2018年10月5日金曜日

アイスタイル

ウォッチリストをチェックしていたら良さそうなチャートがあったので調べてみた。

<1年チャート>三角保ち合いで、移動平均線が収斂している。

■どんな会社か
化粧品の口コミサイト「@コスメ」や、化粧品の販売事業などを手がける。

各事業の2018年業績と2019年の業績予想は

・メディアプラットフォーム事業(@コスメ事業)
2018年:売上73億円 営業利益26億円 →2019年:売上93億円 営業利益31億円

・販売事業 
2018年:売上121億円 営業利益6億円 →2019年:売上148億円 営業利益6億円

・海外事業(メディアプラットフォームと販売事業)
2018年:売上76億円 営業利益-0.1億円 →2019年:売上104億円 営業利益0円

・その他(人材派遣や投資事業など) 
2018年:売上13億円 営業利益4億円 →2019年:売上16億円 営業利益1億円

になる。売上を拡大しているのは販売事業や海外事業になるが、収益の柱となっているのはメディアプラットフォーム事業になる。

■ビジネスモデル(長期的に利益成長する仕組み)の強度は?
ここでは今後3年の利益成長の牽引役になりそうなメディアプラットフォーム事業のみ見ていく。

<参入障壁は高いか> ★★★★★
化粧品口コミサイトではすでに市場を独占しているので参入障壁は非常に高い。

<ストック型収益か> ★★★☆
プラットフォーム事業なのでユーザーの人気を維持できる限りはストック型になる。
しかし@コスメを使ってみて感じたのは、検索精度が低い、重い、ステマ口コミがトップに表示される、低評価の口コミだけを見られない、などであまり良い印象を抱けなかった。しかもこれらの点はごく基本的なことなので、現時点でこれらの問題が残されているということは、市場独占にあぐらをかいている、もしくは経営陣やエンジニアのセンスに問題があるのではないかと思った。

<成長市場か> ★★★★
美容分野をITで変革するのは今のトレンド。今後は高級化粧品の販売や化粧品のマーケーティングもネットを通じて個人とダイレクトに行うようになっていきそう。ただアイスタイルが主力としている口コミ事業は頭打ちで、新事業も始めているがまだ手探りの段階。

これらを総合するとビジネスモデルの強度は★★★☆~★★★★になる。ただし他の事業も合わせたトータルの強度は★★★~★★★☆程度。

■成長ストーリー
化粧品の口コミサイト「@コスメ」の成長には頭打ち感があるが、アイスタイルは今後@コスメ内に各ブランドのオフィシャルサイトを誘致して、ブランドサイトが集積するプラットフォームを構築していくという。

今期に400ブランド、来期はさらに400ブランドを誘致する計画で、これは@コスメのブランドファンクラブに登録している600ブランドに働きかければ達成可能な数字だという。

ブランドオフィシャルサイトの掲載料は1ブランドにつき月50万円~となり、仮に800ブランドまで増えた場合、年間売上高は50億円、営業利益は15億円規模になる。

この事業が軌道に乗った場合、@コスメ経由で高級ブランドの販売ができるようになる可能性がでてくる。現時点では高級ブランドのネット販売はかなり限定さたものになっているが、それが@コスメのECサイトでできるようになれば、ZOZOTOWNのようなECプラットフォームに発展する可能性がある。

さらに同ビスネスモデルが成功すれば海外子会社(台湾、マレーシア、アメリカ)への水平展開も期待できる。
*ただし10億で買収したアメリカのMakeUpAlleyはこけそう。

■問題点
各ブランドが@コスメ内にブランドオフィシャルサイトを開設する最大のメリットは、サイトを訪れた@コスメメンバーの属性や興味の分析になるが、その分析をするにはメンバーのログインが必要になる。しかし現時点の月間ログイン数は全会員の10分の1、アクティブユーザーの4分の1の50万しかない。

アイスタイルは2020年までに月間ログイン数を300万まで増やす計画を立てており、ログイン数を増やすためにアプリへ誘導しようとしている(アプリを開くと自動的にログインする)。今後はアプリの改良やキャンペーンなどをしていくようだが、現時点でのアプリの評価は★3つと低いため、目標達成には不透明感がある。
*実際にアプリを使ってみたが予想以上にスピーディーで使いやすかった。改良が進んでいるのかもしれない。

それと、そもそもの話になるが、ECとリンクしてないブランドオフィシャルサイトにどれほどの“価値”があるのかも疑問。

■仕込み時はいつか
ブランドサイトの誘致やログイン数の増加には不透明感があるが、9月18日に出した業績連動型新株予約権の行使条件を見ると、会社は本腰を入れてこれらに取り組んでいることがわかる。加えてビューティーテック(美容×IT)は成長市場であり、マーケティングの肝となる口コミ市場はすでに押さえているので、中長期的な見通しは悪くない。ここでは仕込み時がいつかをチャートなどを見ながら考えていく。

冒頭にあげたチャートでは今が仕込みときのようにも見えるが、累積売買高を見ると現在の株価の上には“壁”ができている。
<1年チャート>

<2年チャート>

一方で、5年チャートや、一目均衡表(週足)をみると、ここから大きく下げるようにも見えない。
<5年チャート>

<2年チャート>

ファンダメンタルズ的には、今期減益予想であり、新規事業には不透明感があるので、短期的には上がる理由が見当たらない。

となると、株価はしばらく横ばい圏(1150~1450円)で推移する可能性が高い。とりあえず今日1250円で購入。1200あたりまでは買い下がっていく予定。

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