市場の仕組みを理解しやすい順番でみていく。
■米10年金利今後1年の予想レンジ:3.0%~5.0%の間で推移
米長期金利に影響を与える要因を、影響の大きい順にみていく。
・経済成長率+インフレ率→
長期金利の基準値は経済成長率+インフレ率になる。2025年の予想米GDP成長率は1.7~2.2%、2025年の予想インフレ率は1.8~2.6%になる。
長期金利の基準値は経済成長率+インフレ率になる。2025年の予想米GDP成長率は1.7~2.2%、2025年の予想インフレ率は1.8~2.6%になる。
・金融政策↓
FRBはインフレが落ち着いてきたとして利下げを開始した。2024年は1%利下げをし、2025年は0.5%利下げをする予定。2027年に3%にする予定。12/19日経
*政策金利が中立金利(3.5~4.0%)を超えると、景気(長期金利)には下押し圧力がかかる。現在の政策金利は4.25%になる。
FRBは国債などの保有資産を年間7200億ドル(約108兆円)のペースで売却しているが、そろそろやめる予定。
・財政悪化による国債増発↑
米政府の財政はコロナ禍以降、大きく悪化しており、今後も悪化を続ける可能性が高い(10/9日経など)。金利が高止まりした状態では公的債務の利払い費も増加し、財政はさらに悪化しやすくなる。
米政府の財政はコロナ禍以降、大きく悪化しており、今後も悪化を続ける可能性が高い(10/9日経など)。金利が高止まりした状態では公的債務の利払い費も増加し、財政はさらに悪化しやすくなる。
・金余り、資金需要の低下↓
金余りで運用難に陥っている米国の金融機関や保険会社、年金、企業は多く、そういうところがこぞって米国債を買っている。
第4次産業革命の主役はデジタル企業になるが、デジタル企業は設備投資のための資金需要がそれほど多くない。
少子高齢化の影響で借り入れ需要も減っている。
・米国債の人気→
米長期金利は海外の主要先進国の長期金利よりも高いので、海外勢から買われやすい。
米国債保有世界2位の中国は、米国との対立や人民元安阻止のために米国債を淡々と売却している。米国と緊張関係にあるロシアなども米国債を売却している。
・米企業の社債発行増↑
米企業の社債発行が急増している。米国債より投資妙味の大きい高格付け社債の発行増加により、米国債の需要が減っている。
・リスクオン・リスクオフ↑
米景気は比較的堅調で、金利を引き下げ始めたのでリスクオン気味。
米景気は比較的堅調で、金利を引き下げ始めたのでリスクオン気味。
・潜在成長率の低下↓
生産性の伸び悩みなどで潜在成長率は低下傾向にある。
生産性の伸び悩みなどで潜在成長率は低下傾向にある。
・チャート→
<10年チャート> 下げトレンドに入ったように見えたが、トランプ大統領当選後に切り返している。しばらくは4~5%の間で横ばいが続きそう。
■WTI原油
今後1年の予想レンジ:40ドル~85ドルの間で推移
今後1年の予想レンジ:40ドル~85ドルの間で推移
原油価格に影響を与える要因を、影響の大きい順にみていく。
・需要→
原油の需要は世界経済成長率にほぼ連動する。2025年の予想世界GDP成長率は3.0~3.3%になる。
原油の需要は世界経済成長率にほぼ連動する。2025年の予想世界GDP成長率は3.0~3.3%になる。
長期では、再生可能エネルギーの増加や技術革新、学校・職場のリモート化などにより石油需要が減少していく可能性がある。仏トタルや英BP、国際エネルギー機関(IEA)は2030年頃に石油需要がピークアウトすると予想している。
一方、世界人口増やAIの電力消費、再生エネルギー開発の滞りなどにより、石油需要が増えるという見方もある。米エネルギー情報局(EIA)は2050年の石油需要が2020年比で4割増になると予想している。英シェブロンは2023年から45年にかけて石油需要は約15%増加すると予想している。
世界2位の原油需要国・中国の原油需要がピークアウトした可能性が出てきた。需要が頭打ちになっている理由は、EVの普及(ガソリン需要の減少)、再生可能エネルギーの拡大、エネルギー安全保障戦略のため(12/29日経)。この流れでいくと、世界の原油需要は早々にピークアウトする可能性がある。
