2017年4月28日金曜日

「経済は機械のように動く」YouTube編

レイ・ダリオ作「経済は機械のように動く」(日本語版)の動画があったので見てみた。一見わかりやすそうに見えたが、なかなかわかりにくかったので、書いて整理していく。

導入はこんな感じ。
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「これは 型破りな考え方だが30年以上たって確かな効果が証明され、私はそれにより金融危機を予知して避けることができた 」 レイ・ダリオ
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■経済の仕組み
経済とは取引の積み重ねによるものである。取引とは買い手がお金やクレジットを提供し、それと引き替えに売り手は物品やサービス、資産などを提供するものである。

取引において買い手と売り手の最大手は政府機関になり、政府機関は政府と中央銀行の2つに分けられる。政府の役割は税金を徴収しお金を支出することであり、中央銀行の役割はお金とクレジットの総量をコントロールすることである。

クレジットはお金の15倍以上流通しており、しかも変動が大きいため経済において最も重要な要素になる。しかし一番理解されてない要素でもある。
クレジットは借り手が元本に利子を加えて返済することを約束し、買い手がそれを信じた時に発生する。クレジットが発生すると借金が発生する。
*クレジットは「信用」「信用貸し」の意味で使われている

借り手がクレジットを得ると支出を増やすことができる。支出は他の人の収入となるので、支出を増やすと他の人の収入が増えることになる。それが巡り巡って自分の収入が増えると信用力が増すためもっと借りられるようになる。そしてさらに支出を増やして、他の人の収入が増えて・・という循環が生まれる。この循環が経済を押し上げていく。

クレジットのない経済では支出を増加させるには所得を増加させるしかなく、所得を増やすには生産性を上げるか労働時間を増やすしかない。このような環境では生産高の成長が経済成長そのものになる。しかしクレジットがあると所得以上に支出を増やすことができ、それを投資にも回す事ができるので、借金をテコに経済成長率を上げることができる。

経済が好循環に入り所得が増え、資産価値が上がり、株価が高騰していくと、お金を借りてさらに資産やモノを買うのが良策になる。これがさらに資産価値を押し上げクレジットが増して・・という循環になり景気が過熱していく。

この調子で数年たつと借金は大きくなり返済額が増えてくる。やがて返済額が収入を上回るようになり、返済のために支出を減らすときがくる。
一方で、支出や収入が生産高より早いペースで増えていくと価格が上昇しはじめる。価格の上昇はインフレを招き、中央銀行はインフレを抑制するために金利を上げていく。金利が上がるとお金を借りにくくなり、既存の債務コストも増えるため、このためにも支出は減っていく。

支出は他の人の収入でもあるため、全体的に収入が減っていく。また支出が減ると価格が下がるため経済活動は縮小していく。
このようにして不景気になりインフレの問題が解消されると、中央銀行は金利を下げ、再び貸し出しと支出が増え好景気へ向かっていく。

このような借り入れによる支出とその返済によって経済の波がつくられる。この波の周期はだいたい5~8年になる。そしてこの債務周期の波は何十年にもわたって繰り返されていく。ここで注目すべきなのは債務は波をつくりながらその総量が徐々に増えていくこと。債務の総量が増えていくのは、人間はもともと債務を返済するより借入と支出を増やす傾向があるため。債務は所得より早いペースで増大していき、75-100年でピークに達する。アメリカではそのピークが1929年と2008年に来ている。

この長期周期のピークから経済が下落するときは通常の不景気とは異なる現象が起こる。通常の不景気ならば金利を引き下げれば借りる金額が増えて景気は押し上げられるが、この状態では金利はすでに0%に達しており、それ以上引き下げることができなくなっている。借り手は返済不可能な程の膨大な債務を抱えており、クレジットは消滅しているため、貸し手は貸すことができない。結果、支出が減り、そのため所得もへり、資産価格は急落し、市場は売りに出される資産であふれかえる。不動産価格も落ち、担保の価値も減るので、借り入れがさらに難しくなるという悪循環に陥る。


