2017年3月24日金曜日

保有株分析とリバランス

銘柄探索は大変なので小休止。今の保有株を分析してベストなポートフォリオバランスについて考えていく。

■分析1:保有株の長期的な見通し
1位、鈴茂器工:寿司ロボ、おにぎりロボ、飯盛りロボなどは生産性向上や人手不足対策のために今後も普及が進んでいく。和食ブームにより海外展開も加速していく。

2位、弁護士ドットコム:ネット経由の法律相談や、弁護士・税理士のネット検索、法務のIT化は時代の流れとして必然。問題点は弁護士数が4万人と少ないことと、電子契約などのリーガルテックは参入障壁がそれほど高くないこと。

3位、ソリトンシステムズ:ITセキュリティやテレワーク、簡易で高速な無線映像通信などは今後も長期的に続くトレンド。問題は競合が多いこと。
*2017/05/12追記 クラウドが普及するとセキュリティソフトはいらなくなっていくらしいので、6位に後退。

4位、ペプチドリーム:中分子医薬は医療費削減や新規化合物の探索に欠かせない存在になっていく。問題点は中分子医薬の細胞膜突破が難しいことと新規医薬品の成功率が低いこと。

5位、相模ゴム工業:コンドームは生活必需品なのでリピーターがつけば売れ続ける。高級コンドームへの需要は強く、アジア圏でも普及し始めているので期待が持てる。問題はポリウレタン性コンドームの伸縮性の悪さ。

6位、技研製作所:人手や手間を大幅に削減できる新工法が新興国のインフラ工事で拡大していきそう。自称ビビりの社長が2015年と2016年に大型投資を行っているので成長の加速が期待できる。問題点は新工法の需要がどこまであるのか不明なことと大型投資を決めたのが株価が急上昇中だった2014年頃だったこと(推測)。経営陣が楽観的になりすぎていた可能性がある。

■分析2:今後5年の予想成長率
1、ペプチドリーム:SBIのアナリストレポートなどから推察すると年率33%程度。
2、弁護士ドットコム:ストックオプションの行使条件などから推察すると24%。
3、相模ゴム工業:決算書から判断すると13%。
4、技研製作所:ストックオプションの行使条件などから推察すると13%。
5、鈴茂器工:過去の伸び率から計算すると12%。
6、ソリトンシステムズ:過去の伸び率から計算すると12%。

■分析3:ストック型収益かフロー型収益か
ストック型:弁護士ドットコム、ペプチドリーム、相模ゴム工業
フロー型&ストック型:鈴茂器工、技研製作所、ソリトンシステムズ

■分析4:割安感があるのは
1,技研製作所
2,相模ゴム工業
3,ソリトンシステムズ、鈴茂器工、弁護士ドットコム
6,ペプチドリーム

■以上から理想的なポートフォリオバランスは?
弁護士ドットコム 30%
ペプチドリーム 20%
鈴茂器工 15%
相模ゴム 10%
技研製作所 10%
ソリトンシステムズ 5%。
現金 10%

■現状のポートフォリオバランスは?
弁護士ドットコム 35%
ペプチドリーム 16%
鈴茂器工 9% *本日半分売却
相模ゴム 12%
技研製作所 14%
ソリトンシステムズ 4%
G-FACTORY 1%
現金 9%

**■市場がピークアウトした場合
・現金比率を50%程度まで高める。

市場のピークアウトはいつか?

