薬で最強のプラットフォーマーに
特に問題ないが、利益が激増するのはしばらく先になりそう。今後3年の売上高成長率は年率20%程度。今後2年の予想平均株価は4600円で、予想レンジは3400-5800円。

■厳選ジャパン(投資信託)
基本シナリオ:ビッグチェンジ銘柄投資でテンバガー達成
今回の調整局面もうまく切り抜けたように見える。市場平均より戻りが早いのはさすが。ただ今回の調整でいくらプロでも市場の大波にはあらがえないとわかったので、市場がピークをつけたと思ったら売っていこうと思う。今年の予想基準価額上昇率は30%程度で予想平均価額14000円(変動率±30%)。

■朝日ネット
基本シナリオ:ストックビジネスで地味に成長&株主還元
ここは今回の調整でもほとんど影響を受けなかった。地味なストックビジネス株はこういう時に安心感がある。株価は出来高をつけて一時上昇。来期は最高益になりそうなので、じきに天井を破るかもしれない。今後3年の予想売上高成長率は年率6%程度でEPS成長率は15%程度。今後1年のの予想平均株価は550円(変動率15%)。

■日進工具
基本シナリオ:ニッチトップの極細ドリルで市場開拓
特に問題なし。今年の予想平均株価は3000円(変動率20%)。今後3年の売上高成長率は年率8%。

■パーク24
基本シナリオ:最強のカーシェアプラットフォーマーに。海外駐車場事業の効率化で利益拡大
日経記事(12/4)で、この会社はデータを分析し、駐車場の料金やカーシェアの配備車輌台数を微調整していることがわかった。「満車が続くと客離れを起こすので値上げする」というのは少し意外だった。今後3年の売上高成長率は年率5%で利益成長率は10%程度。今年の予想平均株価は3200円(変動率20%)。

■コンテック
基本シナリオ:ダイフクとファナック向けのエッジコンピューティング機器で業績拡大
11月の決算は会社予想よりやや上振れ。半導体関連が下振れすると思ったが、ここは供給過剰が問題となっているメモリー関連とは関係なさそうなので、杞憂に終わりそう。ただそれでも世界的に設備投資に不透明感が出始めたので今年の予想平均株価は2400円から2000円にダウン(変動率20%)。今後3年の売上高成長率は年率5%で利益成長率は10%程度。

■今後の戦略
上げ相場は最終局面に入ったと思うので今後の買いはなし。ゆっくりと売却していく。

マクロ系金融資産チェック

保有比率の高い順に見ていく。

■日経レバETF
基本シナリオ:ファンダメンタルズ的にもテクニカル的にも中期的に上昇
11月の中間決算では下方修正が散見されたが予想EPSはプラス圏を維持できそうなので下値は限定的。来期の業績は当初+10%を予想していたが、不透明感が出てきたので、この不透明感が払拭されるまでは上値は重そう。もしかすると日本企業の業績はほぼほぼピークをつけているのかもしれない。日経平均の今後1年の予想平均株価は25000円から23500円(変動率±15%)にダウン。

■FXでドル買い(レバ10倍)
基本シナリオ:中期ではドル高、長期では円高。・・もしかしたら長期でもドル高。
円高、ドル高の要因を列記し、各々の中期的なインパクトを★で示していく。
<円高要因>
・日本よりも米国のほうがインフレ率が慢性的に高いので購買力平価は円高傾向。★★
・米国の保護貿易や完全雇用などにより米国のインフレが加速。
・ドル安により米国のインフレが加速。
・日本の経常収支は黒字が続いている。★
・日本企業による海外企業の巨額買収により経常黒字がさらに拡大する。★
・原油安により貿易黒字が拡大する。☆
・米国の財政赤字の拡大。☆
・米国は完全雇用下における保護貿易政策により貿易赤字が拡大する。★
 *完全雇用下では米国内で生産を増やすことができず、輸入するしかない。
・米国の金利上昇によりドル不足が発生し、ドルの調達金利が上昇。★
・ドル高、米金利高によって新興国経済が減速し、米国からの輸出が落ちこむ。☆
・日本は対外純資産を世界で最も保有している。
・日銀の金融緩和が限界に近づきつつある。
・世界が景気後退期に入る。
・海外で金融緩和が進む。
・米国景気の減速と、利上げの鈍化または停止。☆
・トランプ大統領の口先介入。
・ムニューシン米財務長官の為替条項導入発言により、これ以上の円安は容認しないというイメージが強まった。☆
 *しかし日本はG7加盟国として「相手国の許可なく為替介入を実施しない」との協定を守っているので、仮に為替条項を結ぶことになってもたいした足かせにはならない。
・投機筋のドルの買い持ち高が16年12月以来の高水準。★
・貿易戦争や新興国不安によるリスクオフ。☆
・金融危機や戦争、大災害によるリスクオフ。
・米議会の上院と下院でねじれが生じ、経済政策や外交に不透明感が生じた。☆
・原油高により産油国や中国、インフレに敏感なEUなどの通貨が上昇し、ドルが下落する。
・米国は双子の赤字(貿易赤字と財政赤字)を解消するために、プラザ合意のようなドルの切り下げや、ドルの大量発行を行う。
・米国の双子の赤字やドル高により、海外勢が米国債を買わなくなる。☆
・新興国が通貨防衛のために米国債を売る。
・チャート上の節目を抜けた後のオーバーシュート。

