2017年11月10日金曜日

月1の売買チェック

■売り
・インフォマート 全株売却 損益+13%
売った理由:この会社の基本シナリオは「企業間取引の基幹インフラを構築」だったが、今の経営者では新たな市場を切り開いていくのは難しいと思ったから。
チャートはゴールデンクロスを形成し、累積売買高のピークを越え、上昇トレンドに入りかけていたが、決算でそれが壊れてしまった。
成功したところ:買うタイミング
失敗したところ:経営者の交代をあまく捉えていた

・リスクモンスター 全株売却 損益+29%
売った理由:目標株価に達したから
成功したところ:買うタイミング
失敗したところ:新高値を突破したときにもっと上がると思い、売るタイミングが遅れたこと。

・朝日ネット 全株売却 損益0%
売った理由:チャートに毛抜き天井が出て天井らしきものが確認できたから。

■買い
・鈴茂器工
買った理由:新興国が経済的に豊かになってきており、寿司が普及していきそうだから。

・東武住販
買った理由:好景気で西日本の中古再生住宅の販売が上向くと思ったから。

月1の保有株チェック

保有比率の高い順に見ていく。

■弁護士ドットコム
基本シナリオ:法律関連のことなら弁護士ドットコム
シナリオに変化なし。チャートは長期では上昇トレンドだが短期では上値が重い。売上高成長率は35%程度。適正株価。

■技研製作所
基本シナリオ:圧入工法を世界に普及させる
シナリオに変化なし。チャートは上昇トレンド。売上高成長率は15%程度。適正株価。

■ペプチドリーム
基本シナリオ:ペプチド創薬で新領域を開拓
シナリオに変化なし。チャートは長期では上昇トレンドだが現在は保ち合い。売上高成長率は35%程度。適正株価。

■相模ゴム工業
基本シナリオ:高級コンドームを日本及びアジアで普及させる
シナリオに変化なし。高級コンドームの販売はamazonランキングを見る限りは好調。訪日客数は右肩上がり。チャートは上昇トレンド。売上高成長率は10%程度。適正株価。

■東武住販
基本シナリオ:景気回復で中古再生住宅の販売が好調に。支店を増やして売上拡大。
シナリオに変化なし。チャートは上昇トレンド。売上高成長率は15%程度。割安。

■鈴茂器工
基本シナリオ:飯ロボを世界に普及させる
シナリオに変化なし。チャートは上昇トレンド。売上高成長率は13%程度。適正株価。

■スパークス
基本シナリオ:株式市場が盛り上がり、投信を手がけるスパークスの株価は上昇
シナリオが軌道に乗り始めた。チャートは上昇トレンドだが、はらみ線が出現したので日経平均と連動して調整しそう。売上高成長率は5%程度だが利益成長率は20%程度。適正株価。

■和田興産
基本シナリオ:景気回復で新築マンションの販売が好調に
シナリオに変化なし。今後3年の業績見通しは良い。チャートは上昇トレンド。売上高成長率は8%程度。割安。

■感想
ポートフォリオがちょうどいい感じになってきた。
今後は東武住販とエムビーエスをぽつぽつ買う予定。もしもペプチドリームが3000円、弁護士ドットコムが1200円くらいまで落ちたらポートフォリオをこちらにシフト。

月1の市場環境チェック

株式市場への影響が大きい金利、金融政策、企業業績を重点的にチェックしていく。

■ファンダメンタル
<金利>
・米国の長期金利は2.3%で日本は0%。株式が国債より割安な状況は変わらず。
・株式利回りから国債利回りを差し引いて算出するイールドスプレッドは日本は5.5%でアメリカは2.5%。日本株は米国株よりも優位な状況。
・金利は低いままなので債務圧縮局面はもう少し先になりそう。

<金融政策> 今回のバブルの原動力
・日本は金融緩和を継続。年間6兆円の株式購入政策も継続。株高は国策になる。
・欧州は金融緩和を縮小&延長。利上げは早くても18年9月以降。
・英国はインフレ率が3%に達し金利を引き上げ始めているが、これは景気の過熱というよりブレグジットによるポンド安により起きているのでたいした問題ではない。
・米国はすでに引き締めに転じているが速度は穏やか。トランプさんは自称”低金利人間”なので、FRBの残りの空ポストにはそういった人物が入りそう。
・中国は引き締めに動きそうだが、影響は中国国内にとどまりそう。

