2019年1月4日金曜日

売買チェック

■買い
・米国国債4倍ベア7
景気減速を織り込んで米長期金利が下がっているが、2.7%(現在は2.57%)は行き過ぎのように感じた。

・WTI原油価格連動型上場投信
供給過剰と景気後退による需要減少懸念で売られているようだが、これも行き過ぎのように感じた。ただチャートで長期の一目均衡表の雲を下抜けしているので、上がりにくそうでもある。
<WTI原油先物 10年チャート>

持ち株チェック

保有比率の高い順に見ていく。

■弁護士ドットコム
基本シナリオ:法律分野をITで変革し最強のプラットフォーマーに
11月の分売は規模が小さく、東証一部への市場変更はなかったが、キレ者会長が持ち株をほとんど売らず、断トツの大株主のままなので安心感がある。今後3年の予想売上高成長率は年率30%程度。2019年の予想平均時価総額は売上の20倍程度の820億円(株価3800円)。変動率は±35%。

■シンクロフード
基本シナリオ:飲食店の運営をITで変革・サポートし総合プラットフォーマーとして盤石な地位を築く
求人広告市場にはグーグルも参入してきたので、シンクロの求人ビジネスはいよいよ厳しいものになるかもしれない。しかし会員登録数は月平均2000人ずつ増えているので、総合力でなんとか生き残れるかもしれない。株価は「半値八掛け二割引」の値(564円)を下回り、461円まで下落。この格言はあまり当てにならないことがわかった。累積売買高的には底に達したように見える。ただ次の決算で大幅な下方修正をすれば底抜けする可能性もある。今後3年の予想売上高成長率は年率20~25%。2019年の予想平均株価は850円(変動率35%)。
業績に最もインパクトのある求人広告掲載数を記録していく。関東 2057(2158)
関西 634(624)  東海 339(334)  九州 100(118)  北海道・東北 92(110) 総計 3222(3344)
市場独占型の求人プラットフォーマー・インディードの掲載数も記録していく。東京都の飲食店 70287(47120) 大阪府の飲食店 26955(28540)
*( )内は先月の数
<3年チャート>


■アイスタイル
基本シナリオ:美容分野をITで変革し最強のプラットフォーマーに
アイスタイルの新戦略「ブランドオフィシャル」に登録しているブランド数は、@コスメショッピングサイトのブランド一覧でカウントすると67になる。会社目標の今期400の達成は難しそうだが、まずまずの滑り出しに見える。株価はチャート的には今が底に見える。今後3年の売上高成長率は年率20%。2019年の予想平均株価は1100円(変動率±35%)。
<5年チャート>

■ペプチドリーム
基本シナリオ:ペプチド創薬で最強のプラットフォーマーに
特に問題ないが、利益が激増するのはしばらく先になりそう。今後3年の売上高成長率は年率20%程度。今後2年の予想平均株価は4600円で、予想レンジは3400-5800円。

■厳選ジャパン(投資信託)
基本シナリオ:ビッグチェンジ銘柄投資でテンバガー達成
2018年の予想分配金再投資基準価額は14000円で、基準価額は一時13800円までいったが、その後地合いの悪化に伴い11300円まで下げてしまった。2019年はボックス圏の地合いになりそうなので、予想基準価額は11000円(変動率20%)。

■朝日ネット
基本シナリオ:ストックビジネスで地味に成長&株主還元
ここは今後も地味に成長していけそう。今後3年の予想売上高成長率は年率6%程度でEPS成長率は15%程度。2019年のの予想平均株価は550円(変動率15%)。

■日進工具
基本シナリオ:ニッチトップの極細ドリルで市場開拓
景気後退リスクが気になるが、今のところ特に問題なし。2019年の予想平均株価は2500円(変動率20%)。今後3年の売上高成長率は年率8%。

■パーク24
基本シナリオ:最強のカーシェアプラットフォーマーに。海外駐車場事業の効率化で利益拡大
12月の本決算で会社が出した今期予想は、私の予想以下だった。予想営業利益成長率は0%なので、株価は当面ボックス圏で推移しそう。今後3年の売上高成長率は年率5%で利益成長率は8%程度。2019年の予想平均株価は2500円(変動率20%)。

■コンテック
基本シナリオ:ダイフクとファナック向けのエッジコンピューティング機器で業績拡大
ここも景気後退リスクが気になるが、今のところ特に問題なし。2019年の予想平均株価は1400円(変動率20%)。今後3年の売上高成長率は年率5%で利益成長率は10%程度。