今回の上げ相場はアメリカの金融緩和を起点にはじまっているので、アメリカの緩和策が終わった時に上げ相場も終わると思う。現時点でアメリカはすでに金融引き締めに転じているがそれは非常に穏やかなものであり、経済成長率は低いので、今後引き締めが加速していく可能性は低い。現在、トランプ政権の財政緩和によりバブルは再び膨張しはじめている。

2018年中頃には財政緩和策が弾切れになり、インフレによる金利上昇やドル高によって市場はピークアウトするとも言われているが、トランプ大統領は再選のために、再び金融緩和なり何かしらの緩和策を打ち出してくる可能性もある。

それでは市場のピークアウトはいつ頃になるのか。景気循環的にはいつ来てもおかしくはないが、2017年は資源価格の上昇などから判断すると世界経済は安泰だと言われている。2017年後半には中国で大きな選挙が終わり、2018年は引き締めに入るともいわれている。以上のことから2018年の頭くらいにピークがくるのかなとなんとなく思う。

いつピークアウトがきてもいいように、ディストリビューション日のチェックや金融引き締めのニュースはチェックしていこうと思う。

ただ、近い将来市場はピークアウトするとは思うが、そうなった時は各国の中銀は金融緩和策を再開すると思うので、株式市場はそれほど下がらないとも思う。

市場に優しいポピュリズム

日本を筆頭にポピュリズム(大衆迎合主義)が世界的に波及してきた。なぜポピュリズムが広まってきたのか、ポピュリズムにより市場はどうなっていくのかを考えていく。

■なぜポピュリズムが広まっているのか
民主主義がうまくいくのは高成長期だけと言われている。高成長期は税収が増え、政府からの分配や社会保障が充実して市民の不満が生じにくいらためしい。しかし低成長期に入ると政府からの分配が減り市民の負担が増え、また高成長期に構築した充実した社会保証制度を存続させるための負担も増えてしまうため、市民の不満は充満していくという。

ポピュリストはこのようなタイミングで登場するという。ポピュリストは痛みを伴う政策は一切不要で、もっと魅力的な政策があるといい、拡張財政による高い成長で問題を一気に解決できるといって支持を集めるという。

■そのとき市場はどうなるか
ポピュリズムによって短期的なバブルが生じる。アメリカにおいては保護主義を掲げながら金融規制緩和をしようとしているのでバブルがさらに膨らむ可能性がある。

一般人は株高が経済成長率の改善か需要の先食いかを区別することはできないので株高=成長と錯覚しやすい。ポピュリストはこれを利用し、市場が好感する近視眼的な政策ばかりを行ってさらに株式市場を盛り上げていく。

■拡張財政や保護政策をすると長期的にはどうなるか
拡張財政を行うと一時的に景気はかさ上げされるが、それは将来の需要の先食いにすぎないので潜在成長率は上がらない。政府の負債は膨らむため長期的な成長率は落ちていく。

保護政策を行うと新規参入が阻害されて技術革新が起こりにくくなる。また経済全体のパイが小さくなっていくので、この政策によっても長期的な成長率は落ちていく。

これらの政策により経済成長力は落ちていくので、政府の負債が限界に達したところでバブルははじける。

参考:河野龍太郎の論説など

2017年3月17日金曜日

一目均衡表の雲 経過観察

3ヶ月前(2016年11月25日)にアップした銘柄のその後の推移を見て、一目均衡表の雲にどれくらいの効果があるのか見ていく。

<一目均衡表(週足)の仕組み>
「一目均衡表(週足)の雲とは上下2本の線に挟まれたゾーンで、下の線は直近半年間の高値と安値の中心値を半年分、右に平衡移動したもので、上の線は直近一年間の高値と安値の中心値を半年分、右に平衡移動したものになる。雲はこれまで高値で買った人の戻り売りの圧力を示す。雲の上に株価がある場合は下値支持線になり、雲の下に株価がある場合は上値抵抗線になる」。
*参考:日経ヴェリタス10/2

まずは週足の雲から見ていく。
■ダブル・スコープ



■GMOペイメントゲートウェイ



■あいホールディングス



■コラボス



■ツイッター



日足の雲 (一つ目の表は2016年12月29日)
■タツモ
          



 ■エニグモ



 ■日本ライフライン



最後は月足の雲。(一つ目の表は2017年1月7日)
■ニューフレアテクノロジー



■結論
週足と月足の一目均衡表の雲には効果があり、日足の雲にはそれほど効果がないことがわかった。

小型株11 G-FACTORY △

■発見した経緯
「J-STOCKアクティブ投信」の1月の月報で紹介されていた。

■どんな会社か
飲食店や美容室の出退店支援サービスを手がける。ウナギのファーストフード店「宇奈とと」も運営。2016年9月にマザーズに上場し、時価総額は72億円。

