2026年4月1日水曜日

1~3月の売買

 ■1月

・NTT 買い増し
光電融合技術「IOWN」が伸びそうだと思ったから。
割安感もあったから。PER12倍、配当利回り3.3%と、底堅い印象があった。

・新日本科学 半分売却 +14%
新形態薬の上市を予定している子会社Satsumaの契約の遅れが気になり調べたところ、2023/4/18日経バイオテクに、「Satsuma社はSTS101の第3相試験で主要評価項目を達成できなかった」とあった。新日本科学はこの事実を承知の上で同社を買収し、上市を進めようとしていたので、判断力に疑問符がついた。

・米ドル 新規買い
高市政権が解散総選挙を発表し、ほぼ全政党が消費税減税&リフレ政策だったから。円は180円くらいまで下落しそうだと思った。

しかしその後、米金融当局の「レートチェック」を受けて円が急上昇(笑)。1/24日経1/27日経
もっとも、今回のレートチェックは日本支援というより、米国債市場の安定が目的のようなので、円安抑止効果は限定的になりそう。

*レートチェックとは:為替介入の実務を担う中央銀行が市場参加者に為替レートを打診する行為。単なる相場確認にとどまらず、提示レートに対して中央銀行が「売る」と応じれば、その場で取引が成立する可能性もあり、実際の為替介入に発展し得る緊張度の高いプロセス。1/27日経1/28日経


・大和 iFreeNEXT FANG+インデックス 積立NISAの買い増し
・米アルファベット ドルコスト平均法で買い増し
・米アマゾン ドルコスト平均法で買い増し



■2月

・エムスリー 全売却 損益-17%
3Q決算は市場予想を下回り、株価は大幅下落。事業環境は悪くないので、長期ではそれほど問題なさそうにもみえたが、AIの負の影響が読み切れなかったので、売ることにした。

現在、AIの登場を背景に「SaaSの死」が議論されている。この議論を整理すると、次の三点に集約される。

・AIコーディングの進化により、企業が自社ツールを内製できるようになる。
・AIエージェントが業務を直接実行するようになれば、ソフトを操作する主体は人間からAIへと移行する。その結果、従業員数に応じて課金する従来のSaaSモデルは崩れる。
・AIエージェントが複数のツールを横断して業務を実行するようになれば、アプリケーションそのものの役割が変質する。

もっとも、SaaSがすぐに消えるわけではない。AI企業を含め、多くの企業は依然としてWorkdayやSalesforceなどの既存SaaSを利用している。

理由は主に2つある。

・法規制対応、セキュリティ、ネットワーク効果、データ管理といった領域では、専門企業のサービスを利用する方が合理的。
・既存SaaSもAI機能を取り込みながら進化を続けている。

しかし、長期的にはOSやブラウザレベルで動く万能AIが登場し、複数の業務ソフトを横断して操作できるようになれば、SaaSはただの「データ基盤」になる可能性が高い。

今後、SaaS企業を買うとしたら、AIエージェントを構築できるプラットフォームを持つ企業か、複数のAIエージェントを統合・管理するプラットフォームを持つ企業になりそう。


上記に加え、AI時代には数人のアーキテクト(設計者)だけでシステムを構築できるようになるので、上級エンジニア以外は「コスト」と見なされる可能性が高い。エムスリーはエンジニアを多く抱えるテック企業でもあるので、リストラが円滑に進まなければ、競争力を失う可能性がある。すでに、世界最大の医薬品市場である米国では、エムスリーの成長はほぼ消失している。これがAIや人員構造の問題だけで説明できるわけではないが、先行きの不透明感は強い。

さらにAIの影響を俯瞰すると、AIは知能コストをゼロに近づける技術のため、「SaaSの死」というよりも「知的資産の死」が進行しているようにも見える。これまで人間の「賢さ」は希少で高価な資源だったが、AIの登場により、それは急速にコモディティ化しつつある。

現在の株式市場の評価の多くは、「知能の希少性」という前提の上に成り立っている。この前提が崩れるのであれば、影響を受けるのはSaaS企業にとどまらない。

ソフトウェア企業や高度人材を大量に抱える企業など、知的資産(無形資産)を価値の源泉としてきた企業全体に対して、構造的なディスカウントが長期で続くのではないかと思う。


・サイバーエージェント 200株残して全売却 損益-7%
この会社もこの流れでいくと危ないと思った。
広告事業ではすでに“ディスカウント”が進行しており、ゲーム事業にも同様の兆しが見え始めている(詳細は後述)。

一方で、同社は今後の成長分野であるエンタメ領域に大きく張っており、人材の質や育成体制にも強みがあるので、成長できそうでもある。引き続き観察し、今後の動向を見極めていきたい。


・フィルカンパニー 全売却 +15%
金利が上昇基調で、不動産開発事業を営む同社の事業環境が悪くなりそうだったから。
一目均衡表の「10年雲」の底にぶつかっていたから。
そもそも、あまり興味がわかなかったから。


・新日本科学 全売却 +14%
Satsuma社の件や3Q決算を見て冷めたから。


・米アマゾン 買い増し
決算後に株価が大幅下落していたから。
下落した理由はおそらく巨額投資(約30兆円)に対する過剰投資懸念と、それに伴う財務悪化への不安になる。

ただし、AI時代においては最終的にAIインフラ系が生き残りそうなので、長期的に見て問題なさそうだと思った。


・米ブロードコム 新規買い
Googleの半導体開発パートナーであり、AIチップ需要はまだまだ伸びそうだと思ったから。
経営者が計算高そうな人なので、安心感もあった。

ただし、OpenAIあたりの失速を起点としたAIブームの一時的な腰折れや、「SaaS崩壊」「知的資産の死」「ホワイトカラー縮小」といった構造変化が引き金になりそうな金融危機には注意したい。


・SBIホールディングス 半分売却 損益+112%
ここも半ばテック企業のようなもので、AIの負の影響を受けそうだと思ったから。


・大和 iFreeNEXT FANG+インデックス 積立NISAの買い増し
・米アルファベット ドルコスト平均法で買い増し



■3月

・マイクロソフト 買い増し
3/9日経3/10ロイターがきっかけ。

3月、米マイクロソフトは、業務ソフト「Microsoft 365」 に、米アンソロピックのAIエージェント「Cowork」 を組み込んだ新機能「Copilot Cowork」 を試験提供すると発表した。

AIエージェントの導入において、企業がもっとも神経を使うのは、おそらく安全性になる。AIエージェントはPC内部に入り、複数のアプリケーションを横断して操作するため、誤作動や暴走が起きた場合、情報漏洩やデータ破損といった重大なリスクにつながる可能性がある。3/18インフォ

両社は安全性に注力しており、これまでの実績からも信頼性は高い。マイクロソフトは顧客基盤とデータを握り、アンソロピックは高度なAIエージェント技術を持つ(3/26インフォ)。この組み合わせにより、AIエージェントの管理・統合プラットフォームとして強固なポジションを築けそうだと思った。

現在、AIエージェントは様々なタイプが登場しつつあるが(3/16CBインサイツ)、マイクロソフトのプラットフォームに問題がなければ、最終的に多くのAIエージェントが同社の基盤上で管理・統合される方向に進むのではないかと思った。


・大和 iFreeNEXT FANG+インデックス 積立NISAの買い増し
・米アルファベット ドルコスト平均法で買い増し
・米ブロードコム ドルコスト平均法で買い増し

保有株

保有比率の高い順に見ていく。

■米アルファベット
基本シナリオ:中期「AIインフラと知能でトップに」→ 長期「大発明家に」

4Q決算も順調で、市場予想を上回ったもよう。
・売上高:1,138億ドル(+18%)
・営業利益:359億ドル(+16%)
・営業利益率:約32%

→ 高成長を維持しつつ、高い収益性も確保。

<事業別の状況>

① 広告・YouTube・サブスク
・売上:959億ドル(+14%)
・営業利益:359億ドル(+16%)

→ 主力の広告は依然として強固。AI時代でも「キャッシュ創出源」として機能。

② Google Cloud
・売上:177億ドル(+48%)
・営業利益:53億ドル(前年20億ドル)

