2022年4月1日金曜日

マクロ系金融指標チェック

市場の仕組みを理解しやすい順番で見ていく。

■米10年金利
今後1年の予想レンジ:1.5%~2.7%の間で推移

米長期金利に与える影響が大きい要因順にみていく。
・経済成長率+インフレ率↑
長期金利の基準値は経済成長率+インフレ率になる。2022年は経済成長率+2.8~4.0%、インフレ率+3.5~5.5%になる見込み。
*数値はFRB予想やIMF予想などを参照

・金融政策↓
FRBはインフレ対策として量的引き締めを22年5月にも開始し、政策金利を22年に7回(1.75~2.25%)、23年に2~4回(0.50~1.00%)上げ、最終的に2.8%まで引き上げる予定。3/17日経3/26日経

*政策金利引き上げると長期金利に上昇圧力がかかるが、金利の引き上げは現在のインフレの主因である供給側には直接作用せず、需要を抑えてそれでインフレを低下させるので、長期金利(景気)には下押しの圧力もかかる。

*FRBは政策金利を2.5%まで引き上げるとFRBの資金収支が「逆ザヤ」の状態になるので(2/5ヴェリタス)、2.8%まで上げられない可能性が高い。米債券市場ではすでに「利上げ末期」の兆候が出ている。2/20日経

*FRBは量的引き締めも大胆にできない可能性が高い。米ゴールドマン・サックスはFRBの資産が今後3年で約3割少ない6兆ドルに減ると予想しているが(3/18日経)、FRBが資産を売却すると長期金利が上昇し、FRBの保有債券に含み損が生じるので(ドルの信用に懸念が生じるので)(2/20日経)、大量には売却できない可能性が高い。

とはいえ、米政権の支持率低下対策やインフレ不況対策(高インフレは消費者から購買力を奪い消費主導の不況を引き起こす)のため、FRBは当面強力な金融引き締めスタンスを維持しそう。

*金利が上がると政府債務の金利負担が大きくなるので、政府は予算規模を縮小せざるを得なくなる。そうなるとそれも長期金利(景気)を下押しする。

・リスクオン、オフ↓
インフレが高進しているのでリスクオフ気味。コロナ収束や金余りがリスクオン要因になる。

・米国債の人気上昇↓
米長期金利は海外の主要先進国の長期金利より相対的に高いので、海外勢から買われやすい。米長期金利が2%を超えると巨額の買い需要が発生するともいわれる。

ただ、ウクライナ危機などによりドル需要が強まっており、ベーシススワップ(ドル調達時の上乗せ金利)は0.4%まで上昇している(3/16日経)。その分、海外勢の旨味は減少する。

・財政赤字の拡大↑
2018年から米国の財政赤字は年100兆円を超えており、2020年、2021年はコロナの影響で300兆円を超えている(日経)。米国債の供給増や通貨の信認低下により長期金利には上昇圧力がかかる。2022年の財政赤字は100兆円程度になる。

*財政支出を拡大すると景気刺激の面からも長期金利に上昇圧力がかかる。

・資金需要の低下、金余り↓
第4次産業革命の主役はデジタル企業になる。デジタル企業は設備投資のための資金需要が少ない。少子高齢化の影響で借り入れなども減っている。

金余りで運用難に陥っている金融機関や企業は多く、そういうところがこぞって米国債を買っている。日経日経

・潜在成長率の低下↓
生産性の伸び悩みなどで潜在成長率は低下傾向にある。

投機筋は米10年債先物を大きく売り越している。投機筋は今後金利が上がるとみている。

・チャート→
<10年チャート> 長期では下降トレンド。ただ足元では長期線を力強く越えてきたのでしばらく上昇トレンドが続きそう。

<前回の予想「今後1年の予想レンジ:1.2%~2.0%の間で推移」が外れた要因>
・ウクライナ危機が起こって資源高になり、インフレ圧力が高まった。
・FRBが予想以上の金融引き締めシナリオを示した。

