2024年1月1日月曜日

10~12月の売買

なし。

保有株

保有比率の高い順に見ていく。

■プラスアルファ・コンサルティング
基本シナリオ:「タレントパレット」事業を軸に2030年に利益3.5~5倍

ブログで予想していた2024年9月期の業績予想は
売上高137.4億円(前期比+25%)
 <売上高の内訳>
 タレントパレット事業 87.7億円(+33%)
 見える化エンジン事業 19.8億円(+10%)
 カスタマーリングス事業 17.6億円(+7%)
 キミスカ事業 12.3億円(+30%)
営業利益49.2億円(+33%)
純利益35.2億円(+33%)

だったが、会社が出した今期の業績予想は
売上高138億円
 <売上高の内訳>
 タレントパレット事業 87.5億円
 見える化エンジン事業+カスタマーリングス事業 37.5億円
 キミスカ事業 13億円
営業利益48億円
純利益32.5億円

だった。ほぼ予想通り。純利益の伸びがやや弱いように見えるが、投資を増やすようなので問題なし。むしろ今は投資に力を入れたほうがよさそうな時期なので、利益が減って逆によかったと思う。

あとは計画通りにいくかどうかになるが、事業モデルや事業環境はよいので予想値は達成できるのではないかと思う。株価は10月に一時2300円を割り込んでいるが、今の調子でいけばあまり心配する必要はなさそう。

チャートは完全に崩れてしまったが、このチャートはもともとグロース指数と連動していたようなのでたいした意味はなさそう。PAC社株は早く指数との連動から解かれて、”独り立ち”してくれればと思うが、指標的に割安感が出てきたのでそのタイミングはわりかし近い将来に訪れるかもしれない。

<10月27日のPAC社株とグロース指数の2年チャート>

前回のブログで、7月と8月のPAC社株急落は「需給が悪化したから」と結論づけているが、おそらく需給の影響は軽微で、主因は地合いとの連動(とその悪化)になりそう。

11月の本決算でPAC社は「中期成長イメージ」をアップデートした。
2027年9月期の予想売上高は既存事業だけで233億円、予想営業利益は100億円、予想営業利益率は40%超になる。そこに新規事業やM&Aなどの分を加えると予想売上高は250億円になるという。現在の状況から考えるとこの計画の達成確率は80%くらいはありそう。

PAC社の現金は毎期順調に積み上がっており、現在約82億円ある。M&Aは成長のブースターになるようなので(12/25日経)、今後はM&Aにも期待したい。社長はプラスアルファ(付加価値)に対する感度が高そうなので、質の高い買収をしてくれるのではないかと思う。

12/26日経に、東大の人材マッチングを研究しているチームに政府(科学技術振興機構)が資金援助する、とあった。この研究チームは社員の最適配置や生徒と教師の最適マッチングなどを研究しているという。PAC社もこういう研究チームに資金援助するなり、連携するなりしたら面白そうだと思った。

学校向けの人材マネジメントシステム「ヨリソル」はこれまで大学向けに提供していくものとばかり思っていたが、小学、中学、高校、専門学校、塾などにも提供していることがわかった。大学だけでは市場規模が30~50億円くらいになりそうだったが、それが数倍に拡大するとわかった。ただ教育現場への導入は企業向けと違ってリードタイムが長くかかるようなので、この事業が業績にインパクトを与えるようになるまではしばらく時間がかかりそう。PAC社は2027年9月期の「ヨリソル」事業の売上高を8億円と予想している。

12/15日経に、内田洋行がパークシャ・テクノロジーと協業してAIで子どもの不登校の予兆などをつかむシステムを開発している、とあった。すでに埼玉県の18校で試験導入しており、将来的には全国の学校に提供していく予定という。この事業は「ヨリソル」の競合になりそうだが、提携もできそうなので、提携して「ヨリソル」をパワーアップしてくれればと思った。

PAC社は11月に企業向け研修コンテンツを提供するインソースと業務提携した。社員プラットフォームの外部連携がいよいよ本格化しそうな雰囲気になってきた。日本企業の人的投資額は米欧企業の10分の1以下のようなので(10/15日経)、この領域の拡大余地は大きそう。インソースの顧客は約2万社あり、そこから「タレントパレット」への送客も期待できる。

PAC社は12月に面接動画をAI分析するZENKIGEN社と業務提携した。ZENKIGEN社の採用AIシステム「ハルタカ」は面接を受ける人が話す動画を9つの観点から分析し、熱意や落ち着きなどを見極めるという。AIに無意識の領域を分析されるのは怖い気もするが、これを使うことにより採用の精度が高まるようなので、長期的に見ればお互いにとってプラスになりそう。今後普及が進んでいくのではないかと思う。

11/4ヴェリタス11/4ヴェリタス12/19日経で、日本の転職市場やダイレクトリクルーティング市場は巨大で成長市場であることがわかった。PAC社のダイレクトリクルーティング事業「キミスカ」は現在学生向けにしか提供していないが、転職市場にも参入したらおもしろそうだと思った。ビジョナルやリクルートの壁は厚そうだが、PAC社のシステムは社員データと学生データを掛け合わせて高精度なマッチングができるので、違った切り口で勝負ができそう。がんばってくれればと思う。

12/19日経に、食品トレー大手のエフピコが生成AIなどを活用して営業日報の分析・要約する作業を劇的に効率化した、とあった。エフピコによると営業日報は「宝の山」で商品開発や会社経営に欠かせないという。PAC社の営業支援システム「Sales Square」は営業人材の管理のみならず、このような営業日報の分析もできるので、この事業も今後伸びていきそうだと思った。

12月に「タレントパレット」に生成AIが導入された。生成AI機能を使うと、分析結果の概要や解説文を簡単に作れるという。この機能を使えばデータサイエンティストでなくても「タレントパレット」を簡単に使えるようになりそうなので、「タレントパレット」の活用頻度が高まりそうだと思った。

大企業向けのタレントマネジメントシステムは「タレントパレット」一強かと思っていたが、カオナビもこの分野で成長していることがわかった。ただ両者は似て非なるものなので棲み分けはできそう。とはいえ、「タレントパレット」の認知度は若干低いので、両者が混同されないようにアピールしていく必要はありそうだと思った。

カオナビは前期にテレワークへの移行に伴いオフィスを縮小した。オフィス移転前の出社率は20%で、オフィス縮小後はそれがさらに減るという。移転により経費は年間約2.7億円節約できるという(参照:2023年3月期・第2四半期決算説明資料)。テレワーク(在宅勤務)には創造性を高めるといった研究もあるが(11/18ヴェリタス)、やりがいが減ったり、メンタルをやられたり、離職率が高まったり、アイデアが減ったりするなどのデメリットも指摘されている(10/31日経11/27日経など)。カオナビが今後どうなるかはまだわからないが、競争力が落ちる可能性がある。この点も今後観察していきたい。

10/26日経産業に、DXコンサル&システム構築の需要は過去20年間右肩上がりで今後もこの拡大傾向は続く、みたいなことが書いてあった。PAC社もこの波に乗って成長してくれればと思った。

少し気になったのがこの会社のHP。パソコンで見た場合は問題ないが、スマホやタブレットで見ると文字化けが多い。トップ画面にもいきなりある。このような文字化けは印象が悪い。プログラミングをちゃんとできるのかという疑念が生じかねない。スマホからこの点を指摘しようとしたら、問い合わせ画面に入力した文字まで文字化けしてしまった。パソコンから一応指摘しておいたが、今のところ変化なし。

今後3年の予想売上高成長率は年20~30%程度、予想利益成長率は25~35%。現在の妥当だと思う時価総額は1380億円(株価3300円、PSR10倍、PER42倍)。2030年の予想売上高は現在の2.5~3倍くらい、予想純利益は現在の3.5~5倍くらい。


■イントラスト
基本シナリオ:家賃債務保証と医療費用保証で2028年に売上高150億円、営業利益30億円

第2四半期決算はいつも通りの順調な内容。問題は医療費用保証事業が伸び悩んでいること。会社もこの点は認識しているようで、社長は決算説明で「夏から戦術を変えて攻撃量を大幅に増やしている」と言っていた。今後の伸びに期待したい。

現在の主力である家賃債務保証事業は少なくともあと2年くらいは高成長を続けられそうなことがわかった。ソリューション事業から保証事業への切り替えはあと2年くらい続くらしい。

その後の穏やかな成長も期待できる。国内の賃貸市場は今後人口減により縮小していくが、不動産管理業では寡占化が進んでおり、大手の不動産管理会社の規模は拡大していくという。イントラストは大手の不動産管理会社と提携しているので、その恩恵を受けることができる。

イントラストと同じような事業を手がけるニッポンインシュアが10月に東証スタンダード市場に上場した。この会社の特徴は高齢者向けの家賃保証サービスに力を入れていること。日本では高齢化により単身シニア世帯の賃貸ニーズは増加しているが、「孤独死」などの問題から物件を貸し渋るオーナーは多いという(*入居者が孤独死して長期間経った状態で発見されると「心理的瑕疵物件」として次の入居希望者に告知する義務が生じる。また発見時の状態によっては現状回復に数百万円かかることもある)。ニッポンインシュアの調べでは、65歳以上が入居可能な賃貸物件は全体の5%しかないという。ニッポンインシュアはヤマト運輸などと提携して、トイレや廊下に通信機能を備えたLED電球を取り付け、見守り・訪問サービスを提供し、この課題を解決しようとしている(*現在は実証段階)9/30ヴェリタス10/20日経。イントラストも似たようなことができそうだと思った。

