2024年7月1日月曜日

マクロ系金融指標

市場の仕組みを理解しやすい順番でみていく。

■米10年金利
今後1年の予想レンジ:2.5%~4.5%の間で推移

米長期金利に影響を与える要因を、影響の大きい順にみていく。

・経済成長率+インフレ率→
長期金利の基準値は経済成長率+インフレ率になる。2024年の予想米GDP成長率は+1.3~2.1%%、予想インフレ率は+2.2~3.2%になる。


・金融政策↓
FRBはインフレが落ち着いてきたとして政策金利の引き上げをやめた。2024年に1回の利下げを実施する予定で、それを実施した場合、2024年末の政策金利は5.0~5.25%になる。2025年は利下げを3~4回実施する予定。

*政策金利が中立金利(2.6%)を超えると、景気(長期金利)には下押し圧力がかかる。

FRBは国債などの保有資産を年間7200億ドル(約108兆円)のペースで売却している。そのペースで資産を売却していくと、長期金利には年0.5%程度の上昇圧力がかかる。ただ金利引き下げとは矛盾した政策になるので、FRBは量的引き締めを減速していく方針。


・財政悪化による国債増発↑
米政府の財政はコロナ禍以降、大きく悪化しており、今後も悪化し続ける可能性が高いため(6/2日経)、米財務省は米国債の発行を段階的に増やすとしている。金利が高止まりした状態では公的債務の利払い費も増加し、財政はさらに悪化しやすくなる。米国債市場の需給は悪循環に陥り始めている。


・米国債の人気上昇↑
米長期金利は海外の主要先進国の長期金利よりも高いので、海外勢から買われやすい。2022年の買越額は約100兆円と過去最大になっている。しかし足元では米国外の先進国の金利も上がっているので、海外勢は米国債の購入を減らし、自国債を買い始めている。

米国債を世界で最も保有しているのは日本になるが、米国債利回りから為替ヘッジコストを差し引くと利回りがなくなってしまうので、一部の金融機関は米国債の購入をやめ、日本国債を買い始めている。

米国債を日本の次に多く保有する中国は、米国との対立や人民元安阻止のために米国債を着々と売却している(6/2日経)。米国と緊張関係にあるロシアなども米国債を売却している。5/17日経


・米企業の社債発行増↑
米企業の社債発行が急増している。米国債より投資妙味の大きい高格付け社債の発行増加により、長期金利に上昇圧力がかかっている。


・資金需要の低下、金余り↓
第4次産業革命の主役はデジタル企業になるが、デジタル企業は設備投資のための資金需要がそれほど多くない。少子高齢化の影響で借り入れ需要も減っている。

金余りで運用難に陥っている米金融機関や米企業は多く、そういうところがこぞって米国債を買っている。バフェットさんも買っている。


・リスクオン・リスクオフ↑
米景気は比較的堅調で、もうじき金利引き下げをする予定なので、リスクオン気味。


・潜在成長率の低下↓
生産性の伸び悩みなどで潜在成長率は低下傾向にある。


・チャート→
<10年チャート> 天井を打ったように見えるが、長期線同士がゴールデンクロスを形成しそうなので、大きくは下がりにくそう。

・まとめ
米長期金利は景気鈍化により、いったん下がりそうだが、需給が著しく悪いので大きくは下がりにくそう。米景気がよっぽど悪化しない限りは3%以上の水準を保ちそう。



■WTI原油
今後1年の予想レンジ:60ドル~110ドルの間で推移

原油価格に影響を与える要因を、影響の大きい順にみていく。

・需要↑
原油の需要は世界経済成長率にほぼ連動する。2024年の予想世界GDP成長率は2.8%になる。

長期では、再生可能エネルギーの増加や技術革新、学校・職場のリモート化などにより石油需要が減少していく可能性がある。仏トタルや英BP、国際エネルギー機関(IEA)は2030年頃に石油需要がピークアウトすると予想している。6/13日経4/11日経

