2018年11月2日金曜日

市場環境チェック

株式市場への影響が大きい企業業績、金利、金融政策などをチェックしていく。

■ファンダメンタルズ
<EPS成長率>
・世界株式の2017年のEPS増加率は17%、2018年は15%、2019年は10%。
・米国株式の2017年のEPS増加率は11%、2018年は23%、2019年は10%。
 *ゴールドマンの2019年の予想は7%で、大幅な関税引き上げをした場合は0%。
・日本株式の2017年のEPS増加率は22%、2018年は5%、2019年は8%。
 *野村證券の2018年予想は10%で、2019年も10%。
*ベースの数値はJPモルガンの予想。参照:(2018/09/28日経)
*貿易戦争が激化したら下振れする。
→中期的にはやや問題あり

<経済成長率>
・世界の2017年の成長率は3.7%、2018年は3.7%、2019年も3.7%。
・米国の2017年の成長率は2.3%、2018年は2.9%、2019年は2.5%。
・ユーロ圏の2017年の成長率は2.4%、2018年は2.2%、2019年は1.9%。
・日本の2017年の成長率は1.7%、2018年は1.1%、2019年は0.9%。
・新興国の2017年の成長率は4.7%、2018年は4.9%、2019年は5.1%。
・中国の2017年の成長率は6.9%、2018年は6.6%、2019年は6.2%。
*数値はIMFの予想。参照:(2018/10/09日経
現在、世界同時成長が起きており、このような状態は通常2,3年続くという。ただしこのような世界同時成長は景気サイクルの終盤に見られる特徴的な現象とも言われている。
世界同時成長は海外で6割を稼ぐ日本企業には追い風になる。しかしその半面、海外の景気後退期は日本企業にとって強い向かい風になる。このような経済構造に円高効果が加わり、日本株は米国株の1.5倍くらい下落する。
*アメリカの財政支出の効果は2019年に切れるので20年以降に景気後退リスクがある。
→中期的には問題なし

<インフレ>
・米国の予想インフレ率は2018年度が2.4%。
・欧州の予想インフレ率は2018年度が1.5%。
・日本の予想インフレ率は2018年度が0.9%。
*貿易戦争が激化すれば米国のインフレは加速する。
*原油高、失業率低下によりインフレ圧力は高まりつつある。
→中期的には問題なし

<金利>
・米国の短期金利は2.87%で長期金利は3.17%。
・日本の短期金利は-0.112%で長期金利は0.12%。
*貿易戦争が激化したらインフレの加速に伴い米国の政策金利は上昇する。
*米金利が上昇し、米株式に割高感がでてきた。
*日欧の長期金利は低いままなので、米長期金利は上がりにくくもあるが、一方で米国の国債発行額は月100兆円を超えはじめているので、需給の緩みから米長期金利は上昇していく可能性が高い。
*米国の短期金利が長期金利を上回ると景気後退に陥るといわれるが、長短金利差まだ0.3%あるので大丈夫そう。
*米国の実質長期金利(名目長期金利-インフレ率)が潜在成長率を上回ると景気後退に陥るといわれるが、足下の実質長期金利は0.77%で、潜在成長率は1.8%。
*米長期金利は長期のWボトムが完成

→中期的にはやや問題あり


<債務>
・米国の民間債務残高はGDP比150%で横ばい傾向。
・日本の民間債務残高はGDP比150%で横ばい傾向。
・中国の民間債務残高はGDP比210%まで上昇しているが、足下では横ばい傾向。日本のバブル期のピークは220%になる。
・新興国の民間債務残高はGDP比140%で、現在も微増傾向。
・過去10年間で各国政府は債務を大きく膨らませている。
*中国の民間企業の債務は危険水準に達しているが、習政権は経済の筆頭課題に金融危機封じ込めを据えているので、それほど心配しなくてもよさそう。ただ貿易戦争などで経済成長が大きく下振れすれば一気に債務圧縮局面に入る可能性がある。
*新興国は米利上げや原油高などで通貨安・高インフレ・高金利になり、債務圧縮局面に入りそうだが比較的穏やかなものになりそう。
*世界の債務総額はリーマンショック前よりも大幅に膨らんでおり、金利が上昇していくと逆回転が起こる可能性が高い。
→中期的にはやや問題あり

