2019年5月3日金曜日

売買チェック

■売り
・WTI原油価格連動型上場投信 半分売却 損益+35%
原油価格が当初の目標である65ドルに達したから。

持ち株チェック

保有比率の高い順に見ていく。

■弁護士ドットコム
基本シナリオ:法律分野をITで変革し最強のプラットフォーマーに
弁護士ドットコムの有料会員数が17万人を突破した。潜在需要をうまく掘り起こしているようだが、これほどまでに需要があったことには驚き。この会社の企業理念は「専門家をもっと身近に」だが、それを着実に実行しているのがわかる。今後3年の予想売上高成長率は年率30%程度。2019年の予想平均時価総額は売上高の20倍の840億円(株価3800円)。変動率は±30%。

■シンクロ・フード
基本シナリオ:飲食店の運営をITで変革・サポートし総合プラットフォーマーとして盤石な地位を築く
東証の市場再編についてシンクロは日経ヴェリタス4/7で「実力相応の市場区分にすべき」と前向きな発言をしているので、市場変更が行われる3年後には東証一部にふさわしい企業に成長しているかもしれない。現時点で東証一部の残留条件は時価総額250億円とも500億円とも言われているが、250億円なら十分射程圏内になる。今後3年の予想売上高成長率は年率10~20%。2019年の予想平均時価総額は売上高の10倍の200億円(株価750円)。変動率は±30%。
業績に最もインパクトのある求人広告掲載数を記録していく。関東 2423(2611)
関西 706(762)  東海 269(336)  九州 84(111)  北海道・東北 139(130) 総計 3621(3950)
市場独占型の求人プラットフォーマー・インディードの掲載数も記録していく。東京都の飲食店 84392(81312) 大阪府の飲食店 33949(32805)
*( )内は先月

■ペプチドリーム
基本シナリオ:ペプチド創薬で最強のプラットフォーマーに
時価総額が7000億円を突破してきた。株式投資の入門書に「資産を最も効率的に活かす方法は天才のいる(天才の経営する)会社に投資すること」とあったが、この会社の基盤技術は”天才”研究者が作っているので、時価総額は売上高の100倍程度の水準で推移できるのかもしれない。ちなみにこの本で紹介されていた天才はビル・ゲイツになる。今後3年の売上高成長率は年率20%程度。2019年の予想平均時価総額は売上高の100倍の7200億円(株価5800円)。変動率は±30%。

■厳選ジャパン(投資信託)
基本シナリオ:ビッグチェンジ銘柄投資でテンバガー達成
この投信は今のような投資しにくいタイミングでも強い会社を次々に見つけて投資していってくれるので楽でいい。純資産総額が地味に増えているのが気がかりだが、今のところはまだ33億円なので特に問題なし。今年の予想基準価額は11000円(変動率20%)。

■朝日ネット
基本シナリオ:ストックビジネスで地味に成長&株主還元
直近で大口の買いが3回入っているが株価はまだ上がるのだろうか?ファイバーゲート効果やIOT需要、自社株買いなどは期待できるが、ここはそれほど革新性や独自性のあることをしているわけでもないので時価総額は売上高の2倍程度が上限だと思うのだが・・。今後3年の予想売上高成長率は年率6%程度でEPS成長率は年率15%程度。2019年の予想平均時価総額は売上高の2倍の210億円(株価650円)。変動率は±20%。

■日進工具
基本シナリオ:ニッチトップの極細ドリルで市場開拓
景気循環の波が来てるのにここはその波に乗れてないのがさびしい。本決算に少しだけ期待。2019年の予想平均株価は2500円(変動率20%)。今後3年の売上高成長率は年率8%。

■パーク24
基本シナリオ:カーシェア事業は競争激化で利益成長鈍化。海外の「空港」駐車場事業は効率化しにくいので期待薄。
先月チャートから警告シグナルが出ていることに気づいたので、その要因について調べてみた。株価が下落している原因はおそらくドコモが始めたカーシェア等のプラットフォームサービス(dカーシェア)になる。このサービスは2017年10月に開始され月額基本料はかからないのだが、当初は業界3位のオリックスカーシェアしか利用できなかった。それが2018年11月から業界2位のカレコも利用できるようになった。対してパーク24のカーシェアサービスは市場シェアが75%超と圧倒的だが月額基本料が1000円かかる。たかだか1000円かもしれないが車をほとんど利用しない加入者にとっては若干の無駄感がある。私は1年半くらい前からパーク24のサービスに加入していたが、以来4,5回しか利用していなかったので、先日dカーシェアを知るなりこちらへ乗り換えてしまった。パーク24のカーシェア事業は利益の過半を月額基本料金から生み出しているようなので、会員数の増加が止まれば利益成長は鈍化する。もし仮にdカーシェアなどに対抗して月額基本料0円プランを導入した場合は利益が大幅に減る可能性が高い。近々0円プランを導入する可能性は少なからずある。海外事業の利益成長も期待しにくくなってきたので、株価が反発したら売却してこうと思う。今後3年の売上高成長率は年率5%で利益成長率も5%程度。2019年の予想平均株価は2400円(変動率20%)。

