2020年7月3日金曜日

売買チェック

*ブログの次回更新は10月。

<6月>
・ジモティー 買い
地元取引プラットフォーム「ジモティー」で市場を独占しているのに、PSR(売上高株価倍率)が6倍程度と割安感があったから。
株式上場とコロナにより、「ジモティー」が一気に地域に根付きそうだと思ったから。

・・現在、マザーズに連れ安して損切りラインに接近中。おそらくこの調子でいくと損切りラインを割り込む。損切りするかどうかはもう少し調べてから決めようと思う。

・米ドル売り 全売却 損益-8%
ドルを売り増しした直後に円が急落し、損切りラインに達しそうになっていたから。「500兆円」金融緩和のリスクオン効果を見落としていた(6/4日経)。
今後も金融緩和によるリスクオンは続きそうだが、「中長期で円高」の見立ては変わらず。

・・現在、円高が進んでいる。結果的に今回の撤退はただ振るい落とされただけのように見える。


<5月>
・ステムリム 買い
割安感があったから(詳細は後述)。

・弁護士ドットコム 1割売却 損益+1010%
ポートフォリオに占める比率が7割を超えていたから。現金ポジションをもう少し増やそうと思った。
過熱感、割高感があったから。

・米ドル売り 半分売却 損益+1%
コロナが落ち着いてきたから。
大型経済対策決定後3ヶ月間は地合いが堅調に推移しやすいということを知らなかったから。4/8日経
マネックスのFX取引ではマイナスのスワップポイント(金利差損失)がSBIの倍以上ついていたから。
*FX取引はSBIとマネックスを使っていたが、マネックスではレバ10倍で取引しようとしても、レバ25倍でしか取引できず、その分マイナスのスワップポイントが多くついた。


<4月>
・シンクロフード 全売却 損益-70%
コロナが長引きそうだから。
コロナが収束しても利益成長をしていくのは難しそうだと思ったから。

・・5月に入り緊急事態宣言が解除され株価が上がりはじめてしまった。また得意の底値売りをしてしまった笑。シンクロ株には底値圏で大量の買いが入っているが、これが底打ちシグナルだったのかもしれない。
<1年チャート>

参考までに、業績インパクトの大きい飲食店ドットコムの求人広告掲載数をメモっておく。
去年5月、3621 →今年5月、1912
去年6月、3626 →今年6月、1918
去年7月、3642 →今年7月、3052
→足下で掲載数が急回復している。


・厳選ジャパン 全売却 損益-5%
今後、中小型株は厳しそうだと思ったから。

・・売却後、金融バブルとコロナによる社会の「ビッグチェンジ」により、この「ビッグチェンジ」投信の基準価額は最高値を突破してしまった笑。ほろ苦い撤退になってしまったが、こればかりはしょうがないのかなと思う。今回わかったのは”危機時”には内容(組み入れ銘柄)のよくわからないものは持っていられないということ。今後は他人任せで楽しようとせず、自分の判断でチマチマやっていこうと思う。

持ち株チェック

保有比率の高い順に見ていく。

■弁護士ドットコム
基本シナリオ:法律分野をITで変革し最強のプラットフォーマーに
新型コロナを機に「脱はんこ」の動きが加速してきた。5/30の日経に「法務省などは(クラウドサインのようなクラウドを使った第三者が電子署名する)立会人型の電子契約書について、文書が有効だとは推定されない」みたいなことが書いてあったが、翌日の日経には「法務省がクラウドを使った電子署名を認める」と見解が変わり始め、6/19の日経には「政府が立会人型の電子契約でも契約の効力に問題がないことを認めた」みたいなことが書いてあった。なかなかドラマチックな展開になってきた。株式投資は下手なノンフィクションドラマを見るよりよっぽど面白いことがわかった。

持ち株は3年3ヶ月の保有でテンバガーを達成した。今回の勝因は主に3つ。まず1つ目はビジネスモデルが強かったこと。この会社は「10倍株候補の条件」「優良企業の条件」「最強のビジネスモデルの条件」をほぼ全て満たしていた。2つ目が人材が優秀だったこと。会社の成長は結局のところ人材によって決まるが、その人材が極めて優秀だった。そして3つ目が運になる。地合いや内部事情はよくわからないところも多いので、運の要素も大きかったのではないかと思う。

ただ現在の株価に割高感があることは否めない。PSR(株価売上高倍率)は45倍もある(トヨタは0.9倍、米アルファベットは6倍、エムスリーは20倍、米ドキュサインは26倍)。株価は「EPS(業績)×  PER(期待度・人気度)」で決まるが、この会社の業績はこの4年間で3倍くらいの拡大なので、残りはすべて期待や人気が押し上げたことになる。

株価は長期的には業績と連動していくので、期待や人気で押し上げられた分は不安定要因になりやすい。現在の株価は長期で見れば通過点に過ぎないとは思うが、今後しばらくは不安定な展開が続くのではないかと思う。

6/1の日経に「弁護士が相談者とビデオ通話」という記事があった。小さな記事だったが、これはなかなか画期的なことのように感じた。いよいよ「専門家が身近」になってきたように感じる。

今後3年の予想売上高成長率は年率30%程度。現在の妥当だと思える時価総額は1300億円(株価5800円、PSR25倍)程度。2030年の予想売上高は、売上高成長率が年率25%の場合は400億円、年率35%の場合は860億円。2030年の予想時価総額は4000~8000億円。

■ペプチドリーム
基本シナリオ:最強のペプチド創薬プラットフォームに
事業計画には今期2~6つの候補化合物が臨床試験入りする予定とあったが、4/23の日経に、「コロナの影響で新規治験中止広がる」とあったので、予定通り治験入りできない可能性が出てきた。仮に治験が止まった場合は特許の有効期間が短くなるという問題も出てくる。

ペプチドリームの空売りレポートを出した米マディ・ウォーターズがラッキンコーヒーの会計不正を暴いた(4/4日経)。昨年12月には英フィナブラーと英NMCヘルスの不正も暴いている。ペプチドリームが不正をしているとは思わないが、マディは侮れない存在だということがわかった。

米メルクと対コロナ薬を開発すると発表した。今回のコロナには間に合わないかもしれないが、将来的に発生し得るコロナに対しても有効性が期待できるようなので(6/11ロイター)、なかなか良さそうだと思った。

今後3年の売上高成長率は年率20%程度。現在の妥当だと思える時価総額は5000億円(株価4000円、PER100倍)程度。2030年の予想利益は、売上高成長率が年率20%なら300億円、年率30%なら700億円。2030年の予想時価総額は2兆~5兆円。

■ステムリム
基本シナリオ:再生誘導医薬が再生医療の主役に
塩野義と提携拡大のIRが出て再生誘導医薬の評価が高まり始めた。

今後3年の予想売上高成長率は年率10%程度。業績が急拡大するのは早くても3年後。現在の妥当だと思える時価総額は1000億円(株価1800円)程度。

■ジモティー
基本シナリオ:最強の地元取引プラットフォームに
地元掲示板「ジモティー」の伸びしろはまだまだありそうだが、いくつかの問題点もある。ぱっと思いついたものを書いていく。
・コロナで広告需要が減る。ジモティーの収益の柱は広告収入になるが、それがコロナの影響で落ち込みそう。業績は期初の計画よりも最大で20%くらい落ち込む可能性がある。ただ、在宅勤務や余暇時間の増加、金欠などでアクセス数・投稿数は増えそうでもある。長期的にはプラットフォームが地域に根付くことの方が重要なので、コロナは全体的に見るとプラス作用の方が大きいのではないかと思う。
・対面取引が面倒。ジモティーで取引する場合は、わざわざ相手に会わないといけないので面倒。若い人の利用が少ないのはおそらくそのため(コアユーザーは40~50代)。コロナの感染拡大が起これば対面取引は敬遠されそうでもある。
・必用なものがすぐに手に入らない。ジモティーで取引するのは地元だけなので、なにか必用なものがあっても検索して見つかる可能性はほとんどない。よほど暇な人でない限り利用しなさそう。
・犯罪の温床になりそう。ジモティーが取引を保証しているわけではないのでトラブルが起こる可能性が少なからずある。メルカリなどの競合がこの分野から撤退したのはおそらくそのため。ただジモティーは10年近くこの事業をしているので、ここら辺のノウハウは蓄積されていそうでもある。ドコモのdサービスと連携しており、ドコモが大株主になっているのでなんとなく安心感もある。
・妥当な時価総額がいまいちよくわからない。ナスダックに上場する同類の企業、58.comは好業績にもかかわらずPSRが4~5倍くらいしかない。これは犯罪リスクなどで株価がディスカウントされているためかもしれない。となるとジモティーも今くらいのPSR5~6倍が妥当な水準なのかもしれない。
・地合いが微妙。金融バブルは当面続きそうな雰囲気もあるが、肝心のファンダメンタルズが悪いのでなんともいえない。マザーズに関しては過熱感があるので、そろそろピークアウトしそうでもある。
・ロコガイドがライバルに浮上する可能性がある。先日上場したロコガイドはスーパーの電子チラシを閲覧するアプリなどを提供する会社だが、ロコガイド=「ローカル(地域)のガイド」であるように、今後は地域全般の情報を扱うようになる可能性が高い。経営者はカカクコム元社長の穐田誉輝氏であり、上場時に120億円を資金調達しているので、ジモティーを猛追してくる可能性がある。*ジモティーも1月に上場して資金調達をしているが、この上場はベンチャーキャピタルのイグジットを目的としたものだったので、資金調達は5億円くらいしかしてない。
・社長は株式市場への理解がない?社長は株式上場後に「自社の戦略を話す必要はない」として記者会見を行っていないが(3/4日経)、こういうスタンスではプロは買ってくれないのではないかと思う。もしかすると社長には株式市場への理解が不足しているのかもしれない。ただこの会社にはベンチャーキャピタルの資金が大量に入っており、筆頭株主のオプトとの関係も冷めたもののようなので(1/31日経)、社長は投資家(資金調達)に対してなにかトラウマのようなものを抱えているのかもしれない。

今後3年の予想売上高成長率は年率20%程度。現在の妥当だと思える時価総額は150億円(株価2700円、PSR10倍)程度。2030年の予想利益は現在の5倍くらい。

■eBase
基本シナリオ:最強の商品情報管理プラットフォームに
5年で2倍の株価を目指していたが、わずか半年でその目標を達成してしまった。全く買えてないので微妙な心境だが、とりあえずは喜んでおきたい。今回この会社や弁護士ドットコムを見ていてわかったのは株価は業績よりも地合いや人気で大きく動くということ。今後はその点も考慮して銘柄分析していこうと思う。

今後3年の予想売上高成長率は年率10%。現在の妥当だと思える時価総額は400億円(株価800円、PSR20倍)程度。2030年の予想利益は現在の3倍くらい。
*PSR算出で使う売上高は、「商品情報管理プラットフォーム事業」の売上高だけ。

■チームスピリット
基本シナリオ:最強の業務管理クラウドソフトに
クラウドソフト「TeamSpirit」はリモーワークに完全対応しているのでコロナ下でも順調に成長していけそう。この会社は1月30日から全面的にリモートワークにシフトしているので、今後もこの分野の機能が強化されていきそう。

ただ、このままリモートワークに全面的に移行したままでもよいのかという疑問もある。

リモートワークには、「仲間が毎日同じ場所で働いていないと不一致が生まれやすい」(ピーター・ティール)という欠点があるが、もともと不一致気味だったチームスピリットでは余計に不一致が生じてしまうのではないかという懸念がある。

また
「ホワイトボードの前で同僚とアイデアを出し合うことが、新しいことを始めるのに役立つと感じるようになった」(米ボックス社長)

「いろんな人とコーヒーを飲み、食事をとりながらオープンな態度で多くを話せば無限にアイデアは出てくる」(ファーウェイ会長)