11/8日経に、コロナ禍中に政府系金融機関が中小企業に行った「ゼロゼロ融資」で不良債権が拡大している、とあった。実質破綻状態でありながら事業を続ける「ゾンビ企業」は21年度末で19年度比で3割増えているという。足元で倒産は増えており、この調子でいくと、イントラストの代理弁済が増える可能性がある。

東証で親子上場が改めて問題になっている。イントラストはプレステージ・インターナショナルの子会社でプレステージはイントラスト株式を56%持っている。イントラストは前期にプレステージの子会社を引き継いでいるので完全子会社化されることはなさそう。となると株式を売却する可能性があるが、それも持分が多すぎるので難しそう。現状を維持するのだろうか。どうなるのかよくわからないが、ここらへんのことはあまり興味がないので適当に観察していく。・・もしかすると今株価が下がっているのはここらへんのことも影響しているのかもしれない。

今後3年の予想売上高成長率は年10~20%程度。現在の妥当だと思う時価総額は255億円(株価1140円、PER20倍、PSR3倍)。2030年の予想売上・利益は現在の2.5倍くらい。


■今後の計画
米国が景気後退に陥ってから5~10ヶ月くらいたったころに株式などを買っていく。できたらドル建て資産を買っていく。米VIXが40超、日経平均の騰落レシオが65以下になった場合も買っていく。景気後退に陥らなさそうな場合は、その時また考える。

■去年の運用成績と今年の運用成績予想
1年前にブログに書いた2023年の予想運用成績は「-25~10%」だったが、実際は-2%くらいだった。地合いの予想は大きく外れたが、運用成績は予想の範囲内に収まった。運用成績はマイナスになってしまったが、去年1年の売買を振り返ると、そこそこよいタイミングで売買しているので健闘したように思う。知識の方は着実に積み上がっているので特に問題なさそう。今年も知識を着実に積み上げていきたい。

今年の予想運用成績は「-10%~25%」。地合いに問題があれば若干のマイナス、問題がなければそこそこなプラスになりそう。持ち株や投資スタンスにはそれほどリスクはなさそうなので、地合い次第の展開になりそう。

有望株

よく調べないで買った株は失敗することが多いので、これからはネチネチと調べてから買うことにする。

<10倍株候補の条件>
 ・上場5年以内の会社
 ・社長が若い
 ・オーナー企業
 ・時価総額が300億円以下
 ・長期的なテーマに合っている
 ・急成長している
 ・(IPOから時間が経過し、株価が右肩下がりになっているチャートが狙い目)

<優良企業の条件>
 ・参入障壁が高い
 ・ストック型ビジネスを手がける
 ・時流に乗っている(潜在市場が大きい)
 →業績が落ちにくく、利益成長を続けやすいビジネスモデル
(例)エムスリーやリクルートなど

■良さそうな会社
・M&A総研ホールディングス
AIを使ったM&Aマッチングシステムを手がける会社。荻野CFO「集合知で買い手を探すため、効率が良く、人間では思いつかないマッチングが生み出せる」(ヴェリタス)。この会社の売上高成長率と利益率は尋常じゃない。M&Aマッチングシステムはネットワーク効果が働きやすいので、高水準の成長と利益率を維持できるかもしれない。問題は株価がすでに高値圏にあることと、株式流動比率が低いことあたり。

・霞ヶ関キャピタル
不動産コンサルティング会社。複数のテナントが入る貸冷凍冷蔵倉庫も開発する。冷凍冷蔵倉庫はフロンを使わない環境負荷の低いタイプを導入しており、中小企業の需要を捉えている。AIで荷物を識別するシステムを導入して作業を自動化する冷蔵冷凍倉庫も計画している。冷凍冷蔵倉庫は労働環境が過酷なため省人化の需要が強い。ヴェリタス

この会社も高速成長している。問題は財務状態がいまいちで、設備投資が大きそうなところ。少し苦手なタイプの会社。

2023年12月に大型の増資をした。当面の成長資金を得たようなので仕込むタイミングとしては悪くなさそう。

・SBIホールディングス
2019年に米チャールズ・シュワブが米国株の売買手数料無料化に踏み切ると大規模な業界再編が起こり、独立系のオンライン証券は消滅した。その後、顧客の投資コストはゼロに近くなり、証券会社は手数料依存から脱却し、資産残高重視への転換に成功した。顧客と証券会社の利益相反が減り、証券会社のビジネスモデルは「顧客と共に栄える」ものになった(10/7ヴェリタス)。チャールズ・シュワブの株価は業界再編後、2倍くらいまで上昇している。日本では2023年10月にSBI証券と楽天証券が株式の売買手数料無料化に踏み切っており、米国と似たような展開が期待できる。新NISAの追い風もある。

・三陽商会
三陽商会は「バーバリー」との契約を解除されてから業績が失墜していたが、ゴールドウィンで”株価テンバガー”を達成した経営者が三陽商会の社長に就任し、足元で業績は回復基調にある。成長戦略はゴールドウィンのときと同じ。商品数を絞り込み、徹底した在庫管理(高精度な需要予測)をし、高品質化し、複数の強いブランドを育てること。顧客ターゲットはアッパーミドルやハイエンド層。現在「ポール・スチュアート」など7つの基幹ブランドを育成中で、2023年2月期には各ブランドで黒字化を達成している。今後は各ブランドの収益拡大を推し進めていく予定。11/2日経産業11/18ヴェリタス

・レノバ
KDDIやイー・モバイルを創業した千本倖生氏が名誉会長になっている会社(12/4日経)。レノバは再生エネルギーを開発する会社なので事業環境は悪くない。株式は大きく売り込まれており仕込むタイミングとしても悪くなさそう。問題は3つ。1つ目は千本氏が名誉会長になってしまい経営の一線から退いていること。2つ目は財務状態がよくないこと。3つ目はバイオマス発電に力を入れていること。バイオマス発電は本当に環境に優しいのかという問題がある。英国では持続可能性の観点から政府がバイオマス発電の補助金をカットする可能性が浮上しており、バイオマス発電を手がける英ドラックス・グループの株価は大きく売り込まれている(12/16ヴェリタス)。レノバは大株主の住友林業などと協業して廃材などで発電するはと思うが、少しひっかかるところがある(要調査)。

・メック
電子基板の表面処理剤を製造する会社。CPUに使う半導体パッケージ基板用の高機能品は世界シェアほぼ100%。研究開発投資に積極的で価格競争力は強く、営業利益率は20%を超える。近年注力しているのが高周波の電気信号のロスを抑える技術。5Gや次世代自動車向けの需要拡大が期待できる。ヴェリタス

・SREホールディングス
適正な不動産の売買価格をAIで素早く査定するシステムを手がける。AIによる査定価格と実際の成約価格を比べた誤差率は4%程度で、人が判断したときの誤差率は7~8%なので、AIの方が適正な価格を算出できることがわかる。契約社数は2500社と1年前から7割増。解約率は0.6%程度。このシステムは消費者側にも利点がある。不動産を売りたいときは情報が不足し、適正な価格の判断ができず、買い手側が優位な状況が多い。AI査定で作成した査定書には解析データが記載されているので消費者も客観的に適正価格を知ることができる。矢野経済研究所は不動産テック市場は25年度に20年の2倍に膨らむと予想している。SREホールディングスは培った技術を応用し、証券会社向けのAIシステムも開発。証券会社の顧客の住所から不動産価格を推定し、過去の証券取引データと組み合わせて潜在的な富裕層を見つけ、金融商品の提案につなげている。社長は「業界を超えて需要は高い」と語る。日経

・アサヒホールディングス
貴金属リサイクルの大手。貴金属の価格は高騰しており、貴金属のリサイクルはメガトレンドになっている。アサヒは全国に回収ルートを持つのが強みで、新工場稼働により業績の拡大が期待できる。ヴェリタス

・オプティム 
法人向けにモバイル端末を管理するシステムを提供する。モバイル端末のセキュリティーや不正利用の防止設定、紛失時の遠隔操作などを一括で管理できる。モバイル端末管理の市場では4割近いシェアを持つ。リモートワーク普及を追い風に底堅い需要が続いている。

今後注力するのが「X-Techサービス」と呼ぶ産業DX事業。端末管理事業で培ったクラウド上で大量のデータやIDを管理する技術を応用し、IoT端末を用いたDXサービスの開発に取り組む。その一例が、ドローンを用いたスマート農業システム。作物を育てるほ場を測量・空撮し、気象情報と組み合わせてAIで分析。農薬や肥料散布の適切なタイミングを計算した上で、オプティムがドローンのパイロットを派遣し、生産者に代わって散布する。他にも、土木現場での3次元測量や医療現場での手術ロボット運用支援など、複数の業種でDXサービスに参入する。全体の売上高に占める「X-Techサービス」の割合は既に4割弱に達しており、近くモバイル端末管理事業の売上高を逆転するもよう。今後は売上高、営業利益ともに年率10%の成長を維持しながら積極的に研究開発部門に投資していく考え。ヴェリタス

2050年には国内の農業人口が現状より8割減るとの推計もあるので(日経)、農業DXは伸びそう。肉体労働系DXは競合があまり多くなさそうなのでよさそう。

マクロ系金融指標

市場の仕組みを理解しやすい順番でみていく。

■米10年金利
今後1年の予想レンジ:2.0%~4.3%の間で推移

米長期金利に影響する要因を、影響の大きい順にみていく。
・経済成長率+インフレ率→
長期金利の基準値は経済成長率+インフレ率になる。2024年の米GDP成長率は+1.4%程度、インフレ率は+2.5%程度になる。