■コンテック
基本シナリオ:物流テック向け機器で業績拡大
親子上場が問題になっているが、ここは親会社に吸収されるのだろうか。それとも売却されるのだろうか。それともこのまま放置されるのだろうか。ここは親会社出身ではない取締役が過半に満たないので何かしらの動きがあるかもしれない。まあ現状では事業に特に問題はないようなので、ここらへんのことはどうでもいいのかなとも思う。今後3年の売上高成長率は年率5%で利益成長率は10%程度。2019年の目標時価総額は売上高の0.7倍の200億円(株価3000円)。

■今後の戦略
もうしばらく様子見。決算で株価が予想以上に反発したものがあればいくらか売却していく。

マクロ系金融資産チェック

市場の仕組みを理解しやすい順番で見ていく。

■米長期金利 (米国国債4倍ベア7)
基本シナリオ:2019年は2.4%~3.2%の間で推移

長期金利に与える影響が大きい要因順に見ていく。
・経済成長率+インフレ率↓
米長期金利の基準値は経済成長率+インフレ率になるが、今後は両者とも低下傾向になる。米国の2018年の経済成長率は2.9%、2019年は(予)2.5%、2020年は(予)1.8%で、インフレ率は2018年が2.4%、2019年は(予)2.0%、2020年は(予)2.7%になる。
*数値はIMF予想

・金融政策↓
景気後退懸念や金融市場の混乱などから、FRBは金融引き締めをいったん終了することに決めた。

4/17の日経記事によると、FRBが利上げを止めたのは期待インフレ率が0%台になってしまった日本のようにならないためだという。期待インフレ率は一度0%台まで落ちてしまうと現状では再度引き上げる方法がないらしい。この理屈はFRBが金融政策の目標として「平均インフレ率」を検討している事実とも整合するので正しそう。となるとFRBはこの先インフレが多少上振れしても引き締めを見送るのかもしれない。

・トランプ大統領の介入↓
低金利好きのトランプ大統領はFRBへの口先介入のみならず、FRBへ緩和派の人間を送り込もうとするなどして金融緩和圧力をかけ続けている。これは短期的には金利に低下圧力がかかるが、中長期では金融市場に歪み(バブル)が生じて金利が上昇する可能性がある。

・財政赤字の拡大↑
米政府は財政支出を拡大しており、今後も年金や医療、福祉などの社会保障費は増大していくので、長期的に財政赤字の拡大は続く。2018年の米国の財政赤字は100兆円を超えており、この水準は当面続く見込み。

・リスクオン、オフ→
少し前まで世界的に景気後退懸念が強まっていたので、”安全資産”である米国債に資金が集まりやすかったが、足下では景気後退懸念や米中貿易摩擦は落ち着きつつあるので、国債は売られやすくなっている。

・米国債の人気低下↑
米10年国債の利回りは先進国の中では相対的に高いので海外から買われやすいが、足下では為替ヘッジコスト(2.9%)が米長期金利(2.5%)を上回っているので、海外からの米国債の購入は減少している。また貿易赤字や財政赤字の拡大も人気低下の理由になる。
*ヘッジコストとは外貨の短期金利と円の短期金利の差から生じるコスト

・資金需要の低下↓
第4次産業革命の主役はデジタル企業になるが、デジタル企業は設備投資のための資金需要がそれほど多くない。

投機筋の持ち高
1月を底にそこから売り越しが積み上がりつつある。短期筋は金利は上昇しないとみている。

・チャート↑
短期のWトップが完成していったん天井を打ったように見えるが、長期のWボトムも完成しているので長期的な上昇圧力は強い・・と思っていたが、長期のWボトムはまだ完成していないのかもしれない。移動平均線的には足下の金利水準(2.5%)はほぼ底になる。


■WTI原油 (WTI原油価格連動型上場投信)
基本シナリオ:45ドルから70ドルの間で推移

原油価格に与える影響が大きい要因順に見ていく。
・産油国の採算ライン→
サウジが財政均衡に必要な水準は1バレル80ドル、アラブ首長国連邦は60ドル、ロシアは40ドル、米企業の採算ラインは45ドルになる。

・トランプ大統領の介入↓
トランプ大統領は低インフレ(低金利)と株高を切望しているので、原油価格の上がりにくい政策を採る。トランプ大統領の介入ラインはおそらく65ドルあたりになる。

・供給↑
OPECとロシアが協調減産してるので足下で供給は締まりつつある。しかし4月に入りロシアがシェア低下を気にして減産はやめると言い出した。

米国はイラン産原油の禁輸措置を決めた後、その不足分をOPECに増産要請している。サウジなどはその要請に応じる構えだが、原油価格の急落を避けるため増産ペースは穏やかなものになりそう。*増産されても輸送や精製には時間がかかるため実際に供給が増えるまで3~5ヶ月程かかる。

長期的には新規の油田開発が、原油価格の停滞や脱化石燃料への投資家圧力などにより停滞気味なので将来の供給不安は残る。
*現在ESG(環境、社会、ガバナンス)の観点を考慮しない企業は評価しないという流れになってきている。地球温暖化につながる化石燃料は環境リスクが高く、3月には世界最大の政府系ファンド・ノルウェー政府年金基金が石油・ガス関連株の一部を投資先から外すという方針を示している。