<出退店支援サービスとは>
中小の飲食店では店舗開発や財務に長けた人材を雇うのは難しいため、出退店の手続きは基本的に社長1人で行うことになる。そうなると本業に集中できなかったり、規模が小さいため交渉が難航したりするケースが多くなってしまう。G-FACTORYの社長も以前「宇奈とと」の店舗網を広げようとした時に苦労したという。その時の経験がきっかけになりこのビジネスを始めたという。

出退店支援サービスには物件情報サポート、内装設備サポート、丸ごとサポートの3つがある。物件情報サポートとは、退店希望顧客に代わって店舗物件の賃貸契約を引き継ぎ、内装を買い取って、その店舗物件を出店顧客にサブリースしていく事業になる。内装設備サポートとは内装のリース契約をサポートする事業になる。丸ごとサポートとは物件情報サポートと内装設備サポートをまとめた事業になる。

顧客はこれらのサービスを使うことにより労力や費用、リスクを減らすことができる。一方、大家さんは賃料未回収などのトラブルを回避することができる。

■成長ストーリー
”ストック型の出退店支援サービスを全国、海外に広げていく“というのが基本シナリオ。

日本の飲食業界は飽和状態にあるが、飲食業界の新陳代謝は絶えず行われている。飲食店開業後の2年以内の撤退率は50%となっており、そのうちの8割を30坪以下の中小型店が占めている。

G-FACTORYのメインターゲットはこの回転率の高い30坪以下の中小型店になる。取り扱う物件は好立地の居抜き物件に厳選しているため空室リスクはほとんどないという。
*居抜き物件とは前テナントの内装設備が残っている物件のことで、こうした物件に出店すれば出店費用を半分程度に抑えることができるため人気が高い。

株式上場によって大家さんからの信頼度が上がり、居抜き物件が集まりやすくなっているという。

現在、出退店支援サービスは東京と大阪、シンガポールで展開しているが今後は九州や札幌、東南アジアにも展開していく予定。日本食ブームで海外進出意欲のある飲食店は多いという。

上場で得た資金で内装設備リースを自社リースに切り替え、ストック型収益を増やしていくという。2019年にはストック型収益の比率を現在の71%から84%へ、営業利益率を15%から20%へ高めていくという。

■参入障壁(競争率)は高いか
それほど高くない。
居抜き物件情報サービスではすでに競合が多数存在。
内装設備リースでも競合がひしめいている。
ただし丸ごとサポート(物件情報サービス&内装設備リース)では店舗流通ネットなどに限られ競合は少ない。ビューティーガレージもつい先日美容室向けの丸ごとサポート事業をはじめたらしい。
*G-FACTORYの社長は店舗流通ネット出身。

参入障壁はそれほど高くはないが、G-FACTORYは特定の分野に特化しているので競争力は高そう。

■戻り売りの圧力はないか
ほとんどなし。チャートも悪い形ではない。

■割安感はあるか
今期の予想売上高成長率は17%、営業利益成長率は11%でPERは20倍なのでやや割高感がある。ただし今期の業績予想は昨年の人員、過去の実績のみで計算したものなので上振れ余地はある。

■問題点
この会社は社員が若く、経営陣も株式を大量保有している感じだったので期待していたが、どうやら上場後に売りさばいたらしい。大株主の欄からは社長以外の名前がすべて消えている。これが上場ゴールというやつだろうか。

大株主だったある取締役はインタビューで「夢は?」と聞かれ「株式上場」と答えていたが、それは会社の信用力を上げるためではなく、ただ単に目先のお金が欲しかっただけだったのかもしれない。

