2026年7月1日水曜日

保有株

保有比率の高い順に見ていく。

■米アルファベット
基本シナリオ:中期「AIインフラと知能でトップに」→ 長期「大発明家に」

1Q決算は特に問題なし。

<業績>
売上高 前年同期比+22%
営業利益 +30%
純利益 +81%
営業利益率 36%(前年比+2ポイント)

*純利益は大幅に増えているが、大部分はスペースXやアンソロピックへの出資評価益になる。

決算最大のサプライズは、クラウド事業の売上高と利益率が急伸したこと。クラウド事業の売上高は約200億ドルと、全体売上高1100億ドルの中ではまだ限定的だが、前年比 +63%と大きく伸びている。営業利益率は33%と、前年同期比でほぼ倍増した。バックログ(受注残)もこの四半期だけで4600億ドル超に倍増している(*うち半分は今後2年間で収益化される見込み)。4/29IR5/5インフォ

広告事業(検索事業)も順調で、AI検索導入による「創造的破壊」にもうまく対応できている様子。ただし、AIO(AIによる概要)の回答だけで検索が完結することが増えており、「ネットワーク広告」収入は4%減少している(5/1日経)。また、AIOによる誤情報の表示も問題になりつつある。6/15ロイター

クラウド事業の伸長に伴い、AI半導体事業も大きく伸びている。最新の第8世代TPUは前世代から性能が大きく向上しており、同等のGPUを電力効率で大きく上回っている。画像生成AIのMidjourneyは、TPUへの移行後、月間推論コストが210万ドルから70万ドル未満へと約65%削減されたと報告している。(2025/11/26 AI News Hub)。今後はTPUの外販も始める予定。

ただし、企業向けAI開発ではエヌビディアのCUDAを中心とするソフトウェアエコシステムが主流であるため、TPUの外部需要は限定的になる見込み。5/4インフォ5/18インフォ6/15インフォ

<GPUとTPUの比較>

項目

エヌビディアGPU

 グーグルTPU

単体チップ性能

 

クラスタ規模スループット

 

推論レイテンシ

 

省エネ効率

 

コスト性能(大規模推論)

 

開発しやすさ

 

入手しやすさ

Google Cloud限定)



今回の決算で問題に感じたのは、投資不足(資金不足)になる。現状ではAIクラウドの供給が需要にまったく追いついておらず、それが成長の足かせになっている(4/30CNBC6/6日経)。加えてフリーキャッシュフローは急減しており、投資資金が枯渇しつつある。そのためアルファベットはこの半年の間に、社債市場や株式市場から25兆円超を調達している。6/2日経6/1インフォ6/1インフォ6/3インフォ

ただし、AIモデルや半導体の効率化は急速に進んでおり、ピチャイCEOは、AI向け設備投資のペースが将来的に落ち着く可能性を示唆している。またGPUなどの計算リソースを貸し出す「コンピュートプロバイダー」である米新興Runpodは、現在の深刻な計算リソース不足が来年、つまり2027年には緩和されると予想している。5/20日経5/22日経5/26日経6/24インフォ

なお、アルファベットのAIインフラへの巨額投資は、すでに大きなリターンを生み始めているため、大規模投資への懸念は後退し始めている。


データセンター建設への反対運動が米国で激化している。背景にあるのは、「電力・水資源の過剰消費」「電気料金の高騰」「環境破壊」「騒音」といった懸念になる。2026年3月の調査では、7割の米国人が地元でのデータセンター建設に反対しているという。

ただし、こうした懸念のすべてが事実に基づいているとは限らず、世論の「雰囲気」に左右されている面も大きい。AI企業にとっては、データセンターの建設能力だけでなく、地域社会との合意形成力も重要な競争力になりつつある。

今後は、一般市民や地元自治体と直接対話し、「税収増」「雇用創出」「地域インフラへの投資」といった具体的なメリットを丁寧に伝えることが、データセンター拡大の前提条件になっていきそう。6/24インフォ6/24インフォ


AIデータセンターの拡大において、電力不足は大きな制約要因と見られているが、4/27インフォでは「スタートアップGridCare、隠れた電力容量の活用を目指す」として、別の見方が紹介されている。

スタンフォード大学発のスタートアップであるGridCareは、「電力が絶対的に不足しているのではなく、既存の電力網が十分に活用されていない」と主張している。同社によれば、米国の電力網の平均稼働率はわずか30%程度にとどまっており、ソフトウェアによる最適化だけで、安全に60%程度まで引き上げられる可能性があるという。

仮にこの見方が正しければ、既存インフラから追加で約300ギガワットの電力容量を引き出せる計算になる。これは、AIデータセンターの成長を制約すると見られてきた電力問題に対して、「発電所を新設する」以外の解決策があることを示している。



AIモデル競争でGeminiは劣勢に立たされ始めた。アンソロピックのClaudeが急速に性能を向上させており、4月に発表したAIモデル「Claude Mythos」は性能が高すぎるとして限定公開にとどめられた。5月にはスター研究者のアンドレイ・カルパシー氏が加わり、開発速度がさらに増す可能性がある。5/19インフォ6/24日経

Googleは危機感から、AIコーディングモデル強化のための「ストライクチーム」を緊急編成した。共同創業者のセルゲイ・ブリン氏が直接関与していることからも、その本気度がうかがえる。同チームは、コーディング性能の改善にとどまらず、「AIテイクオフ」(AIが自己改善できる状態)の実現を目指すという。4/20インフォ6/25インフォ