<ドル高要因>
・日本より米国のほうが経済に勢いがある。★
・米国の金融政策は引き締め傾向で金利が高い。★★☆
・日本の金融政策は緩和傾向で金利が低い。★★
・米国債は需給の緩みから米長期金利が上昇傾向。★★
 ・米国のリパトリ減税により米国にドルが環流している。★☆
・米企業が決算期を迎える年末は、米企業が海外で稼いだ資金を米国内に戻すため、ドル需要が強まる。☆
・米国の保護主義により米国の貿易赤字が減少するという思惑が生じる。☆
・日本企業による海外企業の巨額買収。★★
・原油高による日本の経常収支の悪化。☆
・原油安などにより米国の期待インフレ率が低下し、米国の実質長期金利が上昇し米国債が買われる。
・不透明感が払拭された後のリスクオン。
・米利上げ打ち止めによるリスクオン。
・月100兆円を超える米国債の発行にはドル高が有利。??
・チャート上の節目を抜けた後のオーバーシュート。

→円高要因の★が11個、ドル高要因の★が12.5個でドル高圧力が強そう。

■米国国債4倍ベア7(投資信託)
基本シナリオ:米長期金利は長期で上昇
<金利が上がる要因>
・米長期金利の基準値は名目経済成長率(経済成長率+インフレ率)になるが、現在の名目経済成長率は5.2%(2.8%+2.4%)であり、それと比べると現在の金利2.89%はまだ低い。★
・米国の大型減税により税収が大幅に減り、財政赤字は拡大傾向。★★★☆
・米国政府が大型インフラ投資や中間層向けの減税を行う。
・米国は今後長期的に年金や医療、福祉の負担が拡大していく。★
・米国の双子の赤字(貿易赤字と財政赤字)で、米国債への信頼性が低下し、海外投資家が米国債投資に慎重になる。★
・米国債の格付けが引き下げられる。
・海外投資家は、為替ヘッジのコスト上昇で米国債の購入を減らす。☆
・海外投資家が買わなくなった分を米国内の投資家に買ってもらうためには魅力的な利回りが必要になる。
・米国債の償還は2019年から激増していく。2019年は880兆円くらいになる。*新規の国債発行は150兆円くらい。★☆
・FRBが国債を売却し始めている。年100兆円くらい?★
・新興国は自国通貨を支えるために米国債を売る。
・米中貿易戦争により、中国が米国債を買わなくなる。
・FRBが政策金利を引き上げる。★
・米国を含めた先進国の賃金上昇率やインフレ率が高まり、先進国全体の金利が上がる。
・リスクオンによる米国債(安全資産)売り。

<金利が下がる要因>
・米国の名目経済成長率は今年がほぼピークの水準で、今後は穏やかな低下傾向。★★
・先進国では米国の長期金利だけが高いので、米長期国債に金余りマネーが殺到する。★★★
・米国株の益回りは3.2%程度で、同程度の利回りがある米10年債へ資金がシフトする。☆
 *この場合の株式益回りは、シラーPER(景気循環調整後PER)の逆数。
・米国の賃金上昇率やインフレ率が高まらずFRBの利上げペースが遅い。政策金利は3%程度で頭打ちになりそう★
・世界経済の減速懸念が強まる。★
・景気後退期に入る。
・米議会の上院と下院でねじれが生じたので、財政拡張をしにくくなった。☆
・米国は大型インフラ投資や減税をしようとはしているが、財源がないので、しにくい。☆
・ヘッジファンドは金利低下を見込んで、国債空売りの建玉を手仕舞い始めている。☆
・FRBが国債の売却をやめる。
・FRBが日銀のように国債を大量購入し長期金利のコントロールを行う。
・FRBが利下げなどの金融緩和を行う。
・米国政府が財政収支を均衡化させるため増税を行う。
・リスクオフによる米国債(安全資産)買い。

