2019年8月2日金曜日

売買チェック

7月は売買なし。

持ち株チェック

保有比率の高い順に見ていく。

■弁護士ドットコム
基本シナリオ:法律分野をITで変革し最強のプラットフォーマーに
いつもながらの好決算。人員が急増しているようだが、全部門が順調に伸びているので、うまく回っている様子。あっぱれな感じ。今後3年の予想売上高成長率は年率35%程度。現在の企業価値は将来の予想利益などを勘案すると800~1300億円(株価3600~5800円)くらいか。2030年の予想時価総額は1兆円。

■シンクロ・フード
基本シナリオ:市場独占型プラットフォーマーではないので利益成長は厳しそう
どうしてここは決算動画の配信をやめてしまったのだろうか。「誰も見てない」ためなのかもしれないが、「事業計画に不透明感が出始めた」という理由も考えられる。ここの経営者には渋めな印象を抱いていたが、見誤っていたのかもしれない。

それと5月にナンバー2だった大須賀氏が辞めたが、辞めた直後に持ち株を売却または資産管理会社に移転して保有比率を売買報告義務のない4%台に落としていることがわかった。これらの動きは業績頭打ちを示唆する非常にわかりやすいものなので、株価の天井感がますます強まってしまった。

先月「この会社の持つ市場独占型プラットフォームはM&Aプラットフォーム」みたいなことを書いたが、M&A仲介大手のストライクが他のM&A仲介会社30社と協力して、M&Aプラットフォームをつくることがわかった(日経7/10)。このプラットフォームは飲食店に特化しているわけではいが、その道の専門家たちが運営するプラットフォームなので競争力がありそう。

今後3年の予想売上高成長率は年率10~20%。営業利益成長率は年率0~5%。2019年の予想平均株価は600円。変動率は±20%。
業績に最もインパクトのある求人広告掲載数を記録していく。関東 2449(2179)
関西 694(611)  東海 311(302)  九州 115(135)  北海道・東北 84(195) 総計 3653(3422)
*( )内は前年同月
市場独占型の求人プラットフォーマー・インディードの掲載数も記録していく。東京都の飲食店 90331(90003) 大阪府の飲食店 37117(36775)
*( )内は先月

■ペプチドリーム
基本シナリオ:ペプチド創薬で最強のプラットフォーマーに
7月にペプチド薬の原薬を製造するペプチスターが竣工した。徐々に新薬上市の”時”が近づいているように感じる。上市は早くて2023年頃だろうか。今後3年の売上高成長率は年率20%程度。現在の企業価値は将来の予想利益などを勘案すると6000~8000億円(株価4800~6500円)くらいか。2030年の予想時価総額は5兆円。

■朝日ネット
基本シナリオ:ストックビジネスで地味に成長&株主還元
『データ・ドリブン・エコノミー』(森川博之、ダイヤモンド出版)の書評によると、これからはAIとIOTの爆発的な普及により本格的なデジタル革命時代が到来するという。もしこれが実現するとすればAIやIOTを手がける企業は隆盛を極めていくことになりそうだが、「ゴールドラッシュで儲けた人はいない」というように、利益面では厳しい展開になるかもしれない。19世紀のゴールドラッシュで大金を得たのは金脈を探した人ではなく、ジーンズのリーバイスのようにその周辺のビジネスを手がけた人だと言われているので、IOTを裏で支える朝日ネットのような会社にうまみが出てくるのかもしれない。チャートは良好。あとは少し派手な決算が出てくれればもう一段上がれそうなのだが・・。今後3年の予想売上高成長率は年率6%程度でEPS成長率は年率15%程度。2019年の予想平均株価は650円(変動率±20%)。

■厳選ジャパン(投資信託)
基本シナリオ:ビッグチェンジ銘柄投資でテンバガー達成
足下では若干調整しているが、この投信は第4次産業革命銘柄群に張っているので、長期的にはそれほど問題ないのかなと思う。今年の予想基準価額は11000円(変動率20%)。

■日進工具
基本シナリオ:ニッチトップの極細ドリルで市場開拓
先日の決算は会社予想よりやや下振れ。この会社の業績予想は非常に保守的なようなので大幅な下方修正は避けられそうだが、それでも通期では若干下振れて終わりそう。問題は来期以降になる。リーマンショック後には売上が30%程度落ち込んでいるので、今回も世界景気後退の影響は避けられそうにない。ただ株価はすでに高値から40%以上下落しているので、もうすでにそこらへんのことは織り込まれているのかもしれない。

長期で考えた場合はそれほど問題なさそう。今後はデジタル社会への移行に伴い電子精密機器がどんどん増えていきそうなので、微細加工に必要な極細ドリルの需要も高まっていきそう。ただ7/29の日経に極小穴を開けるのはレーザーの方が適しており、その開発が進んでいる、とあったので、レーザーが手強い競合になりつつあるのかもしれない(日進工具の極細ドリルは6ミリ以下で、レーザーは1ミリ以下がターゲットのようなので棲み分けはできているのかもしれない)。ここらへんのことは気が向いたら調べてみようと思う。2019年の予想平均株価は2400円(変動率20%)。今後3年の売上高成長率は年率0%。

■パーク24
基本シナリオ:最強のカーシェア・プラットフォーマーに。海外の「空港」駐車場事業は効率化しにくいので期待薄。
投資家の“懸念”に応えるためか、7月の終わりに「海外駐車場事業説明会」を開いたらしい。こういう気の利いた対応には好感が持てる。海外事業計画は非常にシンプルなもののようなので、もしかしたら収益を拡大させていけるのかもしれない。今後3年の売上高成長率は年率5%で利益成長率も5%程度。2019年の予想平均株価は2400円(変動率20%)。

■コンテック
基本シナリオ:物流テック向け機器で業績拡大
世界景気が減速気味なので業績にはあまり期待は持てないが、かといって悲観するほどでもないという感じ。ただ8/1の日経に親会社のダイフクについて「価格競争が激しくなり、採算も悪化」とあったのが少し気がかり。今後3年の売上高成長率は年率0%程度。今後3年の予想平均株価は1400円(変動率20%)。

■今後の計画
市場が反発したときに売りたい銘柄は、米ドル、日経レバETF、WTI原油ETF、シンクロ・フード、コンテック、日進工具 。
朝日ネット、パーク24は考え中。
弁護士ドットコム、ペプチドリーム、厳選ジャパンは長期で保有する予定。ただし弁護士ドットコムとペプチドリームは指標的にかなり割高なので、極端なバブル崩壊が起こりそうになってきたらいくらか売却していく(底打ちしたら買い戻す)。

ステムリムは上場後に大きく売り込まれたら少し買おうかなと思う。

マクロ系金融資産チェック

市場の仕組みを理解しやすい順番で見ていく。

■米長期金利 (保有資産:米国国債4倍ベア7)
基本シナリオ:2019年は1.5%~2.5%の間で推移

長期金利に与える影響が大きい要因順に見ていく。
・経済成長率+インフレ率↓
米長期金利の基準値は経済成長率+インフレ率になるが、今後は両者とも低下傾向になる。米国の2018年の経済成長率は2.9%、2019年は(予)2.6%、2020年は(予)1.9%で、インフレ率は2018年が2.4%、2019年は(予)2.0%、2020年は(予)2.7%になる。貿易戦争が激化した場合、経済成長率は下振れし、物価には上昇圧力がかかる。
*数値はIMF予想

