2018年1月12日金曜日

月1の市場環境チェック

株式市場への影響が大きい金利、金融政策、企業業績を重点的にチェックしていく。

■ファンダメンタル
<インフレ>
今回の適温相場の構成要素の1つは低インフレになるが、雇用の引き締まりや米国の大型減税策などによりインフレ圧力が高まりはじめた。今後米国のインフレ率が2%を超えて上昇していくと政策金利も連動して上昇していく可能性が高いため、適温相場が崩れる恐れがある。

現時点での米国の2017年度の予想インフレ率は2.0%で、2018年度が2.2%になる。
日本は2017年度が0.7%で、2018年度が0.9%。

<金利>
・短期金利が長期金利を上回ると債務圧縮(景気後退)局面に入りバブルが崩壊すると言われているが、現在の米国の短期金利は1.5%で、長期金利は2.54%になる。今の利上げペースなら2018年末に短期金利は2.25%までしか上がらないので、長短金利の逆転はもう少し先になりそう。
・日本の短期金利と長期金利はともに0%台。
・中国の短期金利は3.7%、長期金利は3.9%。長期金利は1年前よりも1.0%上がっている。

<債務>
・米国の民間債務残高はGDP比150%。リーマンショック時のピークである160%から減少し、足下では横ばい傾向。ただし個人債務残高に限ればリーマン前を超えている。
・日本の民間債務残高はGDP比150%。1990年頃のピーク220%から減少し、足下では横ばい傾向。
・中国の民間債務残高はGDP比200%で現在も上昇中。日本のバブル期のピーク220%に近づきつつある。
・世界の債務総額はリーマンショック前の1.2倍になっている。

<金融政策>
・日本は金融緩和を継続。年間6兆円の株式購入政策も継続しているが、2018年内に株式購入額を3兆円程度に減らす可能性がある。もしそうなれば日銀が一番の買い手なだけに影響は大きそう。
・欧州は金融緩和を縮小し延長。利上げは早くても18年9月以降。インフレ率は2%に達していないので、引き締めるとしても穏やかなものになりそう。
・米国はすでに引き締めに転じているが速度は穏やか。
・中国は金利を徐々に引き上げている。

世界の主要中銀による量的緩和は2017年3月に20兆円/月となり最高の水準を記録している。これが2018年末には6兆円/月まで縮小し、2019年半ばにはマイナスへ転じるという。
参考:2018年も「ゴルディロックスの年」は本当か(ロイター)

<経済成長率>
・世界の2017年のGDP成長率は2.7%、2018年は3.1%、2019年は3.0%と良好。
・米国の2017年のGDP成長率は2.2%、2018年は2.5%、2019年は2.2%と良好。
・日本の2017年のGDP成長率は1.5%、2018年は1.3%、2019年は0.8%とまずまず。

現在、世界同時成長が起きており、このような状態は通常2,3年続くという。ただしこのような世界同時成長は景気サイクルの終盤に見られる特徴的な現象とも言われている。
世界同時成長は海外で6割を稼ぐ日本企業には追い風になる。

<EPS成長率>
・世界株式の2017年の予想EPS上昇率は26%、2018年は11%、2019年も11%と良好。
・日本株式の2017年の予想EPS上昇率は15%超で、2018年は10%程度。
・アメリカの2017年の予想EPS上昇率は15%超で、2018年は20%(うち減税効果分が8%)。

<政治>
・日本の政治は安定。
・海外の政治は不安定。2018年秋にアメリカで中間選挙があるが共和党の1党体制が崩れる可能性がある。
・北朝鮮や中東に地政学的リスク。

■テクニカル
・チャート
世界中の株式市場が上昇トレンドだが、日米株価は移動平均線からの乖離率が高く過熱気味。
<日経平均の5年チャート>
<ダウの5年チャート>


・ディストリビューションデー
上昇トレンドなのでカウントせず

・ヒンデンブルグオーメン
無点灯
*この指標は参考にならないとわかったので今月で終了。

・トレードインディケーター
危険度 11月43% → 12月62% → 1月69%
参考:eワラントのトレードインディケーター

・騰落レシオ
日経平均 117
ダウ 125
ナスダック ?

・信用評価損益率
11月-8% → 12月-7.7% → 12月29日5.7%
信用評価損益率的には天井に近づきつつある。

■まとめ 今後数ヶ月の予想
日米株には過熱感があるのでいったん調整してもおかしくはないが、世界経済は総じて堅調で、金余り環境も続きそうなので、中期的な市場環境は比較的良好。

■2018年の予想
世界中の株式市場は最高値圏にあるため戻り売り圧力はなく、緩和気味の金融政策と新興国の所得の増加などにより金余りの状態は続くため、下がりにくい相場になる。経済成長が続けば非常に上がりやすい相場になる。過去のバブルでは最終局面で最も上昇しているので、今年は急騰するかもしれない。

リスクは米欧のインフレ率急上昇による金利上昇と、中国の過剰債務処理政策による金利上昇と、株式市場の低変動率によるレバレッジ(負債をテコにした投資)の蓄積になる。

■2019年の予想
2019年は世界の主要中銀が引き締めに転じているので、株価上昇のカギは低インフレと経済成長のみになる。ただ日本は金融緩和を継続しているので相対的に有利になる。

■今回のバブルについて
過去のバブルは主にレバレッジ(負債をテコにした投資)により形成されているが、今回のバブルはレバレッジというよりも、中央銀行による通貨の大量供給や、新興国の経済成長による運用残高の増加によって底上げされた側面が強いので、バブルが崩壊しても(債務圧縮&景気後退局面に入っても)下落は限定的のように思う。過去のバブルでは60%程度下落しているが、今回は35~40%程度ですむかもしれない。

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