■今後の戦略
買いも売りもできそうにないので、しばらくお休み。

マクロ系金融資産チェック

保有比率の高い順に見ていく。

■日経レバETF
基本シナリオ:2019年は19000から24000のボックス圏で推移
躁鬱病のミスターマーケットが鬱に陥ってしまったようだが、今後はマーケットに長期資金が入ってこず、短期資金に振り回される展開になりそうなので、病は悪化していきそう。日経平均はファンダメンタルズ的には22500円あたりが軸になりそうだが、テクニカル的には19000~24000円の間で振れそう。
<5年チャート> 24000円でWトップ。19000円が累積売買高のピーク。


■FXでドル買い(レバ10倍)
基本シナリオ:中期ではドル高、長期では円高
円高、ドル高の要因を列記し、各々の中期的なインパクトを★で示していく。
<円高要因>
・日本よりも米国のほうがインフレ率が慢性的に高いので購買力平価は円高傾向。★☆
・米国の保護貿易や完全雇用などにより米国のインフレが加速。
・ドル安により米国のインフレが加速。
・日本の経常収支は黒字が続いている。★
・日本企業による海外企業の巨額買収により経常黒字がさらに拡大する。★
・原油安により貿易黒字が拡大する。★
・米国は完全雇用下における保護貿易政策により貿易赤字が拡大する。★
 *完全雇用下では米国内で生産を増やすことができず、輸入するしかない。
・米国の金利上昇によりドル不足が発生し、ドルの調達金利が上昇。☆
・ドル高、米金利高によって新興国経済が減速し、米国からの輸出が落ち込み、米国の貿易赤字が膨らむ。☆
・日銀の金融緩和が限界に近づきつつある。
・世界が景気後退期に入る。
・海外で金融緩和が進む。
・米国景気の減速と、利上げの鈍化または停止。★
・米議会の上院と下院でねじれが生じ、経済政策や外交に不透明感が生じた。☆
・トランプ大統領の口先介入。
・ムニューシン米財務長官の為替条項導入発言により、これ以上の円安は容認しないというイメージが強まった。☆
 *しかし日本はG7加盟国として「相手国の許可なく為替介入を実施しない」との協定を守っているので、仮に為替条項を結ぶことになってもたいした足かせにはならない。
・投機筋のドルの買い持ち高が16年12月以来の高水準。★
・貿易戦争や新興国不安によるリスクオフ。★
・金融危機や戦争、大災害によるリスクオフ。
・日本は対外純資産を世界で最も保有している。
・原油高により産油国や中国、インフレに敏感なEUなどの通貨が上昇し、ドルが下落する。
・米国は双子の赤字(貿易赤字と財政赤字)を解消するために、プラザ合意のようなドルの切り下げや、ドルの大量発行を行う。
・米国の双子の赤字やドル高により、海外勢が米国債を買わなくなる。☆
・新興国が通貨防衛のために米国債を売る。
・チャート上の節目を抜けた後のオーバーシュート。

<ドル高要因>
・日本より米国のほうが経済に勢いがある。第4次産業革命の牽引役は米国なのでこの傾向は長期にわたり続く。★★
・米国の金融政策は引き締め傾向で金利が高い。★★
・日本の金融政策は緩和傾向で金利が低い。★★
・米国債は需給の緩みから米長期金利が上昇する。★☆
 ・米国のリパトリ減税により米国にドルが環流する。★
・米企業が決算期を迎える年末は、米企業が海外で稼いだ資金を米国内に戻すため、ドル需要が強まる。
・米国の保護主義により米国の貿易赤字が減少するという思惑が生じる。
・日本企業による海外企業の巨額買収。★☆
・原油高による日本の経常収支の悪化。☆
・原油安などにより米国のインフレ率が低下し、米国の実質長期金利が上昇し米国債が買われる。
・不透明感が払拭された後のリスクオン。
・チャート上の節目を抜けた後のオーバーシュート。

→円高要因の★が11個、ドル高要因の★が10.5個で円高圧力が強そう。景気減速懸念が払拭されるまでやや円高に振れそう。チャートは中長期では三角持ち合いでどっちつかず。

■米国国債4倍ベア7(投資信託)
基本シナリオ:米長期金利は長期で上昇
<金利が上がる要因>
・米長期金利の基準値は名目経済成長率(経済成長率+インフレ率)になるが、現在の名目経済成長率は5.3%(2.9%+2.4%)であり、それと比べると現在の金利2.58%はまだ低い。★
・米国の大型減税により税収が大幅に減り、財政赤字は拡大傾向。★★★☆
・米国政府が大型インフラ投資や中間層向けの減税を行う。
・米国は今後長期的に年金や医療、福祉の負担が拡大していく。★
・米国の双子の赤字(貿易赤字と財政赤字)で、米国債への信頼性が低下し、海外投資家が米国債投資に慎重になる。★
・海外投資家が買わなくなった分を米国内の投資家に買ってもらうためには魅力的な利回りが必要になる。
・米国債の格付けが引き下げられる。
・海外投資家は、為替ヘッジのコスト上昇で米国債の購入を減らす。☆
・米国債の償還は2019年から激増していく。2019年は880兆円くらいになる。*新規の国債発行は150兆円くらい。FRBの国債売却は50兆くらい。★☆
・新興国は自国通貨を支えるために米国債を売る。
・米中貿易戦争により、中国が米国債を買わなくなる。
・FRBが政策金利を引き上げる。☆
・先進国の賃金上昇率やインフレ率が高まり、先進国全体の金利が上がる。
・リスクオンによる米国債(安全資産)売り。