→金利高要因の★が10.5個、金利安要因の★が9つで、金利上昇圧力が強そう。
FRBの利上げ停止観測により、足下で長期金利は下落しているが、長期的には需給の緩みから上昇基調をたどりそう。

チャートでも短期チャートではWトップを形成しているが長期チャートではWボトムを形成しているので、いったん下落してから再上昇していくパターンになるように思う。
<1年チャート>
<10年チャート>


■WTI原油価格連動型上場投信
基本シナリオ:原油価格は50ドルから75ドルのボックス圏で動く。
<原油価格が上がる要因>
・サウジの財政均衡に必要な原油価格の水準は1バレル80ドル、アラブ首長国連邦は60ドルなので減産に動く。*ロシアは40ドル。★★
・米国のシェールオイルの採算ラインは50ドルなので、50ドル以下になると供給が減る。☆
・イランやベネズエラの減産。★
・産油国で不測の事態が起こる。
・産油国ではここ数年投資をあまりしてこなかったので増産余地は小さい。
・米国ではパイプラインの建設が滞っているため供給に上限がある。
・世界経済の成長に伴い、原油消費量は微増傾向。★☆

<原油が下がる要因>
・米国はイランへの制裁として、イラン産原油を輸入している国に禁輸するよう言っていたが、それが一部解除された。★
・OPECやロシアはイラン産原油が禁輸されることを想定して増産していた。★★
・米国のシェールオイル生産量は過去最高を更新。★
・米国はインフレを抑制するために産油国に増産を要求。OPEC盟主のサウジは記者殺害事件の追求を恐れて減産に動きにくい。☆
・景気後退期に入り原油消費量が減る。
・暖冬で石油消費量が減る。☆
・原油の最大輸入国である中国は貿易戦争などにより景気が減速気味。☆
・インドは通過ルピーの大幅下落により輸入コストが急増。☆

→原油が上がる要因の★が5個で、下がる要因の★が6個なので、若干供給過剰気味に見える。チャートは足下でWトップを形成しているのでいったん天井を打ったように見える。下値は赤い移動平均線、もしくは45ドルあたりの累積売買高になりそう。
<5年チャート>

■今後の戦略
列記した項目がごちゃごちゃしてきたが、今後はこれらの項目を長期で観察し、何が決め手になるのかを見極めていく。

市場環境チェック

株式市場への影響が大きい企業業績、金利、金融政策などをチェックしていく。

■ファンダメンタルズ
<EPS成長率>
・世界株式の2017年のEPS増加率は17%、2018年は15%、2019年は10%。
・米国株式の2017年のEPS増加率は11%、2018年は23%、2019年は10%。
 *ゴールドマンの2019年の予想は7%で、大幅な関税引き上げをした場合は0%。
・日本株式の2017年のEPS増加率は22%、2018年は5%、2019年は8%。
 *野村證券の2018年予想は10%で、2019年も10%。
*ベースの数値はJPモルガンの予想。参照:(2018/09/28日経)
→問題なし

<経済成長率>
・世界の2017年の成長率は3.7%、2018年は3.7%、2019年も3.7%。
・米国の2017年の成長率は2.3%、2018年は2.9%、2019年は2.5%。
・ユーロ圏の2017年の成長率は2.4%、2018年は2.2%、2019年は1.9%。
・日本の2017年の成長率は1.7%、2018年は1.1%、2019年は0.9%。
・新興国の2017年の成長率は4.7%、2018年は4.9%、2019年は5.1%。
・中国の2017年の成長率は6.9%、2018年は6.6%、2019年は6.2%。
*数値はIMFの予想。参照:(2018/10/09日経
現在、世界同時成長が起きており、このような状態は通常2,3年続くという。ただしこのような世界同時成長は景気サイクルの終盤に見られる特徴的な現象とも言われている。
世界同時成長は海外で6割を稼ぐ日本企業には追い風になる。その半面、海外の景気後退期は日本企業にとって強い向かい風になる。このような経済構造に円高効果が加わり、日本株は米国株の1.5倍くらい下落する。
→問題なし

