2016年9月30日金曜日

なぜ株は買った後に下がるのか

株は買った後に下がる。これは個人投資家に共通する真理だろう。

こうなってしまうのは、株が上がっているときに買うからではないだろうか。上がっている時は、上がっている理由を探すために企業の良い面ばかりが見えてしまい、負の面が見えなくなってしまう。また板を見ても買い注文が売り注文を圧倒的に上回っていることが多く、そこで安心して買ってしまうのである。

しかし株価が上がっているときはすでに過熱気味のことが多く、反転する確率が高くなっている。

株を買うのは、株価が下がっているとき、あるいは横横の時がベストではないかと思う。株が下げているときは、ネガティブな材料にも目がいくようになる。ネガティブな材料を十分考慮して買った株は負けにくいように思う。

性的欲求不満と衝動買い

男女ともに性的欲求不満が高じると衝動買いをしやすいという。
性的欲求不満時は男性ホルモンが女性ホルモンよりも優位になっている状態だが、男性ホルモンは別名攻撃ホルモン、冒険ホルモン、自信ホルモンとも呼ばれており、それが充満した状態になると楽観的でやたらと強気になってしまう。その結果、いっときの欲望に従って衝動買いをしてしまう。

このような思考のバランスがとれてない状態で購入したものは後々、後悔することが多い。これは株式購入に関してもいえることで衝動買いした株はほぼ間違いなく失敗する。さらに悪いことに、このような強気の状態ではしこたま買い込んでしまうことも多く、大きな損失を抱えてしまうことも多い。

衝動買いは危ないとわかっていても、理性では情動を抑えにくく、また各種名言「信じる者と書いて儲かる」(マイホーム氏)、「正しかったかどうかは結果がでてからでないとわからない」(海外ドラマ「24」)などに背中をおされて、ついつい衝動のままつきすすんでしまう。間違ったものを信じても決して儲かることはないのに、間違ったものを正しいと感じさせてしまうところにもこの衝動性の問題が潜んでいるように思う。

衝動買いは性的欲求不満のはけ口としておこる現象なので、その元となっている性的欲求不満を解消してやれば衝動はおさまる。つまりは適切な処理を施してやればホルモンバランスはフラットになり正常な判断がくだせるようになる。

ただし処理のしすぎも問題になる。処理をしすぎると今度は逆に腑抜けかつ弱気になってしまい、本当のチャンスを逃してしまうことにもなりかねない。

ダブルスコープ 買い

本日、2150円で参戦。年率35%程度の成長を続ける限りは保有し続ける予定。

■買った理由
・昨日から開催されているパリの自動車ショーで、各自動車メーカーがEVへのシフトを表明。
・27日に、LG化学がポーランドに電池工場を新設し、売上が2020年に2016年の5倍になると発表。
・テクニカルで買いシグナルがでる。長期のMACDはゴールデンクロスになり、25日と75日の移動平均線もゴールデンクロスに近づいている。一目均衡表では雲の中を進行中でもうじき抜けそう。直近高値圏では出来高が減少しつつある(利益確定の売りが消化されつつある)。
・日銀の買い支えがある

■直近のネガティブ要因
・現時点でのEVは高価格で、充電場所が少ないためそれほど売れてない。
・日本の車メーカーは水素自動車を押している。
・目先は円高
・空売り機関が続々参戦。
・海外勢の日本株離れ

■今後の予想
今秋以降、EVへのパラダイムシフトが急速に進んでいき、ダブルスコープはその流れにのって急成長していく。

今後はこの予想がどのように外れていくのかを冷静に観察していきたい。

2016年9月23日金曜日

完全雇用は株価の天井?

米国では失業率の低下が止まると地合いが反転しやすいという。

失業率の低下が続いているときは景気回復期であるため株価は上昇するが、その低下が止まり横ばいの状態が続くのは景気拡大が止ったことを意味するため株価の上昇も止まるという。過去を振り返ってみると失業率と株価の動きは反比例しており、2001年と2008年のバブル崩壊は失業率が低位の横ばいからやや上昇したときに起きている。