・金融政策↑
インフレ率が2%を下回り始めているので、FRBは7月に金融緩和に転換した。現在の政策金利は2.00-2.25%だが、政策金利の先行指標である米2年物国債利回りは1.72%まで低下しているので、利下げはもう少し続くかもしれない。ただ今回の利下げは将来の景気減速に備えた予防的な利下げなので、景気浮揚効果により長期金利には上昇圧力がかかる。

FRBは長期金利のコントロールにも触れ出したが、もしそれを実行すれば長期金利には明確な天井ができる。

・リスクオン、オフ↓
景気後退懸念や米中貿易摩擦が落ち着きつつあったが、米中貿易摩擦が再燃して再びリスクオフになりつつある。

・財政赤字の拡大↑
米政府は財政支出を拡大しており、今後も年金や医療、福祉などの社会保障費が税収の伸びを上回って増加していくので、長期的に財政赤字の拡大は続きそう。2018年の米国の財政赤字額は100兆円を超えており、この水準は当面続く見込み。

・米国債の人気低下↑
米10年国債の利回りは先進国の中では相対的に高いので海外から買われやすいが、足下では為替ヘッジコスト(2.9%)が米長期金利(1.90%)を上回っているので、海外からの米国債の購入は減少している。双子の赤字(貿易赤字や財政赤字)の拡大も人気低下の要因になる。
*ヘッジコストとは外貨の短期金利と運用元通貨の短期金利の差から生じるコスト

・トランプ大統領の介入↓
低金利好きのトランプ大統領はFRBへの口先介入のみならず、FRBへ緩和派の人間を送り込むなどして金融緩和圧力をかけている。これは短期的には金利に低下圧力がかかるが、中長期では金融市場に歪み(バブル)が生じ金利に上昇圧力がかかる。

・資金需要の低下↓
第4次産業革命の主役はデジタル企業になるが、デジタル企業は設備投資のための資金需要がそれほど多くない。少子高齢化で住宅ローンなどの借り入れも減少している。

・潜在成長率の低下↓
生産性の伸び悩みで潜在成長率が長期的に低下傾向にある。

投機筋の持ち高
足下では売り越しが微増傾向にあるので、投機筋は長期金利が下がるとみている。

・チャート→
短期では下げ止まってないのでまだ下がりそう。長期チャートではサポートラインを下抜けて下降トレンドになっている。


■WTI原油 (保有資産:WTI原油価格連動型上場投信)
基本シナリオ:45ドルから70ドルの間で推移

原油価格に与える影響が大きい要因順に見ていく。
・産油国の採算ライン→
サウジが財政均衡に必要な水準は1バレル80ドル、アラブ首長国連邦は60ドル、ロシアは45ドル、米企業の採算ラインは45ドルになる。

・トランプ大統領の介入↓
トランプ大統領は低インフレ(低金利)と株高を切望しているので、原油価格の上がりにくい政策をとる。トランプ大統領の介入ラインはおそらく65ドルあたりになる。

・需要↓
景気減速により石油需要は年初の見込みより下振れているようだが、景気減速は比較的穏やかなものになりそうなので需要が急減することはなさそう。

中長期的には景気後退や温暖化対策(クリーンエネルギーへのシフト)など需要を抑制する要因もあるが、人口増や世界経済の成長に伴い原油消費量は増加基調になる。プラスチック製品等の撲滅運動も始まりつつあるが、石油化学製品を代替品に置き換えるには少なくともあと数十年はかかると言われている。IEA(国際エネルギー機関)によると石油需要は2040年まで拡大を続ける見通し。

・供給↑
イランやベネズエラの供給が減り、OPECとロシアが協調減産してるので足下で供給はしまりつつある。しかしOPECは世界景気後退を懸念して2020年3月末まで協調減産を続けることに決めた。ロシアはシェア低下を気にして減産はやめるといっていたが、相場急落リスクに備え協調減産に合意。

WTI原油価格への影響が大きい米原油在庫も急速にしまりつつある。
*米原油在庫は市場予想からブレやすいが、これは米国のシェールオイルの生産動向を正確に把握しきれてないためだと言われている。

長期的には新規の油田開発が、原油価格の停滞や脱化石燃料への投資家圧力などにより停滞気味なので、将来の供給不安は残る。
*現在ESG(環境、社会、企業統治)の観点を考慮しない企業は評価しないという流れになってきている。地球温暖化につながる化石燃料は環境リスクが高く、3月には世界最大の政府系ファンド・ノルウェー政府年金基金が石油・ガス関連株の一部を投資先から外すという方針を示している。7月にはEUの政策金融機関、欧州投資銀行も化石燃料に関連する事業への新規融資を2020年までにやめるという方針を示している。

・産油国で不測の事態が起こる↑
米国は1月にベネズエラ国営石油会社への制裁を決定した。ベネズエラの産油量は投資不足などもあり著しく低下している。

リビアで内戦が激化している。生産設備の被害や輸送の寸断で一気に生産量が落ちる可能性がある。

米国は5月にイラン産原油を全面禁輸することに決めた。イランは対抗措置として原油輸送の大動脈であるホルムズ海峡(世界の石油タンカーの2割が通過)を閉鎖すると警告していたが、5月に入りさっそく通過するタンカーなどへの攻撃を始めた。その後もゴタゴタが続いている。

・リスクオン、オフ↓
原油は株式と同じリスク資産になる。今は米中貿易摩擦再燃でリスクオフになりつつある。

投機筋の持ち高
6月の始めあたりから買い越しが微増傾向。投機筋はもう少し上がるとみている。

・為替↑
原油はドル建てのためドル高になると原油価格に低下圧力がかかるが、ドルはほぼ頭打ちの状態なので、今後は原油価格に徐々に上昇圧力がかかってきそう。ドル安になると新興国の輸入が増えやすくなるのでこれもまた上昇圧力になる。
(WTI原油価格連動型上場投信においては、ドル安円高が進むと基準価額が下がる)

・船舶の燃料規制↑
2020年から船舶燃料油の硫黄分濃度規制がはじまる。硫黄分の少ないWTI原油や北海ブレントには5ドル程度の価格上昇圧力がかかると言われている。

・チャート→
どっちつかずな感じ。しばらく55~65ドルの間で動きそう。


■ドル円 (保有資産:レバ10倍でドル買い)
基本シナリオ:2019年は102円から112円の間で推移

為替に与える影響が大きい要因順に見ていく。
・日米の金融政策↓(↓は円高方向)
ドル円レートの基準値は購買力平価になるが、今は購買力平価(96円)から円安方向に振れている。円安方向に振れている最大の要因は日銀の金融緩和になるが、その緩和が限界に近づきつつある。一方で米国は金融引き締めから緩和に転じつつあるので、徐々に円高圧力が高まりそう。6/26の日経によると、FRBが0.5%の利下げをすると日経均衡為替レートは105.9円が妥当な水準になるという。FRBは7月に利下げしたが、今回の利下げは「下振れリスクに対する保険」を意図したものだと説明しているので、緩和速度は穏やかなものになりそう。

