2017年7月14日金曜日

「金融危機は起こらない」イエレン

FRB議長のイエレンさんは先日の講演で「次の金融危機は我々の生きている間には起きないと思う」と語ったという。その根拠は金融システムが健全になったためとのことだが、これは具体的には金融機関のレバレッジ規制や自己資本の積み上げを指しているように思う。

リーマンショック時のバブルと今のバブルの最大の違いはこのあたりにあるように思う。リーマンショック時には、自己資本の少ない金融機関がレバレッジを効かせすぎ、それが逆回転を起こして極端な信用収縮、つまり金融危機が起こった。しかし今のバブルにはそれがない。今のバブルは市場にやさしい各国中銀によって引き起こされており、急激な逆回転は起こりにくい。

当面は深刻な金融危機を心配しなくてもいいのかなと思った。

参考:2017/6/29日経「イエレン氏の「寿命」とイリノイ危機」 

日銀の次の一手

日銀は国の借金返済のためにインフレ政策を続けていくだろうとは思っているが、あと数年で日銀の国債買い入れは上限に達すると言われている。その後の金融政策はどうなるのか疑問に思っていたが、7月10日の日経にその答えらしきものが載っていた。

それによると、日銀は国債を消却していけばよいとのこと。日銀が国の借金を帳消しにする財政ファイナンスは禁じ手と言われているが、それが一番マシな方法であるようなことが書かれていた。この説を論じていた教授は、財政ファイナンスに否定的な立場にも関わらず、このようなことを言っていたので、他に打てる有効な策はないように感じた。

今後の政策がどうなるのかはっきりとはわからないが、日本の株高はもうしばらく続くのかなとなんとなく思った。

参考:2017/07/10日経「日銀の「期待チャネル」不発」

弁護士ドットコム 水準訂正

弁護士ドットコムは1200円くらいに累積売買高の“壁”があったので、今年はそこを抜けないだろうと思っていたがあっさり抜けてしまった。その要因は地合いの良さと、ファンダメンタルの変化のように思う。



足下のマザーズの地合いはよい。上場している企業の業績は右肩上がりで、チャートは4年間の保ち合いを経て上抜けしつつある。新高値を突破していくのは時間の問題のように思う。


弁護士ドットコムのファンダメンタルズにも良い変化があった。一番大きな変化は社長の交代のように思う。元榮元社長(現会長)は政治家でもあったのでどうしても忙しすぎる印象を拭えなかった。社長にカカクコムの創業メンバーの一人がなったのはとても良いニュースだった。

事業展開に厚みがでてきたのも良かったように思う。弁護士の転職支援サービスやビジネス向け事業は順調に拡大しているようだし、リーガルテックの普及も順調に進んでいるように見える。

*今回の急騰はリーガルテックへの期待が主な要因かもしれないが、もしこれが要因であるなら今後の株価上昇はそれほど期待できそうにない。リーガルテックはハイプサイクルの初期の段階にあり、収益化は当面先になりそうだから。
*税理士ドットコムの業績拡大も上昇の要因かもしれないが、将来的に税理士業務の98%がAIに代替可能と言われているので、長期的な見通しはあまりよくない。

それとCFOの退任が円満退社だとわかったのも良かった。一般に財務責任者やIR担当者が辞めるのは不吉の前兆だといわれているから。

ただ、チャート的には当面の天井をつけた感がある。12日に出来高を付けて長い上ヒゲが出ているので、今後は調整に入りそうな気配ではある。もともとこの株を売るつもりもりはなかったのだが、十字線が出た翌日に1割ほど売ってしまった。割高感もあったし。


しかしながら長期で見れば、こんな株価で終わるはずはないので、売る必要はなかったとも感じている。鈴茂器工では出来高+長い上ヒゲは当てにならなかったし。今後はこういった短期シグナルは無視していこうと思う。

<鈴茂器工のチャート>
3月6日あたりに出来高を付けて長い上ヒゲがでているが、株価はその後も上昇している。

今までは、弁護士ドットコムの株価はPER70倍前後で推移していくと予想していたが、ファンダメンタルズの変化に合わせてそれをPER100倍前後に修正。
2017年の予想平均株価は1500円、2018年は2000円、2019年は2600円になる。
*変動率は±30%程度。

今後は予想が当たっても、外れても、株価などは気にせず、長期でがっちりホールドしていこうと思う。

2017年7月7日金曜日

リスクモンスター △

■見つけたきっかけ
日経マネー6月号

■調べようと思ったきっかけ
・底堅いチャートだったから
 <月足の一目均衡表>

・営業利益率が10%以上あり、参入障壁の高そうなビジネスだったから
・日本M&Aセンターが大株主にいたから

■どんな会社か
東京商工リサーチの情報を利用し、独自の方法で格付けした与信情報を提供する会社。この事業が売上の65%を占める。東証2部上場で時価総額は40億円。ストック型ビジネスで総還元性向は60%。

■成長ストーリーは描けるか
・普通、信用調査が活発に行われるのは不況時だが、今は慢性的な人手不足で中小企業のM&Aが活発化しており、それと連動して信用調査も活発化している。今後、人手不足が解消される見込みは薄いので、この傾向は当面続く。

・本社を自社ビルに移転するなどして業務を合理化しているため、利益率は上昇傾向にある。過去5年の一株益成長率は平均15%程度になる。

■参入障壁は高いか
与信情報を提供する会社は長年の実績と信用が求められるので簡単には参入できない。

■問題点
・会員数の伸びが停滞気味で、売上高の伸びが年率5%程しかない。
・浮動株が30%とやや多い。

■割安感はあるか
・一株益成長率は15%程度で、PERは15倍なのでPER的にはほぼ適正株価。
・財務状況は非常に良いが、PBRは0.9倍とやや割安感がある。
・大株主の日本M&Aセンターは年率10%程度の成長率に対しPERが47倍ある。業態はやや異なるものの、そこと比較すると割安感はある。

■チャートや戻り売り圧力について
中長期的には戻り売り圧力はない。移動平均線的にもほどよい感じ。
 <2年チャート>

しかし短期的な移動平均線ではデッドクロスになりそうな気配ではある。
 <1年チャート>

■結論
急成長は期待できないが、業績とチャートは底堅いので、下がりにくい株になる。割安感が多少あり、成長ストーリーはなんとか描けるので、今後1年以内に3割程度の株価上昇は期待できる。しかし長期的に見ると物足りなさがあるのは否めない。実験的に960円で少しだけ購入。

追記 2017/07/09
株価上昇のトリガーが弱いので売却の方向でいく。