2024年1月1日月曜日

マクロ系金融指標

市場の仕組みを理解しやすい順番でみていく。

■米10年金利
今後1年の予想レンジ:2.0%~4.3%の間で推移

米長期金利に影響する要因を、影響の大きい順にみていく。
・経済成長率+インフレ率→
長期金利の基準値は経済成長率+インフレ率になる。2024年の米GDP成長率は+1.4%程度、インフレ率は+2.5%程度になる。

*過去の例では、米国のインフレ率がピークアウトした約1年後に米長期金利もピークアウトしていることが多い。今回のインフレは2022年の9月頃にピークアウトしているので、米長期金利も2023年10月頃にピークアウトした可能性が高い。10/21ヴェリタス

・金融政策↓
FRBはインフレが落ち着いてきたとして政策金利の引き上げをやめた。2024年に3回の利下げを実施し、2024年末の政策金利は4.5~4.75%になる予定。12/15日経

*政策金利が中立金利(2.4%)を超えると、景気(長期金利)には下押し圧力がかかる。

FRBは国債などの保有資産を年間7200億ドル(約108兆円)のペースで売却している。今後2年間そのペースで資産を売却していくと、長期金利には1%近い上昇圧力がかかる(日経日経10/26ブルームバーグ)。ただ利下げと矛盾した政策になるので、保有資産の売却もやめる可能性がある。

・財政悪化による国債増発↑
米政府の財政はコロナ禍以降、大きく悪化しており(日経10/19日経)、今後も悪化し続ける可能性が高いため(12/9ヴェリタス)、米財務省は米国債の発行を段階的に増やすと公表している(日経日経ヴェリタス日経日経)。金利が高止まりした状態では公的債務の利払い費も増加し、財政はさらに悪化する。日経10/21日経

格付け機関は米政府の財政悪化懸念から米国債の格付けを下げている。格下げも長期金利上昇の一因になる。

・リスクオン・リスクオフ↑
米景気は比較的堅調で、利下げ局面に入ったのでリスクオン気味。

・米国債の人気上昇→
米長期金利は海外の主要先進国の長期金利よりも高いので、海外勢から買われやすい。2022年の買越額は約100兆円と過去最大になっている(日経)。しかし今は米国外の先進国の金利も上がっているので、海外勢は米国債の購入を減らしている。

世界最大の米国債保有国の日本においては、米国債利回りから為替ヘッジコストを差し引くと利回りがなくなってしまうので、一部の金融機関は米国債から日本国債に資金をシフトしている(日経)。日銀が長期金利の変動許容幅の上限を引き上げたことも日本勢の国内回帰を促している。日経

日本の次に米国債を多く保有する中国は、米国との対立や人民元安阻止のために米国債をコツコツと売却している。日経10/28日経

・資金需要の低下、金余り↓
第4次産業革命の主役はデジタル企業になるが、デジタル企業は設備投資のための資金需要が少ない。少子高齢化の影響で借り入れ需要も減っている。

金余りで運用難に陥っている米金融機関や米企業は多く、そういうところがこぞって米国債を買っている。日経日経

・潜在成長率の低下↓
生産性の伸び悩みなどで潜在成長率は低下傾向にある。

・チャート↓
<10年チャート> 天井を打ったように見える。ただ下降トレンドに転換するかはまだ不明。


■WTI原油
今後1年の予想レンジ:60ドル~110ドルの間で推移

原油価格に影響する要因を、影響の大きい順にみていく。
・需要↑
原油の需要は世界経済成長率にほぼ連動する。2024年の予想世界GDP成長率は2.8%になる。

長期では、再生可能エネルギーの増加や学校・職場のリモート化などにより石油需要が減少する可能性が高い。仏トタルや英BPは2030年頃に石油需要がピークアウトすると予想している(ヴェリタス日経)。

一方で、世界人口増や再生エネルギー開発の滞りなどが原因で石油需要が増えるという見方もある。米エネルギー情報局(EIA)は2050年の石油需要が2020年比で4割増になると予想している(日経ヴェリタス)。英シェブロンは2023年から45年にかけて石油需要は約15%増加すると予想している。11/1日経