・産油国で不測の事態が起こる↑
米国は1月にベネズエラ国営石油会社への制裁を決定した。ベネズエラの産油量は投資不足などもあり著しく低下している。
米国は5月からイラン産原油を全面禁輸することを決定した。イランは対抗措置として原油輸送の大動脈であるホルムズ海峡を閉鎖すると警告している。
リビアで内戦が激化している。生産設備の被害や輸送の寸断で一気に生産量が落ちる可能性がある。

・需要↑
足下では世界経済が持ち直しつつあるので需要は堅調に推移しそう。

中長期的には景気後退や温暖化対策(クリーンエネルギーへのシフト)など需要を抑制する要因もあるが、大局的には人口増や世界経済の成長に伴い原油消費量は増加基調になる。国際エネルギー機関(IEA)によると石油需要は2040年まで拡大を続ける見通し。

・リスクオン、オフ↑
原油は株式と同じリスク資産なので、リスクオフ時に売られやすいが、今はリスクが後退しつつある。

投機筋の持ち高
買い越しは1月を底に増加傾向。短期筋はまだ上がるとみている。

・為替→
原油はドル建て取引なのでドル高になると新興国の需要が鈍る。しかしドルはほぼ頭打ちの状態。
(WTI原油価格連動型上場投信においては、円高が進むと基準価額が下がる)

・船舶の燃料規制↑
2020年から船舶燃料油の硫黄分濃度規制がはじまる。硫黄分の少ないWTI原油や北海ブレントには5ドル程度の価格上昇圧力がかかると言われている。

・チャート→
25日線でバウンドして上がっていくわかりやすい上昇トレンドだったがいったん下抜け。たとえ持ち直しても天井(累積売買高のピーク)は近い。ただ200日線は越えてきているのでもうしばらくは高値圏で推移しそう。
<WTI原油先物の1年チャート>


■ドル円 (FXでドル買い)
基本シナリオ:2019年は102円から112円の間で推移

為替に与える影響が大きい要因順に見ていく。
・日米の金融政策↓(↓は円高方向)
円レートの基準値は購買力平価になるが、今は購買力平価(96円)から円安方向に振れている。円安方向に振れている最大の要因は日銀の金融緩和になるが、その緩和が限界に近づきつつある。一方で米国は金融引き締めから緩和に移行しつつあるので、徐々に円高圧力が高まりそう。

・リスクオン、オフ↑
景気後退懸念や海外の政治情勢が落ち着きつつあるので、徐々にリスクオンになりそう。市場環境が落ち着けば、金利差を狙って円を売り外貨を買うキャリー取引が復活する。ヘッジファンド勢は市場が当面落ち着くとみており、4月23日時点で市場変動率指数(VIX)には過去最大規模の空売りが積み上がっている。

・日米の経済成長力↑
資金は景気の強い国へ流れてその国の株式などの資産価格や金利を押し上げるが、今は日本経済よりも米国経済のほうが勢いがある。

・貿易収支→
日本は短期的には2018年の原油安により貿易収支が改善し円高圧力が生まれそうだが、長期的にはスマホや医薬品などの輸入が増加傾向で、生産の海外移転などにより輸出の伸びが鈍化しつつあるので貿易収支は悪化していきそう。2018年の貿易黒字額は1兆円程度になる。

*日本の(貿易収支を含む)経常収支は20兆円程度の黒字を維持しているが、この黒字の大半は過去に行った投資のリターンである所得収支が占めている。所得収支は貿易黒字と違い、半分程度が円に換えず現地で再投資されるため円買いフローは10兆円程度しか生まれない。

米国の2018年の貿易収支は景気刺激策や高関税政策などにより赤字額が100兆円まで膨らんでいる。しかし米国は第4次産業革命の牽引役でもあるので長期的な貿易黒字圧力は強い。またシェールオイル増産により海外からのエネルギー調達が大幅に減っているので、これも貿易黒字圧力になる。

・日本企業の対外直接投資→
国内需要はほぼ頭打ちなので、日本企業の対外直接投資は今後も増えていきそう。ただ2018年の対外直接投資は15兆円程度と高水準だったが、日本企業の海外M&Aに1年半先行する世界PMI(購買担当者景気指数)は2017年12月にピークアウトしているので、日本企業による海外M&Aもいったんピークアウトしそう。
*対外直接投資額のうち外貨建て(円売り)は半分程度。

・日本の投資家の対外証券投資↑
日本の債券投資家は国内の超低金利で運用難に陥っているので、為替差損回避(ヘッジ)付きでも高い運用利回りが見込める海外債権などを今後も積み増していく可能性が高い。

日本の対外証券投資は年によってばらつきがあるが、平均すると年10兆円程度の買い越しが続いている。2019年はすでに8兆円超の買い越しになっている。今後は異次元緩和前の比較的高い利回りで購入した債権の償還が始まるが、戻ってきたお金は再投資ではなく、外債に回る可能性が高い。
*対外証券投資のうち外貨建て(円売り)は7割程度。

投機筋の持ち高
円売りポジションは1月を底に積み上がりつつある。短期筋はまだ円安が続くとみている。現在の売り越しは9万枚だが、これが10万枚を超えると急激な買い戻しが起こりやすくなる。