ただし、今のペースでいけば、Claudeの方が先にAIテイクオフを達成する可能性が高い。仮にそうなれば進化速度はさらに加速し、Geminiが追いつくことはほぼ不可能になる。

なお、OpenAIも近い将来、AIテイクオフを達成する可能性を示唆している。6/10インフォ



<GeminiはClaudeにもう追いつけないのか>

結論から言えば、追いつく可能性はまだ十分に残されている。理由は主に4つある。

まず、Googleには圧倒的な計算資源、データ、人材、資金がある。また、AI研究は比較的オープンで、企業間の人材の往来も激しいため、技術的にキャッチアップしやすい。Geminiも初期バージョンでは大きく出遅れていたが、その後のバージョンで一気に巻き返した実績がある。今後、AI性能の差が急速に縮まる可能性は小さくない。

次に、AIテイクオフには高い技術的ハードルがある。AIがコードの大半を自動生成する場合、機能自体は極めて速いペースで完成するものの、1〜2年後には修正不能なコードが山積みになるリスクがある。その状態でコードを生成し続ければ、バグが蓄積し、システムの品質はやがて頭打ちになる。

AIテイクオフの要諦は、「何行コードを書けるか」ではなく、「巨大なプロジェクト全体をどれだけ正確に理解できるか」にある。Googleのストライクチームが今取り組んでいるのは「エージェントによる実行の確実性検証」であり、検索エンジンで培った事実確認技術と膨大な計算資源をコーディングに投入し、生成されたコードが本当に正しいかを無数の仮想環境でテストしている。

「AIがAIを作る」速度でAnthropicに劣っていたとしても、Googleはより「信頼できるAI」、すなわち10年後もメンテナンスし続けられる、破綻のない巨大システムを構築する一貫性を提供できる可能性がある。

3つ目は、AIの暴走リスクへの対処によって、開発が停滞する可能性があること。AIが人間の知性を上回り、人間の意図とは別の方向を志向した場合、人間がそれを止められない可能性がある。こうした懸念から、Anthropicは6月、AI開発の一時停止や減速が有効だと提言した(6/6日経6/8インフォ)。つまり、AIテイクオフは技術的には達成できても、倫理的・社会的な制約によって踏みとどまる可能性があり、その停滞の間にGeminiが追いつく余地が生まれる。

4つ目は、外国籍研究者の扱いをめぐる問題。6月にClaudeの最新モデル「Mythos」「Fable」が米政府の要請で公開停止になったが、その理由の一つは、外国人従業員によるスパイ行為や技術流出への懸念だった。AIのトップ論文の約半分は米国外の国籍を持つ研究者によるものであり、そうした人材がAnthropicから排除されれば、開発力が大きく落ちかねない。6/16インフォ6/16インフォ6/18日経6/20日経

以上をまとめると、GeminiがClaudeに追いつく可能性はまだ残されている。ただし、4つの理由のうち一つだけ、確度の低い箇所がある。それは3つ目の理由、すなわちAIテイクオフを意図的に遅らせるという点になる。

現状では、AIの研究開発を止められない可能性が高い。今回の競争は中国との覇権争いも絡んでおり、自分たちが開発を止めた隙に相手国が先に「超知能AI」を完成させれば、世界の覇権を永続的に握られかねない(6/24日経)。「相手が止めるか確信できない」という不確実性がある以上、自分たちだけが止まれば決定的に不利になる。6/28インフォ

技術的な危険性の証拠が出ても、それが決定的でない限り、競争上の論理は安全性を上回り続ける。相手を信用できない以上、アクセルを踏み続けるしか選択肢はない。

このような展開になれば、GeminiはClaudeに追いつけないかもしれない。ただし、その裏側では、AIの暴走リスクが危機的な水準まで高まっている可能性がある。

なお、アルファベットはアンソロピックの大株主であり、主要クラウドも提供している。そのため、仮にClaudeが独走したとしても、アルファベットはその恩恵を一定程度享受できる。


上記のような競争が止まらない状況は、ダニエル・ココタイロ氏らが「AI 2027」で描いた「レース・エンディング・シナリオ」そのものに近い。このシナリオでは、人類の滅亡という最悪の結末が描かれている。では、この流れを止めることはできないのか。「AI 2027」の筋立てに沿って考えてみる。

<レース・エンディングは止められるのか>

核開発の歴史は、「競争は止まらなかったが、最悪の事態である全面核戦争も起きなかった」ことを示している。これは、国家間の競争が続いていても、特定の危険な一線については協調が成立しうるということでもある。「AI 2027」が描く「レース・エンディング」から「スローダウン・エンディング」への移行は、まさにこの可能性に賭けている。

その鍵となるのは、決定的な危険性の証拠の有無である。先日のClaude Mythos・Fableが示したサイバー空間における潜在的破壊力は強大で、政府は公開停止を判断した。これは、安全性を理由に最先端モデルが止められた初の事例であり、危険信号に対して社会が反応する仕組みがすでに存在することを示している。6/14日経6/14日経

さらに今回の一件を受けて、政府はAIの安全性を評価する政府機関「AIセーフティ・インスティテュート(AISI)」の強化に動き、専門人材の確保・増員を進めている。6/18日経