足下の2016年は6月の4.7%から横ばいが続いており、直近の8月は4.9%とやや上昇している。この調子でさらに上昇すれば地合いが反転する可能性がある。

ただし2001年の暴落前の失業率は4.1%であり、2008年は4.6%のため、今の4.9%にはまだ低下余地が残されているようにも見える。

他にも地合いが反転しそうな材料はある。
米株価は指標面ではすでに割高で、S&P500種株指数のPER19倍であり、シラーPERでも割高とされる25倍を超えて今は27倍になっている。この水準はリーマンショック前に近い。

バフェット指標(全株式時価総額とGDPを比較したもの)ではリーマンショック前をすでに上回っている。

景気循環的にも終盤に近い。

反対に、相場を下支えするような材料も依然残っている。
今は過去に例がないほどの低金利状態が続いており、短期金利が0.5%で長期金利が1.7%しかない。2000年時の短期・長期金利は約6%、2007年は5%である。
2001年と2008年のバブル崩壊直前には、政府が景気の過熱を冷ますため利上げを繰り返し、短期金利が長期金利を上回るほどの引き締めを行っているが、今回は景気に過熱感はなく利上げは非常にゆっくりと行われている。

また米景気は相対的に堅調で、米ドルの実質実行レートは16%割高になっている。ドル高は米国にとって引き締め効果があるが、ドルの下落余地が16%残されているので、これは今後の緩和材料になりえる。

それと金融緩和によりかつてないほどの金余り状態でもある。現時点での機関投資家の現金保有比率は、バブルが崩壊してないにもかかわらず、リーマンショック後よりも高くなっている。

■まとめ
今回のバブルは政府・中銀主導で始まった。今のところ中銀がきつい引き締めを行う気配はないのでバブルは当面はじけないのではないように思う。バブルは金融緩和策が限界に達するまで、あるいは政府が事態を収拾しきれないような出来事が起こるまで膨らんでいくのかもしれない。先日亡くなった”日本一の個人投資家”竹田和平氏は「2020年代前半に国債バブルが破裂する」といっていたが、もしかしたらそのあたりまでバブルは膨らみ続けるのかもしれない。

そもそも今回のバブルは国が市場に流通するお金の量を増やして市場を底上げしたものだから、お金の量を減らしていかない限りははじけないのかもしれない。今のところ中銀がお金の量を急激に減らしていくような気配はない。もしかすると、今回のはバブルではなく、中銀の市場底上げ策による株価上昇なのかもしれない。

参考:日経新聞「米国株の高値波乱、2つの不安と1つの希望」(2016/9/12)、「株安局面の株高リスク 英投票後の待機資金に思惑」( 2016/6/17)、eワラント証券のコラム「米国株は高値警戒ゾーン突入か?」(2016/08/15)

バブル崩壊後のお金の流れ

バブルが崩壊すると株式、不動産、商品などが売られるというが、それを売って得たお金はどこに行くのだろうか。安全資産と言われる国債や金に流れるのだろうか。現金で保管されるのだろうか。

対策1、国債を買う。しかしマイナス金利の国債を買うだろうか?
対策2、現金のまま保管する。しかしいてもたってもいられな機関投資家がじっとしていられるだろうか?
対策3、安全資産の金を買う。市場が小さいので吸収できる金額は限られる。
対策4、???

・・わからない。ネットで調べても腑に落ちる説明は見つからない。今後もゆっくり調べていこうと思う。

2016年9月16日金曜日

ダブルスコープ

9月9日の日経産業新聞にダブルスコープの記事が載っていた。記事によるとダブルスコープが新たに開発したセパレータは電気自動車の燃費を4割以上向上させることができ、ダブルスコープはそのセパレータの生産設備を倍増させるとのこと。

ダブルスコープの今年の予想売上成長率は34%であり、現在のPERは24倍と割安感がある。ここ3週間で出来高をつけて大きく上がっているので上昇トレンドが生まれそうな雰囲気がある。詳しく調べてみる。

■どんな会社か
リチウムイオン電池のセパレータ(分離膜フィルム)製造に特化している会社。リチウムイオン電池はスマホやパソコンなどで使われている電池だが、足下では電気自動車向けの需要が急増しているという。

電気自動車の一番重要な部品は走行距離を決めるリチウムイオン電池といわれている。そのリチウムイオン電池は主に負極剤、正極剤、電解液、セパレータで構成されているが、その中で一番重要な部材は性能を決めるセパレータになる。このような状況から電気自動車の普及で一番恩恵を受けるのはおそらくセパレータ製造企業になる。

