2018年12月7日金曜日

売買チェック

■買い
・ WTI原油価格連動型上場投信
ボックス相場の下限に来たと思ったから。
*インフレや貿易収支への影響が大きい原油価格について考えるため購入。

持ち株チェック

保有比率の高い順に見ていく。

■弁護士ドットコム
基本シナリオ:法律分野をITで変革し最強のプラットフォーマーに
クラウドサインは最強のビジネスチャットツールを手がける(米)Slackと業務提携した。この会社のIRを見ていると契約様式を根本から変えようという意志が伝わってくるので、今後に期待が持てる。・・しかしここのスタッフのセンスと行動力は並じゃない。今後3年の予想売上高成長率は年率30%程度。今年の予想平均時価総額は売上の20倍程度の620億円(株価2800円)。来年の予想平均時価総額は820億円(株価3800円)。変動率は±30%。

■シンクロフード
基本シナリオ:飲食店の運営をITで変革・サポートし総合プラットフォーマーとして盤石な地位を築く
決算下振れで株価急落。会社説明によると下振れしたのは期ズレや天候不順、投資によるとのことだが、それでも売上の伸び率(24%)には物足りなさを感じる。今最も投資している分野が求人事業というのも不透明感が強い。この分野は「デス・バイ・アマゾン」ならぬ「デス・バイ・インディード」になる可能性が高い。実際、すでに求人広告掲載数は、ここ2ヶ月、前月比減となっている。*インディードも減っているので季節要因かもしれない。

ただユーザー登録数が加速気味なのはよい兆候。今後成長率は若干鈍化していくかもしれないが基本シナリオはまだ完全には崩れていない。今後3年の予想売上高成長率は年率30%から20~25%にダウン。今後1年の予想平均株価は成長率低下や金利上昇に伴い850円(変動率35%)にダウン。株価は最高値(1763円)から「半値八掛け二割引」の値(564円)まで落ちたので底打ちしたように見える。

業績に最もインパクトのある求人広告掲載数を記録していく。関東 2158(2344)  関西 624(688)  東海 334(313)  九州 118(105)  北海道・東北 110(127) 総計 3344(3577)
市場独占型の求人プラットフォーマー・インディードの掲載数も記録していく。東京都の飲食店 47120(79902) 大阪府の飲食店 28540(29653)
*( )内は先月の数

■アイスタイル
基本シナリオ:美容分野をITで変革し最強のプラットフォーマーに
アイスタイル主催のビューティーデイ(12月3日)は一時アクセス激増によりパンクという失態を犯したようだが(笑)、1日3億円の売上目標をクリアし、2000ブランドを集めることができたので成功したように見える。アイスタイルの新戦略「ブランドオフィシャル」には@コスメECへのブランド誘致がカギになると思うので、一時的にしろ2000ブランドを集めたのは大きな前進に見える。

@コスメのデータを利用したアジア販売も加速しているようだが、この事業は日本で販売されている優良コスメをアジアに紹介する役割も担っているので、@コスメに登録しているコスメ会社との関係がより深まり、これもまた「ブランドオフィシャル」にプラスに働きそう。・・ただそれでもEC事業は「デス・バイ・アマゾン」の領域でもあるので、そこがゆくゆくは問題になりそうでもある。今後3年の売上高成長率は年率20%。今後1年の予想平均株価は金利上昇に伴い1300円から1100円にダウン。(変動率±30%)。

■ペプチドリーム
基本シナリオ:ペプチド創薬で最強のプラットフォーマーに
特に問題ないが、利益が激増するのはしばらく先になりそう。今後3年の売上高成長率は年率20%程度。今後2年の予想平均株価は4600円で、予想レンジは3400-5800円。

■厳選ジャパン(投資信託)
基本シナリオ:ビッグチェンジ銘柄投資でテンバガー達成
今回の調整局面もうまく切り抜けたように見える。市場平均より戻りが早いのはさすが。ただ今回の調整でいくらプロでも市場の大波にはあらがえないとわかったので、市場がピークをつけたと思ったら売っていこうと思う。今年の予想基準価額上昇率は30%程度で予想平均価額14000円(変動率±30%)。

■朝日ネット
基本シナリオ:ストックビジネスで地味に成長&株主還元
ここは今回の調整でもほとんど影響を受けなかった。地味なストックビジネス株はこういう時に安心感がある。株価は出来高をつけて一時上昇。来期は最高益になりそうなので、じきに天井を破るかもしれない。今後3年の予想売上高成長率は年率6%程度でEPS成長率は15%程度。今後1年のの予想平均株価は550円(変動率15%)。

■日進工具
基本シナリオ:ニッチトップの極細ドリルで市場開拓
特に問題なし。今年の予想平均株価は3000円(変動率20%)。今後3年の売上高成長率は年率8%。

■パーク24
基本シナリオ:最強のカーシェアプラットフォーマーに。海外駐車場事業の効率化で利益拡大
日経記事(12/4)で、この会社はデータを分析し、駐車場の料金やカーシェアの配備車輌台数を微調整していることがわかった。「満車が続くと客離れを起こすので値上げする」というのは少し意外だった。今後3年の売上高成長率は年率5%で利益成長率は10%程度。今年の予想平均株価は3200円(変動率20%)。

■コンテック
基本シナリオ:ダイフクとファナック向けのエッジコンピューティング機器で業績拡大
11月の決算は会社予想よりやや上振れ。半導体関連が下振れすると思ったが、ここは供給過剰が問題となっているメモリー関連とは関係なさそうなので、杞憂に終わりそう。ただそれでも世界的に設備投資に不透明感が出始めたので今年の予想平均株価は2400円から2000円にダウン(変動率20%)。今後3年の売上高成長率は年率5%で利益成長率は10%程度。

■今後の戦略
上げ相場は最終局面に入ったと思うので今後の買いはなし。ゆっくりと売却していく。

マクロ系金融資産チェック

保有比率の高い順に見ていく。

■日経レバETF
基本シナリオ:ファンダメンタルズ的にもテクニカル的にも中期的に上昇
11月の中間決算では下方修正が散見されたが予想EPSはプラス圏を維持できそうなので下値は限定的。来期の業績は当初+10%を予想していたが、不透明感が出てきたので、この不透明感が払拭されるまでは上値は重そう。もしかすると日本企業の業績はほぼほぼピークをつけているのかもしれない。日経平均の今後1年の予想平均株価は25000円から23500円(変動率±15%)にダウン。

■FXでドル買い(レバ10倍)
基本シナリオ:中期ではドル高、長期では円高。・・もしかしたら長期でもドル高。
円高、ドル高の要因を列記し、各々の中期的なインパクトを★で示していく。
<円高要因>
・日本よりも米国のほうがインフレ率が慢性的に高いので購買力平価は円高傾向。★★
・米国の保護貿易や完全雇用などにより米国のインフレが加速。
・ドル安により米国のインフレが加速。
・日本の経常収支は黒字が続いている。★
・日本企業による海外企業の巨額買収により経常黒字がさらに拡大する。★
・原油安により貿易黒字が拡大する。☆
・米国の財政赤字の拡大。☆
・米国は完全雇用下における保護貿易政策により貿易赤字が拡大する。★
 *完全雇用下では米国内で生産を増やすことができず、輸入するしかない。
・米国の金利上昇によりドル不足が発生し、ドルの調達金利が上昇。★
・ドル高、米金利高によって新興国経済が減速し、米国からの輸出が落ちこむ。☆
・日本は対外純資産を世界で最も保有している。
・日銀の金融緩和が限界に近づきつつある。
・世界が景気後退期に入る。
・海外で金融緩和が進む。
・米国景気の減速と、利上げの鈍化または停止。☆
・トランプ大統領の口先介入。
・ムニューシン米財務長官の為替条項導入発言により、これ以上の円安は容認しないというイメージが強まった。☆
 *しかし日本はG7加盟国として「相手国の許可なく為替介入を実施しない」との協定を守っているので、仮に為替条項を結ぶことになってもたいした足かせにはならない。
・投機筋のドルの買い持ち高が16年12月以来の高水準。★
・貿易戦争や新興国不安によるリスクオフ。☆
・金融危機や戦争、大災害によるリスクオフ。
・米議会の上院と下院でねじれが生じ、経済政策や外交に不透明感が生じた。☆
・原油高により産油国や中国、インフレに敏感なEUなどの通貨が上昇し、ドルが下落する。
・米国は双子の赤字(貿易赤字と財政赤字)を解消するために、プラザ合意のようなドルの切り下げや、ドルの大量発行を行う。
・米国の双子の赤字やドル高により、海外勢が米国債を買わなくなる。☆
・新興国が通貨防衛のために米国債を売る。
・チャート上の節目を抜けた後のオーバーシュート。

<ドル高要因>
・日本より米国のほうが経済に勢いがある。★
・米国の金融政策は引き締め傾向で金利が高い。★★☆
・日本の金融政策は緩和傾向で金利が低い。★★
・米国債は需給の緩みから米長期金利が上昇傾向。★★
 ・米国のリパトリ減税により米国にドルが環流している。★☆
・米企業が決算期を迎える年末は、米企業が海外で稼いだ資金を米国内に戻すため、ドル需要が強まる。☆
・米国の保護主義により米国の貿易赤字が減少するという思惑が生じる。☆
・日本企業による海外企業の巨額買収。★★
・原油高による日本の経常収支の悪化。☆
・原油安などにより米国の期待インフレ率が低下し、米国の実質長期金利が上昇し米国債が買われる。
・不透明感が払拭された後のリスクオン。
・米利上げ打ち止めによるリスクオン。
・月100兆円を超える米国債の発行にはドル高が有利。??
・チャート上の節目を抜けた後のオーバーシュート。

→円高要因の★が11個、ドル高要因の★が12.5個でドル高圧力が強そう。

■米国国債4倍ベア7(投資信託)
基本シナリオ:米長期金利は長期で上昇
<金利が上がる要因>
・米長期金利の基準値は名目経済成長率(経済成長率+インフレ率)になるが、現在の名目経済成長率は5.2%(2.8%+2.4%)であり、それと比べると現在の金利2.89%はまだ低い。★
・米国の大型減税により税収が大幅に減り、財政赤字は拡大傾向。★★★☆
・米国政府が大型インフラ投資や中間層向けの減税を行う。
・米国は今後長期的に年金や医療、福祉の負担が拡大していく。★
・米国の双子の赤字(貿易赤字と財政赤字)で、米国債への信頼性が低下し、海外投資家が米国債投資に慎重になる。★
・米国債の格付けが引き下げられる。
・海外投資家は、為替ヘッジのコスト上昇で米国債の購入を減らす。☆
・海外投資家が買わなくなった分を米国内の投資家に買ってもらうためには魅力的な利回りが必要になる。
・米国債の償還は2019年から激増していく。2019年は880兆円くらいになる。*新規の国債発行は150兆円くらい。★☆
・FRBが国債を売却し始めている。年100兆円くらい?★
・新興国は自国通貨を支えるために米国債を売る。
・米中貿易戦争により、中国が米国債を買わなくなる。
・FRBが政策金利を引き上げる。★
・米国を含めた先進国の賃金上昇率やインフレ率が高まり、先進国全体の金利が上がる。
・リスクオンによる米国債(安全資産)売り。

<金利が下がる要因>
・米国の名目経済成長率は今年がほぼピークの水準で、今後は穏やかな低下傾向。★★
・先進国では米国の長期金利だけが高いので、米長期国債に金余りマネーが殺到する。★★★
・米国株の益回りは3.2%程度で、同程度の利回りがある米10年債へ資金がシフトする。☆
 *この場合の株式益回りは、シラーPER(景気循環調整後PER)の逆数。
・米国の賃金上昇率やインフレ率が高まらずFRBの利上げペースが遅い。政策金利は3%程度で頭打ちになりそう★
・世界経済の減速懸念が強まる。★
・景気後退期に入る。
・米議会の上院と下院でねじれが生じたので、財政拡張をしにくくなった。☆
・米国は大型インフラ投資や減税をしようとはしているが、財源がないので、しにくい。☆
・ヘッジファンドは金利低下を見込んで、国債空売りの建玉を手仕舞い始めている。☆
・FRBが国債の売却をやめる。
・FRBが日銀のように国債を大量購入し長期金利のコントロールを行う。
・FRBが利下げなどの金融緩和を行う。
・米国政府が財政収支を均衡化させるため増税を行う。
・リスクオフによる米国債(安全資産)買い。

→金利高要因の★が10.5個、金利安要因の★が9つで、金利上昇圧力が強そう。
FRBの利上げ停止観測により、足下で長期金利は下落しているが、長期的には需給の緩みから上昇基調をたどりそう。

チャートでも短期チャートではWトップを形成しているが長期チャートではWボトムを形成しているので、いったん下落してから再上昇していくパターンになるように思う。
<1年チャート>
<10年チャート>


■WTI原油価格連動型上場投信
基本シナリオ:原油価格は50ドルから75ドルのボックス圏で動く。
<原油価格が上がる要因>
・サウジの財政均衡に必要な原油価格の水準は1バレル80ドル、アラブ首長国連邦は60ドルなので減産に動く。*ロシアは40ドル。★★
・米国のシェールオイルの採算ラインは50ドルなので、50ドル以下になると供給が減る。☆
・イランやベネズエラの減産。★
・産油国で不測の事態が起こる。
・産油国ではここ数年投資をあまりしてこなかったので増産余地は小さい。
・米国ではパイプラインの建設が滞っているため供給に上限がある。
・世界経済の成長に伴い、原油消費量は微増傾向。★☆

<原油が下がる要因>
・米国はイランへの制裁として、イラン産原油を輸入している国に禁輸するよう言っていたが、それが一部解除された。★
・OPECやロシアはイラン産原油が禁輸されることを想定して増産していた。★★
・米国のシェールオイル生産量は過去最高を更新。★
・米国はインフレを抑制するために産油国に増産を要求。OPEC盟主のサウジは記者殺害事件の追求を恐れて減産に動きにくい。☆
・景気後退期に入り原油消費量が減る。
・暖冬で石油消費量が減る。☆
・原油の最大輸入国である中国は貿易戦争などにより景気が減速気味。☆
・インドは通過ルピーの大幅下落により輸入コストが急増。☆

→原油が上がる要因の★が5個で、下がる要因の★が6個なので、若干供給過剰気味に見える。チャートは足下でWトップを形成しているのでいったん天井を打ったように見える。下値は赤い移動平均線、もしくは45ドルあたりの累積売買高になりそう。
<5年チャート>

■今後の戦略
列記した項目がごちゃごちゃしてきたが、今後はこれらの項目を長期で観察し、何が決め手になるのかを見極めていく。

市場環境チェック

株式市場への影響が大きい企業業績、金利、金融政策などをチェックしていく。

■ファンダメンタルズ
<EPS成長率>
・世界株式の2017年のEPS増加率は17%、2018年は15%、2019年は10%。
・米国株式の2017年のEPS増加率は11%、2018年は23%、2019年は10%。
 *ゴールドマンの2019年の予想は7%で、大幅な関税引き上げをした場合は0%。
・日本株式の2017年のEPS増加率は22%、2018年は5%、2019年は8%。
 *野村證券の2018年予想は10%で、2019年も10%。
*ベースの数値はJPモルガンの予想。参照:(2018/09/28日経)
→問題なし

<経済成長率>
・世界の2017年の成長率は3.7%、2018年は3.7%、2019年も3.7%。
・米国の2017年の成長率は2.3%、2018年は2.9%、2019年は2.5%。
・ユーロ圏の2017年の成長率は2.4%、2018年は2.2%、2019年は1.9%。
・日本の2017年の成長率は1.7%、2018年は1.1%、2019年は0.9%。
・新興国の2017年の成長率は4.7%、2018年は4.9%、2019年は5.1%。
・中国の2017年の成長率は6.9%、2018年は6.6%、2019年は6.2%。
*数値はIMFの予想。参照:(2018/10/09日経
現在、世界同時成長が起きており、このような状態は通常2,3年続くという。ただしこのような世界同時成長は景気サイクルの終盤に見られる特徴的な現象とも言われている。
世界同時成長は海外で6割を稼ぐ日本企業には追い風になる。その半面、海外の景気後退期は日本企業にとって強い向かい風になる。このような経済構造に円高効果が加わり、日本株は米国株の1.5倍くらい下落する。
→問題なし

<インフレ>
・米国の予想インフレ率は2018年度が2.4%。
・欧州の予想インフレ率は2018年度が1.5%。
・日本の予想インフレ率は2018年度が0.9%。
*貿易戦争が激化すれば米国のインフレは加速する。
*賃金上昇などによりインフレ圧力は高まりつつある。
→問題なし

<金利>
・米国の短期金利は2.76%で長期金利は2.89%。
・日本の短期金利は-0.14%で長期金利は0.06%。
*米国の短期金利が長期金利を上回ると景気後退に陥るといわれるが、長短金利差が0.13%まで迫っている。じきに逆転するのかもしれない。
*米国の実質長期金利(名目長期金利-インフレ率)が潜在成長率を上回ると景気後退に陥るといわれるが、足下の実質長期金利は0.49%で、潜在成長率は1.8%。
→問題なし

<債務>
・米国の民間債務残高はGDP比150%で横ばい傾向。
・日本の民間債務残高はGDP比150%で横ばい傾向。
・中国の民間債務残高はGDP比210%まで上昇しているが、足下では横ばい傾向。日本のバブル期のピークは220%になる。
・新興国の民間債務残高はGDP比140%で、現在も微増傾向。
・過去10年で各国政府は債務を大きく膨らませている。
*中国の民間企業の債務は危険水準に達しているが、習政権は経済の筆頭課題に金融危機封じ込めを据えているので、それほど心配しなくてもよさそう。ただ貿易戦争などで経済成長が大きく下振れすれば一気に債務圧縮局面(景気後退期)に入る可能性がある。
*新興国は米利上げや原油高などで通貨安・高インフレ・高金利になり、債務圧縮局面に入りつつある。
→やや問題あり

<金融政策>
・米国は引き締めに転じている。
・日本は金融緩和を継続しているが限界に近づきつつある。
・欧州は量的緩和を2018年12月に終了し、利上げは19年の秋以降になる。
・世界の量的緩和は2017年3月にピークをつけ、その後は減少傾向にある。2019年には明確なマイナスへと転じる。
*引き締め速度は穏やかだが全体的に引き締め傾向。これまでの経済拡大は金融緩和が原動力であったため、マイナス転換によりすべてが逆回転する可能性がある。
*米国はトランプ大統領の財政拡大策により次の景気後退期には金融政策しか残されていない。そのためFRBは粛々と金融引き締めを進めていくしかない。とはいってもFRBは景気後退は望んでおらず、また米景気に過熱感もないので、利上げは中立金利(3%)あたりで打ち止めになりそう。
*日本は次の景気後退期に、ヘリマネなどの禁じ手をのぞけば、金融面でも財政面でも打つ手がない。
→やや問題あり

<政治>
・日本は安定。19年の消費税引き上げは株式市場の鬼門になると思っていたが、政府の大盤振る舞い(支援給付金、軽減税率、教育無償化、補正予算)や携帯料金引き下げなどにより、消費増税の負担が相殺・超過しそうなので株高要因になりそう。
・海外は不安定。米国と中国の覇権争いは、ハイテク・軍事分野を中心に今後長期にわたり続きそう。先日のG20で米国の関税引き上げはいったん延期されたが、解決にはまだまだ時間がかかりそう。
・英国のEU離脱の条件は、EUが新たな離脱国が出てくるのをけん制するため、英国にとって厳しいものになりそう。12月の離脱交渉は決裂して、英国は国民投票を実施し、EU残留という形になるのかもしれない。
→やや問題あり