<インフレ>
・米国の予想インフレ率は2018年度が2.4%。
・欧州の予想インフレ率は2018年度が1.5%。
・日本の予想インフレ率は2018年度が0.9%。
*貿易戦争が激化すれば米国のインフレは加速する。
*賃金上昇などによりインフレ圧力は高まりつつある。
→問題なし

<金利>
・米国の短期金利は2.76%で長期金利は2.89%。
・日本の短期金利は-0.14%で長期金利は0.06%。
*米国の短期金利が長期金利を上回ると景気後退に陥るといわれるが、長短金利差が0.13%まで迫っている。じきに逆転するのかもしれない。
*米国の実質長期金利(名目長期金利-インフレ率)が潜在成長率を上回ると景気後退に陥るといわれるが、足下の実質長期金利は0.49%で、潜在成長率は1.8%。
→問題なし

<債務>
・米国の民間債務残高はGDP比150%で横ばい傾向。
・日本の民間債務残高はGDP比150%で横ばい傾向。
・中国の民間債務残高はGDP比210%まで上昇しているが、足下では横ばい傾向。日本のバブル期のピークは220%になる。
・新興国の民間債務残高はGDP比140%で、現在も微増傾向。
・過去10年で各国政府は債務を大きく膨らませている。
*中国の民間企業の債務は危険水準に達しているが、習政権は経済の筆頭課題に金融危機封じ込めを据えているので、それほど心配しなくてもよさそう。ただ貿易戦争などで経済成長が大きく下振れすれば一気に債務圧縮局面(景気後退期)に入る可能性がある。
*新興国は米利上げや原油高などで通貨安・高インフレ・高金利になり、債務圧縮局面に入りつつある。
→やや問題あり

<金融政策>
・米国は引き締めに転じている。
・日本は金融緩和を継続しているが限界に近づきつつある。
・欧州は量的緩和を2018年12月に終了し、利上げは19年の秋以降になる。
・世界の量的緩和は2017年3月にピークをつけ、その後は減少傾向にある。2019年には明確なマイナスへと転じる。
*引き締め速度は穏やかだが全体的に引き締め傾向。これまでの経済拡大は金融緩和が原動力であったため、マイナス転換によりすべてが逆回転する可能性がある。
*米国はトランプ大統領の財政拡大策により次の景気後退期には金融政策しか残されていない。そのためFRBは粛々と金融引き締めを進めていくしかない。とはいってもFRBは景気後退は望んでおらず、また米景気に過熱感もないので、利上げは中立金利(3%)あたりで打ち止めになりそう。
*日本は次の景気後退期に、ヘリマネなどの禁じ手をのぞけば、金融面でも財政面でも打つ手がない。
→やや問題あり

<政治>
・日本は安定。19年の消費税引き上げは株式市場の鬼門になると思っていたが、政府の大盤振る舞い(支援給付金、軽減税率、教育無償化、補正予算)や携帯料金引き下げなどにより、消費増税の負担が相殺・超過しそうなので株高要因になりそう。
・海外は不安定。米国と中国の覇権争いは、ハイテク・軍事分野を中心に今後長期にわたり続きそう。先日のG20で米国の関税引き上げはいったん延期されたが、解決にはまだまだ時間がかかりそう。
・英国のEU離脱の条件は、EUが新たな離脱国が出てくるのをけん制するため、英国にとって厳しいものになりそう。12月の離脱交渉は決裂して、英国は国民投票を実施し、EU残留という形になるのかもしれない。
→やや問題あり