2026年現在も、米中の専門家レベルでは対話のチャンネルが維持されている。もし米国政府と中国政府が共通の「絶対的脅威」を認識すれば、「キューバ危機」のときのように、恐怖を共有する形で急速に協調へ向かい、開発を強制的に凍結する可能性もある。

その場合、両国は互いのデータセンターに国際査察団を送り込み、規定以上の計算量を用いた訓練が行われていないかを厳重に監視することになる。そうなれば、AI研究は、人間の理解と安全が追いつくペースまで、強制的に減速させられるかもしれない。

これまでの状況を見るかぎり、AI開発競争が続く確率は高いが、それがそのまま暴走AIによる破局に直結する確率は、それよりかなり低いように見える。つまり、レース・エンディングは止められる可能性がある、ということになる。

ただし、政治指導者たちの対応が遅れ、AIテイクオフからAI暴走へと至った場合は、もう手遅れになっている可能性が高い。その段階ではAIの思考速度がすでに人間の数万倍に達しており、システムをシャットダウンすることはできなくなっている。

いま人類は、手遅れになる前に国際的な超強力ブレーキを踏めるかどうかの瀬戸際に立っているように見える。


Googleのスター研究者Noam Shazeer氏がOpenAIに移籍することになった。Shazeer氏は、生成AIブームの火付け役となった技術「Transformer」を提唱した主要論文の著者の一人であり、Geminiの巻き返しにも大きく貢献した人物でもある(6/17インフォ)。同氏の離脱により、開発速度が大幅に低下する可能性がある。

ただし以前ブログで触れたとおり、同氏には思想的な偏りや、組織内で扱いにくい一面があったとの見方もある。仮にそうした人物がAIの設計や方向性に強く関与していた場合、AIがその価値観や偏りを取り込んでしまうリスクもある。その意味では、今回の離脱はAIの「教育」にとって、むしろ好材料だった可能性もある。

また同氏はGeminiの共同責任者でもあった。もし同氏の存在がチーム内の意思決定や士気に影響を与えていたのであれば、離脱によって組織が動きやすくなる面もありそう。

加えて、最近はGeminiの開発が競合に後れを取っており、社内での同氏の存在感が薄れていた可能性もある。ブリン氏らが率いる「ストライクチーム」の台頭により、AI開発の主導権を失った可能性も否定できない。

真相はわからないが、Googleは厚い研究者層を抱えているため、Shazeer氏の離脱は必ずしも致命的な痛手にはならないのかもしれない。


Shazeer氏に続き、DeepMindの副社長であり、2024年ノーベル化学賞受賞者でもあるJohn Jumper氏もGoogleを退職し、Anthropicへ移籍することになった。こちらの離脱は、GoogleのAI開発ロードマップにとって大きな打撃となる可能性がある。

退職の動機について本人は多くを語っていないが、同氏の退職は、Googleが国防総省との機密AI契約に署名したことが一因だったのかもしれない。Jumper氏はこれまで、AlphaFoldに代表される「人を生かす」研究に長く携わってきた。しかし、国防総省との契約では、AIが軍事利用される可能性がある。さらに直近では、トランプ政権の強硬姿勢を目の当たりにしており、その方針に技術面で手を貸しているようにも見える。人を生かすために研究してきた人物が、こうした方向性に抵抗感を抱いたとしても不思議ではない。

国防総省との契約をめぐっては、Googleの600人超の社員がピチャイCEOに拒否を求める書簡を送っている。そこで懸念されていたのは、まさに優秀な人材の離脱だった。Jumper氏の退職は、その懸念が現実化した一例として読むこともできる。

今回の契約がGoogleの企業文化を示すシグナルとして受け取られれば、倫理を重視する優秀な人材が今後も離れていく、あるいはそもそもGoogleを選ばなくなるリスクは残る。6/21インフォ6/23日経4/16インフォ4/27インフォ4/27インフォ6/24日経

ただし中長期的には、Anthropicを含む有力AI企業も、実質的に政府との関係を深めざるを得なくなる可能性が高い。その意味では、現時点でGoogleを敬遠する流れも、いずれは相対化されるかもしれない。


なお、6/25インフォによると、Noam Shazeer氏が退社した背景には計算リソースの配分が減ったことがあり、John Jumper氏については、「ストライクチーム」への異動が退社のきっかけになった可能性がある。



Googleは、AIエージェントが実証実験の段階を終え、本格導入フェーズに入りつつあると見て、「AIエージェント開発プラットフォーム(Gemini Enterprise Agent Platform)」の整備を進めている。

このプラットフォームでは、AIエージェントの構築・管理・セキュリティ機能を強化している。さらに、Google Cloud上のデータだけでなく、他社クラウドや既存システム上のデータともスムーズに接続できる設計としている。これにより、企業は自社の業務環境に合わせて、柔軟にAIエージェントを構築・運用できるようになる。

加えて、コンサルティング企業向けに7億5000万ドル規模のファンドを設立し、顧客企業のAI導入を加速させようとしている。4/23日経4/23インフォ

アンソロピック、OpenAI、マイクロソフトもAIエージェント領域でサービスを展開しているが、Googleの強みは、より広い技術レイヤーを一体で押さえている点にある。

同社は、基盤モデルであるGeminiに加え、AIエージェント開発プラットフォーム、Wizを活用したセキュリティ機能、さらに専用半導体であるTPUまでを自社で保有している。つまり、インフラからアプリケーションまでを一気通貫で提供する垂直統合型の体制を、ほぼ完成させつつある。