<その他の景気後退シグナル>
・過去の景気後退期はすべて米国の需給ギャップがプラスに転じた後に始まっているが、足下ではプラスに転じている。
・コモディティ、米国債、米国株、ドルの4資産の値動きで、年間収益が高い順位が、コモディティ、米国債の順番になるとその翌年に景気後退が起きると言われているが、今年は今のところコモディティ、米国株の順。
・景気拡大期の終盤は、金余りと鈍化した成長率を引き上げるため巨大M&Aが盛んになるといわれているが、今がまさにその状態。
・景気拡大期の終盤には、業績格差が広がりやすいと言われているが、今がまさにその状態。
・世界景気の先行指標である銅価格が、ピークアウトするかどうかの分岐点にあったが、いったん反発。
・経済危機をいち早く察知する米低格付け債の利回りは低位で安定している。
・起こり得ない衝撃的な事象の発生を織り込むSKEW指数(ブラックスワン指数)は現在最低レベルの116。
・中銀の利上げ局面における株式相場は「1,金融緩和の終了を嫌気した調整」→「2,利上げ中盤にかけての良好なファンダメンタルズを好感した上昇」→「3,利上げ終盤の過度な引き締めを懸念した反落」→「4,利上げの打ち止めを好感した反発」→「5,ファンダメンタルズの悪化を織り込んだ大幅な下落」という経過をたどることが多いが、今は「4,利上げ打ち止めを好感した反発」局面に入りつつあるので、いったん上がりそう。
→やや問題あり

■テクニカル
・チャート
→問題なし

・ディストリビューションデー
日経平均 先月5日 今月5日
NYダウ 先月5日 今月5日
ナスダック 先月5日 今月4日
→やや問題あり

・騰落レシオ
日経平均 96
NYダウ 101
ナスダック ?
→問題なし。

・信用評価損益率
ー10.57%
→問題なし。

eワラントのトレーディングインディケーター
<オノダモデル>「買い」
危険度:1月69% →2月74% →3月52% →4月52% →5月36% →6月43% →7月39% →8月44% →9月61% →10月18.7% →11月36% →12月68%

<サムモデル>「売り」
2018/1/18に「売り」に転換。2018/2/20に「買い」に転換 。2018/5/18に「売り」に転換 。2018/7/17に「買い」に転換。2018/08/20に「売り」に転換。2018/09/18に「中立」に転換。2018/10/22に「買い」に転換。2018/11/19に「売りに転換」。
*この指標は今年初めの暴落を予兆していたので目を付けたが、その後はけっこう外してる。あまり使える指標ではないかもしれない。
→問題なし

■株ログ・インディケーター
問題なし:8件、やや問題あり:5件、問題あり:0件、危険度:10月40%→11月30%→12月35%。投資判断:様子見
中期的には特に問題なし。今後FRBの利上げ停止を好感して株式市場が上昇したら、そこが最後の売り場になりそう。

長期計画チェック

「平時にじっくり考えて決めておいたことは、後悔する判断にはなりにくい」いわれているので、今のうちから長期的な計画を考えていく。

現時点の予想では2020年頃に景気後退期に入るとみている。ただ今回の景気拡大期は低成長・低金利の中で浅く長いものだったので、景気後退期も浅く長いものになりそう。

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過去の景気後退に共通するパターン:米国の長短金利逆転後に日本株が50%超下落。

12月3日に5年債と2年債の金利が11年ぶりに逆転した。モルガンスタンレーは19年中頃に3%付近で10年債と2年債の逆転が起こると予想しているので、20~21年頃に景気後退に陥るのかもしれない。

ただ今回は利上げ停止のポイントが過去の水準(5%超)と比べてだいぶ低く(3%程度)なりそうなので、景気後退は比較的穏やかなものになるかもしれない。

これ以外にも景気後退や株価暴落を穏やかにするいくつかの要因がある。
・バブルは借金をして資産を買いまくることによって生じるが、先進国では今回そのような現象はあまり見られない。
・先進国の金融機関の財務状態は比較的良好なため、先進国では金融危機(信用収縮)は起こりにくい。
 *金融危機(信用収縮)、つまりクレジットの消失が起こらなければ、金余りの状態が続く。*クレジットとは世の中に流通する大半のお金のこと。参照:「レイ・ダリオの30分でわかる経済の仕組み」(YouTube)
 *中国の不動産にはバブルの兆候がある。
 *バブル崩壊の仕組み。金利が上がりだすと株式や不動産などが売られ資産価格が下がりはじめる。バブル系投機家は資産価格が上昇することを前提として資産を買っているので、資産価格が下がりだすと資金の逆回転が始まる。
・中国政府には財政出動の余地がある。
・リーマンショックの記憶がまだ残っているため、皆慎重になっている。
・FRBは次の景気後退期に財政政策や金融政策で打つ手がほとんど残ってないことを知っているので、金融引き締めはゆっくり進める。
・現在、第4次産業革命が進行中で、これは今後も長期にわたり続く。
・世界の株式量は減少傾向だが、その一方でマネー流通量は増加傾向なので株式には良好な需給環境が続く。
・先進国では株式以上に債券が割高なので、株式に優位性がでやすい。
・日本株に限れば、日銀のサポートがあるので下がりにくい。

以上を総合すると、次の景気後退や株価の下落は比較的穏やかに進む可能性が高い。
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2019年の半ば頃になったら徐々に株式とドルを売って、米国債を買っていく。

ただしそれよりも前に
・日経平均が3万円
・1ドルが120円
・米長期金利が4%
このいずれかになった場合は、その時点でポートフォリオをシフトしていく。

景気後退期に入り円が80円くらいまで上昇したら、米国債を売って、外国株や日本株、ドルを買っていく。

次の景気の底で仕込みたい株式
・(米)ALPHABET。人工知能や自動運転の本命。
・NASDAQ100ETF。第4次産業革命の中核ETF。
・インド株のETF。インドは2040年まで人口ボーナス期が続く。
・インドネシア株のETF。インドネシアは2030年まで人口ボーナス期が続く。

1937年のようになる?

世界最大のヘッジファンドを率いるレイ・ダリオ氏によると現在の状況は1935~40年の状況と似ているという。

「1929年の大恐慌後は政策金利がゼロに近づき、中銀は金融資産を大量に購入してバランスシートを拡大している。その結果、金融資産の価値が急激に上昇し、世界中で貧富の格差が拡大した。富める者と貧しい者の間に緊張が高まりポピュリズムが台頭した。」

確かに今の状況に近いように見える。

「大恐慌から抜け出した1937年にFRBは金融引き締めに転じているが、利上げペースが速すぎたため相場が大幅下落(50%以上の急落)し、1938年に再び景気後退に陥っている。この頃になると世界的にポピュリズムが台頭しはじめ、政治が市場を動かすようになった。国家間の緊張と対立が高まり、世界がブロック経済に傾斜し、世界的なコスト高を招いて経済をさらにむしばんだ。FRBは相場が急落した1938年に再び金融緩和に動いているが、1942年までNYダウは下落し、1937年の高値を回復したのは1945年の12月になる。」

ダリオ氏によると、利上げを急げば同じような展開になる可能性があるという。また今回は前回と違って景気が悪化しても中銀に金融緩和の余地がほとんどないので、利上げは急ぐべきではないとも言っている。

FRBはここら辺のことも熟知していると思うので、利上げは慎重に進めるように思う。

参考:(レイ・ダリオでGoogle検索)

貿易戦争の影響は限定的?

「中国のシリコンバレーで見た貿易摩擦の行方(藤田勉)」(日経マネー研究所、11/12)に貿易摩擦の影響が限定的な理由について書かれていたので簡単にまとめておく。

■貿易戦争の影響が限定的な理由
1、米中両国の経済規模と比べて、関税引き上げの規模は小さい。米国のGDPは2140兆円だが中国からの輸入額56兆円はその2.6%にすぎない。そのうち関税引き上げ分は4兆円で、これも0.2%と小さい。中国においても対米貿易輸出額はGDP比3.6%で、関税引き上げ分は0.3%にすぎない。

2、人民元は10%下落しているため関税引き上げの影響は緩和される。また中国政府は金融緩和などの措置も打ち出しているので極端な事態にはなりにくい。

3、中国からの輸出品は、かつては玩具や繊維などの低付加価値品だったが、現在は電機や自動車、スマホなどの高付加価値品にシフトしている。iPhoneのように米国が生産を委託しているものも多く、米国が中国に徹底的に制裁を課すことは難しい。

4、米国が過度に制裁を加えると、世界の経済や株式市場が大混乱に陥り、結果として、トランプ政権が大打撃を受けることになる。

■貿易戦争は長期的にはプラス
1980年代の日米貿易戦争では、結果として、日本経済の開放と制度の国際化が促進された。今回の米中貿易戦争では、中国は市場を開放し、知的財産権の重要性を認識しつつある。長期的にこれらは中国経済、ひいては世界経済に大きなプラスとなる。

・・ということだが、12月5日に米国政府は中国の巨大企業ファーウェイの機器使用を禁止する調整に入った。今回の貿易摩擦は軍事的な要因も絡んでいるので、藤田勉氏の見立てよりもややこしい展開になるのかもしれない。

2018年11月2日金曜日

売買チェック

■買い
・アイスタイルを買い増し
押し目が来たと思ったから。・・押し目じゃなかったみたい(笑)。

<成長株投資には厳しい環境になってきた?>
日経記事によると、株価はもともとリスクを考慮して割り引かれるが、低金利が続くような低リスク環境だとリスクが軽視され、成長株ばかりに資金が流れるという。しかし金利が上がり始めると、投資家の視点が会社の成長期待から株式の益回り(投資利回り)にシフトし、益回りの低い成長株は売られやすくなるという。
*株式の益回りとはPERの逆数で、例えばPERが10倍なら益回りは10%になり、PERが50倍なら益回りは2%になる。債券の利回りに近い概念。

10月始めの金利上昇時にアイスタイルなどの高PER株が軒並み売られたのは、おそらくこのような理由になる。今後も金利は上昇していきそうなので、成長株には投資しにくい環境になっていくのかもしれない。ただ前回、2006~2008年ごろの金利上昇局面ではGoogleやAmazonなどの高PER株は穏やかに上昇しているので、そこまで神経質にならなくてもよいのかもしれない。とはいっても、成長株投資に不利な環境になりつつあるのは間違いないので、成長株投資は当面控えようと思う。

過去の暴落時には大きく売り込まれた高成長株に持ち株を一気にシフトしてきたが、今回は上記のようなこともあり、しなかった。

参考:「バフェット流運用の受難」2018/8/25日経
   「米金利高、変わる投資の指標」2018/10/11日経

・日経レバETFを買い増し
押し目が来たと思ったから。
PER12.8倍の日経平均の益回りは7.8%で、日本の長期金利、0.12%と比較した場合、割安感がある。問題は今後のEPSの伸び率になるが、米中貿易戦争により若干下振れしそうではあるが、今期、来期共にプラス圏は維持できそう。

・FXでドルを買い増し
押し目が来たと思ったから。
日米金利差、原油の先高感(日本の貿易赤字の拡大)、日本企業の実需のドル買いにより、ドルには先高感がある。

・米国国債4倍ベア7(投資信託)を新規買い
米長期金利が長期的に上昇していくと思ったから。
ただこの投信は、米国10年国債×4を空売りしており年率12%以上の金利負担があるので、利益についてはあまり期待してない。プラス圏を維持できたらいいかな程度。

持ち株チェック

保有比率の高い順に見ていく。

■弁護士ドットコム
基本シナリオ:法律分野をITで変革し最強のプラットフォーマーに
電子契約事業のクラウドサインの市場占有率が80%と非常に高いことがわかった。市場占有率が高いほどネットワーク効果が働きやすいので、今後はより有利な展開になりそう。今後3年の売上高成長率は年率30%程度。今年の予想平均時価総額は、売上の20倍程度の620億円(株価2800円)あたり。

■シンクロフード
基本シナリオ:飲食店の運営をITで変革・サポートし総合プラットフォーマーとして盤石な地位を築く
飲食店は人材難や材料高などにより収益率が落ちつつあるので、運営の効率化をサポートするシンクロフードには当面良好な事業環境が続きそう。今後3年の予想売上高成長率は年率30%程度。今年の予想平均株価は1000円(変動率±35%)。
業績に最もインパクトのある求人広告掲載数を記録していく。関東 2344(2339)  関西 688(685)  東海 313(307)  九州 105(107)  北海道・東北 127(144) 総計 3577(3582)
市場独占型の求人プラットフォーマー・インディードの掲載数も記録していく。東京都の飲食店 79902(96498) 大阪府の飲食店 29653(33185)
*( )内は先月の数

■アイスタイル
基本シナリオ:美容分野をITで変革し最強のプラットフォーマーに
ここは買った直後に株価が10%以上下がってしまいとても不愉快な気分にさせられた(笑)。今回のようなチャートパターンでファンダメンタルズに不透明感がある場合は危険だということを覚えておきたい。今日は第1四半期決算だったが、@コスメのビジネスモデルの切り替えがうまくいっているのか確認できなかった。不透明感が払拭されなかったので、株価はしばらく冴えない展開が続きそう。決算資料によると第2四半期以降に5億円かけて@コスメのECに誘導するキャンペーンを行うようだが、値段、品揃えに優位性がないので不発に終わりそう。利益成長はほぼ限界に達しているのかもしれない。今後3年の売上高成長率は20%。今年の予想平均株価は1300円から1200円にダウン。(変動率±30%)。

■ペプチドリーム
基本シナリオ:ペプチド創薬で最強のプラットフォーマーに
特に問題なし。今後3年の売上高成長率は年率20%程度。臨床試験の進捗的に利益が激増するのはしばらく先になりそう。今年の予想平均株価は4600円で、予想レンジは3400-5800円。

■厳選ジャパン(投資信託)
基本シナリオ:ビッグチェンジ銘柄投資でテンバガー達成
特に問題なし。今年の予想基準価額上昇率は30%程度で予想平均価額14000円(変動率±30%)。

■朝日ネット
基本シナリオ:ストックビジネスで地味に成長&株主還元
特に問題なし。今後3年の予想売上高成長率は年率6%程度でEPS成長率は15%程度。今年の予想平均株価は550円(変動率15%)。

■日進工具
基本シナリオ:ニッチトップの極細ドリルで市場開拓
10月31日の第2四半期決算は会社予想よりやや下振れ。今後も貿易戦争により不透明感が続きそうなので、今年の予想平均株価は3300円から3000円にダウン(変動率20%)。今後3年の売上高成長率は8%。

■パーク24
基本シナリオ:最強のカーシェアプラットフォーマーに。海外駐車場事業の効率化で利益拡大
増資リスクを懸念していたが、やはり増資みたいなことをした。自己資本比率の低い会社が積極投資をしていると増資しやすいことが確認できた。ただこれで増資懸念はなくなったので、長期資金が入りやすくなりそう。今後3年の売上高成長率は5%で利益成長率は10%程度。今年の予想平均株価は3200円(変動率20%)。

■コンテック
基本シナリオ:ダイフクとファナック向けのエッジコンピューティング機器で業績拡大
ここも貿易戦争により中期的に設備投資関連は下振れしそうだが、長期的には自動化関連は順調に拡大していきそう。今年の予想平均株価は2400円から2000円にダウン(変動率20%)。今後3年の売上高成長率は5%で利益成長率は10%程度。

■今後の戦略
金利が上昇してきたので成長株投資は終了。今後は日経平均や為替、国債などのマクロ系金融商品をちまちま売買して、市場の仕組みや資金の流れについて考えていく。

マクロ系金融資産チェック

保有比率の高い順に見ていく。

■日経レバETF
基本シナリオ:ファンダメンタルズ的にもテクニカル的にも中期的に上昇
株価は振り出しにもどってしまったが、基本シナリオに大きな変化はない。米中貿易戦争により不透明感が出て、設備投資関連は若干下振れしそうだが、EPS成長率はなんとかプラス圏を維持できそう。日銀のサポートもあるので下値は限定的。日経平均の今後1年の予想平均株価は24500円(変動率±15%)。

■FXでドル買い(レバ10倍)
基本シナリオ:中期ではドル高、長期では円高
円高、ドル高の要因を列記し、各々の中期的なインパクトを★で表していく。
<円高要因>
・日本よりも米国のほうがインフレ率が慢性的に高いので購買力平価は円高傾向。★★
・米国の保護貿易や完全雇用などにより米国のインフレが加速。
・ドル安により米国のインフレが加速。
・日本の経常収支は黒字が続いている。★
・日本企業による海外企業の巨額買収により経常黒字がさらに拡大する。★
・米国の財政赤字の拡大。☆
・米国は完全雇用下における保護貿易政策により貿易赤字が拡大する。★
 *完全雇用下では米国内で生産を増やすことができず、輸入するしかない。
・米国の金利上昇によりドル不足が発生し、ドルの調達金利が上昇。★☆
・日本は対外純資産を世界で最も保有している。
・日銀の金融緩和が限界に近づきつつある。
・海外で金融緩和が進む。
・トランプ大統領の口先介入。
・ムニューシン米財務長官の為替条項導入発言により、これ以上の円安は容認しないというイメージが強まった。★
 *しかし日本はG7加盟国として「相手国の許可なく為替介入を実施しない」との協定を守っているので、仮に為替条項を結ぶことになってもたいした足かせにはならない。
・米国景気の減速と利上げの鈍化。
・投機筋のドルの買い持ち高が16年12月以来の高水準。★☆
・世界が景気後退期に入る。
・貿易戦争や新興国不安によるリスクオフ。★
・金融危機や戦争、大災害によるリスクオフ。
・米中間選挙で共和党が下院で過半数を取れない可能性が高い。そうなると強気の経済政策や外交に不透明感が生じる。☆
・原油高により産油国や中国、インフレに敏感なEUなどの通貨が上昇し、ドルが下落する。★
・米国は双子の赤字(貿易赤字と財政赤字)を解消するために、プラザ合意のようなドルの切り下げや、ドルの大量発行をする。
・チャート上の節目を抜けた後のオーバーシュート。

<ドル高要因>
・日本より米国のほうが経済に勢いがある。★
・米国の金融政策は引き締め傾向で金利が高い。★★★
・日本の金融政策は緩和傾向で金利が低い。★★
・米国のリパトリ減税により米国にドルが環流している。★☆
・米企業が決算期を迎える年末は、米企業が海外で稼いだ資金を米国内に戻すため、ドル需要が強まる。★
・米国の保護主義により米国の貿易赤字が減少するという思惑が生じる。☆
・日本企業による海外企業の巨額買収。★★
・原油高による日本の経常収支の悪化。原油には先高感がある。★★☆
・不透明感が払拭された後のリスクオン。
・月100兆円を超える米国債の発行にはドル高が有利。☆
・チャート上の節目を抜けた後のオーバーシュート。

