2018年6月8日金曜日

月1の売買チェック

■売り
・テラスカイの大半を売却。損益-26 %。
株価が節目の3000円を下回り、ビジネスモデルが弱いので売り。「下がりにくい成長株」に投資したつもりだったが大きく下げてしまった。今回の敗因はビジネスモデルを重視しなかったことと、増資に関する知識不足と、体調不良あたりになる。

■買い
・シンクロフードを新規買い
ビジネスモデルが強そうだから。(詳細は次項)

・パーク24を新規買い
カーシェアプラットフォーム事業が国内断トツだから。買収した海外駐車場事業はITによる効率化で利益率が向上しそうだから。ただ増資リスクがあるので買い増しはなし。

・コンテックを新規買い
3日前の大スポで紹介されていた会社。ここはエッジコンピューティング向けの産業用PCを製造している会社で、親会社がダイフクのためそのノウハウが豊富。ファナックのAIロボに対応した機器も製造している。ファナックと共同開発しているプリファードネットワークスの最高技術責任者は「膨大な量のデータが発生する現場ではクラウドでデータ処理をすることができないため、現場にコンピューターを置いて処理するエッジコンピューティングが主流になる」といっている。 

シンクロフード

かねてから注目していた会社。ビジネスモデルが強そうで、株価が射程圏内に入ってきたので調べてみた。

■どんな会社か
・飲食店向けの総合プラットフォーム事業を手がける。

■ビジネスモデルの強度は ★★★★
<参入障壁は高いか> ★★★
飲食店向けのプラットフォーム事業には、物件探しから、求人、店舗デザインなどいろいろあるが、どの分野においても競争は激しい。今のところシンクロフードが独占している領域はない。しかし様々な領域を総合しているプラットフォームはここだけであり、会員数の増加とともに、徐々に“堀”を固めつつある。

売上の7割を求人プラットフォーム事業で稼ぐが、このプラットフォームの利用者はシンクロフードが運営する自社メディア事業など他のプラットフォームからの来場者が多いので、営業コストがそれほどかからない。そのため競合他社の3分の1程度の価格で求人広告をのせられるなど圧倒的な価格競争力がある。

<ストック型収益か> ★★★★
プラットフォーム事業なのでストック型になる。利用者の増加に伴い収益も向上していく。会員数はここ数年は年に1万ずつ増えており、現在の会員数は13万になる。会社は潜在事業者数を68万と見積もっており、2023年までに会員数を20万まで増やす目標を掲げている。

<時流にのっているか> ★★★★★
アナログな領域をITで効率化していくのは今のトレンド。

総合的に見てビジネスモデルは最強というわけではないが、そこそこ強そうに見える。そもそもここの経営陣はビジネスモデルを考えるプロであるコンサル出身なので、ここらへんはそれほど心配しなくていいのかもしれない。

■妥当な株価はどのくらいか
過去1年の累積売買高から判断すると、2017年に大部分の投資家が見積もる妥当な株価は600円程度になる。利益率が一定の場合は売上の伸び率だけ株価も上昇するので、今後3年の売上高成長率を年率30%程度と見積もると、2018年度の平均株価は780円程度になる。
<1年チャート>


現在の株価は791円であり、ビジネスモデルも悪くないので、今が買い時のようにも思えるが少しひっかかることがある。

■問題点
株価が3月の高値1700円から窓を開けずに着実に下がり続けている。週足では13週連続で陰線がでている。一部の機関投資家が撤退しようとしているのがわかる。またモルガンスタンレーは2017年11月の株価が600円のときから空売りを始めている。今の株価は割高な可能性がある。
<2年チャート>

何か問題を見落としていると思うのだが、今のところそれが何なのかわからない。
・業績の牽引役である求人プラットフォーム事業の競合がリクルートなどで勝ち目が薄い?
・競争激化で収益力が低下していく?
・海外展開も考えているようだが、いまさら?
・あと1,2年で日本の景気がピークアウトするから?
・2016年の上場直前に設定したストックオプションが株価100倍を達成し、それを売却した社員の士気が低下する?
・高値からのただの調整にすぎない?

