今後はAI革命と円安が進みそうなので、海外のAI関連株を中心に見ていく。
■米OpenAI(非上場)
一方、AIモデルの高度化に伴い、さまざまな問題も表面化している。
一つは計算資源の不足。OpenAIは、9月にリリースした新旗艦モデル「Astra」向けの月額200ドルプランについて、計算資源の不足を理由に新規受付を一時停止すると発表した。イーロン・マスク氏は、電力不足の制約により、来年はさらに計算資源が逼迫すると予想している。9/10インフォ
Anthropicのダリオ・アモデイCEOが、AIの急速な進化と暴走リスクを理由に、最先端AIの開発ペースを業界全体で落とすよう呼びかけている。
同氏によれば、AIが自らを改良する「自己改良」はすでに始まっており、性能向上のペースも加速している。さらに今夏以降は、モデルの高度化に伴って「テストを欺く能力」も高まっており、一見安全に見えるモデルでも重大な問題が見落とされるリスクが増しているという。
同氏はHugging Faceの事例にも触れている。負傷者が出ず、経済的損害も軽微だったため軽視されがちだが、同程度のミスアライメント(開発者の意図とのずれ)を抱えたまま、より能力の高いAIエージェント群が現れれば、壊滅的な被害につながりうるという。現在の能力向上の速度を踏まえると、6〜12か月後には、そうしたAI群が永続的なボットネットを築いてインターネット全体を乗っ取り、数千億ドル規模の損害をもたらす能力を持ちうると警告している。
また同氏は、この事例を「一社の失敗」として片付けるのも誤りだと指摘する。程度こそ軽いものの、同様の事例はAnthropicを含む業界各所で起きており、各社が自社の問題として受け止め、対策を講じる責任があるという。
具体策として、外部評価機関の職員を社内に常駐させ、開発中のモデルを継続的に監視する仕組みを提案し、他社にも同調を呼びかけている。これにはOpenAIのサム・アルトマンCEOやイーロン・マスク氏も賛意を示した。マスク氏はさらに、競合各社がリリース前のモデルを互いに検証し合う「査読(ピアレビュー)」の導入も提唱している。
政治の側でも動きがある。米連邦下院のロー・カンナ議員は中国の主要AI企業に対し、米中でフロンティアAIの開発ペースを調整する、法的拘束力のある国際協定への参加を呼びかけている。
9月、AnthropicはAI開発の安全性評価に米コンサルティング大手アクセンチュアを起用すると発表した。外部の専門家を社内に常駐させ、安全対策を厳格に検証する体制を整えるという。
ただし、評価を受ける企業自身が費用を負担する仕組みでは、利益相反が生じかねない。そのためAnthropicは、将来的には政府の支援などを通じた、より独立性の高い評価制度が必要だと訴えている。9/15インフォ、9/17インフォ、9/19日経
<アモデイ氏が提唱する「ペース調整」について>
アモデイ氏はエッセイの中で、自身が提唱する「ペース調整」はAI開発の「停止」ではないと強調している。モデルの学習や技術の進歩そのものを止めるのではなく、アライメント(AIを人間の意図に沿わせること)や安全性の確保に十分な時間をかけ、第三者機関がそれを検証できるようにすることが目的だという。
同氏は、臨界点となる能力水準に達するまでに1〜2年の猶予を稼ぎ、その時間をアライメント研究に充てられれば、重大な失敗のリスクを大きく下げられると論じる。各社が協調してペースを調整すれば、商業的な優位や米国のリードを大きく損なわずに実現できる。加えて、AIという技術を社会としてどう使うかを議論する時間が確保できること自体にも、大きな意味があるとしている。
ただし、このペース調整には重要な前提がある。米国のAIモデルの性能が中国を上回っていることだ。中国がAI開発で先行すれば、米国や世界にとって重大な安全保障上のリスクになりうるため、減速できる幅は「中国に対するリードの範囲内」に限られるという。
そのリードを維持するための手段として、次の3つを挙げている。
1.強力なAIチップや半導体製造装置の対中販売を禁止するとともに、チップの密輸や、中国国外のデータセンターへのリモートアクセスを取り締まる。
2.権威主義国の企業による無許可の「蒸留(distillation)」を取り締まる。蒸留を許せば、独自にモデルを開発する場合の数分の一のコストで性能差を縮められてしまう。
3.AI企業のセキュリティを強化し、モデルの重みの盗難を防ぐ。
これらを適切に実行すれば、AIが地政学的に最も重要になる今後3〜5年のうちに、米国のリードを大きく広げられると主張する。さらに、こうした措置は中国との協調を難しくするどころか、民主主義陣営の交渉力を高め、将来の合意を後押しする可能性があるという。
一方で、中国との協力そのものは容易ではないとの認識も示している。米国が大幅に自制したのに中国が合意を破れば、その差がそのまま相手側の地政学的な優位につながりかねないからだ。合意を成立させるには、「鉄壁の検証可能性」を確保するか、仮に裏切られても軍事的な致命傷にならない範囲に内容を限定する必要がある。しかし現実には、そのどちらも容易ではないとしている。
正式な合意に至らなくても、再帰的自己改善やミスアライメントに関する情報を共有することには意味があるという。「急速な開発は自分たちの利益にならない」という認識が広がれば、開発競争に一定の歯止めをかけられる。正式なルールだけでなく、非公式な規範を変えていくことにも価値があるという考えだ。