→円高要因の★が12個、ドル高要因の★が14個でドル高圧力が強そう。

■米国国債4倍ベア7(投資信託)
基本シナリオ:米長期金利は長期で上昇
金利高、金利安の要因を列記し、各々の中期的なインパクトを★で表していく。
<金利が上がる要因>
・米長期金利の基準値は名目経済成長率(経済成長率+インフレ率)になるが、現在の名目経済成長率は5.2%(2.8%+2.4%)であり、それと比べると現在の金利3.17%はまだ低い。★
・米国の大型減税により税収が大幅に減り、財政赤字は拡大傾向。★★★★
・FRBが国債を放出し始めている。★
・FRBが政策金利を引き上げ始めている。★★
・米国を含めた先進国の賃金上昇率やインフレ率が高まり、先進国の金利が上がる。

<金利が下がる要因>
・米国の名目経済成長率は今年がほぼピークの水準で、今後は穏やかな低下傾向。★★
・先進国では米国の長期金利だけが高いので、米長期国債に金余りマネーが殺到する。★★★
・米国の賃金上昇率やインフレ率がまだ低く、政策金利はまだ2.25%とFRBの利上げペースが遅い。★

→金利高要因の★が8個、金利安要因の★が6つで、金利上昇圧力が強そう。

市場環境チェック

株式市場への影響が大きい企業業績、金利、金融政策などをチェックしていく。

■ファンダメンタルズ
<EPS成長率>
・世界株式の2017年のEPS増加率は17%、2018年は15%、2019年は10%。
・米国株式の2017年のEPS増加率は11%、2018年は23%、2019年は10%。
 *ゴールドマンの2019年の予想は7%で、大幅な関税引き上げをした場合は0%。
・日本株式の2017年のEPS増加率は22%、2018年は5%、2019年は8%。
 *野村證券の2018年予想は10%で、2019年も10%。
*ベースの数値はJPモルガンの予想。参照:(2018/09/28日経)
*貿易戦争が激化したら下振れする。
→中期的にはやや問題あり

<経済成長率>
・世界の2017年の成長率は3.7%、2018年は3.7%、2019年も3.7%。
・米国の2017年の成長率は2.3%、2018年は2.9%、2019年は2.5%。
・ユーロ圏の2017年の成長率は2.4%、2018年は2.2%、2019年は1.9%。
・日本の2017年の成長率は1.7%、2018年は1.1%、2019年は0.9%。
・新興国の2017年の成長率は4.7%、2018年は4.9%、2019年は5.1%。
・中国の2017年の成長率は6.9%、2018年は6.6%、2019年は6.2%。
*数値はIMFの予想。参照:(2018/10/09日経
現在、世界同時成長が起きており、このような状態は通常2,3年続くという。ただしこのような世界同時成長は景気サイクルの終盤に見られる特徴的な現象とも言われている。
世界同時成長は海外で6割を稼ぐ日本企業には追い風になる。しかしその半面、海外の景気後退期は日本企業にとって強い向かい風になる。このような経済構造に円高効果が加わり、日本株は米国株の1.5倍くらい下落する。
*アメリカの財政支出の効果は2019年に切れるので20年以降に景気後退リスクがある。
→中期的には問題なし

<インフレ>
・米国の予想インフレ率は2018年度が2.4%。
・欧州の予想インフレ率は2018年度が1.5%。
・日本の予想インフレ率は2018年度が0.9%。
*貿易戦争が激化すれば米国のインフレは加速する。
*原油高、失業率低下によりインフレ圧力は高まりつつある。
→中期的には問題なし

<金利>
・米国の短期金利は2.87%で長期金利は3.17%。
・日本の短期金利は-0.112%で長期金利は0.12%。
*貿易戦争が激化したらインフレの加速に伴い米国の政策金利は上昇する。
*米金利が上昇し、米株式に割高感がでてきた。
*日欧の長期金利は低いままなので、米長期金利は上がりにくくもあるが、一方で米国の国債発行額は月100兆円を超えはじめているので、需給の緩みから米長期金利は上昇していく可能性が高い。
*米国の短期金利が長期金利を上回ると景気後退に陥るといわれるが、長短金利差まだ0.3%あるので大丈夫そう。
*米国の実質長期金利(名目長期金利-インフレ率)が潜在成長率を上回ると景気後退に陥るといわれるが、足下の実質長期金利は0.77%で、潜在成長率は1.8%。
*米長期金利は長期のWボトムが完成

→中期的にはやや問題あり


<債務>
・米国の民間債務残高はGDP比150%で横ばい傾向。
・日本の民間債務残高はGDP比150%で横ばい傾向。
・中国の民間債務残高はGDP比210%まで上昇しているが、足下では横ばい傾向。日本のバブル期のピークは220%になる。
・新興国の民間債務残高はGDP比140%で、現在も微増傾向。
・過去10年間で各国政府は債務を大きく膨らませている。
*中国の民間企業の債務は危険水準に達しているが、習政権は経済の筆頭課題に金融危機封じ込めを据えているので、それほど心配しなくてもよさそう。ただ貿易戦争などで経済成長が大きく下振れすれば一気に債務圧縮局面に入る可能性がある。
*新興国は米利上げや原油高などで通貨安・高インフレ・高金利になり、債務圧縮局面に入りそうだが比較的穏やかなものになりそう。
*世界の債務総額はリーマンショック前よりも大幅に膨らんでおり、金利が上昇していくと逆回転が起こる可能性が高い。
→中期的にはやや問題あり

<金融政策>
・米国は引き締めに転じている。
・日本は金融緩和を継続しているが限界に近づきつつある。
・欧州は量的緩和を2018年12月に終了し、利上げは19年の夏以降になる。
・世界の量的緩和は2017年3月にピークをつけ、その後は減少傾向にある。2019年には明確なマイナスへと転じる。
*引き締め速度は穏やかだが全体的に引き締め傾向。これまでの経済拡大は金融緩和が原動力であったため、マイナス転換によりすべてが逆回転する可能性がある。
*米国はトランプ大統領の財政拡大策により次の景気後退期には金融政策しか残されていない。そのためFRBは粛々と金融引き締めを進めていくしかない。
*日本は次の景気後退期に、ヘリマネなどの禁じ手をのぞけば、金融面でも財政面でも打つ手がない。
→中期的にはやや問題あり

<政治>
・日本は安定。
・海外は不安定。米国と中国の覇権争いは、ハイテク・軍事分野を中心に今後長期にわたり続きそう。中期的には2019年1月に実施されるとされるアメリカの関税引き上げを中国が止められるかがポイントになる。これを止められなければ中国経済が失速する確率が高まる。
・米国の中間選挙は下院を民主、共和どちらがとっても、株式市場には問題なさそう。共和党がとればさらなる景気刺激策を実施するだろうし、民主党がとれば景気刺激策が抑制され利上げの打ち止め期待につながる。
・英国のEU離脱の条件は、EUが新たな離脱国が出てくるのをけん制するため、英国にとって厳しいものになりそう。12月の離脱交渉は決裂して、英国は国民投票を実施し、EU残留という形になるのかもしれない。
→中期的にはやや問題あり

<その他の景気後退シグナル>
・過去の景気後退期はすべて米国の需給ギャップがプラスに転じた後に始まっている。足下ではプラスに転換している可能性がある。
・コモディティ、米国債、米国株、ドルの4資産の値動きで、年間収益が高い順位が、コモディティ、米国債の順番になるとその翌年に景気後退が起きると言われているが、今年は今のところコモディティ、米国株の順。
・景気拡大期の終盤は、金余りと鈍化した成長率を引き上げるため巨大M&Aが盛んになるといわれているが、今がまさにその状態。
・世界景気の先行指標である銅価格が、ピークアウトするかどうかの分岐点にあったが、いったん反発。
・経済危機をいち早く察知する米低格付け債の利回りは低位で安定している。
→中期的には問題なし

■テクニカル
・チャート
日本株とダウは特に問題なし。
ナスダックはやっと調整が入ったという感じ。7000あたりでいったん値固めしそう。

→問題なし

・ディストリビューションデー
日経平均 5日
NYダウ 5日
ナスダック 先々月5日 先月5日 今月5日
→ナスダックはやや問題あり

・騰落レシオ
日経平均 77
NYダウ 80
ナスダック ?
→問題なし。底値圏か?

・信用評価損益率
ー16.17%
→問題なし。底値圏か?

eワラントのトレーディングインディケーター
<オノダモデル>「買い」
危険度:11月43% →12月62% →1月69% →2月74% →3月52% →4月52% →5月36% →6月43% →7月39% →8月44% →9月61% →10月18.7% →11月36%

<サムモデル>「買い」
2018/1/18に「売り」に転換。2018/2/20に「買い」に転換 。2018/5/18に「売り」に転換 。2018/7/17に「買い」に転換。2018/08/20に「売り」に転換。2018/09/18に「中立」に転換。2018/10/22に「買い」に転換。
→問題なし

■株ログ・インディケーター
問題なし:7件、やや問題あり:6件、問題あり:0件、危険度:10月40%→11月30%、投資判断:買い
中期的には米中貿易戦争で中国の出方がポイントになる。中国が妥協しなければ中国経済が後退する時期が早まりそう。日本株の下げは限定的。おそらく今が底値圏になる。

長期計画チェック

「平時にじっくり考えて決めておいたことは、後悔する判断にはなりにくい」いわれているので、今のうちから長期的な計画を考えていく。

現時点の予想では2020年頃に景気後退期に入るとみている。ただ今回の景気拡大期は低成長・低金利の中で浅く長いものだったので、景気後退期も浅く長いものになりそう。

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過去の景気後退に共通するパターン:米国の長短金利逆転後に日本株が50%超下落。
この観点で見ると、景気後退や株価の下落は当分先になる。
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景気後退のメインシナリオ:2020年ごろに中国の経済成長が下振れし中国は債務圧縮局面に入る。中国発の不況が世界に連鎖していく。

ただ今回は景気後退や株価暴落を抑えるいくつかの要因がある。
・中国政府には財政出動の余地がある。
・バブルは借金をして資産を買いまくることによって生じるが、今回先進国ではそのような現象はあまり見られない。
・先進国の金融機関の財務状態は比較的良好なので、先進国では金融危機(信用収縮)は起こりにくい。
 *バブルが崩壊しなければ、金融危機(信用収縮)、つまりクレジットの消失が起こらないため、金余りの状態が続く。*クレジットとは世の中に流通する大半のお金のこと。
*中国の不動産にはバブルの兆候がある。
 *バブル崩壊の仕組み。金利が上がりだすと株式や不動産などが売られ資産価格が下がりはじめる。バブル系投機家は資産価格が上昇することを前提として資産を買っているので、資産価格が下がりだすと資金の逆回転が始まる。
・リーマンショックの記憶がまだ残っているため、皆慎重になっている。
・現在、第4次産業革命が進行中で、これは今後も長期にわたり続く。
・世界的に金利が低いので資金の逃げ場があまりない。債券は株式以上に割高で、株式に優位性がでやすい。
・世界の株式量が減少している一方でマネー流通量は増加しているので株式には良好な需給環境が続く。
・日本株に限れば、日銀のバックアップがあるので下がりにくい。日銀のサポートラインはおそらく日経平均の2万円あたりになる。

以上を総合すると、次の景気後退や株価の下落はゆっくり進む可能性が高い。
――――――――――――――――

2019年の半ば頃になったら徐々に株式とドルを売って、米国債を買っていく。

ただしそれよりも前に
・日経平均が3万円
・1ドルが120円
・米長期金利が4%
このいずれかになった場合は、その時点でポートフォリオをシフトしていく。

景気後退期に入り円が80円くらいまで上昇したら、米国債を売って、外国株や日本株、ドルを買っていく。

次の景気の底で仕込みたい株式
・(米)ALPHABET。人工知能や自動運転の本命。
・NASDAQ100ETF。第4次産業革命の中核ETF。
・インド株のETF。インドは2040年まで人口ボーナス期が続く。
・インドネシア株。インドネシアは2030年まで人口ボーナス期が続く。

2018年10月5日金曜日

株式の需給は良好

9月27日のロイターの記事「縮む世界の株式市場、「品薄感」が支える強気相場」によると、世界の株式市場はゆっくりと縮小しているという。

今年1-8月までに世界で増えた株式は14兆円程度で、今年100兆円を超えると予想される自社株買いにより株式は需要超過になる可能性が高いという。

この記事によると株式による資金調達が減っている理由は4つ。1) 金利が低いため、社債市場で低コストで資金調達ができる。現在金利は上昇しているが、米長期金利が4.5%まで上昇しないと株式による資金調達に優位性がでない。2) 金余りにより、プライベートエクイティファンドに100兆円以上集まっており、そこから低コストで資金調達できる。3) 事業資金をそれほど必要としないIT関連の会社が増えた。4) 上場のメリットを感じない会社が増えた。

この傾向は今後も続きそうであり、加えてM&Aや自社株買いにより、株式が今後極端に増えていく展開は考えにくい。一方で世界経済の成長に伴い市場に流通するマネーの量は増えているので、株式市場にとっては良好な需給環境が続く可能性が高い。

売買チェック

■売り
・弁護士ドットコムを一部売却 損益+485%
時価総額1000億円(株価4500円)を突破したから。
割高感、過熱感があったから。
持ち株はピーク時の4割になってしまったが残りは当面放置する予定。

■買い
・シンクロフード
業績に若干不透明感はあるが、下げ余地は限定的に見えたから。
弁護士ドットコムを売って現金比率が高まり過ぎたから。

・日進工具
10月2日の日経記事「2位 日進工具 在庫抱えスピード出荷」を読んで、成長しそうなニッチトップの感じがしたから。
チャートも良かった。三角保ち合いで、戻り売り圧力も少ない。
<1年チャート>

・アイスタイル
(詳細は次項に記載)

アイスタイル

ウォッチリストをチェックしていたら良さそうなチャートがあったので調べてみた。

<1年チャート>三角保ち合いで、移動平均線が収斂している。

■どんな会社か
化粧品の口コミサイト「@コスメ」や、化粧品の販売事業などを手がける。

各事業の2018年業績と2019年の業績予想は

・メディアプラットフォーム事業(@コスメ事業)
2018年:売上73億円 営業利益26億円 →2019年:売上93億円 営業利益31億円

・販売事業 
2018年:売上121億円 営業利益6億円 →2019年:売上148億円 営業利益6億円

・海外事業(メディアプラットフォームと販売事業)
2018年:売上76億円 営業利益-0.1億円 →2019年:売上104億円 営業利益0円

・その他(人材派遣や投資事業など) 
2018年:売上13億円 営業利益4億円 →2019年:売上16億円 営業利益1億円

になる。売上を拡大しているのは販売事業や海外事業になるが、収益の柱となっているのはメディアプラットフォーム事業になる。

■ビジネスモデル(長期的に利益成長する仕組み)の強度は?
ここでは今後3年の利益成長の牽引役になりそうなメディアプラットフォーム事業のみ見ていく。

<参入障壁は高いか> ★★★★★
化粧品口コミサイトではすでに市場を独占しているので参入障壁は非常に高い。

<ストック型収益か> ★★★☆
プラットフォーム事業なのでユーザーの人気を維持できる限りはストック型になる。
しかし@コスメを使ってみて感じたのは、検索精度が低い、重い、ステマ口コミがトップに表示される、低評価の口コミだけを見られない、などであまり良い印象を抱けなかった。しかもこれらの点はごく基本的なことなので、現時点でこれらの問題が残されているということは、市場独占にあぐらをかいている、もしくは経営陣やエンジニアのセンスに問題があるのではないかと思った。

<成長市場か> ★★★★
美容分野をITで変革するのは今のトレンド。今後は高級化粧品の販売や化粧品のマーケーティングもネットを通じて個人とダイレクトに行うようになっていきそう。ただアイスタイルが主力としている口コミ事業は頭打ちで、新事業も始めているがまだ手探りの段階。

これらを総合するとビジネスモデルの強度は★★★☆~★★★★になる。ただし他の事業も合わせたトータルの強度は★★★~★★★☆程度。

■成長ストーリー
化粧品の口コミサイト「@コスメ」の成長には頭打ち感があるが、アイスタイルは今後@コスメ内に各ブランドのオフィシャルサイトを誘致して、ブランドサイトが集積するプラットフォームを構築していくという。

今期に400ブランド、来期はさらに400ブランドを誘致する計画で、これは@コスメのブランドファンクラブに登録している600ブランドに働きかければ達成可能な数字だという。

ブランドオフィシャルサイトの掲載料は1ブランドにつき月50万円~となり、仮に800ブランドまで増えた場合、年間売上高は50億円、営業利益は15億円規模になる。

この事業が軌道に乗った場合、@コスメ経由で高級ブランドの販売ができるようになる可能性がでてくる。現時点では高級ブランドのネット販売はかなり限定さたものになっているが、それが@コスメのECサイトでできるようになれば、ZOZOTOWNのようなECプラットフォームに発展する可能性がある。

さらに同ビスネスモデルが成功すれば海外子会社(台湾、マレーシア、アメリカ)への水平展開も期待できる。
*ただし10億で買収したアメリカのMakeUpAlleyはこけそう。

■問題点
各ブランドが@コスメ内にブランドオフィシャルサイトを開設する最大のメリットは、サイトを訪れた@コスメメンバーの属性や興味の分析になるが、その分析をするにはメンバーのログインが必要になる。しかし現時点の月間ログイン数は全会員の10分の1、アクティブユーザーの4分の1の50万しかない。

アイスタイルは2020年までに月間ログイン数を300万まで増やす計画を立てており、ログイン数を増やすためにアプリへ誘導しようとしている(アプリを開くと自動的にログインする)。今後はアプリの改良やキャンペーンなどをしていくようだが、現時点でのアプリの評価は★3つと低いため、目標達成には不透明感がある。
*実際にアプリを使ってみたが予想以上にスピーディーで使いやすかった。改良が進んでいるのかもしれない。

それと、そもそもの話になるが、ECとリンクしてないブランドオフィシャルサイトにどれほどの“価値”があるのかも疑問。

■仕込み時はいつか
ブランドサイトの誘致やログイン数の増加には不透明感があるが、9月18日に出した業績連動型新株予約権の行使条件を見ると、会社は本腰を入れてこれらに取り組んでいることがわかる。加えてビューティーテック(美容×IT)は成長市場であり、マーケティングの肝となる口コミ市場はすでに押さえているので、中長期的な見通しは悪くない。ここでは仕込み時がいつかをチャートなどを見ながら考えていく。

冒頭にあげたチャートでは今が仕込みときのようにも見えるが、累積売買高を見ると現在の株価の上には“壁”ができている。
<1年チャート>

<2年チャート>

一方で、5年チャートや、一目均衡表(週足)をみると、ここから大きく下げるようにも見えない。
<5年チャート>

<2年チャート>

ファンダメンタルズ的には、今期減益予想であり、新規事業には不透明感があるので、短期的には上がる理由が見当たらない。

となると、株価はしばらく横ばい圏(1150~1450円)で推移する可能性が高い。とりあえず今日1250円で購入。1200あたりまでは買い下がっていく予定。

弁護士ドットコムの株価水準について

弁護士ドットコムの時価総額が1000億円を突破し割高感がでてきたが、どの程度割高なのかを類似企業と比較して探っていく。

■成長市場にある、中小型の、市場独占型、ITプラットフォーム企業
・弁護士ドットコム
今期の売上:31億、営業利益:5億、過去3年の営業利益率:20%、今後3年の売上高成長率:年率30%、時価総額:930億(売上高の30倍、営業利益の186倍)

