■ファンダメンタルズ
<インフレ>
・米国の予想インフレ率は2018年度が2.4%。
・欧州の予想インフレ率は2018年度が1.5%。
・日本の予想インフレ率は2018年度が0.9%。
→米欧のインフレ速度は高まりつつあるが、今のところ特に問題なし。
→貿易戦争が激化したら米国のインフレは加速する。
<金利>
・米国の短期金利は2.63%で長期金利は2.88%。
・日本の短期金利は-0.11%で長期金利は0.10%。
→貿易戦争が激化したらインフレの加速に伴い米国の政策金利は上昇する。トランプ大統領はFRBに「金利を上げるな」と牽制しているが、金利を上げざるを得なくなるような保護貿易政策を推進している(笑)。
→貿易戦争が沈静化すれば、需給の緩みから米長期金利は上昇する可能性が高い。18年の米国債発行額は110兆円超になる。
→米国の短期金利が長期金利を上回ると景気後退に陥るといわれるが、長短金利差が0.25%とせばまってきた。9月にFRBが利上げをしたら逆転する可能性もある。
→米国の実質長期金利(名目長期金利-インフレ率)が潜在成長率を上回ると景気後退に陥るといわれるが、足下の実質長期金利は0.5%で、潜在成長率は1.8%。
→米国の実質長期金利が下がってきているので、相対的に米国株に割安感が出てきた。
<債務>
・米国の民間債務残高はGDP比150%で横ばい傾向。
・日本の民間債務残高はGDP比150%で横ばい傾向。
・中国の民間債務残高はGDP比210%まで上昇しているが、足下では横ばい傾向。日本のバブル期のピークは220%になる。
・新興国の民間債務はここ10年の金融緩和で膨らんでおりGDP比140%。現在も微増傾向。
・過去10年で債務を最も膨らませたのは各国政府と中央銀行になる。
→米企業債務額は過去最高水準に達しているが、利益がそれを上回っているので特に問題なさそう。
→中国の債務は危険水準に達しているが、習政権は経済の筆頭課題に金融危機封じ込めを据えているので、それほど心配しなくてもよさそう。ただ貿易戦争などで経済成長が大きく下振れすれば一気に債務圧縮局面に入る可能性がある。
→新興国は米利上げや原油高などで通貨安・高インフレ・高金利になり、債務圧縮局面に入りそうだが比較的穏やかなものになりそう。
→今回の債務拡大の主役は政府・中銀なので、極端な債務圧縮は起こらなさそう。
<金融政策>
・米国は引き締めに転じている。
・日本は金融緩和を継続しているが限界に近づきつつある。
・欧州は量的緩和を2018年12月に終了し、利上げは19年の夏以降になる。
・世界の量的緩和は2017年3月にピークをつけ、その後は減少傾向にある。2019年には明確なマイナスへと転じる。
→やや問題あり。引き締め速度は穏やかだが全体的に引き締め傾向。これまでの経済拡大は金融緩和が原動力であったため、マイナス転換によりすべてが逆回転する可能性がある。
*米国はトランプ大統領の財政拡大策により次の景気後退期には金融政策しか残されていない。そのためFRBは粛々と金融引き締めを進めていくしかない。
*日本は次の景気後退期に、ヘリマネなどの禁じ手をのぞけば、金融面でも財政面でも打つ手がない。
<経済成長率>
・世界の2018年のGDP成長率は3.9%、2019年も3.9%と良好。
・米国の2018年のGDP成長率は2.9%、2019年は2.7%と良好。
・ユーロ圏の2018年のGDP成長率は2.2%、2019年は1.9%と良好。
・日本の2018年のGDP成長率は1.0%、2019年は0.9%とまずまず。
現在、世界同時成長が起きており、このような状態は通常2,3年続くという。ただしこのような世界同時成長は景気サイクルの終盤に見られる特徴的な現象とも言われている。
世界同時成長は海外で6割を稼ぐ日本企業には追い風になる。
*半面、海外の景気後退期は日本企業にとって強い向かい風になる。このような経済構造に円高効果が加わり、日本株は米国株の1.5倍くらい下落する。
*アメリカの財政支出の効果は2019年に切れるので20年以降に景気後退リスクがある。
→中期的には特に問題なし
<EPS成長率>
・世界株式の2018年の予想EPS上昇率は11%、2019年も11%。
・米国の2018年の予想EPS上昇率はは20%(うち減税効果分が8%)。
・日本株式の2018年の予想EPS上昇率は10%。2019年も10%。
<政治>
・日本は安定。ただトランプ大統領当選を的中させた占い師Love Me Doことラブちゃんが、8月の大スポで「安倍首相はいま急激に運がおちている。そして2019年に大ピンチを迎える」といっているのでアベノミクスが頓挫する可能性もある(笑)。
・海外は不安定。米国と中国の覇権争いは、ハイテク・軍事分野を中心に今後長期にわたり続きそう。米中貿易戦争に至っては中国の譲歩で一旦落ち着くと思ったが、中国は米国が貿易戦争で大きな不利益を被ることをわかっているので、長期戦に持ち込むのではないかと思いはじめた。中国が政策金利を引き下げたのもおそらく長期戦に備えるため。
<その他の景気後退シグナル>
・過去の景気後退期はすべて米国の需給ギャップがプラスに転じた後に始まっているが今は0%程度?。
・コモディティ、米国債、米国株、ドルの4資産の値動きで、年間収益が高い順位が、コモディティ、米国債の順番になるとその翌年に景気後退が起きると言われているが、今年は今のところコモディティ、米国株の順。
・景気拡大期の終盤は、金余りと鈍化した成長率を引き上げるため巨大M&Aが盛んになるといわれているが、今がまさにその状態。
・世界景気の先行指標である銅価格が、ピークアウトするかどうかの分岐点にある。
<COMEX 銅先物の5年チャート>
■テクニカル
・チャート
→特に問題なし
・ディストリビューションデー
日経平均 2日
NYダウ 5日
ナスダック 5日
→特に問題なし
・騰落レシオ
日経平均 85
NYダウ 110
ナスダック ?
→特に問題なし
・信用評価損益率
ー9.73%
→特に問題なし
■eワラントのトレーディングインディケーター
<サムモデル>「中立」
危険度:11月43% →12月62% →1月69% →2月74% →3月52% →4月52% →5月36% →6月43% →7月39% →8月44% →9月61%
<オノダモデル>「売り」
2018/1/18に「売り」に転換。2018/2/20に「買い」に転換 。2018/5/18に「売り」に転換 。2018/7/17に「買い」に転換。2018/08/20に「売り」に転換。
■まとめ
中期的には特に問題なし。短期的には貿易戦争などで市場が荒れそうな雰囲気もあるが、日銀のサポートラインが日経平均の20000~21500円あたりにありそうなので、日本株の下げ余地は限定的になりそう。
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