*過去の例では、米国のインフレ率がピークアウトした約1年後に米長期金利もピークアウトしていることが多い。今回のインフレは2022年の9月頃にピークアウトしているので、米長期金利も2023年10月頃にピークアウトした可能性が高い。10/21ヴェリタス

・金融政策↓
FRBはインフレが落ち着いてきたとして政策金利の引き上げをやめた。2024年に3回の利下げを実施し、2024年末の政策金利は4.5~4.75%になる予定。12/15日経

*政策金利が中立金利(2.4%)を超えると、景気(長期金利)には下押し圧力がかかる。

FRBは国債などの保有資産を年間7200億ドル(約108兆円)のペースで売却している。今後2年間そのペースで資産を売却していくと、長期金利には1%近い上昇圧力がかかる(日経日経10/26ブルームバーグ)。ただ利下げと矛盾した政策になるので、保有資産の売却もやめる可能性がある。

・財政悪化による国債増発↑
米政府の財政はコロナ禍以降、大きく悪化しており(日経10/19日経)、今後も悪化し続ける可能性が高いため(12/9ヴェリタス)、米財務省は米国債の発行を段階的に増やすと公表している(日経日経ヴェリタス日経日経)。金利が高止まりした状態では公的債務の利払い費も増加し、財政はさらに悪化する。日経10/21日経

格付け機関は米政府の財政悪化懸念から米国債の格付けを下げている。格下げも長期金利上昇の一因になる。

・リスクオン・リスクオフ↑
米景気は比較的堅調で、利下げ局面に入ったのでリスクオン気味。

・米国債の人気上昇→
米長期金利は海外の主要先進国の長期金利よりも高いので、海外勢から買われやすい。2022年の買越額は約100兆円と過去最大になっている(日経)。しかし今は米国外の先進国の金利も上がっているので、海外勢は米国債の購入を減らしている。

世界最大の米国債保有国の日本においては、米国債利回りから為替ヘッジコストを差し引くと利回りがなくなってしまうので、一部の金融機関は米国債から日本国債に資金をシフトしている(日経)。日銀が長期金利の変動許容幅の上限を引き上げたことも日本勢の国内回帰を促している。日経

日本の次に米国債を多く保有する中国は、米国との対立や人民元安阻止のために米国債をコツコツと売却している。日経10/28日経

・資金需要の低下、金余り↓
第4次産業革命の主役はデジタル企業になるが、デジタル企業は設備投資のための資金需要が少ない。少子高齢化の影響で借り入れ需要も減っている。

金余りで運用難に陥っている米金融機関や米企業は多く、そういうところがこぞって米国債を買っている。日経日経

・潜在成長率の低下↓
生産性の伸び悩みなどで潜在成長率は低下傾向にある。

・チャート↓
<10年チャート> 天井を打ったように見える。ただ下降トレンドに転換するかはまだ不明。


■WTI原油
今後1年の予想レンジ:60ドル~110ドルの間で推移

原油価格に影響する要因を、影響の大きい順にみていく。
・需要↑
原油の需要は世界経済成長率にほぼ連動する。2024年の予想世界GDP成長率は2.8%になる。

長期では、再生可能エネルギーの増加や学校・職場のリモート化などにより石油需要が減少する可能性が高い。仏トタルや英BPは2030年頃に石油需要がピークアウトすると予想している(ヴェリタス日経)。

一方で、世界人口増や再生エネルギー開発の滞りなどが原因で石油需要が増えるという見方もある。米エネルギー情報局(EIA)は2050年の石油需要が2020年比で4割増になると予想している(日経ヴェリタス)。英シェブロンは2023年から45年にかけて石油需要は約15%増加すると予想している。11/1日経

・供給↓
OPECプラスは1バレル90ドル前後の水準を維持することを目的に減産に動いていたが、直近ではOPEC内の足並みが乱れ始めている(12/2日経12/23日経)。米国ではシェールオイル採掘への逆風や採掘コスト増などからこれまで増産ペースが鈍かったが、直近では原油高を背景に産油量が急増している。11/7日経

長期では、脱炭素の潮流を受けて油田開発投資が大きく減少しており(日経)、再生可能エネルギーの普及には時間がかかるので、大幅な供給不足に陥る可能性がある。

・産油国で不測の事態が起こる↑
中東では石油施設へのテロ攻撃が度々起きている(日経)。パレスチナではイスラム組織「ハマス」とイスラエル軍の戦闘が激化しており、中東諸国の原油に影響するとの懸念がある(10/11日経)。ただ影響は軽微なものにとどまりそうでもある。10/14ヴェリタス

*石油(エネルギー)は人間にとって食料と同じ生活必需品のため、わずかでも不足が生じると価格が跳ね上がりやすい。

・産油国、産油企業、再生可能エネルギーの採算ライン↓
サウジアラビアで財政均衡に必要な原油価格の水準は1バレル85ドル(11/7日経)、ロシアでは80ドル、アラブ首長国連邦(UAE)は75ドル(日経)、米産油企業の採算ラインは50~80ドル、再生可能エネルギーは30~80ドルになる。原油価格はこの範囲内に収まりやすい。

・リスクオン、オフ↑
リスクオン気味。
*原油は株式と同じリスク資産なので、リスクオフ時には売られやすい。

・インフレ対策↑
原油などの商品はインフレヘッジ手段になる。足元ではインフレ対策としても買われている。

・為替↓
原油はドル建てのため、ドル高になると原油価格に下押し圧力がかかる。足元ではドル高基調。

・チャート→
<10年チャート> チャート的には落ち着いた感じ。60ドルを底にボックス圏で推移しそう。


■ドル円
今後1年の予想レンジ:120円~145円の間で推移

為替に影響する要因を、影響の大きい順にみていく。
・日米金利差↓ (↑は円安方向、↓は円高方向)
<短期金利>
日米の金融政策の違いから、日米の短期金利は現在約5%開いている。ただ今後は両国の金融政策が転換し、その差は徐々に縮まっていきそう。

金利差拡大によりキャリー取引が増えている。
*キャリー取引とは金利差を狙った取引。短期金利差が大きくなると低利通貨を売り、高利通貨を買って、金利差で収益を得る取引が盛んになる。
*世界で唯一マイナス金利政策を続ける日本の円は、キャリー取引の調達通貨として選ばれやすい。
*市場が荒れ始めると金利収入以上の為替差損を抱えるリスクが増すので、手仕舞われやすくなる。

<長期金利>
米長期金利と日本の長期金利の差は3%くらいあるが、その差は縮まり始めている。

・日本の経常収支↓
円安や資源高、産業競争力の低下(日経)などにより、22年度の貿易赤字は過去最大の約19兆円に達している(経常収支は9兆円の黒字)。2023年は資源価格の下落や円安による企業業績の上振れなどにより、経常収支は約24兆円の黒字になりそう(12/28日経)。2024年も比較的高水準な経常黒字になりそう。

・米国の経常収支↑
米国は経済が強いので経常収支は改善傾向にある。

・リスクオン、オフ↑
リスクオン気味。

・日米の経済の強さの違い↑
資金は経済の強い国へ流れ、その国の株式や債権、不動産などが買われる。デジタル革命を主導する米経済は相対的に強いのでドル資産が買われやすい。
*日本の個人投資家は2021年に海外株を8兆3千億円買い越しており、その約9割は米国株になる。同年の日本株の買越額は280億円になる。日経日経

・日本企業の対外直接投資↑
国内需要はほぼ頭打ちなので、日本企業は海外での直接投資を増やしている。ここ数年は年12~22兆円の買い越しが続いている。

・国内投資家の対外証券投資↑
日本の機関投資家は国内の超低金利で運用難に陥っているので、高い運用利回りが見込める海外債権や株式などを買っている。個人投資家は成長力の高い海外株を買っている。ここ数年は両者合わせて年10兆円超の買い越しが続いている。

・海外投資家の国内証券投資↓
円調達時の上乗せ金利(ベーシススワップ)が低く、日本国債の金利は安定しているため、ここ数年、海外投資家は日本国債を年10兆円程度のペースで買い越している。日経日経11/15日経

・投機筋の持ち高↑(「円 投機的ネットポジション」で検索)
投機筋は円を大きく売り越している。円が下落するとみている。
*ドルを売り持ちした場合はスワップポイント(金利差分)を支払わなければならないので、ドル売りが長く続くことは少ない。
*スワップポイントはドル買い時よりもドル売り時の方が高く設定される傾向がある。例えば、日米短期金利差が約3%あった2022年9月にドルを1万ドル買った場合、1日の金利差収入は92円くらいになるが、ドル売った場合は金利差損失が1日159円くらいになる。日経

・ドル需給↑
FRBがドルを大量供給しているのでドルはだぶつき気味だったが、米長期金利の上昇や、ロシアやアルゼンチンの通貨不安、中国経済の先行き懸念などにより、ドルの需要が高まっている。

・米制裁によるドル離れ↓
米国は対立する国に「ドル取引の制限や禁止」といった金融制裁を課すことがある。現時点で米国はロシアやイラン、トルコ、中国などに金融制裁を課しており、これらの国は米国債の保有を大きく減らしている。今のところドル離れは一部に留まっているが、今回のロシアへの制裁(ロシア中銀が保有するドル資産凍結)をきっかけに、ドル離れが加速する可能性がある。日経日経