<経済成長率>
・世界の2017年のGDP成長率は3.6%で2018年は3.7%と良好。
・日本の2017年のGDP成長率は1.5%で2018年は0.7%とまずまず。

<EPS成長率>
現在、世界各国の成長率のばらつきは過去50年で最小だという。このような世界同時成長は通常2,3年続くらしい。ただし世界同時成長は景気サイクルの終盤に見られる特徴的な現象とも言われている。世界同時成長は海外で6割を稼ぐ日本企業には追い風になる。
・世界株式の2017年の予想EPS上昇率は26%、2018年は11%、2019年も11%と良好。
・日本株式の2017年の予想EPS上昇率は15%超で、来年以降も10%程度が続きそう。
・アメリカは今期も来期も10%超の上昇。

27年間ファンドマネージャーを務めているレオスキャピタルの藤野英人氏は「この27年間、日本は抜けることのないトンネルの中にいるような感じだったが、そこからいよいよ抜けるのではないかというくらい、日本企業の明るい兆しが見えてきている。この30年間は、日経平均は2万円を上値に横ばい、それにインフレも起きないフラットな時代だった。しかし大きな変化が起きそうな気がする」とコメントしているので、今後の見通しは良さそう。

<政治>
・日本の政治は安定
・海外の政治は不安定
・中国の政治は独裁体制が整い一見安定したように見えるが、これは経済的に成熟した社会には適さないシステムなので、近い将来行き詰まりそう。
・北朝鮮情勢がややリスク。アメリカが譲歩する雰囲気は皆無で、北朝鮮近海に空母3隻を派遣したり兵糧攻めをしたりしているので、軍事衝突が起きる可能性がある。ただその場合でもあっさり片が付きそう。

■テクニカル
・チャート
世界中の株式市場が上昇トレンド
しかしながら日経平均はいったん天井をつけた感がある。ピークのところで出来高をつけて十字線が出ているので、21500円あたりまで下落しそう。

・ディストリビューションデー
典型的な上昇トレンドなのでカウントせず

・ヒンデンブルグオーメン
11月6日から点灯

・トレードインディケーター
危険度43%
参考:eワラントのトレードインディケーター

・騰落レシオ
日経平均 116%
ダウ 110%
ナスダック 110%

・信用評価損益率
-8%

■結論
日本株はいったん調整しそうだが、緩和的な金融環境と世界経済の同時成長により、中期的な市場環境は比較的良好。

適温相場はいつまで続くか

株価が緩やかに上がっていく適温相場が続いている。この状態がいつまで続くのかを考えてみる。

■そもそも適温相場とはどのような仕組みで起こるのか
適温相場は低インフレ、低金利、好調な企業業績によって起こるが、まずは低金利のきっかけとなる低インフレがどのようにして起こるのかを考えてみる。

低インフレは企業がロボットやITなどの自動化投資をすることによって起こる。自動化投資によってまず割高な労働力が割安なロボットやITに置き換えられるため賃金が上がりにくくなる。そして企業の利益は増えるが、その利益は資本家やアイデアの出し手に向かい、これらの高所得者は消費をあまりしないため景気は盛り上がりにくくなる。また自動化によって生産コストが下がるため価格に転嫁されにくくなる。これらの理由で低インフレになる。

低インフレになると、物価を安定させることが主な仕事である中央銀行は金利を上げにくくなる。その結果低金利が続く。企業は低金利と自動化によって好調な業績が続きやすくなる。

このような仕組みで適温相場が作られるように思う。

ではそれがいつまで続くのか。上記から適温相場の主因は自動化投資になるが、自動化投資はメガトレンドなので、適温相場は当面続きそうである。

バブル、最終局面へ

テクニカル的にもファンダメンタル的にもバブル膨張のシグナルが出ているで、それらを簡単に整理しておく。

■テクニカル
先日、日経平均は過去最高の16連騰を達成しているが、このような連騰は非常に強い強気シグナルだという。過去には1960年に14連騰、1988年に13連騰を記録しているが、このときは短期的な調整が一巡した後に大幅上昇している。