<金利が下がる要因>
・米国の名目経済成長率は現在がほぼピークの水準で、今後は穏やかな低下傾向。★★
・先進国では米国の長期金利だけが高いので、米長期国債に金余りマネーが殺到する。★★
・米国株のシラーPER(景気循環調整後PER)で計算した益回りは3.2%程度で、同程度の利回りがある米10年債へ資金がシフトする。☆
・米国の賃金上昇率やインフレ率が高まらずFRBの利上げペースが遅い。政策金利は3%程度で頭打ちになりそう★
・世界経済の減速懸念が強まる。★☆
・景気後退期に入る。
・米議会の上院と下院でねじれが生じたので、財政拡張をしにくくなった。☆
・米国は大型インフラ投資や減税をしようとはしているが、財源がないのでしにくい。☆
・ヘッジファンドは金利低下を見込んで、国債空売りの建玉を手仕舞い始めている。☆
・FRBが国債の売却をやめる。
・FRBが日銀のように国債を大量購入し長期金利のコントロールを行う。
・FRBが利下げなどの金融緩和を行う。
・米国政府が財政収支を均衡化させるため増税を行う。
・米長期金利が上がりすぎると米国政府の国債利払い費が激増し財政危機に陥る。→ドルが急落する。
・リスクオフによる米国債(安全資産)買い。★

→金利高要因の★が9個、金利安要因の★が9個で、ほぼ拮抗。これも為替と一緒で景気減速懸念が払拭されるまでは、金利は上がりにくそう。

■WTI原油価格連動型上場投信
基本シナリオ:原油価格は45ドルから70ドルのボックス圏で動く。
<原油価格が上がる要因>
・サウジが財政均衡に必要な原油価格の水準は1バレル80ドル、アラブ首長国連邦は60ドルなので減産に動く。*ロシアは40ドル。★★
・米国のシェールオイルの採算ラインは45ドルくらいなので、45ドル以下になると供給を減らす。★
・イランやリビア、ベネズエラなどは生産障害や経済制裁のため減産。★
・産油国で不測の事態が起こる。
・産油国ではここ数年投資をあまりしてこなかったので増産余地は小さい。
・米国ではパイプラインの建設が滞っているため供給に制約がある。
・世界経済の成長に伴い、原油消費量は長期的に微増傾向。★

<原油価格が下がる要因>
・米国はイランへの制裁として、イラン産原油を輸入している国に禁輸するよう言っていたが、それが一部解除された。★
・OPECやロシアはイラン産原油が禁輸されることを想定して増産に動いていた。★☆
・米国やロシアの生産量は過去最高を更新。★
・米国はインフレを抑制するために産油国に増産を要求。OPEC盟主のサウジは記者殺害事件の追求を恐れて減産に動きにくい。☆
・景気後退期に入り原油消費量が減る。
・暖冬で石油消費量が減る。☆
・原油の最大輸入国である中国は貿易戦争などにより景気が減速気味。☆
・インドは通過ルピーの大幅下落により輸入コストが急増。☆
・原油はリスク資産なので、株価が下がると連れ安する。★

→原油が上がる要因の★が5個で、下がる要因の★が6.5個。供給過剰とリスクオフで原油価格は下がっているが、もう少ししたら反転しそう。ただチャートで一目均衡表(月足)の雲を下抜けしたのが気がかり。

■今後の戦略
マクロ系はまだわからないことが多いので、大きく賭けず、小さく賭けて市場の仕組みを理解していく。

市場環境チェック 大天井!?

