2019年2月1日金曜日

市場環境チェック

株式市場への影響が大きい企業業績、金利、金融政策などをチェックしていく。

■ファンダメンタルズ
<EPS成長率>
・世界株式の2017年のEPS増加率は17%、2018年は15%、2019年は8%。
・米国株式の2017年のEPS増加率は11%、2018年は23%、2019年は6%。
・日本株式の2017年のEPS増加率は22%、2018年は5%、2019年も5%。
→問題なし

<経済成長率>
・世界の2018年の成長率は3.7%、2019年は3.7%→3.5%、2020年は3.7%→3.6%。
・米国の2018年の成長率は2.9%、2019年は2.5%、2020年は1.8%。
・ユーロ圏の2018年の成長率は2.2%、2019年は1.9%→1.6%、2020年は1.7%。
・日本の2018年の成長率は1.1%、2019年は0.9%→1.1%、2020年は0.3%→0.5%。
・新興国の2018年の成長率は4.9%、2019年は5.0%?、2020年は5.0%?。
・中国の2018年の成長率は6.6%、2019年は6.2%、2020年は6.2%。
*数値はIMFの予想。参照:(2018/1/22日経
現在、世界同時成長が起きており、このような状態は通常2,3年続くという。ただしこのような世界同時成長は景気サイクルの終盤に見られる特徴的な現象とも言われている。米ピムコは2019年に世界経済の同時減速が始まると予想している。

世界同時成長は海外で6割を稼ぐ日本企業には追い風になる。しかしその反面、海外の景気後退期は日本企業にとって強い向かい風になる。このような経済構造に円高効果が加わり、日本株は米国株の1.5倍くらい下落する。
→問題なし

<インフレ>
・米国の予想インフレ率は2018年度が2.4%、2019年は2.3%?
・欧州の予想インフレ率は2018年度が1.5%、2019年は1.5%?
・日本の予想インフレ率は2018年度が0.9%、2019年は0.5%?
*貿易戦争が激化すれば米国のインフレは加速する。
→問題なし

<金利>
・米国の短期金利は2.46%で長期金利は2.63%。
・日本の短期金利は-0.17%で長期金利はマイナス0.012%。
*米国の短期金利が長期金利を上回ると景気後退に陥るといわれるが、現在の長短金利差は0.17%。FRBは金利引き上げを止めそうなので今回は長短金利の逆転なしに景気後退に陥るのかもしれない。
*米国の実質長期金利(名目長期金利-インフレ率)が潜在成長率を上回ると景気後退に陥るといわれるが、足下の実質長期金利は0.33%で、潜在成長率は1.8%。
→問題なし

<債務>
・米国の民間債務残高はGDP比150%で横ばい傾向。
・日本の民間債務残高はGDP比150%で横ばい傾向。
・中国の企業・家計債務残高はGDP比210%まで上昇しているが、足下では横ばい傾向。日本のバブル期のピークは220%になる。
・新興国の民間債務残高はGDP比140%で、現在も微増傾向。
・過去10年で各国政府は債務を大きく膨らませている。
*米企業の債務残高はGDP比で過去最高(74%)に達している。
*中国の企業・家計債務は危険水準に達しているが、習政権は経済の筆頭課題に金融危機封じ込めを据えているので、それほど心配しなくてもよさそう。ただ貿易戦争などで経済成長が大きく下振れすれば一気に債務圧縮局面(景気後退期)に入る可能性がある。
・中国の企業債務は積み上がっているが、その大半は国営企業によるものなので、計画に沿って徐々に債務を削減していけそう。
*新興国は米利上げや原油高などで通貨安・高インフレ・高金利になり、債務圧縮局面に入りつつあった。ただインフレ率は各国中銀のターゲット内に収まっており、米利上げや原油高も止まりそうなので落ち着きそうでもある。
→問題あり

<金融政策>
・米国は引き締めに転じていたが、それを終了しそうな雰囲気。
・日本は金融緩和を継続しているが限界に近づきつつある。
・欧州は量的緩和を2018年12月に終了し、利上げは19年の秋以降になる。
・世界の量的緩和は2017年3月にピークをつけ、その後は減少傾向にある。2019年には明確なマイナスへと転じる・・はずだったが、中国が緩和方向に舵を切ったので、プラスを維持しそう。
*引き締め速度は穏やかだが全体的に引き締め傾向。これまでの経済拡大や資産インフレは金融緩和が原動力であったため、引き締めによりすべてが逆回転しつつある。
*米国はトランプ大統領の財政拡大策により次の景気後退期には金融政策しか残されていない。そのためFRBは粛々と金融引き締めを進めて、次回の金融緩和の余地を作っていくしかない。とはいってもFRBは市場の安定や景気の安定を優先するので、引き締めは穏やかに進みそう。
*日本はこのまま金融緩和を続けると、利ざやで稼ぐ銀行の収益が落ち、次の景気後退局面では貸し出しが抑制され、景気が下押しされる恐れがある。また金融機関の倒産が相次げば金融インフラを失い、金融政策が円滑に機能しなくなる恐れもある。
*日本は次の景気後退期に、ヘリマネなどの禁じ手をのぞけば、金融面でも財政面でも打つ手がない。
→問題なし