購買力平価
物価が上がると(インフレが進むと)、物やサービスを買うときにより多くの額のお金が必要になるが(購買力は下がるが)、物価が下がると(デフレが進むと)、物やサービスを買うときにより少ない額のお金しか必用なくなる(購買力は上がる)。この物価変動に着目して二国間の通貨価値をならしたものが購買力平価になる。

インフレ率は日本より米国の方が慢性的に高いので円の購買力平価は長期的な円高傾向にある。ただ米国のインフレ率は年々低下しており日本のインフレ率との差が縮まってきているので、購買力平価の下降曲線はなだらかになってきている。

現在の購買力平価(企業物価)は90円になる。為替相場は長期的にはこの値に収斂していくとされるが、近年では投機取引の拡大や資本の自由化などから購買力平価の影響力は弱まっている。ヴェリタス9/30ヴェリタス10/14ヴェリタス

・日銀の財務状態の悪化↑
日本の長期金利が1%まで上昇した場合、日銀は債務超過に陥る。日銀は国債について満期保有を前提とした会計処理を採用しており、債務超過になっても日銀は自ら通貨を発行できるので資金繰りに行き詰まることはないが、円に対する信用は落ちる。
*日銀は長期金利が1%に上昇した場合、日銀が保有する国債に28兆円の含み損が生じ、5%に上昇した場合は108兆円の含み損が生じると試算している。日経

・日本政府の過剰債務↑
日本政府の債務は返済不可能な水準まで膨れ上がっており、2030年頃には臨界点に達し円の暴落が起きる可能性がある。米国政府の債務も返済不可能な水準まで積み上がっているが経済が強く、ドルは基軸通貨なのでドルの暴落は起きにくい。

・日銀が保有するETFの簿価割れ→
日銀の自己資本は約10兆円なのに対し、保有する日本株ETFは簿価で約35兆円ある。日銀の保有するETFの損益分岐点は日経平均株価21000円くらいであり、日経平均株価が15000円台まで下がると日銀は債務超過に転落する(日経)。ただ現時点でそこまで下がる可能性は低い。

・キャピタルフライト↑
日本は財政問題や経済低迷などの問題を抱えているため、日本人は円資産を海外資産にシフトし始めている。国内の家計の預貯金は約1100兆円あり、その1%(11兆円)でも海外に向かえば円相場へのインパクトは大きくなる。2024年に始まる新NISAでキャピタルフライトが加速する可能性もある。日経

・為替介入→
今後、円安を止めるために政府・日銀が為替介入する可能性がある。ただ売り玉(保有する米国債)は限られており、また単独介入のため、影響はほとんどない。

・チャート
<10年チャート> ダブルトップになりそうな感じ。ただ基調は強そうなのでならないかもしれない。


■日経平均
今後1年の予想レンジ:27000~37000円で推移

日経平均に影響する要因を、影響の大きい順にみていく。
・金融政策↑
世界の中銀の総資産と世界の株価指数はほぼ連動している(日経)。2023年まで各国の中銀は金融引き締めをしていたが総資産はほとんど減っていない。2024年は一転して金融緩和に転じそうなので、資金供給量は増えそう。現在、すでに金融市場は緩和気味になっており、ゴールドマン・サックスは現在の米国金融環境指数は1年4ヶ月ぶりの緩和水準にあるとしている。12/19日経

・金利↑
金利が上がると、株式から債権へ資金が流れやすくなる。足元で金利はピークアウトしつつある。

金利上昇により金融機関が保有する債券の含み損が膨らんでいる。金融機関の含み損率が高まると株式などのリスク資産投資が減少する。日経日経日経

・為替↑
円安が進むと海外勢から見た日本株は割安感が出る。現在、円の価値は過去最低水準にある。日経日経

現在、海外勢が日本株を買うときに為替リスクをヘッジすると、それだけで4%程度の金利差収入を得られる。日経

・需給↑
足元で海外勢は日本株を買っている。日本企業の自社株買いも活発。2024年からは新NISAが始まり、個人投資家の買いも期待できる。暴落したときは日銀が買い支えてくれるので、需給的に日本株は下がりにくい。

主な投資主体の売買動向
<2023年の結果>
日本銀行:買い支えで1500億円の買い越し。
事業法人:自社株買いで4.9兆円の買い越し。
海外投資家:日本企業の資本効率改善期待や中国株からのシフトなどにより3.3兆円の買い越し。
信託銀行(年金基金など):ポートフォリオのリバランスにより5.9兆円の売り越し。
金融機関:7.9兆円の売り越し。(*売っている理由は謎)
個人投資家:逆張り投資で2.6兆円の売り越し。

<2024年の予想>
日本銀行:買い支えで1000億円の買い越し。
事業法人:自社株買いで5兆円の買い越し。
海外投資家:日本企業の変化と世界経済のソフトランディング期待から2兆円の買い越し。
信託銀行:ポートフォリオのリバランスにより3兆円の売り越し。
金融機関:謎の理由で4兆円の売り越し。
個人投資家:新NISAや順張り投資で1兆円の買い越し。

・EPS(1株利益)↑
日経平均株価は基本的にはEPS(1株利益)× PER(期待度・人気度)で決まる。2024年の予想EPSは-5~10%になる。
ーーーーー
EPSに影響を与える外部要因をみていく。
・為替→
日本企業は海外で収益の6割を稼ぐので為替相場の影響が大きい。今は円安気味なので利益は増えている(11/25日経)。今後はいったん円高に振れそう。

・海外景気→
日本企業は海外で収益の6割を稼ぐので海外景気の影響を大きく受ける。足元の世界景気は比較的堅調だが、今後は徐々に悪化していきそう。

(・自社株買い→
自己株式はEPSを計算する際に分母の株式数から除かれるため、自社株買いにはEPSを押し上げる効果がある。日本企業は自社株買いに積極的で、23年の自社株の取得実績は約8兆2千億円になる。自社株買いが増える背景には豊富な手元資金や投資家の圧力、東証の資本効率改善要求がある。12/27日経
*自社株買いにはEPSを押し上げる効果があると思っていたが、12/29日経で、そうではないことがわかった。自社株買いをすると株式数は減るが、その分時価総額も減る。双方の減少割合は同じなので、理論的には自社株買いをしても株価は変わらない。*借金で自社株買いをした場合は別)

・失業率↓
失業率が低下すると賃金が上昇して企業収益を圧迫する。労働量力不足で成長が頭打ちになりやすい。現在の失業率は最低水準にある。

・減価償却費や資源価格→
減価償却費や資源価格(原材料費)が上昇すると利益が圧迫される。足元では減価償却費と資源価格は横ばい傾向。

・金融政策→
金融引き締めで金利が上昇すると企業の利益や資金調達環境は悪化する。現在、金融引き締めが終わりそうな感じになっている。
ーーーーー

・PER(期待度、リスク選好度)→
日経平均の過去のPERは11~17倍くらいだが、現在のPERは14.74倍と中央値にある。

・リスクオン、リスクオフ↑
リスクオン気味。

・株式利回り↑
東証プライムの益回りは約6.63%、配当利回りは約2.23%と、日本の10年国債の利回り0.625%より高いので、株式に資金が流れやすい。

・中国株からのシフト↑
中国の景気停滞リスクや地政学リスクから、中国投資離れが拡大している(日経)。その代替投資先の1つとして日本株が選ばれている。12/28日経

投機筋の持ち高
買い残は8000億円で、裁定売り残高は900億となっている。投機筋は日本株が上がるとみている。

・個人投資家の流入↑
日本の家計が抱える預金・現金は約1100兆円あり(日経)、コロナ禍の「巣ごもり」や「老後2000万円問題」などの影響で株式市場に個人投資家が流入している(日経12/26日経)。2024年に始まる新NISAでさらなる流入が期待できる(12/17日経12/23ヴェリタス)。ただ新NISAの資金の大半は海外株に流れそうな感じ。12/24日経12/26日経

・パッシブ運用の膨張↑
パッシブ運用にはストック効果(積み上げ効果)があるので、この運用が増えると株価は下がりにくくなる。現在、投信やETFでパッシブ運用の比率が高まっており、世界では44%、日本では73%まで高まっている。日経日経

・チャート↑
<10年チャート> 出来高を増やして新高値を突破しているので基調は強い。底は3万円くらいになりそう。


■東証グロース指数(グロース250指数 *旧マザーズ指数)
今後1年の予想レンジ:600~1000の間で推移

東証グロース指数に影響する要因を、影響の大きい順にみていく。
・金融政策↑
東証グロース指数は中銀の総資産残高の影響を全市場の中で最も受けるので、中銀の資産縮小時には真っ先に売られやすい。ただ、グロース指数はすでに金融緩和前の水準まで売られているので底を打ったように見える。

金利の上昇も小型グロース株には逆風になる。金利が上昇すると将来の成長期待で買われている小型グロース株はバリュエーションが低下しやすくなる(詳細は後述)。また小型グロース企業には赤字企業が多く、金利上昇時には成長資金を調達しにくくなる。借金の金利負担も重くなる。2024年は世界の中銀は金融緩和に転じそう。日銀は別かもしれないが。

・需給→
グロース市場は日銀の買い支えがなく、自社株買いもあまり期待できないため、相場下落時は下げ止まりにくい。ただ海外投資家は売り尽くした感があるので(ヴェリタス日経)、売り圧力はそれほど強くなさそう。個人投資家の含み損はまだ高水準にあるので(松井証券、信用評価損益率-20%)、個人の買いはあまり期待できない。