■結論
小型で、若く、ストック型の会社で、ビジネスモデルも独自性があって面白いと思ったが、社長以外の経営陣に期待が持てず、割高感もあるので今回は見送り。すでに少し買ってしまったが売却していく。

10倍株の特徴 その2

『いま仕込んでおくべき10倍株、教えます! 』(朝香 友博)を読んだので、10倍株の特徴をアップデートしておく。

前回まとめた10倍株の特徴は
・若い会社
・小型株
・社長がやり手
・社長が大株主
・長期的な見通しがよい
・成長力が高い

今回新たに加わるのは7点
・社員が若い
・平均年収は上場企業の平均以下。(平均は550万)
・経営陣が主要株主で、保有比率が50%以上。
・浮動株は20%以下。
・営業利益率は改善傾向。
・自己資本比率は30%以上。
・PERは30倍以下、PBRは5倍以下。

2017年3月10日金曜日

新高値の対処法

持ち株6銘柄のうち4銘柄が新高値を突破した。新高値の対処法を『私は株で200万ドル儲けた』(ニコラス・ダーバス)、『新高値ブレイク投資法』(DUKE)から探っていく。ついでに新高値投資法もまとめていく。

■そもそもなぜ新高値になると株価が上がりやすいのか?
・含み損を抱える人がいなくなり戻り売りがなくなるから。
・市場で注目され、新たな投資家が集まってくるから。
・新高値投資法が普及しており、その買いが入るから。

■新高値投資法
1,テクニカル的に良い銘柄を探す
株探の「今日の新高値銘柄」から探していく。ベストなチャートは持ち合いの状態から出来高を付けて新高値を突破したもの。
*ダマシの少ないブレイクは保ち合い期間が長いものになる。保ち合い期間は助走期間のようなもので、その期間が長い方が高く飛べる。それと保ち合い時の値幅が小さいのもよい。値幅が小さいのは注目している人がほとんどおらず、価値が適切に評価されていないという意味合いがあるから。

2,ファンダメンタルズをチェック
新高値突破はその会社で何か大きな変化が起こっている可能性が高い。ファンダメンタルズで大きな変化がないかを調べていく。まずは株価に最も大きなインパクトを与える業績の変化を調べていく。次いで会社の成長に密接に関わっている経営者の変化を調べて行く。
*ファンダメンタルが安定しない場合は株価も高値圏では安定しない。

3,新高値更新日の翌日に打診買い
株価が上がればその分リスクも高くなってしまうので、初動で買っていくのが重要になる。まずは小額で買ってみる。
*新高値投資は大きな株価上昇が期待できる反面、急落することもあるのでストップオーダーは必須。ストップオーダーにかかった後に再度上がってしまうこともあるが、それよりも大きな損失を出さないことを優先する。再度ブレークしたら買い直せばいい。
*成功率はニコラス・ダーバス氏が50%、DUKE氏が30%程度。

4,生き残った銘柄を買い増していく
打診買いで生き残った銘柄が再度ブレイクし次のボックスに入ったら買い増していく。ボックスは自分の裁量で判断。追い買いは常に前回よりも高くなくてはいけない。ナンピンはしてはいけない。ボックスが上がったらストップオーダーも並行して上げていく。
*値上がりしている少数銘柄に長期投資するのが最も効率がいいので集中投資が基本。

5,上昇中の銘柄は乗り続ける
トレンドはひとたび形成されると継続する傾向があるので上昇中の株は売る必要はない。ただし上昇速度が早すぎたり、大陰線などの危険シグナルが出たりしたら売っていく。

■結論 新高値銘柄の対処法
ファンダメンタルズ的に問題なければチャートが壊れない限り売る必要なし。

■その他気づいたこと
・新高値銘柄を見ていけば足下のトレンド業界がわかるので、そういった意味でも新高値銘柄は使えそう。

ボリバンと新高値

■ボリンジャーバンドとは
ボリンジャーバンドとは統計学を応用したもので、過去の株価の動きを元に、株価は上下これくらいになるだろうという範囲を示すもの。一般的なボリンジャーバンドの使い方は2σを超えたところが利確・損切りの目安となる。ただしこれはバンドが広い場合の話になる。