・供給↓
OPECプラスは原油価格を維持するために減産に動いているが(12/7日経)、米国やカナダ、ブラジル、ガイアナなどは生産を増やしている(11/25日経)。OPECの盟主であるサウジアラビアはシェア回復のため、減産をやめ、増産の準備を進めているといった報道もある。11/20日経
長期では、脱炭素の潮流を受けて一時油田開発投資は大きく落ち込んでいたが、ロシアによるウクライナ侵攻をきっかけにエネルギー不足の懸念が生じ、化石燃料の開発投資が急増している。長期の供給も問題なさそう。
・AIによるコスト削減↓
AIの活用により生産効率が高まっている。米ゴールドマンサックスは中長期の生産コストが1バレルあたり5ドル下がると予想している。
・産油国で不測の事態が起こる↑
中東では石油施設へのテロ攻撃が度々起きており、パレスチナでは紛争が起きている。供給網の混乱などにより今後供給が減る可能性がある。米ゴールドマンサックスは「ホルムズ海峡で石油の流れが遮断された場合、原油価格は1カ月で20%上昇する」と予想している。
ただし、足元では中東やロシア地域の紛争は落ち着きつつある。
*石油(エネルギー)は人間にとって食料と同じ生活必需品のため、わずかでも不足が生じると価格が跳ね上がりやすい。
サウジアラビアで財政均衡に必要な原油価格の水準は1バレル85ドル、ロシアでは80ドル、アラブ首長国連邦(UAE)は75ドル、米産油企業の採算ラインは40~80ドル、再生可能エネルギーは30~80ドルになる。原油価格はこの範囲内に収まりやすい。
・リスクオン、オフ↑
ややリスクオン気味。
ややリスクオン気味。
*原油は株式と同じリスク資産なので、リスクオフ時には売られやすい。
・インフレ対策→
原油などの商品はインフレヘッジ手段になる。足元でインフレは落ち着きつつある。
原油などの商品はインフレヘッジ手段になる。足元でインフレは落ち着きつつある。
・為替↓
原油はドル建てのため、ドル高になると割高感が出て、原油価格に下押し圧力がかかる。足元ではややドル高基調。
原油はドル建てのため、ドル高になると割高感が出て、原油価格に下押し圧力がかかる。足元ではややドル高基調。
・チャート→
<10年チャート> 三角持ち合いで、長期線を下回っている。底抜けしそうな雰囲気。底を抜けたら40ドルぐらいまで下がりそう。
■ドル円
今後1年の予想レンジ:130円~165円の間で推移
為替に影響を与える要因を、影響の大きい順にみていく。
・日米金利差↓(↑は円安方向、↓は円高方向)
<短期金利>
日米の短期金利差は現在約4.5%ある。日本は利上げ傾向、米国は利下げ傾向にあるため、今後金利差はさらに縮まっていく可能性が高い。しかし、日本は国内需要が停滞しているため金利を上げづらく、米国は景気が比較的堅調なため利下げは穏やかなペースになりそうなため、金利差縮小のペースも穏やかになりそう。
これまで金利差拡大によりキャリー取引が増えていたが、日米の金融政策の転換により、徐々に減少している。
*キャリー取引とは金利差を狙った取引。短期金利差が大きくなると低利通貨を売り、高利通貨を買って、金利差で収益を得る取引が盛んになる。
*世界で金利が最も低い水準にある日本の円は、キャリー取引の調達通貨として選ばれやすい。対ドル以外でも売られやすくなっている。ただ現在は円の代わりにスイスフランが調達金利として選ばれ始めている。キャリー取引のフランシフトが進めば、円への売り圧力は和らぐ。12/5日経
*市場が荒れ始めると金利収入以上の為替差損を抱えるリスクが増すので、手仕舞われやすくなる。現在、米長期金利と日本の長期金利の差は3.5%くらいある。今後長期金利差も縮まっていきそうだが、そのペースは短期金利と同様、穏やかなものになりそう。
・国内投資家の対外証券投資↑
日本の機関投資家は国内の超低金利で運用難に陥っているため、高い運用利回りが見込める海外債権や株式などを買っている。個人投資家は成長力の高い海外株を買っている。ここ数年は両者合わせて年10~20兆円の買い越しが続いている。