思いつくのはこのあたりになるがどれも決定打にかける。とりあえず800円で少し買ってみたが、しばらく様子見を続けようと思う。

太陽ホールディングス

少数選抜投資を手がけるみさき投資が2017年10月に大量保有報告書を出した銘柄。

みさき投資は太陽ホールディングス以外に過去4銘柄で大量保有報告書をだしているが、株価は報告書の提出後に大幅に上昇している。

みさき投資の投資手法は、まず「長期投資に値するか」という観点から決算書などを徹底的に調べ上げ、いったん投資先が決まれば、経営陣に助言して投資家の考えを経営に組み入れていくというもの。ここでいう投資家の考えとは「長期的に最も企業価値を向上させる」ものになる。

過去の4銘柄はいまいちピンとこなかったのでスルーしたが、太陽ホールディングスは事業がわかりやすく、また大量保有報告書を出してから株価がちょうどいい感じで調整していたので調べてみた。

太陽ホールディングスはスマホなどのプリント配線基板に使う絶縁膜(ソルダーレジスト)を作っている会社で世界シェアは5割超。売上の9割をこの事業が占め、営業利益率は平均20%超と高い。しかしこの分野の成長率は年率3~4%程度とそれほど高くない。

事業の柱が1本しかないので今後は多角化していくという。その中心になりそうなのが医薬品製造事業になる。医薬品の製造は絶縁膜の製造と同じようなものらしく、会社が持っている製造ノウハウをいかせば、医薬品を低コストで製造できるという。

投資における問題点は、事業が為替や半導体市況の影響を受けやすいなどいろいろあるが、一番の問題点は力強い成長ストーリーを描きにくいところにあるように思う。絶縁膜の成長率は低く、医薬品製造事業も収益に貢献してくるのは4,5年先になる。おそらく今後の株価上昇の起点となるのは2017年のDICとの資本業務提携やみさき投資の助言あたりになる。

株価は累積売買高的には今が妥当なところという感じ。今後の見通しや財務状態、配当性向が良いため今以上は下がりにくいように思う。しかし2017年11月に中外製薬から特許切れの医薬品を買ったところから大きく下がり、足下の株価の上には過去2年分の戻り売り圧力がたまっているので上値は重そう。とりあえずここもしばらく様子見しようと思う。
<2年チャート>


■ビジネスモデルの強度 ★★★☆
・参入障壁は高いか 過去の営業利益率から判断すると参入障壁は高い ★★★★
・ストック型収益か フロー型になる。しかし需要は安定しておりリピーターは多そう ★★★
・時流に乗っているか 半導体や医薬品のコストダウンはメガトレンド ★★★

参考:みさき投資の投資哲学
  「投資される経営 売買(うりかい)される経営 」(中神 康議)

月1の持ち株チェック

保有比率の高い順に見ていく。

■弁護士ドットコム
基本シナリオ:法律関連で国内最強のプラットフォーマーに
本決算は出来過ぎな感じだった。全セクターが伸びており、決算説明では今後も順調に伸びていきそうなことが確認できた。ただクラウドサインについては、競合のドキュサインにすでに外堀(海外)を固められており、投資額も100倍くらい違うので、やや不透明感がある。今後3年の売上高成長率は年率30%程度。今年の予想平均株価は1900円(変動率±30%)

■ペプチドリーム
基本シナリオ:ペプチド創薬で世界最強のプラットフォーマーに
今期最終日まであと20日しかないが、それまでに50億円稼げせそうにないので下方修正する可能性が高くなってきた。研究開発のほうはおおむね順調に進んでいるようだが、私の当初の予想よりも収益の成長が1年分くらい遅れているので、しばらく株価はボックス圏で推移するかもしれない。今後3年の売上高成長率は年率35%程度。今年の予想平均株価は4600円(変動率±35%)