・夢の街創造委員会
今期の売上:55億、営業利益:8億、過去3年の営業利益率:16%、今後3年の売上高成長率:年率20%、時価総額:1320億(売上高の24倍、営業利益の165倍)

・鎌倉新書
今期の売上:23億、営業利益:5億、過去3年の営業利益率:24%、今後3年の売上高成長率:年率25%、時価総額:530億(売上高の23倍、営業利益の106倍)

・インフォマート
今期の売上:80億、営業利益:25億、過去3年の営業利益率:26%、今後3年の売上高成長率:年率20%、時価総額:1770億(売上高の22倍、営業利益の70倍)

類似企業と比較した場合、弁護士ドットコムが極端に割高ではないことがわかった。現在調整中だが、もしかしたらそれほど下げないのかもしれない。

ついでに弁護士ドットコムの電子契約事業の競合であるドキュサインや、大型プラットフォーム企業も見ておく。

・(米)ドキュサイン
今期の売上:750億円、営業利益:-9億円、過去3年の営業利益率:-10%、今後3年の売上高成長率:年率25% 時価総額:7900億円(売上高の10倍)

クラウドサインの売上(4億程度?)と比較すると規模が150倍以上違う。クラウドサインの海外展開は厳しそうだと改めて思った。

・エムスリー
今期の売上予想:1140億、営業利益:320億、過去3年の営業利益率:28%、今後3年の売上高成長率:年率20%、時価総額:1兆5400億(売上高の13倍、営業利益の48倍)

・リクルート
今期の売上予想:2兆4000億、営業利益:2200億、過去3年の営業利益率:9%、今後3年の売上高成長率:年率10%、時価総額:6兆2600億(売上高の2.6倍、営業利益の28倍)

・カカクコム
今期の売上予想:520億、営業利益:250億、過去3年の営業利益率:46%、今後3年の売上高成長率:年率8%、時価総額:4500億(売上高の9倍、営業利益の18倍)

・(米)ALPHABET
今期の売上予想:15兆円、営業利益:3.4兆円、過去3年の営業利益率:25%、今後3年の売上高成長率:年率20%、時価総額:90兆円(売上高の6倍、営業利益の26倍)

・(米)Amazon
今期の売上予想:25兆円、営業利益:1兆円、過去3年の営業利益率:3%、今後3年の売上高成長率:年率25%、時価総額:102兆円(売上高の4倍、営業利益の100倍)

大型株を書いていて気づいたが、時価総額を売上倍率で見た場合、リクルートにはまだ割安感がある。もしかしたら近いうちに売上高の4倍程度の時価総額10兆円(株価6000円)を突破するかもしれない。

持ち株チェック

保有比率の高い順に見ていく。

■弁護士ドットコム
基本シナリオ:法律分野をITで変革し最強のプラットフォーマーに
電子契約事業のクラウドサインはクラウドソーシング最大手のランサーズと業務提携し順風満帆な様子。しかしチャートは最高値圏で十字線+首吊り線+連続陰線が出たのでいよいよ天井を打ったようにみえる。今後3年の売上高成長率は年率30%程度。今年の予想平均株価は不明。
<3ヶ月チャート>

■シンクロフード
基本シナリオ:飲食店の運営をITで変革・サポートし総合プラットフォーマーとして盤石な地位を築く
飲食店ドットコムへの登録人数は順調に増えており新規事業も立ち上げているようだが、収益の柱となる求人広告では地方の伸びが弱い。地方では価格優位性があまりないのかもしれない。競合のインディードはわずか1ヶ月で掲載数が10%以上伸びている。シンクロはやはり厳しいかもしれない。チャートは一目均衡表の雲の下にぴったりはりついているのが面白い。次の決算が順当なら日足の雲は抜けそう。今後3年の予想売上高成長率は年率30%程度。今年の予想平均株価は1000円(変動率±35%)。
業績に最もインパクトのある求人広告掲載数を記録していく。関東 2339(2239)  関西 685(611)  東海 307(337)  九州 107(111)  北海道・東北 144(183) 総計 3582(3480)
市場独占型の求人プラットフォーマー・インディードの掲載数も記録していく。東京都の飲食店 96498(75284) 大阪府の飲食店 33185(27758)
*( )内は先月の数
<1年チャート>

■ペプチドリーム
基本シナリオ:ペプチド創薬で最強のプラットフォーマーに
株主総会では取締役を退任した菅教授が登場し、「ペプドリを見捨てることは絶対にない」と言っていたようなので一安心。ただ業績のほうはしばらく横ばいが続きそうなので、株価はボックス圏で推移しそう。今後3年の売上高成長率は年率20%程度。今年の予想平均株価は4600円で、予想レンジは3400-5800円。

■アイスタイル
基本シナリオ:美容分野をITで変革し最強のプラットフォーマーに
新規事業の不透明感は強く、経営陣についても気になるところがあるが、全体的な事業環境はそれほど悪くない。今後3年の売上高成長率は20%。今年の予想平均株価は1300円(変動率±30%)。

■厳選ジャパン(投資信託)
基本シナリオ:ビッグチェンジ銘柄投資でテンバガー達成
基準価額は上げ相場に乗って上昇しはじめた。やはりプロはここらへんがうまい。今年の予想基準価額上昇率は30%程度で予想平均価額14000円(変動率±30%)。

■朝日ネット
基本シナリオ:ストックビジネスで地味に成長&株主還元
特に問題はないが、相変わらず地味。サプライズがない限りは500-550円のレンジで推移しそう。今後3年の予想売上高成長率は年率6%程度でEPS成長率は15%程度。今年の予想平均株価は550円(変動率±15%)。

■日経レバETF
基本シナリオ:ファンダメンタルズ的にもテクニカル的にも中期的に上昇
上がるタイミングが思ったよりも少し早かったが、出来高を付けて23000円の“壁”を突破したので上値は軽そう。日経平均の今後1年の予想平均株価は25000円(変動率±15%)。

■日進工具
基本シナリオ:ニッチトップの極細ドリルで市場開拓
ここはニッチトップの医療用針で成功したマニーのようになることを期待。今後3年の売上高成長率は10%。今年の予想平均株価は3600円(変動率20%)。

■パーク24
基本シナリオ:最強のカーシェアプラットフォーマーに。海外駐車場事業の効率化で利益拡大。
海外事業の黒字化はしばらく先になりそうだが、それ以外は順調なので特に問題なし。今後3年の売上高成長率は5%で利益成長率は10%程度。今年の予想平均株価は3200円(変動率20%)。

■FXでドル買い(レバ10倍)
基本シナリオ:中期ではドル高、長期では円高
円高、ドル高の要因を列記し、各々の中期的なインパクトを★で表していく。
<円高要因>
・日本よりも米国のほうがインフレ率が慢性的に高いので購買力平価は円高傾向。★★★
・米国の保護貿易政策により米国のインフレが加速。
・日本の経常収支は黒字が続いている。★★
・日本企業による海外企業の巨額買収により経常黒字がさらに拡大する。★
・米国の財政赤字の拡大。★
・米国は完全雇用下における保護貿易政策により貿易赤字が拡大する。★★
 *完全雇用下では米国内で生産を増やすことができず、輸入するしかない。
・日本は対外純資産を世界で最も保有している。
・日銀の金融緩和が限界に近づきつつある。★
・海外で金融緩和が進む。
・トランプ大統領の口先介入。
・米国景気の減速と利上げの鈍化。
・世界が景気後退期に入る。
・貿易戦争や新興国不安によるリスクオフ。★
・金融危機や戦争、大災害によるリスクオフ。

<ドル高要因>
・日本より米国のほうが経済に勢いがある。★★★
・米国の金融政策は引き締め傾向で金利が高い。★★★
・米国のリパトリ減税により米国にドルが環流している。★★
・米国の保護主義により米国の貿易赤字が減少するという思惑が生じる。★
・日本企業による海外企業の巨額買収。★★
・原油高による日本の経常収支の悪化。★
・不透明感が払拭された後のリスクオン。★★
・月100兆円を超える米国債の発行にはドル高が有利。★
→円高要因の★が11個、ドル高要因の★が15個でドル高圧力が強そう。

■コンテック
基本シナリオ:ダイフクとファナック向けのエッジコンピューティング機器で業績拡大
半導体関連は下振れしそうだが、自動化関連は順調に拡大していきそう。今後3年の売上高成長率は5%で利益成長率は10%程度。今年の予想平均株価は2400円(変動率20%)。

■今後の戦略
割安感の出た優良株があれば買っていく。

市場環境チェック

株式市場への影響が大きい企業業績、金利、金融政策などをチェックしていく。

■ファンダメンタルズ
<EPS成長率>
・世界株式の2017年のEPS増加率は17%、2018年は15%、2019年は10%。
・米国株式の2017年のEPS増加率は11%、2018年は23%、2019年は10%。
 *ゴールドマンの2019年の予想は7%で、大幅な関税引き上げをした場合は0%。
・日本株式の2017年のEPS増加率は22%、2018年は5%、2019年は8%。
 *野村證券の2018年予想は10%で、2019年も10%。
*ベースの数値はJPモルガンの予想。参照:(2018/09/28日経)
→中期的には問題なし

<経済成長率>
・世界の2017年の成長率は3.7%、2018年は3.9%、2019年も3.9%。
・米国の2017年の成長率は2.3%、2018年は2.9%、2019年は2.7%。
・ユーロ圏の2017年の成長率は2.4%、2018年は2.2%、2019年は1.9%。
・日本の2017年の成長率は1.7%、2018年は1.0%、2019年は0.9%。
・新興国の2017年の成長率は4.7%、2018年は4.9%、2019年は5.1%。
・中国の2017年の成長率は6.9%、2018年は6.6%、2019年は6.4%。
*数値はIMFの予想。参照:(2018/10/05日経)
現在、世界同時成長が起きており、このような状態は通常2,3年続くという。ただしこのような世界同時成長は景気サイクルの終盤に見られる特徴的な現象とも言われている。
世界同時成長は海外で6割を稼ぐ日本企業には追い風になる。しかしその半面、海外の景気後退期は日本企業にとって強い向かい風になる。このような経済構造に円高効果が加わり、日本株は米国株の1.5倍くらい下落する。
*アメリカの財政支出の効果は2019年に切れるので20年以降に景気後退リスクがある。
→中期的には問題なし

<インフレ>
・米国の予想インフレ率は2018年度が2.4%。
・欧州の予想インフレ率は2018年度が1.5%。
・日本の予想インフレ率は2018年度が0.9%。
→貿易戦争が激化すれば米国のインフレは加速する。
→中期的には問題なし

<金利>
・米国の短期金利は2.88%で長期金利は3.19%。
・日本の短期金利は-0.11%で長期金利は0.15%。
→貿易戦争が激化したらインフレの加速に伴い米国の政策金利は上昇する。
→米金利が上昇し、米株式に割高感がでてきた。
→日欧の長期金利は低いままなので、米長期金利は上がりにくくもあるが、一方で米国の国債発行額は月100兆円を超えはじめているので、需給の緩みから米長期金利は上昇していく可能性が高い。
→米国の短期金利が長期金利を上回ると景気後退に陥るといわれるが、長短金利差まだ0.31%あるので大丈夫そう。
→米国の実質長期金利(名目長期金利-インフレ率)が潜在成長率を上回ると景気後退に陥るといわれるが、足下の実質長期金利は0.79%で、潜在成長率は1.8%。
→中期的には問題なし

<債務>
・米国の民間債務残高はGDP比150%で横ばい傾向。
・日本の民間債務残高はGDP比150%で横ばい傾向。
・中国の民間債務残高はGDP比210%まで上昇しているが、足下では横ばい傾向。日本のバブル期のピークは220%になる。
・新興国の民間債務残高はGDP比140%で、現在も微増傾向。
・過去10年で各国政府は債務を大きく膨らませている。
→中国の債務は危険水準に達しているが、習政権は経済の筆頭課題に金融危機封じ込めを据えているので、それほど心配しなくてもよさそう。ただ貿易戦争などで経済成長が大きく下振れすれば一気に債務圧縮局面に入る可能性がある。
→新興国は米利上げや原油高などで通貨安・高インフレ・高金利になり、債務圧縮局面に入りそうだが比較的穏やかなものになりそう。
→中期的には問題なし

<金融政策>
・米国は引き締めに転じている。
・日本は金融緩和を継続しているが限界に近づきつつある。
・欧州は量的緩和を2018年12月に終了し、利上げは19年の夏以降になる。
・世界の量的緩和は2017年3月にピークをつけ、その後は減少傾向にある。2019年には明確なマイナスへと転じる。
→引き締め速度は穏やかだが全体的に引き締め傾向。これまでの経済拡大は金融緩和が原動力であったため、マイナス転換によりすべてが逆回転する可能性がある。
*米国はトランプ大統領の財政拡大策により次の景気後退期には金融政策しか残されていない。そのためFRBは粛々と金融引き締めを進めていくしかない。
*日本は次の景気後退期に、ヘリマネなどの禁じ手をのぞけば、金融面でも財政面でも打つ手がない。
→中期的にはやや問題あり

<政治>
・日本は安定。
・海外は不安定。米国と中国の覇権争いは、ハイテク・軍事分野を中心に今後長期にわたり続きそう。
→中期的にはやや問題あり

<その他の景気後退シグナル>
・過去の景気後退期はすべて米国の需給ギャップがプラスに転じた後に始まっているが今は0%程度?。
・コモディティ、米国債、米国株、ドルの4資産の値動きで、年間収益が高い順位が、コモディティ、米国債の順番になるとその翌年に景気後退が起きると言われているが、今年は今のところコモディティ、米国株の順。
・景気拡大期の終盤は、金余りと鈍化した成長率を引き上げるため巨大M&Aが盛んになるといわれているが、今がまさにその状態。
・世界景気の先行指標である銅価格が、ピークアウトするかどうかの分岐点にあったが、いったん反発。
→中期的には問題なし

■テクニカル
・チャート
→問題なし

・ディストリビューションデー
日経平均 3日
NYダウ 2日
ナスダック 先月5日 今月5日
→ナスダックはやや問題あり

・騰落レシオ
日経平均 103
NYダウ 86
ナスダック ?
→問題なし

・信用評価損益率
ー8.92%
→問題なし

eワラントのトレーディングインディケーター
<サムモデル>「中立」
危険度:11月43% →12月62% →1月69% →2月74% →3月52% →4月52% →5月36% →6月43% →7月39% →8月44% →9月61% →10月18.7%

<オノダモデル>「中立」
2018/1/18に「売り」に転換。2018/2/20に「買い」に転換 。2018/5/18に「売り」に転換 。2018/7/17に「買い」に転換。2018/08/20に「売り」に転換。2018/09/18に「中立」に転換。
→問題なし

■株ログ・インディケーター
問題なし:10件、やや問題あり:3件、問題あり:0件、危険度:40%、投資判断:買い
中期的には特に問題なし。ただ米国株はPER的にも金利的にも天井を打ったように見える。

長期計画チェック

「平時にじっくり考えて決めておいたことは、後悔する判断にはなりにくい」いわれているので、今のうちから長期的な計画を考えていく。

現時点の予想では2020年頃に景気後退期に入るとみている。ただ今回の景気拡大期は低成長・低金利の中で浅く長いものだったので、景気後退期も浅く長いものになりそう。

――――――――――――――――
景気後退のメインシナリオ:2020年ごろに中国の経済成長が下振れし中国は債務圧縮局面に入る。中国発の不況が世界に連鎖していく。

ただ今回は景気後退や株価暴落を抑えるいくつかの要因がある。
・中国には財政出動の余地がある。
・借金をして資産を買いまくることでバブルは生じるが、今回先進国ではそのような現象はあまり見られない。
・リーマンショックの記憶がまだ残っているため、皆慎重になっている。
・先進国の金融機関の財務状態は比較的良好なので、先進国では金融危機は起こりにくい。
・現在、第4次産業革命が進行中で、これは今後も長期にわたり続く。
・世界的に金利が低下しているので資金の逃げ場があまりない。株式以上に債券が割高なので、株式に優位性がでやすい。
・世界の株式量は減少しているが、その一方でマネー流通量は増加しているので株式には良好な需給環境が続く。
・日本株に限れば、日銀のサポートがある。サポートラインは多分2万円あたりになる。

以上を総合すると、景気後退や株価の下落はゆっくり進む可能性が高い。
――――――――――――――――

2019年の半ば頃になったら徐々に株式とドルを売って、米国債を買っていく。

ただしそれよりも前に
・日経平均が3万円
・1ドルが120円
・米長期金利が4%
このいずれかになった場合は、その時点でポートフォリオをシフトしていく。

景気後退期に入り円が80円くらいまで上昇したら、米国債を売って、米国株や日本株、ドルを買っていく。

次の景気の底で仕込みたい株式
・(米)ALPHABET。人工知能や自動運転の本命。
・NASDAQ100ETF。第4次産業革命のETF。
・インド株のETF。インドは2040年まで人口ボーナス期が続く。
・インドネシア株。インドネシアは2030年まで人口ボーナス期が続く。

2018年9月7日金曜日

売買チェック

■売り
・シンクロフードを6割売却 損益0%
基本シナリオ「飲食店向けの最強プラットフォーマーに」が間違っていたから。
プラットフォーム企業が長期的な繁栄を享受する上で最も重要なことは市場を独占することになるが、シンクロフードにはそれが無理だとわかった。求人広告ではインディードが、物件情報ではアットホームがすでに市場を独占していた。また2つのアナリストレポートにはシンクロフードの価格競争力は圧倒的とあったが、実際には価格の面でもインディードが無料と圧倒的だった。今後はアナリストレポートに書かれていることを鵜呑みにせず、業績の要所になる部分は裏をとっていきたい。

そもそもシンクロフードが巨大市場で勝負していることがまず問題だった。巨大市場には実態がつかめないほど多くの競合がひしめいており、長期的にはじり貧に陥っていく確率が高い。プラットフォーム企業はまず小さな市場を創出し、そこを独占して、そこからビジネスを大きくしていかねばならないという基本を見落としていた。

ただこのように問題は見つかったが、これでシンクロフードが投資不適格になったとも思っていない。このような競争環境は今にはじまったものではなく、これまでずっと続いてきたものである。にもかかわらずシンクロフードの業績は絶好超である。ここから経営手腕が高くビジネスモデルが強いことがわかる。今後も”総合”プラットフォーム企業として着実に成長していける可能性も残されているように思う。

・弁護士ドットコムを一部売却 損益+300%
インフォマートが電子契約市場に参入してきたから。
7月にインフォマートが参入してきたときは、導入コストや使い勝手の面でクラウドサインに分があると思ったが、インフォマートにはすでに23万社以上ものネットワークがあり、他サービスとの親和性が高そうなため手強い競合になるかもしれないと思った。

■買い
・朝日ネットを買い戻し
先月シンクロフードに乗り換えるために売ったが、それが間違いだと思ったから。

・日経レバETFを新規買い
ファンダメンタルズ的にもテクニカル的にも上がりそうだから。

・FXでドルを買い増し
トルコショックで押し目がきたと思ったから。

持ち株チェック

保有比率の高い順に見ていく。

■弁護士ドットコム
基本シナリオ:法律分野をITで変革し最強のプラットフォーマーに
クラウドサインは競合にインフォマートが現れて不透明感がでてきた。ただここのスタッフは極めて優秀そうなので杞憂に終わりそうでもある。株価はクラウドサインの契約数激増を好感して最高値を更新したが、バブりはじめた感じもある。今後3年の売上高成長率は年率30%程度。今年の予想平均株価は不明。もしも株価が4500円(時価総額1000億円)を越えたらさらに売却していく予定。