・購買力平価↓
ドル円の購買力平価は96円程度なので、円の下限は75円、上限は120円程度になる。米国の方が慢性的にインフレ率が高いので、購買力平価は長期的な円高傾向にある。ただ米国のインフレ率は年々低下しており、ドル円の購買力平価の下降曲線は緩やかになってきている。

・米財政赤字の拡大↓
米国の財政赤字は年100兆円を超え始めており、それが50兆円規模の経常赤字と相まってドル離れが進みそう。近い将来、米国債を消化するために大量のドルが発行される可能性がある。

・チャート→
どっちつかずの三角持ち合い。ゆくゆくは円高方向に大きく振れそう。中長期の移動平均線では今が天井に見える。
<5年チャート>


■日経平均 (日経レバETF)
基本シナリオ:2019年は19000から24000のボックス圏で推移

日経平均に与える影響が大きい要因順に見ていく。
・EPS(1株利益)→
日経平均株価は基本的にEPS(1株利益)× PER(人気度)で決まるが、2018年の予想EPSは0%、2019年は5%、2020年は0%になる。
ーーーーー
EPSに影響を与える外部要因についても見ていく。
・為替↓
今後為替は中長期的に円高に振れていきそうなので、海外で6割を稼ぐ日本企業の利益は下振れしていきそう。

・海外景気↓
日本企業は海外で6割を稼ぐわけだが、海外景気が景気後退に陥りそうなので、日本企業の業績も下振れしていきそう。

・失業率↓
失業率が最低水準まで低下すると賃金が上昇して企業収益が圧迫され、労働量力不足で成長が頭打ちになるが、現在の失業率は最低水準にある。

・減価償却費や資源価格(原材料費)↓
景気拡大期の終盤は減価償却費や資源価格(原材料費)が大きくなり収益が圧迫される。

・金融政策→
先進国の金融政策は最終局面にあるので、上昇した金利により企業の収益や資金調達環境は悪化する。しかし今回の引き締めは穏やかで、そもそも日本の金利は万年0%なのでほとんど影響なさそう。
ーーーーー

・PER(人気度、リスク選好度)→
米中貿易戦争や景気後退懸念によりリスクオフで株式は売られていたが、今後はこれらの問題が落ち着きそうなので徐々にリスクオンに向かいそう。日経平均のPERはだいたい11~16くらいの間で推移するが、現在のPERは12.63になる。

・金余り↑
市場にお金があふれると資産価格は上昇するが、足下では金融政策が緩和気味になりつつある。

投機筋の持ち高
売り越しはやや増加傾向。短期筋は日本株が下がるとみている。

・2019年の主な投資主体の売買動向→
 日本銀行:(予)金融政策により3~6兆円の買い越し 現状は1兆3千億円の買い越し
 事業法人:(予)自社株買いにより2兆円~3兆円の買い越し 現状は9千億円の買い越し
 海外投資家:(予)世界の景気後退を懸念して1~3 兆円の売り越し 現状は1兆2千億円の売り越し
 個人投資家:(予)相続に伴う換金売りで1~3兆円の売り越し 現状は1兆6千億円の売り越し

・利回り↑
日本株式の益回りは8%と日本国債の利回り0%より高いので、株式に資金が流れやすい。

・チャート→
24000円でダブルトップを形成しており、19000円で累積売買高のピークが来ているので、当面この範囲内で動きそう。

市場環境チェック

株式市場への影響が大きい企業業績、金利、金融政策などをチェックしていく。

■ファンダメンタルズ
<EPS成長率>
・世界株式の2018年のEPS増加率は15%、2019年は8%。
・米国株式の2018年のEPS増加率は22%、2019年は5%。
・欧州株式の2018年のEPS増加率は5%、2019年は8%。
・日本株式の2018年のEPS増加率は0%、2019年は6%。
参照:2019/2/22日経など
→問題なし

<経済成長率>
・世界の2018年の成長率は3.7%、2019年は3.3%、2020年は3.6%。
・米国の2018年の成長率は2.9%、2019年は2.3%、2020年は1.9%。
・中国の2018年の成長率は6.6%、2019年は6.3%、2020年は6.1%。
・ユーロ圏の2018年の成長率は2.2%、2019年は1.3%、2020年は1.5%。
・日本の2018年の成長率は1.1%、2019年は1.0%、2020年は0.5%。
*IMFの予想。参照:2018/4/10日経
*下方修正は3期連続
*IMFによると世界の経済成長は19年に中国やインドの回復によって底入れし20年に持ち直すとのこと。
現在、世界同時成長が起きており、このような状態は通常2,3年続くという。ただしこのような世界同時成長は景気サイクルの終盤に見られる特徴的な現象とも言われている。米ピムコは2019年に世界経済の同時減速が始まると予想している。

世界同時成長は海外で6割を稼ぐ日本企業には追い風になる。しかしその反面、海外の景気後退期は日本企業にとって強い向かい風になる。このような経済構造に円高効果が加わり、日本株は米国株の1.5倍くらい下落する。
→問題なし

<インフレ>
・米国の予想インフレ率は2018年度が2.4%、2019年は2.00%、2020年は2.73%
・欧州の予想インフレ率は2018年度が1.5%、2019年は1.5%?、2020年は1.8%?
・日本の予想インフレ率は2018年度が0.98%、2019年は1.07%、2020年は1.54%
*IMFの予想。参照:世界経済のネタ帳
→問題なし