■東武住販
基本シナリオ:人口減のため中古再生住宅はメガトレンドに。支店を増やして売上拡大。
特に問題なし。今年の予想平均株価は1700円(変動率±30%)。今後3年の売上高成長率は年率15%程度。

■朝日ネット
基本シナリオ:IOT需要を捉えて業績拡大
基本シナリオは微妙な感じになってきたが、大学向けのシステムプラットフォーム構築事業などのストック型収益が積み上がってきているので特に問題なし。ただ業績の伸びが弱いため株価は横ばいが続きそう。今後3年の予想売上高成長率は年率6%程度でEPS成長率は15%程度。今年の予想平均株価は550円(変動率±15%)。

■厳選ジャパン(投資信託)
基本シナリオ:ビッグチェンジ銘柄投資でテンバガー達成
地合いが直近のピークを回復していないにもかかわらず、ここの基準価額は一時的にだが最高値を突破してきた。やはりプロは運用がうまい。今年の予想基準価額上昇率は30%程度で予想平均価額14000円(変動率±30%)。

■シンクロフード
基本シナリオ:飲食店向け総合プラットフォームで国内最強に
株価がどこまで下げるかまだわからないが、今のところビジネスモデルに致命的な問題は見当たらない。今後3年の予想売上高成長率は年率30%程度。今年の予想平均株価は780円(変動率±40%)。

■スパークス
基本シナリオ:株式市場が盛り上がり、投信を手がけるスパークスの株価も上昇
特に問題なし。今年の予想平均株価は390円(変動率±40%)

■テラスカイ
基本シナリオ:クラウドシフトの波にのって業績拡大
クラウドシフトの波には乗っているようだが、競争激化で収益力は低下傾向。会社が新社屋に移り「エンジニアの楽園化」計画は順調に進んでいるようだが、投資先としては微妙になってきた。チャートは“鉄板”ラインを下抜け。中期チャートではWトップを形成したようにも見える。ただテラスカイが30%程度出資しているサーバーワークスがホームページをリニューアルしたので、近々上場するかもしれない。とりあえず6月いっぱいはそれを待って、あてがはずれたら損切していく。今後3年の売上高成長率は年率30%。今年の平均株価は3500円程度?(変動率±30%)。

■パーク24
基本シナリオ:カーシェア事業と海外駐車場事業の効率化で利益拡大
増資リスクはあるが、長期的な見通しは悪くない。今後3年の売上高成長率は5%で利益成長率は10%程度。今年の予想平均株価は3200円(変動率20%)。

■コンテック
基本シナリオ:ダイフクとファナック向けのエッジコンピューティング機器で業績拡大
ほぼ未調査だが、四季報をざっと見た限りでは特に問題なさそう。チャートも問題なし。今後3年の売上高成長率は5%で利益成長率は10%程度。今年の予想平均株価は2400円(変動率20%)。

■今後の戦略
今後も小型株投資をしていくが、小型株は景気拡大の最終局面では賃金や原材料コストの上昇により収益が圧迫され売られやすくなるというので、慎重にいく。

月1の市場環境チェック

株式市場への影響が大きい金利、金融政策、企業業績を重点的にチェックしていく。

■ファンダメンタルズ
<インフレ>
・米国の予想インフレ率は2018年度が2.4%。4月は2.4%、5月は2.5%。
・欧州の予想インフレ率は2018年度が1.5%。4月は1.3%、5月は1.9%。
・日本の予想インフレ率は2018年度が0.9%。4月は0.9%、5月は0.7%。
→特に問題なし。

<金利>
・米国の短期金利は2.50%で長期金利は2.93%。
・日本の短期金利と長期金利はともに0%。
→米国の長期金利は上がり始めているが、日本や欧州の金利は低いままなので3%程度で落ち着きそう。
→短期金利が長期金利を上回ると景気後退に陥るといわれるが、もうしばらくは大丈夫そう。
→実質長期金利(名目長期金利-インフレ率)が潜在成長率を上回ると景気後退に陥るといわれるが、足下の実質長期金利は0.4%で潜在成長率の1.7%を下回っているので特に問題なし。