株式市場への影響が大きい企業業績、金利、金融政策などをチェックしていく。

■ファンダメンタルズ
<EPS成長率>
・世界株式の2017年のEPS増加率は17%、2018年は15%、2019年は10%。
・米国株式の2017年のEPS増加率は11%、2018年は23%、2019年は10%。
 *ゴールドマンの2019年の予想は6%で、大幅な関税引き上げをした場合は0%。
・日本株式の2017年のEPS増加率は22%、2018年は5%、2019年は8%。
 *野村、大和、SMBC日興の経常益成長率の2018年予想は平均9.5%で、2019年は平均8.4%。参照:(2018/12/11日経)
*ベースの数値はJPモルガンの予想。参照:(2018/09/28日経)
→問題なし

<経済成長率>
・世界の2017年の成長率は3.7%、2018年は3.7%、2019年も3.7%。
・米国の2017年の成長率は2.3%、2018年は2.9%、2019年は2.5%。
・ユーロ圏の2017年の成長率は2.4%、2018年は2.2%、2019年は1.9%。
・日本の2017年の成長率は1.7%、2018年は1.1%、2019年は0.9%。
・新興国の2017年の成長率は4.7%、2018年は4.9%、2019年は5.1%。
・中国の2017年の成長率は6.9%、2018年は6.6%、2019年は6.2%。
*数値はIMFの予想。参照:(2018/10/09日経
現在、世界同時成長が起きており、このような状態は通常2,3年続くという。ただしこのような世界同時成長は景気サイクルの終盤に見られる特徴的な現象とも言われている。米ピムコは2019年に世界経済の同時減速が始まると予想している。

世界同時成長は海外で6割を稼ぐ日本企業には追い風になるが、その反面、海外の景気後退期は日本企業にとって強い向かい風になる。このような経済構造に円高効果が加わり、日本株は米国株の1.5倍くらい下落する。
→問題なし

<インフレ>
・米国の予想インフレ率は2018年度が2.4%。
・欧州の予想インフレ率は2018年度が1.5%。
・日本の予想インフレ率は2018年度が0.9%。
*貿易戦争が激化すれば米国のインフレは加速する。
*賃金上昇などによりインフレ圧力は高まりつつある。
*景気が減速すればインフレ圧力は弱まる。
→問題なし

<金利>
・米国の短期金利は2.41%で長期金利は2.58%。
・日本の短期金利は-0.17%で長期金利はマイナス0.03%。
*米国の短期金利が長期金利を上回ると景気後退に陥るといわれるが、現在の長短金利差は0.17%。じきに逆転するかもしれない。
*米国の実質長期金利(名目長期金利-インフレ率)が潜在成長率を上回ると景気後退に陥るといわれるが、足下の実質長期金利は0.18%で、潜在成長率は1.8%。
→問題なし

<債務>
・米国の民間債務残高はGDP比150%で横ばい傾向。
・日本の民間債務残高はGDP比150%で横ばい傾向。
・中国の企業・家計債務残高はGDP比210%まで上昇しているが、足下では横ばい傾向。日本のバブル期のピークは220%になる。
・新興国の民間債務残高はGDP比140%で、現在も微増傾向。
・過去10年で各国政府は債務を大きく膨らませている。
*米企業の債務残高はGDP比で過去最高(74%)に達している。
*中国の企業・家計債務は危険水準に達しているが、習政権は経済の筆頭課題に金融危機封じ込めを据えているので、それほど心配しなくてもよさそう。ただ貿易戦争などで経済成長が大きく下振れすれば一気に債務圧縮局面(景気後退期)に入る可能性がある。
・中国の企業債務は積み上がっているが、その大半は国営企業によるものなので、計画に沿って徐々に債務を削減していけそう。
*新興国は米利上げや原油高などで通貨安・高インフレ・高金利になり、債務圧縮局面に入りつつある。ただインフレ率は各国中銀のターゲット内に収まっており、米利上げも止まりそうなので落ち着きそうでもある。
→問題あり

<金融政策>
・米国は引き締めに転じている。
・日本は金融緩和を継続しているが限界に近づきつつある。
・欧州は量的緩和を2018年12月に終了し、利上げは19年の秋以降になる。
・世界の量的緩和は2017年3月にピークをつけ、その後は減少傾向にある。2019年には明確なマイナスへと転じる。
*引き締め速度は穏やかだが全体的に引き締め傾向。これまでの経済拡大や資産インフレは金融緩和が原動力であったため、マイナス転換によりすべてが逆回転しつつある。
*米国はトランプ大統領の財政拡大策により次の景気後退期には金融政策しか残されていない。そのためFRBは粛々と金融引き締めを進めていくしかない。とはいってもFRBは景気後退は望んでおらず、また米景気に過熱感もないので、利上げは中立金利(3%)あたりで止まりそう。
*日本はこのまま金融緩和を続けると、利ざやで稼ぐ銀行の収益が落ち、次の景気後退局面では貸し出しが抑制され、景気が下押しされる可能性がある。
*日本は次の景気後退期に、ヘリマネなどの禁じ手をのぞけば、金融面でも財政面でも打つ手がない。
→問題あり