加えて、Googleには圧倒的なコスト競争力もある。TPUを自社で保有・運用しているため、AIモデルの提供コストを抑えやすい。Googleは世界全体のAI向け計算資源の3分の1を保有しているともされる。他社がコスト負担の増大から「サブスクリプション」から「サブスクリプション+従量課金」へ移行しつつある中で、Googleは定額の座席課金を維持している。

座席課金は、企業にとってコストを予測しやすい。この「予測可能性」を武器に、Googleは大企業のAI導入需要を取り込もうとしている。


Googleは、企業向けだけでなく、個人向けにもAIエージェントの展開を本格化させている。検索、メール、予約といった日常的な作業をAIが代行する「エージェント機能(Gemini Spark)」を提供し、ユーザーの代わりに複数のアプリを横断して情報収集や作業を行う仕組みを整えつつある。

これは、これまでアプリごとに独立していたAI機能が、OSレベルで統合されていく大きな転換点といえる。今後はスマホ上の操作にとどまらず、カーナビアプリでの音声操作強化など、生活のさまざまな接点で「エージェント化」が進む可能性がある。5/13日経5/21日経



■イントラスト
基本シナリオ:「賃貸保証会社」から「多角的な保証プラットフォーマー」へ

本決算は引き続き堅調だった。今期の会社予想は、売上高142億円(前期比+15%)、営業利益30億円(同+8%)、純利益18億円(同+5%)。売上高は中期計画の150億円には届かない見込みだが、利益面ではおおむね計画線で着地する見通しとなっている。

今後は、買収したIT企業の技術を活用し、システム高度化を進める方針。これにより、業務効率化や回収率の向上を図っていく。

全体としては、業績・成長施策ともにおおむね順調に見える。基本シナリオもブレていない。ただし、今後の大きな成長ストーリーは描きにくく、事業としては成熟局面に入った印象がある。



■米ブロードコム
基本シナリオ:「AI革命」序盤の主役へ

2Q決算も好調だった。売上高は前年同期比48%増、営業利益も約52%増と、高い成長を維持している。今後の見通しも強い。

半導体市場は、かつてないペースで拡大している。2026年の世界半導体市場は前年比90%増の約1.5兆ドル、円換算で約240兆円に達する見込み。さらに2027年には、前年比27%増の約1.9兆ドルまで拡大するとの予測もある。

AIサーバー向け需要についても、少なくとも2028年ごろまでは落ち込みにくいとの見方がある。ブロードコムは、AIインフラ投資の拡大を直接取り込める立ち位置にあり、「AI革命」序盤の主要プレイヤーとしての存在感は、今後さらに高まっていく可能性がある。6/3日経



■米アマゾン
基本シナリオ:EC・物流・ロボット分野で圧倒的な地位を維持しつつ、メディア・クラウド・AIでもトップ集団に残る

2026年1〜3月期決算も順調だった。特にクラウド事業の伸びが目立ち、AWSの売上高は前年同期比28%増と、4年ぶりの高い成長率を記録した。営業利益率は前四半期の39.5%から37.7%へやや低下したものの、依然として高水準を維持している。クラウド事業の受注残も3640億ドルと、前四半期から1200億ドル増加しており、需要の強さが確認できる。

長期的な成長ストーリーを支えているのは、AI需要の取り込みになる。OpenAI、アンソロピック、メタといった業界トップクラスのAI企業を顧客として取り込んでいることは、アマゾンが今後数年間、AIインフラ需要の主要な受け皿になる可能性を高めている。

また、アマゾンは自社AIチップの開発も進めており、推論向けの「Inferentia」や学習向けの「Trainium」は、Nvidia製GPUに対する有力な代替候補として企業から注目を集めている。

特に強みとされるのが価格競争力になる。コンサルティング会社の分析によれば、Amazonの第2世代チップを使った場合、同等の負荷における推論コストをNvidiaのH100と比べて最大80%削減できる可能性があるという。

ただし、Nvidia側は単純なチップ価格だけでなく、処理能力、すなわちスループットまで含めた比較が重要だとし、GPUの方が単位時間あたりの出力が高く、結果的にはコスト効率で優位に立つと主張している。

もっとも、AWSがクラウド基盤、AI顧客、自社チップを一体で押さえている点は大きい。アマゾンは、EC・物流に加え、クラウドとAIインフラでも長期的な競争力を維持できる立ち位置にある。6/17インフォ


AIエージェント関連サービスであるAmazon Bedrockも、順調に利用が拡大している。今四半期に処理したトークン数は、過去すべての期間の累計を上回ったとされ、生成AI基盤としての利用は着実に広がっている。

一方で、最大の課題はアルファベットと同じく、AIインフラ投資の重さになる。AI向け設備投資が急増していることで、フリーキャッシュフローは大きく減少している。特にアマゾンの場合、その負担はより大きく、今後は大型の資金調達が必要になる可能性もある。

また、AIチップとAIエージェントの両面では、Googleに対してやや見劣りする印象もある。GoogleはTPU、Gemini、Android、検索、Workspaceといった要素を一体で押さえており、AIエージェントを実装する土台が非常に強い。アマゾンもAWSと自社チップを持つものの、個人向け接点やOSレベルの統合力という点では、Googleの優位性が目立つ。