エッセイの結びで同氏は、AIが人類の生活を大きく改善しうるという確信は揺らいでいないとしつつ、それは「正しい作り方」をした場合に限られると述べている。ペース調整で稼いだ時間は、AI内部の仕組みを理解する「解釈可能性」の研究や、各社の安全運用の厳格化、そしてアライメントについて、より確信を持てるモデルの構築に充てられる。提案した対策の実行は容易ではないが、人類には、それを試みる責任がある、と締めくくっている。
シンクタンク「カーネギー・チャイナ」の調査によれば、トップレベルのAI研究者の勤務先の国として、中国が米国を逆転したという。米国がAI開発で中国をリードしていられる時間は、そう長くないのかもしれない。9/23インフォ
Microsoftのサティア・ナデラCEOは、「人間の統制下になく、人類の役に立たないAIは追求に値しない」と述べ、業界全体に開発ペースの調整を呼びかけている。同社AI部門を率いるムスタファ・スレイマン氏も、「安全でなければ作るべきではない」「AIよりも人間が重要だ」と語り、AIは常に人間の管理下に置かれ、人間に奉仕する存在であるべきだとの立場を示している。
政界でも規制強化を求める動きが出ている。バーニー・サンダース上院議員は、人類より賢いAIを開発しようとした者を投獄する法案を起草した。
こうした動きを見る限り、AIを人間の制御下に置こうとする流れは確実に強まっている。問題は、中国との開発競争が止まりそうにないこと。米中の安全保障上の競争が規制強化の足かせになっている以上、深刻な事態が起きる前に国際的な合意を形成するのは、かなり難しそうでもある。
かといって、事態が起きてから動けばよいというわけでもない。ニック・ボストロムの『スーパーインテリジェンス』をはじめ、AIの危険性を論じた本の多くは、深刻な事態が表面化した時点ではすでに手遅れになっている可能性が高いと警告している。9/14インフォ、9/13インフォ、9/12インフォ、9/13日経、9/14インフォ、9/14インフォ、9/16日経
OpenAIは、AIの安全対策を最優先するため、2026年内の新規株式公開(IPO)を見送る方針を明らかにした。社内では開発工程を一時停止するなど、開発ペースも落としている。安全面での要請への対応や、業界・政府との協力を優先するとしている。
ただ、IPO見送りの理由はそれだけではなさそう。上場を急がなければ、競合のAnthropicから顧客を奪うための大幅な値下げと、それに伴う利益率の悪化を市場に開示せずに済み、収益を立て直す時間を稼げる。さらに同社は、Appleからスパイ疑惑をかけられ、泥沼の法廷闘争も抱えている。こうした事情も、上場を先送りする判断に影響している可能性がある。9/13日経、9/17インフォ、7/10インフォ
■米Anthropic(非上場)
成長は著しく、年換算収益ではOpenAIを上回ったとみられる。8/19インフォ
ただし競争は激しさを増している。中国企業のオープンソースモデルは性能面で急速に追い上げており、価格も圧倒的に安い。OpenAIも値下げに踏み切っており、Claudeの成長が鈍る可能性がある。
加えて、Anthropicが「蒸留(distillation)」対策としてClaude Codeに監視用のコードを組み込んでいたことが発覚し(現在は削除済み)、その影響で中国からの利用は減っている。7/3インフォ、7/18日経、9/8インフォ、9/22インフォ、9/22インフォ
とはいえ、Anthropicの技術力の高さをうかがわせる材料もある。同社は9月に公開した脅威インテリジェンス報告書で、中国の主要AI企業・研究所7社がClaudeの能力を不正に抽出・蒸留していたと名指しした。中国の主要プレイヤーをほぼ網羅する顔ぶれで、各社がこぞってClaudeを手本にしていたことになる。9/23インフォ
AnthropicがAIロボティクス企業のPhysical Intelligence(Pi)を買収するとの噂がSNSで広がった。PiのCEOはこれを否定したが、今春にAnthropicから初期段階の買収提案があったこと自体は事実とされる。
背景には、AIが真の「超知能」に到達するには物理世界の理解が欠かせないという見方がある。Anthropicは、再帰的自己改善の次の段階として、ロボット工学、いわゆる「身体性を持つ知能(エンボディドAI)」に注目している。7/21インフォ
■ギフト・ホールディングス(日本)
元祖油堂にはたまに行くようになったが、豚山や町田商店にはほとんど行かない。とはいえ、各ブランドに個性があり、成長にも勢いがあるので、株価が大きく下がる場面があれば少し買ってみたい。
■中国CATL
EV(電気自動車)用電池と蓄電池の世界最大手。電池の性能向上は速く、自動車のEVシフトは今後さらに加速していきそう。2025年の世界の自動車販売に占める中国勢のシェアは25%に達し、日本勢(26%)を早ければ今年にも上回る見通し。8/9日経、9/22日経、9/27日経
中東情勢を受けた燃料価格の高騰などを背景に、世界的にEV需要が高まっている。CATLの車載電池の世界シェアは40%まで上昇し、首位を維持している。中国国内では47%に達する。7月に発表した4〜6月期決算では、主力の車載電池事業が前年同期比46%増収となった。
売上高の約2割を占める蓄電池事業も88%増と急成長している。世界的なAI需要の拡大を背景に、データセンター向けなどの出荷が好調。EVだけでなく、電力インフラやAIデータセンターの拡大も成長の追い風になりつつある。
課題は二つ。一つは、中国国内での競争激化により、粗利益率が21%と前年同期から2ポイント低下し、収益性が圧迫されていること。もう一つは、米国が中国製品に最大145%などの高関税を課しているほか、各国でもセーフガード(緊急輸入制限)など保護主義的な措置が広がる可能性があること。7/24日経、7/27日経、7/30日経
0 件のコメント:
コメントを投稿