■シンクロフード
基本シナリオ:飲食店の運営をITで変革・サポートし総合プラットフォーマーとして盤石な地位を築く
シンクロフードが市場を独占できないことはわかったが、筋肉質な経営で着実に成長していってほしい。チャートは25日線と75日線でゴールデンクロスを形成しそうだが、株価の上に一目均衡表(週足)の雲があるので上値は重そう。今後3年の予想売上高成長率は年率30%程度。今年の予想平均株価は1000円(変動率±35%)。
業績に最もインパクトのある求人広告掲載数を記録していく。関東 2238(2179)  関西 611(611)  東海 337(302)  九州 111(135)  北海道・東北 183(195) 総計 3480(3422)
*( )内は先月の数
市場独占型の求人プラットフォーマー・インディードの掲載数も記録していく。東京都の飲食店 75284 大阪府の飲食店 27758

■ペプチドリーム
基本シナリオ:ペプチド創薬で最強のプラットフォーマーに
臨床試験でフェーズ2以降に進んでいるものはまだ1本もないので、業績の伸びはしばらく穏やかなものになりそう。ただ研究の進捗は概ね順調なようなので大きな問題はない。今後3年の売上高成長率は年率30%程度。今年の予想平均株価は4600円(変動率±35%)。

■朝日ネット
基本シナリオ:ストックビジネスで地味に成長&株主還元
EPS的に上場来高値突破は来期以降になりそうだが、業績とチャートが底堅く、配当がそこそこあるのがよい。8月に発表されたファイバーゲートとの業務提携は、今後地味に効いてきそう。今後3年の予想売上高成長率は年率6%程度でEPS成長率は15%程度。今年の予想平均株価は550円(変動率±15%)。

■厳選ジャパン(投資信託)
基本シナリオ:ビッグチェンジ銘柄投資でテンバガー達成
この投信を保有してから、短中期的には「プロでもけっこう外す」という当たり前のことに気づいた。ただ基準価額は最高値を突破してきたので長期的な視点は健在のよう。今年の予想基準価額上昇率は30%程度で予想平均価額14000円(変動率±30%)。

■日経レバETF
基本シナリオ:ファンダメンタルズ的にもテクニカル的にも中期的に上昇
企業業績は上振れ気味であり、日銀のバックアップもあるので下値不安は小さい。ただ短期的には貿易摩擦などの不透明感があるので上がりにくそう。チャートは三角保ち合いを形成しているが、出来高(パワー)不足で23000円の壁はしばらく越えにくそう。日経平均の今後1年の予想平均株価は25000円(変動率±15%)。

■パーク24
基本シナリオ:最強のカーシェアプラットフォーマーに。海外駐車場事業の効率化で利益拡大。
第3四半期決算で日本事業が順調なことは確認できたが、海外事業の赤字は印象が悪い。海外事業は日本で培ったノウハウを導入して改善を図っているようだが、のれん代の償却などもあり、黒字化まではしばらくかかりそう。チャートは決算後に長い上ひげをつけたので、上値は重そう。今後3年の売上高成長率は5%で利益成長率は10%程度。今年の予想平均株価は3200円(変動率20%)。

■FXでドル買い
基本シナリオ:中期ではドル高、長期では円高
円高、ドル高の要因を列記し、各々の中期的なインパクトを★で表していく。
<円高要因>
・日本よりも米国のほうがインフレ率が慢性的に高いので購買力平価は円高傾向。★★
・米国の保護貿易政策により米国のインフレが加速。
・日本の経常収支は黒字が続いている。★★★
・日本企業による海外企業の巨額買収により経常黒字がさらに拡大する。★
・米国の財政赤字拡大により米国の経常収支がさらに悪化。★
・米国は完全雇用下における保護貿易政策により貿易赤字が拡大する。★
 *完全雇用下では米国内で生産を増やすことができず、輸入するしかない。
・日本は対外純資産を世界で最も保有している。
・日銀の金融緩和が限界に近づきつつある。★
・トランプさんの口先介入。
・米国景気の減速と利上げの鈍化。
・世界が景気後退期に入る。
・貿易戦争や新興国不安によるリスクオフ。★★
・金融危機や戦争、大災害によるリスクオフ。
<ドル高要因>
・日本より米国のほうが経済に勢いがある。★★★
・米国の金融政策は引き締め傾向で金利が高い。★★★
・米国のリパトリ減税により米国にドルが環流している。★★★
・米国の保護主義により米国の貿易赤字が減少するという思惑が生じる。★
・日本企業による海外企業の巨額買収。★★★
・不透明感が払拭された後のリスクオン。
→短期的には貿易戦争などのリスクオフにより円高圧力が強くなることもありそうだが、中期的には円高要因の★が11個、ドル高要因の★が13個でドル高圧力が強そう。

■コンテック
基本シナリオ:ダイフクとファナック向けのエッジコンピューティング機器で業績拡大
第一四半期決算の売上高成長率は前期比0%で物足りなさはあるが、自動化投資は拡大していきそうなので、とりあえずしばらく様子見。今後3年の売上高成長率は5%で利益成長率は10%程度。今年の予想平均株価は2400円(変動率20%)。

■今後の戦略
売り込まれた優良株があれば買っていく。

市場環境チェック

株式市場への影響が大きい金利、金融政策、企業業績などをチェックしていく。

■ファンダメンタルズ
<インフレ>
・米国の予想インフレ率は2018年度が2.4%。
・欧州の予想インフレ率は2018年度が1.5%。
・日本の予想インフレ率は2018年度が0.9%。
→米欧のインフレ速度は高まりつつあるが、今のところ特に問題なし。
→貿易戦争が激化したら米国のインフレは加速する。

<金利>
・米国の短期金利は2.63%で長期金利は2.88%。
・日本の短期金利は-0.11%で長期金利は0.10%。
→貿易戦争が激化したらインフレの加速に伴い米国の政策金利は上昇する。トランプ大統領はFRBに「金利を上げるな」と牽制しているが、金利を上げざるを得なくなるような保護貿易政策を推進している(笑)。
→貿易戦争が沈静化すれば、需給の緩みから米長期金利は上昇する可能性が高い。18年の米国債発行額は110兆円超になる。
→米国の短期金利が長期金利を上回ると景気後退に陥るといわれるが、長短金利差が0.25%とせばまってきた。9月にFRBが利上げをしたら逆転する可能性もある。
→米国の実質長期金利(名目長期金利-インフレ率)が潜在成長率を上回ると景気後退に陥るといわれるが、足下の実質長期金利は0.5%で、潜在成長率は1.8%。
→米国の実質長期金利が下がってきているので、相対的に米国株に割安感が出てきた。

<債務>
・米国の民間債務残高はGDP比150%で横ばい傾向。
・日本の民間債務残高はGDP比150%で横ばい傾向。
・中国の民間債務残高はGDP比210%まで上昇しているが、足下では横ばい傾向。日本のバブル期のピークは220%になる。
・新興国の民間債務はここ10年の金融緩和で膨らんでおりGDP比140%。現在も微増傾向。
・過去10年で債務を最も膨らませたのは各国政府と中央銀行になる。
→米企業債務額は過去最高水準に達しているが、利益がそれを上回っているので特に問題なさそう。
→中国の債務は危険水準に達しているが、習政権は経済の筆頭課題に金融危機封じ込めを据えているので、それほど心配しなくてもよさそう。ただ貿易戦争などで経済成長が大きく下振れすれば一気に債務圧縮局面に入る可能性がある。
→新興国は米利上げや原油高などで通貨安・高インフレ・高金利になり、債務圧縮局面に入りそうだが比較的穏やかなものになりそう。
→今回の債務拡大の主役は政府・中銀なので、極端な債務圧縮は起こらなさそう。

<金融政策>
・米国は引き締めに転じている。
・日本は金融緩和を継続しているが限界に近づきつつある。
・欧州は量的緩和を2018年12月に終了し、利上げは19年の夏以降になる。
・世界の量的緩和は2017年3月にピークをつけ、その後は減少傾向にある。2019年には明確なマイナスへと転じる。
→やや問題あり。引き締め速度は穏やかだが全体的に引き締め傾向。これまでの経済拡大は金融緩和が原動力であったため、マイナス転換によりすべてが逆回転する可能性がある。
*米国はトランプ大統領の財政拡大策により次の景気後退期には金融政策しか残されていない。そのためFRBは粛々と金融引き締めを進めていくしかない。
*日本は次の景気後退期に、ヘリマネなどの禁じ手をのぞけば、金融面でも財政面でも打つ手がない。

<経済成長率>
・世界の2018年のGDP成長率は3.9%、2019年も3.9%と良好。
・米国の2018年のGDP成長率は2.9%、2019年は2.7%と良好。
・ユーロ圏の2018年のGDP成長率は2.2%、2019年は1.9%と良好。
・日本の2018年のGDP成長率は1.0%、2019年は0.9%とまずまず。
現在、世界同時成長が起きており、このような状態は通常2,3年続くという。ただしこのような世界同時成長は景気サイクルの終盤に見られる特徴的な現象とも言われている。
世界同時成長は海外で6割を稼ぐ日本企業には追い風になる。
*半面、海外の景気後退期は日本企業にとって強い向かい風になる。このような経済構造に円高効果が加わり、日本株は米国株の1.5倍くらい下落する。
*アメリカの財政支出の効果は2019年に切れるので20年以降に景気後退リスクがある。
→中期的には特に問題なし

<EPS成長率>
・世界株式の2018年の予想EPS上昇率は11%、2019年も11%。
・米国の2018年の予想EPS上昇率はは20%(うち減税効果分が8%)。
・日本株式の2018年の予想EPS上昇率は10%。2019年も10%。

<政治>
・日本は安定。ただトランプ大統領当選を的中させた占い師Love Me Doことラブちゃんが、8月の大スポで「安倍首相はいま急激に運がおちている。そして2019年に大ピンチを迎える」といっているのでアベノミクスが頓挫する可能性もある(笑)。
・海外は不安定。米国と中国の覇権争いは、ハイテク・軍事分野を中心に今後長期にわたり続きそう。米中貿易戦争に至っては中国の譲歩で一旦落ち着くと思ったが、中国は米国が貿易戦争で大きな不利益を被ることをわかっているので、長期戦に持ち込むのではないかと思いはじめた。中国が政策金利を引き下げたのもおそらく長期戦に備えるため。

<その他の景気後退シグナル>
・過去の景気後退期はすべて米国の需給ギャップがプラスに転じた後に始まっているが今は0%程度?。
・コモディティ、米国債、米国株、ドルの4資産の値動きで、年間収益が高い順位が、コモディティ、米国債の順番になるとその翌年に景気後退が起きると言われているが、今年は今のところコモディティ、米国株の順。
・景気拡大期の終盤は、金余りと鈍化した成長率を引き上げるため巨大M&Aが盛んになるといわれているが、今がまさにその状態。
・世界景気の先行指標である銅価格が、ピークアウトするかどうかの分岐点にある。
<COMEX 銅先物の5年チャート>


■テクニカル
・チャート
→特に問題なし

・ディストリビューションデー
日経平均 2日
NYダウ 5日
ナスダック 5日
→特に問題なし

・騰落レシオ
日経平均 85
NYダウ 110
ナスダック ?
→特に問題なし

・信用評価損益率
ー9.73%
→特に問題なし

eワラントのトレーディングインディケーター
<サムモデル>「中立」
危険度:11月43% →12月62% →1月69% →2月74% →3月52% →4月52% →5月36% →6月43% →7月39% →8月44% →9月61%

<オノダモデル>「売り」
2018/1/18に「売り」に転換。2018/2/20に「買い」に転換 。2018/5/18に「売り」に転換 。2018/7/17に「買い」に転換。2018/08/20に「売り」に転換。

■まとめ
中期的には特に問題なし。短期的には貿易戦争などで市場が荒れそうな雰囲気もあるが、日銀のサポートラインが日経平均の20000~21500円あたりにありそうなので、日本株の下げ余地は限定的になりそう。

長期計画チェック

「平時にじっくり考えて決めておいたことは、後悔する判断にはなりにくい」いわれているので、今のうちから長期的な計画を考えていく。

現時点の予想では2020年頃に景気後退期に入るとみている。ただ今回の景気拡大期は低成長・低金利の中で浅く長いものだったので、景気後退期も浅く長いものになりそう。

2019年の半ば頃になったら徐々に株式とドルを売って、米国債を買っていく。

ただしそれよりも前に
・日経平均が3万円
・1ドルが120円
・米長期金利が4%
このいずれかになった場合は、その時点でポートフォリオをシフトしていく。

景気後退期に入り円が80円くらいまで上昇したら、米国債を売って、米国株や日本株、ドルを買っていく。

メルカリはアメリカで成功するか

日本でフリマ事業を展開するメルカリはアメリカでも同事業を展開しようとしているが、アメリカではすでにeBayという洗練されたプラットフォーマーが市場を独占しているので、成功する可能性はほとんどない。

メルカリが日本で成功したのは、ひとえにヤフーの体たらくが招いたものにすぎないように思う。メルカリが登場する前のヤフオクのシステムはとにかく煩雑で、住所や送料などの基本情報さえもいちいち入力し、やりとりしなければならなかった。一度ヤフオクとeBayでほぼ同時期に落札したことがあったが、米国で落札したeBayのほうが先に届いたこともあった。もしヤフーがeBayを手本にしてシステムを改善したり、フリマ事業をはじめていたりしたら、メルカリの参入余地はなかったように思う。

メルカリは日本の成功体験に味をしめ、海外に進出することになったわけだが、上記のように事情が大きく異なるので同じようにいく可能性はほとんどない。経営陣はとっくにここらへんのことに気づいているはずだが、すでに”ゴール“を達成しているようなので撤退が遅れる可能性がある。

やや話はそれるが、メルカリには上場ゴールのような節があった。メルカリは上場時に行使できるストックオプションが全株式の10%以上あり、6月の上場時には6月締めの決算にもかかわらず伸び率の高い売上予想だけ開示して、赤字のEPSは非開示にしている。これは資金調達のみならずストックオプションを売り抜けるために株価をつりあげようとしているように見える。メルカリは口では長期目線の経営をするといっているが、この行動を見る限り極めて短期目線にみえる。少なくとも公正さには欠ける。このようなスタンスではアメリカはもとより長期的に成長していくのも難しいように思う。

長短金利が逆転するとなぜ景気後退が起こるのか

米国の短期金利が長期金利を上回ると、その1-2年後に景気が後退するといわれているが、どうして長短金利が逆転すると景気後退が起こるのか。

一般には、長期金利が経済の“実力”で、その“実力”を短期金利が上回ってしまうと引き締めすぎになり景気を冷やしてしまうためだといわれている。また金融機関にとっては短期の調達金利と長期の貸出金利の差である利ざやが減るので貸し出しが抑制的になり、これもまた景気の下押し圧力になるという。

長短金利の逆転は過去50年すべての景気後退に先行してきたようなので、今回も長短金利が逆転すれば景気後退が起こる確率は高い。長短金利の逆転はもう少し先になるかもしれないが、過去よりもだいぶ低い水準で転換しそうなので、今回の景気後退は比較的穏やかなものになるかもしれない。

参考:「米利上げ、適温相場の寿命は縮んだか」 2017/12/18日経
        「円安シナリオに落とし穴 米長短金利、来年に逆転も 」2017/12/27日経

2018年8月4日土曜日

リーマン後、株価が上昇した銘柄

8月1日の日経にリーマンショック後の株価上昇率ランキングが載っていた。
※東証1部上場で時価総額3000億円以上の企業が対象

1位 モノタロウ 55倍
2位 GMOペイメントゲートウェイ 48倍
3位 スタートトゥデイ 32倍
4位 日本M&A 19倍
5位 コスモス薬品 19倍
6位 エムスリー 13倍
7位 サイバーエージェント 12倍
8位 日本ペイントホールディングス 12倍
9位 ピジョン 10倍
10位 ウェルシア 10倍

この中にプラットフォーム企業は5社(モノタロウ、GMOペイメントゲートウェイ、スタートトゥデイ、エムスリー、サイバーエージェント)あり、上位3位は独占している。そして上位3社の上がり方は段違い。

プラットフォーム企業のビジネスモデルの強さを再認識できた。

2018年8月3日金曜日

売買チェック

■売り
東武住販を全株売却 損益+40%
本決算が予想より下振れし、今期予想では利益率が低下していたから。中古再生住宅はメガトレンドだが、参入障壁が低いので競争が激化しつつあるのかもしれない。

朝日ネットを全株売却 損益-5%
シンクロフードに乗り換えるため。朝日ネットの業績も徐々に拡大していきそうだが、それよりもシンクロフードのほうが強そうだから。

弁護士ドットコムを2割売却 損益+315%
シンクロフードに乗り換えるため。両社とも優良プラットフォーマーだがシンクロフードの方が割安感があったから。

■買い
シンクロフードを買い増し
以下のレポートでシンクロフードのプラットフォームが思ってた以上に強いことがわかったから。
3963 シンクロフード フォローレポート 高成長持続 買収による連結決算 by Ono

FXでドル買い
中期的にドル高円安が進むと思ったから。

持ち株チェック

保有比率の高い順に見ていく。

■弁護士ドットコム
基本シナリオ:法律分野をITで変革し最強のプラットフォーマーに
クラウドサインはネットワーク効果が効いて等比級数的な拡大局面に入った(参照)。これは教科書通りの動きではあるが、それを当たり前のようにやってしまうところがすごい。ただ”契約インフラ”としての信頼性はまだそれほど高くはなさそうなので、それを少しでも高めるために今後は分売して東証一部を目指す形になりそう。チャートは最高値から陰線が4本連続で出てるのでいったん天井をつけたように見える。今後3年の売上高成長率は年率30%程度。今年の中心株価はチャート的にも時価総額的にも2650円(変動率±35%)あたりになりそう。
<6ヶ月チャート>


■シンクロフード
基本シナリオ:飲食店の運営をITで変革・サポートし最強のプラットフォーマーに
各分野で依然競合は多いが、ここは独自のビジネスモデルを構築していて競争力が高いので長期的な見通しは悪くない。チャートは短期と長期の移動平均線が収斂しているのでそろそろ上下どちらかに振れそう。一目均衡表の雲の上に行けるかどうかもポイントになる。今後3年の予想売上高成長率は年率30%程度。今年の予想平均株価は1000円(変動率±35%)。
業績に最もインパクトのある求人広告掲載数を記録していく。関東 2179  関西 611  東海 302  九州 135  北海道・東北 195 総計 3422
<1年チャート>

<1年チャート・日足> 分厚い雲が無くなり基準線と転換線がクロス

<2年チャート・週足> 残念ながら雲の下に入りそう

■ペプチドリーム
基本シナリオ:ペプチド創薬で最強のプラットフォーマーに
研究開発のほうは概ね順調そうだが、数字の伸びがいまいちなので株価はしばらく横ばいが続きそう。今後3年の売上高成長率は年率35%程度。今年の予想平均株価は4600円(変動率±35%)。