バンドが狭い、もしくは急速に狭まった時に株価がそこを突き抜けるように上に飛び出した場合はその方向へ大きく動き出すサインになる。

この法則は新高値投資法の「持ち合いからのブレイク」と符合する。このチャートパターンは暴騰しやすいのかもしれない。


持ち合いからブレイクした銘柄を株探の「今日の新高値銘柄」から探ってみた。今後も上がっていくのだろうか?
■GNI

■川岸工業

新高値投資法の始祖 ニコラス・ダーバス

ニコラス・ダーバス氏の経歴を『私は株で200万ドル儲けた』とWikipediaからざっとまとめていく。

・1920年にハンガリーで生まれる
・ブダペスト大学で経済学を学ぶ。
・1943年、23歳のときに偽造ビザでトルコへ脱出。異母姉のジュリアと会ってダンサーになりヨーロッパやアメリカを巡業する。

・1952年11月。ダンス関連の付き合いでカナダの鉱山会社の株を3000ドル分購入する。2ヶ月後にそれが11000ドルになり、株にはまる。
その後、本を読んだり専門家の話を聞いて株を買っていくが、1953年には5800ドルまで減ってしまう。

・1954年。5800ドルに自己資金を足して1万ドルにして、ニューヨークに口座を開く。強気相場だったため資金は14600ドルまで増える。本を読みながら試行錯誤を続ける。

・1955年。専門家や投資格言は無視すべきだと悟り、ファンダメンタルズ投資に専念するようになる。ファンダメンタルズを徹底的に分析し、とっておきの銘柄をみつける。財産のすべてを担保に入れ3万7000ドルを捻出し、それを1銘柄に集中投資する。しかし株価は下がり9000ドルの損失が発生してしまう。そこでやめることも考えたが、担保に入れた土地を守るためにもう一踏ん張りすると決める。

値動きのある株式に注意を払っていくと1つの会社が目にとまる。その会社のファンダメンタルズは情報が少ないため全くわからなかったが毎日着実に価格が上昇していくのがわかる。そこを買ってみると4500ドルの利益を得る。
同じような銘柄を探すと他にも見つかり、同じように投資するとまたうまくいく。
ファンダメンタル投資に疑問符が付き、テクニカル(株価の動きと出来高)を重視するようになる。
このころまでに株式関連の本を200冊以上読み、もう本から学ぶことはないと悟る。

・1956年。ボックス理論を開発し、トレードは順調にいくようになる。しかし一つのトレードで今までのもうけをフイにしてしまう。マーケットに確実なことはないと気づき、”素早い損切り”を投資法に組み込む。
ダンスの世界ツアーに出発。ブローカーとは電報で連絡をとりあって売買を続ける。金融誌バロンズだけは定期購読を続け、そこから銘柄を発掘していく。

・1957年。資金が3万7千ドルに戻る。その後も投資していくがストップロスオーダーにどんどんひっかかってしまい持ち株がなくなってしまう。その後市場は弱気相場に入ったため、ボックス理論に自信を深める。

・1957年11月。市場が落ち着いたため投資を再開。1958年の5月には8万ドルまで増える。その後は信用取引もフル活用して積極的にトレードしていく。1959年1月までに50万ドル稼ぐ。この間の損失は1万ドル。

・世界ツアーから帰ってくると、証券会社のディーリングルームに入って取引するようになる。ボックス理論を使わず、集団心理に従って投資をしていくと10万ドルの損失が発生してしまう。パリに行き気持ちをリセットして、また元の方法に戻す。

・1959年2月からトレードを再会し、そこから一気に200万ドル儲ける。
*1957年12月から1959年7月はまれに見る強気相場でS&P500は53%上昇している。