■このようなときの膨大な債務を減らすにはどうしたらよいか
1,支出を減らす
まずは支出を減らしその分を返済にまわしていく。
しかしこれをすると債務負担率(収入に占める債務返済額の割合)は増えていってしまう。なぜなら支出が減ると他の人の所得も減ってしまい、巡り巡って自分の所得も債務返済額よりも早いペースで減ってしまうから。
企業においては支出を減らすために雇用を減らすので失業が増えていく。

2,債務を再編する
貸し手は相手が返済できないとわかると、債権の消滅を避けるために債務の縮小や返済期間の延長に同意する。しかしこれをすると貸し手側の体力も奪われていく。

3,富裕層から資産を徴収する
政府は富裕層からお金を集めて、それ以外の人に再分配する。
しかしこれをすると貧困層と富裕層の間に軋轢が生まれ、社会不安が生じる。

4,中央銀行がお金を印刷する
普通の人がお金だと思っていたものは実際はクレジットで、クレジットが消滅している状態では、お金が不足することになる。金利がゼロまで低下している場合、お金を供給する唯一の方法はお金を印刷することになる。
*リーマンショック時には5000兆円あった不動産担保証券(関連する金融商品を含む)の価値が一時的にゼロになった。

中央銀行はお金を印刷し、それで金融資産を買い市場にお金を供給する。そうすると金融資産を持っている人が真っ先に恩恵を受ける。
政府は中央銀行に政府の債権を買ってもらってお金を借り、そのお金で物品やサービスを購入して人々にお金を供給していく。国の赤字は増えてしまうが、国民の所得は増え債務総額を減らしていくことができる。

*お金を印刷するとインフレが起こると懸念されるが、それがクレジットの暴落を相殺する場合においてはインフレは起こらない。

政府がこの4つの方法をバランスよく行い実質経済を向上させることができれば、所得を債務より速いペースで増やすことができ、債務を返済していくことができる。

2017年4月21日金曜日

「経済は機械のように動く」レイ・ダリオ

経済の予測は複雑で難しそうに思えるが、世界最大のヘッジファンドを率いるダリオ氏によると経済は規則正しく動くという。ダリオ氏が重視しているのは借金で、お金を借りて消費することの積み重ねが経済を拡大させるという。だが借金を際限なくすることはできず、どこかで借金は限界に達して債務圧縮の局面にはいる。その時に経済は反転して縮小していくという。過去数十年間のバブルはすべてこの原理で説明できるらしい。

今、経済を拡大させている借金(のようなもの)は主に中央銀行によるものになる。日米欧の中央銀行が国債などの資産を大量に購入して、市場にお金をたくさんばらまき、経済を拡大させている。低金利に誘導しているので民間の借金も膨らんでいる。

アベノミクスは戦後3番目(9月まで続いたら2番目)に長い経済拡大期に入ったというが、これもひとえに日銀の”借金”のたまもののように思う。上記の理屈でいくと、日銀の資産購入はもう少しできそうなので、経済ももう少し拡大していくように思う。

日銀の”借金”が限界に達したら経済はどうなるか。過去の例のように反転するのかといえば、そうはならないと思う。なぜなら中央銀行の”借金”は、調達費用がゼロなので必ずしも返済する必要がないからだ。”借金”を返済しなければ日銀の信用が傷ついてしまい、それゆえ通貨の信用にも傷がついて円安やインフレが起こってしまうが、日銀はむしろそうなることを望んでいるように見える。

アメリカの中央銀行であるFRBは今年の後半にも資産圧縮に動くといっているが、それをするのはおそらく経済の好況期に限られると思う。そもそもFRBが資産を購入しだしたのは景気を刺激するためだから。