<政治>
・日本は安定。19年の消費税引き上げは株式市場の鬼門になると思っていたが、政府の大盤振る舞い(支援給付金、軽減税率、教育無償化、補正予算)や携帯料金引き下げなどにより、消費増税の負担が相殺・超過されそうなので株高要因になりそう。
・海外は不安定。米国と中国の覇権争いは、ハイテク・軍事分野を中心に今後長期にわたり続きそう。12月のG20で米国の関税引き上げはいったん延期されたが、解決にはまだまだ時間がかかりそう。
・米国のマティス国防長官が辞任することになったが、軍事的なパワーバランスが崩れて、新たな問題が生じそう。
・英国のEU離脱の条件は、EUが新たな離脱国が出てくるのをけん制するため、英国にとって厳しいものになりそう。12月の離脱交渉は決裂して、英国は国民投票を実施し、EU残留という形になるのかもしれない。
→問題あり

<その他の景気後退シグナル>
・過去の景気後退期はすべて米国の需給ギャップがプラスに転じた後に始まっているが、足下ではすでにプラスに転じている。
・コモディティ、米国債、米国株、ドルの4資産の値動きで、年間収益が高い順位が、コモディティ、米国債の順番になるとその翌年に景気後退が起きると言われているが、2018年はドル、米国債、米国株、コモディティの順。
・景気拡大期の終盤は、金余りと鈍化した成長率を引き上げるため巨大M&Aが盛んになるといわれているが、今がまさにその状態。
・景気拡大期の終盤には、業績格差が広がりやすいと言われているが、今がまさにその状態。
・世界景気の先行指標である銅価格が、ピークアウトするかどうかの分岐点にある。
・経済危機をいち早く察知する米低格付け債の利回りは上昇し始めている。
・起こり得ない衝撃的な事象の発生を織り込むSKEW指数(ブラックスワン指数)は現在最低レベルの112。
・中銀の利上げ局面における株式相場は「1,金融緩和の終了を嫌気した調整」→「2,利上げ中盤にかけての良好なファンダメンタルズを好感した上昇」→「3,利上げ終盤の過度な引き締めを懸念した反落」→「4,利上げの打ち止めを好感した反発」→「5,ファンダメンタルズの悪化を織り込んだ大幅な下落」という経過をたどることが多いが、今は「4,利上げ打ち止めを好感した反発」局面に入りつつあるので、いったん上がりそう。
→問題あり

■テクニカル
・チャート
ダウと日経平均は中長期のWトップを形成している。大天井をつけたのかもしれない。
<日経平均 5年チャート>
<NYダウ 5年チャート>
→問題あり

・ディストリビューション・デー(機関投資家の売り抜け日)
日経平均 11月は5日 12月は5日 1月は9日
NYダウ 11月は5日 12月は5日 1月は6日
ナスダック 11月は5日 12月は4日 1月は6日
→問題あり

・騰落レシオ
日経平均 72
NYダウ 81
ナスダック ?
→問題なし。短期的には反発しそう。

・信用評価損益率
ー19.21%
→問題なし。短期的には反発しそう。

eワラントのトレーディングインディケーター
<オノダモデル>「買い」
危険度:2月74% →3月52% →4月52% →5月36% →6月43% →7月39% →8月44% →9月61% →10月18.7% →11月36% →12月68% →1月41%

<サムモデル>「売り」
2018/1/18に「売り」に転換。2018/2/20に「買い」に転換 。2018/5/18に「売り」に転換 。2018/7/17に「買い」に転換。2018/08/20に「売り」に転換。2018/09/18に「中立」に転換。2018/10/22に「買い」に転換。2018/11/19に「売りに転換」。
→問題あり

■株ログ・インディケーター
問題なし:6件、問題あり:7件、中期的な危険度:10月40%→11月30%→12月35%→1月45%。投資判断:様子見
テクニカル的には大天井をつけたように見える。ファンダメンタルズ的にはまだ大丈夫そうなので、しばらくボックス圏で推移しそう。

長期計画チェック

「平時にじっくり考えて決めておいたことは、後悔する判断にはなりにくい」いわれているので、今のうちから長期的な計画を考えていく。

現時点の予想では2020年頃に景気後退期に入るとみている。ただ今回の景気拡大期は低成長・低金利の中で浅く長いものだったので、景気後退期も浅く長いものになりそう。

――――――――――――――――
過去の景気後退に共通するパターン:米国の長短金利逆転後に日本株が50%超下落。

12月3日に5年債と2年債の金利が11年ぶりに逆転した。モルガンスタンレーは19年中頃に3%付近で10年債と2年債の逆転が起こると予想しているので、20~21年頃に景気後退に陥るのかもしれない。

ただ今回は利上げ停止のポイントが過去の水準(5%超)と比べてだいぶ低く(3%程度)なりそうなので、景気後退は比較的穏やかなものになるかもしれない。
*金利3%というのは、実質金利(名目金利-インフレ率)が1.0%なのでかなり緩和的な状態になる。