■WTI原油
今後1年の予想レンジ:80ドル~150ドルの間で推移

原油価格に与える影響が大きい要因順に見ていく。
・需要↑
原油の需要は世界経済成長率にほぼ連動する。2022年の世界経済成長率は+3.0~4.4%程度になる。

長期では、温暖化対策や職場・学校のリモート化などにより石油需要は減る可能性がある。仏トタルや英BPは2030年頃に石油需要がピークアウトすると予想している(11/6ヴェリタス日経)。一方、世界人口は今後も増えていくので石油需要は増える可能性もある。米エネルギー情報局(EIA)は50年の石油需要は20年比で4割増と予想している(10/8日経)。

・供給↑
OPECや米国は増産基調にあるが、ウクライナ危機により日量200~300万バレル程度(世界需要の2~3%程度)の供給懸念が生じている。3/5ヴェリタス3/8日経3/17日経

石油(エネルギー)は人間にとって食料と同じ生活必需品のため、不足が生じた場合、価格が跳ね上がりやすい性質がある。ただ、中国やインドはロシア産原油を輸入するようなので、ロシアが生産を止めない限りは供給の方はそれほど問題なさそう。

脱炭素の潮流を受けて油田開発投資が大きく減っており、また再生可能エネルギーの普及には時間がかかるので、長期では供給不足に陥る可能性がある。

・産油国で不測の事態が起こる↑
ロシアがウクライナに侵攻し紛争が起きている。西側はロシアからの原油調達を絞りつつある。
世界最大の石油埋蔵量を誇るベネズエラでは米国の制裁や政治の混乱、投資不足などにより産油量が激減している。
イランでは米国から制裁を受けており、産油量が減っている。ただ米政権はイランとベネズエラへの制裁を緩和する方向のようなので、今後この2国の供給は増えそう。
中東では度々石油施設へのテロ攻撃が起きている。3/26日経

・産油国や産油企業、再生可能エネルギーの採算ライン→
サウジが財政均衡に必要な水準は1バレル83ドル、アラブ首長国連邦(UAE)は70ドル、イラクは60ドル、ロシアは42ドル、米企業の採算ラインは45~70ドル、再生可能エネルギーは30~80ドルになる。原油価格はこの範囲内で収まる可能性が高い。

・リスクオン、オフ↓
リスクオフ気味。
*原油は株式と同じリスク資産になる。

・インフレ対策↑
原油などの商品は最良のインフレヘッジ手段になる。足元ではインフレ対策の一環としても買われている。

・為替↓
原油はドル建てのためドル高になると原油価格に低下圧力がかかる。足元ではドル高基調になっている。

・チャート
<10年チャート> 上昇トレンド。長い上ヒゲが出ているので、110ドルくらいが天井になるのかもしれない。

<前回の予想「今後1年の予想レンジ:70ドル~120ドルの間で推移」が外れた要因>
・ウクライナ危機が勃発し、供給懸念が強まった。

■ドル円
今後1年の予想レンジ:105円~130円の間で推移

為替に与える影響が大きい要因順に見ていく。
・日米の長期金利差↑(↓は円高方向)
FRBは3月から金融引き締めに転じた。一方、日銀は大規模な金融緩和を続けている。日米の金融政策の違いや、経済成長率、インフレ率の格差などから金利差は拡大傾向にある。

金利差拡大によりキャリー取引が増えている。
*キャリー取引とは金利差を狙った取引。金利差が大きくなると低利通貨を売り、高利通貨を買って、金利差で収益を得る取引が盛んになる。現在のような状況では低利通貨の円は売られやすくなる。

・日本の経常収支↑
輸出主導の経済構造が変わり、資源高の環境下で、日本は経常赤字に転落しつつある。1月の経常収支は1.1兆円の赤字になっている(3/9日経)。日本はこれまで年20兆円程度の経常黒字を維持してきたが、現在の資源高、円安が続くと通期でも赤字になる可能性がある。

・日米の経済の強さの違い↑
資金は経済の強い国へ流れ、その国の株式や不動産などが買われる。デジタル革命を主導する米経済は相対的に強いのでドル資産が買われやすい。
*日本の個人投資家は2021年に海外株を約7兆円買い越しており、その大半は米国株になる。日本株の買越額は約350億円になる。12/30日経