・供給↓
OPECプラスは1バレル90ドル前後の水準を維持することを目的に減産に動いていたが、直近ではOPEC内の足並みが乱れ始めている(12/2日経12/23日経)。米国ではシェールオイル採掘への逆風や採掘コスト増などからこれまで増産ペースが鈍かったが、直近では原油高を背景に産油量が急増している。11/7日経

長期では、脱炭素の潮流を受けて油田開発投資が大きく減少しており(日経)、再生可能エネルギーの普及には時間がかかるので、大幅な供給不足に陥る可能性がある。

・産油国で不測の事態が起こる↑
中東では石油施設へのテロ攻撃が度々起きている(日経)。パレスチナではイスラム組織「ハマス」とイスラエル軍の戦闘が激化しており、中東諸国の原油に影響するとの懸念がある(10/11日経)。ただ影響は軽微なものにとどまりそうでもある。10/14ヴェリタス

*石油(エネルギー)は人間にとって食料と同じ生活必需品のため、わずかでも不足が生じると価格が跳ね上がりやすい。

・産油国、産油企業、再生可能エネルギーの採算ライン↓
サウジアラビアで財政均衡に必要な原油価格の水準は1バレル85ドル(11/7日経)、ロシアでは80ドル、アラブ首長国連邦(UAE)は75ドル(日経)、米産油企業の採算ラインは50~80ドル、再生可能エネルギーは30~80ドルになる。原油価格はこの範囲内に収まりやすい。

・リスクオン、オフ↑
リスクオン気味。
*原油は株式と同じリスク資産なので、リスクオフ時には売られやすい。

・インフレ対策↑
原油などの商品はインフレヘッジ手段になる。足元ではインフレ対策としても買われている。

・為替↓
原油はドル建てのため、ドル高になると原油価格に下押し圧力がかかる。足元ではドル高基調。

・チャート→
<10年チャート> チャート的には落ち着いた感じ。60ドルを底にボックス圏で推移しそう。


■ドル円
今後1年の予想レンジ:120円~145円の間で推移

為替に影響する要因を、影響の大きい順にみていく。
・日米金利差↓ (↑は円安方向、↓は円高方向)
<短期金利>
日米の金融政策の違いから、日米の短期金利は現在約5%開いている。ただ今後は両国の金融政策が転換し、その差は徐々に縮まっていきそう。

金利差拡大によりキャリー取引が増えている。
*キャリー取引とは金利差を狙った取引。短期金利差が大きくなると低利通貨を売り、高利通貨を買って、金利差で収益を得る取引が盛んになる。
*世界で唯一マイナス金利政策を続ける日本の円は、キャリー取引の調達通貨として選ばれやすい。
*市場が荒れ始めると金利収入以上の為替差損を抱えるリスクが増すので、手仕舞われやすくなる。

<長期金利>
米長期金利と日本の長期金利の差は3%くらいあるが、その差は縮まり始めている。

・日本の経常収支↓
円安や資源高、産業競争力の低下(日経)などにより、22年度の貿易赤字は過去最大の約19兆円に達している(経常収支は9兆円の黒字)。2023年は資源価格の下落や円安による企業業績の上振れなどにより、経常収支は約24兆円の黒字になりそう(12/28日経)。2024年も比較的高水準な経常黒字になりそう。

・米国の経常収支↑
米国は経済が強いので経常収支は改善傾向にある。

・リスクオン、オフ↑
リスクオン気味。

・日米の経済の強さの違い↑
資金は経済の強い国へ流れ、その国の株式や債権、不動産などが買われる。デジタル革命を主導する米経済は相対的に強いのでドル資産が買われやすい。
*日本の個人投資家は2021年に海外株を8兆3千億円買い越しており、その約9割は米国株になる。同年の日本株の買越額は280億円になる。日経日経

・日本企業の対外直接投資↑
国内需要はほぼ頭打ちなので、日本企業は海外での直接投資を増やしている。ここ数年は年12~22兆円の買い越しが続いている。

・国内投資家の対外証券投資↑
日本の機関投資家は国内の超低金利で運用難に陥っているので、高い運用利回りが見込める海外債権や株式などを買っている。個人投資家は成長力の高い海外株を買っている。ここ数年は両者合わせて年10兆円超の買い越しが続いている。