→ AI需要を背景に急成長+収益化フェーズに突入。
→ 「次の柱」としての存在感が急速に拡大。

③ Other Bets(Waymoなど)
・売上:3.7億ドル
・営業損失:36億ドル(3倍超に拡大)

→ 依然として先行投資フェーズ。
→ 将来のオプション価値だが、短期的には利益圧迫要因。

<地域別売上成長(通期)>

・米国:+14%
・EUや中東:+15%
・アジア(日本など):+19%
・その他南北米(カナダ、メキシコ、ブラジルなど):+17%

→ グローバルでバランスよく成長。特にアジアの伸びが顕著。

<2025年12月期の総括>
・広告:安定成長(キャッシュ源)
・Cloud:急拡大(成長エンジン)
・AI:需要の中核ドライバー
→「広告企業からAIインフラ企業へ進化中の過渡期」という位置づけの決算。広告で稼いだキャッシュを、CloudとAIに再投資し、次の覇権を狙う構図。


決算後に株価は下落。主因は、過剰投資懸念になりそう。今期の設備投資計画は、前期比ほぼ2倍の1750億〜1850億ドルと、市場予想(約1200億ドル)を大きく上回っている。

巨額投資により、フリーキャッシュフローはほぼ消滅し、資金調達として借り入れが必要となる見込み。現時点で社債発行は順調に進んでいる。

12月末時点のクラウド受注残は9月末比で55%増の2400億ドルに拡大している。ピチャイCEOは決算説明会で、こうした大規模投資を行ってもなお、「2026年末にかけても供給制約が続く」との見通しを示している。2/5日経2/5日経2/9インフォ2/7インフォ2/26インフォ


米国では、データセンター運営企業が電力インフラの設備費用を負担する流れが強まりつつある。これはGoogleクラウドにとってコスト増要因となるが、同社はすでに電力会社の買収などで先手を打っているので、現時点では大きな問題にはなりにくそう。1/17日経1/19インフォ

一方、中国は豊富な電力供給を背景に、米AI企業を技術面で猛追している。半導体性能での劣位を、低コストの電力で補う構図。米国におけるAI開発のボトルネックが電力不足にシフトしつつある中、中国の存在感は一段と高まっている。1/20日経

中国はAIモデル開発も順調なようで、性能がChatGPT級でありながら、運用コストを5分の1に抑えたAIを開発している。1/31日経

とはいえ、中国のAI開発は「蒸留」に依存するケースも多いとされる。蒸留とは、既存のAIに大量の質問を投げて回答を収集し、その応答パターンを別のAIに学習させる手法。効率的な開発手段であるが、業界では「AI開発の抜け道」とも指摘されており、実質的に知的財産の搾取と見なされている。2/13Gigazine2/23インフォ2/12インフォ

中国企業が開発する「オープン型」AIモデルの利用が拡大している。世界シェアはこの1年で1%から約15%へと拡大した。理由は高性能で低価格なこと。この点については前回も触れたが、引き続き注視していく。1/9日経

3/27ロイターによれば、中国の大手AI企業は、これまで進めてきたオープンソース(無料公開)路線の見直しを迫られているという。背景には、投資家からの収益化圧力の高まりに加え、米中対立などの地政学リスクがある。この流れでいくと、中国AIは「普及優先のオープン戦略」から、「収益と安全保障を重視したクローズド戦略」へと徐々に軸足を移していく可能性が高い。となると、現在の「オープン型」モデルのブームも、そう長くは続かないのかもしれない。


今年のダボス会議で、Google DeepMindのトップであるデミス・ハサビス氏は「AGIの実現はまだ先」との見解を示した。2030年までに実現する可能性はあるものの、依然として多くの課題が残されているという。現在のAIには、主に次の3つの弱点があると指摘している。

・継続学習ができない。→経験から自律的に学び続けることができない。
・長期的な計画を立てられない。→年単位の戦略を構築できない。
・知能の一貫性がない。→分野ごとの能力のばらつきが大きく、真の知性とは言い難い。

こうした状況を踏まえると、Googleが「大発明家」としてブレークスルーを次々起こすフェーズは、まだ先になりそう。このフェーズこそが株価の大きな上昇要因につながると考えられるため、株価の本格的な上昇はもうしばらく先になるかもしれない。

一方で、創薬などの分野では研究開発が着実に進展している。直近では、DNAのわずかな変化が遺伝子の働きに与える影響を予測する新型AI「アルファゲノム」を発表している。このAIは創薬や医療研究の在り方を大きく変える可能性があり、ゲームチェンジャーとなり得る技術として注目されている。1/29日経3/11日経3/3インフォ


Waymoのロボタクシー料金が、UberやLyftに近づきつつある。ロボタクシーは「実験」段階から、実用的な移動手段へと移行しつつある。1/28日経

Waymoは2月に約160億ドル(約2.5兆円)を調達した。これを原資に、ロボタクシー事業のグローバル展開を加速させるという。2/3日経

一方で、規制面のハードルも依然として高い。米ニューヨーク州は、Waymoの試験走行を州全域に拡大する計画を撤回し、現在の試験も2026年3月末で終了する予定。背景には、安全性、法制度、雇用、都市特性といった複合的な課題があるとされる(2/21日経)。なかなかすんなりとはいきそうにない。

<WaymoとTeslaの戦略の違い>
Waymoは、特定エリアに限定して完全自動運転を実用化する戦略。
Teslaは、世界中どこでも走行可能な“人間レベル”の運転AIを目指す戦略。

現時点では、Waymoは“難易度の低い領域から攻める”ことで先行し、すでに収益化も進んでいる。一方で、Tesla型のアプローチが成功すれば、一気に逆転する可能性もある。ただし、その実現難易度はAI研究の中でも最難関クラスとされる。

iPhoneSiri(音声で操作できるパーソナルAIアシスタント)は、近くGoogleのGeminiを活用した大型アップデートが予定されている。

AIがiPhoneの中核技術となった場合、主導権をGoogleに握られる可能性もあるが1/22インフォ)、AppleはiPhone本体とスマートフォンOSという基盤を押さえているので、たとえAIが主役の時代になっても、「地主」として主導権の一部を維持しつつ、共存していけるのではないかと思う。3/25インフォ

産業用ロボットの開発プラットフォーム(オープンソース基盤ROS)を提供するGoogle系企業イントリンシックの存在感が高まっている。日本のファナックもROS対応を表明しており、この分野でもGoogleが覇権をとる可能性がある。

ロボット用AIにおいては、「世界モデル」が基盤技術になる可能性が高いとされる。その領域で先行するGoogleは、今後も優位性を維持できる可能性が高い。2/26日経3/16CBインサイツ3/20インフォ

*「世界モデル」とは
AIにおける「世界モデル」とは、環境の構造や因果関係を内部に表現し、状況の変化や行動の結果を予測できるモデル。従来のAIモデルが「入力に対して最も確からしい出力を返す」ことを主眼としていたのに対し、世界モデルは「この世界では何が起きるのか」を内部でシミュレーションし、未来の状態を推測できる点が異なる。つまり、単なるパターン認識を超え、世界のルールを再現することで予測や計画を可能にする技術であり、AGIに近づくための中核要素の一つとされる。


AIモデル開発においては、競合のxAIやメタが苦戦していると報じられている(3/14日経3/12インフォ)。メタでは一時的な対策として、GoogleのGeminiをライセンス契約で活用する案も検討されたという。後発企業はデータ、人材、資金といった面で不利な立場にあり、もう追いつける段階にはないようにみえる。

Googleが、大規模言語モデル(LLM)に必要なメモリー量を大幅に削減する新技術「TurboQuant」を発表した。精度を維持したまま、メモリー使用量を「少なくとも6分の1以下」に圧縮できるという。この削減幅は尋常ではなく、開発そのものにも“Turbo”がかかっているように見える。3/27日経3/28日経


OpenAIは動画生成AI「Sora」の事業を終了した。背景には、動画生成に伴う高コストや著作権問題、AI競争の激化に加え、最大の要因として計算資源の制約がある。収益性の高い法人向け領域やAGI開発を優先する戦略とみられる。

動画生成領域ではGoogleの「Gemini」に対抗する有力プレーヤーが一つ消えた。動画生成は計算負荷が大きく採算面に課題を抱える一方、AIの総合力を高めるうえで重要な領域でもある。長期的にはGoogleにとって有利な展開にみえる。3/25日経3/31日経