一方で、世界人口増やAIの電力消費、再生エネルギー開発の滞りなどにより、石油需要が増えるという見方もある。米エネルギー情報局(EIA)は2050年の石油需要が2020年比で4割増になると予想している。英シェブロンは2023年から45年にかけて石油需要は約15%増加すると予想している。


・供給↓
OPECプラスは1バレル90ドル前後の水準を維持することを目的に減産に動いていたが、10月から減産を段階的に縮小すると決めた。米国、ブラジル、ガイアナは2023年に年間産油量記録を更新しており、今年も更新する見込み。

脱炭素の潮流を受けて油田開発投資は大きく落ち込んでいたが、ロシアによるウクライナ侵攻をきっかけにエネルギー不足の懸念が生じ、化石燃料の開発投資が急増している。長期の供給も問題なさそう。


・産油国で不測の事態が起こる↑
中東では石油施設へのテロ攻撃が度々起きており、パレスチナでは紛争が始まっている。供給網の混乱などにより今後供給が減る可能性がある。ゴールドマンサックスは「ホルムズ海峡で石油の流れが遮断された場合、原油価格は1カ月で20%上昇する」と予想している(4/20日経)。ただパレスチナでは停戦の兆しが見え始めている。

*石油(エネルギー)は人間にとって食料と同じ生活必需品のため、わずかでも不足が生じると価格が跳ね上がりやすい。


・産油国、産油企業、再生可能エネルギーの採算ライン→
サウジアラビアで財政均衡に必要な原油価格の水準は1バレル85ドル、ロシアでは80ドル、アラブ首長国連邦(UAE)は75ドル、米産油企業の採算ラインは50~80ドル、再生可能エネルギーは30~80ドルになる。原油価格はこの範囲内に収まりやすい。


・リスクオン、オフ↑
リスクオン気味。
*原油は株式と同じリスク資産なので、リスクオフ時には売られやすい。


・インフレ対策↑
原油などの商品はインフレヘッジ手段になる。足元ではインフレ対策としても買われている。


・為替↓
原油はドル建てのため、ドル高になると割高感が出て、原油価格に下押し圧力がかかる。足元ではドル高基調。


・チャート→
<10年チャート> チャート的には落ち着いた感じ。60ドルを底にボックス圏で推移しそう。

・まとめ
やや供給過剰気味。当面は65~85ドルの間で推移しそう。



■ドル円
今後1年の予想レンジ:135円~170円の間で推移

為替に影響を与える要因を、影響の大きい順にみていく。

・日米金利差↑ (↑は円安方向、↓は円高方向)
<短期金利>
日米の短期金利は現在約5%開いている。3月に日銀は利上げに動いたが、利上げ幅はわずか0.1%ため、金利差はほとんど縮まっていない。日本は状況的に金利を大きく上げづらく、米景気は比較的堅調なため、今後もしばらく金利差が大きく縮まる見込みはない。

金利差拡大によりキャリー取引が増えている。
*キャリー取引とは金利差を狙った取引。短期金利差が大きくなると低利通貨を売り、高利通貨を買って、金利差で収益を得る取引が盛んになる。
*世界で金利が最も低い水準にある日本の円は、キャリー取引の調達通貨として選ばれやすい。対ドル以外でも売られやすくなっている。
*市場が荒れ始めると金利収入以上の為替差損を抱えるリスクが増すので、手仕舞われやすくなる。

<長期金利>
現在、米長期金利と日本の長期金利の差は3%くらいある。長期金利差もしばらくこのくらいの水準が続きそう。


・国内投資家の対外証券投資↑
日本の機関投資家は国内の超低金利で運用難に陥っているので、高い運用利回りが見込める海外債権や株式などを買っている。個人投資家は成長力の高い海外株を買っている。ここ数年は両者合わせて年10兆円超の買い越しが続いている。