・ドル需給↑
FRBがドルを大量供給しているのでドルはだぶつき気味だったが、ウクライナ危機により基軸通貨ドルの需要が高まっている。

・リスクオン、オフ→
インフレ高進やウクライナ危機により、リスクオフ気味。日本は世界一の対外純資産国なのでリスクオフ時に円は買われやすいが、上記要因により円が買われにくくなっている。

・日本企業の対外直接投資↑
国内需要はほぼ頭打ちなので、日本企業は海外での直接投資を増やしている。ここ数年は年12~22兆円の買い越しが続いている。対外純資産に占める対外直接投資の比率は増加傾向で、2020年には47%まで高まっている。一方、対外証券投資の比率は28%まで低下している。11/17日経

・国内投資家の対外証券投資↑
日本の機関投資家は国内の超低金利で運用難に陥っているので、高い運用利回りが見込める海外債権や株式などを買っている。個人投資家は成長力のある海外株を積極的に買っている。ここ数年は年10兆円程度の買い越しが続いている。

・海外投資家の国内証券投資↓
ベーシススワップ(円調達時の上乗せ金利)が低下しており、日本国債の金利は安定しているため、海外投資家は日本国債を年10兆円程度買い越している。3/16日経

・投機筋の持ち高↓(「円 投機的ネットポジション」で検索)
投機筋は売りを継続している。投機筋は円安が進むとみている。
*円を買い持ちした場合はスワップポイント(金利収入)がマイナスになるので、買いポジションが長く続くことは少ない。

購買力平価
物価が上がると(インフレが進むと)、物やサービスを買うときにより多くの額のお金が必要になるが(購買力は下がるが)、物価が下がると(デフレが進むと)、物やサービスを買うときにより少ない額のお金しか必用なくなる(購買力は上がる)。この物価変動に着目して二国間の通貨価値をならしたものが購買力平価になる。

日本より米国の方が慢性的にインフレ率が高いので円の購買力平価は長期的な円高傾向にある。ただ米国のインフレ率は年々低下しており日本のインフレ率との差が縮まってきているので、購買力平価の下降曲線はなだらかになってきている。為替相場は長期的にはこの購買力平価に収斂していくとされているので、円の下限は75円、上限は115円くらいになる。

*コロナ禍で日米のインフレ格差が広がっている。この状態が続くと円には強い上昇圧力がかかる。

・日銀が保有するETFの簿価割れ→
日銀の自己資本は約10兆円なのに対し、保有する日本株ETFは簿価で約35兆円ある。日銀の保有するETFの損益分岐点は日経平均株価21000円くらいなので、ここを下回ると自己資本が目減りし通貨の信認が低下する。日経平均株価が15000円台まで下がると日銀は債務超過に転落し、さらに通貨の信認が落ちる(日経)。現時点ではそこまで下がる確率は低い。

・日銀が保有する日本国債の値下がり→
日銀は日本国債を500兆円超保有している。金利が2%まで上昇すると、当座預金への利払い負担が国債の運用利回りを上回る「逆ざや」が生じ、債務超過に陥る可能性がある(10/1日経)。ただ現時点ではそうなる可能性は低い。

・米制裁によるドル離れ↓
米国は対立する国に「ドル取引の制限や禁止」といった金融制裁を課すことがある。現時点で米国はロシアやイラン、トルコ、中国などに金融制裁を課しており、これらの国々は米国債の保有を大きく減らしている。今のところドル離れは一部に留まっているが、今回のロシア中銀が保有するドル資産凍結によりドル離れが加速する可能性がある。3/17日経

・日米の財政政策→
巨額の財政出動をすると景気を押し上げ、自国通貨も押し上げる効果があるが、一方で財政赤字の拡大により通貨の信認が低下し、自国通貨を押し下げる効果もある。日米の財政支出や財政赤字は対GDP比で同程度になる。

・日本政府の過剰債務↑
日本政府の債務は返済不可能な水準まで膨れ上がっているので、2030年頃に円の大暴落が起きる可能性がある。米国も似たような状況だが、基軸通貨なので大暴落は起きにくい。