・リスクオン、オフ↓
米中貿易戦争再発でリスクオフになりつつある。

FRBは7月に利下げしたが、今回の利下げは景気後退に陥ってからの利下げではなく、将来の景気減速に備えた予防的な利下げになるので、実質金利の低下から短中期的にはリスクオンの要因になる。

*リスクオフになった場合のドル円の基本的な動きついて。まず条件反射的に円が買われる。そこからさらに不透明感が強まればキャリー取引の巻き戻し(円の買い戻し)が起こる。本格的なリスクオフまで発展すると対外資産の引き上げ(投資撤退)とその思惑による円買いが起こる。
 *日本が持つ対外純資産は世界最大の340兆円になるが、そのうち資産の引き上げが起こりやすい証券投資の割合は3割程度になる。
 *キャリー取引とは金利差を狙った取引。市場環境が落ち着くと低利通貨を売り高利通貨を買って金利差で収益を得る取引が盛んになる。

・投機筋の持ち高↑(「米国商品先物取引委員会 円 投機的ネットポジション」で検索)
足下では投機筋のポジションはほぼ±0になっている。円の買い戻しはほぼ一巡しているので、これ以上の円高は進みにくそう。

・日本の投資家の対外証券投資↑
日本の債券投資家は国内の超低金利で運用難に陥っているので、為替差損回避(ヘッジ)付きでも高い運用利回りが見込める海外債権などを買っている。国内の超低金利は当面続きそうなので、今後も対外証券を積み増していく可能性が高い。
*足下では世界的な金利低下により外債の利回りが下がっているので外債購入が鈍りつつある。

日本の対外証券投資は年によってばらつきがあるが、平均すると年10兆円程度の買い越しになる。今後は異次元緩和前の比較的高い利回りで購入した債権の償還が始まるが、戻ってきたお金は国内債への再投資ではなく、外債に回る可能性が高い。2019年の償還額は47兆円になる。
*対外証券投資のうち外貨建て(円売り)は7割程度になる。

・経常収支→
中期的には輸入額の4分の1(20兆円)を占める原油・天然ガス価格がやや高止まりしているので貿易収支が徐々に悪化していきそう。長期的にもスマホや医薬品などの輸入が増加傾向で、生産の海外移転などにより輸出の伸びが鈍化傾向なので貿易収支は悪化していきそう。2018年の貿易黒字額は1兆円程度になる。

(貿易収支を含む)経常収支は20兆円程度の黒字を維持しているが、この黒字の大半は過去に行った投資のリターンである所得収支が占めている。所得収支の黒字は貿易黒字と違い、半分程度が円に換えず現地で再投資されるため円買いフローは半分(10兆円)程度しか生まれない。

・日本企業の対外直接投資↓
国内需要はほぼ頭打ちなので、日本企業の対外直接投資は今後も増えていきそう。ただ2018年の対外直接投資は15兆円程度と高水準だったが、日本企業の海外M&Aに1年半先行する世界製造業PMI(購買担当者景気指数)は2017年12月にピークアウトしているので、日本企業による海外M&Aもいったんピークアウトしそう。米中貿易摩擦による貿易環境の不透明感も対外投資減速の一因になる。
*対外直接投資額のうち外貨建て(円売り)は半分程度。

・日米の経済成長力↑
資金は景気の強い国へ流れ、その国の株式や不動産などの資産価格を押し上げるが、基本的には日本経済よりも米国経済のほうが景気が強いのでドルが買われやすい。ただ米国経済はすでにピークアウトしており両国の成長力格差は縮小しつつある。

購買力平価
ドル円の購買力平価は96円程度なので、円の下限は75円、上限は120円程度になる。米国の方が慢性的にインフレ率が高いので、購買力平価は長期的な円高傾向にあるが、米国のインフレ率は年々低下して日本のインフレ率との差が縮まってきているので、購買力平価の下降曲線はなだらかになってきている。

・米財政赤字の拡大↓
米国の財政赤字は年100兆円を超え始めており、それが50兆円の経常赤字と相まってドル離れが進みそう。近い将来、米国債を消化するために大量のドルが発行される可能性が高い。

・日本の財政赤字の拡大↑
日本の累積財政赤字はGDP比200%を超えており、今後も社会保障費の増大により財政赤字は拡大していく可能性が高いので、円離れがすすみそう。日本も米国同様、日本国債を消化するために大量の円が発行される可能性が高い。

・チャート→
6月に107円で底打ちして、25日線を越えてきてはいたが、米中貿易戦争再発により25日線を下抜け。大陰線が出てるので下降トレンドが再開するかもしれない。
<3ヶ月チャート>


中長期的には三角持ち合いを形成しており、長期チャートではデッドクロスが完成したので、円高方向に大きく振れていきそう。


■日経平均 (保有資産:日経レバETF)
基本シナリオ:2019年は19000から24000のボックス圏で推移
日経平均に与える影響が大きい要因順に見ていく。
・需給↑
日銀が日本株を買いまくっているので日本株は下がりにくい。日銀の買越額は年間6兆円規模になるが、他の投資主体の売り玉はつきつつあるので(詳細は「長期計画チェック」)、売り玉はすべて日銀が吸収してくれそう。

 <2019年の主な投資主体の予想売買動向>
 日本銀行、金融政策により3~6兆円の買い越し。現状は2兆7千億円の買い越し。
 事業法人、自社株買いにより3~4兆円の買い越し。現状は2兆3千億円の買い越し。
 海外投資家、世界景気後退懸念により1~3 兆円の売り越し。現状は1兆9千億円の売り越し。
 個人投資家、相続に伴う換金売りで1~3兆円の売り越し。現状は1兆6千億円の売り越し。

・EPS(1株利益)→
日経平均株価は基本的にEPS(1株利益)× PER(人気度)で決まるが、2018年のEPSは-3%、2019年は(予)0%、2020年も(予)0%になる。
ーーーーー
EPSに影響を与える外部要因についても見ていく。
・為替↓
今後為替は中長期的に円高に振れていきそうなので、海外で6割を稼ぐ日本企業の利益は下振れしていきそう。

・海外景気↑
日本企業は海外で6割を稼いでいるので、海外景気の影響を大きく受けるが、IMFの予想では2019年、2020年の世界景気はそこそこ堅調なようなので、業績もそこそこ堅調に推移しそう。

・失業率↓
失業率が最低水準まで低下すると賃金が上昇して企業収益が圧迫され、労働量力不足で成長が頭打ちになるが、現在の失業率は最低水準(2.3%)にある。

・減価償却費や資源価格(原材料費)↓
景気拡大期の終盤は減価償却費や資源価格(原材料費)が上昇して利益が圧迫される。

・金融政策→
景気拡大期の終盤は上昇した金利により企業の利益や資金調達環境は悪化するが、今回は金融緩和が続いているのでほとんど影響なさそう。
ーーーーー

・PER(人気度、リスク選好度)→
米中貿易摩擦や金融政策が落ち着きつつあり市場もいったん落ち着きそうだったが、米中貿易摩擦再燃により再び不安定になりつつある。日経平均のPERは基本的に11~16くらいの間で推移するが、現在のPERは12.09になる。リスクオフやEPS下振れ懸念があるので、このくらいの水準が妥当なのかもしれない。