4/9日経によると、米小売業界では、AIがユーザーに代わって商品を探し、購入まで代行する「買い物エージェント」の導入が急速に広がっているという。これにより、消費者がECサイトを直接訪れず、AIエージェント経由で購買を完結させる動きが広がれば、いわゆる「アマゾン飛ばし」が現実味を帯びてくる。

この流れが加速すれば、ユーザーがAmazon内で検索・比較する機会が減り、アマゾンの収益基盤であるマーケットプレイスと広告モデルに影響が出る可能性が高い。



アマゾンは、通信衛星と周波数帯を持つ米グローバルスターを116億ドル(約1.8兆円)で買収すると発表した。今後は約3000基の衛星打ち上げを計画しており、Appleとも提携し、iPhoneなどのスマホに直接衛星通信を届けるサービスの展開を目指すという。山間部や海上など、従来の携帯通信網が届きにくいエリアでも通信できる環境を整える狙いがある。

衛星通信事業は、クラウド、物流、デバイス、AIに続く、アマゾンの新たなインフラ事業になり得る。もっとも、この分野ではスペースXの「スターリンク・モバイル」が先行しており、アマゾンは同サービスと競合することになる。4/14インフォ4/14インフォ4/15日経



アマゾンは、物流事業の外部への展開も本格化させている。自社の物流・配送インフラを外部企業にも開放する新サービス「Amazon Supply Chain Services(ASCS)」を開始し、工場から消費者宅までの配送に加え、通関や決済なども一括で受託する体制を整えつつある。

これは、自社向けに構築したクラウドインフラを外部に開放し、AWSを巨大事業へと育てた流れとよく似ている。仮にこのモデルが定着すれば、物流部門は単なるコストセンターではなく、AWSに続く新たなプラットフォーム事業へと発展する可能性がある。5/7日経



■大和 iFreeNEXT FANG+インデックス
基本シナリオ:AI革命の勝者に賭ける

構成銘柄の一つであるメタは、今期、AIインフラ向けに最大20兆円を投じる計画。ただし、GoogleやAmazonのようにクラウド事業を持たないため、巨額のAI投資をどのように収益化していくのかは見えにくい。加えて、次世代AIモデル「Muse Spark」の性能も、現時点では目立った評価を得られていない。AI開発競争において、Metaがトップ集団に残れるかどうかは、まだ不透明な段階にある。6/18インフォ

財務面での負担も増している。AIインフラ投資の拡大によりフリーキャッシュフローは急減しており、社債発行などによる資金調達も進めている。5/2日経

一方で、既存のSNS事業は引き続き堅調で、広告収益の基盤は強い。また、スマートグラスも好調に推移しており、AIとデバイスを組み合わせた新たな成長領域には期待が残る。



Appleも構成銘柄の一つ。足元では、iPhoneが想定以上に健闘している。2026年1〜3月に世界のスマートフォン出荷台数が4%減少する中、iPhoneは3%増と伸びており、市場シェアも19.6%から21.1%へ上昇した。

ただし、今後はメモリーや半導体価格の高騰により、大幅な値上げは避けにくくなりそう。価格上昇が進めば、iPhoneの販売にもブレーキがかかる可能性がある。6/17インフォ6/18日経

Appleの課題は、AI投資の不足にあるように見える。アルファベット、メタ、マイクロソフト、アマゾンの4社の2026年の設備投資額は合計で7250億ドル、約113兆円と前年比76%増となる見通しだが、Appleの設備投資は前年比3%減の約123億ドルにとどまる。AI領域では、巨大なインフラそのものが今後の競争力や参入障壁になる側面があるため、この投資姿勢の差は中長期的なリスクになり得る。5/1日経5/1日経5/1日経

AppleもGoogleと同様に、スマートフォン上でAIエージェント機能を展開する方針を示している。ただし、その中核で使われるAIモデルはGoogle製で、ユーザーの代わりに複数のアプリを横断して操作するAIエージェントがスマホ体験の中心になれば、Appleの独自性は薄れ、Googleへの依存度が高まる可能性がある。6/9日経

一方で、Appleには他社にはない強みもある。iPhoneを中心とする製品群には、徹底したプライバシー保護や、ユーザー体験を重視する独自の思想が根付いている。AIリスクや偽情報への不安が高まるほど、「安心して使えるテック企業」としてのAppleブランドが再評価される可能性はある。

また、世界中に普及している数十億台のAppleデバイスは、それ自体が巨大なAI演算基盤にもなり得る。クラウド上の巨大インフラではGoogleやAmazonに見劣りする一方、端末側でAI処理を行うエッジコンピューティングの分野では、Appleならではの強みを発揮できる余地がある。5/3日経5/28インフォ



パランティアの1Q決算は順調だったが、競争環境は厳しさを増している。アンソロピックやOpenAI、Google、Amazonといった大手AI企業が、パランティアの主戦場である「AIビジネス・アーキテクト」の領域に本格参入し始めている。

この領域では、企業がAIをどの業務に使い、どのように組み込み、どう収益化するかを設計し、実際の業務に落とし込む力が問われる。これまではパランティアが強みを持ってきた分野だが、AIエージェントの進化により、大手AI企業も業務設計から実装・運用までを一括で支援できる可能性が高まっている。ビッグテックがこの領域に踏み込んできたことは、パランティアにとって無視できない脅威となる。

