2018年12月7日金曜日

貿易戦争の影響は限定的?

「中国のシリコンバレーで見た貿易摩擦の行方(藤田勉)」(日経マネー研究所、11/12)に貿易摩擦の影響が限定的な理由について書かれていたので簡単にまとめておく。

■貿易戦争の影響が限定的な理由
1、米中両国の経済規模と比べて、関税引き上げの規模は小さい。米国のGDPは2140兆円だが中国からの輸入額56兆円はその2.6%にすぎない。そのうち関税引き上げ分は4兆円で、これも0.2%と小さい。中国においても対米貿易輸出額はGDP比3.6%で、関税引き上げ分は0.3%にすぎない。

2、人民元は10%下落しているため関税引き上げの影響は緩和される。また中国政府は金融緩和などの措置も打ち出しているので極端な事態にはなりにくい。

3、中国からの輸出品は、かつては玩具や繊維などの低付加価値品だったが、現在は電機や自動車、スマホなどの高付加価値品にシフトしている。iPhoneのように米国が生産を委託しているものも多く、米国が中国に徹底的に制裁を課すことは難しい。

4、米国が過度に制裁を加えると、世界の経済や株式市場が大混乱に陥り、結果として、トランプ政権が大打撃を受けることになる。

■貿易戦争は長期的にはプラス
1980年代の日米貿易戦争では、結果として、日本経済の開放と制度の国際化が促進された。今回の米中貿易戦争では、中国は市場を開放し、知的財産権の重要性を認識しつつある。長期的にこれらは中国経済、ひいては世界経済に大きなプラスとなる。

・・ということだが、12月5日に米国政府は中国の巨大企業ファーウェイの機器使用を禁止する調整に入った。今回の貿易摩擦は軍事的な要因も絡んでいるので、藤田勉氏の見立てよりもややこしい展開になるのかもしれない。

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