これ以外にも景気後退や株価下落を穏やかにするいくつかの要因がある。
・バブルは借金をして資産を買いまくることによって生じるが、先進国では今回そのような現象はあまり見られない。
・先進国の金融機関の財務状態は比較的良好なため、先進国では金融危機(信用収縮)は起こりにくい。
 *金融危機(信用収縮)、つまりクレジットの消失が起こらなければ、金余りの状態が続く。*クレジットとは世の中に流通する大半のお金のこと。参照
 *中国の不動産にはバブルの兆候がある。ただし政府の需要抑制策により、日本のバブル期ほどの過熱感はない。
 *中国で最も大きなバブルはシャドーバンキング商品(銀行理財商品、委託融資、信託商品)への投資になる。これらの投資は過熱感が強く、2017年末の残高は1000兆円とGDP比で8割ほどの規模になる。
 *バブル崩壊の仕組み。金利が上がりだすと株式や不動産などが売られ資産価格が下がりはじめる。バブル系投機家は資産価格が上昇することを前提として資産を買っているので、資産価格が下がりだすと資金の逆回転が始まる。
・中国政府には財政出動の余地がある。
・中国の企業債務は積み上がっているが、その大半は国営企業のものなので計画に沿って徐々に削減していけそう。
・中国は独裁体制のため、不況に陥るとすべての批判が指導部に降りかかる構造になっている。そのため指導部はなんとしても不況を起こさないようにする。
・リーマンショックの記憶がまだ残っているため、皆慎重になっている。
・FRBは次の景気後退期に財政政策や金融政策で打つ手がほとんど残ってないことがわかっているので、金融引き締めは慎重に進める。
・現在、第4次産業革命が進行中で、これは今後も長期にわたり続く。
・世界の株式量は減少傾向だが、一方でマネー流通量は増加傾向なので株式には良好な需給環境が続く。
・先進国では株式以上に債券が割高なので、株式に優位性がでやすい。
・日本株に限れば、日銀のバックアップがあるので下がりにくい。
 *ただし日銀のバックアップがあるからこそ海外勢が売ってくる可能性もある。1995年に1ドル80円を突破したとき、日銀が「もうこれ以上無理だ」とドル買い介入をやめたら底打ちしたという。市場参加者はドルを売る相手がいなくなり、買い戻しを始めたらしい。2018年に日銀は日本株を6兆円買い越しているが、海外勢は5兆5千億円売り越している。

以上を総合すると、次の景気後退や株価の下落は比較的穏やかに進む可能性が高い。

――――――――――――――――
景気後退シナリオ2:株価上昇の原動力であった金融緩和と債務のサイクルがピークアウトし、景気後退に陥る。
おそらく足下で起きている株価下落はこれが主因になる。ただ今回の金融引き締めは穏やかなものになりそうなので、景気後退も穏やか(で長い)ものになりそう。
――――――――――――――――
景気後退シナリオ3:上がり続ける米長期金利による景気後退
今後、米長期金利は需給要因により長期的に上昇していく可能性がある。米長期金利が上昇すると株式や不動産が売られ、借り入れが減って景気後退に陥る。景気後退に陥ると通常なら長期金利も低下するが、今回は需給要因により長期金利は下がりにくい。新興国では米金利上昇とそれに伴うドル高により、通貨安、金利高、インフレが起こり景気後退期に入る。中国ではこれらに加え、過剰債務や貿易戦争、労働人口のピークアウトなどにより景気後退期に入る。日本や欧州は、これらの国々のあおりを受けて、景気後退期に入る。
――――――――――――――――
景気後退シナリオ4:中国のバブル崩壊による景気後退
中国の企業債務は積み上がっているが、その7割以上は実物投資ではなく、リスクの高い金融資産(シャドーバンキング商品)への投資に回っている。景気下振れなどによりいったんデフォルトが起こると、急激な資金の引き上げが発生して、連鎖的なデフォルトが起こる可能性が高い。そうなると企業は債務返済で手一杯になり、設備投資ができなくなる。不況に陥ると、今度は独裁政権に責任が集中し、政権が転覆する可能性も出てくる。そもそも独裁体制は経済的に成熟した社会には適さないシステムとも言われているので、その意味でもこのタイミングで独裁体制が終わる可能性がある。そしてこれらの政治的混乱も相まって不況がより深刻化していく。経済大国・中国の不況が世界に連鎖していく。
――――――――――――――――
景気後退シナリオ5:景気後退シナリオ2,3,4が同時に起こる
――――――――――――――――