・EPS(1株利益)成長率
不明。

<グロース市場の反転シグナル>
信用評価損益率の急激な悪化は一つの反転シグナルになる。信用評価損益率が急激に悪化して、追い証回避の投げ売りが殺到すると、信用取引での買い持ちが急減して需給が軽くなる。過去の例では、そのタイミングで海外投資家が買いに転じるパターンが多い。

2007~2009年の金融危機では、2007年12月に信用評価損益率が-30%を超え、そこから約1年5ヶ月にわたってマイナス幅が30を超えている。この間にマザーズ指数は900台から300近くまで落ちている。当時も今も金融引き締めなど、似たような状況であり(ヴェリタス)、このような前例を踏まえると、2年の停滞が続いた東証グロース指数はそろそろ反発するのかもしれない。

<グロース250の10年チャート> デッドクロスを形成しており、移動平均線全てが下向きなので基調は弱い。ただ底値感があるので何かの拍子で反発しそうでもある。

市場環境

株式市場への影響が大きい企業業績(EPS)、金利、金融政策などをみていく。

■EPS成長率
・世界株式の2024年の予想EPS成長率は-5~10%。
・米国株式の2024年の予想EPS成長率は-3~15%。
・欧州株式の2024年の予想EPS成長率は-10~7%。
・日本株式の2024年の予想EPS成長率は-5~10%。


■経済成長率
・世界の2024年の予想GDP成長率は2.7~2.9%。
・米国の2024年の予想GDP成長率は1.3~1.5%。
・中国の2024年の予想GDP成長率は4.2~4.6%。
・ユーロ圏の2024年の予想GDP成長率は1.1~1.3%。
・日本の2024年の予想GDP成長率は1.0%。
・インドの2024年の予想GDP成長率は6.3%
*数値はIMFとOECDの予想。9/20日経10/11日経11/8日経

世界の経済成長率が3%を下回ると不況感が強まるとされる。ただし、デジタル経済で増している経済厚生(経済的幸福度)は成長率には反映されにくいので、見かけほど不況感は強まらない可能性もある。
*経済規模を示すGDPは1年間で生み出された付加価値額の総和になるが、デジタル経済で生み出されたサービスの大半は公共財に近い性質があるので、金銭的な数値には反映されにくい。

*コロナの影響で2020年の日本のGDPは落ち込んでいるが、消費者のお得感を示す消費者余剰は増えている。野村総研がネットの利用時間などを基に消費者余剰を試算したところ、2020年にデジタルサービスから生まれた消費者余剰の総額は日本全体で200兆円を超えている。16年時点では160兆円程度なので4年で25%ほど増えたことになる。2020年のGDPは16年比で2.4%減っているが、消費者余剰との合計では4%増加した計算が成り立つ。日々の生活の満足度が向上していれば、GDPの落ち込みほど豊かさは失っていないともいえる。日経


■インフレ
・米国の2023年の予想インフレ率は3.5~4.5%、2024年は2.0~3.0%。
・欧州の2023年の予想インフレ率は4.5~6.0%、2024年は2.0~3.5%。
・日本の2023年の予想インフレ率は2.0~3.0%、2024年は1.3~2.3%。
*参照:9/12日経など
*米国のブレーク・イーブン・インフレ率(10年)は2.16%。ブレーク・イーブン・インフレ率とは債券市場の予想物価上昇率で、実質金利を算出するときなどに用いる。

世界中でインフレ率が下がりにくくなっている。インフレ要因とデフレ要因を一通りあげて、今後のインフレ動向を予想していく。

<インフレ要因>
★コロナ特有のもの
・供給基盤が破壊され供給不足が生じている。
・コロナで対面型サービスの人気が落ち、賃金が上昇している。
・コロナが落ち着いてきて需要が増している。
・政府から給付金が支給され需要が増している。
・金融緩和の影響で資産価格や商品価格が上昇している。
・量的緩和の影響で通貨価値が下落している。
→現在、これらの要因はほぼ解消されている。

★コロナ後も続くもの
・人手不足で賃金が上昇している。米国においては求人件数が700万件程度まで減ると賃金上昇率が3%程度まで落ち、FRBの2%物価目標と整合するとされるが(日経)、10月の求人件数は873万件とまだ少し多い。ただ順調に減ってはいるので、人手不足は徐々に解消されていきそう。11/4日経12/6日経

・脱炭素シフトでエネルギー価格や資源価格が上昇している。脱炭素シフトにより2030年まで年0.7~1.0%程度の物価押し上げ効果が見込まれている。ヴェリタス日経
*脱炭素シフトが完了すれば再生可能エネルギーは強力なデフレ圧力になる。

・ウクライナや中東地域の戦争によってエネルギーコストが上昇している。

・異常気象や世界人口増、新興国の経済成長、バイオ燃料需要、肥料価格上昇、ウクライナ戦争などにより、食料価格が上昇傾向にある(日経ヴェリタス)。農作物・肥料価格の先行指標である農業ETFは高値圏で推移している。

・経済の脱グローバル化(グローバル化の再構築)で製造が自国生産にシフトし生産コストが上昇している。日経

・世界の生産年齢人口が2010年代にピークアウトしている。今後は労働者が減る一方で人口は増えるので供給が追いつかなくなる可能性がある。日経日経

・米欧でインフレやAIへの不安などからストライキが頻発している。10/21日経


<デフレ要因>
・世界中の中央銀行が強力な金融引き締めをしている。金融引き締めには需要を減らす効果がある。

・経済のデジタルシフトが加速している。デジタル経済で登場している財やサービスは既存のものより便利で安価なものが多い。検索やSNSは無料で、ネット上では価格比較を簡単にできるため売り手は超過収益を得にくくなっている。スマホが登場してからはカメラやオーディオプレーヤー、電子辞書などが売れなくなっており、5000万曲をいつでも自由に聴けるSpotifyは月980円で利用できる。複製コストゼロのデジタルソフトやシェアリングサービスの普及などもあり、価格は下がりやすくなっている。
*市場競争が起こっている財(商品・サービス)は、差異化が図れない場合、価格が限界費用(追加生産のコスト)まで低下する性質がある。デジタル財は限界費用がゼロに近いので、競争が起きると価格がゼロに近づく。

・イノベーション(新結合・技術革新)が加速している。今はインターネットやAIにより、情報や人やモノの「新結合」が起こりやすくなっている。イノベーションも強力なデフレ圧力になる。

・産業の「自動化」により、生産コストが低下している。
・世界的に経済成長率が鈍化傾向にある。過去40年で米国の潜在成長率は3%前後から2%前後に低下している。日経
・富の集中が加速している。デジタル経済では資本やアイデアの出し手に富が集中しやすくなっている。富裕層の支出性向(収入に占める支出の割合)は低い。
・世界的に少子高齢化が進んでいる。子どもが減って高齢者が増えると総需要が減る。
・人手不足で成長力が低下している。
・金融引き締めなどの影響で資産価格が下落している。

以上をまとめると、賃金(サービス)以外のインフレは落ち着きつつあるので、インフレは徐々に落ち着いていきそう。ただ過去の例では賃金インフレはしぶとく続いているので、米国でインフレ率が2%になるのは2024年末頃になりそう。日経ヴェリタス

インフレが落ち着いた後も、脱炭素シフトや人手不足、脱グローバル化などの構造要因は残るので、しばらくは以前のような超低インフレには戻らない可能性が高い。

日本においては、今後人手不足がより悪化していきそうなため(日経ヴェリタス日経)、デフレからインフレに転換する可能性がある(日経日経12/20日経12/22日経)。日本ではエネルギーや食料、ネットサービスを輸入に頼っており、そこに円安が加わるとそれもまたインフレを押し上げる。インフレが起こり、日銀の超低金利政策により実質金利のマイナス幅が広がると、それもまたインフレを押し上げる。インフレが高進するとキャピタルフライトが発生する確率も高まり、そうなるとインフレ・円安スパイラルは止まらなくなる。ただ、日本は人口が減っており、高齢化社会なので、需要の基調は弱い。インフレが起こるとしても比較的穏やかなものになりそう。

超長期では、エネルギー革命や材料革命、AI・ロボット革命により超デフレ(無料社会)になる可能性がある。


■金利
・米国の政策金利は5.50%で、3ヶ月金利は5.35%、2年金利は4.25%、10年金利は3.86%、30年金利は4.01%になる。
・日本の2年金利は-0.04%、10年金利は0.62%、30年金利は1.67%になる。

*名目金利からインフレ率を差し引いた実質金利は資金の流れを決める最大の材料になる。実質金利がマイナスの状態では、国債を買ったり銀行にお金を預けたりすると実質的に損をするので、株式や不動産、商品などに資金が流れやすくなる。逆に実質金利がプラスの状態では国債などの「無リスク資産」に資金が集まりやすくなる。現在、米国の実質金利はプラス圏にあり、「無リスク資産」に資金が流れやすくなっている。日本やユーロ圏、豪州の実質金利はいまだマイナス圏にある。10/3日経

*現在の債券は魅力的な水準まで利回りが高まっている。たとえばリスクのほとんどない米2年債は利回りが4.25%もある。その他の質の高い債権にも魅力的な利回りのものが多くなっている。今後利回りがさらに上がる可能性もあるが、急上昇期はすでに終わった可能性が高いので、株式などのリスク資産より、債券に資金が流れやすくなっている。日経日経

*投資家は企業が将来生み出すであろう利益から金利分を割り引いて企業価値を算出する。金利が上がると割り引く分が多くなり、将来の予想利益は減る。将来の利益創出期待が大きいグロース企業ほど割り引く分は多くなり、理論価値が下がりやすくなる。