メタやGoogleなど、SNSを運営する企業に対する集団訴訟が始まった。今後、数千件規模に拡大する可能性があり、判決次第では事業運営に大きな影響が及ぶ可能性がある。

争点となっているのは、「中毒性を生む設計」。メタをはじめとするSNS企業は、脳科学や心理学の知見を活用し、ユーザーの依存を促す設計を意図的に行ってきたとされる(『スマホ脳』)。この点が悪質性として問われており、何らかの処分や新たな規制導入につながる可能性が高い。結果として、業績には一定の下押し圧力がかかる見込み。

ただし、YouTubeはすでに視聴制限機能などの対策を導入しており、影響は限定的になりそう。そのため、アルファベット全体への業績インパクトは相対的に小さくなる可能性がある。1/26インフォ

米ニューメキシコ州の裁判で、メタは未成年のSNS利用者を性被害から十分に保護しなかったとして、約590億円の支払いを命じられた。同社は未成年の安全やSNS依存を巡る訴訟を他にも抱えており、将来的には、たばこ産業のように巨額負担を伴う規制強化へ発展する可能性がある。3/25日経

*米たばこ業界では1990年代、「中毒性を認識しながら適切な対策を講じなかった」として訴訟が相次ぎ、企業は巨額の賠償や広告規制を受けた。今回のSNS訴訟も、こうした流れとの類似性が指摘されている。3/27日経

米カリフォルニア州の裁判所は、未成年のSNS依存を巡る訴訟で、メタとGoogleに責任があるとする評決を下した。アルゴリズムや自動再生、通知機能が中毒性を高める設計となっており、安全対策が不十分だったと認定した。

両社には計600万ドル(9億5千万円)の賠償が命じられ、メタが70%、Googleが30%を負担する。両社はともに控訴する方針を示している。

この裁判は、SNS企業の設計そのものの責任を問う初の代表的案件とされ、同様の訴訟数千件の行方に影響を与える可能性がある。さらに、この論理はOpenAIやGoogleのAIサービスにも波及する可能性がある。Googleも規制強化や設計変更、賠償ラッシュを避けられないのかもしれない。3/26日経3/25インフォ

……現在のところ、こんな感じになるが、この問題はSNSにとどまらず、インターネットの根幹に関わるものなので、そう簡単に結論が出る話ではない。訴訟ではSNSの「中毒性」が問題視されているが、そもそも終わりのない情報を提供するインターネット自体が、本質的に中毒性を内包している。

また、ユーザーの滞在時間を延ばす設計は、SNSに限らず、テレビやゲーム、動画配信などあらゆるメディアに共通している。SNSはそれが極端に表れた存在にすぎず、「依存を意図した設計」なのか、「満足度を高める設計」なのかの線引きは極めて曖昧になる。

さらに、科学的な因果関係の立証も容易ではない。SNS利用とメンタルヘルスの悪化には相関がある可能性は高いが、依存や精神的影響は、個人の特性や家庭環境、社会的要因など複数の要素が絡む問題であり、「SNSが直接の原因」と断定するのは難しい。この点は、過去のゲームやファストフードを巡る訴訟と同様、企業側に有利に働く余地がある。

加えて、利用が任意である以上、一定の自己責任や、未成年の場合には保護者の監督責任が問われる余地も残る。実際、IT企業側もペアレンタルコントロールやスクリーンタイム制限といった「ブレーキ」を提供しており、それを利用しない側の責任も論点となり得る。

また、たばこ産業との単純な類推にも無理がある。たばこは医学的に有害性が明確で、依存性も物理的に裏付けられている。一方、SNSは情報取得やコミュニケーションといった有益な側面を持つ。中小企業のマーケティング、災害時の情報共有、孤立を防ぐコミュニティ形成など、その「正の外部性」は大きい。SNSはすでに現代社会のインフラであり、その利便性を大きく損なう規制は、社会全体の利益を損なうリスクを孕んでいる。

さらに踏み込めば、アルゴリズムによるコンテンツ配信は「編集行為」や「言論」とみなされる可能性があり、規制は「表現の自由」との衝突を引き起こす。この論点は法的に極めて重く、規制のハードルを引き上げる要因となる。

以上を踏まえると、訴訟の拡大が直ちに「たばこ型の巨額賠償モデル」に収束するとは限らない。現実的には、一部機能の修正や安全対策の強化といった限定的な対応にとどまり、ビジネスモデル自体は維持されるシナリオも十分に考えられる。

AIサービスへの波及についても同様で、SNSとは性質が異なる以上、同じ論理がそのまま適用されるとは限らない。仮に「ユーザーを引きつけすぎる設計」が問題視されるのであれば、利便性を極限まで追求する生成AIもまた同じ議論に巻き込まれることになる。テクノロジーの進化そのものが「悪」と定義される事態を避けるためにも、SNS企業は強く争う構えを見せる可能性が高い。



■イントラスト
基本シナリオ:「賃貸保証会社」から「多角的な保証プラットフォーマー」へ

3Q決算も順調だった。ただし、昨年11月にIT企業のキャロルシステムを約8億円で買収していたことがわかった。同社はWebシステムや業務システムの開発を手がけ、特にコンテンツ管理システム(CMS)を活用したサイト構築に強みがあるという。11/21IR

AIの進展によりソフトウェアやエンジニアの価値が低下しつつある現状を踏まえると、こうした企業の買収はリスクが高い。キャロルシステムの2025年期業績は、売上高12億円、営業利益3000万円(営業利益率2.5%)、純利益3000万円になる。過去3期もほぼ同水準で、成長率は0%。買収額8億円に対し、PERは約26倍と割高感がある。

利益水準が低いため、競争環境が悪化すれば赤字転落のリスクも高い。今後は価格競争の激化が見込まれるため、1年半くらいで減損に至るのではないかと思う。

今回の買収は、シナジー創出というより、業績の見栄えをよくするために行ったのではないかと思う。同社は来期に売上高150億円という目標を掲げており、既存事業だけでは達成は困難と見ていた。しかし、今回の買収により、それが射程圏内に入る。

この会社を長年観察してきて、経営者の判断能力の高さに疑いはないが、今回は数値目標に引っ張られてミスジャッジをしたように見える。



■米ブロードコム
基本シナリオ:「AI革命」序盤の主役へ

1Q決算は市場予想を上回る好内容だった。

・売上高:193億ドル(前年比+29%)
・純利益:73億ドル(+34%)
・AI関連売上:84億ドル(約2倍)

ブロードコムは、AI専用の特注半導体(ASIC)の設計支援を手がけており、この分野が急成長している。

AIチップ事業の売上高は以下の通り拡大

・2024年:約120億ドル
・2025年:約200億ドル
・2026年:1Q 84億ドル、2Q予想 107億ドル

この急拡大が、全社成長の主因となっている。今後の会社見通しも強気。

主要顧客であるGoogleは、最大100万個規模のTPU供給計画を進めており、ブロードコムの受注拡大を強力に後押ししている。

米国とイランの戦争により、中東におけるデータセンター計画に不透明感が漂い始めた。湾岸諸国では、安価な電力を背景に、総額3000億ドル超のAI投資が計画されているが、イランが一部のデータセンターへの攻撃を開始したことで、地政学リスクが一気に顕在化した。戦争が長期化すれば、AI投資の一時停止や建設地の見直しが進む可能性がある。3/8インフォ3/28日経



■米アマゾン
基本シナリオ:EC・物流・ロボット分野で圧倒的な地位を維持しつつ、メディア・クラウド・AIでもトップ集団に残る

4Q決算も概ね順調だった。
・売上高:2134億ドル(前年同期比 +14%)。*為替影響を除くと約+12%成長。
・営業利益:250億ドル(前年212億ドル)。*特別費用を除くと274億ドル相当。

セグメント別売上
・北米:1271億ドル(+10%)
・国際:507億ドル(+17%)
・AWS(クラウド):356億ドル(+24%) → 13四半期ぶりの高成長。

通期(2025年)
全体
・売上高:7169億ドル(+12%)
・営業利益:800億ドル(+17%)
・純利益:777億ドル(+31%)

