2016年6月5日日曜日

バブル

■バブルの発生条件
バブルが発生するための条件は三つ。まずはバブルが発生する前が不景気ということ。大規模な金融緩和はこの時期に始まる。二つ目は金余り。過去のバブルはすべて金余りの状態で発生している。今は“異次元”の金融緩和をしており、かつてないほどお金が余っている。三つ目は前のバブル崩壊から7-10年経過していること。バブルが膨らむにはそのくらいの時間がかかり、その間に過去の経験を忘れてしまう。

■バブルの崩壊のきっかけ
金利の引き上げがきっかけになることが多い。ただし金利を引き上げてもすぐに崩壊しない。金利引き上げ2,3回目、8~9ヶ月くらいたったころに急落しやすい。金融機関ははバブルで膨らんだ不良債権の山を処理できなくなり、連鎖破綻していく。リーマンショックのような大きなショックは相場がしばらく下げた後に起こる。
このほか戦争や災害、政治の混乱などもきっかけになる。

■バブル崩壊の震源地になりそうなアメリカや中国の現状
<アメリカ>
米企業はここ三年以上にわたって保有資金を設備投資や研究開発よりもM&Aや自社株買いに費やしているので、今後の成長余地は少なくなっている。緩和策もほぼ限界に達している。ダウのチャートはダブルトップになりそうで、バフェット指標はサブプライム時に近い。先行指標性のあるハイイールド債や輸送株指数はすでにピークアウトしている。

<中国>
中国の不動産バブルは1990年の日本の不動産バブルにそっくり。日本では人口がピークアウトして経済もピークアウトしたときに不動産バブルがはじけているが、中国も今まさにその状態になっている。バブルがはじけると大量にある不良債権が処理できなくなり、金融機関が連鎖破綻していく。現時点で中国で上場している不動産企業の1/3がデフォルト寸前で、借り入れを増やして延命を図っている状態と言われている。

■バブル崩壊しない条件
経済成長率が負債の増加率よりも高ければバブルにキャッチアップして崩壊しない。高度成長期の日本がそれにあたる。しかしほぼすべての国では経済成長率よりも負債の増加率が上回っている。

そもそもアメリカの経済はそれほど悪くなく、負債の増加率も穏やかなので、バブルは破裂しにくい。

中国やアメリカはバブルを徹底的に研究しているので何かしらの対策はたてているはず。アメリカの中銀は過去のバブル崩壊ではバブルが崩壊しきるまで金利を引き上げ続けたが、今回はおそらくそうしなさそう。中国は不良債権処理の会社をつくり、外資系の投資銀行などと組んで処理をしはじめている。

よくバブルになると「今までとは状況が違うから従来の尺度で測ることはできない」という夢想的な解釈が出てくるが、今回のバブルは本当に今までと違う可能性がある。今までのバブルは負債を増やして生じたものであったが、今回のバブルは各国中銀のお金の過剰供給によるもの。中銀が極端な引き締めを行わない限りはバブルは破裂しなさそうではある。

■バブルが崩壊したらどうするか
不況の谷は2-3年かけてつくられるのでバブル崩壊してから2年は買わないようにする。株価が急落して指標的に割安に見えることがあっても手出しはしない。

参考『最強の「先読み」投資メソッド』土居雅紹

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