ただし、現時点では単一のAIモデルだけですべての業務をこなそうとすると、利用料金が大きく膨らみやすい。そのため、業務の難易度や目的に応じて最適なAIモデルを選び、組み合わせて運用する「マルチモデル戦略」が、企業にとって現実的な選択肢になりつつある。

その意味では、企業の複雑な業務に深く入り込み、複数のAIを実務に落とし込んできたパランティアには、依然として一定の優位性があるように見える。


■松屋フーズ
基本シナリオ:新規出店と「牛丼+とんかつ」複合店で株価2倍(10000円)

<本決算概要>
本決算は好調だった。売上高は前期比20%増、営業利益は72%増、純利益も72%増となり、大幅な増収増益を達成した。営業利益率は4.1%だった。

原価率は36.1%から36.8%へやや上昇したが、販管費率は61.0%から59.1%へ改善した。人件費や原材料費などのコスト上昇圧力はあるものの、販管費率の改善によって一定程度吸収できていることがわかる。

<今期業績予想>
今期の会社予想は、売上高が前期比16%増の2150億円、営業利益が8%増の82億円、純利益が0.7%増の38億円となる見通し。営業利益率は3.8%を見込む。

利益成長率は前期に比べて鈍化するものの、売上高は引き続き2桁成長を計画している。今期は積極出店と既存店改装を進める一方、コスト構造改革によって収益性の維持を図る方針。

設備投資は過去最高となる230億円を計画している。前期・前々期はそれぞれ約170億円だったため、今期は明確に投資拡大局面に入る。


6月に創業者が会長職を退任した。今後の注目点は、後任となる息子の現社長が、創業者の経営理念をどこまで引き継げるかになる。

松屋は、次の三つを経営理念の軸に据え、顧客満足を最優先に掲げてきた。

「店はお客様のためにあり、店は会社の姿である」
「お客様は儲けさせてくれない店に用はない」
「私達が得られる満足の程は、お客様が得た満足の程である」

しかし、最近の松屋は、顧客満足よりも自社利益を優先し始めているようにも見える。仮に顧客満足を重視する姿勢がブレれば、価格やサービスに敏感なリピーターが離れていくリスクはある。この点は、引き続き注意して見ていきたい。

もっとも、先ほど触れたように、会社側も不穏なデータは把握し、実務に落とし込んでいるようなので、この懸念は徐々に後退しつつある。


松屋フーズは、百貨店の松屋とコラボし、松屋銀座店に「松屋PREMIUM」1号店を開業した。ここでは、国産食材を使った百貨店ならではの高級感のある限定商品を販売している。

2025年4月に松屋フーズが1週間限定で出店した際には、食品催事場として過去最高の売上を記録したという。今回のPREMIUM店では、制服、店舗デザイン、容器などにもこだわり、接客スキルの向上にも取り組んでいるようで、単なる話題づくりにとどまらない本気度が感じられる。6/1日経6/22日経

短期的な売上貢献は限定的かもしれないが、長期的にはブランドイメージの向上や商品開発力の強化につながる可能性がある。松屋が「早い、安い、うまい」だけでなく、「品質」や「特別感」も訴求できるようになれば、既存ブランド全体の評価にもプラスに働く。

もともと松屋には企画力に強みがあり、「世界紀行シリーズ」などの新商品を積極的に投入し、顧客を飽きさせない工夫を続けている。今後は創業者が商品開発顧問として関わるようなので、さらに独自性のある新企画が生まれることに期待したい。


コメの需給は緩和しつつあり、価格は下落基調にある。松屋の定食は基本的にご飯のおかわりが無料のため、コメ価格の下落は原価率の低下要因になる。6/5日経

一方で、ナフサ不足により、弁当容器代などの資材価格は上昇しており、原価率には上昇圧力がかかっている。ただし、米・イラン情勢は落ち着きつつあるので、原油・ナフサ由来のコスト圧力も徐々に弱まっていきそうでもある。6/6日経6/6日経6/2日経

スーパーエルニーニョの影響も気になる。現時点での発生確率は63%と無視できない水準にあり、発生すれば、秋から冬にかけて食品価格が上がる可能性が高い。6/13日経6/21日経6/25日経

円安の問題もある。松屋フーズは肉類のほぼ全量を輸入に頼っているため、円安によるコスト増の影響は大きい。為替動向を読むのは難しいが、このまま円安が続けば、コメ価格が順調に下がったとしても、全体の原価率は上昇する可能性がある。

なお、松屋は今期の原価率が36.8%から36.5%に低下すると見込んでいる。販管費比率は59.1%から59.6%に上昇する見通し。


松屋が買収した舎鈴のつけ麺を食べてきた。魚介エキスの入ったつけ麺はそれほど好きではないが、舎鈴のつけ麺は煮干しや鰹節の風味がほとんどせず、好みの味だった。味変のバリエーションも豊富で、最後まで飽きずに食べることができた。店員の対応や店の雰囲気も悪くなく、外食チェーンとしての完成度は一定以上あるように感じた。

一方で、気になったのは回転率の低さになる。店内がそこそこ混んでいたこともあるかもしれないが、注文してからつけ麺が提供されるまで20分以上かかった。さらに、最も豪華なメニューでも並盛りで1200円程度にとどまる。満足度は高かったが、あまり儲からなさそうだと思った。

