2017年8月4日金曜日

苦瓜銘柄② グリーンズ

グリーンズは今年の3月に上場した会社だが、ファンドマネージャーの苦瓜氏が運用する「大和住銀日本小型株ファンド」では上場直後から筆頭銘柄になっている。7月23日の日経ヴェリタスで苦瓜氏が改めて紹介していたため興味が湧いた。

■どんな会社か
ホテルの運営を手がける会社。世界2位のホテル数を誇るアメリカのチョイズグループのノウハウで運営し、建物はリートやファンドからの賃借というローリスク・ローリターン型のビジネスモデル。営業利益率は10%程度。

主に駅前のビジネス向けホテルを手がけるが、レジャー向けやロードサイド型も手がけはじめている。

東証2部上場で時価総額は180億円。

■成長ストーリーは描けるか
・現在経営しているホテルは89棟だが、会社計画では2020年までにホテルを100棟まで増やすとのこと。すでに18年と19年に5店舗程度増やすめどはついているという。

日本は人口が減っているのでホテル産業は厳しいと思っていたが、社長によると今後は訪日観光客の需要が期待できるという。訪日客数は一部では東京五輪で頭打ちになるとも言われているが、訪日客が増えている真の要因は新興国の経済発展によるもので、新興国の経済発展に伴い訪日客数は長期的に伸びていくらしい。日本の海外渡航率は14%ほどだが中国やその他アジア諸国はまだ3%にすぎず、伸びしろは十分あるという。

・M&Aも成長戦略の1つ。2015年にはベストインというロードサイド型のホテルチェーンを買収している。

・経営者がやり手風。社長のインタビュー動画を見ると話しぶりが理路整然かつスピーディー。大言壮語は嫌いらしく、「確実に出店して確実に利益を出していく」と言っているところには好感が持てた。

■参入障壁は高いか
それほど高くはない。しかしホテルのオペレーションに特化したビジネスモデルは独自性があるように感じる。外資系のブランドとノウハウを導入して日本で成功しているホテルチェーンはここだけになる。

■問題点
・グリーンズの本拠地は三重県であり、人材確保においては首都圏よりも優位な状況だったが、今後出店していくのは主に首都圏になるため、人材確保が課題となりそう。

・売上・利益成長率が5%程度とそれほど高くない。

■割安感はあるか
成長率が5%程度でPERが12倍程度なので、PER的にはほぼ適正株価。

売上250億円、利益率10%で、時価総額180億円というところには割安感がある。

バリュー投資のプロが大量保有しているので総合的にみると割安の可能性が高い。

■チャートや戻り売り圧力
*上場後4ヶ月しかたっていないので判断しにくい。
・1580円あたりに戻り売り圧力がある。
・チャートに大きな問題はないが、方向感のない保ち合いになっている。

■苦瓜氏の中期的な相場観
苦瓜氏の見立ては「割高に買い上げられた高成長銘柄は相場の末期にある兆しが漂っている。一方、小型割安株に関しては依然として過熱感はなく、今後も続伸が期待できる」とのこと。

■結論
グリーンズの長期的な見通しは悪くなく、ローリスクのビジネスモデルなので、下がりにくい株のように思う。なにより筋金入りのバリュー投資家が大量保有しているので下げ余地は少ないように感じる。

8月8日には上場後1回目の本決算があり、チャートは上下どちらかに方向性がでてきそう。なんとなくだが、決算後に下ブレする確率は25%くらいで下値は1300円くらい、上ブレする確率は45%くらいで上値は2000円(時価総額250億円)くらい、変化なしの確率は30%くらいになると予想する。1430円で購入。


追記 2017/08/06 ホテル数は供給過剰に?
今日の日経新聞に2020年までに首都圏だけでホテルの客室数が6万5千室増え、供給過剰リスクが出てきていることが報じられていた。都内ではすでに稼働率が伸び悩みはじめているという。

それとグリーンズは訪日客をあてにしている割には、シングルルームを増やそうとしていることに違和感を感じ始めた。売却していく。
参考:「ホテル 実は不足せず? 8都市、20年までに客室26%増」 

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