・1959年5月にウォール街でうわさになり、タイム誌のインタビューをうける
・1960年。39歳の時に『私は株で200万ドルを儲けた』を出版。
・1960年。ニューヨークの弁護士から本の内容に偽りがあるとの告発をうける。実際の利益は21万ドルではないかとのこと。ダーバスの口座は法的に調べることができず結論はうやむやに。

その後の経歴はよくわからない。後の著作には演劇のプロデュースや服飾関係の仕事、不動産などで成功したと書かれている。
・1977年に死去。

2017年3月3日金曜日

敏腕ファンドマネージャー1 苦瓜達郎

日経マネー4月号にファンドマネージャーの投資手法が載っていたのでまとめていく。

1人目はこのブログの「過去10年のリターンが10%を超える唯一のファンド」や「中小型株10 パピレス△」などで登場した苦瓜達郎さん。「パピレス」分析では目利き力の違いをまざまざと見せつけられてしまった。

■ファンドマネージャーになった経緯
前職のアナリスト時代に本来値打ちがあるはずなのに投資家から全く見向きもされない銘柄があることを憂慮。自ら買う側にまわってそれらの銘柄に光を当てようと思いファンドマネージャーになる。

■投資手法 小型・割安株投資
・投資は独自に算出する基準株価がベースになる。基準株価と実際の株価を比較して、下方乖離率が高い銘柄から順に買っていく。高成長銘柄であれ、成熟銘柄であれ、乖離率が同じならば等しい価値があると考える。
 基準株価とはその会社が理論上、付けるに値すると考えられる株価。
 基準株価の算出法はEPS×適正PER。
 適正PERは年間800件に及ぶ企業取材をベースに成長率、成長が見込める期間、成長の確度などを総合的に判断して算出する。
(例)30%以上伸びている高成長銘柄の適正PERは50倍
   普通の安定成長銘柄では15倍
   循環産業でそれほど成長はしないけれど下向きではない銘柄は10倍
 株価が基準株価に近づいたり上回ったりしたときが売り時になる。
 
・会社での取材では沿革を理解することに重点を置く。今に至るまでの経過を理解しないと将来の姿を読み取ることができないから。

・投資対象は業種を問わず1000億円までの小型株になる。小型株はアナリストがカバーしていない銘柄が多く、情報面で優位に立てる可能性が高い。
ただし30億円以下の銘柄は、その銘柄の5%まで買ってもファンド全体の0.2%程度しかならないので投資対象から外している。

・今現在も日本株の中には値打ちがあるのに放置されたままの銘柄がたくさんある。

■投資哲学
「割安株投資は世間と距離を置いて我慢することが大事。結果が出ない間は「自分の投資法が間違っている」と考えるか「世間が間違っている」と考えるかのどちらかしかない。私自身は引退するまで「自分が間違っている」とは考えない。いずれ必ず乖離は埋まると信じている」。

■運営しているファンド
・J-STOCKアクティブオープン
・ニッポン中小型株ファンド
・大和住銀日本小型株ファンド

敏腕ファンドマネージャー2 奥野一成

2人目は「10倍株の特徴」や「ダブルスコープ 撤退」のところで登場した奥野一成さん。

■投資手法 参入障壁株投資
・最も重視するのは持続可能な参入障壁をもっているかどうか。持続的に企業価値を増大させるためには、後発企業の新規参入を阻止する参入障壁を維持して、競争上の優位性を保つことが必要になる。

その企業が所属する産業の成長率も重視する。あまりにも成長率が高いと新規参入の負担が大きくてもすぐに儲かるので投資を回収しやすい。そのため参入しようという後発企業が次々に現れてしまい参入障壁が崩れて競争上の優位性を維持できなくなってしまう。

産業の成長率が5~15%であれば新規に参入してもすぐには儲からないので、あえて参入しようとする企業は現れない。市場シェアを握っている先発企業は後発の脅威にさらされることもなく、競争上の優位を維持し、市場の拡大とともに成長し続けることができる。