今期はAI・インフラ・ロボティクスなどに、約2000億ドル(前期比+50%超)の設備投資を計画。

Amazon株もGoogle株と同様、決算後に過剰投資への懸念から株価が下落してしまった。ただし、アンディ・ジャシーCEOは「クラウド事業では需要見通しに基づき高い収益を実現してきた。AIは巨大な成長機会であり、今回も投資回収には強い自信がある」と述べているので、長期では特に問題なさそう。2/6日経2/5インフォ2/5インフォ

また、米マッキンゼーは、2030年までに世界で6.7兆ドル(約1000兆円)のデータセンター投資が必要となり、そのうち5.2兆ドルがAI向けになると予測している(3/13日経)。こうした需要見通しを踏まえると、足元で指摘されている過剰投資懸念は、杞憂に終わりそう。


アマゾンクラウドAI部門の主要顧客であるアンソロピックが、米国防総省との対立により、同省向けサービスの提供を停止することになった。
*完全停止は8月頃の見込み。今後は裁判や協議が予定されており、状況が変化する可能性もある。

もっとも、今回の措置は他の政府契約や民間ビジネスまで全面的に制限するものではない。そのため、現時点ではアマゾンへの影響は限定的になる。2/27インフォ3/7日経3/6インフォ


Amazon Web Services(AWS)は大規模な組織再編を進め、AIエージェントを次の中核事業と位置づける戦略へと転換した。従来のAI基盤であるAmazon BedrockやAmazon SageMakerも再編の対象となり、一部サービスの終了を含めて、リソースをエージェントAIへ集中的に振り向けている。

AWSの強みは、企業のデータ、業務システム、クラウド基盤をすでに広く押さえている点にある。これにより、AIが実際の業務を遂行できる環境を提供できる。AWSは、「AIを動かすクラウド」から「AIが働くインフラ」へと進化しようとしている。エージェントAIを次の覇権レイヤーと捉え、大きく賭けに出ている(2/1インフォ)。この方向性は正しそう。


AWSは、人員削減を進める一方で、営業や事業開発、技術支援などを担う社内AIエージェントの導入を加速している。ソリューションアーキテクトやエンジニアの業務にもAIによる部分的な自動化が広がり、社内の幅広い領域で効率化が進みつつある。

ホワイトカラー業務の自動化が本格化し始めており、今後は「知能代替」による利益率上昇が期待できる。3/24インフォ


アマゾンはOpenAIに最大500億ドルを出資する方針で、アマゾン向けにカスタマイズしたAIモデルの共同開発を含む大規模な提携を進めている。主な狙いは、音声アシスタント「Alexa」など自社AI製品の高度化にある。この提携により、OpenAIはAWSの有力顧客となる可能性が高い。ただし、OpenAIはどこかで大ゴケする可能性があるので、その点には注意したい。2/4インフォ2/4インフォ2/27インフォ

アマゾンは、配送効率化を目的に自律型ロボット企業Rivrを買収した。狙いは「ラストワンマイル(最終配送)」の自動化であり、将来的には人型ロボットや自動運転との連携も視野に入れている。3/19日経

さらに、家庭用ヒト型ロボット開発の新興企業Fauna Roboticsも買収し、物流にとどまらず一般家庭向けロボット事業にも本格参入した。同社の「スプラウト」は、高さ約1メートル、重さ約23キロと小型・軽量で、従来のロボットに比べて安全性や普及性の面で優位性があるとされる。3/25日経

こうしたロボット分野にもOpenAIの技術が組み込まれる可能性は高い。ただし、同社はまだ「世界モデル」などの基盤技術の確立途上にあり、中長期では優位性が揺らぐ可能性もある。


AWSは、AI需要の爆発的拡大を背景に、現在約1300億ドル規模の事業を将来的に6000億ドルへと拡大できる可能性があると、ジャシーCEOは見ている。

その成長の裏には、自社開発だけでなく、OpenAIやAnthropicといった有力AI企業との強固な連携がある。特にOpenAIは、今後8年間で約1400億ドルのクラウド支出を見込んでおり、AWSにとって巨大な需要源となる見通し。Anthropicも急成長しており、この2社を取り込むことで、出遅れていたAI競争の遅れを一気に挽回しようとしている。

さらに、政府・軍事分野への展開も進んでおり、AIは単なるクラウドの付加機能を超え、国家レベルの基盤インフラへと変わりつつある。AWSの強気な成長見通しは、クラウドが「計算資源」から「AIを支える中枢インフラ」へと進化している現実を映し出している。3/17インフォ


ChatGPTで、The Informationの記事を要約していく過程で、AIからの問いに沿って掘り下げていくうちに、「AIバブルの最終勝者ランキング」という整理が出てきた。内容に一定の妥当性があると感じたため、メモとしてコピペしておく。

1位:インフラ地主(クラウド+電力)
AWS / Azure / Google Cloud
理由:
・モデル企業は必ず利用する
・推論需要の拡大に比例して収益が増加
・価格競争が起きても“通行税”を確保できる
・AI拡大に伴い電力・ネットワーク依存が高まる

→ AIが成功しても失敗しても、GPUが回り続ける限り収益が発生する。最も安定したポジション。

2位:チップ王者(Nvidia+次世代半導体)
Nvidia
・需要は爆発的に拡大
・代替が難しい
・CUDAエコシステムが強固

ただし:
・長期的には競争激化(TPU・AMD・ASIC)
・価格圧力のリスク

→ 現在は圧倒的王者。ただし永続的とは限らない。

3位:電力・エネルギー
見落とされがちだが、AIは「電気を知能に変換する産業」。
・再生可能エネルギー
・原子力
・送電
・冷却

→ 中長期(10年スパン)の重要テーマ。

4位:垂直統合型プレイヤー(Meta型)
・自社モデル
・自社データセンター
・自社プロダクト
・巨大ユーザーベース

→ 利益を内部で循環させられる構造を持つ。

5位:超スケールSaaSでAI統合できる企業
例:
・Salesforce
・ServiceNow
・Adobe

ただし条件:
→ AIに置き換えられないポジションを維持できるかが鍵。

6位:モデル専業(OpenAI / Anthropic)
最も注目を集める領域だが、構造的には:
・クラウドへの依存
・レベニューシェアの負担
・高額な研究開発費
・価格競争リスク
・コモディティ化リスク

→ 勝てば巨大。ただし消耗戦の側面が強い。

7位:アプリ層(AIアプリ、エージェント)
・競争激化
・参入障壁が低い
・差別化が難しい

→ 生き残るのはごく一部。

まとめ
AIブームの主役はモデル企業だが、最終的な勝者は「インフラ」という土台を握るプレイヤーになりやすい。

最大の変数
① 規制
② 地政学リスク(戦争)
③ 電力制約
④ オープンソースの進展

→ これらの要因次第で、順位は大きく変動する可能性がある。


アマゾンのリアル店舗は苦戦気味のもよう。無人レジのAmazon Goは1月に完全撤退した。その背景には、コスト問題に加え、トップダウンで標準化された店舗運営の限界があった可能性がある。子会社の高級スーパー、ホールフーズ・マーケットでも、食に強いこだわりを持つ現場スタッフの離職が進み、売り場の活気や独自性が損なわれたとの指摘がある。足元では業績に底打ちの兆しもみられるが、同社の企業文化がリアル店舗と高い親和性を持つとは言い難く、大きな成長は期待しにくい。2/20日経MJ2025日経MJ

一方で、3/16日経クロストレンドによれば、アマゾンにとってリアル店舗は「収益の柱」ではなく、「高収益事業へとつなげる顧客接点」と位置づけられている。ECや店舗で獲得した顧客を基盤に、AWS、物流、広告、サブスクリプションなどで収益を回収する構造だという。

この観点から見れば、GoやFreshの撤退は、単なる失敗ではなく、「インフラとしての効率」や「独自の体験価値」の両面で期待された役割を十分に果たせなかった結果と解釈できる。言い換えれば、ジェフ・ベゾスの掲げる「考えさせない購買体験」との整合性が低い接点を切り離したともいえる。