また2012年から始まった上昇相場は1985年以降のバブル相場の動きとよく似ているという。85年からのバブルでは、87年のブラックマンデーの急落後、日経平均は88年に87年の高値を奪回し、89年にかけて大幅上昇している。今回のバブルでは、17年に15年の高値を奪回して、上昇波動が拡大し始めているという。SMBCのチーフテクニカルアナリストの吉野豊氏は年末には2万3000円、18年夏頃には25000か、それ以上の水準へ上昇する可能性があると述べている。

■ファンダメンタル
前項の「適温相場」のところで触れたが、今はインフレが起こりにくい状況である。それに加えて日本は経済が好調で完全雇用の状態でもある。こうした状況で日銀が無理にインフレを起こそうと強力な金融緩和を続けると、実体経済ではなく金融資産にばかり資金が向かうため、バブルが膨張しやすくなるという。そしてこのような状況が当面続くという期待が投資家にビルトインされればいよいよバブル膨張は加速していくという。

ただBNPパリバのチーフエコノミストの河野龍太郎氏によれば今回のバブルはレバレッジの拡大が観測されないので、ITバブルのようなシンプルなバブルで終わるだろうと述べている。

参考:「株、バブル期に動き似る」ヴェリタス2017年11月5日
   「株バブルの危険、日銀はETF購入再考を」ロイター2017年10月30日

100年後、日経平均100万円

バフェットはダウ平均が100年後には100万ドルに達すると予想しているが、日経平均は100年後にどのくらいになっているのかを考えてみる。

バフェットの予想は一見大それたものに見えるが、これはダウ平均が年率3.87%上昇すれば複利効果で達成できる数値だという。現在のアメリカのインフレ率は2.3%であり、EPS成長率は10%程度あるので、仮に今のペースで上昇していけば十分達成可能である。

では日本はどうなるか。IMFが予測する日本の今後5年のインフレ率は年平均1%程度と低いが、長期的には過剰債務や金融緩和などによってインフレ率が上昇していく可能性が高い。EPSの上昇率は多少鈍化していくかもしれないが日本企業は海外売上高比率が高いので世界経済の成長に伴いプラス圏は維持できそうではある。となると日経平均もダウ平均と同程度の年率3.8%程度は上昇していけそうなので、100年後に日経平均は100万円に到達できそうである。


ついでにメモしておくと、過去100年のダウ平均は、1917年の100ドルから2017年の2万ドルまで上昇している。この期間の上昇率は200倍になり、上昇率は年率5.5%(うちインフレ率3.1%)になる。
一方、過去100年間の日経平均は、1917年の10円からから2017年の2万円まで上昇している。この期間の上昇率は2000倍になり、うち1500倍程度はインフレによるものになる。
*1917年には日経平均という指数がないためそれと同等の指数を利用。
参考:国内株価指数の超長期100年チャート
   「バフェット氏、100年後ダウ100万ドル予言」日経ヴェリタス2017年10月1日

追記 2018/01/12
インフレ率は社会が豊かになるにつれて下落する傾向があり、長期チャートを見てもなだらかな下落傾向にあるので、今後もインフレ率2%程度を維持していくのは難しいように思った。なので100年後にダウ100万ドル、日経平均100万円も難しいように思う。

好景気には勤倹貯蓄を不景気には投資を

本多静六の「私の財産告白」を読んでみた。

本書でもっとも印象に残ったのはタイトルの言葉になる。氏によれば好景気にはお金をため、不景気(悲観期)に思い切って投資するのが投資で成功するコツだという。

足下の日本は好景気であり、株高はもうしばらく続きそうだが、新規投資は控えてそろそろ手仕舞いの準備をしていこうと思った。

*本多静六(1866-1952)
東大教授で日比谷公園や明治神宮などを設計。投資によって現在価値で100億円程度の資産を築き、生前にそのほぼすべてを匿名で寄付。

エムビーエス

11月7日の日経記事「「新市場」「ニッチ」で成長 中堅上場ランキング」で見つけた銘柄。

■調べようと思ったきっかけ
・チャートが底堅そうだったから
・業績の進捗率がよく、過去に上方修正を連発しているから
・時価総額50億円の小型株で経営者が大株主だったから