<金利>
・米国の2年金利は2.34%で10年金利は2.54%。
・日本の2年金利は-0.14%で10年金利は-0.03%。
*米国の短期金利が長期金利を上回ると景気後退に陥るといわれるが、現在の長短金利差は0.20%。
*米国の実質長期金利(名目長期金利-インフレ率)が潜在成長率を上回ると景気後退に陥るといわれるが、足下の実質長期金利は0.14%で、潜在成長率は1.8%。
・米国の景気をふかしも冷やしもしない中立金利(2.75%)を政策金利が上回ると景気後退に陥るといわれているが現在の政策金利は2.25~2.5%。
→問題なし

<債務>
・米国の民間債務残高はGDP比150%で横ばい傾向。
・日本の民間債務残高はGDP比150%で横ばい傾向。
・中国の企業・家計債務残高はGDP比210%まで上昇しており、足下でも微増傾向。日本のバブル期のピークは220%になる。
・新興国の民間債務残高はGDP比140%で現在も微増傾向。
・過去10年で各国政府は債務を大きく膨らませている。
*米企業の対GDP債務残高比率は増加比率の移動平均線から3%超乖離しているが、これは直近3回の債務バブルのピーク時とほぼ同じ水準。参照
*中国の企業・家計債務は危険水準に達しているが、習政権は経済の筆頭課題に金融危機封じ込めを据えているので、しばらくは心配しなくてもよさそう。
*中国の企業債務は積み上がっているが、その大半は国営企業によるものなので、計画に沿って徐々に削減していけそう。
*先進国では超低金利が続いているので債務拡大はまだ続きそう。
*新興国は米利上げや原油高などで通貨安・高インフレ・高金利になり、債務圧縮局面に入りつつあったが、米利上げや原油高が止まり、インフレ率は各国中銀のターゲット内に収まっているので落ち着きそうでもある。
→問題あり

<金融政策>
・米国は引き締めに転じていたが2019年9月でいったん終了。
・日本は金融緩和を継続しているが限界に近づきつつある。日銀によると2020年4月頃までは現状の緩和水準を維持し、その後も長期で緩和を続けるとのこと。
・欧州は量的緩和を2018年12月に終了し、利上げは2020年以降になる。
・世界の量的緩和は2017年3月にピークをつけ、その後は減少傾向にある。2019年には量的緩和量が明確なマイナスへと転じるはずだったが、中国が緩和方向に舵を切ったのでプラスを維持しそう。
*引き締め速度は穏やかだが全体的に引き締め傾向にある。これまでの景気拡大や資産インフレは金融緩和が原動力であったため、引き締めによりすべてが逆回転しつつある。
*米国はトランプ大統領の財政拡大策により次の景気後退期には金融政策しか残されていない。そのためFRBは粛々と金融引き締めを進めて、次回の金融緩和の余地を作っていかなければならない。とはいえFRBは市場や景気の安定を優先するので、引き締めは穏やかなものになりそう。
*米国ではトランプ大統領がFRBに金融緩和圧力をかけているが、これを続けているとジョンソン大統領やレーガン大統領のときの二の舞になる可能性がある。ジョンソン大統領のときはニクソンショック、レーガン大統領のときはプラザ合意というドルショックが起きている。
*日本はこのまま金融緩和を続けると、金融仲介機能を持つ銀行の収益が落ち、金融政策が円滑に機能しなくなる恐れがある。
*金融緩和が長期化すると産業の新陳代謝が進まず(ゾンビ企業が存続する)、潜在成長率がさらに落ちていく。潜在成長率が落ちるとインフレがさらに起こりにくくなる。現在インフレを起こそうと中銀が行っている金融緩和は長期的にはインフレが起こりにくい経済構造を作るという一面もある。
*日本は次の景気後退期に金融面でも財政面でも打つ手がほとんどない。
*日本は今現在、財政赤字拡大を容認する現代貨幣理論(MMT)のような金融・財政政策をしているが、歴史的には中銀の貨幣発行によって財政赤字の穴埋めをしてきた国は、インフレを制御できなくなり、投資や成長が著しく落ち込むという結果に終わっている。
 *MMTとは自国通貨で借金をできる国は破産することはなく、高インフレを招かない限りは財政支出のしすぎを心配しなくてよいという政策。提唱者のケルトン教授によれば、財政支出を拡大してインフラや教育、研究開発に投資すれば長期的には国の潜在成長率を高めることができ、財政赤字を縮小できるという。高インフレ問題についてはインフレ防止条項を入れておけば問題ないとのこと。
→問題なし

<政治>
・日本は安定。19年の消費税引き上げは株式市場の鬼門になると思っていたが、政府の大盤振る舞い(支援給付金、軽減税率、教育無償化、補正予算)や携帯料金引き下げなどにより、消費増税の負担を相殺・超過しそうなので問題なさそう。
・海外は不安定。米国と中国の覇権争いは、ハイテク・軍事分野を中心に今後長期にわたり続きそう。ただ5月の米中通商交渉でいったん停戦になりそう。
・英国のEU離脱の条件は、EUが新たな離脱国が出てくるのをけん制するため、英国にとって厳しいものになりそう。英国は国民投票を実施し、EU残留という形になるのかもしれない。
・5月下旬に欧州議会選挙があるが、英国のグダグダ感の影響で欧州各国のEU離脱の機運は弱まっていそう。ただ所得格差や価値観の分断を背景にしたポピュリズムは今後も長期にわたり続きそう。
→問題なし