新NISAが始まり、今年はこの新NISA分だけで13兆円程度の買い越しになりそう。個人の金融資産は約2200兆円あり(6/27日経)、新NISAでは毎月定額を投資するケースが多いので、個人投資家の大規模な海外株買いは当面続く可能性が高い。6/18日経6/26日経

*キャピタルフライト
日本は財政問題や経済低迷、インフレなどの問題を抱えているため、日本人は円資産を海外資産にシフトし始めている。国内の家計の預貯金は約1100兆円あり、その1%(11兆円)でも海外に向かえば円相場へのインパクトは大きくなる。2024年に始まった新NISAでキャピタルフライトが加速しつつある。


・日米の経済の強さの違い↑
資金は経済の強い国へ流れ、その国の株式や債権、不動産などが買われる。デジタル革命を主導する米経済は相対的に強いのでドル資産が買われやすい。

*日本の潜在成長率は0.5%程度、米国の潜在成長率は2%程度になる。6/15日経


・日本の貿易収支↑
円安や資源高、生産の海外移転、産業競争力の低下などにより、貿易収支は悪化傾向にある。(貿易収支を含む)経常収支は年20兆円程度の黒字の水準にはあるが、そのうち半分くらいは海外での再投資や内部保留などにあてられるので、稼いだ外貨の半分くらいしか日本に戻らなくなっている。5/11日経

*訪日客の増加でサービス収支の旅行収支は黒字になっているが、海外テック企業が提供するクラウドサービスなどへの支払いによる「デジタル赤字」がそれを帳消しにしている。「デジタル赤字」は今後も右肩上がりで増えていくもよう。


・米国の貿易収支↑
米国は経済が強いので貿易収支は改善傾向にある。



・日銀の財務状態の悪化↑
日本の長期金利が1%まで上昇した場合、日銀は債務超過に陥る。日銀は国債について満期保有を前提とした会計処理を採用しており、債務超過になっても日銀は自ら通貨を発行できるので資金繰りに行き詰まることはないが、円に対する信用は落ちる。現在、日本の長期金利は1%近くまで上昇しており、今後さらに上昇する可能性が高い。
*日銀は長期金利が1%に上昇した場合、日銀が保有する国債に28兆円の含み損が生じ、5%に上昇した場合は108兆円の含み損が生じると試算している。
*ゴールドマン・サックスは「2027年に政策金利が1.25~1.5%に到達するまで利上げサイクルが長期間続き、長期金利が26年末に2%に達する」と予想している。5/23日経
*日銀は民間金融機関が日銀に預けている当座預金への利息を支払っている。利上げが進めば利息負担がかさみ、その負担が日銀が保有する債券の収益を上回ると、赤字に転じる可能性が出てくる。試算によると政策金利が0.6%まで引き上げられると経常赤字に転じる。2.8%まで上がれば債務超過に陥る可能性がある。5/30日経


・日本政府の過剰債務↑
日本政府の債務は返済不可能な水準まで膨れ上がっており、2030年頃には臨界点に達し円の暴落が起きる可能性がある。日本は自然災害が多く、突然の大地震が起こったときに多額の国債発行が必要になり、臨界点が早まる可能性もある。米国政府の債務も返済不可能な水準まで積み上がっているが経済が強く、ドルは基軸通貨なのでドルの暴落は起きにくい。


・リスクオン、オフ↑
リスクオン気味。


・日本企業の対外直接投資↑
国内需要はほぼ頭打ちなので、日本企業は海外での直接投資を増やしている。ここ数年は年12~22兆円の買い越しが続いている。


・海外投資家の国内証券投資↓
円調達時の上乗せ金利(ベーシススワップ)が低く、日本国債の金利は安定しているため、ここ数年、海外投資家は日本国債を年10兆円程度のペースで買い越している。