日本の機関投資家は国内の超低金利で運用難に陥っているため、高い運用利回りが見込める海外債権や株式などを買っている。個人投資家は成長力の高い海外株を買っている。ここ数年は両者合わせて年10~20兆円の買い越しが続いている。
*キャピタルフライト
日本は財政問題や経済低迷、インフレなどの問題を抱えているため、日本人は円資産を海外資産に転換し始めている。国内の家計の預貯金は約1100兆円あり、その1%(11兆円)でも海外に向かえば円相場へのインパクトは大きくなる。2024年に始まった新NISAでキャピタルフライトが加速しつつある。
・日本企業の対外直接投資↑
国内需要はほぼ頭打ちなので、日本企業は海外での直接投資を増やしている。ここ数年は年12~22兆円の買い越しが続いている。2024年は過去最高になる可能性がある。
国内需要はほぼ頭打ちなので、日本企業は海外での直接投資を増やしている。ここ数年は年12~22兆円の買い越しが続いている。2024年は過去最高になる可能性がある。
対して、海外企業の対日直接投資額は1兆円程度になる。
・日本の貿易収支→
円安や資源高、生産の海外移転、産業競争力の低下などにより、貿易収支は悪化傾向にある。(貿易収支を含む)経常収支は年20兆円程度の黒字ではあるが、そのうち半分くらいは海外での再投資や内部保留などにあてられるので、稼いだ外貨の半分くらいしか円転されない。
*訪日客の増加でサービス収支の旅行収支は3兆円程度の黒字になっているが、海外テック企業が提供するクラウドサービスなどへの支払いによる「デジタル赤字」は約6兆円で(12/11日経)、それを帳消しにしている。「デジタル赤字」は今後も旅行収支の黒字を上回って増えていく見込み。
・米国の貿易収支↑
米国は経済が強く、国内産業の保護主義政策を推進しているので貿易収支は改善傾向にある。
・日銀の財務状態の悪化↑
日本の長期金利が1%まで上昇した場合、日銀は債務超過に陥る。日銀は国債について満期保有を前提とした会計処理を採用しており、債務超過になっても日銀は自ら通貨を発行できるため資金繰りに行き詰まることはないが、円に対する信用は落ちる。現在、日本の長期金利は1.07%まで上昇しており、今後さらに上昇する可能性がある。
*日銀は、長期金利が1%に上昇した場合、日銀が保有する国債に28兆円の含み損が生じ、5%に上昇した場合は108兆円の含み損が生じると試算している。
*米ゴールドマン・サックスは「2027年に政策金利が1.25~1.5%に到達するまで利上げサイクルが長期間続き、長期金利が26年末に2%に達する」と予想している。
*日銀は民間金融機関が日銀に預けている当座預金への利息を支払っている。利上げが進めば利息負担がかさみ、その負担が日銀が保有する債券の収益を上回ると、赤字に転じる可能性がある。ある試算によると政策金利が0.6%まで引き上げられると経常赤字に転じる。2.8%まで上がれば債務超過に陥る可能性がある。
・日本政府の過剰債務↑
日本政府の債務は返済不可能な水準まで膨れ上がっており、2030年頃には臨界点に達し円の暴落が起きる可能性がある。日本は自然災害が多く、突然の大地震が起こったときに多額の国債発行が必要になり、臨界点が早まる可能性もある。米国政府の債務も返済不可能な水準まで積み上がっているが経済が強く、ドルは基軸通貨なのでドルの暴落は起きにくい。
日本政府の債務は返済不可能な水準まで膨れ上がっており、2030年頃には臨界点に達し円の暴落が起きる可能性がある。日本は自然災害が多く、突然の大地震が起こったときに多額の国債発行が必要になり、臨界点が早まる可能性もある。米国政府の債務も返済不可能な水準まで積み上がっているが経済が強く、ドルは基軸通貨なのでドルの暴落は起きにくい。
・リスクオン、オフ↑
ややリスクオン気味。
ややリスクオン気味。
・海外投資家の国内証券投資↓
円調達時の上乗せ金利(ベーシススワップ)は低く、日本国債の金利は比較的安定しているため、ここ数年、海外投資家は日本国債を年10兆円程度のペースで買い越している。