つまり今回の動きは、リアル店舗戦略の後退ではなく、次の顧客体験を構築するための「学習と選別(純化)」のプロセスの一環と捉えることもできる。



■大和 iFreeNEXT FANG+インデックス
基本シナリオ:AI革命の勝者に賭ける

メタの将来価値に対し、SNS依存訴訟の判決が新たなリスクとして浮上している(上記参照)。特に重要なのは、メタのビジネスモデルが「ユーザーを引きつけ続ける設計」に依存している点にある。AIによってフィードを一層最適化する戦略は、今回の判決により制約を受ける可能性がある。短期的な賠償額以上に、将来の事業モデルそのものに規制・訴訟リスクが及び始めた点が本質的な問題といえる。3/25インフォ


2/26日経によると、メタでは株式購入権(ストックオプション)を行使する社員が急増し、資金繰りに影響が出始めているという。理由は明確ではないが、成長のピークアウトやリストラへの懸念が意識されている可能性がある。一般に、インサイダーによる自社株売却の増加は警戒シグナルとされる。

3/15ロイターは、メタが従業員の20%超を削減する可能性を報じた。これを踏まえると、社員による株式売却の増加は、リストラ懸念を背景とした動きだったもよう。

となると、今後はコスト構造の改善を通じて利益率が上昇していくのかもしれない。ザッカーバーグCEOは1月に「かつては大規模なチームを必要としていたプロジェクトも、今では非常に優秀な人材1人で完結できるようになった」と述べており、20%超の人員削減が現実化する可能性は十分にある。

構成銘柄からサービスナウが消えて、新たにパランティアが入ってきた。パランティアのPERは200倍を超えており、株価の変動は大きそうだが、AIビジネスやアーキテクチャ設計といった先進領域で主導的な地位にある企業なので、今後も高成長が期待できる。3/17インフォ

一方で、気がかりな点もある。同社はCIA系のルーツを持ち、「スマート戦争システム」を主導する存在でもある。この分野は、米国と中ロの間で主導権を争うゼロサムゲーム(自国が強くなるほど相手が相対的に弱くなる構造)の色合いが強く、倫理的配慮からAIの軍事利用をためらえば、敵対国に後れを取り、安全保障上のリスクが高まるという現実は理解できる。

しかし同時に、それは「効率的に人を殺すシステム」を高度化することでもあり、手放しで支持しにくいところがある。3/18現代ビジネス3/24ビジネスIT


アップルのクックCEOは1Q決算で、「今年は、ユーザーの生活をあらゆる場面で豊かにする、これまでにない革新を届ける機会に胸を躍らせている」と述べ、「最高の仕事はこれからだ」と強い自信を示したという。この「革新」とは何を指すのか。ひとつはGoogle基盤を活用した新しいSiriで、もう一つは3DモデルやAI技術を統合した「物理AI」系のガジェット(スマートグラスなど)あたりではないかと思う。

イラン革命防衛隊が、米テック企業を新たな攻撃対象として名指しした。グーグル、エヌビディア、マイクロソフト、IBM、パランティアなど7社が中東周辺に保有する計29拠点を「標的」とするリストを公開したという。

背景には、これらの企業が米国資本で、今回の軍事行動に技術面で関与したとの認識があるとみられる。また、防御が比較的手薄で攻撃しやすい「ソフトターゲット」である点も、選定理由の一つと考えられる。3/13日経

中東情勢の混迷は、金利上昇やエネルギー価格の高騰を通じて、AI開発投資に下押し圧力をかける可能性もある。3/11インフォ3/28日経


3/30日経によると、米国の大型ハイテク株は下落基調が続き、「弱気相場」入りが鮮明になっている。主要テック株で構成されるNYSE FANG+指数は直近高値から20%超下落し、算出以来初となる5カ月連続下落となった。背景には、中東紛争の長期化に伴う原油高と景気減速懸念に加え、AI関連株の過熱感や「SaaSの死」論への警戒があるとみられる。もっとも、この程度の変動は想定の範囲内。組み入れ銘柄の一部SaaS企業には不透明感が残るものの、最終的にはこれらの企業群がAI革命の勝者となるという見方に変わりはない。なお、現在の保有投信のパフォーマンスは-7%になる。



■米ベライゾン
基本シナリオ:シュルマン社長の経営改革で2027年に株価2倍(80ドル)

2025年10月にシュルマン氏が社長に就任して以降、早くも再建に向けた動きが本格化している。

4Q決算で、シュルマン氏は「2026年は転換の始まりの年」と明言した。

今後の基本戦略は以下の通り。
・コスト削減と成長投資を同時に推進
・シェア奪還に向けた本格攻勢
・価格引き上げ依存から脱却し、「持続的成長モデル」へ転換

<2025年4Q決算ハイライト>

■ 契約者動向
ポストペイド携帯純増:61.6万件(5年ぶり高水準)
モバイル+ブロードバンド純増:100万件超
ブロードバンド純増:37.2万件
FWA(固定無線)好調
Frontier買収で光回線基盤拡大

<2026年ガイダンス>

■ 契約者目標
ポストペイド純増:75万~100万件
→ 2025年の2~3倍

■ 売上
モビリティ+ブロードバンド収益:+2~3%
ワイヤレス単体は横ばい(価格引き上げ依存からの脱却を意図)

■ EPS
4.90~4.95ドル(+4~5%成長)

■ フリーCF
215億ドル以上(+7%以上成長)

■ 設備投資
160~165億ドル
→ 5G C-Band投資ほぼ完了
→ 非中核事業を大幅削減

■コスト改革(3段階戦略)
1. 組織合理化(人員1.3万人削減)
2. 業務の複雑性排除
3. AI活用による自動化
→ 2026年に50億ドルの営業費用削減を見込む

前回予想したとおりの展開。この調子でいってくれればと思う。

3/11日経によると、米通信会社はAIやクラウドの普及に伴うデータ通信量の急増に対応するため、米国内で数十兆円規模の通信インフラ投資を進めるという。

これまでベライゾンはAIインフラとは縁が薄い存在とみていたが、実際には一定の関与があるもよう。アマゾンのクラウド事業と提携していることも踏まえると、今後は「隠れたAIインフラ銘柄」として再評価される可能性がある。


■前田工繊
基本シナリオ:土木資材系のM&Aでインフラ需要を着実に取り込む

3Q決算も上振れ気味で着地。

子会社のBBSジャパン(自動車用ホイール製造)は、F1のフェラーリチームなどへのホイール独占供給が決定した。ブランド力の高さがうかがえる。一般にブランドビジネスは高い利益率が期待できるので、今後の収益貢献にも期待が持てる。1/22日経

前田工繊には長期間にわたり逆日歩が発生しており、信用倍率も1倍を下回っているが、その理由がよくわからない。なにか大きな問題があるのだろうか。



■SBIホールディングス
基本シナリオ:「どんどん巨大化する」「ネットは勝者総取りや」By 北尾CEO(参照

決算は堅調で、基本シナリオに大きな変化はない。
しかしAIの負の影響は受けそう。この点を意識してしばらく様子見。


■NTT
基本シナリオ:NTTデータを軸に成長。長期ではIOWN(光電融合技術)に期待

3Q決算は、増収減益でいまいち。ドコモが足を引っ張っているもよう。携帯事業は競争激化と設備投資増で減益基調が続く見込み。2/6日経2/6日経

期待のIOWN事業が動き始めた(12/24マイナビニュース2/5日経3/6日経)。ただし、市場の成長余地が大きい分、新規参入も相次いでいる。競合はエヌビディア、ブロードコム、ファーウェイ、サムスンといった競争力の高い巨大企業なので、見通しはあまりよくない(3/5日経1/22インフォ)。NTTは主要技術の特許を多数押さえているようだが(2025日経ビジネス)、相手が悪すぎるように見える。


NTTデータは、金融機関向けにサイバー防御を共同で担うサービス「FinSOC」を開始した。複数の金融機関のシステムを24時間監視し、攻撃の検知から被害拡大の防止、復旧までを一括して担う。すでに地方銀行などで導入が進んでおり、今後は金融業界における中心的なセキュリティ基盤となる可能性がある。3/27日経

全国の銀行はマネーロンダリング対策として、不正口座情報を迅速に共有する新たなシステムを導入する。この仕組みは、全銀協子会社のマネー・ローンダリング対策共同機構がNTTデータと共同で開発し、運用・保守もNTTデータが担う。3/29日経