・永久に持ち続けられそうな企業だけに投資する。株式の売却益ではなく、永続的な企業価値の増大を追求する。見立てが変わらない限りは投資し続ける。これまでの平均保有期間は6年。

・強靱な企業を選び出す際の要素は3つ
1,産業そのものの付加価値が高いもの
2,市場で圧倒的なシェアを握るなど競争上有利な状況にいること
3,人口動態など不可避的な長期の潮流にのっていること
これら3つの特徴をもつ企業は構造上、間違いなく儲ける仕組みをもっている。利益率や資産効率、増収率などが高く、バランスシートもきれいなことが多い。

・PERやPBRなどの投資指標は株を売買する際の参考程度にとどめ、銘柄の選別には利用しない。

■運用助言しているファンド
・企業年金ファンドや政府系ファンドなど。一般向けはない。
・2009年からのリターンは年率18%。
・助言銘柄は日本株21銘柄と米国株25銘柄。すべて大型株。
・上記の条件を満たす銘柄は、日本の場合は産業財メーカーが多くなる。日本の産業財メーカーには世界シェアが高く競争上の優位を保っている企業が多い。信越化学工業がその代表例。それ以外はファナックやセブン&アイ・ホールディングスなど。

敏腕ファンドマネージャー3 エンジェルジャパン

3回目は日経によく掲載されるハイパフォーマンスファンドに投資助言を行っているエンジェルジャパン・アセットマネジメントの4人チーム。

■投資手法 小型・成長株投資
・重視するのは過去の成功体験や古い常識を打ち破り、次代を開く革新的な成長企業かどうか。革新の軸となるものは技術でも製品でもビジネスモデルでも社長の個性でもかまわない。キラリと光る何かがあれば投資の対象となる。
業種やテーマにこだわりはなく、重視するのは上向きの業績かどうか。どんな業界でも革新はあり、成長もできる。地味とか時代遅れといった先入観は排除して1社1社と向き合う。

・銘柄選抜はメンバー全員(アナリスト4人)で行う個別企業への面談調査とミーティングにより行う。面談の際には業績データやプレスリリースなどを元に企業分析シートを作成し、その分析シートを使って経営者に4人の運用メンバーが様々な角度から質問を投げかける。足下の事業状況、ビジネスモデルや技術の優位性、中長期的な戦略、目標達成に向けた取組、計画の進捗状況、課題への対策などを聞く。
面談やミーティングを元に5年後までの緻密な業績予想を立てる。

・面談やミーティングは必ずチーム全員で行う。個性の違うメンバーの合議制にすることで多様な視点で偏りなく企業をみることができる。またチームで運営することにより長期にわたってエンジェルジャパンの投資法を継承していくことができる。

・面談数は年間1000件程度。新規公開株はほぼすべて面談調査を行う。
投資先候補になった場合は四半期に一度定期面談を行う。定期的な面談によって企業の些細な変化を察知し、成長前のタイミングを逃さずに投資することができる。株価上昇のトリガーを見つけられればリターンは手にできる。

・ジャスダックに上場する760社のうちアナリストがカバーするのは1割程度。手間を掛けて情報を入手すれば大きな成果を得ることができる。

・株価の割安度は基本的にPERで見る。ただ小型株は業界のPERを一律に当てはめることは難しいので、似たビジネスモデルをもつ企業の過去のPERなどを参考にする。

・買い付けは1銘柄あたり4%までとして分散投資を計る。また買い上げは徐々にしていき、時間的な分散も計る。

・企業の成長には3つ型がある。
 新規上場を契機にその時のビジネスモデルで成長を大きく加速すると考えられるIPO型
 成長の壁を打ち破り新たな高成長局面に入る新成長型
 財務体質が健全で着実な成長が見込める企業で株価が過小評価された堅実割安型

■投資助言しているファンド 
・IPO型 →日興グローイング・ベンチャーファンド
・新成長型 →新成長株ファンド
・堅実割安型 →SBI中小型割安成長株ファンド ジェイリバイブ