2018年7月6日金曜日

月1の市場環境チェック

株式市場への影響が大きい金利、金融政策、企業業績を重点的にチェックしていく。

■ファンダメンタルズ
<インフレ>
・米国の予想インフレ率は2018年度が2.4%。5月は2.5%、6月は2.8%。
・欧州の予想インフレ率は2018年度が1.5%。5月は1.9%、6月は1.9%。
・日本の予想インフレ率は2018年度が0.9%。5月は0.7%、6月は0.7%。
→米欧のインフレ速度は高まりつつあるが、今のところは特に問題なし。
*株式市場にとって一番良いのは低インフレ(低金利)になり、最悪なのがデフレになる。

<金利>
・米国の短期金利は2.55%で長期金利は2.83%。
・日本の短期金利と長期金利はともに0%。
→米国の長期金利は上がり始めているが、日本や欧州の金利は低いままなのでしばらくは3%程度が続きそう。
→米国の短期金利が長期金利を上回ると景気後退に陥るといわれるが、まだ大丈夫。
→実質長期金利(名目長期金利-インフレ率)が潜在成長率を上回ると景気後退に陥るといわれるが、足下の実質長期金利は0.4%で、潜在成長率は1.8%。

<債務>
・米国の民間債務残高はGDP比150%で横ばい傾向だが、米企業債務はGDP比33%と過去最高水準に達している。
・日本の民間債務残高はGDP比150%で横ばい傾向。
・中国の民間債務残高はGDP比200%で現在も上昇中。日本のバブル期のピーク220%に近づきつつある。
→米企業と中国は債務がピークに達しつつある。アメリカは金利の上昇、中国は金利の上昇に加えて人口のピークアウトなどにより、債務圧縮局面(景気後退期)に入りそう。
→この10年で債務を最も膨らませたのは各国政府と中銀になるが、もしここがなんらかのきっかけで債務を圧縮することになれば株式市場は崩壊する。

<金融政策>
・米国は引き締めに転じている。
・日本は金融緩和を継続しているが限界に近づきつつある。
・欧州は量的緩和を2018年12月まで延長し、利上げは早くても19年の夏以降になる。
・世界の量的緩和は2017年3月にピークをつけ、その後は減少傾向にある。2019年には明確なマイナスへと転じる。
→やや問題あり。引き締め速度は穏やかだが全体的に引き締め傾向。
*アメリカはトランプ大統領の財政出動により次の景気後退期の策は金融政策しか残されていない。そのためFRBは粛々と金融縮小を進めていくしかない。
*日本は次の景気後退期に、ヘリマネなどの禁じ手をのぞけば、金融面でも財政面でも打つ手がない。

<経済成長率>
・世界の2018年のGDP成長率は3.9%、2019年も3.9%と良好。
・米国の2018年のGDP成長率は2.9%、2019年は2.7%と良好。
・欧州の2018年のGDP成長率は2.4%、2019年は2.0%と良好。
・日本の2018年のGDP成長率は1.2%、2019年は0.9%とまずまず。
現在、世界同時成長が起きており、このような状態は通常2,3年続くという。ただしこのような世界同時成長は景気サイクルの終盤に見られる特徴的な現象とも言われている。
世界同時成長は海外で6割を稼ぐ日本企業には追い風になる。
*半面、海外の景気後退期は日本企業にとって強い向かい風になる。このような経済構造に円高効果が加わり、日本株は米国株の1.5倍くらい下落する。
*アメリカの財政支出の効果は2019年に切れるので20年以降に景気後退リスクがある。
→中期的には特に問題なし

<EPS成長率>
・世界株式の2018年の予想EPS上昇率は11%、2019年も11%。
・アメリカの2018年の予想EPS上昇率はは20%(うち減税効果分が8%)。
・日本株式の2018年の予想EPS上昇率は10%。
*もし為替が105円程度で落ち着いた場合、日本の今期のEPS成長率は0%になる。今年の為替は105円から115円のレンジ内で動きそう。

<政治>
・日本は安定。
・海外は不安定。アメリカと中国の覇権争いは、ハイテク・軍事分野を中心に今後長期に渡り続きそう。ただ両国とも持ちつ持たれつなところもあるので、すぐに景気後退に陥るほどの貿易戦争には至らないように思う。そもそもアメリカが強気に出られるのは自国経済が好調なためであって、不況に陥ってしまえば自国経済を傷つけもする関税は引き上げられなくなるから。

<その他の景気後退シグナル>
・米国の需給ギャップがプラスになると景気後退に陥ると言われているが今は-0.3。
・コモディティ、米国債、米国株、ドルの4資産の値動きで、年間収益が高い順位が、コモディティ、米国債の順番になるとその翌年に景気後退が起きると言われているが、今年は今のところコモディティ、米国株の順。
・景気拡大期の終盤は鈍化した成長率を上げるため巨大M&Aが盛んになるといわれているが、今はまさにその状態。


■テクニカル
・ディストリビューションデー
日経平均 5日
ダウ 5日
ナスダック 3日
→特に問題なし

・トレードインディケーター
<サムモデル>「買い」
危険度:11月43% →12月62% →1月69% →2月74% →3月52% →4月52% →5月36% →6月43% →7月39%

<オノダモデル>「売り」
2018/1/18に「買い」から「売り」に転換。2018/2/20に「売り」から「買い」に転換 。2018/5/18に「買い」から「売り」に転換 。
*今月からオノダモデルも採用。中期のトレンド判断には使えそう。
参考:eワラントのトレードインディケーター

・騰落レシオ
日経平均 78
ダウ 112
ナスダック ?

・信用評価損益率
ー11.57%

■まとめ
中期的には特に問題はなさそうだが、米中間選挙が終わる11月頃までは上がりにくそう。

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