*海外勢は2023年半ば頃から日本株を大きく買い越しているが、これは先物の円売りを合わせて投資していることが多いので、円高要因にはなりにくい。
・投機筋の持ち高↓(「円 投機的ネットポジション」で検索)
足元の投機筋の持ち高はほぼニュートラル。円は現状の水準で落ち着くとみている。
足元の投機筋の持ち高はほぼニュートラル。円は現状の水準で落ち着くとみている。
*ドルを売り持ちした場合はスワップポイント(金利差分)を支払わなければならないので、ドル売りが長く続くことは少ない。
*スワップポイントはドル買い時よりもドル売り時の方が高く設定される傾向がある。例えば、日米短期金利差が約3%あった2022年9月にドルを1万ドル買った場合、1日の金利差収入は92円くらいになるが、ドル売った場合は金利差損失が1日159円くらいになる。
・個人投資家の売買動向 ー
日本の個人投資家によるFX取引が為替市場の約2割を占めており、相場を動かす原動力になりつつある。ただ足元の売買動向は不明。
・ドル需給↑
FRBがドルを大量供給しているのでドルはだぶつき気味だったが、米長期金利の上昇や、ロシアやアルゼンチンの通貨不安、中国経済の先行き懸念などにより、ドルの需要が高まっている。
・米制裁によるドル離れ↓
米国は対立する国に「ドル取引の制限や禁止」といった金融制裁を課すことがある。現時点で米国はロシアやイラン、トルコ、中国などに金融制裁を課しており、これらの国は米国債の保有を大きく減らしている。今のところドル離れは一部に留まっているが、今回のロシアへの制裁(ロシア中銀が保有するドル資産凍結)をきっかけに、ドル離れが加速する可能性がある。
物価が上がると(インフレが進むと)、物やサービスを買うときにより多くの額のお金が必要になるが(購買力は下がるが)、物価が下がると(デフレが進むと)、物やサービスを買うときにより少ない額のお金しか必用なくなる(購買力は上がる)。この物価変動に着目して二国間の通貨価値をならしたものが購買力平価になる。
インフレ率は日本より米国の方が慢性的に高いので円の購買力平価は長期的な円高傾向にある。ただ米国のインフレ率は年々低下しており日本のインフレ率との差が縮まってきているので、購買力平価の下降曲線はなだらかになってきている。
現在の購買力平価(企業物価)は92円になる。為替相場は長期的にはこの値に収斂していくとされるが、近年では投機取引の拡大や資本の自由化などから購買力平価の影響力は弱まっている。
*購買力平価仮説が成り立つ前提は、貿易における実需取引が為替レートを決める主因であるというもの。日本の製造業は海外に拠点を移し、輸出が増えなくなっているため、購買力平価と市場レートは開きやすくなっている。また現実の為替市場では金融取引が圧倒的なボリュームを占めているため、貿易の実需取引の影響は小さくなっている。
・日銀が保有するETFの簿価割れ→
日銀の自己資本は約10兆円なのに対し、保有する日本株ETFは簿価で約35兆円ある。日銀の保有するETFの損益分岐点は日経平均株価21000円くらいであり、日経平均株価が15000円台まで下がると日銀は債務超過に転落する。しかし現時点でそこまで下がる可能性は低い。
日銀の自己資本は約10兆円なのに対し、保有する日本株ETFは簿価で約35兆円ある。日銀の保有するETFの損益分岐点は日経平均株価21000円くらいであり、日経平均株価が15000円台まで下がると日銀は債務超過に転落する。しかし現時点でそこまで下がる可能性は低い。
・<10年チャート> これも米長期金利と似たようなチャート。いったん天井を打ったように見えたが、トランプ大統領当選後、切り返している。米長期金利と連動して、しばらく140~160のボックス圏で推移しそう。
■日経平均
今後1年の予想レンジ:30000~45000円で推移
今後1年の予想レンジ:30000~45000円で推移
日経平均に影響を与える要因を、影響の大きい順にみていく。
・金融政策↑