■厳選ジャパン(投資信託)
基本シナリオ:ビッグチェンジ銘柄投資でテンバガー達成
上位10銘柄にはプラットフォーマーが3社(スタートトゥデイ、SBIホールディングス、D.Aコンソーシアム)が入っており、プラットフォーマー以外ではベクトルや日本電産など優良成長企業で堅められている。7月にはここの保有株であるM&Aキャピタルがストップ安になったが基準価額は大して下がらず。これが投信の強みのように思う。今年の予想基準価額上昇率は30%程度で予想平均価額14000円(変動率±30%)。

■パーク24
基本シナリオ:最強のカーシェアプラットフォーマーに。海外駐車場事業の効率化で利益拡大。
財務状態はいまいちだが長期的な見通しは悪くない。今後3年の売上高成長率は5%で利益成長率は10%程度。今年の予想平均株価は3200円(変動率20%)。

■コンテック
基本シナリオ:ダイフクとファナック向けのエッジコンピューティング機器で業績拡大
ダイフクとファナックの株価が落ちているのが気になるが、7月の半導体国際会議でアプライドのCEOが「2018年、機械が生むデータは人が生み出すデータ量を上回る」と言っているので産業用コンピューターの需要は堅調に推移しそう。今後3年の売上高成長率は5%で利益成長率は10%程度。今年の予想平均株価は2400円(変動率20%)。

■FXでドル買い
基本シナリオ:中期ではドル高、長期では円高
円高、ドル高の要因を列記し、各々の中期的なインパクトを★で表していく。
<円高要因>
・日本よりも米国のほうがインフレ率が慢性的に高いので購買力平価は円高傾向。★★
・日本の経常収支は黒字が続いている。★★★
・日本は対外純資産を世界で最も保有している。★
・日銀の金融緩和が限界に近づきつつある。★
・トランプさんの口先介入。★
・米中の貿易摩擦により不透明感がある。★★
・米国景気の減速と利上げの鈍化。
・金融危機や戦争、大災害が起こる。
<ドル高要因>
・日本より米国のほうが経済に勢いがあり、金利が高い。★★★
・米国の金融政策は引き締め傾向。★★★
・米国のリパトリ減税により米国にドルが環流している。★★★
・米国の保護主義により米国の貿易赤字が減少する。★★
・日本企業による海外企業の巨額買収。★★★
→円高要因の★は10個でドル高要因の★は14個なのでしばらくドル高が続きそう。チャート的にも200日線を25日、75日線が上抜いているのでドル高方向に見える。


■今後の戦略
ポートフォリオをプラットフォーム企業にほぼほぼシフトすることができた。プラットフォーム企業はビジネスモデルが強いので持っていてあまり疲れないのがよい。株式投資はプラットフォーム企業、特に設備投資の少ないデジタルプラットフォーム企業ととても相性がよいように思う。またソフトバンクの孫正義氏が10兆円ファンドで世界中のプラットフォーム企業を買いまくっているように、プラットフォーム企業は現在進行中の第4次産業革命の中核でもあるように思う。そういった意味でも今後はプラットフォーム企業を中心に買っていこうと思う。

市場環境チェック

株式市場への影響が大きい金利、金融政策、企業業績などをチェックしていく。

■ファンダメンタルズ
<インフレ>
・米国の予想インフレ率は2018年度が2.4%。
・欧州の予想インフレ率は2018年度が1.5%。
・日本の予想インフレ率は2018年度が0.9%。
→米欧のインフレ速度は高まりつつあるが、今のところ特に問題なし。

<金利>
・米国の短期金利は2.66%で長期金利は2.99%。
・日本の短期金利は-0.11%で長期金利は0.11%。
→米国の長期金利は上がり始めているが、日本や欧州の金利は低いままなのでしばらく3%程度が続きそう。
→米国の短期金利が長期金利を上回ると景気後退に陥るといわれるが、もうしばらく大丈夫そう。
→実質長期金利(名目長期金利-インフレ率)が潜在成長率を上回ると景気後退に陥るといわれるが、足下の実質長期金利は0.5%で、潜在成長率は1.8%。

<債務>
・米国の民間債務残高はGDP比150%で横ばい傾向。
・日本の民間債務残高はGDP比150%で横ばい傾向。
・中国の民間債務残高はGDP比200%で現在も上昇中。日本のバブル期のピーク220%に近づきつつある。
・新興国の債務はここ10年の金融緩和で膨らんでいる。
・過去10年で債務を最も膨らませたのは各国政府と中央銀行になる。
→米企業債務は過去最高水準に達しているが、利益がそれを上回っているので特に問題なさそう。
→中国の債務は危険水準に達しているが、習政権は経済の筆頭課題に金融危機封じ込めを据えているので、それほど心配しなくてもよさそう。
→新興国は米利上げや原油高などで通貨安・高インフレ・高金利になり、債務圧縮局面に入りそうだが比較的穏やかなものになりそう。

<金融政策>
・米国は引き締めに転じている。
・日本は金融緩和を継続しているが限界に近づきつつある。
・欧州は量的緩和を2018年12月に終了し、利上げは19年の夏以降になる。
・世界の量的緩和は2017年3月にピークをつけ、その後は減少傾向にある。2019年には明確なマイナスへと転じる。
→やや問題あり。引き締め速度は穏やかだが全体的に引き締め傾向。
*米国はトランプ大統領の財政出動により次の景気後退期の策は金融政策しか残されていない。そのためFRBは粛々と金融縮小を進めていくしかない。
*日本は次の景気後退期に、ヘリマネなどの禁じ手をのぞけば、金融面でも財政面でも打つ手がない。

<経済成長率>
・世界の2018年のGDP成長率は3.9%、2019年も3.9%と良好。
・米国の2018年のGDP成長率は2.9%、2019年は2.7%と良好。
・ユーロ圏の2018年のGDP成長率は2.2%、2019年は1.9%と良好。
・日本の2018年のGDP成長率は1.0%、2019年は0.9%とまずまず。
現在、世界同時成長が起きており、このような状態は通常2,3年続くという。ただしこのような世界同時成長は景気サイクルの終盤に見られる特徴的な現象とも言われている。
世界同時成長は海外で6割を稼ぐ日本企業には追い風になる。
*半面、海外の景気後退期は日本企業にとって強い向かい風になる。このような経済構造に円高効果が加わり、日本株は米国株の1.5倍くらい下落する。
*アメリカの財政支出の効果は2019年に切れるので20年以降に景気後退リスクがある。
→中期的には特に問題なし

<EPS成長率>
・世界株式の2018年の予想EPS上昇率は11%、2019年も11%。
・米国の2018年の予想EPS上昇率はは20%(うち減税効果分が8%)。
・日本株式の2018年の予想EPS上昇率は10%。
*もし為替が105円程度で落ち着いた場合、日本の今期のEPS成長率は0%になる。

<政治>
・日本は安定。
・海外は不安定。トランプさんは少なくとも中間選挙が終わるまでは、国民ウケする短期目線の政策を推進していきそう。
 米国と中国の覇権争いは、ハイテク・軍事分野を中心に今後長期にわたり続きそう。ただ両国とも持ちつ持たれつなところもあるので、すぐに景気後退に陥るほどの貿易戦争には至らないように思う。

<その他の景気後退シグナル>
・過去の景気後退期はすべて米国の需給ギャップがプラスに転じた後に始まっているが今は-0.3。
・コモディティ、米国債、米国株、ドルの4資産の値動きで、年間収益が高い順位が、コモディティ、米国債の順番になるとその翌年に景気後退が起きると言われているが、今年は今のところコモディティ、米国株の順。
・景気拡大期の終盤は鈍化した成長率を引き上げるため巨大M&Aが盛んになるといわれているが、今がまさにその状態。


■テクニカル
・チャート
日経平均は25日線、75日線、200日線が収斂しているのでそろそろ上下どちらかに大きく動きそう。もし23000を超えれば戻り売り圧力がなくなり上値は軽くなる。
<1年チャート>

NYダウも日経平均と同じように長短の移動平均線が収れんしているのでそろそろ上下どちからに振れそう。底値を徐々に切り上げており、戻り売りもそれほどないので、上振れするかもしれない。
<1年チャート>

ナスダックは典型的な上昇トレンドだがやや過熱感がある。
<5年チャート>

・ディストリビューションデー
日経平均 6日
NYダウ 3日
ナスダック 2日
→特に問題なし

・騰落レシオ
日経平均 100
NYダウ 116
ナスダック ?

・信用評価損益率
ー9.90%

eワラントのトレーディングインディケーター
<サムモデル>「買い」
危険度:11月43% →12月62% →1月69% →2月74% →3月52% →4月52% →5月36% →6月43% →7月39% →8月44%

<オノダモデル>「買い」
2018/1/18に「売り」に転換。2018/2/20に「買い」に転換 。2018/5/18に「売り」に転換 。2018/7/17に「買い」に転換。

■まとめ
中期的には特に問題なし。今年2月に株価が下がり始めてから6ヶ月たつので「期日向かいの買い」が入りそうだが、トランプ大統領の“ディール”がネックになりそう。

長期計画チェック

「平時にじっくり考えて決めておいたことは、後悔する判断にはなりにくい」いわれているので、今のうちから長期的な計画を考えていく。

現時点の予想では2020年頃に景気後退期に入るとみている。ただ今回の景気拡大期は低成長・低金利の中で浅く長いものだったので、景気後退期も浅く長いものになりそう。

2020年頃になったら徐々に株式とドルを売って、米国債を買っていく。

ただしそれよりも前に
・日経平均が3万円
・1ドルが120円
・米長期金利が4%
このいずれかになった場合は、その時点でポートフォリオをシフトしていく。

景気後退期に入り円が80円くらいまで上昇したら、米国債を売って、米国株や日本株、ドルを買っていく。

2018年7月6日金曜日

月1の売買チェック

■売り
・テラスカイの残りを全て売却。損益-13%
少しだけ期待していた提携会社の新規上場が6月中に発表されなかったから。
ビジネスモデルがイマイチだから。(時流には乗っているが、参入障壁が低く、ストック型ではない)。

・スパークスを全株売却。損益+10%
ここは株式市場とほぼ連動して動くのだが、その市場がしばらく厳しそうだから。
シンクロフードに乗り換えようと思ったから。

■買い
・シンクロフードを買い増し
チャートが底打ちし、押し目が来たと思ったから。

月1の持ち株チェック

保有比率の高い順に見ていく。

■弁護士ドットコム
基本シナリオ:法律分野で最強のプラットフォーマーに
株価が予想の上限を超えて上がり始めた。クラウドサインの成長性を織り込み始めたのかもしれない。チャートは毛抜き天井のようなものが多数出現しているので天井をつけたようにも見えるが、今日は新高値陽線で終わっている。まだ上がるのかもしれない。今後3年の売上高成長率は年率30%程度。今年の予想平均株価は1900円(変動率±30%)

■ペプチドリーム
基本シナリオ:ペプチド創薬で最強のプラットフォーマーに
基盤技術を開発した管教授がペプドリを離れ、別の研究を始めてしまった。「細胞膜の透過」という課題は残されたままになってしまったが、基盤技術はほぼ完成しているようなので、なんとかいけるかなと思う。今後3年の売上高成長率は年率35%程度と予想していたが、業績が前期と今期で下振れしてるので不透明感がでてきた。今年の予想平均株価は4600円(変動率±35%)になるが、しばらくこの水準が続くかもしれない。

■東武住販
基本シナリオ:人口減のため中古再生住宅はメガトレンドに。支店を増やして売上拡大。
昨年上場した同業のカチタスはPERが30倍まで上昇しているが、ここはまだ11倍程度なので、上昇余地はまだありそう。今年の予想平均株価は1700円(変動率±30%)。今後3年の売上高成長率は年率12%程度。

■シンクロフード
基本シナリオ:飲食店向けプラットフォームで最強に
競合が多いので業績に若干の不透明感はあるが、ここは総合力があるので長期的な見通しはそれほど悪くない。チャートは底打ちした感じ。今後3年の予想売上高成長率は年率30%程度。今年の中心株価は1000円くらい(変動率±35%)になりそう。

■朝日ネット
基本シナリオ:ストックビジネスで地味に成長&株主還元
業績の伸びが弱いため株価は横ばいが続きそう。今後3年の予想売上高成長率は年率6%程度でEPS成長率は15%程度。今年の予想平均株価は550円(変動率±15%)。

■厳選ジャパン(投資信託)
基本シナリオ:ビッグチェンジ銘柄投資でテンバガー達成
特に問題なし。今年の予想基準価額上昇率は30%程度で予想平均価額14000円(変動率±30%)。

■パーク24
基本シナリオ:カーシェア事業と海外駐車場事業の効率化で利益拡大
財務状態はいまいちだが、事業の長期的な見通しは良い。今後3年の売上高成長率は5%で利益成長率は10%程度。今年の予想平均株価は3200円(変動率20%)。

■コンテック
基本シナリオ:ダイフクとファナック向けのエッジコンピューティング機器で業績拡大
会社のIRを調べてみたが、想像していたのと少し違うというか、わかりにくかったので買い増しはなし。今後3年の売上高成長率は5%で利益成長率は10%程度。利益率は改善傾向。今年の予想平均株価は2400円(変動率20%)。

■今後の戦略
今後は成熟期特有の高値波乱が続きそうなので、買うときは上値追いはせず逆張りでいく。

それと今回改めて気づいたことだが、やはり独占型プラットフォーマーは強い。インフォマートにしろ夢の街創造委員会にしろ株価が予想以上に上昇している。両社とも独占的な社会インフラのようなものなので、長期的な見通しがすこぶるよいためかもしれない。景気や貿易摩擦のような外部要因にほとんど影響されないのもよい。今後は持ち株をプラットフォーム企業にシフトしていこうと思う。

月1の市場環境チェック

株式市場への影響が大きい金利、金融政策、企業業績を重点的にチェックしていく。

■ファンダメンタルズ
<インフレ>
・米国の予想インフレ率は2018年度が2.4%。5月は2.5%、6月は2.8%。
・欧州の予想インフレ率は2018年度が1.5%。5月は1.9%、6月は1.9%。
・日本の予想インフレ率は2018年度が0.9%。5月は0.7%、6月は0.7%。
→米欧のインフレ速度は高まりつつあるが、今のところは特に問題なし。
*株式市場にとって一番良いのは低インフレ(低金利)になり、最悪なのがデフレになる。

<金利>
・米国の短期金利は2.55%で長期金利は2.83%。
・日本の短期金利と長期金利はともに0%。
→米国の長期金利は上がり始めているが、日本や欧州の金利は低いままなのでしばらくは3%程度が続きそう。
→米国の短期金利が長期金利を上回ると景気後退に陥るといわれるが、まだ大丈夫。
→実質長期金利(名目長期金利-インフレ率)が潜在成長率を上回ると景気後退に陥るといわれるが、足下の実質長期金利は0.4%で、潜在成長率は1.8%。

<債務>
・米国の民間債務残高はGDP比150%で横ばい傾向だが、米企業債務はGDP比33%と過去最高水準に達している。
・日本の民間債務残高はGDP比150%で横ばい傾向。
・中国の民間債務残高はGDP比200%で現在も上昇中。日本のバブル期のピーク220%に近づきつつある。
→米企業と中国は債務がピークに達しつつある。アメリカは金利の上昇、中国は金利の上昇に加えて人口のピークアウトなどにより、債務圧縮局面(景気後退期)に入りそう。
→この10年で債務を最も膨らませたのは各国政府と中銀になるが、もしここがなんらかのきっかけで債務を圧縮することになれば株式市場は崩壊する。

<金融政策>
・米国は引き締めに転じている。
・日本は金融緩和を継続しているが限界に近づきつつある。
・欧州は量的緩和を2018年12月まで延長し、利上げは早くても19年の夏以降になる。
・世界の量的緩和は2017年3月にピークをつけ、その後は減少傾向にある。2019年には明確なマイナスへと転じる。
→やや問題あり。引き締め速度は穏やかだが全体的に引き締め傾向。
*アメリカはトランプ大統領の財政出動により次の景気後退期の策は金融政策しか残されていない。そのためFRBは粛々と金融縮小を進めていくしかない。
*日本は次の景気後退期に、ヘリマネなどの禁じ手をのぞけば、金融面でも財政面でも打つ手がない。

<経済成長率>
・世界の2018年のGDP成長率は3.9%、2019年も3.9%と良好。
・米国の2018年のGDP成長率は2.9%、2019年は2.7%と良好。
・欧州の2018年のGDP成長率は2.4%、2019年は2.0%と良好。
・日本の2018年のGDP成長率は1.2%、2019年は0.9%とまずまず。
現在、世界同時成長が起きており、このような状態は通常2,3年続くという。ただしこのような世界同時成長は景気サイクルの終盤に見られる特徴的な現象とも言われている。
世界同時成長は海外で6割を稼ぐ日本企業には追い風になる。
*半面、海外の景気後退期は日本企業にとって強い向かい風になる。このような経済構造に円高効果が加わり、日本株は米国株の1.5倍くらい下落する。
*アメリカの財政支出の効果は2019年に切れるので20年以降に景気後退リスクがある。
→中期的には特に問題なし

<EPS成長率>
・世界株式の2018年の予想EPS上昇率は11%、2019年も11%。
・アメリカの2018年の予想EPS上昇率はは20%(うち減税効果分が8%)。
・日本株式の2018年の予想EPS上昇率は10%。
*もし為替が105円程度で落ち着いた場合、日本の今期のEPS成長率は0%になる。今年の為替は105円から115円のレンジ内で動きそう。

<政治>
・日本は安定。
・海外は不安定。アメリカと中国の覇権争いは、ハイテク・軍事分野を中心に今後長期に渡り続きそう。ただ両国とも持ちつ持たれつなところもあるので、すぐに景気後退に陥るほどの貿易戦争には至らないように思う。そもそもアメリカが強気に出られるのは自国経済が好調なためであって、不況に陥ってしまえば自国経済を傷つけもする関税は引き上げられなくなるから。

<その他の景気後退シグナル>
・米国の需給ギャップがプラスになると景気後退に陥ると言われているが今は-0.3。
・コモディティ、米国債、米国株、ドルの4資産の値動きで、年間収益が高い順位が、コモディティ、米国債の順番になるとその翌年に景気後退が起きると言われているが、今年は今のところコモディティ、米国株の順。
・景気拡大期の終盤は鈍化した成長率を上げるため巨大M&Aが盛んになるといわれているが、今はまさにその状態。


■テクニカル
・ディストリビューションデー
日経平均 5日
ダウ 5日
ナスダック 3日
→特に問題なし

・トレードインディケーター
<サムモデル>「買い」
危険度:11月43% →12月62% →1月69% →2月74% →3月52% →4月52% →5月36% →6月43% →7月39%

<オノダモデル>「売り」
2018/1/18に「買い」から「売り」に転換。2018/2/20に「売り」から「買い」に転換 。2018/5/18に「買い」から「売り」に転換 。
*今月からオノダモデルも採用。中期のトレンド判断には使えそう。
参考:eワラントのトレードインディケーター

・騰落レシオ
日経平均 78
ダウ 112
ナスダック ?