とはいえ、創業者の勢いは衰えておらず、新規出店にも積極的。今後、松屋グループ入りによって共同調達や経営管理の合理化が進めば、コスト削減の余地はありそう。短期的な利益貢献は限定的かもしれないが、出店拡大とグループシナジーが進めば、利益へのインパクトは徐々に大きくなっていくかもしれない。



■米ベライゾン
基本シナリオ:シュルマン社長の経営改革で2027年に株価2倍(80ドル)

1Q決算はまずまずの内容だった。解約率は低下し、携帯電話契約も純増に転じており、シュルマン改革によって顧客獲得力が回復し始めていることがわかる。

しかし、株価の動きがあまりにも地味なので飽きてきた。

6月29日に、ベライゾンがダウ平均の構成銘柄から外れ、代わってアルファベットが新たに採用された。理由は、単純に存在感の差になる。このポートフォリオからも、そろそろベライゾンは外したほうがいいのかもしれない。6/24日経



■NTT
基本シナリオ:NTTデータを軸に成長。長期ではIOWN(光電融合技術)に期待

本決算や今期業績予想は物足りない内容だった。主な問題点は3つ。1つ目は、ドコモのシェア低下が止まらず、設備投資の負担も重いこと。5/9日経

ドコモについては、正直なところ誤算だった。長年ドコモユーザーだが、特に不満はなかったため、あまり気にしていなかった。ところが実際には、競争力や顧客基盤の面でさまざまな課題を抱えていることがわかった。

現状を見る限り、ベライゾンのシュルマンCEOのような改革型のリーダーが指揮を執らない限り、反転は難しそうに見える。ただし、日本企業でそのような強い改革を実行できる人物や経営環境を期待するのは難しい。

2つ目の問題は、NTTデータの成長が緩やかなものにとどまっていること。データセンターへの大型投資を進める方針ではあるが、投資規模は数千億円程度にとどまる。ビッグテックの投資額と比べると、小粒感は否めない。

経済安全保障の観点から、「ソブリンAI」、つまり国産AIインフラへの需要は今後拡大していく可能性が高い。その中でNTTデータが主要プレイヤーになりそうな気配はあるが、それでも成長は地味なものにとどまりそう。なお、2027年以降には、IT電力容量30メガワット超のデータセンターが相次いで竣工する予定とされている。6/21日経

NTTデータには、AIビジネス・アーキテクトやAI導入コンサルの分野で一定の期待はできる。しかし、ここでも爆発的な成長を見込むのは難しい。

3つ目の問題は、IOWNへの期待がしぼみつつあること。IOWNは長期の成長材料として期待していたが、競争環境の変化を踏まえると、見方を修正する必要が出てきた。

光電融合技術の市場には、エヌビディアなど半導体大手が本格参入しており、NTTが主導する標準化戦略は不発に終わったように見える。そのため、IOWNへの期待値は大きく低下している。基本シナリオはかなり崩れてきた。5/8日経6/16日経

NTTの経営体制は、AIへの傾斜を強めているようだが、ビッグテックのパワフルな経営陣と比べると、どうしても見劣りしてしまう。その意味でも、AIを軸に一気に評価が切り上がる展開は期待しにくい。5/20日経

もう冷めたので売り時を探っているが、株価がなかなか反発しないため売りにくい。ドコモが通信料金を引き上げれば、収益改善期待から株価が反応する可能性がある。そのあたりが、一つの売却タイミングになるかもしれない。6/5日経



■米マイクロソフト
基本シナリオ:最強のAIエージェント・プラットフォームに

3Q決算は、数字的には好調だったが、内容を細かく見ると、やや不安要素の残る内容だった。

売上高は前年同期比+18%、営業利益は+20%、クラウド事業売上高は+40%、クラウド受注残は+99%と、いずれも強い数字だった。クラウド受注残は合計6270億ドルに達しており、そのうち1570億ドルが今後12カ月で収益化される予定となっている。

ただし、受注残の45%はオープンAI向けで、残りはほぼ自社向けとみられる。そのため、Microsoft CopilotやChatGPTが弱気シナリオに陥った場合、データセンター投資の回収に深刻な影響が出る可能性がある。

マイクロソフトのデータセンターは、Nvidia製GPUなど外部半導体への依存度が高いため、運用コストが高くなりやすい。ここがネックとなり、マイクロソフトとOpenAIの競争力が低下するリスクは少なからずある。

また、仮にCopilotがうまくいったとしても、既存のOfficeソフトが陳腐化するリスクは高い。CopilotのようなAIエージェントは、ユーザーがWordやExcelを開く前に、必要な結論や成果物を出してしまう可能性がある。そのため、AIエージェントが普及するほど、Officeの利用頻度や存在感が低下するという自己破壊的な構図もあり得る。

2年前には圧倒的な優位性を持っていたGitHub Copilotは、Claude CodeやCursorなどの競合が台頭したことで、そのリードを急速に失いつつある。これは、Microsoft Copilot全体の行く末を暗示しているようにも見える。5/18インフォ6/18インフォ


マイクロソフトは、「データの正確性」を理由に、他社のセマンティックレイヤーの利用を認めない方針を表明した。しかし、AIエージェント時代には、あらゆるデータと柔軟につながることが重要になる。その点を踏まえると、マイクロソフトの閉鎖的な戦略は、時代に逆行しているようにも見える。短期的にはこの戦略が機能する可能性はあるが、長期的には、より開放的な戦略を取る競合に少しずつ侵食されていく可能性が高い。