・金余り↑
市場にお金があふれると資産価格は上昇するが、今後も金融緩和は続きそうなので株価は下落しにくい。

・利回り↑
日本株式の益回りは8%、配当利回り2%超と、日本国債の利回り0%より高いので、株式に資金が流れやすい。

投機筋の持ち高
売り越しが減少しているので、日本株はいったん反発しそう。

裁定買い残高は7月に4000億円まで減少しており、裁定売り残との逆転現象も起きているので、需給的にも反発しそう。
*裁定買い残高が3000~6000億円まで減少すると「売られすぎ」、3.5兆~4兆まで増加すると「買われすぎ」の水準になる。平時では通常、売り残よりも買い残が多い。

・チャート→
24000円でダブルトップを形成しており、19000円で累積売買高のピークが来ているので、当面この範囲内で動きそう。

短期的には下値を切り上げながら移動平均線が収斂しているのでいったん反発しそうに見える。
<1年チャート>

市場環境チェック

株式市場への影響が大きい企業業績、金利、金融政策などをチェックしていく。

■ファンダメンタルズ
<EPS成長率>
・世界株式の2018年のEPS増加率は15%、2019年は8%。
・米国株式の2018年のEPS増加率は22%、2019年は4%。
・欧州株式の2018年のEPS増加率は5%、2019年は7%。
・日本株式の2018年のEPS増加率は-3%、2019年は0%。
参照:2019/5/18日経など
→問題なし

<経済成長率>
・世界の2018年の成長率は3.7%、2019年は3.2%、2020年は3.5%。
・米国の2018年の成長率は2.9%、2019年は2.6%、2020年は1.9%。
・中国の2018年の成長率は6.6%、2019年は6.2%、2020年は6.0%。
・ユーロ圏の2018年の成長率は2.2%、2019年は1.3%、2020年は1.6%。
・日本の2018年の成長率は1.1%、2019年は0.9%、2020年は0.4%。
*IMFの予想。参照:2019/07/24日経
*IMFは4期連続で下方修正している。
*IMFは「貿易政策が解決しなければさらに下振れする」と言っている。
*世界の経済成長率が3%を下回ると不況感が強まるとされる。

2017年あたりから世界同時成長が起きており、このような状態は通常2,3年続くという。ただしこのような世界同時成長は景気サイクルの終盤に見られる特徴的な現象とも言われている。米ピムコは2019年に世界経済の同時減速が始まると予想している。

世界同時成長は海外で6割を稼ぐ日本企業には追い風になる。しかしその反面、海外の景気後退期は日本企業にとって強い向かい風になる。このような経済構造に円高効果が加わり、日本株は米国株の1.5倍くらい下落する。
→問題なし

<インフレ>
・米国の予想インフレ率は2018年度が2.4%、2019年は2.00%、2020年は2.73%
・欧州の予想インフレ率は2018年度が1.5%、2019年は1.5%?、2020年は1.8%?
・日本の予想インフレ率は2018年度が0.98%、2019年は1.07%、2020年は1.54%
*IMFの予想。参照:世界経済のネタ帳

中央銀行に課せられた最大の任務は「物価に安定」になるが、中央銀行は経済にとってベストなインフレ率を2%としており、その水準で物価を安定させることを目標にしている。中央銀行が行う金融政策はインフレ率2%を基準に決められており、それより低ければ金融緩和政策、高ければ金融引き締め政策を行うことになる。先進国のインフレ率は長期的に低下傾向で、足下では2%を下回りはじめているので、今後長期で金融緩和が続く可能性が高い。
→問題なし

<金利>
・米国の2年金利は1.72%で10年金利は1.90%。
・日本の2年金利は-0.20%で10年金利は-0.16%。
*米国の短期金利が長期金利を上回ると景気後退に陥るといわれるが、現在の長短金利差は0.18%。
*実質長期金利(名目長期金利-インフレ率)が-0.1%まで低下しているので、米株には割安感が出ている。
→問題なし

<債務>
・米国の民間債務残高はGDP比150%で横ばい傾向。
・日本の民間債務残高はGDP比150%で横ばい傾向。
・中国の企業・家計債務残高はGDP比210%まで上昇しており、足下でも微増傾向。日本のバブル期のピークは220%になる。
・新興国の民間債務残高はGDP比140%で現在も微増傾向。
・過去10年で各国政府は債務を大きく膨らませている。
*米企業の債務残高は2011年のGDP比65%から過去最高の73%まで上昇している。一方で米家計の債務残高は2007年のGDP比97%から76%まで低下している。2019/05/23日経
  *今のように金利が経済成長率を下回っている状態が続くと企業は財務レバレッジを効かすだけで(低金利で社債を発行して自社株買いをするなど)で利益を手にできるので債務が膨張しやすい。
 *先進国では超低金利が続いているので債務拡大はまだ続きそう。
*米企業の対GDP債務残高比率は増加比率の移動平均線から3%超乖離しているが、これは直近3回の債務バブルのピーク時とほぼ同じ水準になる。参照
*中国の企業・家計債務は危険水準に達しているが、2018年に習政権は経済の筆頭課題に金融危機封じ込めを据えていたので(現在は景気重視に転換)、しばらくは心配しなくてもよさそう。
*中国の企業債務は積み上がっているが、その大半は国営企業によるものなので、計画に沿って徐々に削減していけそう。
*中国は可処分所得に対する家計債務の比率が日本のバブル期並の120%まで上昇しているので、今後深刻な消費不振に陥る可能性が高い。2019/07/28日経
*新興国は米金融引き締めなどで通貨安・高インフレ・高金利になり、債務圧縮局面に入りつつあったが、米国が金融緩和に転じ、インフレ率は中銀のターゲット内に収まっているので落ち着きつつある。
→問題あり

<金融政策>
・米国は7月に金融緩和に転じた。
・日本は金融緩和を継続しているが限界に近づきつつある。日銀によると2020年4月頃までは現状の緩和水準を維持し、その後も長期で緩和を続けるとのこと。
・欧州も9月に金融緩和に転じそう。
・新興国も米金融緩和を受け緩和に転じつつある。
*金融緩和を長期で続けていくと、従来ならインフレが過熱して、それが金融緩和の歯止めになっていたが今回はそれがない。金融緩和(景気刺激策)が長期化した場合のメリットは失業率の低下やデフレ阻止になるが、デメリットは債務の増加や産業の新陳代謝の低下になる。
*金融緩和が長期化すると産業の新陳代謝が進まず(ゾンビ企業が存続する)、潜在成長率がさらに落ちていく。潜在成長率が落ちるとインフレがさらに起こりにくくなる。現在中銀がインフレを起こそうと行っている金融緩和は長期的にはインフレが起こりにくい経済構造を作るという一面もある。
*米国ではトランプ大統領がFRBに金融緩和圧力をかけているが、これを続けているとジョンソン大統領やレーガン大統領のときの二の舞になる可能性がある。ジョンソン大統領のときはニクソンショック、レーガン大統領のときはプラザ合意というドルショックが起きている。
*日本はこのまま金融緩和を続けると、金融仲介機能を持つ銀行の収益が落ち、金融政策が円滑に機能しなくなる恐れがある。
*日本は現在、財政赤字拡大を容認する現代貨幣理論(MMT)のような金融・財政政策をしているが、歴史的には中銀の貨幣発行によって財政赤字の穴埋めをしてきた国は、インフレを制御できなくなり、投資や成長が著しく落ち込むという結果に終わっている。
 *MMTとは自国通貨で借金をできる国は破産することはなく、高インフレを招かない限りは財政支出のしすぎを心配しなくてよいという政策。提唱者のケルトン教授によれば、財政支出を拡大してインフラや教育、研究開発に投資すれば長期的には国の潜在成長率を高めることができ、財政赤字を縮小できるという。高インフレ問題についてはインフレ防止条項を入れておけば問題ないとのこと。
  *MMTと日本の金融・財政政策は若干異なる。MMTは財政再建をそれほど重視せず、中央銀行を政府の支配下に置くが、日本の政策の場合は、政府は一応は財政再建を目指し、中央銀行は政府から独立している。
*日本や米国は慢性的な財政赤字体質なので、将来的にはMMTのような金融・財政政策に移行せざるを得ないように思う。
*先進国の金融政策はほぼ限界にきているので、次の景気後退時の景気刺激策は財政政策しかなさそう。この財政支出を中銀がファイナンスする形になるのかもしれない。
→問題なし