・・このようになるが、基本的には景気後退は比較的穏やかに進むと思うので、ビジネスモデル(利益成長を続ける仕組み)の強い企業は当面ホールドしていこうと思う。ただし景気後退シナリオ4または5が起きた場合はすみやかに手仕舞っていく。

それ以外のパターンとして
・1ドルが120円
・米長期金利が4%
になった場合は、その時点で、ドルを売り、米国債を買っていく。

景気後退期に入り円が80円くらいまで上昇したら、米国債を売って、外国株や日本株、ドルを買っていく。

次の景気の底で仕込みたい外国株
・(米)ALPHABET。人工知能や自動運転の本命。
・NASDAQ100ETF。第4次産業革命の中核ETF。
・インド株のETF。インドは2040年まで人口ボーナス期が続く。
・インドネシア株のETF。インドネシアは2030年まで人口ボーナス期が続く。

次の景気回復期は、中銀に金融緩和をする力があまり残ってなさそうなので、今回のような資産インフレはあまり期待できないかもしれない。

2019年の運用方針

今年の投資基準や運用方針について考えていく。まずは2018年の振り返りから。

2018年の投資基準や運用方針は
ーーーーーーーーーー
■投資基準
1,戻り売り圧力が少ない。累積売買高と一目均衡表でチェック。
2,成長ストーリーが描ける。1年以内に30%以上の株価上昇が見込める。
3,参入障壁(競争力)が高い。営業利益率が10%以上ある。
4,割安感がある。
5,地合いがよい。
“下がりにくい成長株を買う”というのが基本スタンス。

■運用方針
1,株式投資よりも総合的なリターンの高そうな本業に投資していく。
2,知識を得ることが最良のストック型収益なので、損益よりも学びを重視していく。
3,集中投資していく。ただし、会社の問題点を見落としていたり、自分で勝手に作った成長ストーリーが間違っていたりすることもあるので、ある程度分散させる。
4,長期投資する。キャピタルゲインを目的とした売買ではなく、利益成長を続ける強い会社を保有するというスタンスでいく。
ーーーーーーーーーー
これらはだいたいこれは守れた。しかし今年買った株はほぼ全滅してしまった。思い当たる敗因は3つ。影響の大きな順にあげると
・地合いの読み違い
・テクニカルの軽視
・ビジネスモデル(利益成長を続ける仕組み)の分析ミス
になる。

まずはビジネスモデルの分析ミスについて。今年大きな損失を出した銘柄はシンクロフードとテラスカイ、アイスタイルになるが、シンクロフードとテラスカイは競合が多数いる巨大市場で勝負しているのが問題だった。

次にテクニカルの軽視について。今まで買うときはテクニカルをチェックしているのに、買った後でテクニカルに問題が生じても対処してこなかった。これはビジネスモデルを重視していたというのもあるが、「チャート=凝縮されたファンダメンタルズ」なので、チャートに問題が生じたら、ファンダメンタルズにも問題が生じていると認識すべきだと思った。

最後に地合いの読み違いについて。これは金融政策や債務循環、ポピュリズムなどの知識が不足していたので、ある程度は仕方のないことだと思っている。今回のことは次に生かしていきたい。ただ相場が最終局面にあることを知っていながら、リスクを取り過ぎていたのは問題だった。

以上を踏まえると、今年の投資基準は

1,戻り売り圧力が少ない。累積売買高と一目均衡表(週足)でチェック。
2,ビジネスモデル(利益成長を続ける仕組み)が強い。ビジネスモデルは参入障壁の高さ、ストック型収益か否か、成長市場か否か、でチェック。
3,地合いが良い。

になる。ただこの投資基準でいくと、今年は戻り売り圧力や地合いに問題があるので、投資できそうなものがほとんどなさそう。となると今年の運用成績は今の持ち株の変動率±15%程度になりそう。

今年から損切りの基準も設けていく。今後の損切り基準は

1,大きな戻り売り圧力ができる。「一目均衡表(週足)の雲の下抜け」「累積売買高のピークの下抜け」「200日移動平均線の下抜け」を目安にする。
2,ビジネスモデルが崩れる。
3,地合いが悪い。