・海外投資家の国内証券投資↓
円調達時の上乗せ金利(ベーシススワップ)が低く、日本国債の金利は安定しているため、ここ数年、海外投資家は日本国債を年10兆円程度のペースで買い越している。日経日経11/15日経

・投機筋の持ち高↑(「円 投機的ネットポジション」で検索)
投機筋は円を大きく売り越している。円が下落するとみている。
*ドルを売り持ちした場合はスワップポイント(金利差分)を支払わなければならないので、ドル売りが長く続くことは少ない。
*スワップポイントはドル買い時よりもドル売り時の方が高く設定される傾向がある。例えば、日米短期金利差が約3%あった2022年9月にドルを1万ドル買った場合、1日の金利差収入は92円くらいになるが、ドル売った場合は金利差損失が1日159円くらいになる。日経

・ドル需給↑
FRBがドルを大量供給しているのでドルはだぶつき気味だったが、米長期金利の上昇や、ロシアやアルゼンチンの通貨不安、中国経済の先行き懸念などにより、ドルの需要が高まっている。

・米制裁によるドル離れ↓
米国は対立する国に「ドル取引の制限や禁止」といった金融制裁を課すことがある。現時点で米国はロシアやイラン、トルコ、中国などに金融制裁を課しており、これらの国は米国債の保有を大きく減らしている。今のところドル離れは一部に留まっているが、今回のロシアへの制裁(ロシア中銀が保有するドル資産凍結)をきっかけに、ドル離れが加速する可能性がある。日経日経

購買力平価
物価が上がると(インフレが進むと)、物やサービスを買うときにより多くの額のお金が必要になるが(購買力は下がるが)、物価が下がると(デフレが進むと)、物やサービスを買うときにより少ない額のお金しか必用なくなる(購買力は上がる)。この物価変動に着目して二国間の通貨価値をならしたものが購買力平価になる。

インフレ率は日本より米国の方が慢性的に高いので円の購買力平価は長期的な円高傾向にある。ただ米国のインフレ率は年々低下しており日本のインフレ率との差が縮まってきているので、購買力平価の下降曲線はなだらかになってきている。

現在の購買力平価(企業物価)は90円になる。為替相場は長期的にはこの値に収斂していくとされるが、近年では投機取引の拡大や資本の自由化などから購買力平価の影響力は弱まっている。ヴェリタス9/30ヴェリタス10/14ヴェリタス

・日銀の財務状態の悪化↑
日本の長期金利が1%まで上昇した場合、日銀は債務超過に陥る。日銀は国債について満期保有を前提とした会計処理を採用しており、債務超過になっても日銀は自ら通貨を発行できるので資金繰りに行き詰まることはないが、円に対する信用は落ちる。
*日銀は長期金利が1%に上昇した場合、日銀が保有する国債に28兆円の含み損が生じ、5%に上昇した場合は108兆円の含み損が生じると試算している。日経

・日本政府の過剰債務↑
日本政府の債務は返済不可能な水準まで膨れ上がっており、2030年頃には臨界点に達し円の暴落が起きる可能性がある。米国政府の債務も返済不可能な水準まで積み上がっているが経済が強く、ドルは基軸通貨なのでドルの暴落は起きにくい。

・日銀が保有するETFの簿価割れ→
日銀の自己資本は約10兆円なのに対し、保有する日本株ETFは簿価で約35兆円ある。日銀の保有するETFの損益分岐点は日経平均株価21000円くらいであり、日経平均株価が15000円台まで下がると日銀は債務超過に転落する(日経)。ただ現時点でそこまで下がる可能性は低い。

・キャピタルフライト↑
日本は財政問題や経済低迷などの問題を抱えているため、日本人は円資産を海外資産にシフトし始めている。国内の家計の預貯金は約1100兆円あり、その1%(11兆円)でも海外に向かえば円相場へのインパクトは大きくなる。2024年に始まる新NISAでキャピタルフライトが加速する可能性もある。日経