<その他の景気後退シグナル>
・過去の景気後退期はすべて米国の需給ギャップがプラスに転じた後に始まっているが、足下ではすでにプラスに転じている。
・米景気の先行指標である米住宅着工件数は今のところまだ辛うじて上昇トレンドを保っている。
・米景気の先行指標である米ISM製造業景況指数は適温圏内(50~55)で落ち着いている。
・失業率が最低水準まで低下すると企業収益が圧迫され、労働力不足で経済成長は頭打ちになるが、米国の失業率は歴史的に低い水準にある。米国では失業率が前四半期と比べて0.25%上がると景気後退に陥ると言われているが、現在はまだ低下している。
・コモディティ、米国債、米国株、ドルの4資産の値動きで、年間収益が高い順位が、コモディティ、米国債の順番になるとその翌年に景気後退が起きると言われているが、2018年はドル、米国債、米国株、コモディティの順。
・景気拡大期の終盤は、金余りと鈍化した成長率を引き上げるため巨大M&Aが盛んになるが、今がまさにその状態。*高値で行われたM&Aは景気後退期にのれんで巨額の減損が発生しやすい。
・景気拡大期の終盤には業績格差が広がりやすくなるが、今がまさにその状態。
・世界景気の先行指標である銅価格がピークアウトするかどうかの分岐点にあったが足下では反発している。
・世界景気を半年先取りするOECD景気先行指数は17ヶ月連続で低下しており、節目の100を下回っているが、この指数よりさらに先行性のあるOECD中国景気先行指数や中国製造業PMI、バルチック海運指数は底入れしつつある。
・経済危機をいち早く察知する米低格付け債の利回りは一時急上昇したが、足下では元の水準に戻っている。
・起こり得ない衝撃的な事象の発生を織り込むSKEW指数(ブラックスワン指数)は現在124と低位で推移している。
・FRBの利上げ局面における株式相場は「1,金融緩和の終了を嫌気した調整」→「2,利上げ中盤にかけての良好なファンダメンタルズを好感した上昇」→「3,利上げ終盤の過度な引き締めを懸念した反落」→「4,利上げの打ち止めを好感した反発」→「5,ファンダメンタルズの悪化を織り込んだ大幅な下落」という経過をたどることが多いが、今は「4,利上げ打ち止めを好感した反発」局面に入りつつあるので、いったん上がりそう。
→問題なし

■テクニカル
・チャート
ナスダックは7000あたりで値固めして再度上昇しそうな雰囲気だが、長期線との乖離率が高まっているのが気になる。
<10年チャート>
→問題なし

・ディストリビューション・デー(機関投資家の売り抜け日)
日経平均 3日
NYダウ 3日
ナスダック 1日
→問題なし

・騰落レシオ
日経平均 90
NYダウ 121
ナスダック ?
→問題なし。

・信用評価損益率
ー13.71%
→問題なし。

■株ログ・インディケーター
問題なし11件、問題あり1件、中期的な危険度:35%、投資判断:様子見
在庫循環的にも中国の景気指標的にも底打ちしそうな感じなので、今後半年~1年は落ち着いた相場展開になりそう。米国株は大統領選の前年には上がると言われている。

今後1年以内に米景気が後退する確率:40%
米国の債務や雇用はピークの水準に来ているが、FRBが緩和姿勢に転じつつあり、世界景気も穏やかな回復基調になりそうなので米景気後退はもう少し先延ばしされそう。米景気は次期大統領選が終わるあたり(2020年11月)までもつかもしれない。

長期計画チェック

「平時にじっくり考えて決めておいたことは、後悔する判断にはなりにくい」いわれているので、今のうちから長期的な計画を考えていく。

現時点の予想では2020~2021年頃に景気後退期に入るとみている。ただ今回の景気拡大期は低成長・低金利の中で浅く長いものだったので、景気後退期も浅く長いものになりそう。

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過去の景気後退に共通するパターン:米国の長短金利が逆転した後(もしくは利上げ停止後)、1,2年してから日本株が50%超下落。

2018年12月に長短金利が逆転し、利上げも停止されたので、今後1,2年以内に景気後退に陥る可能性が高まってきた。ただ今回の利上げ停止ポイントは過去の水準(5%超)と比べてだいぶ低く(2.5%)なりそうなので、景気後退は比較的穏やかなものになるかもしれない。
*政策金利2.5%とは、景気をふかしも冷やしもしない中立金利(2.75%)よりも低く、実質金利(名目金利-インフレ率)も0.3%程度と低いため、かなり緩和的な水準になる。
*今回の長短金利の逆転は従来のものとは成立パターンが異なる。過去のパターンは高インフレによって押し上げられた短期金利が長期金利を上抜いているが、今回のパターンは低インフレ下でFRBの利上げ停止によって下がった長期金利が短期金利を下抜いている。