電気自動車はスマホの1万倍のセパレータを使うため、電気自動車の普及にともないセパレーター企業の業績が一気に拡大していく可能性が高い。

■電気自動車について
地球温暖化や大気汚染問題で日米欧及び中国では燃費規制、排ガス規制が強化されている。2020年頃にはそれが一段と強化されEV(電気自動車)、PHV(ガソリンを補助的に使う電気自動車)の普及が加速するという。

中国では現在、政府が補助金で電気自動車支援をしているので販売台数は世界トップになる。2020年には500万台の販売をめざしているという。
電気自動車で有名なテスラは2020年に100万台、フォルクスワーゲンはは2025年に300万台の目標を掲げている。他の大手自動車メーカーも電気自動車の開発を急ピッチで進めている。

米調査会社IHSオートモーティブによると電気自動車の販売台数は今後年率30%以上のペースで上昇していき、2018年以降はさらに加速していくという。車載用電池の市場規模は2020年に2015年の5倍以上になるという。

ダブルスコープは中国における車載用電池の湿式セパレータのシェアがトップであり、今後は欧州向けの販売が拡大していくという。今回の生産設備の増強はその需要に対応したもので、生産能力は2018年に2015年比で250%以上になるという。

■なぜ株価に割安感があるのか
株価は5月頃をピークに、そこから半値以下まで落ちている。5月に10%程度の公募増資をしたのも影響しているのかもしれないが、一番の理由は競争激化の懸念によるものかもしれない。あるアナリストが中国企業が湿式セパレーターの出荷を開始したため2017年頃には値崩れする可能性があると指摘したあたりから下落している。

しかし車載用電池には高い安全性が要求されるため、新興企業が出荷できるようになるのにはしばらくかかるとも言われている。リチウムイオン電池は発火しやすく、サムスンのスマホのようなことが車で起きれば一大事になるからだ。

ただ中国企業を除外して考えても競争は激化しそうな雰囲気ではある。ダブルスコープは18年までに200億円を投資すると言っているが、旭化成や東レ、SKイノベーション(韓国)、住友化学も200億円以上投資するという。2018年の湿式の生産能力はダブルスコープが3億平方メートル、住友化学は4億平方メートル、旭化成も4億平方メートル、東レは5億平方メートルになるという。供給量は各社とも現在より2倍以上に増え、供給過剰になる可能性がある。

住友化学はテスラ向けを作っているが、4億平方メートルでテスラ車50万台分をまかなえるという。上記に上げた会社の生産能力を合計すると16億平方メートルになり、テスラ社200万台分の電池を作れることになる。4社の湿式セパレーターの世界シェアを50%と見積もると、全世界での生産能力は32億平方メートルとなり、それだけあればテスラ車400万台分の電池が作れることになる。湿式セパレーターはすべてが車載向けではないので仮に300万台分としても、やや供給過剰になるかもしれない。
*独コンサルのローランド・ベルガーの予測では2020年に200万台。

ダブルスコープは生産性を毎年最低でも10-15%は上げられるというので、10-15%程度の価格下落には対応できそうだ。しかし単価下落はその程度でおさまるのだろうか。
ちなみに2015年の下落率は5%ほどになる。高付加価値品を求める顧客が多いためほとんど単価が下落しなかったという。

■その他の問題点
・現在の売上高比率は中国が5割以上となっているが、中国の経済は失速する可能性が高い。
・中国のEV市場は政府主導のため長続きしないといわれている。実際すでに補助金政策はペースダウンしており2016年度の販売台数は下振れするともいわれている。
・リチウムイオンの全固体電池が完成したらセパレーターが不要になる。しかし実用化は2020年以降との話。
・ダブルスコープはセパレータ専業会社のためリスクが高い。
・地合いが悪い。
・空売り機関は1500円台で空売りをしており彼らの目標株価は1300円以下になる。

■結論
環境負荷やエネルギー効率の観点からみると、電気自動車への移行は間違いなく進んでいきそう。ダブルスコープがこの大きな流れに乗れれば業績も堅調に推移していくように思う。社長はやり手っぽいので波に乗れそうでもある。