・為替介入→
今後、円安を止めるために政府・日銀が為替介入する可能性がある。ただ売り玉(保有する米国債)は限られており、また単独介入のため、影響はほとんどない。

・チャート
<10年チャート> ダブルトップになりそうな感じ。ただ基調は強そうなのでならないかもしれない。


■日経平均
今後1年の予想レンジ:27000~37000円で推移

日経平均に影響する要因を、影響の大きい順にみていく。
・金融政策↑
世界の中銀の総資産と世界の株価指数はほぼ連動している(日経)。2023年まで各国の中銀は金融引き締めをしていたが総資産はほとんど減っていない。2024年は一転して金融緩和に転じそうなので、資金供給量は増えそう。現在、すでに金融市場は緩和気味になっており、ゴールドマン・サックスは現在の米国金融環境指数は1年4ヶ月ぶりの緩和水準にあるとしている。12/19日経

・金利↑
金利が上がると、株式から債権へ資金が流れやすくなる。足元で金利はピークアウトしつつある。

金利上昇により金融機関が保有する債券の含み損が膨らんでいる。金融機関の含み損率が高まると株式などのリスク資産投資が減少する。日経日経日経

・為替↑
円安が進むと海外勢から見た日本株は割安感が出る。現在、円の価値は過去最低水準にある。日経日経

現在、海外勢が日本株を買うときに為替リスクをヘッジすると、それだけで4%程度の金利差収入を得られる。日経

・需給↑
足元で海外勢は日本株を買っている。日本企業の自社株買いも活発。2024年からは新NISAが始まり、個人投資家の買いも期待できる。暴落したときは日銀が買い支えてくれるので、需給的に日本株は下がりにくい。

主な投資主体の売買動向
<2023年の結果>
日本銀行:買い支えで1500億円の買い越し。
事業法人:自社株買いで4.9兆円の買い越し。
海外投資家:日本企業の資本効率改善期待や中国株からのシフトなどにより3.3兆円の買い越し。
信託銀行(年金基金など):ポートフォリオのリバランスにより5.9兆円の売り越し。
金融機関:7.9兆円の売り越し。(*売っている理由は謎)
個人投資家:逆張り投資で2.6兆円の売り越し。

<2024年の予想>
日本銀行:買い支えで1000億円の買い越し。
事業法人:自社株買いで5兆円の買い越し。
海外投資家:日本企業の変化と世界経済のソフトランディング期待から2兆円の買い越し。
信託銀行:ポートフォリオのリバランスにより3兆円の売り越し。
金融機関:謎の理由で4兆円の売り越し。
個人投資家:新NISAや順張り投資で1兆円の買い越し。

・EPS(1株利益)↑
日経平均株価は基本的にはEPS(1株利益)× PER(期待度・人気度)で決まる。2024年の予想EPSは-5~10%になる。
ーーーーー
EPSに影響を与える外部要因をみていく。
・為替→
日本企業は海外で収益の6割を稼ぐので為替相場の影響が大きい。今は円安気味なので利益は増えている(11/25日経)。今後はいったん円高に振れそう。

・海外景気→
日本企業は海外で収益の6割を稼ぐので海外景気の影響を大きく受ける。足元の世界景気は比較的堅調だが、今後は徐々に悪化していきそう。

(・自社株買い→
自己株式はEPSを計算する際に分母の株式数から除かれるため、自社株買いにはEPSを押し上げる効果がある。日本企業は自社株買いに積極的で、23年の自社株の取得実績は約8兆2千億円になる。自社株買いが増える背景には豊富な手元資金や投資家の圧力、東証の資本効率改善要求がある。12/27日経
*自社株買いにはEPSを押し上げる効果があると思っていたが、12/29日経で、そうではないことがわかった。自社株買いをすると株式数は減るが、その分時価総額も減る。双方の減少割合は同じなので、理論的には自社株買いをしても株価は変わらない。*借金で自社株買いをした場合は別)