世界の中銀の総資産と世界の株価指数はほぼ連動している。2025年は世界的に金融緩和の年になりそうなので、中銀の総資産は増加しそう。
・金利→
金利が上がると、株式から債権へ資金が流れやすくなる。大多数の国の金利は足元でピークアウトしている。ただし日本は例外で穏やかな上昇基調にある。
・為替↑
円安が進むと海外勢から見た日本株は割安感が出る。現在は円安傾向にある。
円安が進むと海外勢から見た日本株は割安感が出る。現在は円安傾向にある。
*ドル高・円安が1%進むと東証株価指数(TOPIX)は0.5%上昇するという試算もある。
・需給↑
主な投資主体の売買動向
2024年は、事業法人が8兆円くらいの株式を買い越して、それ以外の投資主体がすべて売り越すという構図だった(12/26日経、8/29日経)。2025年も似たような構図になりそう。
2024年は、事業法人が8兆円くらいの株式を買い越して、それ以外の投資主体がすべて売り越すという構図だった(12/26日経、8/29日経)。2025年も似たような構図になりそう。
・EPS(1株利益)↑
日経平均株価は基本的にはEPS(1株利益) × PER(期待度・人気度)で決まる。2025年の予想EPSは+7%くらいになる。
日経平均株価は基本的にはEPS(1株利益) × PER(期待度・人気度)で決まる。2025年の予想EPSは+7%くらいになる。
ーーーーー
EPSに影響を与える外部要因をみていく。
・為替↑
日本企業は海外で収益の6割を稼ぐので為替相場の影響を大きく受ける。今は円安傾向なので利益が上乗せされやすくなる。
EPSに影響を与える外部要因をみていく。
・為替↑
日本企業は海外で収益の6割を稼ぐので為替相場の影響を大きく受ける。今は円安傾向なので利益が上乗せされやすくなる。
・海外景気→
日本企業は海外で収益の6割を稼ぐので海外景気の影響を大きく受ける。足元の世界景気はまだら模様。
日本企業は海外で収益の6割を稼ぐので海外景気の影響を大きく受ける。足元の世界景気はまだら模様。
・自社株買い↑
自己株式はEPSを計算する際に分母の株式数から除かれるため、自社株買いにはEPSを押し上げる効果がある。日本企業は自社株買いに積極的で、2024年の自社株の取得実績は約8兆超になる。
*日経には「自社株買いをしても、その分株数も減り、時価総額も同じ割合で減るので理論的には自社株買いをしても株価は不変」とあるが、自社株買いにより需給が改善したり、ROEが上がったり、企業の「自社株は安い」というアナウンスメント効果があったりするので、株価は上がりやすくなる。
・失業率↓
失業率が低下すると賃金が上昇して企業収益を圧迫する。労働量力不足で成長が頭打ちになりやすい。現在の失業率は最低水準にある。
・減価償却費や資源価格↓
減価償却費や資源価格(原材料費)が上昇すると利益が圧迫される。足元では減価償却費は横ばい傾向で、資源価格は円安により上昇傾向にある。
失業率が低下すると賃金が上昇して企業収益を圧迫する。労働量力不足で成長が頭打ちになりやすい。現在の失業率は最低水準にある。
・減価償却費や資源価格↓
減価償却費や資源価格(原材料費)が上昇すると利益が圧迫される。足元では減価償却費は横ばい傾向で、資源価格は円安により上昇傾向にある。
・金融政策→
金融引き締めで金利が上昇すると企業の利益や資金調達環境は悪化する。日本では金利が上昇基調にあるが、そのペースは非常に穏やか。
ーーーーー
・PER(期待度、リスク選好度)↑
日経平均の過去のPERは11~17倍くらいで、現在のPERは16.14倍とやや高い位置にいる。今期の業績予想は-5~+9%くらい、来期は+7%くらいになりそうなので、現在の株価水準は妥当な水準なのかもしれない。
・リスクオン、リスクオフ↑
ややリスクオン気味。
ややリスクオン気味。
・株式利回り↑
東証プライムの益回りは約6.33%、配当利回りは約2.23%と、日本の10年国債の利回り1.07%より高いので、株式に資金が流れやすい。
・中国株からのシフト↑
中国の景気停滞リスクや地政学リスクから、中国投資離れが拡大している。その代替投資先の1つとして日本株が選ばれている。