「対面での接触が簡単だと知識の共有がすすみ利益を生み出しやすくなる。都市が発生した要因はこれだ。だからこそホワイトカラーが担う産業では集積度の高い方が収益性は高くなる。真の付加価値はデジタルでは置き換えられない対面接触で生まれている。むしろデジタル化が加速したことで都市に集積するメリットは高まっているとさえいえる」(BNPパリバ・チーフエコノミスト、河野隆太郎)

とあるように、創造性を高めるためにはオフィスワークが必須のようにも見える。

5月には資生堂が「TeamSpirit」を導入し、足下の業績は好調のようだが、長期では技術革新が停滞し競争力が落ちていく可能性もある。とりあえずもうしばらくは様子見を続けようと思う。

今後3年の予想売上高成長率は年率30%程度。今年の妥当だと思える時価総額は260億円(株価1600円、PSR10倍)程度。2030年の予想利益は現在の5倍くらい。

■今後の計画
株式市場は米金融政策(量的緩和)との相関が強いが、足下では世界中で大規模な金融緩和がされているので、株式市場ではちょっとしたバブルが形成されつつある。FRBなどは今後もコロナ制圧を最優先にして、金融市場や経済を全面的にバックアップしていく方針のようなので(4/10日経)、今後さらにバブルが膨らんでいく可能性がある。

とはいえ、ファンダメンタルズはかなり悪いので、今後株式市場が大きく下げても全く不思議ではない。

地合いの予想は難しいので、とりあえずは「強そうな銘柄を買って保持する」というスタンスでいこうと思う。

ステムリム

■調べようと思ったきっかけ
この会社は昨年8月のIPO時から知っていたが、当時はプロ(製薬会社や機関投資家)の評価が低く、売り圧力が強かったので投資は見送っていた。

しかし3月にエムスリーを調べているときに、エムスリーがステムリムに出資していたことがわかり再び興味が湧いた。改めて調べてみると1月に再生誘導医薬のPoC(Proof of Concept)を取っており、インサイダー(提携先の塩野義とステムリム)が株式を買っていたので良さそうだと思った。

■どんな会社か
再生誘導医薬を研究・開発する会社。再生誘導医薬とは患者の骨髄にある幹細胞を損傷部位に誘導する薬剤で、患者は自分の幹細胞を使って損傷部位を治すことができる。現在、再生誘導医薬を手がける会社は他にはなく、世界主要国で基本特許を抑えている。

収益モデルは開発品を製薬企業に導出(ライセンスアウト)して稼ぐモデルで、治験の進捗に従いライセンス収入が増えていく。治験費用がそれほどかからず早期承認を得やすい希少疾患は自社で開発を手がけることもある。

これまでの業績は
2017年7月期が、売上高3億円、営業損失1億円
2018年7月期が、売上高2億円、営業損失3億円
2019年7月期が、売上高1億円、営業損失7億円
2020年7月期が、(予)売上高4億円、(予)営業損失11億円
になる。赤字が続いているが手元資金が90億円以上あるので資金面の心配は当面ない。来期あたりに黒字転換する予定。

*追記。6月30日に上方修正しており、2020年7月期の業績予想は売上高21億円、営業利益4億円になる。

<再生誘導医薬のConcept>
体は損傷を受けると細胞の核内にある核タンパク(HMGB1)が血液中に出てくる。この核タンパク(の一部)がSOS信号になり、体が損傷を受けたことを骨髄に知らせる。骨髄はSOS信号を受け取ると、骨髄の中にある幹細胞を血流に乗せて損傷部位へ送り出す。損傷した組織の周囲は低酸素状態になっており、血管からはSDF-1αというケモカイン(サイトカインの一種)が出ている。骨髄から送り出された幹細胞はこれを目印にして集積し、そこで必用な細胞に分化して組織の再生を行う。

核タンパク(HMGB1)はAボックス、Bボックス、テールの3つの部分で構成されており、Bボックスは炎症反応を誘導する部分、AボックスはSOS信号を発する部分になる。再生誘導医薬はこのAボックスのアミノ酸配列を化学合成したもの(ペプチド)で、これを静脈注射(点滴)して骨髄にSOS信号を送る。誘導薬は役割を果たした後は体内で速やかに分解され、損傷部位に集積した幹細胞は長期にわたってその効果を発揮し続ける。
*これまでHMGB1は炎症反応を誘導するだけのタンパクと考えられていた。

<再生医療と再生誘導医薬の違い>
再生医療は患者の体内から細胞を取り出して培養し、それを体内に戻して損傷箇所を回復させる治療法になる。再生医療は自分の細胞を使うため免疫拒絶が起こらず、臓器提供者を待つ必要がないというメリットがある。しかしオーダーメイド医療のため、高いコストがかかる。またES細胞を使った再生医療では倫理的な問題が、iPS細胞を使った再生医療ではガン化リスクの問題がある。

再生医療には体外で培養した幹細胞を患部に注射する細胞治療もある。ここで培養される幹細胞は中胚葉由来のものになるが、中胚葉由来の幹細胞は分化できる細胞が少数に限定されるという問題がある。また体外で幹細胞を培養すると幹細胞に本来備わっている5つの能力(細胞遊走能、免疫調節能、トロフィック能、線維化調節能、組織再生能力)のうち、3つの能力(細胞遊走能、線維化調節能、組織再生能力)が失われるという問題もある。そのため治療に期待される効果は炎症抑制(免疫調節能)と残存する細胞への成長促進作用(トロフィック能)だけになる。治療部位は局所に限定される。

再生誘導医薬は誘導する幹細胞が外胚葉由来のものなので分化できる細胞が多岐にたわる。また幹細胞を体外に出さないので、幹細胞に備わっている5つの能力は全て保持される。骨髄から送られる幹細胞は血流に乗って全身を移動することがでるため(細胞遊走能)、広範囲の病変に対して効果を発揮できる。他には、副作用が起こりにくい、低侵襲(外科手術の必用がない)、製造コストが安い、品質管理が容易などのメリットがある。

■成長ストーリー
「再生誘導医薬が再生医療の主役に」が基本シナリオ。

ステムリムが開発している薬剤で今最も開発が進んでいるのが表皮水疱症向けになるが、この疾患の患者数は国内で1000名程度のためマーケットは小さい。今後は表皮水疱症の研究で得られた知見を他の疾患へ応用していくのが業績拡大の基本シナリオになる。

幹細胞を動員して組織を修復するメカニズムは皮膚だけでなく、他の組織にも共通しているので、組織損傷に関わる全ての疾患がターゲットになる。

表皮水疱症の次に開発が進んでいるのが急性期脳梗塞向けで、患者は国内に年間約16万人いる。脳梗塞は発症から4時間半までは血栓溶解剤が使えるが、それ以降は有効な治療法がないという問題がある。再生誘導医薬は血栓溶解剤が使えなくなった発症後4時間半~24時間をターゲットにしており、現在フェーズ2の臨床試験が行われている。

今年中に肝硬変(患者数50万人)、心筋症(170万人)、変形性膝関節症(800万人)の治験申請(フェーズ2から)が予定されている。

ステムリムが手がけるプロジェクトは主に5つのカテゴリーに分類される。それらを1つずつ見ていく。

まず1つ目がHMGB1ペプチド薬剤になる。これは上記にあげた5疾患の薬剤で、適応症は他に、骨髄損傷、ALS、難治性皮膚疾患、外傷性脳損傷などがある。

2つ目がHMGB1以外の誘導ペプチドになる。骨髄から幹細胞を誘導するペプチドはHMGB1だけでなく、他に10種以上あることがわかっている。これらをHMGB1ペプチドのような形に化学合成して静脈投与する。適応症にはアトピーや潰瘍性大腸炎などがある。

3つ目が誘導ペプチド +「目印物質」の併用療法になる。損傷組織が小さい患部では誘導される幹細胞の目印になるSDF-1αの分泌量が少なく、幹細胞が集まりにくいという問題がある。このような場合に、再生誘導医薬を投与しつつ、患部周囲に目印となる薬剤を投与することで、損傷箇所をピンポイントで治療できるようにする。SDF-1αは不安定な物質なのでこれ自体を作ることは難しいが、これ以外にも幹細胞を引き寄せる生体内タンパクは複数存在しており、これらをタンパク製剤にして局所投与する。この治療法は応用範囲が広いので、おそらくこれが中長期のメインプロジェクトになる。

4つ目が自己幹細胞採取デバイスを使った治療になる。このデバイスはボタンのような形をしたシリコン製のもので、そのデバイスの中に幹細胞を引き寄せる物質を入れて体内に埋め込む。幹細胞が十分に集まったところでそれを取り出して、患部に移植し、皮膚や骨、軟骨、筋肉、腱などの再生を促す。このデバイスは医療機器に分類されるので臨床試験はフェーズ1くらいで済む。

5つ目が幹細胞に欠損した遺伝子を導入する遺伝子治療になる。この治療法では遺伝病の根治が期待でき、表皮水疱症のマウスを使った実験ではすでに効果が確認されている。ただし、この治療法は再生誘導医薬とは関係のない、ただの遺伝子治療になる。

ステムリムに在籍する研究者は上場時の11名から現在は34名(うち博士14名)まで増えており、今年6月には阪大の敷地内に約1500平米の研究施設を設けているので、研究開発能力は増しつつある。

再生医療の市場規模は、経産省の予測では、2020年に国内が950億円、世界が1兆円、2050年に国内が2兆5千億円、世界が38兆円になる。

■問題点
・患者数の多い新薬はレッドオーシャン市場
再生誘導医薬を手がける会社は他にはいないが、ステムリムが開発を進める薬剤では競合する薬がいくつもある。例えば、急性期脳梗塞向けではティムスのSMTP化合物あたりが、血栓溶解剤の次の標準薬になりそうな気配がある。変形性膝関節症ではセルソースが脂肪細胞由来幹細胞を使った再生医療品をすでに販売しており、売上を伸ばしている。心筋症や肝硬変など患者数の多い他の疾患でも新薬を開発している会社は多く、そこで勝ち抜いていくのは至難の業になる。

・プロが買ってない
レッドオーシャン市場で勝ち抜けるかどうかを素人が判断する際に、最も大きな判断材料になるのがプロ(製薬企業や医療系ベンチャーキャピタル)が買っているかどうかになるが、現時点では塩野義くらいしかステムリム株(もしくは技術ライセンス)を買っていない。医療系IT企業のエムスリーも買ってはいるが、投資責任者の梅田氏は医療の専門家というわけではないので、あまり参考になりそうにもない。現状では心許ない感じがする。

・再生誘導医薬にも副作用があるかもしれない
再生誘導医薬は自分の幹細胞を使うので副作用が起こりにくいとされているが、メカニズムがまだ完全に解明されたわけではないので今後何らかの副作用が判明する可能性がある。

再生誘導医薬は骨髄から幹細胞を引き出すものだが、骨髄から幹細胞を引き出しすぎると何か別の問題が起きないのかという疑問がある。また骨髄から送り出された幹細胞が目的以外の部位でなにか問題を起こさないのかという疑問もある。

・薬剤が効かない人もいる
表皮水疱症の臨床試験では9症例中7症例が改善しているが、2症例は効果無しとなっている。それと治験の症例数が少なすぎるという問題もある。

・コロナの影響を受けるかもしれない
コロナ感染が拡大すると臨床試験どころではなくなるので、コロナ次第では研究開発が大きく遅れる可能性がある。また遅れた場合は特許の有効期間が短くなるという問題も出てくる。

ただ、再生誘導医薬の臨床試験は現在、コロナの影響が比較的少ない日本でのみ行われており、再生誘導医薬は短期に集中して投与するタイプなのでコロナの影響を受けにくそうでもある。また急性期脳梗塞や心筋症などは緊急性が高いため、その意味でも治験を続けやすそうにみえる。

・増資リスクがある
ステムリムは上場時に資金調達に失敗しており、調達額は当初計画した約180億円から80億円に減っている。そのため研究施設や動物実験施設の建設が頓挫している。現在、研究施設の方は阪大内に物件を見つけられているが、動物実験施設の方は再び建設する流れになってきている。上場時の計画では動物実験施設の建造に70億円を費やす予定だったので、今後資金調達する可能性がある。大がかりな動物実験施設を作った場合は動物愛護団体から抗議を受けるリスクも出てくる。