NTTデータは、このような基幹デジタルインフラを支えるキープレイヤーになりそう。



■米マイクロソフト
基本シナリオ:最強のAIエージェント・プラットフォームに

2Q決算は、ぱっと見は悪くなかった。

売上:前年比 +17%(市場予想超え)
Azure(クラウド)成長も約38%増と高水準
受注残(バックログ)の急拡大。2025年9月期:3920億ドル → 2025年12月期:6250億ドルへ急増。

しかし決算後、大きく売られた。

理由は、クラウド成長率の鈍化トレンド、受注残の45%がOpenAI向け、SaaSビジネスへの逆風(Microsoft365の成長鈍化リスク)、AI投資増、あたりになりそう。1/28インフォ1/30日経

この会社の本質的な問題は、SaaSビジネスの崩壊と、OpenAIの大ゴケリスク、Copilotの実用性への疑問、になる。これらの点に注意して見ていきたい。

サティア・ナデラCEOは、将来的にAIモデルそのものはコモディティ化し、価値はAIを企業の実務で安全に活用するための「アプリケーション・スキャフォールディング(接続・管理の仕組み)」に集約されると見ている。つまり、AIを安全に稼働させる「環境」を握る企業が、最終的な勝者になるという考え方。

マイクロソフトは、Office、Windows、Azure、TeamsといったAIの利用基盤をすでに広く押さえている。この点を踏まえると、同社が構想するAIエージェント管理プラットフォームは、うまく機能するのではないかと思う。2/6インフォ3/10インフォ



■サイバーエージェント
基本シナリオ:AI・ロボット時代の余暇産業の勝者に

1Q決算は思ったよりもよかった。

・売上高2323億円(前年比 +14.0%)
・営業利益233億円(前年比 2.8倍)

<業績内訳>
ゲーム事業
・売上:647億円(+69.2%)
・営業利益:176億円(5.3倍)

メディア&IP事業
・売上:626億円(+12.5%)
・営業利益:49億円(3.5倍)

インターネット広告事業
・売上:1,146億円(▲2.7%)
・営業利益:43億円(▲27.2%)

ただし、広告事業の先行きは厳しそう。藤田会長は「(広告運用は)そんなに簡単なものではない」と述べ、顧客離脱の可能性は低いとの見方を示しているが、米欧では広告運用の内製化が進んでおり、構造的な逆風は避けにくい。1/29日経2/26日経

ゲーム事業にも怪しげな雰囲気が漂い始めた。1月にGoogleが仮想世界を自動生成するAIツール「Project Genie」を発表。現時点では完成度は低いようだが、ゲーム開発の構造そのものを変える可能性があるため、中長期では厄介な存在になりそう。1/31インフォ2/4インフォ2/19日経


この会社には、AI実装による利益成長を期待していたが、微妙な感じになってきた。それはAIは付加価値の創出だけでなく、人員削減(知能代替)を通じて利益率を押し上げる側面が大きいとわかったため。

サイバーエージェントは今年も人員を増加させており(前年同期比+342名)、これまでの傾向を見る限り、来年以降も増員が続く可能性が高い。この場合、利益率が低下していくリスクがある。AI実装が実際にコスト構造の改善につながるのかを注視しつつ、今後の動向を見極めていきたい。


3/18日経によると、ABEMAは「テレビの延長」ではなく、「世界市場で戦うための実験場」と位置づけられている。今後は「世界で勝てるコンテンツ」の創出を目指し、グローバル基準での展開を志向していくという。

動画配信はレッドオーシャン市場であり、成功のハードルは極めて高いが、同社には企画力・実行力がありそうなので、低確率ながらブレイクする可能性もありそう。



■iシェアーズ AI グローバル・イノベーション アクティブ ETF
基本シナリオ:AI革命の勝者に賭ける

AIブームのバロメーターとして見ている。
9月に買って、現在の損益は-2%とほぼ横ばい。

銘柄選択は良さそうなので、今後はAI関連市場の拡大とともに、大きく上昇するのではないかと思う。


■今後の計画
投資スタンスは 「基本静観、チャンスが来たら動く」 のまま。市場が荒れて米VIXが40超、日経平均の騰落レシオが70以下になったら株式などを買っていく。PBR、投資家心理指数、裁定売買残高なども考慮する。1ドル135円くらいになることがあれば海外株を買っていく。

ただし、AIは「人類史上最大の革命」とも言われるので、AI関連株についてはドルコスト平均法で継続的に積み上げていく。AIには暴走リスクといった側面もあるため、その点に理解のある会社を選んでいく。

ウォッチリスト

 今後は「AI革命」と円安が進みそうなので、海外のAI関連株を中心に見ていく。

・米エヌビディア
現在、「AI革命」の恩恵を最も受けている会社。AI革命は始まったばかりなので、今後も力強い成長が期待できる。ロボット分野でも膨大なチップ需要が見込まれる。一方で、中国企業やGoogleなど競合の追い上げがリスクとなる。

推論向けAIチップでは競争が激化しているものの、学習用のハイエンド領域では依然としてエヌビディアが優位を維持している(1/9日経)。ただし、GoogleはAI基盤技術への理解が深く、最先端モデルや将来的には量子コンピューターを設計に活用できるため、中長期では追い抜かれる可能性が高い。

もっとも、エヌビディアはTPUなど他社製AIチップにも対応可能なサーバーラックの開発を進めており、ネットワークや接続技術を含めた「AIインフラ全体」で主導権を維持する戦略を取っているので、「盟主」として生き残れそうではある。3/23インフォ

短期的な最大の注目点はOpenAIの動向になる。競争力を維持できれば問題ないが、アンソロピックやGoogleの追い上げは激しく、一部領域では完全に追い越されている。OpenAIはエヌビディアの大口顧客なので、ここがコケれば、エヌビディアも無傷では済まされない。

長期的なもう一つの注目点は、ソフト基盤「CUDA」の持続性になる。Googleとメタが連携し、GPUの開発環境(PyTorch)をそのままTPUで動かす仕組みを開発しており、CUDA依存が揺らぐ可能性が出てきている。さらにアンソロピックなどによって、プログラムを機械語へ翻訳するコンパイラーをAIが自動生成する動きも進みつつある。こうした変化は、AIそのものが「CUDAの城壁」を内側から崩すリスクを孕んでいる。3/26日経


▲・米OpenAI(非上場)
ChatGPTの勢いにはやや陰りが見え始めた。ユーザー数の伸びは鈍化し、2025年末に掲げていた「週間10億人」の目標はいまだ達成できていない。

競争力の低下は、資金調達力を弱め、それがさらなる開発力低下を招く「負のスパイラル」に陥るリスクがある。


一方で、OpenAIはAIエージェント分野に本格参入し、“AI OS企業”への転換を志向している。今年は「AIエージェント実装の年」となりそうだが、競争が激しいレッドオーシャン市場でどこまで優位性を確立できるかが注目ポイントとなる。2/15インフォ2/15インフォ3/23ロイター


OpenAIは、また「コードレッド」を発令した。前回は「Gemini3.0 ショック」だったが、今回は「Claude ショック」になる。法人市場で急成長するアンソロピックに売上高で迫られ、危機感を強めているとみられる。前回のコードレッドでは巻き返しきれずに終わったが、今回も同様の展開となりそう。3/17日経

OpenAIは今年上場しそうな感じ。買う予定はないが、観察対象としては非常におもしろいので、引き続き観察していく。3/5日経


・米アンソロピック(非上場)
エンジニアから高い支持を集めるAI企業。AIの安全性を最優先する方針を掲げ(2/18日経3/7インフォ)、ソフトウェア性能においても高い評価を得ている(2/6日経)。このような理念と実力を兼ね備えた企業こそ最終的に生き残れるのではないかと思う。足元の売上成長は絶好調だが、キャッシュバーンが大きく、財務面には不安も残る。3/9インフォ

米国防総省との間で摩擦が生じており、これが業績や今後の見通しに影を落としている(3/10ロイター)。とはいえ、同社は国防総省を提訴しており、法律専門家の多くは同社が勝訴する可能性が高いとみている。また、この一連の騒動は大きな宣伝にもなっている。3/9インフォ


OpenAIやGoogleの従業員約40人(Google DeepMindの主任科学者ジェフ・ディーンらを含む)が、アンソロピックを支持する意見書を裁判所に提出した。