中国の景気停滞リスクや地政学リスクから、中国投資離れが拡大している。その代替投資先の1つとして日本株が選ばれている。
・投機筋の持ち高↑
買い残は約2兆円で、売り残は約2000億となっている。投機筋は日本株が上がるとみている。
買い残は約2兆円で、売り残は約2000億となっている。投機筋は日本株が上がるとみている。
・個人投資家の流入↑
日本の家計が抱える預金・現金は約1100兆円あり、コロナ禍の「巣ごもり」や「老後2000万円問題」などの影響で株式市場に個人投資家が流入している。2024年に始まった新NISAで2024年上半期に約3兆円が日本の個別株に流入している。
日本の家計が抱える預金・現金は約1100兆円あり、コロナ禍の「巣ごもり」や「老後2000万円問題」などの影響で株式市場に個人投資家が流入している。2024年に始まった新NISAで2024年上半期に約3兆円が日本の個別株に流入している。
・パッシブ運用の膨張↑
パッシブ運用にはストック効果(積み上げ効果)があるので、この運用が増えると株価は下がりにくくなる。現在、投信やETFでパッシブ運用の比率が高まっており、世界では44%、日本では73%まで高まっている。
・チャート↑
<10年チャート> 出来高を増やして新高値を突破しているので基調は強い。ただ長期MACDは天井を打っている。しばらく横ばいでもみ合うのかもしれない。
<10年チャート> 出来高を増やして新高値を突破しているので基調は強い。ただ長期MACDは天井を打っている。しばらく横ばいでもみ合うのかもしれない。
■東証グロース250指数
今後1年の予想レンジ:600~900の間で推移
東証グロース指数に影響を与える要因を、影響の大きい順にみていく。
・金融政策↑
東証グロース指数は米金利の影響を強く受けるので、米国の利上げ時は真っ先に売られやすい。現在は利下げ基調なので、買われやすくなっている。
*小型グロース企業には赤字で借り入れ依存度が高いところが多い。金利上昇時には借金の金利負担が重くなり財務状態が悪化する。また成長資金を調達しにくくなる。
*金利上昇時は将来の成長期対で買われている小型グロース株はバリュエーションが低下しやすくなる(詳細は後述)。
*金利が上昇すると国内需要が弱含み、国内事業が中心の小型グロース企業は業績が伸び悩みやすくなる。
*米金利が上昇すると、円安が進み、円安の恩恵を受ける国内の大型株が選好されやすくなる。
・需給↑
グロース市場は日銀の買い支えがなく、自社株買いもあまり期待できないため、相場下落時は下げ止まりにくい。ただ海外投資家は売り尽くした感があるので、売り圧力はそれほど強くなさそう。個人投資家の含み損は減少傾向にあるので、そろそろ個人が動き出してもよさそう。
*東証グロース市場の海外投資家の売買シェアは約4割になる。
・EPS(1株利益)成長率 ー
不明。
*株価は基本的にEPS × PERで決まる。グロース市場全体のEPSがマイナスの場合、そこにPERをかけても株価を算出できない。株価を決定する代表的な指標である純利益が赤字の場合は、株価が市場のセンチメントに左右されやすくなる。
<グロース市場の反転シグナル>
信用評価損益率の急激な悪化は一つの反転シグナルになる。信用評価損益率が急激に悪化して、追い証回避の投げ売りが殺到すると、信用取引での買い持ちが急減して需給が軽くなる。過去の例では、そのタイミングで海外投資家が買いに転じるパターンが多い。
2007~2009年の金融危機では、2007年12月に信用評価損益率が-30%を超え、そこから約1年5ヶ月にわたってマイナス幅が30を超えている。この間にマザーズ指数は900台から300近くまで落ちている。当時も今も金融引き締めなど、似たような状況であり、このような前例を踏まえると、2年の停滞が続いた東証グロース指数は今後反発する可能性がある。
<グロース250の10年チャート> 底値感はあるが基調は弱い。
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