2019年2月1日金曜日

マクロ系金融資産チェック

市場の仕組みを理解しやすい順番で見ていく。

■米長期金利 (米国国債4倍ベア7)
基本シナリオ:2019年は2.5%~3.3%の間で推移

長期金利に与える影響が大きい要因順に見ていく。
・実質経済成長率↓
米長期金利の基準値は実質経済成長率(名目経済成長率+インフレ率)になるが、今後は低下傾向になる。

米国の2018年の名目経済成長率は2.9%、2019年は(予)2.5%、2020年は(予)1.8%で、インフレ率は2018年が2.4%、2019年は(予)2.3%、2020年は(予)2.2%になる。

・金融政策↓
景気後退懸念や金融市場の混乱などから、FRBは金融引き締めを終えそうな雰囲気になってきた。

・財政赤字の拡大↑
米政府は財政支出を拡大して国債を大量発行しており、今後も年金や医療、福祉などの社会保証料は増大していくので、長期的に国債発行量は増え続ける。

・リスクオン、オフ→
世界的に景気後退懸念が強まっていたので、”安全資産”である米国債には資金が集まりやすかった。しかし足下では景気後退懸念や米中貿易摩擦は落ち着きつつあるので、リスクは後退しつつある。

・米国債の人気低下↑
米10年国債の利回りは先進国の中ではとても高いので海外から買われやすい。しかし足下では為替ヘッジコスト(2.9%)が米長期金利(2.7%)を上回っているので、米国債の購入は減少している。また米貿易赤字や財政赤字の拡大も人気低下の要因になる。

・投機筋の持ち高
(不明)

・チャート↑
短期のWトップが完成していったん天井を打ったように見えるが、長期のWボトムも完成しているので長期的な上昇圧力は強い。


■WTI原油 (WTI原油価格連動型上場投信)
基本シナリオ:45ドルから70ドルの間で推移

原油価格に与える影響が大きい要因順に見ていく。
・産油国の採算ライン↑
サウジが財政均衡に必要な水準は1バレル80ドル、アラブ首長国連邦は60ドル、ロシアは40ドル、米企業の採算ラインは45ドルになる。

・トランプ大統領の介入↓
トランプ大統領は低インフレ(低金利)と株高を切望しているので、原油価格の上がりにくい政策を採る。

・供給↓
OPECやロシアは、米国がイラン産原油を禁輸することを想定して増産に動いていたが、それが直前で解除されたため、足下では在庫がだぶついている。

ただ新規の油田開発は、原油価格の停滞や脱化石燃料への投資家圧力などにより停滞気味なので、将来の供給不安は残っている。

・需要↑
景気後退懸念や暖冬、温暖化対策(エネルギーシフト)など需要を抑制する要因もあるが、大局的には人口増や世界経済の成長に伴い原油消費量は増加基調にある。石油需要は2040年まで拡大を続けると言われている。

・リスクオン、オフ→
原油は株式と同じリスク資産なので、リスクオフ時に売られやすいが、今はリスクが後退しつつある。

・産油国で不測の事態が起こる↑
数日前に米国がベネズエラ国営石油会社への制裁を決定した。

・投機筋の持ち高
(不明)

・為替→
原油はドル建て取引なので、ドル高になると新興国の需要が鈍る。
(WTI原油価格連動型上場投信においては、円高が進むと基準価額が下がる)

・チャート→
一目均衡表(月足)の雲の下に入っていて上値が重そうだが、移動平均線・累積売買高的には今が底になる。


■ドル円 (FXでドル買い)
基本シナリオ:2019年は102円から112円の間で推移

為替に与える影響が大きい要因順に見ていく。
・日米の金融政策↓(↓は円高方向)
日本は金融緩和を継続し、米国は金融引き締めに動いていたため円安基調だったが、米国が金融引き締めを終える可能性が出てきたため、一転して円高基調に入りつつある。

・貿易収支→
日本は短期的には原油安により貿易収支が改善しそうではあるが、スマホや医薬品などの輸入が増加傾向で、生産の海外移転などにより輸出の伸びは鈍化傾向なので、長期的に貿易収支は悪化していきそう。

*日本の(貿易収支を含む)経常収支は20兆円程度の黒字を維持しているが、この黒字の大半は過去に行った投資のリターンである所得収支が占めている。所得収支は貿易黒字と違い、円に換えず現地で再投資する部分がほとんどなので、円買いフローはあまり発生しない。

米国は高関税政策などにより貿易赤字が増えそうだが、第4次産業革命の牽引役でもあるので長期的な貿易黒字圧力は強い。

・日本企業の対外直接投資→
日本企業の海外M&Aに1年半先行する世界PMI(購買担当者景気指数)はすでに天井を打っているので、日本企業による海外企業の買収も徐々に減っていきそう。

・リスクオン、オフ→
景気後退懸念や海外の政治情勢が落ち着きつつあるので、徐々にリスクオンになりそう。

・投機筋の持ち高↓
ヘッジファンドはドル買いから円買いにシフトしつつある。

・購買力平価↓
ドル円の購買力平価は96円なので、円の下限は75円、上限は120円程度になりそう。
米国の方が慢性的にインフレ率が高いので、購買力平価は長期的な円高傾向にある。

・米財政赤字の拡大→
今後、大量発行されていく米国債を消化するために大量のドルが発行される可能性がある。

・チャート→
どっちつかずの三角持ち合い。ゆくゆくは円高方向に大きく振れそう。


■日経平均 (日経レバETF)
基本シナリオ:2019年は19000から24000のボックス圏で推移

日経平均に与える影響が大きい要因順に見ていく。
・EPS(1株利益)→
日経平均株価は基本的にはEPS(1株利益)とPER(人気度)によって決まるが、予想EPSは2018年度が+5%程度、2019年も+5%程度、2020年は0%程度なので、日経平均はしばらく横ばいで推移しそう。ちなみに日経平均19000円は2019年度の予想EPSが-10~-15%くらいの水準になる。

EPSに影響を与える外部要因についても見ていく。
・金融政策↓
先進国の金融政策は緩和から引き締めに転じつつあるので、金利上昇により企業の利益や資金調達環境(設備投資)は悪化する。

・為替↓
今後為替は中長期的に円高に振れていきそうなので、海外で6割を稼ぐ日本企業の利益は下振れしていく。

・PER(人気度、リスク選好度)→
米中貿易戦争や景気後退懸念によりリスクオフで株式は売られていたが、今後はこれらの問題が落ち着くのに伴い、徐々にリスクオンに向かいそう。

・投機筋の持ち高→
投機筋の売り玉はそれほど残ってないため下がりにくい。

・利回り↑
日本株式の益回りは8%と日本国債の利回り0%より高いので、株式に資金が流れやすい。

・チャート→
24000円でダブルトップを形成しており、19000円で累積売買高のピークが来ているので、当面この範囲内で動きそう。

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