<金融政策>
・米国は引き締めに転じている。
・日本は金融緩和を継続しているが限界に近づきつつある。
・欧州は量的緩和を2018年12月に終了し、利上げは19年の夏以降になる。
・世界の量的緩和は2017年3月にピークをつけ、その後は減少傾向にある。2019年には明確なマイナスへと転じる。
*引き締め速度は穏やかだが全体的に引き締め傾向。これまでの経済拡大は金融緩和が原動力であったため、マイナス転換によりすべてが逆回転する可能性がある。
*米国はトランプ大統領の財政拡大策により次の景気後退期には金融政策しか残されていない。そのためFRBは粛々と金融引き締めを進めていくしかない。
*日本は次の景気後退期に、ヘリマネなどの禁じ手をのぞけば、金融面でも財政面でも打つ手がない。
→中期的にはやや問題あり

<政治>
・日本は安定。
・海外は不安定。米国と中国の覇権争いは、ハイテク・軍事分野を中心に今後長期にわたり続きそう。中期的には2019年1月に実施されるとされるアメリカの関税引き上げを中国が止められるかがポイントになる。これを止められなければ中国経済が失速する確率が高まる。
・米国の中間選挙は下院を民主、共和どちらがとっても、株式市場には問題なさそう。共和党がとればさらなる景気刺激策を実施するだろうし、民主党がとれば景気刺激策が抑制され利上げの打ち止め期待につながる。
・英国のEU離脱の条件は、EUが新たな離脱国が出てくるのをけん制するため、英国にとって厳しいものになりそう。12月の離脱交渉は決裂して、英国は国民投票を実施し、EU残留という形になるのかもしれない。
→中期的にはやや問題あり

<その他の景気後退シグナル>
・過去の景気後退期はすべて米国の需給ギャップがプラスに転じた後に始まっている。足下ではプラスに転換している可能性がある。
・コモディティ、米国債、米国株、ドルの4資産の値動きで、年間収益が高い順位が、コモディティ、米国債の順番になるとその翌年に景気後退が起きると言われているが、今年は今のところコモディティ、米国株の順。
・景気拡大期の終盤は、金余りと鈍化した成長率を引き上げるため巨大M&Aが盛んになるといわれているが、今がまさにその状態。
・世界景気の先行指標である銅価格が、ピークアウトするかどうかの分岐点にあったが、いったん反発。
・経済危機をいち早く察知する米低格付け債の利回りは低位で安定している。
→中期的には問題なし

■テクニカル
・チャート
日本株とダウは特に問題なし。
ナスダックはやっと調整が入ったという感じ。7000あたりでいったん値固めしそう。

→問題なし

・ディストリビューションデー
日経平均 5日
NYダウ 5日
ナスダック 先々月5日 先月5日 今月5日
→ナスダックはやや問題あり

・騰落レシオ
日経平均 77
NYダウ 80
ナスダック ?
→問題なし。底値圏か?

・信用評価損益率
ー16.17%
→問題なし。底値圏か?

eワラントのトレーディングインディケーター
<オノダモデル>「買い」
危険度:11月43% →12月62% →1月69% →2月74% →3月52% →4月52% →5月36% →6月43% →7月39% →8月44% →9月61% →10月18.7% →11月36%

<サムモデル>「買い」
2018/1/18に「売り」に転換。2018/2/20に「買い」に転換 。2018/5/18に「売り」に転換 。2018/7/17に「買い」に転換。2018/08/20に「売り」に転換。2018/09/18に「中立」に転換。2018/10/22に「買い」に転換。
→問題なし

■株ログ・インディケーター
問題なし:7件、やや問題あり:6件、問題あり:0件、危険度:10月40%→11月30%、投資判断:買い
中期的には米中貿易戦争で中国の出方がポイントになる。中国が妥協しなければ中国経済が後退する時期が早まりそう。日本株の下げは限定的。おそらく今が底値圏になる。

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