*米30年物国債の利回りが自然利子率(2.4%)に達すると米株は天井を付ける傾向がある。

*米10年金利が米2年金利を下回ると、その1年~1年半後に景気後退に陥ることが多い。米国では2022年7月から10年金利が2年金利を下回っており、現在もその状態が続いている。ヴェリタス
*米10年金利が米3ヶ月金利を下回ると、その後、比較的すぐに景気後退する傾向がある。2022年10月からこの逆イールドが発生している。
*銀行は短期金利で資金を調達して、長期金利で企業などに貸し出して利ザヤを得る。しかし長短金利が逆転すると逆ザヤになるので融資が減る。その結果、投資も減り景気が後退しやすくなる。

*景気拡大期の「良い長期金利上昇」では、株価も上昇する傾向がある。過去の例では長期金利上昇よりも政策金利を引き上げたときの方が株式市場へのネガティブな影響が大きい。ヴェリタス

*景気拡大期終盤に金利が上昇すると、資金の流れが「借り入れ」から「返済」に転換し、資金の逆回転が起こる。過去のバブル崩壊は全てこの金利上昇がきっかけになっている。

*利上げ局面で中銀が利上げを停止すると市場は急速に利下げを織り込み始め、株高が続くことが多い。警戒が必要なのはその後になる。金利が高い中での株高は危うい株高となり、なにかのきっかけでショックが起こることが多い。過去を振り返っても、利上げ終了後は1年ほど株が上がり、「サブプライムローン」の破綻などがショックの引き金を引くことが多い(日経)。過去の例では、「○○ショック」は懸念された箇所からではなく、疑いもしなかったところから起こることが多い。ヴェリタス

・FRBの利上げ局面における株式相場は「1,金融緩和の終了を嫌気した調整」→「2,利上げ中盤にかけての良好なファンダメンタルズを好感した上昇」→「3,利上げ終盤の過度な引き締めを懸念した反落」→「4,利上げの打ち止めを好感した反発」→「5,ファンダメンタルズの悪化を織り込んだ大幅な下落」という経過をたどることが多い。今は4の段階になる。


■債務
・世界の債務はコロナ下で急拡大し過去最高水準のGDP比336%に達している(日経)。ただ、コロナ過の経済対策により、家計や企業、金融機関の財務状態はコロナ前よりも健全になっているためデフォルトが急に増える状況ではない(日経ヴェリタス)。

・銀行の財務状態は比較的良好だが、銀行に比べて規制・監督体制の緩い「シャドーバンク(ノンバンク)」の債務は急拡大している。世界のファンドや年金基金、保険会社などノンバンクの金融資産は21年に239兆ドルと07年比で2.4倍に増え、銀行を大きく上回っている。ノンバンクは信用力の低い企業へ融資することが多い(日経)。英調査会社プレキンの予測では、ノンバンクによる企業向け融資(プライベートクレジット)の世界全体の運用資産は2027年末に2兆3000億ドルと年平均10.8%で拡大していく見通し(10/6日経)。プライベートクレジットは金融規制の対象外にあるためデフォルトリスクを把握しづらい。金利が高止まりし景気後退に陥ればデフォルト率が7%くらいまで上昇する可能性がある。12/6日経
*プライベートクレジット事業者は2008年の金融危機後に設立されたところが多いため(12/6日経)、デフォルトの影響は未知な部分が多い。

・米金融市場では商業用不動産が大きな”爆弾”になっている。商業用不動産の10年間の価格上昇率は日本が20%なのに対し、米国は50%になっている。米国の商業用不動産向け貸出額は2010年から2023年まで約2倍に膨らんでいる(日本は同期間に3割増)。リモートワークの浸透や金融引き締めによるオフィス需要の低下によりオフィスの空室率は20%に迫っている(12/26日経12/27日経)。金利上昇により商業用不動産向けの融資基準は厳格になるなか、2023年と2024年に70兆円以上の償還期限が到来する。そこで借り換えができない場合、物件は市場で売却されるため、市場価格の調整圧力はかなり大きくなる。米欧ではGDPに占める商業用不動産の割合が1~2割に高まっているため、不動産バブルが崩壊すれば米経済は大きく下押しされる。米不動産ファンドは世界中に分散投資しているため、ファンドのリバランスで世界中の商用不動産に売りの連鎖が波及する恐れがある。10/28ヴェリタス10/31日経

・金利引き上げの影響は企業が借金を借り換えるタイミングで最も大きくなる。2022年3月のゼロ金利解除から1年4ヶ月で5%超に及んだ今回の急速利上げで2024年は企業の利払い負担が一気に増す。そのタイミングでデフォルトが続出する可能性がある。12/19日経

・債務の質は劣化しており、米国の投資適格債の半分以上、欧州では4割超が格付けの最も低いトリプルBになっている。

・米国の企業負債のGDP比率は12年には65%前後だったが、足元では80%に迫る水準まで上昇している。借り手の返済能力は落ちており、今後の金利上昇局面では返済に行き詰まる企業が続出する可能性がある。ヴェリタス日経

・米政府の公的債務のGDP比率は07年の35%から22年には97%まで高まっており、53年には181%まで上昇すると見込まれている。11/25ヴェリタス

*金利が経済成長率を下回っている状態では、企業は財務レバレッジを効かせるだけで(低金利で社債を発行して自社株買いをするなど)で利益を手にすることができるので債務が膨らみやすくなる。政府も多少の財政赤字を続けていても債務残高のGDP比を一定の水準に維持できるので債務が膨らみやすくなる。

*今は企業がお金を借りて経済を牽引しなくなった分、政府がお金を借りて経済を下支えする構造になっている(日経)。政府がお金を借りて経済を下支えすると財政赤字は膨らむが、民間需要が足りていない中でそれをしないと、景気悪化を招き、財政赤字がさらに膨らみやすくなる。

*債務拡大ペースがGDPの成長速度を上回る状態が続くと、どこかで必ず資金の逆回転が起こる。債務拡大ペースはここ10年以上、毎年GDPの成長速度を上回っている。

・中国は2013年に労働人口がピークアウトしているので、今後は経済成長減速と同時に社会保障費が増加し、政府債務が膨張しやすくなる(日経)。2023年は過去最大の財政赤字(約74兆円、GDP比3%)を計上する見通し。日経
・国際決済銀行(BIS)によると、22年6月の中国の非金融部門の債務残高はGDP比295%に達し、98年3月末の日本の296%と肩を並べている。日経

・中国は前例のない投資主導経済を20年にわたって続けている。過去40年間に消費のGDP比は53%から38%へ低下し、消費が投資を下回り続けたことも異例。この投資主導経済の実態はコスト先送りによる需要創造になる。多くの資産が健全資産とはいえず、不良資産が積み上がっている。(一方、米国では労働者に購買力を与え、生活水準を向上させることで需要を創造してきた。過去40年間に米国の消費のGDP比は60%から68%に上昇している。)9/21日経産業

・新興国のドル建て債務の増加も著しく、10年前の約2倍(約500兆円)まで増えている。足元ではドル高が続いており実質的な返済負担が増している。一部の国ではデフォルト懸念が高まっており、デフォルトがいったん起きればドル高が一段と進み、デフォルトが連鎖しやすくなる。日経日経

・国際金融協会(IIF)によると、新興国の債務残高は22年3月に1京3000兆円とリーマン危機直後の4倍まで増えている(日経)。債務破綻の危機に直面する新興国が増えている。

・世界で過剰債務企業が増えている。本業の利益が借金の利払いより少ない”ゾンビ”企業が全上場企業(2万4500社)に占める比率は2021年度に16%になっている。直近ではこうした企業が破綻に追い込まれる事例が相次いでおり、仏アリアンツは23年に世界の企業の倒産が21年比で26%増えると予想している。日経

・米ムーディーズは今後の世界の社債について、最も悲観的なシナリオだとデフォルト率が14.5%になると予想している。これは1933年の世界大恐慌の最中の15.8%以来の水準になる。リーマン・ショック時のデフォルト率は12.1%になる。日経

<バブルについて>
バブルとは投資家が借金をして資産を買いまくることにより生じる現象。現在バブルは発生しているが、その投資主体は民間から政府(中央銀行)にシフトしているので(日経)、バブルは破裂しにくい。政府が資産を売却すればバブルは破裂するが、政府債務は実質的に返済不要なので資産を大きく売却する可能性は低い。足元で一部中銀はインフレ対策として資産の売却を始めてはいるが、インフレが落ち着けば売却をやめるので、”中銀バブル”が完全崩壊する可能性は低い。


■金融政策、財政政策
・2023年は世界中の中銀がインフレ対策で金融引き締めを行っていたが、2024年は金融緩和に転じるもよう。米バンク・オブ・アメリカは2024年に世界の中央銀行が年間で152回の利下げに踏み切ると予想している。12/29日経

・日銀が金融引き締めをしないのは、日本のインフレ率が2%程度と低く、コストプッシュ型の悪いインフレのため(10/19日経)。日銀は現在のような需要不足の状態(日経日経)で引き締めをすると景気後退に陥ると考えている。ただ、4~6月期は需要超過に転じている(日経)。この状態が続けば金融引き締めに転じる可能性がある。ただ需要超過は大きく進みそうにはないので(2021/10/29)、引き締めに転じるとしても穏やかなものになりそう。