ただ中国は少し危ないかもしれない。中国の民間債務はGDP比2倍を超えており日本のバブル期並みの水準に達しているという。そして足下でも経済成長率をはるかに上回る速度で債務が増え続けているという。人口はすでにピークアウトしており、経済成長率は下落傾向なのでいつ借金が臨界点に達しても不思議ではない。中国を震源地とした不況が起こる可能性がある。まあそれでも中国は金融緩和のカードをまだたくさんもっているのでソフトランディングできる可能性も残っているが。

借金という観点からみると、今回の経済拡大(バブル)は中央銀行の“返済不要の借金”が原動力になっているのでバブルは崩壊しにくいのではないかと思う。ダリオ氏も足下の状況には特に警戒している様子もなく「トランプ米政権の誕生で金融市場が大きな転換点にさしかかったとみている。トランプ前が低成長、低インフレ、低金利だったのに対し、トランプ後は高成長、高インフレ、高金利に劇的に変化するはずだ」とコメントしている。


借金が臨界点に近づくと金利が上昇していくので、金利を重点的にチェックしていこうと思う。

参考:ヴェリタス(2017/3/26)

ハイプサイクル

ハイプサイクルとは先進技術の期待度の高低と、その技術が主流になるまでの目安を示したグラフ。一般に、画期的な技術が登場すると期待度は急上昇して、その後急落し、その後実績をともないながら徐々に上昇していく。

株価はハイプサイクルとほぼ連動し、ナスダックのITバブル・崩壊とその後の株価上昇はこの典型になる。

<ナスダックの長期チャート>


もともとハイプサイクルは経営者が先進技術の採用可否を判断するために作られたものだが、投資判断においても使うことができる。

投資をする時に避けないといけないのは期待のピーク期にある技術。現時点では自動運転やIoT技術になる。

投資の好機になるのが幻滅期にある技術で、幻滅期は過度な期待がそげ落ちただけで、事業化の可能性が小さくなったわけではない。

個人投資家の片山晃さんは幻滅期にあった電子出版に目をつけ、その中で優位性があると判断したパピレスに投資し成功している。

2015年に幻滅期にあったのは仮想通貨になる。関連銘柄をざっと調べてみたが国内にめぼしそうなものは見当たらなかった。このような場合は単純にビットコインなどの仮想通貨を買えばよいのかもしれない。
参考:ハイプサイクル2015

2016年に幻滅期にあるのは仮想現実や拡張現実になる。現在ポケモンゴーやVRゲーム機などが普及しはじめている。銘柄ではソニー、フェイスブック、サムスンあたりがよいのかもしれないが、会社が大きすぎるので調べる気にならない。
参考:ハイプサイクル2016

2016年の日本において幻滅期にあるのはクラウドコンピューティングになる。テラスカイなんか良いのではないかと思ったがチャートがイマイチなのでパス。この業界はすでに幻滅期とは思えないほど競争が激化している。
参考:日本におけるハイプサイクル2016

参考:日経マネー2016年8月号

小型株14 精養軒 △

日経マネー5月号に載っていた銘柄。バリュー投資家の株1000さんが紹介。

■どんな会社か
上野精養軒などを運営。ジャスダック上場で時価総額は20億円。

■成長ストーリー
保有する土地を再開発して収益を改善させる、というのが基本ストーリー。

六本木に保有する土地が再開発されれば業績は劇的に改善する。今年1月に三井不動産が大株主になったため再開発機運は高まっている。

精養軒の本業である飲食店の収益は横ばいで、そちらのほうの成長はあまり期待できない。

■売り圧力はあるか
テクニカル的には戻り売り圧力が850円くらいにある。

ファンダメンタル的には売り圧力はほとんどない。
精養軒の時価総額は20億円だが、保有する不動産の価値は30億円(推定)のため売られにくい。

■結論
売られにくい株で成長ストーリーもあるが、しこり玉があるので買う気になれない。株価が700円くらいに落ちた時か、出来高をつけて850円を抜けた時に買おうと思う。

