2022年7月1日金曜日

長期計画チェック

「平時にじっくり考えて決めておいたことは、後悔する判断にはなりにくい」いわれているので、今のうちから長期的な計画を考えていく。

■今後の景気について
高インフレにより景気後退に陥る確率が高まってきた。民間・政府ともに債務山積みの状態で金利を引き上げているので、景気には強い下押し圧力がかかっている。ただコロナは落ち着きつつあり、イノベーションの勢いは止まりそうにないので景気後退に陥ったとしても回復は早そう。インフレが落ち着けば、また長期の景気拡大期に戻れるのではないかと思う。

<補足>
景気循環(債務循環)の基本的なパターンは不景気 →金融緩和 →景気拡大(債務拡大)・失業率低下 →景気過熱・インフレ過熱 →金融引き締め →景気後退(債務圧縮)の流れになる。足元では景気が過熱する前にインフレが過熱しているので、従来のパターンとは少し異なる。現在は景気が弱い状態で金融引き締めをしているので、景気後退(停滞)に陥りやすい。

■他の景気後退シナリオ
景気後退シナリオ1:中国のバブル崩壊で景気後退
中国の民間債務残高は積み上がっており、GDP比220%に達している(日経)。景気下振れなどでいったんデフォルトが起これば、急激な資金の引き上げが発生して連鎖的なデフォルトが起こる可能性が高い。バブルが崩壊すれば独裁政権に責任が集中し、政権が転覆する可能性もある。そうなれば政治的混乱が相まって不況が深刻化する。経済大国・中国の不況が世界に連鎖していく。ただ中国政府には財政・金融政策をする余地があるのでバブルが崩壊する可能性は低い。

ただ中国ではゼロコロナ政策が長引きそうな雰囲気になってきている。中国には有効性の低いワクチンしかなく、ゼロコロナ政策をやめると一年以内に200万人の死者が出ると推計されているので(5/7ヴェリタス5/12日経5/12日経5/13日経6/23日経)、簡単にやめられそうにはない。しかしこの政策を続けると経済が低迷しバブルが崩壊する可能性がある。

景気後退シナリオ2:中国が武力で台湾を併合し、米中戦争が激化して景気後退
中国が2024年頃までに武力で台湾を併合するとの見方が増えている(11/2日経1/24日経1/24日経1/31日経)。実際にそれが起これば米中戦争が激化し、世界景気には強い下押し圧力がかかる。ただ今回のロシアの件で、他国に武力侵攻すれば国際社会の包囲網がいかに厳しくなるかを中国は痛感しているはずなので、中国が侵攻する可能性は低下している。3/18日経4/5日経4/20日経

景気後退シナリオ3:「脱成長」経済システムに転換して景気後退
COP26(第26回国連気候変動枠組条約締約国会議)は「産業革命以前から21世紀末までの気温上昇を1.5度以内に抑えることを目指して、努力を追求することを決意」することで合意したが、現在その実現は絶望的な状況にある。各国の2030年時点での目標がすべて達成されても21世紀末までの気温上昇は2.4度になるとされる。そうなれば海面上昇で沈む島国が出て、山火事や巨大台風などの自然災害が多発し、水不足、食糧危機、感染症のリスクなどが増大する。このような未来が科学的に予測されている現状で対策を取らないという選択肢はない。問題の根幹は現在の「成長型」経済システムにあるので、「脱成長」の経済システムに転換する必要がある(1/11日経)。ただ現在の状況で「脱成長」の経済システムに転換すれば景気後退は避けられなくなる。

深刻な景気後退に陥ると、財政問題や福祉問題など目先の深刻な問題が噴出するようになり、それらの問題に対処せざるを得なくなる。そのため経済システムの転換は当分先になりそう。環境危機が目先の大問題に発展したときに初めて転換の機運が生まれるのかもしれない。

もしくはAI・ロボット社会が温暖化問題の打開策になる可能性もある。温暖化の最大の要因は「人の活動」になるが、AIやロボットが進化・普及すれば、世界で数十億人の「無用者階級」が生まれそうなので(『21 Lessons』)、長期的に人が減っていく可能性が高い。そうなれば環境問題は解決するのではないかと思う。

景気後退シナリオ4:災害や紛争で景気後退?
大災害や戦争が起こると景気には強い下押し圧力がかかる。しかし、こうしたことが起こると必ず政府が大規模な支援策を講じるので景気は反発しやすくなる。また一過性の問題が過ぎ去されば景気はV字回復することが多い。一般に、災害や紛争は押し目買いのチャンスといわれる。今回のようなパンデミックも株式市場には追い風で、社会・経済構造の転換や金融緩和などにより、長期にわたる株高が発生しやすくなる。ロイター