・経営陣のキャラが薄い
決算説明動画を見ると社長は誠実そうには見えるが、オーナー経営者にみられるような独特の迫力がない。会長に至っては過去の経営者としての実績が芳しくなく、上場時に持ち株を売り抜けようとしていたので印象はあまりよくない(会長は高齢のため株を売ろうとしたのは致し方ないと今では思う)。それとステムリムはグローバル展開を目指しているようだが、経営陣の国際色が薄いようにもみえる。

・利益が急増するのはしばらく先
マイルストーン収入により来期あたりに黒字転換するかもしれないが、大型薬が販売されるのは早くても3,4年先なので、利益が急増するのはそれからになる。

・地合いが悪い?
マザーズ市場は足下ではやや過熱感があり、長期チャートでは下方トレンドに入っているようにみえる。ステムリム株は今後地合いとの戦いになる可能性がある。ただ、ステムリム株はマザーズの地合いとはシンクロしてないようなので、この点はそれほど心配しなくてよいのかもしれない。
*「金融バブル」により、地合いもそれほど問題にならないかもしれない。

<マザーズの5年チャート> 長期線(赤線)が下向きになっている。この赤線が天井になりそう。

<マザーズの10年チャート> 長期線がデッドクロスしている。紫線が天井になりそう。

<マザーズとステムリムを比較した1年チャート>
ステムリム株はマザーズと連動していないのがわかる。
*4月にステムリム株はマザーズと連動して急上昇しているように見えるが、ステムリムが急騰したのは大きな材料が出たため。


■ビジネスモデルの強度 ★★★☆
・参入障壁は高いか ★★★★☆。ニッチ市場で基本特許を押さえているので参入障壁は高い。
・ストック型ビジネスか ★★★。薬剤投与は短期集中型なので基本的にはフロー型になる。*表皮水疱症のような慢性疾患においてはストック型になる。
・時流に乗っているか ★★★。薬効が高く、薬剤を低コストで作れて副作用がほとんどないというのは今どきだが、臨床試験に成功しなければ時流に乗ることはできない。

■チャート
<5月22日時点の1年チャート>
底打ち
三角持ち合い
ゴールデンクロス
累積売買高的には今が底
半値戻し達成
一目均衡表(日足)では雲抜け
ただし900円台に「壁」がある。

<現在の1年チャート>
ロケットが発射されたもよう。


■まとめ
再生誘導医薬がレッドオーシャン市場を勝ち抜けるかどうかはわからないが、再生誘導医薬のコンセプトは有望そうに見える。再生誘導医薬の生みの親である玉井教授は「HMGB1は抗生物質に例えれば発見されて間もないペニシリンみたいなもの」と言っているが、もしこれが本当ならとんでもないことになる。

再生誘導医薬の可能性とPoCを取れていることを考慮すると現在の妥当な時価総額は1000億円(株価1800円)くらいはあるのではないかと思う。


・・6/6の日経で個人投資家の”バイオマスター”がステムリムを買っていたことがわかった。面白い展開になってきた。

eBASE

■どんな会社か
商品情報管理プラットフォームとITアウトソーシング(ソフトウェアの受託開発など)を手がける会社。両事業の売上高比率はだいたい半々で、事業は国内のみで運営。

2020年3月期の業績の内訳は
商品情報管理プラットフォーム事業(eBASE事業)の売上高が20億円(前年比10%増)で、経常利益は10億円。
ITアウトソーシング事業(eBASEプラス事業)の売上高が23億円(前年比3%増)で、経常利益は3億円。
トータルの経常利益率は30%程度。

2021年3月期の業績予想はコロナの影響により未定。

■成長ストーリー
「最強の商品情報管理プラットフォームに」が基本シナリオ。

インターネットによる「情報爆発」により現在、消費者のニーズは多様化・高度化しており、それに伴い製品数やそれに付随する情報は増え続けている。一方で、日本は少子高齢化により労働人口の減少が続いており(2019年に外国人労働者が20万人日本に入国しているが、このペースでも労働人口の減少は続くとされる)、各社がこれら製品情報を逐一入力していくのは非常に困難な状況になりつつある。eBASEのシステムを導入すればこの手間を省けるので、今後もeBASEのシステム需要が高まっていく可能性は高い。

現在、eBASEのプラットフォームが最も浸透しているのは食品業界になる。食品スーパー売上高上位50社のうち31社がeBASEのシステムを導入しており、すでにこの業界ではデファクトスタンダード(事実上の標準)になっている。2020年4月には食品表示法が改正されアレルゲンや原材料情報の表示が厳格化されたので、今後もeBASEのシステムを導入する流れは続きそう。ただ、すでに市場の大半を抑えてしまっているので成長余地はあまり残されていない。そのため今後の主なターゲットは食品以外の業界になる。

eBASEのプラットフォームは日用雑貨、文具、家電、市販用医薬品、調剤薬局用医薬品、住宅部材、工具などの業界でも普及しはじめており、その中でも掃除用品やカー用品などを扱う日用雑貨業界向けは特に伸びている。この業界向けの売上高は前期に食品業界向けを超えており、この市場は大きいので今後も当面この勢いが続く可能性は高い。

次いで伸びているのが住宅部材(サッシ、トイレ、キッチンなど)業界で、同システムを導入すればデータ管理が楽になるだけでなく、リフォーム現場で即座に部材の発注ができたり、住宅メーカーと部材メーカーが即座に情報交換できたりするので、システムの普及は順調に進んでいる。

そして今後の新たな成長ドライバーにしようとしているのが、付加価値をつけたデータの販売になる。eBASEが持つデータベースとPOS(販売時点情報管理)データなどを組み合わせ、それをAIなどで分析すれば新商品の提案や各店舗の個別化を図れるようになるという。今年1月には自動発注システムを手がけるシノプスと業務提携。シノプスの持つ需要予測システムとeBASEの商品情報を掛け合わせれば、需要予測の精度をさらに高められるという。

eBASEプラス事業(ITアウトソーシング事業)の方はほぼ横ばいの業績が続いており、今後も穏やかな成長を続ける予定だという。eBASE事業へエンジニアを回す案もあるらしい。

■問題点
・成長力がやや弱い
ビジネスモデルは強固だが、売上高の伸びがやや弱い。過去5年の決算資料を見ると前期比で10%以上伸びている期がない。ただ市場の開拓余地はまだまだありそうなので長期の成長は期待できる。

・景気後退の影響を受けやすい?
eBASE事業はストック型のビジネスモデルのように見えるが、この事業の収益構造は継続課金で稼ぐというよりも、システム導入時に大きく稼ぐモデルなので、景気後退期は設備投資の減退からシステム導入が減る可能性がある。ただ、eBASEのシステムを導入すれば中長期的にコストを大幅に削減できるので、景気後退期でもそれほど引き合いが減らない可能性もある。

eBASEプラス事業(ITアウトソーシング事業)の方も景気後退による投資抑制の影響を受けるかもしれないが、デジタルシフトは今のメガトレンドなのでこちらの事業もそれほど落ち込まない可能性もある。

・社長ががめつい?
この会社は以前インフォマートのシステムを受託開発しているが、システム納品後、しばらくしてから、「システムの著作権料を払え」と訴訟を起こしている(後に棄却)。訴訟を起こしたタイミングがインフォマートの事業が急拡大し始めたころなので、訴訟のきっかけは社長の「嫉妬」の可能性がある。

インフォマートのシステムはeBASEのシステムとよく似ており、eBASEのエンジニアがインフォマートのシステム開発を主導した面も大きそうなので、eBASE側の主張もあながち無理なものとは言えないのかもしれないが、それでも契約にないものを後で要求するのは問題があるように思う。

ただ、もしここに書いたことが事実で、社長が嫉妬深い性格だったとしても、その性格によって強靱なビジネスモデルが構築されたという面もありそうなので、必ずしも悪い性格とは言い切れないのかもしれない。

・小売り業は淘汰が進んでいく
足下ではドラッグストアなど小売業の淘汰が進んでおり、国の生産性を高めるためにもそれは必用だとは言われているが、eBASEの顧客数が減るという側面もある。ただその場合はシステム使用料を従量制にすれば問題ないのかなとも思う。

■利益成長を続けやすいビジネスモデルか ★★★★
*eBASE事業のみを分析
・参入障壁は高いか。★★★★☆。eBASEの商品情報管理プラットフォームは競合がほとんどいないため参入障壁は高い。システム使用料を非常に安い価格に抑えているので競合も現れにくい。独SAP系のハイブリスも似たようなシステムを提供しているが、猟場がだいぶ違うようなので問題なさそう(要調査)。
・ストック型ビジネスか。★★★☆。プラットフォームを継続的に使ってもらうビジネスモデルなのでストック型には見えるが、システム導入時に大きく稼ぐモデルなので、ストック型収益は全体の4割くらいしかない。
・時流に乗っているか。★★★★★。クラウドによるデータの一元管理(共有化)はメガトレンド。

■チャート
過熱感はあるが、特に問題はなさそう。

■まとめ
成長力は穏やかだがビジネスモデルは強く成長余地はまだまだ残されている。株価が大きく下がることがあればもう少し買いたい。

有望株チェック

よく調べないで買った株は失敗することが多いので、これからはネチネチと調べてから買うことにする。

■10倍株候補
<10倍株候補の条件は>
 ・上場4年以内の若い会社
 ・社長が若くやり手
 ・オーナー企業
 ・時価総額300億円以下の小型株
 ・長期的なテーマに合っている
 ・急成長している
 ・(IPOから時間が経過し、株価が右肩下がりになっているチャートが狙い目)

(今のところ候補はなし)

■優良銘柄(株価が急落したときに買いたい銘柄)
<優良銘柄の条件は>
 ・参入障壁が高い
 ・ストック型ビジネスを手がける
 ・時流に乗っている
 →業績が落ちにくく、利益成長を続けやすいビジネスモデル

・エムスリー
基本シナリオ:医療分野をITで変革し最強のプラットフォーマーに
医療分野で独占的なプラットフォームを築いている。事業カテゴリーはMR事業、治験事業、人材紹介事業、複数の新規事業、海外事業の5つあり、それらすべてが順調に伸びている。国内のMR事業(医薬品情報サイト事業)だけでもあと5倍の成長余地があり、他の事業もまだまだこれからといった感じ。2030年の予想利益は現在の4~6倍くらいになりそう。チャート上の底値(買い場)は2500円くらいか。

コロナの影響について。治験事業や人材紹介事業は負の影響を受けそうだが、それ以外はコロナで伸びが加速しそう。

・リクルート
基本シナリオ:多数の独占型プラットフォームで安定成長&株主還元
元祖プラットフォーマーのリクルートは、人材、住宅、飲食、美容分野などで多数の市場独占型(寡占型)プラットフォームを構築している。中でも最も勢いのあるのが人材マッチング・プラットフォームのインディードで、20年3月期の売上高成長率は30%に達する。この分野の市場規模は16兆円超あり、インディードの売上はまだ4000億円に過ぎない。リクルートは2030年までにこの分野で世界トップになることを目指している。ただ会社全体の売上高成長率は年率6%程度なので急成長企業とはいえない。また人材関連事業が売上高の7割を占めるているので景気後退の影響を受けやすいという問題もある。2030年の予想利益は現在の3倍くらいになりそう。チャート上の底値は2800円くらいか。

コロナの影響について。ほぼ全ての事業が負の影響を受けそう。ただ長期の成長シナリオは不変。

<インディードの求人件数の推移>
5月 米国 2,417,960 日本 2,543,350
6月 米国   2,590,324 日本 2,501,261
7月 米国 2,891,732 日本 2,564,810

・カカクコム
基本シナリオ:多数の独占型プラットフォームで安定成長&株主還元
価格比較の分野で独占的なポジションを築いている。「価格コム」の成長は頭打ちだが、「食べログ」や、新規メディア事業の「高速バス比較ナビ」「価格コム保険」「ガイエ(映画等のプロモーション事業)」などが今後の成長ドライバーになる。2030年の予想利益は現在の2~3倍くらいになりそう。チャート上の底値は2000円くらいか。