*海外勢は2023年半ば頃から日本株を大きく買い越しているが、これは先物の円売りを合わせて投資していることが多いので、円高要因にはなりにくい。


・投機筋の持ち高↑(「円 投機的ネットポジション」で検索)
投機筋は円を大きく売り越している。円が下落するとみている。
*ドルを売り持ちした場合はスワップポイント(金利差分)を支払わなければならないので、ドル売りが長く続くことは少ない。
*スワップポイントはドル買い時よりもドル売り時の方が高く設定される傾向がある。例えば、日米短期金利差が約3%あった2022年9月にドルを1万ドル買った場合、1日の金利差収入は92円くらいになるが、ドル売った場合は金利差損失が1日159円くらいになる。

*投機筋の円売りポジションは過去最高水準まで積み上がっている。なんらかのショックが起こり、すべての円売り持ち高が解消された場合、138円まで円高がすすむ可能性がある。6/21日経


・個人投資家の売買動向
日本の個人投資家によるFX取引が為替市場の約2割を占めており、相場を動かす原動力になりつつある。しかし足元の売買動向は不明。


・ドル需給↑
FRBがドルを大量供給しているのでドルはだぶつき気味だったが、米長期金利の上昇や、ロシアやアルゼンチンの通貨不安、中国経済の先行き懸念などにより、ドルの需要が高まっている。


・米制裁によるドル離れ↓
米国は対立する国に「ドル取引の制限や禁止」といった金融制裁を課すことがある。現時点で米国はロシアやイラン、トルコ、中国などに金融制裁を課しており、これらの国は米国債の保有を大きく減らしている。今のところドル離れは一部に留まっているが、今回のロシアへの制裁(ロシア中銀が保有するドル資産凍結)をきっかけに、ドル離れが加速する可能性がある。


購買力平価
物価が上がると(インフレが進むと)、物やサービスを買うときにより多くの額のお金が必要になるが(購買力は下がるが)、物価が下がると(デフレが進むと)、物やサービスを買うときにより少ない額のお金しか必用なくなる(購買力は上がる)。この物価変動に着目して二国間の通貨価値を計算したものが購買力平価になる。

インフレ率は日本より米国の方が慢性的に高いので円の購買力平価は長期的な円高傾向にある。ただ米国のインフレ率は年々低下しており日本のインフレ率との差が縮まってきているので、購買力平価の下降曲線はなだらかになってきている。

現在の購買力平価(企業物価)は90円になる。為替相場は長期的にはこの値に収斂していくとされるが、近年では投機取引の拡大や資本の自由化などから購買力平価の影響力は弱まっている。

*購買力平価仮説が成り立つ前提は、貿易における実需取引が為替レートを決める主因であるというもの。日本の製造業は海外に拠点を移し、輸出が増えなくなっているため、購買力平価と市場レートは開きやすくなっている。また現実の為替市場では金融取引が圧倒的なボリュームを占めているため、貿易の実需取引の影響力は小さくなっている。


・日銀が保有するETFの簿価割れ→
日銀の自己資本は約10兆円なのに対し、保有する日本株ETFは簿価で約35兆円ある。日銀の保有するETFの損益分岐点は日経平均株価21000円くらいであり、日経平均株価が15000円台まで下がると日銀は債務超過に転落する。しかし現時点でそこまで下がる可能性は低い。


・為替介入→
今後、円安を止めるために政府・日銀が為替介入する可能性がある。ただ売り玉(保有する米国債)は限られており(5/2日経)、また単独介入のため、為替市場への影響はほとんどない。


・リパトリ減税
経産省内で「リパトリ減税」を推進する構想がある。リパトリ減税とは海外内部保留を円に交換する「リパトリエーション」を実施する企業に対する税制優遇のことであり、この政策を実行することにより、いくらかの円安効果を期待できる。5/11日経


・チャート
三角持ち合いを上抜けたので、上昇基調は強い。


・まとめ
上記を見ていくと、円安要因ばかりで円高要因がほとんどない。日本円は構造的に「円安型」になっているもよう。今後大きな円高要因になりえるのは、米景気後退による米金利の低下くらい。米景気が後退した場合は円が135円くらいまで上昇し、その後は長期で円安が進むのではないかと思う。