・チャート
<10年チャート> ゴールデンクロスを形成したのでしばらく上昇トレンドが続きそう。

<前回の予想「今後1年の予想レンジ:105円~120円の間で推移」が外れた要因>
・米長期金利が予想以上に上昇したから。
・ウクライナ危機が起こり、資源価格が急騰したから。

■日経平均
今後1年の予想レンジ:23000~32000円で推移

日経平均に与える影響が大きい要因順に見ていく。
・金融政策↓
世界の中銀の総資産と世界の株価指数はほぼ連動している(日経)。2022年の中銀の総資産は微減になる見通し。

米欧の中銀は資産の購入を停止・売却する方向だが、中国は購入する方向。1/16ロイターなど。

*現時点ではまだ売却に動いていないにもかかわらず、株式市場は大きく下落している。機関投資家の現金保有比率はコロナ前までの水準(5.9%)まで高まっており(3/16日経)、やや売られすぎの感がある。

・米長期金利↓
長期金利が上昇すると株式から債権へ資金がシフトしやすくなる。

・為替↑
円安が進むと海外勢は日本株を買いやすくなる。
国内製造業の利益は増えやすくなる。

・利回り↑
日本株式の益回りは約6.88%、配当利回りは約2.10%と、日本長期国債の利回り0.22%より高いので、株式に資金が流れやすい。

・需給↑
大きく下げたときは日銀が買い支えるので日本株は下がりにくい。
主な投資主体の売買動向をみていく。
<2022年の予想と現状>
 日本銀行:予想は日本株の買い支えで1兆円の買い越し。現状は2千億円の買い越し。
 事業法人:予想は自社株買いで2兆円の買い越し。現状は7千億円の買い越し。
 海外投資家:予想は景気後退を懸念して1兆円の売り越し。現状は2兆1千億円の売り越し。
 個人投資家+投資信託:予想は逆張り投資で1兆円の買い越し。現状は5千億円の買い越し。

・EPS(1株利益)↑
日経平均株価は基本的にはEPS(1株利益)× PER(期待度・人気度)で決まる。2022年の予想EPSは0~10%程度になる。
ーーーーー
EPSに影響を与える外部要因についても見ていく。
・為替→
日本企業は海外で収益の6割を稼ぐので為替相場の影響が大きい。今後はやや円安基調で推移しそうなので利益が増えそうではある。しかし輸入価格の高騰により企業物価指数が大幅に上昇しており(3/10日経)、この分を価格転嫁できなければ利益はそれほど増えない。

・海外景気→
日本企業は海外で収益の6割を稼ぐので海外景気の影響を大きく受ける。2022年はコロナが収束し世界景気が正常化しそうではあるが、インフレ高進(金融引き締め)などにより景気後退に陥る可能性もある。

・失業率↑
失業率が低下すると賃金が上昇して企業収益が圧迫され、労働量力不足で成長が頭打ちになりやすい。現在の失業率はコロナ前よりもやや高い水準にある。

・減価償却費や資源価格↓
減価償却費や資源価格(原材料費)が上昇すると利益が圧迫される。足元では減価償却費は横ばいだが、資源価格は急騰している。コスト上昇分を価格転嫁できれば問題ないが、日本では景気回復の実感が薄いので、現在それをやるのは難しそう。

・金融政策↓
金融引き締めで金利が上昇すると企業の利益や資金調達環境は悪化する。FRBは3月に金融引き締めに転じており、徐々に資金調達環境は悪化している。
ーーーーー

・PER(期待度、リスク選好度)↑
日経平均の過去のPERは11~17くらいだが、現在のPERは13.43倍とほぼ中立の水準。今後EPSが下ブレる可能性もあるので、妥当な水準に見える。

投機筋の持ち高
買い残は1兆3200億円で、裁定売り残高は2500億なので、投機筋は日本株が上がるとみている。
*一般に、裁定買い残高が3000~6000億円まで減少すると「売られすぎ」、3.5兆~4兆まで増加すると「買われすぎ」とされる。