ここもコロナの影響を多大に受けそう。ただ低コスト・高収益なビジネスモデルなので、黒字は維持できそう。

・GMOペイメントゲートウェイ
基本シナリオ:最強の電子決済代行プラットフォームに
電子決済代行で最も勢いのある会社。日本のEC化率はまだ7%程度なので、成長余地はまだまだある。2030年の予想利益は現在の3~4倍くらいになりそう。チャート上の底値は8000円くらいか。

コロナの影響について。この会社はコロナを追い風にして成長を続けそう。

・インフォマート
基本シナリオ:企業間取引の基幹プラットフォームに
現在インフォマートのプラットフォームを利用する会社は約43万社あり、その大半が請求書プラットフォームを利用している。請求書事業の売上高比率は全体の2割程度だが、この事業の成長余地はあと3倍はあり、そこで培ったネットワークやデータを活かした新規事業も期待できる。2030年の予想利益は現在の3~4倍くらいになりそう。チャート上の底値は600円くらいか。

コロナの影響について。主業である食材受発注事業はコロナの影響を多大に受けそうだが、請求書事業の方は伸びそう。全体で見れば「対コロナ」になりそう。

・鎌倉新書
基本シナリオ:終活領域をITで変革し最強のプラットフォーマーに
葬儀分野のカテゴリーキラー。日本では今後さらに高齢化が進んでいくので事業環境は良い。マッチングさせる商品には墓、葬儀、仏壇、相続関連などがあり、今後は各サービスのクロスセルを増大させていくという。市場シェアはまだ3%以下なので成長余地は大きい。2030年の予想利益は現在の5~7倍くらいになりそう。チャート上の底値は1000円くらいか。

・メニコン。コンタクトレンズのサブスク(定期購買)サービスを手がける会社。製品ラインアップの拡充や販売地域の拡大によりサブスク会員は順調に増えており、生産の効率化で利益率も向上している。海外売上高は全体の1割程度で、こちらもそこそこ順調に伸びている。

3月にコンタクトレンズの巨大工場が完成し、生産量が倍増したので成長が加速しそう。新工場では製造設備のみならず倉庫も自動化されているので利益率はさらに高まりそう。2030年の予想利益は現在の3~4倍くらいになりそう。チャート上の底値は4000円くらいか。

■コロナ収束後に買いたい銘柄
*今回のコロナで多額の借り入れをするところは回復が遅れるので、財務状態の良い会社が投資対象になる。

業績が回復していく順番は
・求人広告会社:リクルート
・製造業:
・鉄道会社:
・国内旅行会社:
・宿泊会社:
・不動産会社:
・飲食店:カカクコム
・興業会社:ブシロード
・エネルギー企業:
・航空会社:
・海外旅行会社:
・クルーズ旅行会社:

■景気敏感株
景気敏感株は景気拡大期のパフォーマンスが非常に良いのでこちらもチェックしていく。

<仕込むタイミングは>
・IMFの世界経済成長率予測が底打ち
・OECDの景気先行指数や、中国やグローバルの製造業PMIが底打ち
・台湾の電子・情報通信機器の輸出受注や半導体指数が底打ち

<半導体株>
半導体企業はデジタル革命の影の主役なので長期的な上昇トレンドが期待できる。
・信越化学工業、ディスコ、サムスン、アルファベット・・。

<景気敏感株>
・日進工具・・。

■観察中の銘柄
・パークシャテクノロジー
基本シナリオ:最強のAIアルゴリズムベンダーに
株価は回復しているが、第二四半期決算も第一四半期決算と同様にコア事業のAIアルゴリズム事業が伸びていなかった(利益は減少)。株価は「対コロナ」を意識して上がっているようだが、業績の裏付けがないので株価は今後下方に触れやすそう。昨年買収した駐車場事業は減損しそう。投資回収期は2023年頃からになるので、それまではしばらく様子見。

■今後調べる予定の銘柄候補

<2017年に上場した会社>
・オロ。クラウドERP(基幹業務システム)を開発している会社。導入コストが従来のERPよりも圧倒的に安いので中規模の会社で普及が進みそう。
・マネーフォワード。経営者ができそうな感じ。ただ時価総額が大きく、ニッチトップでないのが問題。家計簿アプリではトップになれそう。
・ウェルビー。敏腕ファンマネ・北原氏が長期で保有している銘柄なので有望そう。ただコロナで障害者雇用はしばらく厳しくなりそう。
・マクロミル。ネット調査首位級で業績もそこそこ堅調なのに売られ続けている。株式需給あたりに問題があるのだろうか。コロナの影響はそこそこ受けるもよう。ただ時価総額300億円(株価750円)以下の現状は割安感がある。
・ジェイエスビー。学生向け不動産の物件管理などをしているストック型ビジネスモデルの会社。ただ独自性は薄く成長は穏やか。
・casa。デジタルを駆使した家賃保証サービスを手がける会社。ここもストック型ビジネスモデルっぽい。
・ウォンテッドリー。リンクトイン日本版みたいな会社か。株式の約7割を保有する女性経営者がなにか仕掛けてきそう。コロナ後が買い場になりそう。
・テンポイノベーション。付加価値を高めた居抜き物件を提供する会社。利益率が高いので良さそうだったが、しばらくはコロナで厳しそう。
・シルバーライフ。高齢者向けの弁当宅配をする会社。栄養バランスの取れた冷凍弁当などの需要が伸びている。ただ参入障壁が低い。
・ビジョナリーホールディングス。2019年12月にエムスリーが30億円出資し筆頭大株主になった会社。エムスリーと共同で次世代型のメガネ屋をつくるとのことなので期待できる。

<2018年に上場した会社>
・ZUU。社長の著作がなかなか面白かった。ただビジネスモデルは少し弱そう。
・ロジザード。クラウド在庫管理システムを提供する会社。ストック型ビジネスモデルだが売上の伸びがやや弱い。
・GAテクノロジーズ。中古不動産取引プラットフォームを運営する会社。売上高が急速に伸びている。社外取締役にプレステの生みの親である久夛良木氏がいるのが気になる。
・アクリート。ショートメッセージ配信代行サービスを手がける会社。具体的に何をしているのかよくわからないが、業績は堅調に伸びており、ストック型のような収益構成になっている。
・シノプス。自動発注システムを手がける会社。今年1月にeBASEと業務提携している。伸びそうな業種だが、市場シェアは14%程度なので競合がたくさんいそう。

<2019年に上場した会社>
・スマレジ。POSレジのクラウドサービスを手がける会社。業績の伸びは順調だが、リクルートの「Airシリーズ」とバッティングしそう。
・カオナビ。顔写真を使う人材マネジメントシステムを提供する会社。リクルート系で、競合がいなさそうなのがいい。
・ミンカブ。「みんなの株式」や「株探」など個人投資家向けのメディアプラットフォームを運営する会社。個人的にはほとんど利用しないサイトだが、アクセス数や業績は順調に伸びている。
・日本ホスピスホールディングス。高齢化社会で伸びそうな名前。ただ自己資本比率が低く、投資負担の重い会社なので、増資が頻発しそうでもある。社長の商売っ気の強そうな顔と事業内容がマッチしないのも気がかり。
・Welby。医療系アプリを提供する会社。個人が記録した医療情報を医療関係者と共有して健康状態を管理できるアプリを提供している。伸びそうではあるが参入障壁が低そうでもある。
・トビラシステムズ。スマホ通話の課題をテクノロジーで解決する会社。オレオレ詐欺などの迷惑電話を自動的にカットするフィルターなどを提供している。法人向けのサービスも開始しており、開拓余地はまだまだありそう。
・サンサン。クラウド型の名刺管理サービスを提供。市場を独占しそうな雰囲気があるが、時価総額が大きすぎる。
・フリー。クラウド会計・クラウド人事ソフトを提供する会社。ここもマネーフォワードと一緒で時価総額が大きく、ニッチトップでないのが問題。
・ブシロード。新日本プロレスやバンドリなどキャラクタービジネスを手がける会社。タカラトミーを立て直したハロルド・ジョージ・メイ氏がプロレス会社の社長に就任したので伸びそうだが、コロナの影響をしばらく受けそう。
・ピー・ビーシステムズ。福証に上場するなんらかのクラウドシステムを提供する会社。業績の伸びや利益率が良く、社長が面白そうな感じ。
・サイバーバズ。インスタグラムのマーケティング支援をする会社。レッドオーシャン市場に見えるがサイバーエージェント系なので勝ち抜けそう。
・ギフティ。ギフト券の電子化を推進する企業。参入障壁の低そうな業態だが、営業利益率が30%以上あるので、もしかしたら競合がほとんどいないのかもしれない。
・HPCシステムズ。高性能コンピューターの導入を支援する会社。AI時代には伸びそう。
・HENNGE。各々のクラウドサービス(SaaS)のIDを一元管理するクラウドサービスを提供する会社。SaaSプラットフォームのような存在でもある。競合はいくつか存在するが、解約率は0.2%以下なので非常に強いストック型ビジネスモデルになる。業績は順調に伸びているので典型的な優良成長株になる。
・セルソース。脂肪細胞由来幹細胞を加工受託する会社。主に変形性膝関節症などの再生医療を手がける。ステムリムの競合会社。
・マクアケ。クラウドファンディングのプラットフォームを運営する会社。サイバーエージェント系なので詐欺に遭う心配はほとんどなさそう。競合は多いが最終的にはこことキャンプファイヤーあたりが生き残りそう。
・ランサーズ。フリーランス人材を斡旋するプラットフォーム「ランサーズ」を運営。今後はフリーランスが増えていくので、その流れに乗りそう。
・ユナイトアンドグロウ。中堅企業内でIT人材をシェアするサービスを提供している会社。変わった業態なので少し興味が湧く。
・ランディックス。東京の富裕層向けの住宅販売を手がける会社。顧客データに強みがあるらしく利益率は高い。業績も伸びている。しかしコロナで販売が落ち込みそうでもある。
・SREホールディングス。不動産仲介の取引データを分析したAIアルゴリズム機能を提供する会社。よくわからないがGAテクノロジーズみたいな会社だろうか?
・スペースマーケット。住宅や会議室など空きスペースのマッチングサイト(プラットフォーム)を手がける会社。コロナの影響で売上は落ちそうだが、ITプラットフォームなので打撃は小さそう。
・WDBココ。医薬品の安全性情報管理プラットフォーム?を手がける会社。業務内容がよくわからないが、利益率が高く売上も順調に伸びているので調べてみる価値はありそう。

<2020年に上場した会社>
・ジモティー。地元取引に特化したプラットフォーム「ジモティー」を運営しており、市場を独占している。収益の柱である広告はコロナの影響で減少しそうだが、長期的な見通しは悪くない。
・アディッシュ。SNSにまつわる課題を解決する会社。SNS監視などをしているので伸びそう。
・NexTone。音楽コンテンツの著作権管理プラットフォーム?を運営する会社。このプラットフォームは既存の著作権会社(JASRAC)が抱える課題を解消するもののようで、ストリーミング時代にはこういう会社は伸びそう。

*今回の調査に使ったサイトは96ut.com

月1社ずつ調べていく。調べる順番は10年後の業績が良さそうなところから。

マクロ系金融資産チェック

市場の仕組みを理解しやすい順番で見ていく。

■米長期金利 (保有資産:なし)
今後1年の予想レンジ:0%~1%の間で推移

長期金利に与える影響が大きい要因順に見ていく。
・経済成長率+インフレ率↓
米長期金利の基準値は経済成長率+インフレ率になるが、今後は両方とも低下傾向になる。米国の2020年の経済成長率は(予)-8%で、インフレ率はは(予)1%になる。
*数値はIMF予想。