■日経平均
今後1年の予想レンジ:30000~43500円で推移

日経平均に影響を与える要因を、影響の大きい順にみていく。

・金融政策→
世界の中銀の総資産と世界の株価指数はほぼ連動している。2023年まで各国の中銀は金融引き締めをしていたが総資産はほとんど減っていない。2024年は金融引き締めをゆるめそうなので、中銀の総資産は高水準で維持されそう。


・金利→
金利が上がると、株式から債権へ資金が流れやすくなる。足元で金利はピークアウトしつつある。
*日本だけは上昇基調にある。


・為替↑
円安が進むと海外勢から見た日本株は割安感が出る。現在、円の価値は過去最低水準にある。


・需給↑
海外勢は2023年の半ば頃から日本株を買い始めている。国内企業は自社株を大量に買っている。2024年からは新NISAが始まり、個人投資家も買い始めている。日銀の買い支え策は終了したが、日本株の需要は比較的堅調。

主な投資主体の売買動向
<2024年の予想>
日本銀行:政策保有株の売却で3000億円の売り越し。 現状は1500億円くらいの売り越し。
事業法人:自社株買いで15兆円の買い越し(6/12日経)。 現状は2.4兆円の買い越し。
海外投資家:日本企業への期待と世界経済のソフトランディング期待から3.2兆円の買い越し。 現状は4.2兆円の買い越し。
信託銀行:リバランスで?3兆円の売り越し。 現状は4.8兆円の売り越し。
金融機関:政策保有株の売却で?4兆円の売り越し。 現状は6.1兆円の売り越し。
個人投資家:新NISAや順張り投資で1兆円の買い越し。 現状は2000億円の買い越し。


・EPS(1株利益)↓
日経平均株価は基本的にはEPS(1株利益) × PER(期待度・人気度)で決まる。2024年の予想EPSは-10~+5%くらいになる。
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EPSに影響を与える外部要因をみていく。
・為替↑
日本企業は海外で収益の6割を稼ぐので為替相場の影響を大きく受ける。今は円安気味なので利益は増えている。

・海外景気↑
日本企業は海外で収益の6割を稼ぐので海外景気の影響を大きく受ける。足元の世界景気は比較的堅調。

・自社株買い↑
自己株式はEPSを計算する際に分母の株式数から除かれるため、自社株買いにはEPSを押し上げる効果がある。日本企業は自社株買いに積極的で、2023年の自社株の取得実績は約8兆2000億円になる。2024年はそれを上回る規模になる見込み。
日経には「自社株買いをしても、その分株数も減り、時価総額も同じ割合で減るので理論的には自社株買いをしても株価は不変」とあるが、自社株買いにより需給が改善したり、ROEが上がったり、企業の「自社株は安い」というアナウンスメント効果があったりするので、株価は上がりやすくなる。

・失業率↓
失業率が低下すると賃金が上昇して企業収益を圧迫する。労働量力不足で成長が頭打ちになりやすい。現在の失業率は最低水準にある。

・減価償却費や資源価格↓
減価償却費や資源価格(原材料費)が上昇すると利益が圧迫される。足元では減価償却費は横ばい傾向で、資源価格は円安により上昇傾向にある。

・金融政策→
金融引き締めで金利が上昇すると企業の利益や資金調達環境は悪化する。日本では金利が上昇基調にあるが、そのペースは非常に穏やか。
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・PER(期待度、リスク選好度)→
日経平均の過去のPERは11~17倍くらいで、現在のPERは16.7倍と上限に近い。今期の業績予想は前期比微減の見込みなので、現在の株価水準は天井に近いのかもしれない。ただ日本企業の業績予想は保守的な傾向があるので、今後上振れる可能性もある。