現時点でも割安感はあるが、中国リスク、過剰供給リスク、専業リスク、下げ相場ということをふまえると、仕込むタイミングはPER20倍の1600円あたりかなと思う。

英EU離脱時の上昇銘柄

6月23日に英国はEUから離脱することが決定して、翌24日の日経平均は7.92%、マザーズは8.5%下げた。そんな暴落相場の中で上がっていた銘柄のその後の株価推移を調べてみた。
*東証2部は4.1%、ジャスダックは4.0%しか下がっていないので調べてない。

■東証1部
・U-NEXT 1.98%上昇 825(6月24日)→674(9月16日) EU離脱日がピーク
・フォーバル 1.26%上昇 723→696  二週間後あたりにピーク
・FJネクスト 0.63%上昇 483→506 上昇トレンド 
・東京鐵鋼 0.49%上昇 411→383 EU離脱日がピーク
・西松屋チェーン 0.35%上昇 1433→1468 二週間後あたりがピーク
・ソフトクリエイトHD 0.21%上昇 955→1014 2ヶ月後にピーク

■マザーズ
・農業総合研究所 19.02%上昇 4380→4145 一週間後に7400円のピークをつける
・AWSHD 16.48%上昇 10600→7480 下降トレンド
・フリークアウト 5.51%上昇 3350→3095 激しいアップダウンで横ばい
・インスペック 5.3%上昇 695→1169 一週間後にピーク

■まとめ
翌日の結果は 7勝3敗
1週間から2週間後は 6勝4敗
約3ヶ月後は 4勝6敗
→市場が8%以上暴落したときは、上昇している全銘柄を買って1,2週間保有すれば2割程度の利益を得られそう。

2016年9月9日金曜日

最後の円高局面?

日本は公的債務がGDP比250%に達しているので、長期的には円安方向へ動いていく可能性が高い。

公的債務を返済するには財政再建をするか、インフレを起こすしかない。債務返済の王道は財政再建になるが、現実的にはそれで完済するのは難しい。なぜなら仮に財政再建をしてプライマリーバランスをゼロにできても、そこに債務の利払い費は含まれていないため、利払い費の分だけ毎年債務は増えてしまうからだ。プライマリーバランスをゼロにすること自体が絶望的と言われているのに、利払い費の分まで税収を増やせるとは思えない。

残された選択肢はインフレを起こすことになる。日本では過去の過重債務はインフレを起こして乗り切ってきた。江戸時代末期には、小判に含まれる金の量を極端に減らして、小判を大量発行したり、第二次世界大戦後にはお札にゼロを付け足すような印紙を貼るなどして、インフレを起こし、債務を返済してきた。

今円高に傾いているのは、貿易収支が黒字になったためだが、長期的に見れば財務状態の悪化は避けられず円の信任低下や日銀のインフレ策によって円安に進んでいくように思う。

■2030年頃にハイパーインフレが起こる?
日本の経常収支が赤字になるのは2030年頃と言われている。経常収支が赤字になってしまうと海外から原油や食料を買うために、海外から資金を調達しなければならず、国は国債を買ってもらうために金利を上げる必要がでてくる。仮に金利を5%まで上げると国の利払い費は年50兆円以上になってしまい財政破綻もしくはハイパーインフレの可能性がでてくる。

今後1,2年以内に、なんらかのきっかけで円が急上昇したらそれが最後の円高局面になる可能性が高い。もしその時に海外の株式市場が暴落していたら、為替と株安で二重に割安になっている海外の株式を買っていこうと思う。

米国株 アライン・テクノロジー

ここはマウスピース型の歯列矯正器具インビザラインを製造・販売しており、今この矯正器具が既存の矯正器具を駆逐していっているという。

この会社が作るマウスピース型矯正器具は厚さ1ミリで透明で目立たないため、付けていてもほとんどわからないという。痛みは少なく、マウスピースを取り外して歯を磨けるため虫歯になりにくく口臭も発生しにくいという。既存の矯正器具が抱えていた問題点を解消しており、特に成人向けで普及が拡大しているという。

使用人数は2014年3月に250万人以上、2015年12月に350万人以上(世界80カ国)と急拡大しており、業績もそれと連動して急成長している。

この器具の問題点は値段が一般的な矯正器具と比べて価格が20万円くらい高いことと、適用範囲が限られていることだが、メリットを考慮すれば20万円高いのは許容範囲と思われ、適用範囲は年々広がっている様子で、あらゆる症例に対応できるようになるのは時間の問題と思われる。

