2022年10月1日土曜日

保有株

保有比率の高い順に見ていく。

■ジモティー
基本シナリオ:最強の地元取引プラットフォームに
第2四半期決算で新たなビジネスプランを発表した。そのプランは簡単にいうと、営業組織を設けて「ジモティー」の広告枠を高値で販売していく、というものになる。ジモティーによると、「ジモティー」の広告価値は年60億円以上はあるらしい。

最初に取り組む領域は「アルバイト」カテゴリー。「ジモティー」経由のアルバイト応募数は月約45000件あり、1件当たりの送客価値を3000~5000円とすると、月に約1.8億円、年に約20億円の広告価値を生み出しているという。しかし現状ではそのうち95%が無料送客になっており、このうち半分程度を収益化していく意向。事業はすでにスタートしており、滑り出しは順調とのこと。この事業が軌道に乗れば他の領域にも進出していくという。

「ジモティー」には「地域性」と「アクセス数の多さ」という強みがあるので、一定の顧客は獲得できそう。また求人分野においては、2030年の人手不足が2019年の4倍超(約640万人)まで膨れ上がるという予想もあるので(7/25日経)、当面は強い需要も期待できる。

しかし、このビジネスプランには問題点が少なくとも2つはある。1つは求人1件あたりの応募数になる。求人件数が7000~8000件程度で応募数が45000件の場合は、求人1件あたりの応募数が5~6件になり、2万円程度の広告価値が期待できる。しかし、「ジモティー」に掲載されているアルバイトの求人件数は推定で70000~80000件はあり、この場合、求人1件あたりの応募数は1件にも満たない。つまり求人1件あたりの広告価値は3000~5000円にも満たないことになる。ジモティーはこの広告枠を月2~3万円で売るようなので、少し無理があるようにみえる。

もう1つは、この領域はレッドオーシャンということ。アルバイトの求人プラットフォームは山ほどあり、そこで「ジモティー」が競争優位に立てるとは思えない。「ジモティー」に掲載されている求人の9割以上は「受付終了」になっており、無駄な情報が多い。また他のカテゴリーを使った印象だが、使い勝手が悪い。本気で仕事を探そうとする人は、求人に特化した会社の使いやすいアプリを使うのではないかと思う。

以上をまとめると、ジモティーの新プランはそれほどうまくいかないのではないかと思う。ただ、株価は決算後に出来高をつけて大きく上昇しているので、もしかしたら機関投資家向けの説明会で何か重要なことを言ったのかもしれない(決算説明資料を誤解している可能性もある)。この点に関してはIRに問い合わせてもスルーされるので、しばらく様子を見るしかなさそう。


久々にジモティーを使ってみた。前回使ったとき、気になった点を3点ほど運営部に指摘していたが、1件だけが改善されていた。
前回指摘した問題点は
・無料出品をすんなりできない
・掲載する写真の画質が悪い
・取引途中で掲載情報を変更できる
になる。この中で「無料出品をすんなりできない」だけが改善されていた。ただ、それも中途半端な改善で、ごちゃっとした感じにジモティーらしさが出ていた。

今回「ジモティー」を利用するにあたって感じたのは面倒くささ。そのため出品するタイミングがだいぶ遅れた。何が面倒くさいのか。対面取引だけが原因かと思っていたが、今回使ってみて「無駄な問い合わせの多さ」も原因ではないかと思った。

「あげます・売ります」カテゴリーで取引する場合、取引場所と取引日時は必須事項になるが、出品時の掲載情報に取引日時を入力する欄がない。そのため取引日時の問い合わせがたくさん来る。これにいちいち対応するのが非常に手間。出品に慣れてくれば事前にこういった情報も書き込めばいいわけだが初心者は気づかない。またベテラン投稿者の出品をみても取引日時を記載している投稿は少ない。取引に必須な情報はあらかじめ入力欄を設けておくべきだと思った。この点については運営部に指摘しておいた。

今回はエスクロー決済は使わなかった。手数料が高いというのもあるが、交渉前にいきなり決済されるのがイヤだった。決済後に互いの都合が合わない場合はキャンセルをすればいいわけだが、それもまた面倒だと思った。エスクロー決済が「ジモティー」に導入されてから1年以上たつが、どうしてこういう基本的なところが改善されないのだろうかと思った。

ジモティーアプリを使っていると以前のヤフオクを思い出す。以前のヤフオクは取引毎に住所や氏名、配送方法などの定型情報をいちいち入力する必要があった。ヤフオク運営部には米オークションサイトの「eBay」を見習うように指摘していたが一向に改善されなかった。ヤフオクが変わったのはメルカリが登場してからになる。ジモティーもヤフオクのように、自社の存在を脅かすような競合(お手本)が登場するまでは変わらないのかもしれない。