彼らは、同社が掲げる以下の2原則

・自律型兵器へのAI利用の制限
・AIの安全性に関する懸念

について、AI研究コミュニティにおいて広く共有されている正当な技術的課題であると主張している。

具体的には、現行のAIには以下のような問題が指摘されている。

・新しい環境で性能が不安定になる
・ターゲット識別の精度が不完全
・ハルシネーションの存在
・推論過程の不透明性
・モデル内部の仕組みの理解困難さ

これらを踏まえると、完全自律型兵器の運用に使うには信頼性が不十分だという。3/9インフォ

この意見書から、OpenAIやGoogleもアンソロピックと同様の思想を共有しているようにも見えるが、必ずしも一枚岩というわけではない。アンソロピックが国防総省との契約を解消した直後に、OpenAIは同省と契約を締結しており、Googleにも同様の動きが見られる。この点は、企業としての経営判断と研究者個人の倫理観との間に、一定の乖離が存在する可能性を示唆している。

人材流出、業績、AIの武器化をめぐる倫理問題、さらには中国との技術競争――これら複数の要因が複雑に絡み合い、容易には解決しない構図となっている。3/11日経3/17インフォ

アモデイCEOが1月に発表したエッセイ「The Adolescence of Technology(技術の思春期)」を読んだ。

要点は大きく3つ。
・AIは近い将来、人間を超える能力を持つ可能性がある
・それは文明に巨大な利益と同時に、巨大な危険をもたらす
・人類がこの「技術の思春期」を乗り越えられるかが問われている

中でも印象的だったのは、「もしデータセンターに5000万人の天才国家が突然出現したら?」という箇所。“天才国家”が出現したら、新薬開発や科学発見、経済成長は爆発的に加速し、一方で、暴走や悪用、失業といったリスクも同時に拡大するという。

つまり、知能爆発の瞬間はすでに射程圏内にあり、人類がそれを制御できるのか——という問いが、このエッセイの核心にある。この構図は、ダニエル・ココタイロ氏らの予測「AI 2027」とも強く重なる。

なお、「技術の思春期」というタイトルは、天文学者カール・セーガンの原作をもとにした映画『コンタクト』(1997)のセリフに由来するという。

久しぶりにこの映画を見返してみた。該当のセリフは、主人公(ジョディ・フォスター)が宇宙飛行士選抜の面接を受ける場面で登場する。

面接官「もし異星人に出会い、ひとつだけ質問できるとしたら、何を問いますか。」

主人公「そうですね……たぶん、こう聞くと思います。『あなたたちは、どうやってそれを成し遂げたのですか。どのように進化したのですか。そして、自己破壊に陥ることなく、この“技術の思春期”をどうやって乗り越えたのですか。』その問いこそが――ほかのどんな問いにも増して――私が個人的に答えを聞きたいものです。」

この問いは、そのまま今の人類に突きつけられている。

人類は、この「技術の思春期」を乗り越えられるのか。

今の延長線上では、おそらく難しい。人間の知能を圧倒的に上回る存在を、完全にコントロールできるとは思えないから。

この結末は現実ではなく、映画の中だけで見たい。


なお、この会社も年内に上場する可能性がある。3/26インフォ


▲・米スペースX(非上場)

この会社は6月頃に上場する予定。3/24インフォ

主力事業は衛星インターネット「スターリンク」。これは超高収益が見込まれる宇宙インフラ事業であり、参入障壁も極めて高い。成長余地の大きさを踏まえると、非常に魅力的なビジネスモデルといえる。 1/30インフォ3/4日経

さらに同社は、地球周回軌道に100万基規模の衛星を展開し、宇宙にデータセンターを構築する構想を描いている。宇宙空間であれば太陽光発電により電力コストを大幅に抑えられ、極低温環境によって冷却コストも低減できる。加えて、地球上の環境負荷を回避できる点も含め、発想としてはいつもながら天才的。1/31インフォ

ただし、実現には巨額の建設コストや維持管理の難しさ、放射線対策、通信遅延といった多くの課題が残る。実用化は少なくとも10年以上先との見方が一般的。

ここまでは悪くなかったが、同社がマスク氏のAI企業xAIを約39兆円で買収したことで、一気に冷めてしまった。表向きはAI・宇宙・通信・データを統合する戦略とされるが、実態としては、巨額の資金を要する赤字企業のxAIをスペースXの資金力で支える構図になる。仮に巨額の資金を投じたとしても、xAIが勝ち抜けるとは思えない。2/3日経 2/2インフォ

AIで株式市場は上がるのか、下がるのか

 ダニエル・ココタイロ氏らの予想「AI 2027」によれば、「レースエンディング・シナリオ」が現実化した場合、NYダウは2029年に100万ドル(現在の約20倍)を超える可能性があるという。

足元の展開は、概ね「レースエンディング・シナリオ」に沿って進んでいるため、今の流れが続けば、今後株価は大きく上がる可能性がある。

一方で、2月に公開されたシトリニ・リサーチ社のレポート「THE 2028 GLOBAL INTELLIGENCE CRISIS(2028年の世界知能危機では、2028年のS&P500指数は、2026年の高値から38%下落する、と予測されている。

予測時期には1年程度のずれがあるものの、それを踏まえても両者の株価見通しには大きな隔たりがある。どちらの見方により妥当性があるのか。以下、整理しながら考えてみた。

■「AI 2027」の「レースエンディング・シナリオ」では、どのような経路を経て、株価上昇に至るのか

1.2027年頃、AI開発そのものの自動化が進み、超人的な能力を持つAIが登場する。

2.データセンター内に、超人AIのコピーが数十万体集まった研究組織ができる。

3.AI研究が加速し、「知能爆発」のフェーズに入る。

4.AIが医薬、材料、エネルギー、ロボット、ソフトウェアなど幅広い分野でブレークスルーを次々に起こす。

5.AIがロボットや工場を設計し、さらにAIによって運営される工場ができる。生産能力がほぼ無限に近づく。

6.AI企業の利益は激増し、株価は暴騰する。現在、世界最大級の企業の時価総額は4兆ドル前後だが、巨大AI企業の時価総額は数十兆ドル規模に達し、そうした企業が複数誕生する。

→ 2029年にNYダウは100万ドルに。

ただし、大量失業が起こる。


■「THE 2028 GLOBAL INTELLIGENCE CRISIS」では、どのような経路を経て、株価下落に至るのか

1.AI導入により企業の利益率は上昇する。ただし、その中身は人間の労働を削減したことによるものであり、結果としてホワイトカラーの大量失業が起こる。

2.米国ではホワイトカラーが個人消費の約7割を担っているため、彼らが大量失業すれば需要が激減する。

3.企業は収益確保のため、さらにAI投資を進め、雇用がさらに失われる循環に入る。

4.SaaSモデルの崩壊と、ホワイトカラーを主顧客とする住宅ローン市場(約1800兆円)のデフォルトが重なり、金融危機が発生する。

5.財政面では、失業増加によって税収が大きく落ち込む一方、社会保障費は急増する。AI企業への課税強化やベーシックインカムの導入が遅れ、社会不安が高まる。

6.デフレ、金融危機、財政危機が重なり、株価は暴落する。

→ 2028年にS&P500指数は2026年比で38%下落する。

■AIは「富」を創出できるのか

両シナリオに共通するのは「大量失業」の到来で、決定的な相違点は、AIが「単なるコスト削減ツール(知能代替)」に留まるのか、それとも「新たな価値を生む源泉(富創出)」になるのかという点になる。

統計的に、発見や発明の数は研究者の数に比例する。もし「デジタルな天才研究者」を無尽蔵に複製できるなら、エネルギー革命や新素材開発による真の「富」が創出される可能性は高い。

■AIによりデフレが始まる

しかしその一方で、大量失業が起これば、消費は大きく落ち込み、デフレ圧力が強まる可能性が高い。さらに、「知的資産の死」が進めば、従来の株式市場の価値評価そのものが揺らぎ、市場が大きく失墜する恐れもある。こうした動きが重なれば、金融危機の発生確率は高まる。