・信用評価損益率
ー11.57%

■まとめ
中期的には特に問題はなさそうだが、米中間選挙が終わる11月頃までは上がりにくそう。

月1の長期計画チェック

「平時にじっくり考えて決めておいたことは、後悔する判断にはなりにくい」いわれているので、今のうちから長期的な計画を考えていく。

現時点の予想では2020年頃に景気後退期に入るとみている。
その時期が近づいたら株式とドルを売って、米国債を買っていく。

ただし2020年よりも前に
・日経平均が3万円
・1ドルが120円
・米長期金利が4%
このいずれかになった場合は、その時点で動き出す。

景気後退期に入り円が80円くらいまで上昇したら、米国債を売って、米国株や日本株、ドルを買っていく。

2018年6月8日金曜日

月1の売買チェック

■売り
・テラスカイの大半を売却。損益-26 %。
株価が節目の3000円を下回り、ビジネスモデルが弱いので売り。「下がりにくい成長株」に投資したつもりだったが大きく下げてしまった。今回の敗因はビジネスモデルを重視しなかったことと、増資に関する知識不足と、体調不良あたりになる。

■買い
・シンクロフードを新規買い
ビジネスモデルが強そうだから。(詳細は次項)

・パーク24を新規買い
カーシェアプラットフォーム事業が国内断トツだから。買収した海外駐車場事業はITによる効率化で利益率が向上しそうだから。ただ増資リスクがあるので買い増しはなし。

・コンテックを新規買い
3日前の大スポで紹介されていた会社。ここはエッジコンピューティング向けの産業用PCを製造している会社で、親会社がダイフクのためそのノウハウが豊富。ファナックのAIロボに対応した機器も製造している。ファナックと共同開発しているプリファードネットワークスの最高技術責任者は「膨大な量のデータが発生する現場ではクラウドでデータ処理をすることができないため、現場にコンピューターを置いて処理するエッジコンピューティングが主流になる」といっている。 

シンクロフード

かねてから注目していた会社。ビジネスモデルが強そうで、株価が射程圏内に入ってきたので調べてみた。

■どんな会社か
・飲食店向けの総合プラットフォーム事業を手がける。

■ビジネスモデルの強度は ★★★★
<参入障壁は高いか> ★★★
飲食店向けのプラットフォーム事業には、物件探しから、求人、店舗デザインなどいろいろあるが、どの分野においても競争は激しい。今のところシンクロフードが独占している領域はない。しかし様々な領域を総合しているプラットフォームはここだけであり、会員数の増加とともに、徐々に“堀”を固めつつある。

売上の7割を求人プラットフォーム事業で稼ぐが、このプラットフォームの利用者はシンクロフードが運営する自社メディア事業など他のプラットフォームからの来場者が多いので、営業コストがそれほどかからない。そのため競合他社の3分の1程度の価格で求人広告をのせられるなど圧倒的な価格競争力がある。

<ストック型収益か> ★★★★
プラットフォーム事業なのでストック型になる。利用者の増加に伴い収益も向上していく。会員数はここ数年は年に1万ずつ増えており、現在の会員数は13万になる。会社は潜在事業者数を68万と見積もっており、2023年までに会員数を20万まで増やす目標を掲げている。

<時流にのっているか> ★★★★★
アナログな領域をITで効率化していくのは今のトレンド。

総合的に見てビジネスモデルは最強というわけではないが、そこそこ強そうに見える。そもそもここの経営陣はビジネスモデルを考えるプロであるコンサル出身なので、ここらへんはそれほど心配しなくていいのかもしれない。

■妥当な株価はどのくらいか
過去1年の累積売買高から判断すると、2017年に大部分の投資家が見積もる妥当な株価は600円程度になる。利益率が一定の場合は売上の伸び率だけ株価も上昇するので、今後3年の売上高成長率を年率30%程度と見積もると、2018年度の平均株価は780円程度になる。
<1年チャート>


現在の株価は791円であり、ビジネスモデルも悪くないので、今が買い時のようにも思えるが少しひっかかることがある。

■問題点
株価が3月の高値1700円から窓を開けずに着実に下がり続けている。週足では13週連続で陰線がでている。一部の機関投資家が撤退しようとしているのがわかる。またモルガンスタンレーは2017年11月の株価が600円のときから空売りを始めている。今の株価は割高な可能性がある。
<2年チャート>

何か問題を見落としていると思うのだが、今のところそれが何なのかわからない。
・業績の牽引役である求人プラットフォーム事業の競合がリクルートなどで勝ち目が薄い?
・競争激化で収益力が低下していく?
・海外展開も考えているようだが、いまさら?
・あと1,2年で日本の景気がピークアウトするから?
・2016年の上場直前に設定したストックオプションが株価100倍を達成し、それを売却した社員の士気が低下する?
・高値からのただの調整にすぎない?

思いつくのはこのあたりになるがどれも決定打にかける。とりあえず800円で少し買ってみたが、しばらく様子見を続けようと思う。

太陽ホールディングス

少数選抜投資を手がけるみさき投資が2017年10月に大量保有報告書を出した銘柄。

みさき投資は太陽ホールディングス以外に過去4銘柄で大量保有報告書をだしているが、株価は報告書の提出後に大幅に上昇している。

みさき投資の投資手法は、まず「長期投資に値するか」という観点から決算書などを徹底的に調べ上げ、いったん投資先が決まれば、経営陣に助言して投資家の考えを経営に組み入れていくというもの。ここでいう投資家の考えとは「長期的に最も企業価値を向上させる」ものになる。

過去の4銘柄はいまいちピンとこなかったのでスルーしたが、太陽ホールディングスは事業がわかりやすく、また大量保有報告書を出してから株価がちょうどいい感じで調整していたので調べてみた。

太陽ホールディングスはスマホなどのプリント配線基板に使う絶縁膜(ソルダーレジスト)を作っている会社で世界シェアは5割超。売上の9割をこの事業が占め、営業利益率は平均20%超と高い。しかしこの分野の成長率は年率3~4%程度とそれほど高くない。

事業の柱が1本しかないので今後は多角化していくという。その中心になりそうなのが医薬品製造事業になる。医薬品の製造は絶縁膜の製造と同じようなものらしく、会社が持っている製造ノウハウをいかせば、医薬品を低コストで製造できるという。

投資における問題点は、事業が為替や半導体市況の影響を受けやすいなどいろいろあるが、一番の問題点は力強い成長ストーリーを描きにくいところにあるように思う。絶縁膜の成長率は低く、医薬品製造事業も収益に貢献してくるのは4,5年先になる。おそらく今後の株価上昇の起点となるのは2017年のDICとの資本業務提携やみさき投資の助言あたりになる。

株価は累積売買高的には今が妥当なところという感じ。今後の見通しや財務状態、配当性向が良いため今以上は下がりにくいように思う。しかし2017年11月に中外製薬から特許切れの医薬品を買ったところから大きく下がり、足下の株価の上には過去2年分の戻り売り圧力がたまっているので上値は重そう。とりあえずここもしばらく様子見しようと思う。
<2年チャート>


■ビジネスモデルの強度 ★★★☆
・参入障壁は高いか 過去の営業利益率から判断すると参入障壁は高い ★★★★
・ストック型収益か フロー型になる。しかし需要は安定しておりリピーターは多そう ★★★
・時流に乗っているか 半導体や医薬品のコストダウンはメガトレンド ★★★

参考:みさき投資の投資哲学
  「投資される経営 売買(うりかい)される経営 」(中神 康議)

月1の持ち株チェック

保有比率の高い順に見ていく。

■弁護士ドットコム
基本シナリオ:法律関連で国内最強のプラットフォーマーに
本決算は出来過ぎな感じだった。全セクターが伸びており、決算説明では今後も順調に伸びていきそうなことが確認できた。ただクラウドサインについては、競合のドキュサインにすでに外堀(海外)を固められており、投資額も100倍くらい違うので、やや不透明感がある。今後3年の売上高成長率は年率30%程度。今年の予想平均株価は1900円(変動率±30%)

■ペプチドリーム
基本シナリオ:ペプチド創薬で世界最強のプラットフォーマーに
今期最終日まであと20日しかないが、それまでに50億円稼げせそうにないので下方修正する可能性が高くなってきた。研究開発のほうはおおむね順調に進んでいるようだが、私の当初の予想よりも収益の成長が1年分くらい遅れているので、しばらく株価はボックス圏で推移するかもしれない。今後3年の売上高成長率は年率35%程度。今年の予想平均株価は4600円(変動率±35%)

■東武住販
基本シナリオ:人口減のため中古再生住宅はメガトレンドに。支店を増やして売上拡大。
特に問題なし。今年の予想平均株価は1700円(変動率±30%)。今後3年の売上高成長率は年率15%程度。

■朝日ネット
基本シナリオ:IOT需要を捉えて業績拡大
基本シナリオは微妙な感じになってきたが、大学向けのシステムプラットフォーム構築事業などのストック型収益が積み上がってきているので特に問題なし。ただ業績の伸びが弱いため株価は横ばいが続きそう。今後3年の予想売上高成長率は年率6%程度でEPS成長率は15%程度。今年の予想平均株価は550円(変動率±15%)。

■厳選ジャパン(投資信託)
基本シナリオ:ビッグチェンジ銘柄投資でテンバガー達成
地合いが直近のピークを回復していないにもかかわらず、ここの基準価額は一時的にだが最高値を突破してきた。やはりプロは運用がうまい。今年の予想基準価額上昇率は30%程度で予想平均価額14000円(変動率±30%)。

■シンクロフード
基本シナリオ:飲食店向け総合プラットフォームで国内最強に
株価がどこまで下げるかまだわからないが、今のところビジネスモデルに致命的な問題は見当たらない。今後3年の予想売上高成長率は年率30%程度。今年の予想平均株価は780円(変動率±40%)。

■スパークス
基本シナリオ:株式市場が盛り上がり、投信を手がけるスパークスの株価も上昇
特に問題なし。今年の予想平均株価は390円(変動率±40%)

■テラスカイ
基本シナリオ:クラウドシフトの波にのって業績拡大
クラウドシフトの波には乗っているようだが、競争激化で収益力は低下傾向。会社が新社屋に移り「エンジニアの楽園化」計画は順調に進んでいるようだが、投資先としては微妙になってきた。チャートは“鉄板”ラインを下抜け。中期チャートではWトップを形成したようにも見える。ただテラスカイが30%程度出資しているサーバーワークスがホームページをリニューアルしたので、近々上場するかもしれない。とりあえず6月いっぱいはそれを待って、あてがはずれたら損切していく。今後3年の売上高成長率は年率30%。今年の平均株価は3500円程度?(変動率±30%)。

■パーク24
基本シナリオ:カーシェア事業と海外駐車場事業の効率化で利益拡大
増資リスクはあるが、長期的な見通しは悪くない。今後3年の売上高成長率は5%で利益成長率は10%程度。今年の予想平均株価は3200円(変動率20%)。

■コンテック
基本シナリオ:ダイフクとファナック向けのエッジコンピューティング機器で業績拡大
ほぼ未調査だが、四季報をざっと見た限りでは特に問題なさそう。チャートも問題なし。今後3年の売上高成長率は5%で利益成長率は10%程度。今年の予想平均株価は2400円(変動率20%)。

■今後の戦略
今後も小型株投資をしていくが、小型株は景気拡大の最終局面では賃金や原材料コストの上昇により収益が圧迫され売られやすくなるというので、慎重にいく。

月1の市場環境チェック

株式市場への影響が大きい金利、金融政策、企業業績を重点的にチェックしていく。

■ファンダメンタルズ
<インフレ>
・米国の予想インフレ率は2018年度が2.4%。4月は2.4%、5月は2.5%。
・欧州の予想インフレ率は2018年度が1.5%。4月は1.3%、5月は1.9%。
・日本の予想インフレ率は2018年度が0.9%。4月は0.9%、5月は0.7%。
→特に問題なし。

<金利>
・米国の短期金利は2.50%で長期金利は2.93%。
・日本の短期金利と長期金利はともに0%。
→米国の長期金利は上がり始めているが、日本や欧州の金利は低いままなので3%程度で落ち着きそう。
→短期金利が長期金利を上回ると景気後退に陥るといわれるが、もうしばらくは大丈夫そう。
→実質長期金利(名目長期金利-インフレ率)が潜在成長率を上回ると景気後退に陥るといわれるが、足下の実質長期金利は0.4%で潜在成長率の1.7%を下回っているので特に問題なし。

<債務>
・米国の民間債務残高はGDP比150%で横ばい傾向。
・日本の民間債務残高はGDP比150%で横ばい傾向。
・中国の民間債務残高はGDP比200%で現在も上昇中。日本のバブル期のピーク220%に近づきつつある。
→やや問題あり。中国の債務は高水準。
→先進国の民間債務は大きく膨らんでないので今回は極端なバブル崩壊はないのかもしれない。

<金融政策>
・米国は引き締めに転じている。
・日本は金融緩和を継続しているが限界に近づきつつある。
・欧州は量的緩和を2018年9月まで延長。利上げは早くても18年9月以降になるが、現時点でなんのアナウンスもしていないので当分先になりそう。
・世界の量的緩和は2017年3月にピークをつけ、その後は減少傾向にある。2019年には明確なマイナスへ転じる。
→やや問題あり。引き締め速度は穏やかだが全体的に引き締め傾向。

<経済成長率>
・世界の2018年のGDP成長率は3.9%、2019年も3.9%と良好。
・米国の2018年のGDP成長率は2.9%、2019年は2.7%と良好。
・欧州の2018年のGDP成長率は2.4%、2019年は2.0%と良好。
・日本の2018年のGDP成長率は1.2%、2019年は0.9%とまずまず。
*今月から世界銀行の予測値から、IMF(国際通貨基金)の予測値へ変更。
現在、世界同時成長が起きており、このような状態は通常2,3年続くという。ただしこのような世界同時成長は景気サイクルの終盤に見られる特徴的な現象とも言われている。
世界同時成長は海外で6割を稼ぐ日本企業には追い風になる。
→問題なし

<EPS成長率>
・世界株式の2018年の予想EPS上昇率は11%、2019年も11%。
・アメリカの2018年の予想EPS上昇率はは20%(うち減税効果分が8%)。
・日本株式の2018年の予想EPS上昇率は10%。
→少し問題あり。もし為替が105円程度で落ち着くと日本の今期のEPS成長率は0%になる。今年の為替は105円から115円のレンジ内で動きそう。

<政治>
・日本は安定。ただ予想以上に森掛問題が長引いているので、なんらかのきっかけで安倍首相が辞任するかもしれない。
・海外の政治は不安定だが特に問題なし。

■テクニカル
・ディストリビューションデー
日経平均 5日
ダウ 4日
ナスダック 4日
→特に問題なし

・トレードインディケーター
危険度 11月43% →12月62% →1月69% →2月74% →3月52% →4月52% →5月36% →6月43%
参考:eワラントのトレードインディケーター
→特に問題なし

・騰落レシオ
日経平均 99
ダウ 126
ナスダック ?

・信用評価損益率
ー9.99%

■まとめ
中期的には特に問題なし。

テスラの破綻型ビジネスモデル

テスラ・モーターズはカリスマ経営者のイーロン・マスク氏が経営する電気自動車を作る会社だが、マスク氏はカリスマといわれている割にはビジネスモデルが脆弱に見える。

まず電気自動車の参入障壁は低い。その低さは運送会社(独DHL)が自前で電気自動車を作れるほどで、中国では新興企業が続々と参入してきている。またトヨタやフォルクスワーゲンなどの大手自動車メーカーも参入してきており、競争が激化しつつある。

マスク氏は「シノベーションの速度を上げて競争に勝ち抜く」と言っているが、そのイノベーションでさえも真似できるような状況で差異化を図り続けられるのだろうかと思う。加えて資金と知見の豊富な大手自動車メーカーがそれを上回るイノベーションを起こしてくる可能性もある。

こう考えていくと、テスラは今後じり貧になっていくのではないかと思う。中国や欧州に工場を作るともいっているが、そんなことをしたらあっという間に潰れてしまうのではないかと思う。

マスク氏はかつてペイパルのCEOに就いていたが、当時、その無謀な戦略からCEOの職を解かれている。今回も無謀な戦略を実行しているのかもしれない。

2018年5月4日金曜日

月1の売買チェック

■売り
・テラスカイを一部売却(損益-10%)
楽しみにしていた決算は、今期予想のまさかの減益に加え、増資と分売のおまけ付き。減益のため短期的な印象は悪く、増資(4000円以上で行使される新株予約権)により中期的に60万株の売り玉を抱えてしまったため、今後半年くらいは上値が重くなりそう。今回の決算で一番問題に感じたのは、ソフト販売セクターの伸びの弱さ。前期は売り上げが22%しか伸びておらず市場成長率を下回っている。長期的にはこのセクターが業績のけん引役になるとみていたので見通しが悪くなってしまった。テラスカイは今期このセクターが38%伸びると予想しているが私はやや懐疑的。売上は順調に伸びており、チャート的にも下げにくそうだが、売却の方向でいく。

・和田興産を全株売却(損益+3%)
長期的な見通しが悪いから。

月1の持ち株チェック

保有比率の高い順に見ていく。

■弁護士ドットコム
基本シナリオ:法律関連のプラットフォーマーに
特に問題なし。ただ株価はすでに今年の予想株価に到達しているのでしばらく横ばいが続きそう。今後3年の売上高成長率は年率30%程度。今年の予想平均株価は1900円(変動率±30%)

■ペプチドリーム
基本シナリオ:ペプチド創薬のプラットフォーマーに
今期業績未達の可能性がでてきた。会社予想では今期の売上は最低でも70億としているが第2四半期までの売上は9億になる。ちなみに去年は会社予想を出していなかったが、業績はコンセンサスを20%ほど下回っていた。それでも研究開発の進捗は総じて順調なようなので特に問題なし。今後3年の売上高成長率は年率35%程度。今年の予想平均株価は4600円(変動率±35%)

■東武住販
基本シナリオ:人口減のため中古再生住宅はメガトレンドに。支店を増やして売上拡大。
株価が上がりはじめているが、もしかしたら中古再生住宅銘柄は割安株から成長株へと認識が変わつつあるのかもしれない。今年の予想平均株価は1700円(変動率±30%)だが水準訂正による上振れ余地あり。今後3年の売上高成長率は年率15%程度。

■朝日ネット
基本シナリオ:IOT需要を捉えて業績拡大
IOT需要を捉えてるのかどうかは微妙になってきたが、SMBC日興証券が4月13日付の大量保有報告書を出してきた。保有目的は「投資収益性を重視して行う投資」とのことなので、もしかしたら今後株価は上がっていくのかもしれない。しかしながら私の今後3年の予想売上高成長率は年率6%程度でEPS成長率は15%程度。今年の予想平均株価は550円(変動率±15%)。

■テラスカイ
基本シナリオ:クラウドシフトの波にのって業績拡大
クラウドシフトは今後確実に進んでいくだろうが、テラスカイはソフト販売の伸びが市場の伸び以下なので、あまり競争力がないのかもしれない。目標株価は、株式が10%希薄化される増資により、5500円から10%下落して5000円にダウン(変動率±30%)。今後3年の売上高成長率は、前期決算の伸びが想定以下だったので、年率40%から30%にダウン。ただ来期の利益は今期の5倍に跳ね上がると予想。

■厳選ジャパン(投資信託)
基本シナリオ:ビッグチェンジ銘柄投資でテンバガー達成
今後は地合いの回復と共にここの基準価格も上昇していきそう。予想基準価格上昇率は30%程度。今年の予想平均価格14000円(変動率±30%)

■スパークス
基本シナリオ:株式市場が盛り上がり、投信を手がけるスパークスの株価も上昇
ここも地合いの回復と共に上昇してきそう。今年の予想平均株価は390円(変動率±40%)