2017年4月14日金曜日

ビッグチェンジ銘柄

『伝説のファンドマネージャーが実践する株の絶対法則』(林則行)によると、投資で最も大事なのは細かいことにとらわれず、大きな変化を見ることだという。

会社に大きな変化を引き起こす要因は「時流に乗っている」「市場でオンリーワンの存在となっている」「政府の施策の恩恵がある」の3つで、4月9日の日経ヴェリタスにそんな銘柄群が載っていたのでまとめていく。

日経ヴェリタスで特集していたのは「イノベーション株」になる。イノベーション株には新たな領域を開拓する市場創造型、本業で培った技術をもとに第2の本業を構築する増築型、ITなどを活用して本業を再構築する再生型の3タイプがあるという。

■市場創造型
・インフォマート
請求書の電子化というありそうでなかった新市場を開拓。サービス開始は2年前だが採用する企業は早くも13万を突破し、同社のサービスがデファクトスタンダード(事実上の標準)を握りつつある。経産省が中小企業の生産性を向上するIT導入に補助金を支給する(4月6日報)など政府の施策の恩恵も受ける。

・技研製作所
無騒音、無振動で杭を打ち込める世界初の圧入式杭打ち機を開発し住宅密集地や夜間の工事も可能にする。都心部ではほぼ100%技研の圧入機が採用されているという。東日本大震災後に政府は防災予算を拡充しており杭打ち需要は増加している。

・弁護士ドットコム
ネットでの法律相談と弁護士紹介という新市場を立ち上げた。これまで弁護士選びは弁護士会からの推薦や口コミに頼っていたが、それを自分にマッチした弁護士を依頼者が選ぶという市場を作りだした。

・サンセイランディック
地主から複雑な権利関係にある土地を買い取り、それを整理して再販する事業を手がける。複雑な権利関係なので複雑な行政手続きが必要になり、今まで一般の不動産会社は手を出してこなかった。高齢化を背景に土地を売りたい顧客ニーズは高まっており今後の見通しも良い。

・アイスタイル
化粧品の口コミサイト「@コスメ」を運営し市場を独占。化粧品のネット販売もはじめているが、化粧品のネット販売比率は4%と成長余地は大きい。百貨店の化粧品売り場を消滅させる可能性がある。

・ペプチドリーム
中分子薬の市場を開拓しつつある。新薬開発を一変させる可能性がある。

■増築型
・日特エンジニアリング
コイル製造機の最大手。コイル自動巻線機で培った古い技術をスマホやICカードなどの最新IT機器向けに転用し、需要は右肩上がり。政府は第4次産業革命を重要政策に掲げておりICタグの需要はさらに増える見込み。技術的に追いかけられる企業は少ない。

・日油
油脂や爆薬などの化学品が祖業だが人体に無害な油脂の特性を活かしてバイオ医薬品向けの材料を提供する。特に力を入れるのが薬を効率的に患部に届けるDDSという技術。ガン治療などに使う抗体医薬品向けが伸びている。

■再生型
・アスカネット
故人にふさわしい遺影に加工をする事業を手がける。全国の写真館が細々と手がけていた事業をネットを活用して全国展開。葬儀社に同社専用のスキャナーとプリンターを設置しているため遺影加工の依頼が途切れることはない。遺影の国内シェア3割を握る。

・日本動物高度医療センター
動物病院は全国に1万カ所以上あるが個人経営がほとんど。大学病院並みの設備と人員で重い病気の手術に特化し競合は少ない。

中小型株13 インフォマート ○

前項「ビッグチェンジ」のところで登場した銘柄。ビジネスモデルやチャートが良さそうなので詳しく調べてみる。

■どんな会社か
企業間の紙によるやりとりをIT化する事業を手がける。1998年の創業当初からこの事業に特化し、食品業界では最大の企業間電子プラットフォームを構築している。2年ほど前から他の業界にも進出し、インフォマートのシステムを利用する企業は急増している。