・失業率↓
失業率が低下すると賃金が上昇して企業収益を圧迫する。労働量力不足で成長が頭打ちになりやすい。現在の失業率は最低水準にある。

・減価償却費や資源価格→
減価償却費や資源価格(原材料費)が上昇すると利益が圧迫される。足元では減価償却費と資源価格は横ばい傾向。

・金融政策→
金融引き締めで金利が上昇すると企業の利益や資金調達環境は悪化する。現在、金融引き締めが終わりそうな感じになっている。
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・PER(期待度、リスク選好度)→
日経平均の過去のPERは11~17倍くらいだが、現在のPERは14.74倍と中央値にある。

・リスクオン、リスクオフ↑
リスクオン気味。

・株式利回り↑
東証プライムの益回りは約6.63%、配当利回りは約2.23%と、日本の10年国債の利回り0.625%より高いので、株式に資金が流れやすい。

・中国株からのシフト↑
中国の景気停滞リスクや地政学リスクから、中国投資離れが拡大している(日経)。その代替投資先の1つとして日本株が選ばれている。12/28日経

投機筋の持ち高
買い残は8000億円で、裁定売り残高は900億となっている。投機筋は日本株が上がるとみている。

・個人投資家の流入↑
日本の家計が抱える預金・現金は約1100兆円あり(日経)、コロナ禍の「巣ごもり」や「老後2000万円問題」などの影響で株式市場に個人投資家が流入している(日経12/26日経)。2024年に始まる新NISAでさらなる流入が期待できる(12/17日経12/23ヴェリタス)。ただ新NISAの資金の大半は海外株に流れそうな感じ。12/24日経12/26日経

・パッシブ運用の膨張↑
パッシブ運用にはストック効果(積み上げ効果)があるので、この運用が増えると株価は下がりにくくなる。現在、投信やETFでパッシブ運用の比率が高まっており、世界では44%、日本では73%まで高まっている。日経日経

・チャート↑
<10年チャート> 出来高を増やして新高値を突破しているので基調は強い。底は3万円くらいになりそう。


■東証グロース指数(グロース250指数 *旧マザーズ指数)
今後1年の予想レンジ:600~1000の間で推移

東証グロース指数に影響する要因を、影響の大きい順にみていく。
・金融政策↑
東証グロース指数は中銀の総資産残高の影響を全市場の中で最も受けるので、中銀の資産縮小時には真っ先に売られやすい。ただ、グロース指数はすでに金融緩和前の水準まで売られているので底を打ったように見える。

金利の上昇も小型グロース株には逆風になる。金利が上昇すると将来の成長期待で買われている小型グロース株はバリュエーションが低下しやすくなる(詳細は後述)。また小型グロース企業には赤字企業が多く、金利上昇時には成長資金を調達しにくくなる。借金の金利負担も重くなる。2024年は世界の中銀は金融緩和に転じそう。日銀は別かもしれないが。

・需給→
グロース市場は日銀の買い支えがなく、自社株買いもあまり期待できないため、相場下落時は下げ止まりにくい。ただ海外投資家は売り尽くした感があるので(ヴェリタス日経)、売り圧力はそれほど強くなさそう。個人投資家の含み損はまだ高水準にあるので(松井証券、信用評価損益率-20%)、個人の買いはあまり期待できない。

・EPS(1株利益)成長率
不明。

<グロース市場の反転シグナル>
信用評価損益率の急激な悪化は一つの反転シグナルになる。信用評価損益率が急激に悪化して、追い証回避の投げ売りが殺到すると、信用取引での買い持ちが急減して需給が軽くなる。過去の例では、そのタイミングで海外投資家が買いに転じるパターンが多い。

2007~2009年の金融危機では、2007年12月に信用評価損益率が-30%を超え、そこから約1年5ヶ月にわたってマイナス幅が30を超えている。この間にマザーズ指数は900台から300近くまで落ちている。当時も今も金融引き締めなど、似たような状況であり(ヴェリタス)、このような前例を踏まえると、2年の停滞が続いた東証グロース指数はそろそろ反発するのかもしれない。

<グロース250の10年チャート> デッドクロスを形成しており、移動平均線全てが下向きなので基調は弱い。ただ底値感があるので何かの拍子で反発しそうでもある。

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