<政治>
・日本は安定。19年の消費税引き上げは株式市場の鬼門になると思っていたが、政府の大盤振る舞い(支援給付金、軽減税率、教育無償化、補正予算)や携帯料金引き下げなどにより、消費増税の負担を相殺・超過しそうなので問題なさそう。
・海外は不安定。米国と中国の覇権争いは、ハイテク・軍事分野を中心に今後長期にわたり続きそう。
 *米中貿易戦争が長期化・激化すると、貿易環境に強い不透明感が生じ世界的に投資が落ち込んでいく。米中貿易摩擦の最大の敗者は、貿易依存度が高い日本やアジア、ユーロ圏とも言われている。
・英国のEU離脱の条件は、EUが新たな離脱国が出てくるのをけん制するため、英国にとって厳しいものになりそう。英国は国民投票を実施し、EU残留という形になるのかもしれない。ただ英国首相に強行離脱派のジョンソン氏が就いてしまったので、不透明感が強まりはじめた。・・しかしまたコメディアン風の政治家がトップに就いてしまったが、ポピュリズムにはこういう空気を読むのがうまい場当たり的な人が向いているのだろうか。
・英国のグダグダ感が効いてか、EU域内のEU離脱派・懐疑派の勢いは当初よりも弱まっているという。しかし失業率・成長率の悪化や所得格差の拡大、価値観の分断を背景にしたポピュリズムは今後も長期にわたり続きそう。
→問題あり

<その他の景気後退シグナル>
・過去の景気後退期はすべて米国の需給ギャップがプラスに転じた後に始まっているが、足下ではすでにプラスに転じている。
・米景気の先行指標である米住宅着工件数は今のところまだ辛うじて上昇トレンドを保っている。
・米景気の先行指標である米ISM製造業景況指数は51.2と適温圏内(50~55)で落ち着いている。
・失業率が最低水準まで低下すると企業収益が圧迫され、労働力不足で経済成長は頭打ちになるが、米国の失業率は歴史的に低い水準(3.7%)にある。米国では失業率が前四半期と比べて0.25%上がると景気後退に陥ると言われているが、現在はまだ低下している。
・景気拡大期の終盤は、金余りと鈍化した成長率を引き上げるため巨大M&Aが盛んになるが、今がまさにその状態。*高値で行われたM&Aは景気後退期にのれんで巨額の減損が発生しやすい。
・世界景気の先行指標である銅価格は景気がピークアウトするかどうかの分岐点にある。
・世界景気を半年先取りするOECD景気先行指数は低下が続いており、節目の100を下回っているが、この指数よりさらに先行性のあるOECD中国景気先行指数や中国製造業PMI、バルチック海運指数は底入れしつつある。
・経済危機をいち早く察知する米低格付け債の利回りは「問題なし」の水準で落ち着いている。
・米国で「長短金利の逆転」「社債スプレッド(社債利回りと国債利回りとの差)の拡大」「インフレ高進」のうち、2つが起きたら景気後退に陥るといわれるが、今はまだ「長短金利の逆転」だけ。
・起こり得ない衝撃的な事象の発生を織り込むSKEW指数(ブラックスワン指数)は現在117と低位で推移している。
・FRBの利上げ局面における株式相場は「1,金融緩和の終了を嫌気した調整」→「2,利上げ中盤にかけての良好なファンダメンタルズを好感した上昇」→「3,利上げ終盤の過度な引き締めを懸念した反落」→「4,利上げの打ち止めを好感した反発」→「5,ファンダメンタルズの悪化を織り込んだ大幅な下落」という経過をたどることが多いが、今は「4,利上げ打ち止めを好感した反発」局面に入りつつあるので、いったん上がりそう。
→問題なし

■テクニカル
・チャート
日経平均株価の出来高が徐々に減少している。これは「先高感がない」というのが主な理由だとは思うが、日銀がファンダメンタルズを無視して買いまくっている(個人の買い場を奪っている)ことも影響しているように思う。出来高は市場の「エネルギー」を表すというが、この調子でいくと東証には「死」が訪れるのかもしれない。
<日経平均の10年チャート>

日本と似た産業構造で先高感もそれほどないドイツ市場は出来高が落ちてない。
<独DAX30指数>
→問題なし

・ディストリビューション・デー(機関投資家の売り抜け日)
日経平均 8日
NYダウ 5日
ナスダック 5日
→問題あり

・騰落レシオ
日経平均 97
NYダウ 116
ナスダック ?
→問題なし

・信用評価損益率
ー14.41 %
→問題なし。

■まとめ
問題なし9件、問題あり3件、中期的な危険度:40%、1年以内に米国が景気後退に陥る確率:45%、投資判断:様子見

基本的には金融相場(業績停滞×金融緩和)が続くとは思うが、米中貿易摩擦再燃によりやや不安定な展開になりそう。

長期計画チェック

「平時にじっくり考えて決めておいたことは、後悔する判断にはなりにくい」いわれているので、今のうちから長期的な計画を考えていく。

現時点の予想では2021年頃に景気後退期に入るとみている。ただ今回の景気拡大期は低成長・低金利の中で浅く長いものだったので、景気後退期も浅く長いものになりそう。・・もしくは、今後はデジタル革命と低金利が続きそうなので、浅い景気後退期の後に穏やかな景気拡大期が長期で続く、という展開になるかもしれない。

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過去の景気後退に共通するパターン:米国の長短金利が逆転した後、もしくは利上げ停止後、1,2年してから日本株が50%超下落。

2018年12月に長短金利が逆転し、利上げも停止されたので、今後1,2年以内に景気後退に陥る可能性が高まってきた。ただ今回の利上げ停止ポイントは過去の水準(5%超)と比べてだいぶ低く(2.5%)なりそうなので、景気後退は比較的穏やかなものになるかもしれない。
*政策金利2.5%とは、景気をふかしも冷やしもしない中立金利(2.75%)よりも低く、実質政策金利(名目政策金利-インフレ率)も0.5%と低いため、かなり緩和的な水準になる。
*今回の長短金利の逆転は従来のものとは成立パターンが異なる。過去のパターンは高インフレによって押し上げられた短期金利が長期金利を上抜いているが、今回は低インフレ下でFRBの利上げ停止によって下がった長期金利が短期金利を下抜いている。