になる。なお現在保有している株式で戻り売り圧力が強いものが多数あるが、すでに売るタイミングを逸しているので、とりあえずしばらくは保有しておく。

2018年の運用成績については、大きく損失を出した銘柄もあるが、筆頭銘柄の弁護士ドットコムの躍進によりプラス20%で終えることができた。

運用方針については特に変化なし。今年も「金融資産は知的資産」「金融市場では知識のない方からある方へお金は流れる」という言葉に従い、淡々と知識をつけていく。

それと運用以前の話になるが健康には十分留意していく。体調が悪いと頭が働かず、好奇心もなくなってしまから。

投信ランキング

毎月チェックしているアクティブ投信の2018年騰落率ランキングを作ってみた。

1,(-)東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープン 5.7%(-)
2,(-)厳選ジャパン -3.6%(-)
3,(3)MHAM新興成長株オープン -12.4%(62%)
4,(-)三井住友・中小型株ファンド -12.8%(-)
5,(8)DIAM新興市場日本株ファンド -13.8%(49%)
6,(-)SBI日本・アジアフィンテック株式ファンド -14.47%(-)
7,(1)日興グローイングベンチャーファンド -14.9%(95%)
8,(4)日本新興株オープン -15.4%(60%)
9,(9)ひふみ投信 -23.0%(44%)
10,(11)いちよし中小型成長株 -23.7%(38%)
11,(5)スパークス超小型株式ファンド -24.00%(59%)
12,(-)大和住銀日本小型株ファンド -24.95%(-)
13,(10)J-STOCKアクティブオープン -26.27%(40%)
14,(6)MUFG日本株セレクトオープン -27.5%(54%)
15,(2)SBI中小型割安成長株ファンド -30.34%(62%)
16,(7)フィデリティ中小型株オープン -32.7%(53%)
*( )内は2017年
*2018年1月4日~2018年12月28日までを分配金再投資・基準価額で計算

<参考:株価指数の騰落率>
日経平均 -15%
東証2部 -16%
ジャスダック -20%
マザーズ -35%

2017年はどの投信も市場平均を上回る好成績をあげていたが、2018年は一転して皆苦戦している。2018年は特に中小型株が売り込まれたようで、私がチェックしている中小型株系投信の半数が日経平均の下落率を下回っている。中小型株投信でもバリュー系は持ちこたえるものかと思っていたが、バリュー系の方が落ち込みが激しいのが意外だった。これは指標的に“割安”な半導体株やエネルギー株、不動産株を組み入れていたからかもしれない。

私の保有する「厳選ジャパン」もマイナス運用で終わっているが、相対的に見るとかなり優秀。やはり運用力が秀でているのかもしれない。市場平均を10%以上上回っているので付加価値の高い投信のように思う。

2019年は市場が荒れそうなので、運用成績により差が出そう。

所得格差の拡大は止まるか

先月ブログを書いていて所得格差が開くと国民の不満が高まり、その不満に応える形でポピュリズム(大衆迎合主義)が生まれることがわかったが、確かに現在起きている米中貿易戦争、英国のEU離脱、イタリア情勢、フランスのデモなどはすべて所得格差が背景にある。

レイ・ダリオ氏曰く、所得格差が開くのは大規模な金融緩和によるとのことだが、これ以外にもグローバル化や技術革新もその要因となるらしい。

では今後、所得格差はどうなっていくのか。

まず金融緩和についてだが、これはすでにほぼ打ち止めの状態なので、今後金融緩和による格差拡大は起こりにくい。

次にグローバル化についてだが、現在は先進国企業の生産拠点の海外シフトが一巡しており、またポピュリズムによるアンチグローバル化も進んでいるので、これによっても格差拡大は起こりにくい。

では技術革新についてはどうか。BNPパリバ証券のエコノミスト・河野氏によると、今後はこれが格差拡大の主因になるという。

「ポピュリズムが生まれる前から、実はアンチグローバリズムの流れは始まっていた。2010年代に入り、ロボティクスや人工知能などの新たな技術革新が起こり、先進国や消費地での生産地シフトが始まった。ただそこでの加工、組み立てなどの生産工程はマシンに代替され、労働力そのものが不要になってきている。技術革新により新興国に優位性がなくなり、今後は母国や消費地で無人の工場を建設するのがトレンドになる。

この変化は既存工場のサンクコストもあるため今までは緩やかに進んでいた。しかしそこにトランプ大統領が現れ貿易戦争を開始したことで、この動きが加速する可能性が出てきた。今後トランプ大統領の期待通りに米国で工場が増える可能性は高い。しかしそれは無人の工場であって、トランプ大統領が望む多くの国民に良質な賃金を提供する仕事ではない。

今後先進国での生産が増えても中間層の復活はならず、所得が増えるのは資本の出し手やアイデアの出し手になり、高い賃金の仕事と、低い賃金の仕事への二極化は止まらない。」

この理屈は正しそうなので、今後も所得格差は開いていきそうである。そうなるとポピュリストがますます台頭していきそうな気もするが、過去の例からいくと、ポピュリストは国民の期待に長期的に応えることができず、早晩失速していくという。

となると、ゆくゆくは所得格差を解消するためにベーシックインカムのような所得再配分制度が導入されていくのかもしれない。

参考:「貿易戦争が招く二つの所得格差」(日経ヴェリタス 2018/11/25)
     「世界経済覆うリスクの共通点」(日経ヴェリタス 2018/12/9)