2019年9月1日日曜日

エデュラボ

■調べようと思ったきっかけ
日経マネー4月号に「国内エドテックの雄」「2021年までの3年間で年間平均30%の売上成長が目標」とあったから。

■どんな会社か
英検のネットメディア事業とテスト受託事業などを手がける。
ビジネスモデルをソフトウェア受注型からライセンス販売型に転換し、AIを導入してから、利益率は上昇傾向にある。

■成長ストーリー
「教育改革の波に乗って業績拡大」が基本シナリオ。

2020年から国の教育指導要領が英語をより強化したものに変わる。小学校では3年生から英語が必修化され、大学入試共通テスト(元センター試験)の英語試験では、「読む、書く、聞く、話す」の4技能を測るテストに変わる。

大学入試共通テストでは、英語科目だけ民間6団体7種類のテストが採用されることが決まっており、その内の1つである英検とタッグを組むエデュラボは、ここで一気に受験生を取り込む計画を立てている。

現時点では、英検のテストが民間試験の中で、料金、試験回数、会場数の面で優位な状況にあるため(参照)、英検が中心プレーヤーになれる可能性が高い。すでにその流れが来ているのか、英検とエデュラボが共同で運営する英検のポータルサイトと学習サイトは会員数が前年比70%超の勢いで増えており、足下では320万人を突破している。
大学入試共通テストの英語試験の市場規模は80億円程度で、英語学習の市場規模は??億円程度になる。

テスト受託事業では、今年文科省の「全国学力・学習調査」を受託している。このような調査はその性質上、調査会社をコロコロ変えるわけにもいかないので、エデュラボが今年を無難に乗り切れれば、来年以降も受託できる可能性が高い。項目反応理論やAIによる自動採点を採用した学力調査の評価は高く、今後各自治体や教育機関などからの受託増も期待できる。学力調査の市場規模は70億円程度になる。

テスト受託で培ったAIによる文字の自動入力技術は教育以外の分野でもビジネス展開し始めている。すでにRPA事業を手がける伊藤忠テクノやブレインパッドなどIT企業10社程度と組み、ライセンス販売を始めている。現在の提供分野の比率は教育関連が4%程度にすぎず、金融機関や保険会社などへの比率が圧倒的に大きくなっている。RPA市場は巨大なので、長期的にはこの分野での技術提供が業績の牽引役になる可能性もある。
*RPAとは定型的なデスクワークをAIなどで自動化する技術

■問題点
・2020年に始まる大学入試共通テストの英語試験で批判が噴出している。英語は民間試験7種が採用されることに決まっているが、それぞれの試験で測る英語力が異なり、成績の一律比較ができないという指摘がある。また各試験の料金(5800円~25000円)や回数、会場数の差が大きく、試験機会が不平等になるという指摘もある。これらの点を考慮してか、5月時点で国立大82校のうち35校が「民間試験で一定の成績を取ることを出願の条件とするが、合否判定には使わない」とし、東北大など3校は「一切使わない」としている。エデュラボの最大顧客は英検であり、この領域に現在も大きく投資しているので、大学入試の動向次第ではエデュラボに大きな損失が発生する可能性がある。現時点で、このテスト制度には少し無理を感じるので、エデュラボの計画通りに行かない可能性は十二分にある。

・ITを活用した教育事業ではすでに競争が激化している。ベネッセやリクルート、ジャストシステムなどの大手企業や、スタディプラスなど勢いのある新興企業などが多数参入しており、すでに牙城を築きつつある領域もある。エデュラボはドコモやイーオンなど各業界のトップ企業と組んで事業を展開していく作戦のようだが、やや不透明感がある。

・AIによる文字の自動入力もレッドオーシャン市場になる。エデュラボが開発した文字の自動入力ソフトは現時点では”業界最高水準”のようだが、似たような技術を持つ会社は他にもあるので、長期的には利益率が低下していく可能性がある。深層学習や機械学習は読み込むデータ量が多ければ多いほど精度が上がっていくので、成長速度を上げてより精度を高めていけるかがポイントになる。

■ビジネスモデルの強度 ★★★
・参入障壁は高いか。★★★。英検に関しては高いが、それ以外はいまいち。
・ストック型ビジネスか。★★★。英検プラットフォーム事業は英検の人気が続く限りストック型になる。テスト受託事業は過去に何度か失注もしているようなので微妙。
・時流に乗っているか。★★★★。教育のICT化(IT化)の波には乗っているが、大学入試の動向には不透明感がある。

■チャート
25日線を抵抗線とした下方トレンドになる。4000円あたりでいったん下げ止まりそう。しばらく4000~5000のボックス圏で推移しそう。
<1年チャート>

■まとめ
エデュラボが目標としている年率30%の売上成長、営業利益率20%を前提とすると現在のPER50倍にそれほどの割高感はないが、大学入試改革やAI事業には不透明感があるので、今くらいの水準が妥当のように感じる。投資は大学入試共通テストの英語試験が軌道に乗りそうになるまでは無理そう。とりあえずしばらく様子見。

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