2019年4月5日金曜日

市場環境チェック

株式市場への影響が大きい企業業績、金利、金融政策などをチェックしていく。

■ファンダメンタルズ
<EPS成長率>
・世界株式の2018年のEPS増加率は15%、2019年は8%。
・米国株式の2018年のEPS増加率は22%、2019年は5%。
・欧州株式の2018年のEPS増加率は5%、2019年は8%。
・日本株式の2018年のEPS増加率は5%、2019年は6%。
参照:2019/2/22日経など
→問題なし

<経済成長率>
・世界の2018年の成長率は3.7%、2019年は3.5%、2020年は3.6%。
・米国の2018年の成長率は2.9%、2019年は2.5%、2020年は1.8%。
・ユーロ圏の2018年の成長率は2.2%、2019年は1.6%、2020年は1.7%。
・日本の2018年の成長率は1.1%、2019年は1.1%、2020年は0.5%。
・新興国の2018年の成長率は4.9%、2019年は5.0%、2020年は5.0%。
・中国の2018年の成長率は6.6%、2019年は6.2%、2020年は6.2%。
*数値はIMFの予想。参照:2018/1/22日経
現在、世界同時成長が起きており、このような状態は通常2,3年続くという。ただしこのような世界同時成長は景気サイクルの終盤に見られる特徴的な現象とも言われている。米ピムコは2019年に世界経済の同時減速が始まると予想している。

世界同時成長は海外で6割を稼ぐ日本企業には追い風になる。しかしその反面、海外の景気後退期は日本企業にとって強い向かい風になる。このような経済構造に円高効果が加わり、日本株は米国株の1.5倍くらい下落する。
→問題なし

<インフレ>
・米国の予想インフレ率は2018年度が2.4%、2019年は2.15%
・欧州の予想インフレ率は2018年度が1.5%、2019年は1.5%
・日本の予想インフレ率は2018年度が1.2%、2019年は1.3%
*参照:世界経済のネタ帳
→問題なし

<金利>
・米国の2年金利は2.34%で10年金利は2.51%。
・日本の2年金利は-0.15%で10年金利は-0.04%。
*米国の短期金利が長期金利を上回ると景気後退に陥るといわれるが、現在の長短金利差は0.17%。
*米国の実質長期金利(名目長期金利-インフレ率)が潜在成長率を上回ると景気後退に陥るといわれるが、足下の実質長期金利は0.11%で、潜在成長率は1.8%。
・米国の景気をふかしも冷やしもしない中立金利(2.75%)を政策金利が上回ると景気後退に陥るといわれているが現在の政策金利は2.25~2.5%。
→問題なし

<債務>
・米国の民間債務残高はGDP比150%で横ばい傾向。
・日本の民間債務残高はGDP比150%で横ばい傾向。
・中国の企業・家計債務残高はGDP比210%まで上昇しており、足下でも微増傾向。日本のバブル期のピークは220%になる。
・新興国の民間債務残高はGDP比140%で現在も微増傾向。
・過去10年で各国政府は債務を大きく膨らませている。
*米企業の対GDP債務残高比率は増加比率の移動平均線から3%以上乖離しているが、これは直近3回の債務バブルのピーク時とほぼ同じ水準。
*中国の企業・家計債務は危険水準に達しているが、習政権は経済の筆頭課題に金融危機封じ込めを据えているので、しばらくは心配しなくてもよさそう。
*中国の企業債務は積み上がっているが、その大半は国営企業によるものなので、計画に沿って徐々に削減していけそう。
*先進国では超低金利が続いているので債務拡大もまだ続きそう。
*新興国は米利上げや原油高などで通貨安・高インフレ・高金利になり、債務圧縮局面に入りつつあったが、現在のインフレ率は各国中銀のターゲット内に収まっており、米利上げや原油高も止まりそうなので落ち着きそうでもある。
→問題あり

<金融政策>
・米国は引き締めに転じていたが、引き締めを2019年9月でいったん終了。
・日本は金融緩和を継続しているが限界に近づきつつある。
・欧州は量的緩和を2018年12月に終了し、利上げは2020年以降になる。
・世界の量的緩和は2017年3月にピークをつけ、その後は減少傾向にある。2019年には明確なマイナスへと転じる・・はずだったが、中国が緩和方向に舵を切ったので、プラスを維持しそう。
*引き締め速度は穏やかだが全体的に引き締め傾向にある。これまでの経済拡大や資産インフレは金融緩和が原動力であったため、引き締めによりすべてが逆回転しつつある。
*米国はトランプ大統領の財政拡大策により次の景気後退期には金融政策しか残されていない。そのためFRBは粛々と金融引き締めを進めて、次回の金融緩和の余地を作っていくしかない。とはいってもFRBは市場の安定や景気の安定を優先するので、引き締めは穏やかなものになりそう。
*日本はこのまま金融緩和を続けると、銀行の収益が落ち、金融政策が円滑に機能しなくなる恐れがある。
*金融緩和が長期化すると産業の新陳代謝が進まず(ゾンビ企業が存続する)、潜在成長率がさらに落ちていく。潜在成長率が落ちると、インフレがさらに起こりにくくなる。インフレが起こりやすい体質にするには企業の淘汰や失業といった痛みを伴う構造改革が必要になるが、今行っている金融緩和はこの痛みを和らげるための単なる時間稼ぎにすぎない。
*日本は次の景気後退期に金融面でも財政面でも打つ手がほとんどない。もしかしたら今後は財政赤字拡大を容認する現代貨幣理論(MMT)のような金融・財政政策に移っていくのかもしれない。しかしこの政策を実行すると政府が信用を失い金利が急騰する恐れがある。
→問題なし