投資する上での問題点は気づくのが少し遅れてしまったこと。押し目が来たら仕込んでいきたい。

2016年9月2日金曜日

インフル新薬 ペプドリvs塩野義

塩野義の新型インフル薬の第2相臨床試験は良好な結果で終了した。ペプドリの新型インフル薬とどちらが有望かを調べてみる。

■塩野義のインフル薬
<作用機序>
ウイルスが複製をつくるのに使う酵素エンドヌクレアーゼを阻害して、ウイルスが細胞内で増殖するのを防ぐ。
<特徴>
・一日一回の投与で効果がある。服用してから24時間後にウイルスが激減する。
・発症後48時間以降に飲んでも効果がある。
・インフルエンザA型、B型、強毒型すべてに効果あり。
・大きな副作用なし

■ペプドリのインフル薬
<作用機序>
ウイルスは細胞内で増殖した後、別の細胞に移動して増殖していくが、その細胞移動のときに使うタンパク質・ヘマグルチニンを阻害してウイルスが体内で増殖するのを防ぐ。タミフルやリレンザと似た仕組みで、ウイルスを細胞内に閉じ込める。
<特徴>
・細胞内での増殖は止められないため、5日程度は外出を控える必要がある。
・リレンザよりも2,3倍の薬剤活性がある。
・発症後48時間以降に飲んでも効果がある。
・インフルエンザA型、B型、強毒型にも効果あり。

■従来のインフル薬 タミフル、リレンザ
<作用機序>
ウイルスは細胞内で増殖した後、別の細胞に移動して増殖していくが、その細胞移動のときに使う酵素ノイラミニターゼを阻害してインフルエンザが体内で増殖するのを防ぐ。ウイルスを細胞内に閉じ込める。
<特徴>
・細胞内での増殖はとめられないため、5日程度は外出を控える必要がある。
・5日間服用。途中で服用をやめると薬剤耐性ウイルスが発生する危険性がある。
・感染後48時間以内に服用しないと効果が限定される。
・すでに耐性ウイルスが出現している。
・効果なしというレポートも散見される。

■富士フイルムのインフル薬 アビガン
<作用機序>
ウイルスが複製をつくるのに使うRNAポリメラーゼを阻害して、ウイルスが細胞内で増殖するのを防ぐ。
<特徴>
・発症48時間後に飲んでも効果あり。
・妊娠中に飲むと胎児に奇形をもたらす可能性がある。
・エボラ出血熱や、他のウイルス感染症にも効果あり。
・特殊な場合でしか使用は認められていない。

■結論
インフル薬で経験豊富なロシュが塩野義と提携した時点で勝負はついていたかもしれないが、やはり塩野義がもっとも有望に見える。

塩野義

インフル薬で覇権を握りそうな塩野義だが、インフル薬はどれくらい売れそうか、それ以外の業績はどうなっているのかを調べていく。

■インフル薬
インフルエンザは毎年世界中で発生している病気なので薬はたくさん売れると思っていたが、実際それほど売れないらしい。薬を飲むと耐性ウイルスができてしまったり、そもそも健康な人なら薬を飲まなくても治ったりするので、日本以外ではあまり薬は使われないという。欧州ではタミフルの保険適用すら認められておらず、タミフルのピークセルは900億円程度にしかならないという。JPモルガンの塩野義のインフル薬の売上予測は2017年が5億円、2018年が30億円、2019年が45億円、2020年が60億円程度となっており、売上が3000億円ある塩野義にとっては、それほどインパクトのある数字ではない。

■インフル薬以外の薬
塩野義の一番の成長エンジンはHIV薬になる。成長率は15%以上で利益率も高い。HIV治療薬では世界トップシェアを占め、売上を度々上方修正している。

有望な新薬群も控えている。中でも麻薬成分オピオイドが引き起こす便秘に対応した薬が近々上市されるらしく、これも高い売上を期待できるという。

JPモルガンのアナリストによると、市場はまだHIV薬とオピオイド便秘薬への適切な評価をしていないという。

■株価について
塩野義の今後3年間の利益成長率は年率12%程度で、現在のPERは20倍になる。製薬業界の平均PERは26.5倍であり、もしもこの水準まで株価が上昇すれば7300円になる。JPモルガンはこれにさらにプレミアをつけて目標株価を8000円としている。現在の株価5000円は割安な水準といえるのかもしれない。