*米国や日本は現在、財政赤字拡大を容認する現代貨幣理論(MMT)のような金融・財政政策をしているが、歴史的には中銀の貨幣発行によって財政赤字の穴埋めをしてきた国は、インフレを制御できなくなり、投資や成長が著しく落ち込むという結果に終わっている。
*MMTとは自国通貨で借金をできる国は破産することがなく、高インフレを招かない限りは財政支出のしすぎを心配しなくてよいという政策。提唱者のケルトン教授によると、財政支出を拡大してインフラや教育、研究開発に投資すれば長期的に国の潜在成長率を高めることができ、財政赤字を縮小できるという。高インフレ問題についてはインフレ防止条項(増税など)を入れておけば問題ないという。
*MMTで潜在成長率を高められなかった場合は、膨張した政府債務を国民が増税や高インフレで負担しなければならない。
*MMTで高インフレになった場合、中銀は金利をあまり引き上げられない。中銀のバランスシートの質はすでに劣化しており、そこで金利を上げたら自己資本がさらに劣化し、さらに金利が上昇するという悪循環に陥ってしまう。日銀は政策金利を1%まで上げると2年程度で債務超過に陥るとされる(日経日経)。FRBは政策金利を3.0~3.8%まで上げると金利収支が「逆ざや」に転じるとされる(日経ヴェリタス)。ECBも金利引き上げにより財務状態が危機的な水準に陥る可能性が高い。ヴェリタス
*MMTは日本が行っている金融・財政政策とは若干異なる。MMTは財政再建をそれほど重視せず、中央銀行を政府の支配下に置くが、日本の政策の場合は、政府は一応は財政再建を目指し、中央銀行は政府から独立している。


■政治
・日本の政治は比較的安定しているが、ちぐはぐな政策や政治資金問題で内閣支持率は20%台まで低下している(12/18日経)。財政支出も相変わらずの大盤振る舞いで、この調子でいくと近い将来、財政破綻する。
・海外は不安定。ウクライナ戦争により、ロシアと西側の関係は当分冷え込みそう。
・パレスチナではイスラエルの計画通り?戦争が始まった(4/22ヴェリタス)。中東地域はしばらく不安定な状態が続きそう。
・米国と中国の覇権争いは、ハイテク・軍事分野を中心に長期にわたり続きそう。
*米中貿易戦争が激化・長期化すると、貿易環境に強い不透明感が生じ世界的に投資が落ち込む。米中貿易摩擦の最大の敗者は、貿易依存度が高い日本やアジア、ユーロ圏ともいわれる。
・中国は政府が「共同富裕」のスローガンを掲げ規制を強化しているので、民間の活力がそがれつつある(日経日経日経日経)。国外からの投資も、その不透明感から著しく減っている。この調子でいくと中長期でも経済成長が減速していく可能性が高い(11/4日経)。中国共産党が一党支配を最優先する限りこの傾向は続き、中国は最終的にロシアのような国になる可能性がある。9/22日経10/28ヴェリタス
・EUは域内で財務格差が広がりつつあるが、コロナ危機やウクライナ戦争などの危機でEU加盟国の結束は強まっており、政治は比較的安定している。


■その他の景気後退シグナル
・米景気の先行指標である米住宅着工件数はピークアウトはしているが依然高水準にある。
*景気拡大期の終盤に入ると、消費者はまず住宅や自動車などの大型耐久消費財の購入を手控えるようになる。
・米個人消費の先行指標である12月の消費者信頼感指数は110.7と悪くない水準にある。同指数が80を下回ると景気後退のリスクが高まる。
・米景気の先行指標である米ISM製造業景況指数は低下傾向で46.7と13ヶ月連続で中立水準を下回っている。米経済の牽引役である米ISM非製造業指数は52.7と中立水準を上回っている。下降トレンドではあるが直近では持ち直しつつある。
*ISM指数やPMI指数が45を下回るか、50割れの期間が半年を超えるとデフォルトが増えやすくなる。
ユーロ圏のPMIは44.2。好不況の分かれ目である50を18カ月連続で下回っている。
・世界景気の先行指標である中国製造業PMIは49.0とほぼ中立な水準。基調としては横ばい傾向。
・世界景気の先行指標である銅価格はピークアウトしているが、高値圏で推移している。
・世界景気の先行指標である半導体指数(SOX指数)は2022年10月頃に底を打ち、大きく反発している。現在、最高値を更新している。
米国の失業率は低位で推移しており現在3.7%。ほぼ「完全雇用」の水準(3.5%)にある。
*米国では失業率が前年同月と比べて0.25%上がると景気後退に陥りやすくなる。
*失業率の3カ月平均が、過去12カ月の最低値から0.5ポイント上昇した時に景気後退が始まりやすい。2023年の失業率の最低値は3.4%で2023年の後半に3ヶ月平均が一時3.9%に近づいている。11/4ブルームバーグ11/5日経
*米失業率が「完全雇用」の水準まで下がると賃金上昇により企業収益が圧迫され、労働力不足で経済成長は頭打ちになる。
*米株が安定的な回復基調になるのは失業率がピークを打って低下し始めた後になる。日経
・米景気の先行指標であるダウ輸送株ラッセル2000はそこそこの高値圏で推移している。
・経済危機をいち早く察知する米低格付け債の利回りは高止まりしている。
・米国で「長短金利の逆転」「社債スプレッド(社債利回りと国債利回りとの差)の拡大」「物価上昇」のうち、2つが起きたら景気後退に陥るとされる。現在は3つ起きている。
*社債スプレッドが1%増加すると株式を7%下落させる効果があるとされる。参照


■その他の株式シグナル
米個人投資家の心理は株価の先行指標になる。個人投資家の心理は株式市場の「逆指標」になるとされ、「悲観」の場合は大底、「楽観」の場合は天井を示唆することが多い。この指標が「異常な弱気」を付けた後の6~12ヶ月は平均以上の株価上昇になりやすい(日経)。現在は「強気」の水準。

ブルベア指数も米個人投資家の心理を示し、株価の先行指標になる。現在は+21%と「強気」の水準。

投資家の強欲と恐怖指数も株価の先行指標になる。この指標が「Extreme Fear(極度の恐怖)」となっている場合は、すでに株価にほぼすべての悪材料が織り込まれていることが多く、株価は好材料に反発しやすい(東洋経済)。現在は76で「Extreme Greed(強欲)」の水準。

米VIX指数(変動率指数、別名「恐怖指数」)も株価の先行指標になる。この指標が低位にある場合は「楽観」を意味し、株価が上昇しやすくなる。しかし、低位の状態が続くと投機的売買が盛んになり、その後株価が急落することが多い。現在のVIX指数は12.45と低位な水準にある。

・1871年以降の米国の平均的な景気後退期間は16.7ヶ月になる。株式は景気に6ヶ月先行するので、景気後退が始まって10ヶ月くらいたった頃が仕込み時になる。日経

・景気後退入りすると最初の数ヶ月間に株価が大きく下落する傾向がある。景気後退入りして最初の4ヶ月間のどこかで株式を買った場合、その後6ヶ月間のリターンはマイナスに終わることが多い。景気後退入りから5~14ヶ月の間に株式を買った場合は、その後6ヶ月の投資リターンはプラスになりやすい。ヴェリタス


■その他の指標
・日経平均の騰落レシオは101とほぼ中立の水準。
・日本株の信用評価損益率は-9.68%と中立の水準。
・先進国の株価チャートでは、NYダウや独DAXなどが新高値を付けており、基調は強い。新興国でもインドSENSEXやブラジルボベスパが最高値を更新している。

長期計画

「平時にじっくり考えて決めておいたことは、後悔する判断にはなりにくい」といわれているので、今のうちから長期的な計画を考えていく。

■今後の景気について
景気循環的にそろそろ景気後退に陥りそう。ただ家計や企業、金融機関の財務状態は比較的良好なため深刻な景気後退に陥る可能性は低い。

*景気循環(債務循環)の基本的なパターンは、不景気 →金融緩和 →景気拡大(債務拡大)・失業率低下 →景気過熱・インフレ過熱 →金融引き締め →景気後退(債務圧縮)の流れになる。

ただ、最近は「景気後退に陥らない」という意見も増えてきた。ゴールドマンサックスを筆頭に、FRB、モルガンスタンレー、ブラックロック、バンクオブアメリカあたりがそのようなことをいっている。日経日経日経日経日経日経

本当にそんなことが可能なのか。景気後退要因と景気浮揚要因を列記して考えみる。

<景気後退要因>
・企業債務はGDP比で過去最高水準まで高まっており、金利も2008年の金融危機前と同水準まで上昇している。いつ資金の逆回転が起きてもおかしくない。一度「債務爆弾」が爆発すると、市場の疑心暗鬼が高まり爆発が連鎖しやすくなる。現在、米国にある大きな債務爆弾は「商業用不動産債務」と「シャドーバンキング債務」になる。
・米欧などの先進国中銀はこの1年半で政策金利を急激に引き上げている。金利高の影響は1年くらいの時差をもって経済に反映される。
・逆イールドが発生している影響で、融資・投資が減っている。銀行の融資態度は景気との相関が強く、過去、融資基準の厳格化が進んだ時期には景気後退が発生している。日経
・米家計のコロナ貯蓄はほぼゼロになっている。10月からは学生ローンの返済が再開されている。
・株式市場のカンフル剤になった「生成AIブーム」が”幻滅期”に入り、いったんしぼむ可能性がある。日経10/12ガートナー
・2008年に起きた金融危機では、中国の大型投資により世界経済は救われたが、今回はそのような支え手がいない。