<債務>
・米国の民間債務残高はGDP比150%で横ばい傾向。
・日本の民間債務残高はGDP比150%で横ばい傾向。
・中国の民間債務残高はGDP比200%で現在も上昇中。日本のバブル期のピーク220%に近づきつつある。
→やや問題あり。中国の債務は高水準。
→先進国の民間債務は大きく膨らんでないので今回は極端なバブル崩壊はないのかもしれない。

<金融政策>
・米国は引き締めに転じている。
・日本は金融緩和を継続しているが限界に近づきつつある。
・欧州は量的緩和を2018年9月まで延長。利上げは早くても18年9月以降になるが、現時点でなんのアナウンスもしていないので当分先になりそう。
・世界の量的緩和は2017年3月にピークをつけ、その後は減少傾向にある。2019年には明確なマイナスへ転じる。
→やや問題あり。引き締め速度は穏やかだが全体的に引き締め傾向。

<経済成長率>
・世界の2018年のGDP成長率は3.9%、2019年も3.9%と良好。
・米国の2018年のGDP成長率は2.9%、2019年は2.7%と良好。
・欧州の2018年のGDP成長率は2.4%、2019年は2.0%と良好。
・日本の2018年のGDP成長率は1.2%、2019年は0.9%とまずまず。
*今月から世界銀行の予測値から、IMF(国際通貨基金)の予測値へ変更。
現在、世界同時成長が起きており、このような状態は通常2,3年続くという。ただしこのような世界同時成長は景気サイクルの終盤に見られる特徴的な現象とも言われている。
世界同時成長は海外で6割を稼ぐ日本企業には追い風になる。
→問題なし

<EPS成長率>
・世界株式の2018年の予想EPS上昇率は11%、2019年も11%。
・アメリカの2018年の予想EPS上昇率はは20%(うち減税効果分が8%)。
・日本株式の2018年の予想EPS上昇率は10%。
→少し問題あり。もし為替が105円程度で落ち着くと日本の今期のEPS成長率は0%になる。今年の為替は105円から115円のレンジ内で動きそう。

<政治>
・日本は安定。ただ予想以上に森掛問題が長引いているので、なんらかのきっかけで安倍首相が辞任するかもしれない。
・海外の政治は不安定だが特に問題なし。

■テクニカル
・ディストリビューションデー
日経平均 5日
ダウ 4日
ナスダック 4日
→特に問題なし

・トレードインディケーター
危険度 11月43% →12月62% →1月69% →2月74% →3月52% →4月52% →5月36% →6月43%
参考:eワラントのトレードインディケーター
→特に問題なし

・騰落レシオ
日経平均 99
ダウ 126
ナスダック ?

・信用評価損益率
ー9.99%

■まとめ
中期的には特に問題なし。

テスラの破綻型ビジネスモデル

テスラ・モーターズはカリスマ経営者のイーロン・マスク氏が経営する電気自動車を作る会社だが、マスク氏はカリスマといわれている割にはビジネスモデルが脆弱に見える。

まず電気自動車の参入障壁は低い。その低さは運送会社(独DHL)が自前で電気自動車を作れるほどで、中国では新興企業が続々と参入してきている。またトヨタやフォルクスワーゲンなどの大手自動車メーカーも参入してきており、競争が激化しつつある。

マスク氏は「シノベーションの速度を上げて競争に勝ち抜く」と言っているが、そのイノベーションでさえも真似できるような状況で差異化を図り続けられるのだろうかと思う。加えて資金と知見の豊富な大手自動車メーカーがそれを上回るイノベーションを起こしてくる可能性もある。

こう考えていくと、テスラは今後じり貧になっていくのではないかと思う。中国や欧州に工場を作るともいっているが、そんなことをしたらあっという間に潰れてしまうのではないかと思う。

マスク氏はかつてペイパルのCEOに就いていたが、当時、その無謀な戦略からCEOの職を解かれている。今回も無謀な戦略を実行しているのかもしれない。