<政治>
・日本は安定。19年の消費税引き上げは株式市場の鬼門になると思っていたが、政府の大盤振る舞い(支援給付金、軽減税率、教育無償化、補正予算)や携帯料金引き下げなどにより、消費増税の負担が相殺・超過されそうなので問題なさそう。
・海外は不安定。米国と中国の覇権争いは、ハイテク・軍事分野を中心に今後長期にわたり続きそう。ただ3月の米中通商交渉でいったん停戦になりそう。
・英国のEU離脱の条件は、EUが新たな離脱国が出てくるのをけん制するため、英国にとって厳しいものになりそう。英国は国民投票を実施し、EU残留という形になるのかもしれない。
→問題なし

<その他の景気後退シグナル>
・過去の景気後退期はすべて米国の需給ギャップがプラスに転じた後に始まっているが、足下ではすでにプラスに転じている。
・コモディティ、米国債、米国株、ドルの4資産の値動きで、年間収益が高い順位が、コモディティ、米国債の順番になるとその翌年に景気後退が起きると言われているが、2018年はドル、米国債、米国株、コモディティの順。
・景気拡大期の終盤は、金余りと鈍化した成長率を引き上げるため巨大M&Aが盛んになるといわれているが、今がまさにその状態。
・景気拡大期の終盤には、業績格差が広がりやすいと言われているが、今がまさにその状態。
・世界景気の先行指標である銅価格が、ピークアウトするかどうかの分岐点にあるが、底堅そうな雰囲気。
・経済危機をいち早く察知する米低格付け債の利回りは一時急上昇したが、足下では下落し始めている。
・起こり得ない衝撃的な事象の発生を織り込むSKEW指数(ブラックスワン指数)は現在126と低位で推移している。
・中銀の利上げ局面における株式相場は「1,金融緩和の終了を嫌気した調整」→「2,利上げ中盤にかけての良好なファンダメンタルズを好感した上昇」→「3,利上げ終盤の過度な引き締めを懸念した反落」→「4,利上げの打ち止めを好感した反発」→「5,ファンダメンタルズの悪化を織り込んだ大幅な下落」という経過をたどることが多いが、今は「4,利上げ打ち止めを好感した反発」局面に入りつつあるので、いったん上がりそう。
→問題なし

■テクニカル
・チャート
NYダウは昨年10月につけた過去最高値から12月の安値までの下落幅の半値戻しを達成している。「半値戻しは全値戻し」という格言があるが、24500~25500には大量の売り玉を抱えており、米企業業績の来期見通しもぱっとしないので全値戻しは難しいかもしれない。
<NYダウ5年チャート>

日経平均はまだ3分の1程度しか戻してないので、しばらく低空飛行が続きそう。
→問題なし

・ディストリビューション・デー(機関投資家の売り抜け日)
日経平均 4日
NYダウ 1日
ナスダック 0日
→問題なし

・騰落レシオ
日経平均 105
NYダウ 178
ナスダック 166?
→問題あり。NYダウとナスダックにはかなり過熱感があるのでいったん調整が入りそう。

・信用評価損益率
ー13.33%
→問題なし。

eワラントのトレーディングインディケーター
<オノダモデル>「買い」
危険度:3月52% →4月52% →5月36% →6月43% →7月39% →8月44% →9月61% →10月18.7% →11月36% →12月68% →1月41% →2月51%

<サムモデル>「売り」
2018/1/18に「売り」に転換。2018/2/20に「買い」に転換 。2018/5/18に「売り」に転換 。2018/7/17に「買い」に転換。2018/08/20に「売り」に転換。2018/09/18に「中立」に転換。2018/10/22に「買い」に転換。2018/11/19に「売りに転換」。
→問題あり

■株ログ・インディケーター
問題なし10件、問題あり3件、中期的な危険度:10月40%→11月30%→12月35%→1月45%→2月40%。投資判断:様子見
FRBの金融引き締め停止により、株式市場はいったん落ち着きそう。

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