ただし日本で南海トラフ地震と首都圏直下型地震が同時に起きた場合は1000兆円規模の損失が発生し、日本は深刻な景気後退に陥る可能性が高い。日経

■今後の計画
円が105円くらいまで上昇したら、3倍以上の値上がりが見込める海外資産を買っていく。ただ馴染みのある海外企業はすべて巨大なので株価の大幅上昇は見込みにくい。無理して買わないようにする。

・米市場に上場している「半導体ETF」、「サイバー・セキュリティETF」。AI・ロボット社会では半導体企業とサイバー・セキュリティ企業の力強い成長が期待できる。基準価額が大きく下げているときに買えば3倍は狙えそう。

・アーク・イノベーションETF。キャシー・ウッド氏が運用する「破壊的イノベーション」企業に集中投資するファンド。ウッド氏は「AI」「ロボット」「ブロックチェーン」「ゲノム解析」「エネルギー貯蔵」の5つのテクノロジーが次の10年で世界を変えると考えている。ただ、氏が投資する企業は、将来性はあっても利益の出ていないところが多く、そのような企業は景気悪化時には財務不安が高まり売られやすい。このファンドは低金利を前提にしたファンドともいえる。このファンドを買うとしたら、景気が底打ちして低金利になったときになる。

・バークシャー・ハザウェイ。ウォーレン・バフェット氏が経営する会社。バフェット氏は投資する会社の将来性だけではなく、キャッシュフロー(利益)も重視しており、組み入れ銘柄は財務の安定性や健全性が高い企業が多い。そのため景気悪化への耐性がある。バークシャーは10兆円を超す手元資金が問題視されていたが、足元の下げ局面では積極的に買いに動いている(5/2日経)。景気回復時には大きな反発が期待できる。問題はバフェット氏が92歳と高齢なこと。持ち前の目利き力でよい後継者を選んでいるとは思うが、氏の能力を引き継ぐのは難しそう。

・米GXOロジスティクス。物流サービスを受託する会社。消費者から不良品や使用済み製品などの返品を受け付ける事業に強みがある。ITを駆使して商品の点検や修理、廃棄や返金といった複雑なプロセスを請け負うので、ただの商品配送よりも付加価値が高くなりやすい。小売業者からの引き合いは強く、参入障壁は高いようなので、長期の成長が期待できる。3/9日経

・アルファベット、アマゾン、マイクロソフト、アップル、セールスフォース。これらの大型株はまだまだ成長しそう。巨大企業だが株価が落ちたところで買えば3倍を目指せるかもしれない。

よさそうな新興国株は、インド株のETF、東京海上インドオーナーズ株式オープン。インドは人口ボーナスで2050年頃までは成長が続きそう。ただ、成長率の高い国はインフレ率も高いので株価が上昇しても為替差損で思ったほど利益を得られないかもしれない。
*GDP成長率とインフレ率は同程度になる。

よさそうな商品は銅。グリーン革命で需要は右肩上がりだが、優良鉱山の減少や環境規制などで供給不足に陥りそう。日経5/16日経

日本円と米ドルが暴落しそうになったら、スイスフランやスイスフラン建てのETF(UBS ETF スイス株 (MSCIスイス20/35))を買っていく。 

■今後の株式市場について
日本や米国の公的債務は返済不可能な水準まで積み上がっており、この巨額の債務を返済するには財政を健全化するか、インフレを起こすしかない。ただ生活者に余裕のない状態で財政を健全化しようとすると逆効果になるので、現実的にはインフレを起こすしかない。

しかし、そのインフレもデジタル化やグローバル化などの影響で起こりにくくなっている。この状態でインフレを起こすには中銀が通貨を大量供給するしかない。現在、政府が大量発行した国債を中銀が買い取る形で通貨を大量供給しているが、この構図は今後もしばらく続く可能性が高い。

このような状態が続くと通貨の価値(信認)が落ちていき、資産価格には上昇圧力がかかる。株式市場はこのような流れで今後、長期で上昇を続けるのではないかと思う。

ただし、このような政策を永遠に続けることはできない。このような政策を続けていると、どこかで必ず通貨の信認喪失が起こる。そうなると通貨安・インフレが加速し、国内からお金が逃げ出し、株式市場は大暴落(中長期では大暴騰?)する。それが起こるタイミングはおそらく、日本の経常収支が赤字に転落したとき(国の借金が民間の貯蓄を上回ったとき)になる。危機は2030年頃に訪れるかもしれない。
日経によると2031年に日本が財政破綻する確率は50%になる。

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