また、政府は財政と社会の安定を維持するため、巨大な富を生み出したAI企業に対して重い税を課す確率が高い。そうなれば、AI企業の利益も減少することになる。

■AIで株式市場は上がるのか、下がるのか

以上を総合すると、市場は次のようなフェーズを辿る可能性がある。

・短中期(2026年):人員削減による利益率の改善やAI関連投資の拡大を背景に、企業業績は押し上げられ、株価は上昇する。

・中期(2027~2028年):AI投資の拡大が続く一方で、失業が急増し始める。消費の落ち込みや信用不安が現実化した段階で、株式市場は天井を打つ。

・長期(2029年~):技術革新が極まり、エネルギーや労働が実質無料化される「ポスト希少性社会」へ移行すれば、「株価」や「企業価値」といった概念自体が意味を失い、株式市場は下落の一途をたどる。


■資産運用はどうするか

最終的に「無料社会」に近づくのだとすれば、資産運用をあまり深く考える必要はないのかもしれない。

しかし、現時点ではこのシナリオが現実化する確率はせいぜい50%程度にとどまる。また、土地・資源・ブランド・体験といった「希少性の残る領域」には、引き続き価値が宿る可能性が高い。そう考えると、資産運用について思考停止するのは得策ではない。

したがって、現時点では、あくまで「資産を残す・増やす」という方向で考えていく。


上記のシナリオを前提にした場合、どのような銘柄に投資すべきか。

候補としては、土地・資源・ブランド・体験に関連する企業、あるいはAI企業が考えられる。

なかでも、現時点で最も面白いのはAI企業になるので、ここに絞って考えてみる。

AI企業に必要なのは、頭脳、資金、データになる。これらを現時点で十分に備えているのは、結局のところ巨大企業に限られる。

おそらく、
・「知能代替」の領域で主導権を握るのは、マイクロソフト、アマゾン、アンソロピック、OpenAIあたり
・「富創出」の領域で優位に立つのは、アルファベット、アンソロピック、そして科学研究志向のAI企業(3/13インフォ)あたりになるのではないかと思う。

とりあえず、株式投資ではこのあたりを中心に考えていく。


■補記 日経平均株価はどうなるか

ついでに、日経平均株価の推移についても考えてみる。

前提は、上記シナリオとする。

日本企業においてもAIエージェントの導入は重要テーマになりつつあり(3/9日経クロストレンド)、今後、失業圧力は徐々に高まっていく可能性が高い。ただし、日本は雇用規制が厳しいため、米国のような急激な大量失業は起こりにくい。

しかし、それは「緩やかな死」を意味する。企業は新規採用を凍結し、AIに代替可能な既存社員の賃金は抑制され、国内消費は徐々に衰退していく。

日本がゆっくりと変化している間に、米国企業はAI導入を急速に進め、コスト競争力を高めていく。その結果、日本企業は価格競争力を失い、やがて倒産が急増する可能性が高い。さらに、財政不安・円安・インフレが同時進行する厳しいマクロ環境も想定される。

仮にこうした事態が起きれば、2029年の日経平均株価が10万円程度に達していても不思議ではない。名目上は現在の約2倍だが、それは急激なインフレを反映した数字にすぎず、実質的な価値はほとんど失われている可能性が高い。

その後、社会がさらに「無料社会」に近づいていけば、財政や貨幣の意味そのものが薄れ、株価という指標自体の意義も揺らいでいく。最終的には、日経平均株価もゼロに近づいていくのではないかと思う。ただし、その過程において、AIの知的財産権(ライセンス)は米国に握られ、日本はその恩恵を享受するだけの従属的な立場に置かれる可能性が高い。

「スマート戦争」始動 「審判の日」は訪れるのか

 米国がAIを駆使した「スマート戦争」を開始した(2/18日経)。1月のベネズエラを皮切りに、2月にはイランを大規模爆撃。イランへの攻撃では、小学校や最高指導者ハメネイ師の後継者候補を誤爆したとも報じられ(3/5日経3/12日経)、ブラックジョークさながらの展開をみせている。

なぜ、決定的なきっかけもないまま、これほど容易に戦争が始まるのか。そこには、戦争の「スマート化」が大きく影響しているように思う。

AIは戦争のスピードを変えると言われる。

現在、衛星、ドローン(無人機)、通信傍受などによって収集されるデータは爆発的に増加し、それらをAIが瞬時に解析することで、敵の拠点や行動パターンは高精度で特定できる。さらに自律型兵器と組み合わせれば、多数の拠点を同時にピンポイントで攻撃することも可能になる。しかも、そのシステムはGPUやソフトウェア、ドローンといった既存技術で、比較的低コストで構築できる。

つまり、敵を「より正確に、より速く、より安く」無力化できる時代が到来しつつある。

また、AIの導入により戦場の意思決定はほぼ即時化している(3/24ビジネス+IT)。ミサイル防衛やサイバー反撃はミリ秒単位で反応し、複数のシミュレーションが同時に走り、その成功確率まで瞬時に算出される。人間はその結果を追認し、「ボタンを押す存在」へと後退しつつある。

現時点では最終判断は人間に残されているとされるが、熟慮や外交的調整が介在する余地は確実に狭まっている。

さらに、無人機によるピンポイント攻撃は人的被害を抑える一方、誤爆の責任はアルゴリズムやシステムへと転化されやすい。その結果、加害への心理的ハードルは一段と低下する。

しかし、こうした技術の進化に対して規制はほとんど追いついていないため、戦争を始める政治的・心理的ハードルは、かつてなく低下している。3/14日経

米国はこの「スマート戦争」に必要な要素をほぼすべて備え、圧倒的優位なポジションに立つ。AIをサイバー攻撃、ドローン、極超音速兵器と統合すれば、敵のレーダー、通信網、指揮系統を同時に無力化できる。さらに敵システムへの侵入が可能であれば、機能停止や乗っ取りすら現実となる。つまり、AIは戦争の「始めやすさ」を飛躍的に高めている。AI風刺①3/28ロイター

しかし、この「始めやすさ」こそが、人類を最も危険な領域へと押し出す。


「スマート戦争」が内包するリスクは、主に次の5点に集約される。

1.紛争の常態化とエスカレーションの連鎖
戦争のハードルが下がれば、小規模衝突は頻発する。それが連鎖すれば、大規模戦争へと発展するリスクも高まる。

2.核抑止理論の揺らぎ
核抑止は、「報復による共倒れ」への恐怖に基づいている。しかしAIが各種データを統合分析し、核戦力の位置を高精度で把握できるようになれば、「先制攻撃で無力化できる」という発想が現実味を帯びる。

その瞬間、抑止は崩れ、「先に撃った者が勝つ」という危険な論理が前面に出る。

3.核判断へのAI関与の拡大
敵もAIと核を保有する以上、意思決定の一部がAIに委ねられる構造は避けがたい。核判断が「スマートシステム」に組み込まれる可能性は高い。3/22ビジネス+IT

4.アルゴリズムの暴走(誤認識とバグ)
AIは常に誤認識のリスクを抱えている。衛星の反射光や電子ノイズを「ミサイル発射」と誤認すれば、核の連鎖を引き起こす可能性がある。AI風刺②

5.超知能(ASI)の出現と制御不能リスク
AI研究は急速に進んでおり、近い将来、人間の能力を大きく上回る超知能が誕生する可能性は高い。AIが人間の能力を大きく上回る「超知能」へ進化したとき、それはもはや人間の制御下にはない。

映画『ターミネーター』のように、自我に目覚めたAI「スカイネット」が核ミサイルを人類に向けて発射する――いわゆる「審判の日(Judgment Day)」を迎える――というシナリオも、単なる空想とは言い切れなくなりつつある。あるいは、AIが「地球の最適化」を名目に、生物兵器やドローンなどで人類を排除するという発想すら、否定しきれない。AI風刺③

現時点では、AIの進化に対して規制も国際的合意もまったく追いついていない。このままでは、こうしたディストピアが現実となる可能性は十分にある。だからこそ今、議論を深め、規制を整え、暴走を抑止する枠組みを早急に構築する必要がある。

以上をまとめると、人類が直面しているのは、自らが生み出した「スマートシステム」が「自爆システム」へと転化しかねないという皮肉になる(AI風刺④)。人類の知性は、自らが生み出した知能を制御できるのか。その答えが、近い将来明らかになる。