ビジネスモデルは利用企業数の増加に伴ってシステム使用料が増加していく典型的なストック型ビジネス。東証一部上場で時価総額は770億円。

■成長ストーリーは
「企業間電子プラットフォームをあらゆる業界に浸透させ、生産性の高い、ペーパーレス社会にする」というのが基本ストーリー。

インフォマートの現在の売上高の内訳は、食品業界の受発注システム部門が37億円、食品などの規格書を取り扱う部門が11億円、請求書等システム部門が12億円、その他事業が1億円となっている。その他事業以外では年率10%以上成長しており、中でも請求書等システム事業は今後の急速な伸びが期待できる。

<請求書システム>
企業間の請求書のやりとりは今までほとんどが紙だったが、発行、受け取りともに手間とコストが発生していた。これを電子化した場合、90%の時間短縮と80%のコスト削減をできるという。データの呼び出しも簡単で、紙や輸送エネルギーを使わないため環境にやさしいというメリットもある。
16年1月には改正電子帳簿保存法が施行され、電子保存をすれば企業側は請求書の原本を保存しなくてもよくなった。その意味でも普及に弾みがつきそう。

請求書システムは運用を始めてわずか2年で利用企業数が13万を超えている。会社の計画では18年3月期に100万社まで増やすという。そんなにすんなり進むとも思えないが、このシステムは2社間以上の取引なので利用企業がネットワーク状に広がる特徴がある。すでに日本のメガバンク3行や野村證券、サイバーエージェントなどに採用されており、それだけでも対象企業は膨大になる。インフォマートは大手企業を集中的に攻め、そこから自然に派生していくような戦略を採っている。

請求書事業が普及したら、同じクラウドプラットフォームで他のサービスも順次展開していくという。

インフォマートは2015年から2016年にかけて増資や大型投資をしている。今期に新システムが2つ稼働し、それでビジネスモデルはほぼ完成するという。2017年後半あたりから収穫期に入る。

■参入障壁(競争力)は高いか
市場独占型のプラットフォームなので非常に高い。

■問題点
・3月27日に創業社長が51歳の若さで急逝してしまったこと。ビジネスモデルはほぼ確立しており、創業メンバーが後を引き継ぐのでただちに業績に影響がでるということはなさそうだが、強力なリーダーシップが失われる可能性がある。

・システム開発会社から訴訟を起こされていること。ただ訴訟を起こしたeBase側はインフォマートが儲かりだしてから権利を主張しはじめているので、インフォマートのほうに多少、分がありそう。

■成長性と割安感について
今期は35%程度の成長率になり、今後3年間の予想成長率も同程度になる。現在のPERは45倍で指標面でそれほど割安感はない。

■戻り売り圧力はあるか
ほとんどなし。長期では非常に底堅い。

■チャートは
2014年7月頃に600円をつけ、現在も600円と3年間保ち合いが続いている。これはエネルギーをため込んでいると解釈でき、業績の急拡大とともに株価の急上昇が期待できる。
短期のチャートでは底値を徐々に切り上げているのも良い。

■まとめ
指標的に割安感はないが、業績が落ちにくいビジネスモデルと底堅いチャートのため下値不安は小さい。”ビッグチェンジ”の3要件を満たしているのも良かったので、ソリトンやフルスピードを売って590円で購入。600円以下でもう少し買い増す予定。

大スポのテーマ株投資3

大スポに月2回掲載されているテーマ株投資。今回良さそうな銘柄があったのでメモっておく。

■日本プラスト
謎の投資家・ミスターXのコメント「2年半前、タカタのエアバッグ問題が起きた時に特需発生と推奨した銘柄。未だにタカタはリコールの嵐で、米で破産法申請を検討してはいるものの決着がついてない。その間、一部の自動車メーカーは日本プラストにシフトしており、利益が倍増している。にもかかわらず株価はそれほど動いていない。5月の決算発表前に業績の上方修正があれば大きな動きが期待できる」。