7/22日経に「ゴールドマンサックスは世界的な消費不況のリスクが高まったとして2026年の世界のデジタル広告市場の成長率を12%程度に下方修正した」とあった。ジモティーの収入源は広告収入なので、今の調子でいけばこのくらいの成長率が上限になりそう。

韓国版ジモティーの「人参マーケット」の時価総額が約2600億円あることがわかった。日本よりも市場が小さいはずなのに、なぜジモティーより時価総額が大きいのか。韓国にはメルカリのような洗練されたフリマアプリがないことが主因だとは思うが、地域SNS事業の存在も大きいのではないかと思う。人参マーケットが提供する地域SNSにはその地域で起こった事件や事故、落とし物や趣味の話まで様々な書き込みがなされ、同じ地域に住む人が情報交換をすることができる(8/1プレジデント)。地域SNSに特化した米ネクストドアも時価総額が1000億円を超えているので、この分野には大きな事業価値があるのかもしれない。

ジモティーの経営理念には「ジモティーの使命は生活の中で生まれる問題を地域の人同士で補い合える仕組みをつくること。地域に存在する情報を隅々までいきわたらせること」とある。この理念に従えば、自然に地域SNSは生まれてきそうだが、そうはなっていない。事業理念はただの画餅なのかもしれない。運営部には一応、この点も指摘しておいた。

8/15日経に「日本の地域SNS「PIAZZA」が都内の学校のPTA機能を代替しつつある」みたいなことが書いてあった。こういう会社に覇権を取られる前にジモティーに動いてほしいと思った。

8/25日経に「環境省は2030年までにリサイクルやシェアリングなど循環経済の関連ビジネスで、市場規模を現在の50兆円から80兆円以上に拡大させる」とあった。ただ「今後10年で金属リサイクル処理量の倍増、30年度に食品ロスの400万トン以下への削減といった取り組みを強化する」とあるので、ジモティーへの影響はそれほど大きくはないのかもしれない。それでもリサイクル機運を盛り上げるのに一役買ってくれそうではある。

ジモティーが八王子市や川崎市と共同運営する官民連携のリユース拠点の活動が環境省の「令和4年度使用済製品等のリユースに関する自治体モデル実証事業」に採択された。採択されると事業に必要な費用や技術の支援が受けられるので、今後の事業拡大が期待できる。

<ジモティーに期待する成長プラン>
1,アプリの無駄を極限まで排し、使い勝手をよくする。→ユーザーと投稿を増やす。
2,地域SNSを作る。→新たな価値を創出する。
3,プラットフォームの基礎ができあがったところでマネタイズ(収益化)していく。

これをすれば大きく成長できると思うが、ジモティーの第1四半期決算説明資料には「高収益・高効率なものにリソースを集約していく」「高収益・高効率な注力事業の選定を含めた、中期経営計画を策定予定」とマネタイズに夢中なように見える。今のメンバーではあまり期待できないのかもしれない。

<グーグルトレンド 過去5年の推移>
ほぼ横ばい。「ジモティー」は株式投資絡みでも検索されるので、ページビューとの相関はそこそこになりそう。


<App Storeランキング>
「ジモティー」は2022年4月頃までは30位前後だったが、7月頃に見たときは15位くらいに上昇していた。現在は21位。

<「ジモティー」の主要カテゴリーの投稿件数>
・売ります・あげます 2022年4月 14860604 →7月 15540651(+680047) →10月 16507035(+966384)
・中古車 891605 →880663(-10942) →899161(+18498)
・アルバイト 1173013 →1029785(-143228) →1175078(+145293)
・正社員 263384 →288632(+25248) →297837(+9205)
・不動産 4746672 →5066025(+319353) →2731414(-2334611)
・メンバー募集 755081 →777596(+22515) →800154(+22585)
・助け合い 381023 →392329(+11306) →409002(+16673)
・イベント 285390 →298778(+13388) →314690(+15912)
・教室・スクール 186931 →190520(+3589) →195454(+4934)
・地元のお店 165633 →170234(+4601) →176953(+6719)
・里親募集 122899 →127698(+4799) →136674(+8976)
*投稿件数は「取引終了分」も含めてカウントされているので、「取引可能」な投稿件数は上記の13分の1くらいになる。

<第3四半期の売上高予想>
まずは前回の予想の振り返りから。第2四半期の予想は、「ページビューが横ばい、広告単価は小幅減、エスクロー決済手数料は3300万円と想定すると、売上高は4億2千万円~4億5千万円になる」だった。