以下、景気後退や株価下落を穏やかにする要因を列記していく。
・リーマンショックの記憶がまだ残っているため、皆慎重になっている。
・バブルは借金をして資産を買いまくることによって生じるが、先進国では今回そのような現象はあまり見られない・・と言われていたが実際は超低金利が長期にわたり続いているので、順調にバブルは醸成されていたもよう。ただこのバブルは主に債券市場で起きており、金利上昇や景気後退が起こらない限りは破裂しにくい。
・先進国の金融機関の財務状態は比較的良好なため、先進国では金融危機(信用収縮)は起こりにくい。
 *金融危機(信用収縮)、つまりクレジットの消失が起こらなければ、金余りの状態が続く。*クレジットとは世の中に流通する大半のお金のこと(参照)。
 *中国の不動産にはバブルの兆候がある。ただし中国政府の需要抑制策により、日本のバブル期ほどの過熱感はない。
 *中国で最も大きなバブルはシャドーバンキング商品(銀行理財商品、委託融資、信託商品)への投資になる。これらの投資は過熱感が強く、2017年末の残高は1000兆円とGDP比8割の規模になる。
 *バブル崩壊の仕組み。景気後退や金利上昇などにより株式や不動産などが売られはじめると、資産価格が上昇することを前提として資産を買っているバブル系投資家が資産の投げ売りを始め、資金の逆回転が起こる。
・中国政府には財政出動や金融緩和の余地がある。
・中国は独裁体制のため、不況に陥るとすべての批判が指導部に降りかかる構造になっている。そのため指導部はなんとしても不況を起こさないようにする。
・中国の企業債務は積み上がっているが、その大半は国営企業のものなので計画に沿って徐々に削減していけそう。
・トランプ政権は2020年の大統領選に向けて景気刺激策を打ってきそう。株価の維持は再選への最低条件になる。
・先進国のインフレ率は2%を下回りつつあるので、今後長期で金融緩和が続きそう。
・先進国の中銀はインフレターゲットを2%に設定しているが、現在のようなインフレが起こりにくい環境でインフレ2%を達成・維持するには株高のような資産価格の維持・上昇が不可欠になる。そのため中銀は株式市場に優しい政策をとらざるを得ない。
・中銀が量的緩和をして国債などの資産を大量に買っているので資産価格は下がりにくい(金利は上がりにくい)。中銀が資産売却を進めれば資産価格は下がるが、今のところそれを進める気配はない。足下では資産購入を再開しそうな雰囲気になりつつある。
・金融緩和により過剰な金余りが続いている。米メリルリンチによると2019年2月の機関投資家の現金保有比率は2009年1月以降で最も高い水準になる。
・現在、第4次産業革命が進行中で、これは今後も長期にわたり続く。
・先進国では株式以上に債券が割高なので、株式に優位性がでやすい。
・日本株に限れば、日銀のバックアップがあるので下がりにくい。
 *ただし日銀のバックアップがあるからこそ投資家が売ってくる可能性もある。1995年に為替が1ドル80円を突破したとき、日銀が「もうこれ以上無理だ」とドル買い介入をやめたら底打ちしたという。市場参加者はドルを売る相手がいなくなり、買い戻しを始めたらしい。2016年の半ばから日銀は日本株を年間6兆円ベースで買い始めているが、2016年に個人と海外が6兆9千億円、2017年に5兆1千億円、2018年に6兆円、2019年に入りすでに3兆5千億円を売り越している。ちなみにこの期間の日銀以外の主な買い手は事業法人と信託銀行になる。16年は6兆円、17年は2兆円、18年は4兆8千億円、19年は2兆3千億円を買い越している。
・日本株の売り玉が少なくなっている。海外勢はアベノミクスが始まった2012年から日本株を買い始めており、累積買越額が一時20兆円くらいまで膨らんだが、足下では7兆円くらいまで縮小している。個人投資家はこの間一貫して売り越しており、その額は約30兆円に上る。反対にアベノミクス以降に一貫して買い越しているのは日銀と事業法人になり、その累計額は40兆超になる。この両者は景気後退期には売り圧力になりにくい。

以上を総合すると、次の景気後退や株価の下落は比較的穏やかに進む可能性が高い。

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景気後退シナリオ2:インフレが過熱し景気後退に陥る
景気後退に至るのお馴染みのパターンは金融緩和→失業率低下・債務拡大→インフレ過熱→金融引き締め→債務圧縮→景気後退になるが、今回は失業率が低下してもインフレが過熱しないので、なかなか景気後退に陥りにくい。
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景気後退シナリオ3:米長期金利上昇による景気後退
今後、米長期金利は需給要因(財政悪化など)により長期的に上昇していく可能性がある。長期金利が上昇すると株式や不動産が売られ、借り入れが減り景気後退に陥る。景気後退に陥ると通常なら長期金利も低下するが、今回は需給要因により長期金利は下がりにくい。新興国では米金利上昇とそれに伴うドル高により、通貨安、インフレ、金利高が起こり景気後退に陥る。中国ではこれらに加え、過剰債務や貿易戦争、労働人口のピークアウトなどにより景気後退に陥る。日本や欧州は、これらの国々のあおりを受けて、景気後退に陥る。
*FRBが長期金利のコントロールについて触れ出したので、このシナリオはなくなりそう。ただ米国の長期国債は規模が大きく、また国内投資家が9割を保有する日本国債と違って国内投資家が6割しか保有していないので、日本のように長期金利をうまくコントロールできないかもしれない。
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景気後退シナリオ4:中国のバブル崩壊による景気後退
中国の企業債務は積み上がっているが、その7割以上は実物投資ではなく、リスクの高い金融資産(シャドーバンキング商品)への投資に回っている。景気下振れなどによりいったんデフォルトが起こると、急激な資金の引き上げが発生して、連鎖的なデフォルトが起こる可能性が高い。そうなると企業は債務返済で手一杯になり、新たな投資ができなくなる。そのようにして不況に陥ると独裁政権に責任が集中し、政権が転覆する可能性も出てくる。そもそも独裁体制は経済的に成熟した社会には適さないシステムとも言われているので、その意味でもこのタイミングで独裁体制が終わる可能性がある。これらの政治的混乱も相まって不況が深刻化していく。経済大国・中国の不況が世界に連鎖していく。
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景気後退シナリオ5:景気後退シナリオ2,3,4が同時に起こる
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景気後退シナリオ6:各国中銀がインフレ政策をやめる
先進国の中銀はインフレターゲットを2%に設定しているが、経済成長率が2%を下回り、インフレが起こりにくい社会構造でそのような政策を続けるのはもともと無理がある。日本においてはインフレ目標達成のために、日本銀行が日本株を最も買っているが、これはあまりにも不自然。そのためどこかでインフレ政策を転換する必要が出てくる。インフレ政策を転換すれば資産価格は下落するが、今のところインフレ政策よりもマシな政策はなさそうなので、インフレ政策が限界にくるまで(おそらく10年以内)この政策は続きそう。足下ではFRBが平均インフレ目標政策などを検討するなど、インフレ政策を強化する方向で動いている。
*平均インフレ目標政策とはインフレ目標を下回る期間が長引けば、その後上回ることを許容し平均で目標達成を図る手法。
――――――――――――――――