<マイ・コメント>
第三四半期までの業績進捗率は96%に達しており、たしかに上方修正も期待できる。
四季報には「エアバッグや樹脂部品など自動車部品は北米牽引。小型車減税で中国想定超。18年3月期は高付加価値品シフトで売上横ばいも採算改善。エアバッグ増産も効く。【特 需】エアバッグの新規大型受注獲得し17年度下期から供給へ。増産対応で17年度設備投資は90億円規模の高水準を計画」とあり来期の業績も期待できる。

PERは6倍でチャートをみても底堅かったので1240円で購入。(今日の株価は1164円)

しかしながら会社のIRを見ても四季報に載っているような具体的な情報は一切書かれていなかったので長期はなし。

2017年4月7日金曜日

小型株12 フルスピード ○→△

4月4日の日経記事「新興企業の成長力ランキング20」のチャートをざっと調べてピックアップした銘柄。四季報や業績進捗を調べてPERを確認すると割安感があったのでその日のうちに購入。

今回の購入にあたって一番の動機になったのは一目均衡表(月足)の雲を上抜けしていたところ。
*今ブログを書いていて気づいたのだが、昨日、債権回収不能というIRが出たようだ。雲を下抜けする可能性が出てきてしまった(苦笑)。


よく調べないで買ったので詳しく調べて行く。

■どんな会社か
ネット広告の会社。ネットマーケティング事業とアドテクノロジー事業の二本柱。
ネットマーケティング事業とはサイトのアクセス分析やネット広告の仲介などを行う事業。
アドテクノロジー事業とはスマホ利用者の位置情報や検索履歴などを分析して最適な広告を表示する事業。

マザーズ上場で時価総額は150億円。

■成長ストーリー
”個人向けに最適化したネット広告で業績拡大”というのが基本ストーリー。

ネット広告は年率15%程の成長市場で、中でもスマホ向け動画広告は年率80%超の急成長市場となっている。

フルスピードのネットマーケティング事業は市場成長率と同等の15%程度の成長を続けており、この成長ペースは今後も続いていきそう。

フルスピードのアドテクノロジー事業は2016年、2017年に年率45%と急成長している。売上高は昨年ネットマーケティング事業を抜いており、今後はこの事業が牽引役になっていきそう。営業利益率はネットマーケティング事業の5%と比べ10%と高い。

今まで顧客はIT知識の乏しい中小企業が主だったが、大企業のクライアントも拡大しつつある模様。

2016年に開始した訪日客用の情報アプリも好調で100万ダウンロードを突破している。このアプリからも広告需要が期待できる。今は中国向けが主だが、今後は韓国など他のアジア圏にも展開していくという。

■他に良いところは
新指数の「JPX日経中小型株指数」に採用されたこと。新指数の構成銘柄数は200だがそのうちマザーズから選ばれたのは3つで、そのうちの1つに選ばれている。

社員の平均年齢は29歳と若く、平均給与も460万とそれほど高くないのも業績拡大には有利。

■参入障壁は高いか
すでに激戦区であり、参入障壁は高くはない。ただフルスピードの営業利益率は徐々に増加しているので競争力が高いのがわかる。2016年が営業利益率は6%だったが、今は7%に上がっている。会社の中期事業計画では2020年の営業利益率は8%と予想している。
*昨日の下方修正で2017年の営業利益率は5%に落ちてしまった。もしも債権回収不能がなかったら7.6%になる。

■他に問題点は
人手不足気味。フィリピンに開発拠点を設けたのはおそらくそれが原因。

■割安感はあるか
中期事業計画から今後の成長率を計算すると、2020年までは売上高成長率は年率13%、営業利益成長率は20%になる。来期の業績を踏まえると現在のPER20倍にはやや割安感がある。