■どんな会社か
特殊コーティング材による内外装リフォームと、インフラに透明強化シートを張り付けるスケルトン工法などを手がける。この2つの事業が売上の85%を占める。

内外装リフォームは補修した部分の劣化を長期的に防ぐことができるため顧客満足度は高いという。エムビーエスによると従来にはなかった工法だという。
スケルトン工法は、コンクリート片の落下を防ぎつつ、コンクリートのひび割れなどの異常箇所を目視で確認できるため、時間とコストが節約できるという。透明シートによるコンクリートの補強工法ではシェアNo.1だという。

マザーズ上場で時価総額は50億円。売上高は28億円で営業利益率は10%程度。

■成長ストーリー
基本ストーリーは「独自工法で日本列島リフォームする」になる。(これはほぼエムビーエスが掲げるビジョンのまま)

今後、一番の伸びしろになりそうなのはスケルトン工法になる。現在防災面での評価は高まってきており引き合いは強くなっているという。現在の売上高は売上全体の1割程度だが、エムビーエスはこれを4割くらいまで引き上げる予定だという。国は2014年に国土強靱化計画を策定しインフラを整備・補強しはじめているがこの政策も追い風になる。スケルトン工法は主に橋の底面に使われるが、建設後50年経過した橋は2015年が18%、2025年には42%になるという。

ホームメイキャップ工法も順調に成長していきそう。エムビーエスは現在営業所を11都道府県16拠点に展開しているが、これを22年までに全47都道府県50拠点にする計画だという。支店の増加に伴い売上も拡大していきそうである。

エムビーエスは2005年に福証に上場しているが、2015年にはマザーズにも追加上場して資金を調達している。起業して20年ほど経過し、いよいよ拡大期に入りそうである。

■参入障壁は高いか
・各々の工法は特許で押さえているという。インフラを補修するスケルトン工法に至っては西日本高速鉄道やパシフィックコンサルタントなどの大手企業と共同で特許を取得しているという。ただ部材自体を開発しているわけではないので、類似の工法を真似できそうではある。
・スケルトン工法は国土交通省の「NETIS」に登録されているので価格競争力は高いという。

*市場規模はリフォーム市場が年間8兆円、インフラ整備・補強市場は累計で4兆円あり競合は多そうだが、調査不足のため詳細は不明になる。

■強み
一番の強みは社長の経営センスになる。社長は高校を中退していて学歴は低いが、創業初期に金融機関が相手にしてくれず資金調達に行き詰まると、起業家支援情報誌『月刊アントレ』に応募して事業計画オーディションでトップ賞を受賞したり、大前研一主催の「ビジネスジャパンオープン」で最多得票を獲得したりして、金融機関を振り向かせ資金調達に成功している。他にも学術機関との共同研究や英国の塗料材メーカーとの独占契約などをこなしており経営センスは鋭そうである。経営センスが鋭ければ、競合が多くても、独自路線で市場を開拓していけそうである。

■割安感はあるか
今後3年の予想売上高成長率は20%程度で、PERは23倍なのでほぼ適正株価になる。過去1年で株価が3倍近く上昇しているので発見が遅れた感は否めない。

■チャート
<一目均衡表の3年チャート>
底堅いパターン。ただ直近では上ヒゲが出ているのでやや上値は重そう。

<1年チャート>
値動きは落ち着いており短期でも底堅さがある。ただ600円あたりまで下落する可能性もある。


■結論
競合の状況は不明だが、社長に力がありそうなので、なんとなくだが大化けしそうな感じがする。支店数を現在の3倍の50店まで増やし、スケルトン工法の受注が拡大すれば5年後の売上は200億くらいまでいくのではないかと思う。

チャート的には今買っても大丈夫そうだが、もうしばらく様子見。