上記から、株式市場の下落は比較的穏やかなものになりそうなので、基本的には持ち株ホールドの方向で行く。ただし米国や中国で極端なバブル崩壊(信用収縮)が起きそうになってきたら、弱気型のETFなどに資金をシフトしていく。

それ以外のパターンとして1ドル(1スイスフラン)が115円、もしくは米長期金利が3.0%になった場合は、その時点でドル(スイスフラン)を売っていく。
*米国の長期金利が3.0%あたりまで上昇したら、FRBはデフレ退治のために国債購入を再開して(ドルを大量発行して)、日銀のように長期金利をコントロールしていく可能性が高い。
*スイスフランは日本円と同じ逃避通貨になるが、過去の金融危機時には金融政策の違いなどからスイスフランよりも日本円の方が大きく買われている(参照)。スイスフランには売りに回るとスワップポイント(金利差収入)が入るというメリットもある。ただファンダメンタルズ最強の通貨を売るのはやはり問題のようにも思う。

景気後退期に入り円が90円くらいまで上昇したら、もしくは日経平均が17000円台になったら、米欧通貨や外国株、日本株を買っていく。おそらく今回が最後の円高局面になると思うので、海外資産の比重を高めにしていく。
*日経平均が18000円以下になると日銀が保有するETFが簿価割れを起こし、円の信認が揺らぎ始める(円安圧力がかかり始める)。*日銀のETF保有額は現時点で自己資本の3倍になる。

次の円高時に仕込みたい外国株
・(米)VISAや(米)マスターカード。両社はフィンテック企業のボス的存在で、電子マネーは結局ここらへんが中核になりそう。
・(米)P&G。経営体制は盤石で、”奇跡の化粧水”SK-IIが世界的にヒットしそう。
*(米)ドキュサインはやっぱりなし。電子契約のようなややこしいものはローカライズ(現地化)が必要になってくるので、英語圏制覇は難しいと思った。
・(米)ウーバー。そこら中でウーバー・イーツが走り回っているが、仕組み作りが別格だと思った。
・NASDAQ100ETF。第4次産業革命の中核ETF。
・アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信(為替ヘッジなし)。腕利き米国人が運用する趣味の良さそうなファンド。
・米国株式長期厳選ファンド。奥野一成氏が運用するビジネスモデルが堅固な企業に投資する永久保有系ファンド。積み立てオンリーなのがやや難。
・インド株のETF。インドは2040年まで人口ボーナス期が続く。
・インドネシア株のETF。インドネシアは2030年まで人口ボーナス期が続く。
・銅。銅をたくさん使う電気自動車などにより銅の需要は長期的に右肩上がりだが、供給は優良鉱山の減少や環境規制などにより追いつかなくなる可能性がある。現在の銅採掘の採算ラインは1トン6000ドル程度になる。
・原油。原油価格が40ドル以下になると産油国、もしくは企業が採算割れを起こすので、40ドル以下になったら買い。新規の油田開発も停滞気味のようなので長期的な供給不安もある。

■次回の上げ相場について
次の景気拡大期は、中銀に金融緩和をする力があまり残されてなさそうなので、今回のような資産インフレはあまり期待できそうにない。とはいえ中銀が2%のインフレ目標にこだわり続ける限りは資産インフレがどうしても必要になってくるので、また新たな金融緩和策を考案して資産市場を盛り上げてくれるのではないかとも思っている。おそらく次の金融政策は現在日銀が行っているような財政ファイナンス、もしくはMMTのような財政主導の緩和策が主流になるのではないかと思う。

有望株チェック

衝動買いや「1日調査」で買った株は失敗しやすいので、これからはネチネチと調べてから買うことにする。

■10倍株候補
<10倍株候補の条件は>
 ・上場4年以内の若い会社
 ・社長が若くやり手
 ・オーナー企業
 ・時価総額300億円以下の小型株
 ・長期的なテーマに合っている
 ・急成長している
 ・(IPOから時間が経過し、株価が右肩下がりになっているチャートが狙い目)

(今のところ候補はなし。探してもないけど)

■優良銘柄(株価が急落したときに買いたい銘柄)
<優良銘柄の条件は>
 ・参入障壁が高い
 ・ストック型ビジネスを手がける
 ・時流に乗っている
 →業績が落ちにくく、利益成長を続けやすいビジネスモデル

・エムスリー。医療分野で独占的なプラットフォームを築いている。問題は成長力がやや鈍化傾向なところ。2030年の予想利益は現在の2~4倍くらいか。
・リクルート。市場独占型プラットフォームを多数保有している。問題は会社がでかいので調べるので大変そうなところ。2030年の予想利益は現在の2~4倍くらいか。
・カカクコム。価格比較の分野で独占的なポジションを築いている。問題は飲食店の口コミが「食べログ」から「グーグル」に流れていることなど。2030年の予想利益は現在の2~3倍くらいか。
・インフォマート。企業間取引の基幹ITインフラを構築している。問題は将来の市場規模がどのくらいなのかまだよくわからないこと。2030年の予想利益は現在の2~5倍くらいか。
・GMOペイメントゲートウェイ。決済プラットフォームで半独占的なポジションを構築している。問題はこの会社のことをまだよく知らないこと。2030年の予想利益は現在の3~6倍くらいか。
・ベネフィット・ワン。大企業向けの福利厚生代行サービスなど優良ストックビジネスを手がける。問題は業績の伸びがやや穏やかなこと。足下ではM&Aなどで加速している?2030年の予想利益は現在の2~3倍くらいか。
・リログループ。中小企業向けの福利厚生代行サービスなど優良ストックビジネスを手がける。問題は業績の伸びがやや穏やかなこと。2030年の予想利益は現在の2~3倍くらいか。

■気になっている銘柄
・ステムリム
8月に上場する阪大系バイオ・ベンチャー。再生誘導医薬という独自の治療薬を開発している。関連特許を多数押さえているので類似の技術は他にはない。再生誘導医薬は低コストで、臓器や組織の損傷を人間の治癒力で回復させる技術で、他の再生医療にあるガン化リスクや肉体的負担がほとんどない。問題点は研究事例の少なさくらいか。表皮水疱症や脳梗塞の治験では第2段階に入っており、表皮水疱症では患者数が少ないため第2段階の治験終了後に医薬品の承認申請をする予定。株価においては、サンバイオの例からわかるように、臨床試験の結果が出るまでは上がり続ける可能性が高い。最終的な市場規模(適応症例の多さ)は不明だが、時価総額3000億円くらいまではいきそう。上場時の予想時価総額は800億円くらいになる。
*ただ上場時の株式需給は最悪のよう(参照)。上場ゴール請負人?の冨田氏が社長についたのも気がかり。
参考:「ステムリム、独自の再生医療 患者負担小さく」7/5日経

・エデュラボ
英語を中心としたテストシステムや教育サービスを手がける。テストシステムでは自治体や教育機関から学力調査の実施を請け負っている。AIによる答案の自動入力や自動採点を採用し、コストや納期を大幅に削減することに成功している。従来にはない能力分析法も評価されている。