<景気浮揚要因>
・失業率が低い。米GDPの約7割は個人消費が占めるが、失業率が低水準の状態で維持されると、所得が維持され、消費が落ち込みにくくなる。1960年代以降に8回あった景気後退局面では、失業率が平均で3%強上昇しているが、今後想定される失業率の上昇幅はその半分にも満たない。日経
・米家計のバランスシートは健全。家計の可処分所得に占める元利払いの返済負担比率は低下している。日経
・インフレが鈍化している。コロナ禍で深刻になっていた移民減少や半導体不足などの供給制約が緩和されてきている。インフレ指数の約3割を占める賃料も落ち着き始めている。
・過剰流動性(金余り)が維持されている。コロナ禍で政府がばらまいた資金が市場にまだ高水準で残っている。景気サイクルの終盤にもかかわらず、家計の貯蓄も豊富にある。日経
・現在はサービス業が経済成長を主導しているので、景気が落ち込みにくい。サービス業は投資資金を製造業ほど必要とせず、イノベーションが起こりやすいので、成長力が落ちにくい。
・米国では半導体産業や環境産業(EVなど)などの巨大産業を政府が支援しているので、景気が落ち込みにくい。ヴェリタス
・インドなどの新興国経済が好調。中国はいろいろと問題を指摘されているが、それでも4%超の成長をできる見通し。

<まとめ>
景気後退に陥らないかどうかは微妙なところだが、現時点では深刻な景気後退は避けられそうな感じ。米失業率がポイントになりそうなので、そこを重点的に見ていきたい。


■他の景気後退シナリオ
景気後退シナリオ1:中国のバブル崩壊で景気後退
中国の民間債務は積み上がっており、GDP比220%に達している(日経日経)。景気下振れなどによりいったんデフォルトが起こると、急激な資金の引き上げが発生して連鎖的なデフォルトが起こりやすい。バブルが崩壊すれば独裁政権に責任が集中し、政権が転覆する可能性もある。そうなれば政治的混乱も相まって不況が深刻化する。経済大国・中国の不況が世界に連鎖していく。ただ中国政府には財政・金融政策をする余地があるのでバブルが崩壊する可能性は低い。

中国政府がとれる政策が限られてきた。政府や民間企業の債務残高の合計はGDP比で約300%に膨らんでおり、これまで成長を支えてきた公共支出のさらなる拡大はしにくい。人民元安も進んでおり、中国人民銀行(中央銀行)は景気を支えるための大幅な利下げをしにくくなっている。ヴェリタス日経


景気後退シナリオ2:中国が武力で台湾を併合し、米中戦争が激化して景気後退
中国が2024年頃までに武力で台湾を併合するとの予想がある(日経日経日経日経)。実際にそれが起きれば米中戦争が激化し、世界景気には強い下押し圧力がかかる(日経日経日経)。ただ中国は西側から制裁を受けると食糧危機に陥るリスクが高いので、中国が台湾に侵攻する可能性は低い。戦争を仕掛けるとしたら米国側からになる。日経日経

とはいえ、中国は米国債を売り続けており、「安全資産」である金の保有は増やしている。台湾に侵攻する可能性も少しはあるのかもしれない。ヴェリタス


景気後退シナリオ3:「脱成長」経済システムに転換して景気後退
COP26(第26回国連気候変動枠組条約締約国会議)は「産業革命以前から21世紀末までの気温上昇を1.5度以内に抑えることを目指して、努力を追求することを決意」することで合意したが、現在その実現は絶望的な状況にある。各国の2030年時点での目標がすべて達成されても21世紀末までの気温上昇は2.4度になるとされる。そうなれば海面上昇で沈む島国が出て、山火事や巨大台風などの自然災害が多発し、水不足、食糧危機、感染症のリスクなどが増大する。このような未来が科学的に予測されている現状で対策を取らないという選択肢はない。問題の根幹は現在の「成長型」経済システムにあるので、「脱成長」の経済システムに転換する必要がある(日経ロイター)。ただ、現在の状況で「脱成長」の経済システムに転換すれば景気後退は避けられなくなる。

深刻な景気後退に陥ると、財政問題や福祉問題など目先の深刻な問題が噴出するようになり、それらの問題に対処せざるを得なくなる。そのため経済システムの転換はしばらく先になりそう。環境危機が目先の大問題に発展したときに初めて転換の機運が生まれるのではないかと思う。

2022年は世界各地で記録的な熱波や干ばつが発生した(日経産業ヴェリタス日経日経)。2023年もしかり(日経日経日経日経11/22日経)。英保険仲介大手のエーオンによると22年の気象災害の損失は2990億ドル(約40兆円)に達するという。IPCCは3月に「産業革命前に比べた世界の気温上昇は2030年代初めにも抑制目標の1.5度に達する」と予測している(日経)。経済システム転換の機運は早々に訪れるのかもしれない。

もしくはAI・ロボット社会が温暖化問題の打開策になる可能性もある。温暖化の最大の要因は「人の活動」になるが、AIやロボットが進化・普及すれば、数十億人の「無用者階級」が生まれるともいわれているので(『21 Lessons』)、人が減っていく可能性がある。そうなれば環境負荷の低い社会が実現する。

国連が2022年7月に発表した世界人口推計では「2086年に104億人で人口はピークを迎える」と予測しているが、この数値は2019年の予測「2100年に109億人でピークを迎える」からピーク時期が前倒しされている(日経日経)。AIやロボット、教育(日経)などの影響を考えると、今後もピーク時期の前倒しが続く可能性が高い。


景気後退シナリオ4:災害や紛争で景気後退?
大災害や戦争が起こると景気には強い下押し圧力がかかる。しかし、こうしたことが起こると必ず政府が大規模な支援策を講じるので景気は反発しやすくなる。また一過性の問題が過ぎ去されば景気はV字回復することが多い。一般に、災害や戦争は押し目買いのチャンスといわれている。今回のような新型コロナウイルスのパンデミックも株式市場には追い風で、社会・経済構造の転換や金融緩和などにより、株高が発生しやすくなる。ロイター

ただし、日本で南海トラフ地震と首都圏直下型地震が同時に起きた場合は1000兆円規模の損失が発生するようなので(日経)、景気後退もしくは財政破綻する可能性がある。


■今後の計画
円が125円くらいまで上昇したら、3倍以上の値上がりが見込める海外資産を買っていく。

・米市場に上場している「銅ETF」「銀ETF」「ウランETF」
「グリーン革命」で銅需要は右肩上がりだが、優良鉱山の減少や環境規制などで供給不足に陥りそう(日経日経日経)。銀やウランもグリーン経済などの影響で供給不足に陥りそう(ヴェリタス10/18日経10/21ヴェリタス)。ただ銅は今後2~3年はやや供給過多になりそう(12/22日経)。

・マグニフィセント7+1
マイクロソフト、アップル、アマゾン、アルファベット、メタ、テスラ、エヌヴィディア+セールスフォースはすでに巨大企業だがさらに巨大になりそう。この中で現在一番割安感があるのはアルファベットになる。アルファベットに対する規制リスクは高いが(12/13日経12/19日経)、AIやデータ、自動運転などの巨大市場ではトップクラスにいるので、今後大きな成長が期待できる。

ただAIがこのまま進化していってもいいのかという問題もある。人知を超える知能が誕生すると人間の知的優位は崩れ、人間がゴリラの地位に転落し、文明が崩壊する可能性がある。米オープンAIのサム・アルトマン氏の解任騒動を見る限り、このような危険性を無視した研究開発は止まりそうにない(10/13日経11/28日経12/1日経)。人類滅亡に貢献しそうな会社に投資をするのは倫理的にどうなのかという問題がある。

・ファーストトラスト・クラウド・コンピューティングETF
この「クラウドETF」は、マイクロソフトやアマゾンなどクラウド基盤を提供する銘柄と、クラウド経由でソフトウェアを提供するSaaS銘柄で構成されている。株価は最高値から大きく下落しているが、ビジネスモデルや長期的な見通しは悪くない。日経

・グローバルX・AI & ビッグデータETF
 ロボ・グローバル・ロボティクス&オートメーションETF
 ファーストトラスト・ナスダック・サイバーセキュリティーETF
 iシェアーズ・半導体ETF
AI・ロボット社会ではAI企業、ロボット企業、セキュリティー企業、半導体企業の力強い成長が期待できる。

・メルカドリブレ
ナスダックに上場している南米最大のeコマース企業。ビジネスモデルはAmazonのマーケットプレイスに近い。もう一つ手がける事業がフィンテック事業。南米は欧米などと異なり、銀行口座やクレジットカードを保有してない利用者が多い。ラテンアメリカ市場ではオンラインで販売した際に支払処理をどのように行うかが大きな問題となっている。メルカドリブレはそれぞれの国情に併せてQRコードなどを活用した様々な決済サービスを提供している。ラテンアメリカはインターネットの普及自体が遅れているため先進国と比べて出遅れ感があり、その分成長余地が残されている。問題はカントリーリスクになる。サービスを提供している18カ国のうち、アルゼンチン、ベネズエラ、ニカラグアのリスク評価は最低ランクで、最大の売上を稼ぐブラジルも下から3番目の評価になる。ビジネス自体は順調であっても為替レートが大幅に低下すればドル建ての業績は悪化してしまう。週刊エコノミスト

・SBI・インベスコQQQ・NASDAQ100インデックス・ファンド 手数料0.23%
 三菱UFJ-eMAXIS Slim 全世界株式 手数料0.05%
 三菱UFJ-eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)手数料0.09%
つみたてNISAで使えそうな投信。インベスコQQQは手数料が他よりも少し高いが、成長力を加味すれば大した問題ではなさそう。上記投信3つ買うのも悪くなさそう。つみたてNISAは米株が暴落したときに始める予定。