これ以外にも景気後退や株価下落を穏やかにするいくつかの要因がある。
・リーマンショックの記憶がまだ残っているため、皆慎重になっている。
・バブルは借金をして資産を買いまくることによって生じるが、先進国では今回そのような現象はあまり見られない。・・と言われていたが実際は超低金利が長期にわたり続いているので、順調にバブルは醸成されていたもよう(参照)。ただこのバブルは主に債券市場で起きており、金利が上昇しない限りは破裂しにくい。
・先進国の金融機関の財務状態は比較的良好なため、先進国では金融危機(信用収縮)は起こりにくい。
 *金融危機(信用収縮)、つまりクレジットの消失が起こらなければ、金余りの状態が続く。*クレジットとは世の中に流通する大半のお金のこと(参照)。
 *中国の不動産にはバブルの兆候がある。ただし中国政府の需要抑制策により、日本のバブル期ほどの過熱感はない。
 *中国で最も大きなバブルはシャドーバンキング商品(銀行理財商品、委託融資、信託商品)への投資になる。これらの投資は過熱感が強く、2017年末の残高は1000兆円とGDP比8割の規模になる。
 *バブル崩壊の仕組み。景気後退や金利上昇などにより株式や不動産などが売られはじめると、資産価格が上昇することを前提として資産を買っているバブル系投資家が資産の投げ売りを始め、資金の逆回転が起こる。
・中国政府には財政出動や金融緩和の余地がある。
・中国の企業債務は積み上がっているが、その大半は国営企業のものなので計画に沿って徐々に削減していけそう。
・中国は独裁体制のため、不況に陥るとすべての批判が指導部に降りかかる構造になっている。そのため指導部はなんとしても不況を起こさないようにする。
・FRBは次の景気後退期に財政政策や金融政策で打つ手がほとんど残ってないことがわかっているので、金融引き締めは慎重に進める。
・トランプ政権は2020年の大統領選に向けて景気刺激策を打ってきそう。株価の維持は再選への最低条件になる。
・各国中銀が量的緩和をして国債などの資産をたくさん買っているので資産価格は下がりにくい(金利は上がりにくい)。中銀が資産売却を進めれば資産価格は下がるが、今のところそれを積極的に進める気配はない。
・金融緩和により過剰な金余りが続いている。米メリルリンチによると2019年2月の機関投資家の現金保有比率は2009年1月以降で最も高い水準になる。すでに景気後退をかなり織り込んでいるようにもみえる。
・各国中銀はインフレターゲットを2%に設定しているが、現在のようなインフレが起こりにくい環境でインフレ2%を達成・維持するには株高のような資産価格の維持・上昇が不可欠になる。そのため中銀は株式市場に優しい政策をとらざるを得ない。
・現在、第4次産業革命が進行中で、これは今後も長期にわたり続く。
・先進国では株式以上に債券が割高なので、株式に優位性がでやすい。
・日銀は以前と比べて市場にとても優しくなっており海外勢とも歩調を合わせるようになった。
・日本株に限れば、日銀のバックアップがあるので下がりにくい。
 *ただし日銀のバックアップがあるからこそ投資家が売ってくる可能性もある。1995年に為替が1ドル80円を突破したとき、日銀が「もうこれ以上無理だ」とドル買い介入をやめたら底打ちしたという。市場参加者はドルを売る相手がいなくなり、買い戻しを始めたらしい。2016年の半ばから日銀は日本株を年間6兆円ベースで買い始めているが、2016年に個人と海外が6兆9千億円、2017年に5兆1千億円、2018年に6兆円、2019年に入りすでに3兆円超売り越している。ちなみにこの期間の日銀以外の主な買い手は事業法人と信託銀行になる。16年は6兆円、17年は2兆円、18年は4兆8千億円、19年は1兆円買い越している。
・日本株の売り玉が少なくなっている。海外勢はアベノミクスが始まった2012年から日本株を買い始めており、累積買越額が一時20兆円くらいまで膨らんだが、足下では7兆円くらいまで縮小している。個人投資家はこの間一貫して売り越しており、その額は約30兆円にのぼる。反対にアベノミクス以降に一貫して買い越しているのは日銀と事業法人になり、その累計額は約40兆円に達するが、両者は景気後退期には売り圧力になりにくい。