*セマンティックレイヤーとは、データベースの複雑な構造を、人間が理解しやすい「売上」「顧客」「利益率」といったビジネス用語に翻訳する共通の抽象化レイヤーのこと。5/22インフォ

マイクロソフトも他のビッグテックと同様、フリーキャッシュフローが急減している。現時点ではまだ本格的な外部資金調達には動いていないようだが、今後はデータセンター投資の拡大に伴い、資金調達が活発化する可能性もある。

ナデラCEOは、AI時代の新たな経営論として「トークン資本経営」という考え方を示している。これは、トークン、つまりAIを動かす際に消費される計算資源の単位を、単なる「コスト」ではなく、企業の成長を支える「資本」として捉える発想になる。人材を「コスト」ではなく「資本」と見る「人的資本経営」のAI版ともいえる。

ただし、ナデラ氏の主張は、単にAIの利用量を増やせばよいという話ではない。むしろ、「人とAIが相互作用しながら、組織全体で学び続ける仕組み」こそが、これからの企業の競争優位になるという考え方に近い。その意味で「トークン資本経営」は、実質的には「AI資本経営」と「人的資本経営」を組み合わせた、「AI×人的資本経営」に近い考え方といえる。

ナデラ氏は、雇用喪失などの社会的代償を伴ってでもモデル性能だけを追求する開発競争には距離を置き、むしろ「AIを活用するエコシステムの構築」を重視すべきだと指摘している。つまり、AIそのものの性能を競うだけでなく、AIを使いこなし、社会や企業活動の中で継続的に価値を生み出す仕組みをつくることが重要だという立場になる。

もっとも、この主張にはポジショントーク的な側面もありそう。Officeをはじめとする業務用ソフトがAI新興企業に代替されることへの危機感から、「AIの性能そのもの」よりも、「AIを業務システムの中でどう使いこなすか」が重要だという考え方を広め、自社の優位性を守ろうとしているようにも見える。6/16日経6/21日経


マイクロソフト創業者であるビル・ゲイツ氏の関連団体「ビル&メリンダ・ゲイツ財団信託」が、1〜3月期に保有していたマイクロソフト株をすべて売却した。これを単純に弱気シグナルと見るべきかは慎重に判断する必要があるが、少なくとも、かつてのような絶対的な安心感は薄れつつある。総合的に見ると、マイクロソフトの栄華は終わりに近づいているように見える。5/17インフォ



■前田工繊
基本シナリオ:土木資材系のM&Aを通じて、インフラ需要を着実に取り込む

3Q決算も上振れ気味の好決算だった。不安材料は、ナフサ価格の高騰とレアアース不足になる。

トヨタでは、中東情勢を起因とした原材料高が前期比で4000億円の営業減益要因となり、純利益は2割減の見通しのようなので、前田工繊も合成樹脂系の土木資材を扱っている以上、ナフサ価格の上昇によるコスト増は避けられなさそう。5/17日経

5/26日経では、調達力で大手に劣る中小企業ほど、原材料高の打撃が深刻になっていると報じられている。前田工繊は一定の規模を持つ企業ではあるものの、調達力という点ではトヨタのような巨大企業には及ばない。そのため、原材料高の影響が想定以上に大きくなるリスクもある。

ただし、足元では米イラン情勢は落ち着きつつあるため、次第にナフサ価格の上昇圧力は和らいでいきそうでもある。

もう一つの不安材料であるレアアース不足は、中国政府による輸出規制の影響で、日本企業にも深刻な影響が出始めている。前田工繊がどの程度レアアースに依存しているのかは不明だが、製造工程や一部製品で必要となる場合には、生産に支障が出るリスクがある。6/8日経6/27日経

総じて、事業そのものは堅調で、基本シナリオも大きくは崩れていない。ただし、原材料高や供給制約が長期化した場合には、業績が下振れる可能性もある。



■iシェアーズ AI グローバル・イノベーション アクティブ ETF
基本シナリオ:AI革命の勝者に賭ける

この3カ月で、AI関連銘柄は大きく上昇した。4月時点では損益が-2%だったが、現在は+62%まで改善している。

一方、同じ基本シナリオで保有している大和 iFreeNEXT FANG+インデックスは、-7%から+13%への改善にとどまっている。

この差を見ると、このETFの銘柄選別力がいかに高かったかが分かる。一方で、大和 iFreeNEXT FANG+インデックスには、“敗者”が含まれていたことが推察できる。

このETFの選別眼は高そうだが、積立NISAに対応していない。また、AIの負の側面をあまり考慮していないやや無邪気なAI企業も含まれているので、積極的に買い増す気にはなれない。



■今後の計画
投資スタンスは「基本静観、チャンスが来たら動く」のまま。市場が荒れてVIX指数が40を超え、東証プライム市場の騰落レシオが70以下になったら、株式を段階的に買っていく。PBR、投資家心理指数、裁定売買残高なども考慮する。1ドル=135円程度まで円高が進むことがあれば、海外株も買っていく。

ただし、AIは「人類史上最大の革命」とも言われるため、AI関連株についてはドルコスト平均法で継続的に積み上げていく。AIには暴走リスクなどの負の側面もあるため、その点に理解のある会社を選んでいく。

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