・個人投資家の流入↑
コロナ禍の「巣ごもり」や「老後2000万円問題」などの影響で株式市場に個人投資家が流入している。米株式市場においては個人の売買シェアがコロナ前の10%から足下では25%にまで高まっている。日経

・パッシブ運用の膨張↑
パッシブ運用にはストック効果(積み上げ効果)があるので、この運用が増えれば株価は下がりにくくなる。現在、投信やETFでパッシブ運用の比率が高まっており、世界では44%、日本では73%まで高まっている。ただパッシブ運用が増えると流動性が低下し、値動きが激しくなりやすくなるという問題がある。7/18日経10/20日経

・チャート↑
<10年チャート> 調整はしているがまだ上昇トレンドを保っている。

<前回の予想「今後1年の予想レンジ:27000~34000円で推移」が外れた要因>
・ウクライナ危機が起こって資源高になり、日本企業のEPS低下懸念が生じた。
・金融引き締めにより景気後退に陥る可能性が出てきた。

■東証グロース指数(旧マザーズ指数)
今後1年の予想レンジ:800~1150の間で推移(*4月1日の指数を1000と想定)

東証グロース指数に与える影響が大きい要因順に見ていく。
・金融政策↓
東証グロース指数は中銀総資産との相関が全市場の中で最も強いので、中銀の資産縮小時には小型グロース株が真っ先に売られやすい。週刊エコノミスト2022年1月11日号(最終ページ)には「マザーズ指数は日銀の当座預金残高と連動」といった指摘もあり、実際、日銀の当座預金残高の推移とマザーズ指数の推移はほぼ一致している。

とはいえ、中銀が資産を大きく減らす前に、グロース指数は中銀が資産を大きく増やす前(2020年2月)の水準以下まで売り込まれているので、やや売られすぎの感がある。マザーズ指数はFRBが13年12月にテーパリングを決めた際にも急落したが、半年後には決定前の水準を回復している。3/2日経

金利上昇も小型グロース株には逆風になる。金利が上昇すると将来の成長期待を買われている小型グロース株ほどバリュエーションが低下しやすくなる(詳細は後述)。また小型グロース企業は赤字が多く、金利上昇により成長のための資金調達をしにくくなる。

・需給→
グロース市場は日銀の買い支えがなく、自社株買いもあまり期待できないため、相場下落時はプライム市場と比べて下がりやすい。

2021年11月から今年3月までマザーズ指数は下げ続けたが、この下げの主因は海外投資家の売りになる。海外投資家はマザーズ市場での売買シェアの約半分を占め、11月から3月にかけほぼ一貫して売り越している。ヴェリタス3/53/19日経

個人投資家は株価が下げたときに買いに回るが、現在多数が含み損を抱えており、投資余力は低下している。

・EPS(1株利益)成長率 ??
不明。グロース指数を構成する企業群の連結損益合計は赤字っぽい(2020年時点では赤字)。
参照:週刊エコノミスト2022年1月11日号(最終ページ)

<反転シグナル>
信用評価損益率の急激な悪化が反転の目安になりそう。信用評価損益率が急激に悪化して、追い証回避の投げ売りが殺到すると、信用での買い持ちが急減して需給が軽くなる。そのタイミングで海外投資家が買いに転じるパターンが多い。

マザーズの信用評価損益率は2月に-40%まで悪化。2018年12月の急落時には-35%まで悪化してその後、指数はV字回復している。ただ今回の下落は、下落の仕方が穏やかなので、セリングクライマックスのような投げ売りはまだ見られない。

2007~2009年の金融危機では、2007年12月に信用評価損益率が-30%を超え、2008年10月に-65%まで落ち込んでいる。約1年5ヶ月にわたってマイナス幅が30を上回っており、この間にマザーズ指数は900台から300近くまで落ち込んでいる。当時も今も金融引き締め局面であり、このような前例をふまえると、東証グロース指数はあと1年程度調整局面が続くのかもしれない。ヴェリタス3/5

・チャート→ 穏やかな下方トレンド。底は600くらいになりそう。

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