・金融政策↓
FRBはコロナ対策で政策金利を下限(0~0.25%)まで下げており、長期金利も0%台に抑えようとしている。

・財政赤字の拡大↑
米政府は財政支出を拡大しており、今後も年金や医療、福祉などの社会保障費が税収の伸びを上回って増加していくので、長期的に財政赤字の拡大は続く。2018年から米国の財政赤字は年100兆円を超えはじめており、今年はコロナの影響もあり400兆円を超える見込み。財政赤字が拡大すると通貨の信認が失われ、海外の投資家が米国債を買わなくなる。

・リスクオン、オフ→
コロナの第2波懸念はリスクオフ要因になるが、政府と中銀が大規模な経済対策をしているので、総じて見ると若干リスクオン気味。

・利回り低下による米国債の人気低下↑
米10年国債の利回りは0%台なので海外からの米国債購入は減っている。

・資金需要の低下↓
第4次産業革命の主役はデジタル企業になるが、デジタル企業は設備投資のための資金需要がそれほど多くない。少子高齢化で住宅ローンなどの借り入れも減少している。

・潜在成長率の低下↓
生産性の伸び悩みで潜在成長率は長期的な低下傾向にある。

・トランプ大統領の介入↓
低金利好きのトランプ大統領はFRBへの口先介入のみならず、FRBへ緩和派の人間を送り込むなどして金融緩和圧力をかけ続けている。

・チャート
チャートは底抜け。しばらく停滞しそう。


■WTI原油 (保有資産:なし)
今後1年の予想レンジ:15ドル~45ドルの間で推移

原油価格に与える影響が大きい要因順に見ていく。
・産油国の採算ライン↑
サウジが財政均衡に必要な水準は1バレル83ドル、アラブ首長国連邦(UAE)は70ドル、イラクは60ドル、ロシアは42ドル、米企業の採算ラインは45ドルになる。3/10日経4/30 日経

・需要↓
原油の需要予測はIMFの世界経済成長率予想などを基につくられるが、2020年の予想世界経済成長率は-4.9%まで落ち込んでいる。コロナにより世界中で移動制限も実施されており、足下の石油需要は日量1000~2000万バレル減少している。
*平時の世界の石油消費量は日量約1億バレル。

今回のコロナショックでは職場や学校のリモート化が進んでおり、この変化は不可逆的なところもあるので、コロナが終息しても移動需要が元の水準に戻らない可能性が高い。

中長期的には再生エネルギーへのシフトや脱プラスチック運動などの需要を抑制する要因もあるが、人口増や世界経済の成長など需要を押し上げる要因もある。IEA(国際エネルギー機関)は2030年頃まで石油需要は増加を続けると予想している。

・供給↓
OPECプラスは協調減産を実施しており、それ以外の産油国も油価低迷で産油量を減らしている。

長期的には油価低迷や化石燃料への投資家圧力などにより新規の油田開発が停滞しているので、将来の供給を確保できなくなるリスクがある。
*現在ESG(環境、社会、企業統治)の観点を考慮しない企業は評価しないという流れになってきている。地球温暖化につながる化石燃料は環境リスクが高く、2019年3月には世界最大の政府系ファンド・ノルウェー政府年金基金が石油・ガス関連株の一部を投資先から外すという方針を示している。

・トランプ大統領の介入↑
米石油産業は1000万人の雇用を生む巨大産業であり、WTI価格が40ドル程度で推移した場合はシェール企業の4割が2年以内に破綻すると言われているので(6/30日経)、トランプ政権は原油価格が下がりすぎないような政策をとる。

一方で、原油価格が1バレル65ドル以上になるとインフレに上昇圧力がかかるので、インフレ上昇(金利上昇)を嫌うトランプ大統領は原油価格の上がりにくい政策をとる。

・産油国で不測の事態が起こる↑
米国は2019年1月にベネズエラ国営石油会社への制裁を決定した。ベネズエラの産油量は投資不足などもあり著しく低下している。

リビアでは内戦が激化している。生産設備の被害や輸送の寸断で一気に生産量が落ちる可能性がある。

米国は2019年5月にイラン産原油を全面禁輸することに決めた。その後ゴタゴタが続いていたが、現在はやや落ち着いている。

・リスクオン、オフ↓
金融環境的にはリスクオンだが、原油はコロナの影響を大きく受けるので全体で見るとリスクオフ気味。
*原油は株式と同じリスク資産になる。

・為替↑
原油はドル建てのためドル高になると原油価格に低下圧力がかかるが、ドルはほぼ頭打ちの状態なので、今後は原油価格に徐々に上昇圧力が加わってきそう。ドル安になると新興国の輸入が増えやすくなるのでこれもまた上昇圧力になる。
(WTI原油価格連動型上場投信においては、ドル安(円高)が進むと基準価額が下がる)

・船舶の燃料規制↑
2020年から船舶燃料油の硫黄分濃度規制がはじまる。硫黄分の少ないWTI原油や北海ブレントには5ドル程度の価格上昇圧力がかかると言われている。

・チャート↓
チャートは底抜け。しばらく停滞しそう。


■ドル円 (保有資産:なし)
今後1年の予想レンジ:95円~110円の間で推移

為替に与える影響が大きい要因順に見ていく。
・日米の金融政策↓(↓は円高方向)
ドル円レートの基準値は購買力平価になるが、今は購買力平価(95円)から円安方向に振れている。円安方向に振れている最大の要因は日銀の金融緩和になるが、その緩和が限界に近づきつつある。一方で米国は金融緩和余地があり、足下のコロナでは最大限の緩和をし始めている。

FRBの保有資産は2019年末には400兆円程度だったが、それが2020年末には1100兆円まで増える可能性がある。対して日銀の保有資産は2019年末には610兆円程度だったが、2020年末には650兆円と小幅な伸びに留まる見通し(5/1日経)。保有資産の拡大幅は米ドルの方が圧倒的に大きいので、その分米ドルの減価率の方が高くなる。

・日米の長期金利差→
日米の長期金利差はドル円相場との相関が高いが、現在その金利差がほとんどなくなっている。

・日米の財政政策↓
米国の財政赤字は年100兆円を超え始めており、コロナショックにより今年はさらに300兆円程上乗せされそう。日本も米国と似たような状況だが、米ドルは基軸通貨なので米国は今後、より思い切った財政政策(ドル発行)をする可能性が高い。日本も米国と足並みをそろえようとするはずだが、ついていけなさそうでもある。

・日米の経済の強さの違い→
資金は経済の強い国へ流れ、その国の株式や不動産などが買われるが、デジタル革命を主導する米経済は相対的に強いのでドル資産が買われやすい。ただコロナショックによりデジタル企業以外は多大なダメージを受けているので売られやすくなっている。

・リスクオン、オフ→
コロナはリスクオフ要因だが、大規模な経済対策が実施されているので、全体的にはややリスクオン気味。ただ、そろそろ経済対策のリスクオン効果は切れそう。過去の大規模な経済対策では、その決定後3ヶ月くらいしかリスクオン効果が続いていない。4/8日経

*リスクオフになった場合のドル円の基本的な動きついて。まず条件反射的に円が買われる。そこからさらに不透明感が強まるとキャリー取引の巻き戻し(円の買い戻し)が起こる。本格的なリスクオフまで発展すると対外資産の引き上げ(投資撤退)が起こる。
 *キャリー取引とは金利差を狙った取引で、市場環境が落ち着くと低利通貨を売り、高利通貨を買って金利差で収益を得る取引が盛んになる。ただ足下では円以外のドルやユーロも低金利通貨になりつつあるので、キャリー取引は減少傾向にある。
 *日本が持つ対外純資産は世界最大の340兆円になるが、そのうち資産の引き上げが起こりやすい証券投資の割合は3割(100兆円)程度になる。
 *日本ではすでに対外資産の引き上げが起きはじめている。3月22日にはソフトバンクグループが最大4.5兆円の資産を売却すると発表している。今後は他の企業でも手元資金確保のために対外資産を売却していく可能性がある。

・ドル需給↓
コロナショックにより、一時期ドル需要が急激に高まったが、FRBがドルを大量供給して、現在では落ち着いている。過去のパターンでは需給が一巡した後にドル安円高が起こっている。3/24日経5/7ダイヤモンド

・国内投資家の対外証券投資→
これまで日本の債券投資家は国内の超低金利で運用難に陥っていたので、高い運用利回りが見込める海外債権などを買っていた。しかしコロナショックにより外債の利回りも低下しているので、対外証券投資は停滞しつつある。
*2019年の対外証券投資は9兆5000億円。ここ数年は年10兆円程度の買い越しが続いている。
*対外証券投資のうち外貨建て(円売り)は7割程度になる。
*国内勢が外債を買うときは、円を売って外貨を買い、その外貨で外債を買うわけだが、円を買う側の海外勢はその円で日本国債を買うことが多い。海外勢は2019年1月~8月までの間に12兆円の日本国債を買っている。これは円高圧力になる。
*日本の主要生命保険会社は、外債の金利が低下して日本国債の魅力が相対的に増したとして、今年度は日本国債への投資を増やすことに決めている。4/24日経
*年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、今後外債投資を強化するもよう。この強化により今後15~25兆円の対外証券投資需要が発生する。4/1日経

・日本企業の対外直接投資→
国内需要はほぼ頭打ちなので、日本企業の対外直接投資は今後も増えていきそう。2019年の対外直接投資は22兆8千億円と過去最大を記録している。しかし今後はコロナショックにより対外投資はしばらく停滞しそう。
*対外直接投資額のうち外貨建て(円売り)は半分程度になる。

・米経常赤字(貿易赤字)の拡大↓
米経常赤字は10年ぶりの水準まで悪化しているが、原油価格急落によりさらに悪化する可能性が高い。

・日本の経常収支→
まずは貿易収支について。
輸入額の4分の1(20兆円)を占める石油・天然ガスの価格が低下しているが、一方で、海外での現地生産の拡大や、スマホ・医薬品などの輸入が増加傾向で、コロナの影響で輸出が減少傾向なので、貿易収支は赤字になりそう。
*2019年の貿易黒字額は約5000億円になる。

(貿易収支を含む)経常収支は20兆円程度の黒字を維持しているが、この黒字の大半は過去に行った投資のリターンである所得収支が占めている。所得収支の黒字は貿易黒字と違い、半分程度が円に換えず現地で再投資されるため円買いフローは半分(10兆円)程度しか発生しない。
*景気後退期に入ると企業は手元資金を確保するため再投資を減らし本国に送金する。過去の例ではだいたい3~4兆円送金している。5/12ロイター

・日銀が保有するETFの簿価割れ↑
日銀の自己資本は8兆円なのに対し、保有する日本株ETFは約30兆円ある。ETFの損益分岐点は日経平均株価が19500円くらいで、ここを下回ると自己資本が目減りし通貨の信認に悪影響が出る。日経平均株価が13000円台まで下落すると債務超過に転落し、さらに通貨の信認が落ちる。3/9日経

・日米の公的債務→
日米の公的債務は共に返済不可能な水準まで膨れ上がっており、コロナの影響でこれがさらに膨れる見通し。この債務を解消するには、インフレしかなさそうなので、そう遠くない将来にドルショック、もしくは円ショックが起こる可能性がある。

・投機筋の持ち高↓(「円 投機的ネットポジション」で検索)
買い持ちが増加傾向。投機筋は円高が進むとみている。
*ただし円を買い持ちした場合はスワップポイント(金利収入)がマイナスになるので、買い持ちポジションが長く続くことは少ない。

購買力平価
物価が上がると(インフレが進むと)、物やサービスを買うときにより多くの額のお金が必要になるが(購買力は下がるが)、物価が下がると(デフレが進むと)、物やサービスを買うときにより少ない額のお金しか必用なくなるので購買力は上がる。この物価変動に着目して二国間の通貨価値をならしたものが購買力平価になる。

日本円を米ドルと比較した場合、米国の方が慢性的にインフレ率が高いので円の購買力平価は長期的な円高傾向にある。ただ米国のインフレ率は年々低下していて日本のインフレ率との差が縮まってきているので、購買力平価の下降曲線はなだらかになってきている。為替相場は長期的にはこの購買力平価に収斂していくとされるが、現在の購買力平価は95円程度なので、円の下限は75円、上限は115円くらいになる。