2020年に大きな教育改革が行われるのが業績急進のカギになる。大学入試においては、センター試験に代わる大学入学共通テストで英語が4技能評価になり、民間のテストが採用されることが決まっている。高校3年生が英語の試験を受けるようになるだけで100億円近いビジネスになるという。エデュラボは現時点で文科省の実施する全国学力・学習状況調査を受託している。2020年からは小学校の学習指導要領も改訂され、3,4年生から英語が必修化される。エデュラボは今期の売上予想を前期比71%としており、今後3年は年率30%超のペースで成長することを目標としている。
参考:日経マネー4月号

・パークシャテクノロジー
AI関連の会社で、技術顧問に東大教授の松尾豊氏がいるのが肝。AIはレッドオーシャン市場だが、松尾氏はAI事情に精通しているので、勝ち抜ける道を進める可能性がある。AIは純粋に知性の勝負になるので東大系の会社なのも良い。先日増資で200億円を調達しているので仕込むタイミングとしては悪くなさそう。

・メディアドゥ
ここは電子書籍取次の中核プラットフォームなのだろうか?もしそうならまだまだ伸びそう。詳しく調べたい。


今後調査をしていく順番はメディアドゥ、エデュラボ、パークシャテクノロジー、ベネフィットワン・・の順。月1社程度を調べていきたい。・・それよりも、先に10倍株候補を探していこうか。

メディアドゥ

この会社が電子書籍取次の中核プラットフォームであるならば面白いと思ったので調べてみた。

■この会社を知ったきっかけ
”もう一人”のテンバガー・ファンドマネージャー古賀直樹氏が運用する「アクティブ元年・日本株ファンド」の上位10銘柄に入っていた。

■どんな会社か
電子書籍取次プラットフォームなどを手がける。電子書籍取次では国内最大手で、2018年の流通総額における市場シェアは37%になる。
*電子書籍取次とは、出版社から預かった電子書籍コンテンツを電子書店に配信するサービス。電子書籍の卸のようなもの。
*電子書籍取次プラットフォームを持つのはメディアドゥの他には大日本印刷系と凸版印刷系のみ。

メディアドゥの売上の98%を電子書籍流通事業が占めており、2018年の売上高は499億円と前期比で38%伸びている。営業利益は15億円と利益率はそれほど高くないが、営業利益は前期比で67%伸びており、利益率は上昇傾向にある。
*電子書籍流通事業には、電子書籍取次事業、電子書籍配信システムを提供する事業、自社電子書店サイト事業があるが、メディアドゥの売上の大半は電子書籍取次事業になる。

■成長ストーリー
「最強の電子書籍取次プラットフォーマーに」というのが基本シナリオ。

メディアドゥはコミックや雑誌などの電子書籍取次に強かったが、2017年に文芸書や学術書分野で最強の電子書籍取次プラットフォームを持つ出版デジタル機構を買収した。現時点では、ほぼ全ての出版社や主要電子書店との取引があり、電子書籍取次最強への道を着実に歩んでいる。競合の大日本印刷や凸版印刷はイノベーションのジレンマ(新製品(電子書籍)と旧製品(紙書籍)の共食い)に直面しており、電子書籍普及に積極的になりにくいというのも追い風になる。
ーーーーーーーーーー
<出版デジタル機構とは>
2012年に電子書籍を普及させるために官民ファンドの産業革新機構と主要出版社20社が出資して設立した会社。同機構は資金やノウハウが不足している出版社を支援し、出版物の電子化を代行したり、電子書籍販売サイトへの配信業務を支援したりしている。現在ではほぼ全ての出版社との取引があり、Amazonにも同機構を通じて作品を提供している。2018年2月期の売上高は206億円、経常利益は10億円になり、業績は年率10%超の勢いで伸びている。
ーーーーーーーーーー
書籍全体の市場は年々縮小しているが、書籍全体に占める電子書籍の割合は年々増加しており、あと20年くらいしたらほぼ全てが電子書籍に置き換わる可能性がある。現時点での電子書籍の比率は紙書籍の6分の1くらいだが、もしすべてが電子化されるとしたら、電子書籍にはあと5倍の成長余地があることになる。メディアドゥの基本戦略は電子書籍の市場拡大に合わせて業績を拡大させていく、というものになる。

今後中期的に業績の牽引役になりそうなのがLINEマンガになる。メディアドゥは2014年のLINEマンガ立ち上げ時からコミックや配信システムを独占提供しているが、LINEマンガは足下で急成長が続いており、2018年の国内マンガアプリの売上では断トツトップになっている(参照)。無料マンガではAmazonと差別化を図れているようで、他のマンガアプリとも資金力や知名度の点で優位性がありそうなので、今後もまだまだ伸びそうな雰囲気がある。

長期的にはブロックチェーン技術を活用した新しい書籍流通プラットフォームも期待できる。この新たな仕組みは電子書籍が抱える問題点(売却や貸し出しができない、利用している電子書店がなくなれば購入した電子書籍を保持できなくなる、など)を克服できるようなので、成功すれば面白い展開になりそう。

*メディアドゥでは他にビジネス書などを要約して提供する事業「フライヤー」など、順調に伸びている事業もあるが、業績の比重が軽いのでここではスルーする。

■問題点
・電子書籍の販売プラットフォームが最終的にはAmazon1強になりそうなこと。消費者目線で考えた場合、一人でいくつもの電子書店を利用することは考えにくいので、電子書店は今後、淘汰・集約されていく可能性が高い。電子書籍取次は、様々な電子書店に電子書籍を卸すことで商売が成立するが、卸す電子書店がAmazonのみ、またはその他2,3店にまで集約されてしまうと、出版社は手数料のかかる取次を通さずに電子書店と直接取引する可能性が高く、電子書籍取次の存在意義がなくなる可能性がある。

・出版形式のデフォルトが電子書籍になりつつあること。メディアドゥが買収した出版デジタル機構は出版社の電子書籍作成・配信を支援しているが、各出版社が”自立”してしまうと、卸を通さず直取引を始める可能性がある。今後は大口とは直取引をして、それ以外は取次に任せるという流れになるかもしれない。

・メディアドゥはAmazonにも電子書籍を卸しているが、それがどの程度なのか不明なこと(要調査)。Amazonは紙媒体の書籍においては卸を通さない直取引に切り替えつつある。

・電子書籍取次を通さない直取引が現時点でどの程度あり、それが増加傾向なのか減少傾向なのかわからないこと。(要調査)

・増資のニオイがすること。投資回収期に入っており、資金調達する必要はそれほどなさそうだが、自己資本比率が14%と低く、社長が積極型で、株価も高値圏で推移しているので、増資をする可能性も多少ある。

■ビジネスモデルの強度 ★★★☆
・参入障壁は高いか。市場寡占型プラットフォームなのでそこそこ高い。★★★★☆
・ストック型ビジネスか。人気のプラットフォームなのでストック型。ただし長期的にはやや不透明。★★★
・時流に乗っているか。時流に乗っているが長期的にはやや不透明。★★★☆

■チャート
累積売買高のピークを抜けているので上がりやすそう。
<10年チャート>

<1年チャート> トレンドラインは75日線か

■まとめ
中期的には特に問題がなさそうなので、LINEマンガを牽引役に業績は力強く伸びていきそう。ただ長期的には電子書籍取次の存在意義に疑問符がつきそうなので、やや不透明感がある。10年後の予想利益は計測不能。今後3,4年の見通しはそれほど悪くなさそうなので、大きく下げることがあれば少し仕込んでみたい。