■今後の戦略
1月の朝日ネットへの投資と3月のテラスカイへの投資は今のところ不発に終わっているが、その敗因はつまるところビジネスモデルの弱さだとみている。両社とも成長市場のただ中にあるが、参入障壁が低いため過当競争に陥っており、高い収益力を維持できなくなりつつあるように見える。

今後投資をするときは、ビジネスモデルの強度を最重要視して会社を選んでいこうと思う。ビジネスモデルの強度とはつまり参入障壁が高く、ストック型ビジネスで、時流に乗っているものになる。経営者の資質はインタビューや会社説明などの言葉よりも、ビジネスモデルや実際の行動などの事実から判断していく。

それと増資リスクについて調べていく。過去1年間で、保有株だった鈴茂器工と和田興産とテラスカイが増資をしているが、その中で和田興産しか(なんとなくだが)予想できなかった。この予測精度をもう少し高めていきたい。ちなみに現在の持ち株では増資リスクはほとんどないとみている。

月1の市場環境チェック

株式市場への影響が大きい金利、金融政策、企業業績を重点的にチェックしていく。

■ファンダメンタルズ
<インフレ>
・米国の予想インフレ率は2017年度が2.1%で、2018年度が2.4%。4月は2.4%
・欧州は2017年度が1.4%で2018年度が1.5%。2019年が1.6%。4月は1.3%
・日本は2017年度が0.7%で、2018年度が0.9%。4月は0.9%
→インフレ基調だが穏やかなペースなので特に問題なし。

<金利>
・米国の現在の短期金利は2.48%で長期金利は2.94%。
・日本の短期金利と長期金利はともに2018年も2019年も0%程度。
・中国の現在の短期金利は3.12%、長期金利は3.65%。
→米国の長期金利は上がり始めているが、日本や欧州の金利は低いままなので3%程度で落ち着きそう。
→逆イールド(短期金利と長期金利の逆転)はもう少し先になりそうなので特に問題なし。

<債務>
・米国の民間債務残高はGDP比150%でほぼ横ばい傾向。
・日本の民間債務残高はGDP比150%でほぼ横ばい傾向。
・中国の民間債務残高はGDP比200%で現在も上昇中。日本のバブル期のピーク220%に近づきつつある。
→やや問題あり。中国の債務は高水準。

<金融政策>
・米国は引き締めに転じている。
・日本は金融緩和を継続しているが限界に近づきつつある。
・欧州は量的緩和を2018年9月まで延長。利上げは早くても18年9月以降。インフレ率が2%に達していないので引き締めは穏やかなものになりそう。
・世界の量的緩和は2017年3月にピークをつけ、その後は減少傾向。2019年にはマイナスへ転じる。
→やや問題あり。引き締め速度は穏やかだが全体的に引き締め傾向。

<経済成長率>
・世界の2017年のGDP成長率は2.7%、2018年は3.1%、2019年は3.0%と良好。
・米国の2017年のGDP成長率は2.2%、2018年は2.5%、2019年は2.2%と良好。
・欧州の2017年のGDP成長率は2.2%、2018年は2.3%、2019年は2.0%と良好。
・日本の2017年のGDP成長率は1.5%、2018年は1.3%、2019年は0.8%とまずまず。
現在、世界同時成長が起きており、このような状態は通常2,3年続くという。ただしこのような世界同時成長は景気サイクルの終盤に見られる特徴的な現象とも言われている。
世界同時成長は海外で6割を稼ぐ日本企業には追い風になる。
→問題なし

<EPS成長率>
・世界株式の2017年の予想EPS上昇率は26%、2018年は11%、2019年も11%と良好。
・アメリカの2017年の予想EPS上昇率は15%超で、2018年は20%(うち減税効果分が8%)。
・日本株式の2017年の予想EPS上昇率は15%超で、2018年は10%程度。
→少し問題あり。もし為替が105円程度で落ち着くと日本の今期のEPS成長率は0%になる。

<政治>
・日本は安定。
・海外の政治は不安定。
→問題なし

■テクニカル
・チャート
日経平均は調整が終わりつつあるように見える。

・ディストリビューションデー
日経平均 0日
ダウ 5日
ナスダック 5日
→アメリカ株は上がりにくそう。

・トレードインディケーター
危険度 11月43% →12月62% →1月69% →2月74% →3月52% →4月52% →5月36%
参考:eワラントのトレードインディケーター
→この指標では今は安全圏(仕込み時)

・騰落レシオ
日経平均 116
ダウ 107
ナスダック ?

・信用評価損益率
ー9.25%

■まとめ
中期的には特に問題なし。アメリカ株は金利上昇により割高感が出て上がりにくそうだが、日本株は上昇トレンドが始まりそう。

2018年4月6日金曜日

月1の売買チェック

■買い
・テラスカイ。今後本格的なクラウドシフトが始まると思ったから。

■売り
・朝日ネットを一部売却(-5%)。前回の決算が予想以下で今後に不透明感がでたから。

・ペプチドリームを一部売却(+179%)。現在の時価総額6500億円はDFC法で算出した場合は妥当かもしれないが、足下の業績(売上高70億円)と比較すると割高に見えたから。

月1の持ち株チェック

保有比率の高い順に見ていく。

■弁護士ドットコム
基本シナリオ:法律関連のことなら弁護士ドットコム
特に問題なし。ただ株価は今年の目標株価に到達し、チャートではピーク時にはらみ線が出ているのでしばらく横ばいが続きそう。今後3年の売上高成長率は年率30%程度。今年の予想平均株価は1900円(変動率±30%)

■ペプチドリーム
基本シナリオ:ペプチド創薬で新領域を開拓
ペプチドリームの自社に対する自信の高さは投資家説明会の多さからわかってはいたが、先日は株価が最高値圏のときにストックオプションを設定した。社長は「時価総額4兆円は達成できる」と話しているので、現在の時価総額6500億はほんの通過点にすぎないのかもしれない。ただ足下の株価にはやや割高感があり、チャートは過熱気味。今後3年の売上高成長率は年率35%程度。今年の予想平均株価は4600円(変動率±35%)

■東武住販
基本シナリオ:人口減のため中古再生住宅はメガトレンドに。支店を増やして売上拡大。
特に問題なし。今後3年の売上高成長率は年率15%程度。今年の予想平均株価は1700円(変動率±30%)。

■テラスカイ
基本シナリオ:クラウドシフトの波にのって業績拡大
四季報の業績予想では今期の売上高は63億で営業利益は3億となってるが、私の予想は売上高は70億で営業利益は3億5千万になる。今後3年の売上高成長率は年率40%程度。今年の予想平均株価は5500円(変動率30%)。

■朝日ネット
基本シナリオ:IOT需要を捉えて業績拡大
来期の業績はそれほど期待できないが悲観するほどでもないので株価は横ばいで推移しそう。今後3年の予想売上高成長率は年率6%程度でEPS成長率は年率15%程度。今年の予想平均株価は550円(変動率±15%)。

■厳選ジャパン(投資信託)
基本シナリオ:ビッグチェンジ銘柄投資でテンバガー達成
純資産価格が購入時の倍になってしまった。この投信は20数銘柄に集中投資という制約があるので、このまま増え続けると小型株に投資できなくなってしまうのが少し問題。予想基準価格上昇率は30%程度。今年の予想平均価格14000円(変動率±30%)

■和田興産
基本シナリオ:景気回復でマンション販売が好調に
足下のマンション販売は好調のようだが長期的な見通しは悪い。先日増資に失敗したので見通しはさらに悪化した。しかしチャートは底打ちした感じ。今年の予想平均株価は900円(±10%)。

■スパークス
基本シナリオ:株式市場が盛り上がり、投信を手がけるスパークスの株価も上昇
特に問題なし。今年の予想平均株価は390円(変動率±40%)

■今後の戦略
和田興産を売り、面白そうな銘柄があれば買っていく。

月1の市場環境チェック

株式市場への影響が大きい金利、金融政策、企業業績を重点的にチェックしていく。

■ファンダメンタルズ
<インフレ>
・米国の予想インフレ率は2017年度が2.1%で、2018年度が2.4%。
・欧州は2017年度が1.4%で2018年度が1.5%。2019年が1.6%。
・日本は2017年度が0.7%で、2018年度が0.9%。
→インフレ基調だが穏やかなペースなので特に問題なし。

<金利>
・米国の現在の短期金利は1.75%で長期金利は2.81%。2018年末の予想短期金利は2.25%~2.5%、長期金利は3%程度。2019年末の短期金利は3.0%~3.5%、長期金利は3.5%程度。
・日本の短期金利と長期金利はともに2018年も2019年も0%程度。
・中国の現在の短期金利は3.2%、長期金利は3.75%。
→米国の長期金利は上がり始めているが、日本や欧州の金利は低いままなので3%程度で落ち着きそう。逆イールド(短期金利と長期金利の逆転)はもう少し先になりそうなので特に問題なし。

<債務>
・米国の民間債務残高はGDP比150%でほぼ横ばい傾向。
・日本の民間債務残高はGDP比150%でほぼ横ばい傾向。
・中国の民間債務残高はGDP比200%で現在も上昇中。日本のバブル期のピーク220%に近づきつつある。
→やや問題あり。中国の債務は高水準。

<金融政策>
・米国は引き締めに転じているが速度は穏やか。
・日本は金融緩和を継続しているが限界に近づきつつある。
・欧州は量的緩和を2018年9月まで延長。利上げは早くても18年9月以降。インフレ率が2%に達していないので引き締めは穏やかなものになりそう。
・世界の量的緩和は2017年3月にピークをつけ、その後は減少傾向。2019年にはマイナスへ転じる。
→やや問題あり。引き締め速度は穏やかだが全体的に引き締め傾向。

<経済成長率>
・世界の2017年のGDP成長率は2.7%、2018年は3.1%、2019年は3.0%と良好。
・米国の2017年のGDP成長率は2.2%、2018年は2.5%、2019年は2.2%と良好。
・欧州の2017年のGDP成長率は2.2%、2018年は2.3%、2019年は2.0%と良好。
・日本の2017年のGDP成長率は1.5%、2018年は1.3%、2019年は0.8%とまずまず。
現在、世界同時成長が起きており、このような状態は通常2,3年続くという。ただしこのような世界同時成長は景気サイクルの終盤に見られる特徴的な現象とも言われている。
世界同時成長は海外で6割を稼ぐ日本企業には追い風になる。
→問題なし

<EPS成長率>
・世界株式の2017年の予想EPS上昇率は26%、2018年は11%、2019年も11%と良好。
・アメリカの2017年の予想EPS上昇率は15%超で、2018年は20%(うち減税効果分が8%)。
・日本株式の2017年の予想EPS上昇率は15%超で、2018年は10%程度。
→少し問題あり。もし為替が105円程度で落ち着くと日本の今期のEPS成長率は0%になる。

<政治>
・日本は安定。森友問題でやや不透明感があるが、法に触れてるわけではないのでじきに終息しそう。
・海外の政治は不安定。ただ貿易戦争についてはメリットよりもデメリットの方が大きいので本格的な展開には至らないように思う。
→問題なし


■テクニカル
・チャート
短期的には不安定だが、長期的にはちょうどいい調整に見える。

・ディストリビューションデー
日経平均 1月は8日 →2月は5日 →3月は3日
ダウ 1月は5日 →2月は5日 →3月は5日
ナスダック 1月は6日 →2月は2日 →3月は4日
→問題なし。落ち着きつつある。

・トレードインディケーター
危険度 11月43% →12月62% →1月69% →2月74% →3月52% →4月52%
参考:eワラントのトレードインディケーター

・騰落レシオ
日経平均 93
ダウ 109
ナスダック ?

・信用評価損益率
ー8.78%

■まとめ
中期的には特に問題なし。政治でごたごたが続いているが致命傷になりそうなものはなく、世界経済は堅調なので株式はそろそろ上昇基調に戻ると思う。

2018年3月9日金曜日

最強のビジネスモデルとは

ペイパルやパランティアを創業したピーター・ティール氏によると、最強のビジネスモデルとは市場独占型だという。競争は「負け犬」のするもので、独占こそが長期的な繁栄を享受できるという。

ピーター・ティール氏が語る市場を独占する方法は以下のようになる。

1,小さな市場を狙う
ビジネススクールでは「小さな市場はそれだけ価値が低いのだから成功できない」と教えるが、最初から巨大市場を独占しようとするのは大きな間違い。巨大市場にはものすごい数の競合が存在するため生き残るだけで精一杯になる。最初は小さな市場の独占を狙い、そこを足がかりとして市場を拡大していくのがよい。

(例)Amazonは最初はネットで本だけを売っていた。Facebookの最初のユーザーはハーバード大学の生徒だけだった。

2,皆と同じことはしない
一般に「幸せな家庭は皆同じような理由で幸せだが、不幸せな家庭はそれぞれの家庭ごとに別々の理由がある」といわれるが、ビジネスではこの逆になる。幸せな会社はそれぞれが違うことをやっているから幸せなのであり、不幸せな会社は皆と同じことをやって失敗するから不幸せになる。

(例)アップルはそれまで存在しなかった包括的に優れたデザインのiPhoneを開発した。

3,2番手よりも10倍は優れていなければならない
他社が真似できないような技術力があるのも独占企業の必須条件になる。Amazonの技術は必ずしも高いとはいえないが、他の書店よりも10倍の書籍をそろえ、オンラインで効率的にそれを販売するビジネスを確立した。Googleは検索に初めてページランク機能を搭載し他社よりも圧倒的にすぐれた検索結果を生み出せるようにした。

4,ネットワーク効果がある
ネットワーク効果とは利用者の数が増えるにつれ、より利便性が高まっていくというもの。例えば皆がフェイスブックを使っている場合、自分もフェイスブックを使うのが理にかなうようになり、その結果利用者がどんどん増えていく。

5,基盤を強化していく
小さな市場を独占したら投資やM&Aによって基盤をより強固にしていく。そうすればブランドやネットワーク効果がさらに強くなり、参入障壁が高くなっていく。GoogleはYouTube、フェイスブックはインスタグラム、Amazonはホールセールなどを買収し基盤を強化している。

いったん市場を独占してしまえば、競合や目先の利益を気にする必要がなくなり、長期目線の経営でますます繁栄していくことができる。

参考:「独占せよ」 “伝説の起業家”ピーター・ティールが成功するビジネスの核心を語る
   『ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか』(ピーター・ティール、NHK出版)

プラットフォーマー

独占型ビジネスモデルの代表例がプラットフォーム企業になる。米国の時価総額トップ5(アップル、アルファベット、Amazon、マイクロソフト、フェイスブック)はすべてプラットフォーム企業になる。

プラットフォームとは基盤という意味で、ビジネスにおいては取引やコミュニケーションの「場」を提供するという意味合いがある。プラットフォームビジネスでは利用者が増えるほど「場」の価値は高まり、従来では成立しなかったようなニッチ分野の取引市場も、インターネットの普及により成立するようになってきた。

プラットフォーム企業はいったん市場を独占してしまえば、他の会社が後からその市場に参入することはほぼ不可能になり、「場」を提供しているだけのため独占禁止法にも抵触しにくい。利用者にとっても「場所」は1つのほうが利便性が高いため独占は許容されやすい。

独占型プラットフォーム企業の他の良い点は、リピーターが多いため収益にストック性があり、また競合がいないため高収益を保持することができることになる。そして独占している市場が成長市場であれば市場の成長と連動して業績を拡大させることができる。時価総額が50兆円を超えるAmazonやアルファベットでも、いまだに年率20%以上の成長を続けることができるのは一重にプラットフォーム企業であるため。

プラットフォーム企業に株式投資をすることにおいては、会社の方向性を見通しやすく、競合を調べる必要がないというメリットもある。私はプラットフォーム企業である弁護士ドットコムとペプチドリームに投資をしているが、持っていて非常に安心感がある。

投資における問題点は、強いビジネスモデルのため人気が高く、通常の投資尺度ではどうしても割高に見えてしまうこと。


以下、日本のプラットフォーム企業をざっと調べていく。

・エムスリー。医師向けの医薬品情報サイトを運営し、医薬情報担当官(MR)を配置しなくても医師に情報を提供できるプラットフォームを運営。治験や人材のプラットフォームも手がける。事業を海外に水平展開しているため伸びしろはまだまだある。
売上高成長率20% 営業利益率30% PER76倍 時価総額1兆4600億円


・アイスタイル。化粧品口コミのプラットフォームを運営。口コミサイトの成長は頭打ち
になりつつあるが、掲載された口コミの情報を使ってリアル店舗を展開し新たな成長ステージに入りつつある。
売上高成長率40% 営業利益率8% PER98倍 時価総額1130億円

・カカクコム。商品比較サイトのプラットフォームを運営。成長の伸びは穏やかになっているが売上や利益率は高水準を維持している。株価は保ち合いの状態だが、今後は配当UP、もしくはアイスタイルのようなさらなる成長が期待できる。
売上高成長率8% 営業利益率40% PER24倍 時価総額3930億円

・クックパッド。料理レシピのプラットフォームを運営。いったんは市場を独占していたが、経営者が変わって経営方針が変わり、動画付きレシピを提供する競合企業が現れたため業績は低下傾向。
前社長がいるときは株価が高かったが、それはオウチーノやみんなのウェディングなどのプラットフォーム企業を買収して、プラットフォーム帝国を築こうとしていたからのように思う。
売上高成長率0% 営業利益率30% PER18倍 時価総額620億円


・じげん。様々なプラットフォーム事業を展開・買収し、プラットフォーム帝国を築こうとしている。問題は市場を独占しているプラットフォーム事業が見当たらないこと。
売上高成長率30% 営業利益率30% PER66倍 時価総額1290億円


・夢の街創造委員会。出前の注文プラットフォームを運営。成長率や利益率はそこそこだがPERは175倍まで達している。決算の伸びはいまいちでも株価はそれほど落ちない。
売上高成長率10% 営業利益率15% PER175倍 時価総額840億円

・シンクロフーズ。飲食店物件仲介のプラットフォームを運営。まだ市場を独占したわけではないが、コンサル出身のやり手経営陣がその牙城を築きつつある。
売上高成長率30% 営業利益率40% PER128倍 時価総額420億円

・ゴルフダイジェストオンライン。ゴルフ関連の総合プラットフォームを運営。ゴルフは斜陽産業だが業績は堅調。
売上高成長率10% 営業利益率7% PER20倍 時価総額175億円

・IBJ。婚活関連で最大のプラットフォーム。日本は人口減なため市場としては厳しそうな印象だが、出生率の低下という解決すべき社会的課題があるので、今後も伸びていきそう。
売上高成長率10% 営業利益率15% PER38倍 時価総額450億円

・インフォマート。企業間取引のプラットフォーム。最近社長が交代して株価が息を吹き返した。
売上高成長率15% 営業利益率25% PER81倍 時価総額1360億円

・鎌倉新書。葬儀関連のプラットフォームを運営。
売上高成長率15% 営業利益率25% PER96倍 時価総額250億円

・ビューティガレージ。美容室向け商材のプラットフォームを運営。
売上高成長率20% 営業利益率6% PER32倍 時価総額130億円

・マークラインズ。車部品情報のプラットフォーム。
売上高成長率15% 営業利益率30% PER48倍 時価総額260億円

参考:株式投資のためのプラットフォームビジネス概論