<その他の景気後退シグナル>
・過去の景気後退期はすべて米国の需給ギャップがプラスに転じた後に始まっているが、足下ではプラスに転じている。
・コモディティ、米国債、米国株、ドルの4資産の値動きで、年間収益が高い順位が、コモディティ、米国債の順番になるとその翌年に景気後退が起きると言われているが、今年は今のところコモディティ、米国株の順。
・景気拡大期の終盤は、金余りと鈍化した成長率を引き上げるため巨大M&Aが盛んになるといわれているが、今がまさにその状態。
・景気拡大期の終盤には、業績格差が広がりやすいと言われているが、今がまさにその状態。
・世界景気の先行指標である銅価格が、ピークアウトするかどうかの分岐点にあったが、いったん反発。
・経済危機をいち早く察知する米低格付け債の利回りは低位で安定している。
・起こり得ない衝撃的な事象の発生を織り込むSKEW指数(ブラックスワン指数)は現在最低レベルの116。
・中銀の利上げ局面における株式相場は「1,金融緩和の終了を嫌気した調整」→「2,利上げ中盤にかけての良好なファンダメンタルズを好感した上昇」→「3,利上げ終盤の過度な引き締めを懸念した反落」→「4,利上げの打ち止めを好感した反発」→「5,ファンダメンタルズの悪化を織り込んだ大幅な下落」という経過をたどることが多いが、今は「4,利上げ打ち止めを好感した反発」局面に入りつつあるので、いったん上がりそう。
→やや問題あり

■テクニカル
・チャート
→問題なし

・ディストリビューションデー
日経平均 先月5日 今月5日
NYダウ 先月5日 今月5日
ナスダック 先月5日 今月4日
→やや問題あり

・騰落レシオ
日経平均 96
NYダウ 101
ナスダック ?
→問題なし。

・信用評価損益率
ー10.57%
→問題なし。

eワラントのトレーディングインディケーター
<オノダモデル>「買い」
危険度:1月69% →2月74% →3月52% →4月52% →5月36% →6月43% →7月39% →8月44% →9月61% →10月18.7% →11月36% →12月68%

<サムモデル>「売り」
2018/1/18に「売り」に転換。2018/2/20に「買い」に転換 。2018/5/18に「売り」に転換 。2018/7/17に「買い」に転換。2018/08/20に「売り」に転換。2018/09/18に「中立」に転換。2018/10/22に「買い」に転換。2018/11/19に「売りに転換」。
*この指標は今年初めの暴落を予兆していたので目を付けたが、その後はけっこう外してる。あまり使える指標ではないかもしれない。
→問題なし

■株ログ・インディケーター
問題なし:8件、やや問題あり:5件、問題あり:0件、危険度:10月40%→11月30%→12月35%。投資判断:様子見
中期的には特に問題なし。今後FRBの利上げ停止を好感して株式市場が上昇したら、そこが最後の売り場になりそう。

長期計画チェック

「平時にじっくり考えて決めておいたことは、後悔する判断にはなりにくい」いわれているので、今のうちから長期的な計画を考えていく。

現時点の予想では2020年頃に景気後退期に入るとみている。ただ今回の景気拡大期は低成長・低金利の中で浅く長いものだったので、景気後退期も浅く長いものになりそう。

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過去の景気後退に共通するパターン:米国の長短金利逆転後に日本株が50%超下落。

12月3日に5年債と2年債の金利が11年ぶりに逆転した。モルガンスタンレーは19年中頃に3%付近で10年債と2年債の逆転が起こると予想しているので、20~21年頃に景気後退に陥るのかもしれない。

ただ今回は利上げ停止のポイントが過去の水準(5%超)と比べてだいぶ低く(3%程度)なりそうなので、景気後退は比較的穏やかなものになるかもしれない。

これ以外にも景気後退や株価暴落を穏やかにするいくつかの要因がある。
・バブルは借金をして資産を買いまくることによって生じるが、先進国では今回そのような現象はあまり見られない。
・先進国の金融機関の財務状態は比較的良好なため、先進国では金融危機(信用収縮)は起こりにくい。
 *金融危機(信用収縮)、つまりクレジットの消失が起こらなければ、金余りの状態が続く。*クレジットとは世の中に流通する大半のお金のこと。参照:「レイ・ダリオの30分でわかる経済の仕組み」(YouTube)
 *中国の不動産にはバブルの兆候がある。
 *バブル崩壊の仕組み。金利が上がりだすと株式や不動産などが売られ資産価格が下がりはじめる。バブル系投機家は資産価格が上昇することを前提として資産を買っているので、資産価格が下がりだすと資金の逆回転が始まる。
・中国政府には財政出動の余地がある。
・リーマンショックの記憶がまだ残っているため、皆慎重になっている。
・FRBは次の景気後退期に財政政策や金融政策で打つ手がほとんど残ってないことを知っているので、金融引き締めはゆっくり進める。
・現在、第4次産業革命が進行中で、これは今後も長期にわたり続く。
・世界の株式量は減少傾向だが、その一方でマネー流通量は増加傾向なので株式には良好な需給環境が続く。
・先進国では株式以上に債券が割高なので、株式に優位性がでやすい。
・日本株に限れば、日銀のサポートがあるので下がりにくい。