・チャート↓
<5年チャート> 大きな三角持ち合いを形成している。移動平均線的には下振れしそうな感じ。ただ下ヒゲが出てるので、しばらく横ばいが続きそうでもある。


■日経平均 (保有資産:なし)
今後1年の予想レンジ:16000~26000円で推移

日経平均に与える影響が大きい要因順に見ていく。
・金融政策↑
日本株はFRBの量的緩和(資産買い入れ)との相関が強いが、FRBは3月から過去最大規模の量的緩和を始めている。世界の主要中銀はこの数ヶ月で640兆円程の資産を買い入れている。6/26日経

・利回り↑
日本株式の益回りは5%、配当利回りは2%超と、日本国債の利回り0%より高いので、株式に資金が流れやすくなっている。

・需給↑
日銀が株式を買いまくっているので日本株は下がりにくい。日銀の買越額は年間6~12兆円規模になるが、他の投資主体の売り玉はつきつつあるので(アベノミクス後の海外投資家の買越額は5兆円まで縮小)、残りの売り玉はすべて日銀が吸収してくれそう。

 <2020年の主な投資主体の予想売買動向と現状>
 日本銀行、(予)金融政策により6~12兆円の買い越し。現状は4兆8千億円の買い越し。
 事業法人、(予)自社株買いにより2~3兆円の買い越し。現状は1兆5千億円の買い越し。
 海外投資家、(予)景気後退懸念で2~4兆円の売り越し。現状は4兆円の売り越し。
 個人投資家、(予)逆張り投資で1~3兆円の買い越し。現状は1兆3千億円の買い越し。

*事業法人はコロナの影響で現金収入が減っているので、今後は自社株買いより手元資金の確保を優先する可能性が高い。
*3月に相場の「逆指標」とされる個人投資家が過去最大規模の買いを入れている(リーマンショック直後の10月とほぼ同規模の買い越し額)。一方で相場の先行指標とされる海外投資家は大きく売り越している。今後、株価は大きく下げるかもしれない。

・EPS(1株利益)↓
日経平均株価は基本的にはEPS(1株利益)× PER(人気度)で決まるが、2019年のEPSは-8%、2020年は(予)-40~0%になる。
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EPSに影響を与える外部要因についても見ていく。
・為替↓
今後為替は中長期的に円高に振れていきそうなので、海外で6割を稼ぐ日本企業の利益は下振れしていきそう。

・海外景気↓
日本企業は海外で6割を稼いでいるので海外景気の影響を大きく受けるが、2020年はコロナショックで世界景気が後退しそう。

・失業率↑
失業率が低下すると賃金が上昇して企業収益が圧迫され、労働量力不足で成長が頭打ちになるが、現在の失業率はコロナにより上昇傾向にある。

・減価償却費や資源価格(原材料費)↑
景気拡大期の終盤は減価償却費や資源価格(原材料費)が上昇して利益が圧迫されやすくなるが、コロナショックで資源価格は低下している。

・金融政策↑
景気拡大期の終盤は上昇した金利により企業の利益や資金調達環境は悪化するが、今回は金融緩和が続いているのでほとんど影響なさそう。
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・PER(人気度、リスク選好度)↓
日経平均のPERは基本的に11~16くらいの間で推移するが、現在のPERは17.9。指標的には割高感がある。

投機筋の持ち高
買い残は3700億円で、裁定売り残高は1兆8000億なので、投機筋は日本株が下がるとみている。
*裁定残高は通常、売り残高よりも買い残高が多い。一般に、裁定買い残高が3000~6000億円まで減少すると「売られすぎ」、3.5兆~4兆まで増加すると「買われすぎ」の水準になる。

・チャート↓
<4月時点での10年チャート> 三尊天井完成。一目均衡表(月足)の雲を下抜けしているので、地合いが大きく転換したように見える。


<現在の10年チャート> 大きく切り返している。底打ちしたのかもしれない。

市場環境チェック

株式市場への影響が大きい企業業績、金利、金融政策などをチェックしていく。

■ファンダメンタルズ
<EPS成長率>
・世界株式の2019年のEPS増加率は8%、2020年は-30~0%
・米国株式の2019年のEPS増加率は3%、2020年は-40~0%
・欧州株式の2019年のEPS増加率は3%、2020年は-40~0%
・日本株式の2019年のEPS増加率は-8%、2020年は-40~0%
*参照:6/14ヴェリタス、6/27日経など
*2020年はコロナの影響で大幅な減益予想になるが、コロナ抜きで考えると、今は金利低下により企業の利払い費が減少しており、経済のデジタル化に伴い設備投資や人件費が減少しているので、企業の利益は増えやすい状況になっている。
→問題あり

<経済成長率>
・世界の2019年の成長率は2.9%、2020年は-4.9%、2021年は5.4%
・米国の2019年の成長率は2.4%、2020年は-8.0%、2021年は4.5%
・中国の2019年の成長率は6.1%、2020年は1.0%、2021年は8.2%
・ユーロ圏の2019年の成長率は1.3%、2020年は-10.2%、2021年は6.0%
・日本の2019年の成長率は0.9%、2020年は-5.8%、2021年は2.4%
*数値はIMF予想。6/25日経
*IMFは「新型コロナウイルスによる感染第2波が発生すれば、2021年の世界経済成長率はゼロ成長にとどまる」と言っている。6/25日経
*世界の経済成長率が3%を下回ると不況感が強まるとされる。ただしデジタル経済で増している経済厚生(経済的幸福度)は成長率には反映されにくいので、見かけほどには不況感が強まらない可能性もある。経済成長率を測る指標の一つであるGDPは1年間で生み出された付加価値額の総和になるが、デジタル経済で生み出されているサービスの大半は公共財に近い性質があるため金銭的な数値には反映されにくい。今は若い人ほど幸福度が高いという調査結果が出ているが、これはデジタルサービスの恩恵を最も受けているためともいわれている。
*仏経済学者のジャン・フーラスティエは今から70年くらい前に「農耕社会、工業社会の後にはサービス社会へ移行するが、そこは経済成長のない世界になる」と言っている。11/27日経
→問題あり

<インフレ>
・米国の予想インフレ率は2019年が1.8%、2020年は1%?
・欧州の予想インフレ率は2019年が1.2%、2020年は0%?
・日本の予想インフレ率は2019年が0.9%、2020年は0%?
*2019年はIMFの数値。
*インフレ率が上がらないのもデジタル経済の影響が大きい。デジタル経済で登場している財やサービスは既存のものより便利で安価なものが多い。例えば検索やSNSは無料だし、ネット上では価格比較を簡単にできるので売り手側は超過収益を得にくくなっている。またスマホが登場してからはカメラやオーディオプレーヤー、電子辞書などが売れなくなっており、5000万曲をいつでも自由に聴けるSpotifyは月980円で利用できる。他にも複製コストゼロのデジタル商品やシェアリングサービスの普及などもあり、物価はどうしても上がりにくくなっている。『FREE』の著者クリス・アンダーソンは「モノ中心の経済はインフレ志向になるが、情報中心の経済はデフレ志向になる」と言っている。
*原油など商品価格の停滞もインフレ率停滞の要因になる。かつての景気回復局面では商品価格も大きく上昇していたが、今回の景気回復局面では成長率が穏やかなため商品価格も上がりにくくなっている。また経済のサービス化に伴い財への需要が弱くなっている面もある。加えて、環境保護や社会の持続性などで省資源化が求められていることもあり、今後も商品価格の停滞が続く可能性は高い。
*コロナの影響で解雇や賃下げが発生して購買余力が低下しており、感染への恐れから消費も停滞している。全体的な需要不足でデフレ圧力がかかりはじめている。
*コロナショックで企業倒産が相次いだ場合は、コロナ収束後に供給が追いつかず、インフレが発生する可能性がある。
*コロナ対策として世界中の政府・中銀が大量の資金を供給しているが、これは通貨価値の下落を引き起こし、インフレ圧力になる。
*中央銀行の最大の責務は「物価の安定」になるが、中央銀行は経済にとってベストなインフレ率を2%としており、その水準で物価を安定させることを目標にしている。中央銀行が行う金融政策はインフレ率2%を基準に決められており、それより低ければ金融緩和、高ければ金融引き締めを行うことになる。先進国のインフレ率は長期的に低下傾向で、足下では2%を下回りはじめているので、今後長期で金融緩和が続く可能性が高い。ただ、デジタル経済や商品価格の停滞、少子高齢化、グローバリゼーションなどを考慮すると、中銀のインフレ目標には無理があるようにも見える。
*ゼロインフレが続く環境では、中央銀行は物価安定策(インフレ抑制策)をする必用がなくなるので、中央銀行の主要責務は物価安定から金融安定にシフトしていく。6/30日経
*2025~2030年あたりにビッグデータ分析などで現実をより精緻にとらえた新しい経済理論が作られるとも言われている。その頃になればインフレに代わる新たな「経済の体温計」が生まれそう。
→問題なし

<金利>
・米国の2年金利は015%で10年金利は0.67%。
・日本の2年金利は-0.14%で10年金利は-0.03%。
*米国の2年金利が10年金利を上回ると平均18ヶ月後に景気後退に陥るといわれるが、2019年8月に2年金利が10年金利を上回っている。
*足下ではインフレ率の低下により、米国の実質長期金利(名目長期金利-インフレ率)はプラス圏に浮上しており、米株には割高感が出始めている。*実質長期金利が上がると企業債務の負担感が高まる。*実質長期金利は上昇しているが、それでもほぼゼロ%なので、株式以上に国債が割高なのは変わらず。
→問題なし