実際は、ページビューは微増、広告単価は小幅減、エスクロー決済手数料は2800万円、売上高は4億4千万円だった。エスクロー決済事業は完全にピークアウトしたもよう。

これらを踏まえて、第3四半期の売上高予想は、ページビューが微増、広告単価は小幅増。自動配信売上は小幅増の3億5000万円、マーケティング手数料(セルフサーブ型広告収入)は微増の8800万円、エスクロー決済手数料は小幅減で2200万円と想定すると、売上高は4億6000万円になる(累計売上高は13.7億円になる)。

今後3年の予想売上高成長率は年率0~15%程度。現在の妥当だと思える時価総額は100億円(株価1650円、PSR5倍)くらい。2030年の予想売上高・利益は現在の2~3倍くらい。


■イントラスト
基本シナリオ:債務保証事業で未収金撲滅
第1四半期決算は予想よりも上振れした。家賃債務保証事業の業績が力強く伸びており、イントラストによると今期は上振れも期待できるという。これまで家賃債務保証の市場はあと数年で飽和状態になると思っていたが、ジェイリースの決算説明資料を読むと、現在の保証利用率は73%程度、市場成長率は年4%程度のようなので、あと10年くらいは穏やかな成長を続けられるのかもしれない。

イントラストの売上高成長率(25%)が市場成長率を大きく上回っている要因は、ソリューション事業(家賃債務保証業務の一部請負)から家賃債務保証に契約がシフトしている分が大きいため。イントラストのソリューション事業の契約はまだ大量に残っているので、しばらく高水準の成長を維持できるのかもしれない。

第1四半期の決算説明で、社長は第2四半期あたりから事業用物件債務保証も始めると言っていたが、まだ始まっていない。足元ではリスクヘッジと審査体制が整い出したのでそろそろ本格的に始めるとのこと。ジェイリースの資料によると、この分野の保証利用率は約20%、成長率は約14%のようなので、本格参入すれば業績の長期拡大が期待できる。ただ足元では企業倒産が増え始めており(7/9日経7/21産業8/16産業9/5日経)、景気後退のリスクも高まっているので、慎重に取り組んでくれればと思う。

医療費用保証がうまくいった場合の業績規模がだいたいわかってきた。イントラストが目標とする日本の病院の約2割(1600~1700)に医療費用保証(スマホス)が導入された場合、売上高は550億円程度になる。現在の導入病院数は74、売上は約4億円であり、現在の導入ペースから目標達成がいつになるのかは検討もつかないが、少し期待したい。

決算説明では2つの新保証商品を開発し、うち1つを近いうちリリースするとも言っていた。これも少し期待したい。

2027年までのイントラストの成長シナリオと業績予想をざっと書いておく。今後2年は家賃債務保証事業が業績を牽引し、24年3月期の売上高は75億円、営業利益は17億円になる。その後は医療費用保証が業績を牽引し、27年3月期の売上高は110億、営業利益は24億になる。この時点での医療費用保証の導入病院数は300になる。*事業用物件債務保証の業績は計算には入れていない。

今後3年の予想売上高成長率は年10~15%程度。現在の妥当だと思える時価総額は180億円(株価800円、PSR3倍)。2030年の予想売上・利益は現在の2.5~3倍くらい。


■ステムリム
基本シナリオ:再生誘導医薬でテンバガー達成
200億円超の資産を持つ大物個人投資家がステムリムの大量保有報告書を出した。その投資家の本業は医師のようなのでステムリムの薬剤は有望なのかもしれない。

創業者の玉井克人教授が取締役に就任することがわかった。教授は研究だけでなくビジネス面でもヤル気が出てきたのかもしれない。良い兆候と捉えたい。

今後のイベント
・変形性膝関節症の第2相治験結果が2023年の2~4月頃に出る。
・慢性肝疾患の第2相治験結果が2023年の4~6月頃に出る。
・脳梗塞(急性期)の第3相グローバル治験が2023年ごろに始まりそう。
・表皮水疱症の第2相・追加治験の結果が2023年の終わり頃にわかりそう。

表皮水疱症の遺伝子治療の研究も順調に進んでいるもよう。この研究がうまくいけば、他の分野にも応用が利きそうなので、この調子でいってくれればと思う。

今後3年の予想売上高成長率は年率0~20%程度。業績が急拡大するのは早くて2年後。現在の妥当だと思える時価総額は600億円(株価1000円)くらい。2030年の予想利益は30~500億円くらい。


■今後の計画
インフレが落ち着くまで静観する。ただし米VIXが40超、騰落レシオが70以下になった場合は買っていく。株価が下げたときに買えるように銘柄のリストアップ・調査をしていく。

米国が景気後退に陥る確度が高まったら米ドルを売っていく。

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