以上を総合すると、次の景気後退や株価の下落は比較的穏やかに進む可能性が高い。
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2019年の半ば頃になったら徐々に株式とドルを売って、米国債を買っていく。

ただしそれよりも前に
・日経平均が3万円
・1ドルが120円
・米長期金利が4%
このいずれかになった場合は、その時点でポートフォリオをシフトしていく。

景気後退期に入り円が80円くらいまで上昇したら、米国債を売って、外国株や日本株、ドルを買っていく。

次の景気の底で仕込みたい株式
・(米)ALPHABET。人工知能や自動運転の本命。
・NASDAQ100ETF。第4次産業革命の中核ETF。
・インド株のETF。インドは2040年まで人口ボーナス期が続く。
・インドネシア株のETF。インドネシアは2030年まで人口ボーナス期が続く。

1937年のようになる?

世界最大のヘッジファンドを率いるレイ・ダリオ氏によると現在の状況は1935~40年の状況と似ているという。

「1929年の大恐慌後は政策金利がゼロに近づき、中銀は金融資産を大量に購入してバランスシートを拡大している。その結果、金融資産の価値が急激に上昇し、世界中で貧富の格差が拡大した。富める者と貧しい者の間に緊張が高まりポピュリズムが台頭した。」

確かに今の状況に近いように見える。

「大恐慌から抜け出した1937年にFRBは金融引き締めに転じているが、利上げペースが速すぎたため相場が大幅下落(50%以上の急落)し、1938年に再び景気後退に陥っている。この頃になると世界的にポピュリズムが台頭しはじめ、政治が市場を動かすようになった。国家間の緊張と対立が高まり、世界がブロック経済に傾斜し、世界的なコスト高を招いて経済をさらにむしばんだ。FRBは相場が急落した1938年に再び金融緩和に動いているが、1942年までNYダウは下落し、1937年の高値を回復したのは1945年の12月になる。」

ダリオ氏によると、利上げを急げば同じような展開になる可能性があるという。また今回は前回と違って景気が悪化しても中銀に金融緩和の余地がほとんどないので、利上げは急ぐべきではないとも言っている。

FRBはここら辺のことも熟知していると思うので、利上げは慎重に進めるように思う。

参考:(レイ・ダリオでGoogle検索)

貿易戦争の影響は限定的?

「中国のシリコンバレーで見た貿易摩擦の行方(藤田勉)」(日経マネー研究所、11/12)に貿易摩擦の影響が限定的な理由について書かれていたので簡単にまとめておく。

■貿易戦争の影響が限定的な理由
1、米中両国の経済規模と比べて、関税引き上げの規模は小さい。米国のGDPは2140兆円だが中国からの輸入額56兆円はその2.6%にすぎない。そのうち関税引き上げ分は4兆円で、これも0.2%と小さい。中国においても対米貿易輸出額はGDP比3.6%で、関税引き上げ分は0.3%にすぎない。

2、人民元は10%下落しているため関税引き上げの影響は緩和される。また中国政府は金融緩和などの措置も打ち出しているので極端な事態にはなりにくい。

3、中国からの輸出品は、かつては玩具や繊維などの低付加価値品だったが、現在は電機や自動車、スマホなどの高付加価値品にシフトしている。iPhoneのように米国が生産を委託しているものも多く、米国が中国に徹底的に制裁を課すことは難しい。

4、米国が過度に制裁を加えると、世界の経済や株式市場が大混乱に陥り、結果として、トランプ政権が大打撃を受けることになる。

■貿易戦争は長期的にはプラス
1980年代の日米貿易戦争では、結果として、日本経済の開放と制度の国際化が促進された。今回の米中貿易戦争では、中国は市場を開放し、知的財産権の重要性を認識しつつある。長期的にこれらは中国経済、ひいては世界経済に大きなプラスとなる。

・・ということだが、12月5日に米国政府は中国の巨大企業ファーウェイの機器使用を禁止する調整に入った。今回の貿易摩擦は軍事的な要因も絡んでいるので、藤田勉氏の見立てよりもややこしい展開になるのかもしれない。