・リスクオン、リスクオフ↑
リスクオン気味。


・株式利回り↑
東証プライムの益回りは約6.1%、配当利回りは約2.25%と、日本の10年国債の利回り1.06%より高いので、株式に資金が流れやすい。


・中国株からのシフト↑
中国の景気停滞リスクや地政学リスクから、中国投資離れが拡大している。その代替投資先の1つとして日本株が選ばれている。


投機筋の持ち高
買い残は2兆1000億円で、裁定売り残高は4000億となっている。投機筋は日本株が上がるとみている。


・個人投資家の流入↑
日本の家計が抱える預金・現金は約1100兆円あり、コロナ禍の「巣ごもり」や「老後2000万円問題」などの影響で株式市場に個人投資家が流入している。2024年に始まった新NISAでさらなる流入も期待できる。ただその大半は海外株に流れている。


・パッシブ運用の膨張↑
パッシブ運用にはストック効果(積み上げ効果)があるので、この運用が増えると株価は下がりにくくなる。現在、投信やETFでパッシブ運用の比率が高まっており、世界では44%、日本では73%まで高まっている。


・チャート↑
<10年チャート> 出来高を増やして新高値を突破しているので基調は強い。底は3万円くらいになりそう。


・まとめ
株式需給と全体的な市場環境はそれほど悪くない。あとは企業のEPS次第という感じになりそう。ここが期初予想より上振れてきたら、日経平均株価は43000円くらいまで上昇しそう。



■東証グロース250指数
今後1年の予想レンジ:600~900の間で推移

東証グロース指数に影響を与える要因を、影響の大きい順にみていく。

・金融政策↑
東証グロース指数は中銀の総資産残高の影響を全市場の中で最も受けるので、中銀の資産縮小時には真っ先に売られやすい。ただ、グロース指数はすでに金融緩和前の水準まで売られているので底に近いように見える。

金利の上昇も小型グロース株には逆風になる。金利が上昇すると将来の成長期待で買われている小型グロース株はバリュエーションが低下しやすくなる(詳細は後述)。また小型グロース企業には赤字企業が多く、金利上昇時には成長資金を調達しにくくなる。借金の金利負担も重くなり、財務状態も悪化する。2024年は世界の中銀は金融引き締めを緩めていく見込みなので、グロース株にはプラスの相場環境になるかもしれない。ただし、日本だけは金融引き締めを強化していく見込み。


・需給↑
グロース市場は日銀の買い支えがなく、自社株買いもあまり期待できないため、相場下落時は下げ止まりにくい。ただ海外投資家は売り尽くした感があるので、売り圧力はそれほど強くなさそう。個人投資家の含み損は減少傾向にあるので、そろそろ個人が動き出してもよさそう。


・EPS(1株利益)成長率
不明。赤字基調っぽい。5/29日経


・センチメント(市場心理)
株価は基本的にはEPS×PERで決まる。しかしグロース市場全体のEPSはおそらく赤字。そうなるとEPSがマイナスになってしまうので、そこにPERを掛けても株価を算出できない。このようなときに株価を決めるものはなにか。もしかするとセンチメントかもしれない。だからグロース指数の値動きは理解しにくいのかもしれない。

そのセンチメントにも変動要因がありそうだが、今のところそれがよくわからない。


<グロース市場の反転シグナル>
信用評価損益率の急激な悪化は一つの反転シグナルになる。信用評価損益率が急激に悪化して、追い証回避の投げ売りが殺到すると、信用取引での買い持ちが急減して需給が軽くなる。過去の例では、そのタイミングで海外投資家が買いに転じるパターンが多い。

2007~2009年の金融危機では、2007年12月に信用評価損益率が-30%を超え、そこから約1年5ヶ月にわたってマイナス幅が30を超えている。この間にマザーズ指数は900台から300近くまで落ちている。当時も今も金融引き締めなど、似たような状況であり、このような前例を踏まえると、2年の停滞が続いた東証グロース指数は今後反発するのかもしれない。

<グロース250の10年チャート> 底値感はあるが基調は弱い。

・まとめ
グロース市場は予想EPSがよくわからないので、予想がしにくい。金利の影響は米金利の方が強いのか日本金利の方が強いのか、それもわからない。今後の観察で変動要因を見極めていきたい。

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