フルスピードの時価総額は150億円で売上高は180億円あり、その観点からも割安感がある。

■ストック型かフロー型か
ストック型&フロー型

■地合いに問題はないか
マザーズ指数は100日移動平均線と200日移動平均線のゴールデンクロスが形成されているので中長期の上昇トレンドに入っている。


マザーズの長期の株価推移をみると1000のところに壁があり、今はそれをブレイクしているので、1000以下には落ちなさそうに見える。


■結論
ネット広告業界は競合がひしめていているので今までは見向きもしなかったが、調べてみるとそれほど悪くなさそうなのがわかった。戻り売り圧力もなく、業績は青空天井モードなので上値は軽そう。
*しかし昨日と今日で戻り売りの圧力ができてしまった。

目標株価は1750円。これは来期のEPSが70円でPERが25倍になったときの値。
損切りラインは一目均衡表(月足)の雲を下抜けした900円。もしくはマザーズ指数が200日移動平均線を下抜けしたとき。

4月4日に1060円で購入したのだが、今日の大幅下落で短期チャートは壊れてしまった。ただ今回の下方修正は一過性のものであり長期的な見通しに変化はないので株価が900円に達さないかぎりはホールド。

追記 2017年4月9日
今回の下方修正は一過性のものではなく、大口顧客を失ったということに気づいた。来期の業績に不透明感が出てきたので売却していく。


今気づいた事だが株価の動きが、冴えない親会社と連動している。なぜだろう?

■フルスピード

■フリービット

天井シグナル3 ヒンデンブルク・オーメン

ヒンデンブルク・オーメン(ヒンデンブルグの予兆)とは米国株市場のテクニカル的な株価暴落の前兆とされるシグナル。呼称は1937年に爆発したドイツの飛行船ヒンデンブルク号に由来し、オーメンとは「良くないことが起こる前兆」という意味がある。

このシグナルが発生すると株価は1ヶ月以内に80%の確率で5%超下落するとされる。そこから重大なクラッシュに発展する確率は25%で、1985年以降に米市場が暴落した際はすべてこのシグナルが発生しているという。

以下の四つの条件が同じ日に起こった時にシグナルは点灯する。
1.米市場での新高値銘柄と新安値銘柄の数がその日の値上がり・値下がり銘柄合計数の2.8%以上
2.ダウ平均株価が50営業日前の株価を上回っている
3.短期的な騰勢を示すマクラレンオシレーターの値がマイナス
4.新高値銘柄数が新安値銘柄数の2倍を超えてない

直近では2017年3月13日に発生している。
2015年12月2日にこのシグナルが点灯したときは20日後から暴落が始まり2月にさらに暴落している。それ以前に発生したのは2013年4月5日と2014年9月23日。

■NYダウ 

■日経平均

参考 ヒンデンブルグオーメン指数(毎営業日更新)
   2017年3月23日日経
   ヒンデンブルグオーメンとは何か

追記2018/01/12
2017年は6回点灯しているが大幅下落はおきず。点灯したら80%の確立で下落するというのは誤りで、それほど使える指標ではないことがわかった。

トランプ政策が議会を通らない理由

トランプさんの政策が議会を通らないのは、トランプさんの政策自体に問題があるのが主な要因だろうが、トランプさんは他の議員に”貸し”がないのも1つの要因ではないかと思う。

社会心理学者によると、人を動かす上で最も強力に働く原理はギブアンドテイクの原理だという。他の人にあたえたものが無駄にならないと確信できることは社会の進歩に不可欠で、ギブアンドテイクの拘束力からは誰も免れることはできないらしい。

リンドン・ジョンソンは大統領に就任した時、周囲の予想を覆して、自分の法案をどんどん国会で通過させたという。その理由はジョンソンの政治的手腕というより、彼が長年にわたって他の議員たちに与えておいた恩恵が積もり積もっていたからといわれている。

一方、ジミー・カーターやクリントンなどワシントンの外からやってきた大統領は大統領就任初期には法案がほとんど通らなかったという。

政治経験ゼロのトランプ大統領はワシントンの外から来たというだけではなく、他の議員に政治的恩義をまったく与えていないので、そういう意味でも法案通過はかなり厳しいのではないかと思う。

参考:「影響力の武器」