<債務>
・米国の民間債務残高はGDP比150%で横ばい傾向。
・日本の民間債務残高はGDP比150%で横ばい傾向。
・中国の企業・家計債務残高はGDP比210%まで上昇しており、足下でも微増傾向。日本のバブル期のピークは220%になる。
・新興国の民間債務残高はGDP比140%で現在も微増傾向。
・過去10年で各国政府は債務を大きく膨らませている。
・コロナショックで政府債務は急膨張し始めている。IMFは「日米欧など先進国の公的債務は20年にGDP比141%まで上昇し、第二次世界大戦時(1945年)の116%を大幅に上回る」と予想している。6/25日経
*GDPは債務返済能力の代理変数になる。
*米企業の対GDP債務残高比率は10年移動平均線から3%超乖離しているが、これは直近3回の債務バブルのピーク時とほぼ同じ水準になる(2019/7/19ダイヤモンド)。債務拡大ペースがGDPの成長速度を上回った状態が続くと、どこかで必ず逆回転が起こる。
*今は信用力の低い企業の債務が膨張しているが、全体で見ると健全な企業の貯蓄に相殺されている(2019/11/10日経)。FRB元議長のグリーンスパン氏は「米企業の資本支出がキャッシュフローを上回ると(「純借り入れ」の状態になると)景気後退に陥るが、現時点ではまだそのような状態にはなっていない。過去50年、このような状態で景気後退に突入したことはない」といっている。1/6日経
*米企業の債務残高は2011年のGDP比65%から2019年には過去最高の73%まで上昇している。一方で米家計の債務残高は2007年のGDP比97%から76%まで低下している。2019/5/23日経
*過去の景気拡大期では家計の貯蓄余剰が減ったり、企業の投資超過が広がったりしているが、現在は家計の貯蓄余剰が膨らんでおり、企業は概ね収支均衡の状態にある(1/15日経)。*貯蓄余剰の状態になると、余ったお金で国債を買うか現金のまま持つようになるので金利は上がりにくくなる。
*今のような低成長、低インフレ、過剰貯蓄の状況では低金利が続きやすく、高債務の状態が維持されやすい。
*先進国では超低金利が続いているので債務拡大はまだ続きそう。
*債務の質は劣化しており、2019年には米国の投資適格債の半分以上が格付けの最も低いトリプルBになっている。
*信用格付けの低い企業は米シェール企業などエネルギー企業に多いが、原油安によりそれらの企業の信用リスク(デフォルトリスク)が高まっている。米ムーディーズはWTI価格が40ドル程度で推移した場合、シェール企業の4割が2年以内にデフォルトすると予想している。6/30日経
*格付け会社のムーディーズやフィッチは「米国のジャンク債市場デフォルト率は1990年、2000年、2009年の景気後退時はいずれも10%前後であったが、今回はその水準を上回る可能性もある」と言っている。6/4ヴェリタス
*今のように金利が経済成長率を下回っている状態が続くと企業は財務レバレッジを効かせるだけで(低金利で社債を発行して自社株買いをするなど)で利益を手にできるので債務が膨張しやすい。政府債務においては、今のように国債金利がGDP成長率を下回っている状態だと、多少の財政赤字を続けても債務残高GDP比を一定の水準に維持できる。日本政府の場合は対GDP比で2.5%程度の赤字を続けても債務残高GDP比を一定に維持できる。10/7日経
*米企業は過剰な自社株買いなどで財務体質が脆弱になっていたところにコロナが直撃したので、さらに財務が脆弱になっている。
*今は企業がお金を借りて経済を牽引しなくなった分、政府がお金を借りて経済を下支えする構図になっている(11/10日経
 *政府がお金を借りて経済を下支えすると財政赤字は膨らむが、民間需要が足りてない中で財政支出を減らしても、景気悪化を招き財政赤字は膨らみやすくなる。
 *財政赤字が拡大すると公共サービスなどの政府機能が落ちていく。
*中国の企業・家計債務は危険水準に達しているが、2018年に習政権は経済の筆頭課題に金融危機封じ込めを据えていたので(2018年中盤から景気重視に転換)、しばらくは心配しなくてもよさそう。
*中国の企業債務は積み上がっているが、その大半は国営企業によるものなので、計画に沿って徐々に削減していけそう。
*中国は2016年に政府出資の資産管理会社(AMC)を設立し、不良債権の最終処理を進めている。*AMCとは銀行の不良債権を分離して買い取り、それを海外の投資銀行や資産運用会社などに売却する会社。
*中国の可処分所得に対する家計債務比率は日本のバブル期並の120%まで上昇しているので、中国は今後深刻な消費不振に陥る可能性が高い(7/28日経)。ただ中国政府は8月にその対策を打つといっているので、当面は大丈夫そう。
*中国は2013年に労働人口がピークアウトしているので、今後は経済成長減速と同時に社会保障費など政府支出が増大して政府債務が膨らんでいく可能性が高い。1/18日経
*新興国や資源国はコロナショックにより、通貨安・高インフレ・高金利になり、債務圧縮局面に入りつつある。
→問題あり

<金融政策、財政政策>
・コロナショックで世界中の国が金融緩和に転じている。
・日米欧は金融緩和が限界に近づきつつある。
*スウェーデン中銀は2020年1月にマイナス金利だと家計債務の膨張が止まらないなどの理由で政策金利を0%に引き上げている(12/20日経)。金利緩和の限界が露呈しつつある。
*金融緩和を長期で続けていくと、従来ならインフレが過熱して、それが金融緩和の歯止めになっていたが今回はそれがない。金融緩和が長期化した場合のメリットは失業率の低下やデフレ阻止になるが、デメリットは債務の増加や産業の新陳代謝の低下になる。
*金融緩和が長期化すると産業の新陳代謝が進まず(ゾンビ企業が存続する)、潜在成長率が落ちていく。潜在成長率が落ちるとインフレがさらに起こりにくくなる。現在中銀がインフレを起こそうと行っている金融緩和は長期的にはインフレが起こりにくい経済構造を作っているという面もある。
*日本はこのまま金融緩和を続けると、金融仲介機能を持つ銀行の収益が落ち、金融政策が円滑に機能しなくなる恐れがある。日銀の責務には「物価の安定」の他に「市場・金融システムの安定」があるが、長期の金融緩和により金融システムが不安定になりつつある。
*主要中銀の量的緩和(資産購入)は2019年は40兆円ほどだったが、今年はコロナショックにより800兆円くらいまで拡大するといわれている。4/16日経
*日本は現在、財政赤字拡大を容認する現代貨幣理論(MMT)のような金融・財政政策をしているが、歴史的には中銀の貨幣発行によって財政赤字の穴埋めをしてきた国は、インフレを制御できなくなり、投資や成長が著しく落ち込むという結果に終わっている。
 *MMTとは自国通貨で借金をできる国は破産することはなく、高インフレを招かない限りは財政支出のしすぎを心配しなくてよいという政策。提唱者のケルトン教授によれば、財政支出を拡大してインフラや教育、研究開発に投資すれば長期的には国の潜在成長率を高めることができ、財政赤字を縮小できるという。高インフレ問題についてはインフレ防止条項(増税など)を入れておけば問題ないとのこと。10/7の日経には財政出動をして、長期的な収益率が政府の借入金利を上回るようなものに投資すれば、短期的に需要を押し上げるだけでなく、長期的にも財政状態を改善できるとある。このような投資に該当するものには出生率向上策や気候変動への取り組みなどがあるという。ただし、完全雇用の状況では労働力不足でこのような需要喚起策は打てない。
 *MMTで潜在成長率を高められなかった場合は、膨張した政府債務を国民が増税や高インフレなどで負担しなければならない。
 *MMTで高インフレになった場合、中銀は金利を引き上げられない。中銀のバランスシートの質はすでに劣化しており、そこで利上げをしたら自己資本がさらに劣化し、さらに金利が上がる、という悪循環に陥ってしまう。
  *MMTと日本の金融・財政政策は若干異なる。MMTは財政再建をそれほど重視せず、中央銀行を政府の支配下に置くが、日本の政策の場合は、政府は一応は財政再建を目指し、中央銀行は政府から独立している。
*日本や米国は慢性的な財政赤字体質なので、将来的にはMMTのような財政・金融政策に移行せざるを得ない。
*先進国の金融政策はほぼ限界にきているので、次の景気後退時の景気刺激策は財政政策しかない。
*今回のコロナショックを機に先進国はMMTのような政策に移行したように見える。FRBや日銀は国債購入の上限額を撤廃して財政支出を拡充する政府との協調姿勢を鮮明にしている。4/24日経
*コロナショックで企業が破綻し生産基盤がなくなってしまうと、コロナが収束した後の景気回復が弱いものになってしまう。それを避けるためには政府や中銀の大規模な支援策が不可欠になる。支援の規模はGDPの落ち込みと同規模なものが必要になる。これをすると財政赤字は莫大なものになるが、もしこれをしなければ恒久的な経済的損害が生じ、長期的により莫大な財政赤字が発生する確率が高くなる。4/5日経ヴェリタス
→問題なし

<政治>
・日本の政治は比較的安定。コロナ対策は迷走気味だったが、国民性のためか(5/31日経)、「自粛警察」の取り締まりのためか、結果的にはうまく押さえ込まれている。ただ、日本人はコロナの抗体を持っている割合が全国民の1%以下で、”ワクチンアレルギー”があるため、真の収束にはかなりの時間がかかりそう。
*ウイルスの脅威は人口の70%がウイルスに感染して集団免疫を獲得するか、有効なワクチンが開発されるまでは消えないとされる。
*ワクチンは基本的に10万回に1回程度、副反応が出るとされる。日本人はワクチンの副反応への抵抗が強く、子宮頸ガンを予防するHPVワクチンの接種率は1%以下に留まっている。
・海外は不安定。米国と中国の覇権争いは、ハイテク・軍事分野を中心に今後長期にわたり続きそう。貿易戦争は一時休戦していたが、足下では再開されつつある。
 *米中貿易戦争が激化・長期化すると、貿易環境に強い不透明感が生じ世界的に投資が落ち込んでいく。米中貿易摩擦の最大の敗者は、貿易依存度が高い日本やアジア、ユーロ圏とも言われている。
・香港ではデモが続いているが、これはもしかすると中国民主化への序章になるかもしれない。ウイグル自治区では中国の思想を植え付ける100万人規模の再教育施設があるようだし、中国の監視・信用格付け社会では社会的弱者の不満が高まっているようなので、中国に経済ショックのような大きな打撃が加われば、一気に民主化の機運が高まっていく可能性がある。足下で起こっている「コロナショック」はそのきっかけになるかもしれない。
・英国はEUから「合意ありの離脱」をしたが、これから始まるEUとの通商交渉は不透明感が強い。
・英国のグダグダ感が効いてか、EU域内のEU離脱派・懐疑派の勢いは当初よりも弱まっている。しかし失業率・成長率の悪化や所得格差の拡大、価値観の分断を背景にしたポピュリズムは今後も長期にわたり続きそう。
・EUはコロナショックの財政政策で、北欧の財政健全国と南欧の重債務国が対立している。財務状況の異なる国々が単一の財政政策をすることにもともと無理があるので、今回のコロナを機にEU解体機運が高まる可能性がある。
→問題あり

<その他の景気後退シグナル>
・米景気の先行指標である米住宅着工件数はコロナによりピークアウトしている。
・世界景気の先行指標である世界新車販売台数は2018年、2019年と2年連続で減少している。*景気拡大期の終盤に入ると、消費者はまず住宅や自動車などの大型耐久消費財の購入を手控えるようになる。
・米景気の先行指標である米ISM製造業景況指数は4月に41.5の底をつけ、6月は52.6と急反発している。(同指数が45を下回るか、50割れの期間が半年を超えるとデフォルトが増えると言われる)。米経済の牽引役である米ISM非製造業指数は  ??
米国の失業率はコロナショックで4月に戦後最悪レベルの14.7%まで上昇していたが、6月には11.1%と徐々に改善しつつある。
 *コロナで失業した人の約7割はレイオフ(一時的な解雇)のため、経済が再開すれば早期の雇用回復が見込める。
 *失業率には「理由不明の休職者」は含まれていない。この人口を加算すると失業率はさらに5%上昇する。5/11日経
*米国では失業率が前四半期と比べて0.25%上がると景気後退に陥ると言われている。
*失業率が最低水準まで下がると賃金上昇により企業収益が圧迫され、労働力不足で経済成長は頭打ちになる。
*過去の相場分析では米株が底値を付けるのは失業率のピークから平均して4ヶ月前になる。今回は失業率が7月にピークをつけると考えると3月に付けた安値が底値になる(5/9日経)。米株が安定的な回復基調になるのは失業率がピークを打って低下し始めた後になる。4/25日経
・米景気の先行指標になるダウ輸送株ラッセル2000はすでにピークアウトしている。
・景気拡大期の終盤は、金余りと鈍化した成長率を引き上げるため巨大M&Aが盛んになるが、2018年、2019年はまさにその状態だった。*高値で行われたM&Aは景気後退期にのれんで巨額の減損が発生しやすい。
・世界景気の先行指標である銅価格はすでにピークアウトしている。
・世界景気を半年先取りするOECD景気先行指数は98.8と節目の100を下回っている。4/8日経
・世界景気の先行指標である中国製造業PMIはコロナショックで2月に過去最低の35まで落ち込んでいたが、足下では節目の50を超えている。ただし、PMIは生産や受注が前月と比べて増えたかどうかを調べるものなので、節目の50を超えたからといって必ずしも経済が全面的に回復したということを意味しない。
・マクロ経済の不透明感を表す経済政策不確実性指数は世界、米国、中国で過去最高水準まで高まっている。
・経済危機をいち早く察知する米低格付け債の利回りはコロナショックで一時大きく下落したが、FRBが(一部の)低格付け債を買い入れているため持ち直している。*シェールガス企業などの投資不適格債(ジャンク債)はFRBの購入対象外。
・米国で「長短金利の逆転」「社債スプレッド(社債利回りと国債利回りとの差)の拡大」「物価上昇」のうち、2つが起きたら景気後退に陥るといわれるが、今はかろうじて「長短金利の逆転」だけにとどまっている。
・FRBの利上げ局面における株式相場は「1,金融緩和の終了を嫌気した調整」→「2,利上げ中盤にかけての良好なファンダメンタルズを好感した上昇」→「3,利上げ終盤の過度な引き締めを懸念した反落」→「4,利上げの打ち止めを好感した反発」→「5,ファンダメンタルズの悪化を織り込んだ大幅な下落」という経過をたどることが多いが、今は利下げ局面に入っている。
→問題あり

■テクニカル
・チャート
ナスダックは「バイイング・クライマックス」(買いの最終局面)のような出来高をつけている。ナスダックは大天井を付けたのかもしれない。・・もしくはこれはバブル相場の号砲なのかもしれない。
<5年チャート>
→問題あり?