<政治>
・日本は安定。19年の消費税引き上げは株式市場の鬼門になると思っていたが、政府の大盤振る舞い(支援給付金、軽減税率、教育無償化、補正予算)や携帯料金引き下げなどにより、消費増税の負担を相殺・超過しそうなので問題なさそう。
・海外は不安定。米国と中国の覇権争いは、ハイテク・軍事分野を中心に今後長期にわたり続きそう。ただ4月の米中通商交渉でいったん停戦になりそう。
・英国のEU離脱の条件は、EUが新たな離脱国が出てくるのをけん制するため、英国にとって厳しいものになりそう。英国は国民投票を実施し、EU残留という形になるのかもしれない。
→問題なし

<その他の景気後退シグナル>
・過去の景気後退期はすべて米国の需給ギャップがプラスに転じた後に始まっているが、足下ではすでにプラスに転じている。
・景気後退入りのシグナルである米住宅着工件数は今のところまだ上昇トレンド。
・失業率が最低水準まで低下すると企業収益が圧迫され、労働力不足で経済成長も頭打ちになるが、米国の失業率は歴史的に低い水準にある。米国では失業率が前四半期と比べて0.25%上がると景気後退に陥ると言われているが、現在はまだ低下している。
・コモディティ、米国債、米国株、ドルの4資産の値動きで、年間収益が高い順位が、コモディティ、米国債の順番になるとその翌年に景気後退が起きると言われているが、2018年はドル、米国債、米国株、コモディティの順。
・景気拡大期の終盤は、金余りと鈍化した成長率を引き上げるため巨大M&Aが盛んになるが、今がまさにその状態。*高値で行われたM&Aは景気後退期にのれんで巨額の減損が発生しやすくなる。
・景気拡大期の終盤には業績格差が広がりやすくなるが、今がまさにその状態。
・世界景気の先行指標である銅価格が、ピークアウトするかどうかの分岐点にあったが足下では反発している。
・経済危機をいち早く察知する米低格付け債の利回りは一時急上昇したが、足下では元の水準に戻っている。
・起こり得ない衝撃的な事象の発生を織り込むSKEW指数(ブラックスワン指数)は現在126と低位で推移している。
・FRBの利上げ局面における株式相場は「1,金融緩和の終了を嫌気した調整」→「2,利上げ中盤にかけての良好なファンダメンタルズを好感した上昇」→「3,利上げ終盤の過度な引き締めを懸念した反落」→「4,利上げの打ち止めを好感した反発」→「5,ファンダメンタルズの悪化を織り込んだ大幅な下落」という経過をたどることが多いが、今は「4,利上げ打ち止めを好感した反発」局面に入りつつあるので、いったん上がりそう。
→問題なし

■テクニカル
・チャート
日経平均のチャートを年足で見ると、2018年に十字線と上ひげ天井が出ているので、現在の水準は天井圏に見える。多分今年も十字線と上ひげが出そう。参照:日経3/30


NYダウはWトップ完成後に切り返しているので、短期資金で一時的に最高値を突破するかもしれない。
<3年チャート>

マザーズは逆三尊になりそう。三尊天井(別名ヘッド&ショルダー)は強い転換シグナルなので、もしかしたらマザーズは大きく反発するかもしれない。
<3年チャート>

→問題なし

・ディストリビューション・デー(機関投資家の売り抜け日)
日経平均 2日
NYダウ 3日
ナスダック 1日
→問題なし

・騰落レシオ
日経平均 99
NYダウ 120
ナスダック ?
→問題なし。

・信用評価損益率
ー13.36%
→問題なし。

eワラントのトレーディングインディケーター
<オノダモデル>「買い」
危険度:1月41% →2月51% →3月27% →4月31%

<サムモデル>「売り」
2018/11/19に「売り」に転換。2019/02/18に「買い」に転換。2019/3/18に「売り」に転換。
→問題なし

■株ログ・インディケーター
問題なし12件、問題あり1件、中期的な危険度:2月40%→3月35%→4月30%。投資判断:様子見
3月の配当の権利落ち日に日経平均が権利落ちの影響額(172円)を超えて上昇すると、その年の株価は堅調に推移するらしいが、先日の権利落ち日の日経平均は49円安。どっちつかずな感じなので今年は横ばいで推移するのかもしれない。

今後1年以内に米景気が後退する確率:55%
短期的には落ち着いた相場展開になりそうだが、米国の債務や雇用がピークにきているので、米景気が後退するのは時間の問題になりそう。

0 件のコメント:

コメントを投稿