以上を総合すると、次の景気後退や株価の下落は比較的穏やかに進む可能性が高い。

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景気後退シナリオ2:株価上昇の原動力であった金融緩和と債務のサイクルがピークアウトし、景気後退に陥る
おそらく2018年末の株価下落はこれが主因になる。ただ今回の金融引き締めは穏やかなものになりそうなので、景気後退も穏やかなものになりそう。
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景気後退シナリオ3:上がり続ける米長期金利による景気後退
今後、米長期金利は需給要因により長期的に上昇していく可能性がある。米長期金利が上昇すると株式や不動産が売られ、借り入れが減り景気後退に陥る。景気後退に陥ると通常なら長期金利も低下するが、今回は需給要因により長期金利は下がりにくい。新興国では米金利上昇とそれに伴うドル高により、通貨安、インフレ、金利高が起こり景気後退に陥る。中国ではこれらに加え、過剰債務や貿易戦争、労働人口のピークアウトなどにより景気後退に陥る。日本や欧州は、これらの国々のあおりを受けて、景気後退に陥る。
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景気後退シナリオ4:中国のバブル崩壊による景気後退
中国の企業債務は積み上がっているが、その7割以上は実物投資ではなく、リスクの高い金融資産(シャドーバンキング商品)への投資に回っている。景気下振れなどによりいったんデフォルトが起こると、急激な資金の引き上げが発生して、連鎖的なデフォルトが起こる可能性が高い。そうなると企業は債務返済で手一杯になり、新たな投資ができなくなる。不況に陥ると独裁政権に責任が集中し、政権が転覆する可能性も出てくる。そもそも独裁体制は経済的に成熟した社会には適さないシステムとも言われているので、その意味でもこのタイミングで独裁体制が終わる可能性がある。これらの政治的混乱も相まって不況が深刻化していく。経済大国・中国の不況が世界に連鎖していく。
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景気後退シナリオ5:景気後退シナリオ2,3,4が同時に起こる
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景気後退シナリオ6:各国中銀がインフレ政策をやめる
先進国の中銀はインフレターゲットを2%に設定しているが、経済成長率が2%を下回り、インフレが起こりにくい社会構造でそのような政策を続けるのはもともと無理がある。日本においてはインフレ目標達成のために、日本銀行が日本株を最も買っているが、これはあまりにも不自然。そのためどこかでインフレ政策を転換する必要が出てくる。インフレ政策を転換すれば資産価格は下落するが、今のところインフレ政策よりもマシな政策はなさそうなので、インフレ政策が限界にくるまで(おそらく10年以内)この政策は続きそう。足下ではFRBが平均インフレ目標政策などを検討するなどインフレ政策を強化する方向で動いている。
*平均インフレ目標政策とはインフレ目標を下回る期間が長引けば、その後上回ることを許容し平均で目標達成を図る手法。
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今後日本企業の業績は海外景気の減速に伴い低下していきそうなので、資金を徐々に弱気型のETFなどにシフトしていく。ただ上記のように、株式市場の下落は比較的穏やかなものになりそうなので、利益成長を続けられそうな企業の株は保持しておく。米景気後退を受けて中国バブルが崩壊しそうになってきた場合は資金移動を拡大していく。

それ以外のパターンとして1ドル(スイスフラン)が115円、もしくは米長期金利が3.5%になった場合は、その時点でドル(スイスフラン)を売っていく。
*米国の政府・民間債務は膨張しているので、長期金利が3.5%あたりまで上昇したら、FRBは債務危機を防ぐため、国債購入を再開して(ドルを大量発行して)日銀のように長期金利をコントロールしていく可能性が高い。
*スイスフランは日本円と同じ逃避通貨になるが、過去の金融危機時には金融政策の違いなどからスイスフランよりも日本円の方が大きく買われている(参照)。スイスフランには売りに回るとスワップポイント(金利差収入)が入るというメリットもある。

景気後退期に入り円が90円くらいまで上昇したら、もしくは日経平均が16000円台になったら、米欧通貨や外国株、日本株を買っていく。おそらく今回が最後の円高局面になると思うので、海外資産の比重を高めにしていく。
*日経平均が18000円以下になると日銀が保有するETFが簿価割れを起こし、円の信認が揺らぎ始める(円安圧力がかかり始める)。*日銀のETF保有額は現時点で自己資本の3倍になる。

次の円高時に仕込みたい外国株
・(米)ALPHABET。検索、広告、スマホ、自動運転、AI、動画、ゲーム、半導体チップなどで成長を続けていけそう。データ規制やデジタル課税、プライバシー保護などのマイナス要因も多々あるが、デジタル分野の基幹インフラを多数押さえているので(押さえそうなので)、2030年頃には時価総額200兆円くらいまではいきそう(年率10%成長で達成可能)。
・(米)VISAや(米)マスターカード。両社はフィンテック企業のボス的存在で、電子マネーは結局ここらへんが中核になりそう。
・(米)P&G。経営体制は盤石で、”奇跡の化粧水”SK-IIが世界的にヒットしそう。
・NASDAQ100ETF。第4次産業革命の中核ETF。
・アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信(為替ヘッジなし)。腕利き米国人が運用する趣味の良さそうなファンド。
・米国株式長期厳選ファンド。奥野一成氏が運用するビジネスモデルが堅固な企業に投資する永久保有系ファンド。積み立てオンリーなのがやや難。
・インド株のETF。インドは2040年まで人口ボーナス期が続く。
・インドネシア株のETF。インドネシアは2030年まで人口ボーナス期が続く。
・銅。銅をたくさん使う電気自動車などにより銅の需要は長期的に右肩上がりだが、供給は環境規制などにより追いつかなくなる可能性がある。銅採掘の採算ラインは1トン6000ドル程度になる。
・原油。原油価格が40ドル以下になると産油国(企業)が採算割れを起こすので、40ドル以下になったら買い。新規の油田開発も停滞気味のようなので長期的な供給不安もある。

■次回の上げ相場について
次の景気拡大期は、中銀に金融緩和をする力があまり残されてなさそうなので、今回のような資産インフレはあまり期待できないかもしれない。とはいえ中銀が2%のインフレ目標にこだわり続ける限りは資産インフレがどうしても必要になってくるので、また新たな金融緩和策を考案して資産市場を盛り上げてくれるのではないかとも思っている。