・ディストリビューション・デー(機関投資家の売り抜け日)
日経平均 3日
NYダウ 5日
ナスダック 3日
→問題なし

・騰落レシオ
日経平均 83
NYダウ 121
ナスダック ?
→問題なし

・信用評価損益率
ー16 %
→問題なし

■まとめ
株式市場は金融緩和と景気後退とのせめぎ合いで振れ幅の大きい展開になりそう。政府・中銀がコロナのダメージを吸収できなくなったときが株式市場の終焉になるかもしれない。コロナとの戦いは長期戦になりそうなので、政府・中銀が経済を支えられなくなる可能性は十二分にある。
*景気後退とはGDP成長率が2四半期連続でマイナス成長になること。

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1年以内に米国が景気後退に陥る確率:100%

1年以内に中国の債務バブルが破裂する確率:40%
中国はデフォルトモードに入っていたところで(11/29日経)、コロナが直撃したのでデフォルトモードが加速しそう。社債の償還がピークを迎える2021年,2022年頃(12/27日経)に中国共産主義は危機を迎えるのかもしれない。ただ、中国の独裁体制は2000年以上続いているようなので(4/14日経)、そう簡単には終わらなさそうでもある。

長期計画チェック

「平時にじっくり考えて決めておいたことは、後悔する判断にはなりにくい」いわれているので、今のうちから長期的な計画を考えていく。  

■景気後退について
今後はコロナにより景気後退に陥りそう。新型コロナは終息するまであと1~2年はかかりそうなので(4/2日経)、しばらくは厳しい展開が続くかもしれない。今回の景気後退では企業の債務がさらに膨らむので、コロナ収束後の景気回復は鈍いものになりそう。2019年のEPSを回復するのは2024年頃になるかもしれない。

景気の落ち込みを和らげる要因もいくつかあるので、それらを一通り書いていく。
・イノベーションは経済成長の最も基本的な原動力になるが、今は世界中でイノベーション(デジタル革命)が起きている。
・ネット社会では情報を集めやすく、人が繋がりやすいので、イノベーション(新結合)が起こりやすい。今はそこにAIが加わり、イノベーションの速度は加速している。
・バブルは借金をして資産を買いまくることにより生じるが、今回そのような現象はあまりみられない。*現在起きているバブルのような現象は、中銀が通貨を発行して資産を買うことにより起きているので、従来のバブルとは異なる(バブルが破裂しにくい)。
・社債市場はバブル気味だが、今のような低成長、低インフレ、過剰貯蓄の状況では金利が上がりにくく、高債務の状態が維持されやすい。
・信用力の低い企業の債務が膨張しているが、全体でみると健全な企業の貯蓄に相殺されている。
・先進国の金融機関の財務状態は比較的良好なため、先進国では金融危機が起こりにくい。コロナでデフォルト連鎖が起きても金融機関は7%超の自己資本比率を維持できる見通し。6/27日経
・中国の不動産市場にはバブルの兆しがあるが、中国政府の需要抑制策により日本のバブル期ほどの過熱感はない。ただし、シャドーバンキング商品(銀行理財商品、委託融資、信託商品)への投資は過熱感が強く、2017年末の残高は1000兆円とGDP比8割の規模まで膨らんでいる。
・中国の企業債務は積み上がっているが、その大半は国有企業のものなので計画に沿って徐々に削減していけそう。
・中国政府には財政出動や金融緩和の余地がある。
・中国は独裁体制のため、不況に陥るとすべての批判が指導部にふりかかる構造になっている。そのため指導部はなんとしても不況を起こさないようにする。
・トランプ大統領の再選には株価の維持、もしくは上昇が不可欠なので、トランプ政権は株価の上がりやすい政策を採る。
・先進国の中銀はインフレターゲットを2%に設定しているが、現在のようなインフレが起こりにくい環境でインフレ2%を達成・維持するには株高のような資産価格の維持・上昇が不可欠になる。そのため中銀は株式市場に優しい政策をとらざるを得ない。
・中銀が量的緩和をして国債などの資産を大量に買っているので資産価格は下がりにくい(金利は上がりにくい)。中銀が資産売却を進めれば資産価格は下がるが、今のところそれを進める気配はない。足下ではコロナ対策で大規模な資産買い入れを始めている。

コロナ以外の景気後退シナリオもいくつかあるので、それらも一通り書いていく。
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景気後退シナリオ1:災害や紛争で景気後退?
日本ではいずれ必ず南海トラフ地震が起こるといわれており、中東では紛争などの地政学リスクが高まりつつあるが、こうした問題が実際に起こると景気には強い下押し圧力がかかり、過去のパターンでは株価が15~35%下落している(2/29日経)。しかしこのような状況になると必ず政府や中銀が大規模な支援策を講じるので景気(株価)は反発しやすくなる。また一過性の問題が過ぎ去されば経済はV字回復することが多い。一般に、災害や紛争は押し目買いのチャンスになると言われている。
*ただし、今回のコロナのように問題が大きく、長引きそうな場合は、そのまま景気後退に突入することもある。
*今回のコロナで企業倒産が相次いだ場合は、コロナが収束した後で供給が追いつかなくなり、V字回復ができなくなる。
*日本で南海トラフ地震と首都圏直下型地震が同時に起きた場合は景気後退を通り越して財政破綻するとも言われている(10/11日経)。もしそうなった場合は1000兆円超の損失が発生するようなので強烈な株安・円安が発生する可能性が高い。
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景気後退シナリオ2:中国の債務バブル崩壊で景気後退
中国の企業債務は積み上がっているが、その7割以上は実物投資ではなく、リスクの高い金融資産(シャドーバンキング商品)への投資に回っている。景気下振れなどによりいったんデフォルトが起きれば急激な資金の引き上げが発生して連鎖的なデフォルトが起こる可能性が高い。景気後退に陥ると独裁政権に責任が集中し、政権が転覆する可能性も出てくる。独裁体制は経済的に成熟した社会には適さないシステムとも言われているので、その意味でもこのタイミングで独裁体制が終わる可能性がある。これらの政治的混乱も相まって不況が深刻化していく。経済大国・中国の不況が世界に連鎖していく。

・・当初、中国政府には財政拡大・金融緩和の余地があるので危機は避けられると思っていたが、米中貿易戦争+コロナショックで、このシナリオの実現可能性も高まってきた。
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景気後退シナリオ3:マイナス金利により金融機関が破綻し景気後退
先進国の金利はマイナス圏に突入しているので、利ザヤの縮小から金融機関が破綻していく可能性がある。金融機関が破綻すると信用収縮が起こり(金回りが悪くなり)、景気後退が起こりやすくなる。しかし現時点では中銀が民間金融機関に配慮しながら金融政策を行っているので、穏やかな統廃合で済みそう。
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景気後退シナリオ4:中銀のインフレ政策が限界に達して景気後退
先進国の中銀はこれまで金融緩和で市場を支えてきたが、その金融緩和が限界に達しつつある。今後市場は支えを失い、大崩れする可能性がある。ただ、中銀の通貨発行能力はまだまだ健在なので今後は財政ファイナンスで市場を支えていけそうでもある。
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景気後退シナリオ5:米長期金利が上昇し景気後退
米国は財政が著しく悪化しているので、長期金利には上昇圧力がかかっている。長期金利が上昇すると株式や不動産が売られ、借り入れが減り、景気後退に陥りやすくなる。ただ、今後はFRBが米国債を無制限に買って長期金利をコントロールしていくようなので、長期金利は低位にとどまりそう。
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景気後退シナリオ6:インフレが過熱し景気後退
景気循環の従来のパターンは金融緩和→失業率低下・債務拡大→景気拡大・インフレ過熱→金融引き締め→債務圧縮→景気後退になるが、今回はインフレ過熱が起こらなかったので、これまでのパターンは当てはまりそうもない。
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景気後退シナリオ7:バイデン氏が米大統領に選出され景気後退
バイデン氏が所属する民主党は法人減税の見直しや、規制緩和の見直し、富裕層を対象にした増税を唱えているので、バイデン氏が大統領に選ばれた場合は経済成長が鈍化し、場合によっては景気後退に陥る可能性もある。ただバイデン氏は中道保守で、当たり障りのなさそうな感じなので、大きな変化は起こらなそうでもある。
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景気後退シナリオ8:上記の景気後退シナリオが同時に起こる
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■今後の計画
今後もコロナや中国債務バブル、米中貿易戦争など懸念材料は山積みだが、低インフレ×金融緩和×イノベーションにより株価の上昇は続きそう。市場が大きく下げたときは買っていこうと思う。

今後、円が95円くらいまで上昇、もしくは日経平均が16000円くらいまで下落したら、米欧通貨や外国株、日本株を買っていく。おそらく今回が最後の円高局面になると思うので、海外資産の比率を高めにしていく。

次の円高時に仕込みたい外国株
・UBS ETF スイス株 (MSCIスイス20/35) 。スイス株式で構成されたETF。”最強通貨”のスイスフラン建てなので円安・ドル安対策によさそう。組み込まれている銘柄はネスレやロシュなど優良グローバル企業なので安定成長も期待できる。
・(米)アルファベット、アマゾン、マイクロソフト。規制リスクはあるが、グローバルITインフラとしての地位は揺るぎそうにない。投資が旺盛なのでまだまだ成長しそう。
・(米)VISAや(米)マスターカード。両社はフィンテック企業のボス的存在で、電子マネーは結局ここらへんが中核になりそう。
・(米)フェイスブック、ツイッター。SNSで盤石な地位を確立しており、今後も年率10%超の成長は期待できる。
・(米)セールスフォース、ドキュサイン。日本企業を調べていて見つけた優良成長企業。社風が良さそうなのがいい。
・NASDAQ100ETF。第4次産業革命の中核ETF。国内市場で簡単に買えるのがいい。
・アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信(為替ヘッジなし)。腕利き米国人が運用する趣味の良さそうなファンド。
・米国株式長期厳選ファンド。奥野一成氏が運用するビジネスモデルが堅固な企業に投資する永久保有系ファンド。積み立てオンリーなのがやや難。
・インド株のETF。インドは2040年まで人口ボーナス期が続く。
・インドネシア株のETF。インドネシアは2030年まで人口ボーナス期が続く。
・銅。銅をたくさん使う電気自動車などにより銅の需要は長期的に右肩上がりだが、優良鉱山の減少や環境規制などにより供給が追いつかなくなる可能性がある。現在の銅の採算ラインは1トン5500ドル程度。

■次の上げ相場について
次の景気拡大期は中銀に金融緩和をする力があまり残されてなさそうなので今回のような資産インフレ相場はあまり期待できないかもしれない。今後の市場環境はゼロ成長、ゼロ金利が基本になりそうだが、そのような環境で投資収益を上げていくには企業の成長性に賭けていくしかないように思う。どのようなときでも時代の変化に合わせて成長していく会社はあるので、そういうところを見つけて投資していきたい。
*ゼロ金利が続くという前提では、企業の将来キャッシュフローを現在価値に割り引く際に割引率が低下し、資本コストも低下するので、成長株(高ROIC株)に優位性が出やすくなる。12/4日経3/6日経
*今後はデジタル・ロボット革命により人の労働(賃金)が減り、資本側に富がより蓄積されていくので、資本(株式など)の保有は不可欠になりそう。その意味でも成長株に優位性が出やすくなりそう。2/19日経