2023年7月1日土曜日

マクロ系金融指標

市場の仕組みを理解しやすい順番で見ていく。

■米10年金利
今後1年の予想レンジ:2.0%~3.8%の間で推移

米長期金利に与える要因を、影響の大きい順にみていく。
・経済成長率+インフレ率↑
長期金利の基準値は経済成長率+インフレ率になる。2023年の米GDP成長率は+1.4%程度、米インフレ率は+4%程度になる。

・金融政策↓
FRBはインフレ対策として2022年3月から金融引き締めを始めており、2023年10月頃まで続ける予定。2023年末の政策金利は5.25~5.75%になる予定。
*政策金利が中立金利(2.4%)を超えると、景気(長期金利)には下押し圧力がかかる。

FRBは国債などの保有資産を年1.1兆ドル(約150兆円)のペースで売却している。今後2年間そのペースで資産を売却していくと、長期金利には1%程度の上昇圧力がかかる。日経日経

・リスクオン・リスクオフ↑
インフレ高止まりや金融引き締め、金融機関破綻などのリスクオフ要因もあるが、足元では利上げ停止期待や米経済のソフトランディング期待などによりリスクオン気味。

・米国債の人気上昇→
米長期金利は海外の主要先進国の長期金利よりも相対的に高いので、海外勢から買われやすい。2022年の買越額は約100兆円と過去最大になっている。日経

ただ、米金利上昇により為替ヘッジコストは上昇しており、日本では米国債利回りから為替ヘッジコストを差し引くと利回りがなくなってしまう。そのため日本の一部の金融機関は米国債から日本国債に資金をシフトしている。日経

海外勢の中で最も米国債を保有する中国は米中対立により米国債の保有を減らしている。日経

そもそも論になるが、海外の高利回り国債は購入しても最終的には為替で価値が調整されてしまうので、買ってもそれほど利益は出ない。ヴェリタス

・資金需要の低下、金余り↓
第4次産業革命の主役はデジタル企業になるが、デジタル企業は設備投資のための資金需要が少ない。少子高齢化の影響で借り入れ需要も減っている。

金余りで運用難に陥っている米金融機関や米企業は多く、そういうところがこぞって米国債を買っている。日経日経

・潜在成長率の低下↓
生産性の伸び悩みなどで潜在成長率は低下傾向にある。

・財政赤字の拡大↑
米国の財政赤字は毎年100兆円を超えているので、米国債の供給増や通貨の信認低下により、長期金利には上昇圧力がかかっている。

・チャート↓
<10年チャート> 高値圏で変動が激しくなっているので(振れ幅が大きくなっているので)、いつ下落してもおかしくない。



■WTI原油
今後1年の予想レンジ:60ドル~100ドルの間で推移

原油価格に与える要因を、影響の大きい順にみていく。
・需要→
原油の需要は世界経済成長率にほぼ連動する。2023年の予想世界GDP成長率は2.9%になる。ただ世界的な金利引き上げにより(6/30日経)、成長率が下振れする確率が高まっている。

長期では、再生可能エネルギーの増加や学校・職場のリモート化などにより石油需要が減少する可能性が高い。仏トタルや英BPは2030年頃に石油需要がピークアウトすると予想している(ヴェリタス日経)。

一方で、世界人口増や再生エネルギー開発の滞りなどが原因で石油需要が増えるという見方もある。米エネルギー情報局(EIA)は2050年の石油需要が2020年比で4割増になると予想している(日経)。

・供給→
OPECは1バレル90ドル前後の水準を維持することを目的に減産に動いている(日経日経6/6日経)。米国のシェールオイルは増産ペースが鈍い(日経)。

ロシアやイラン、ベネズエラは生産を増やしている。6/15日経

長期では、脱炭素の潮流を受けて油田開発投資が大きく減少しており(日経)、再生可能エネルギーの普及には時間がかかるので、供給不足に陥る可能性がある。

・産油国で不測の事態が起こる↑
中東では石油施設へのテロ攻撃が度々起きている。日経

*石油(エネルギー)は人間にとって食料と同じ生活必需品のため、わずかでも不足が生じると価格が跳ね上がりやすい。

・産油国、産油企業、再生可能エネルギーの採算ライン→
サウジアラビアとロシアで財政均衡に必要な原油価格の水準は1バレル80ドル、アラブ首長国連邦(UAE)とイラクは75ドル(日経)、米産油企業の採算ラインは45~70ドル、再生可能エネルギーは30~80ドルになる。原油価格はこの範囲内に収まりやすい。

・リスクオン、オフ↑
ややリスクオン気味。
*原油は株式と同じリスク資産なので、リスクオフ時には売られやすい。

・インフレ対策↑
原油などの商品はインフレヘッジ手段になる。足元ではインフレ対策としても買われている。

・為替↓
原油はドル建てのためドル高になると原油価格に下押し圧力がかかる。足元ではややドル高基調。

・チャート→
<10年チャート> 下げ止まりつつある。60ドルくらいが底になりそう。



■ドル円
今後1年の予想レンジ:115円~150円の間で推移

為替に与える要因を、影響の大きい順にみていく。
・日米金利差↑ (↑は円安方向、↓は円高方向)
<短期金利>
日米の金融政策の違いから、日米の短期金利差(政策金利差)は5%くらい開いている。金利差の拡大は10月頃まで続く可能性がある。ただ日銀は円安の流れを止めるため、政策金利を引き上げる可能性もある。

金利差拡大によりキャリー取引が増えている。
*キャリー取引とは金利差を狙った取引。短期金利差が大きくなると低利通貨を売り、高利通貨を買って、金利差で収益を得る取引が盛んになる。市場が荒れ始めると金利収入以上の為替差損を抱えるリスクが増すので、手仕舞われやすくなる。

<長期金利>
米10年金利は高インフレと政策金利の引き上げにより3.8%まで上昇している。一方、日本の長期金利は金融緩和などの影響で0.4%程度で停滞している。ただ足元では日米のインフレ率が逆転しそうなので、長期金利差は徐々に縮まっていくかもしれない。6/17日経6/23日経

・日本の経常収支↓
円安や資源高、産業競争力の低下(5/12日経)などにより、22年度の貿易赤字は過去最大の約19兆円になった(経常収支は9兆円の黒字)。2023年は所得収支の黒字が増えて貿易赤字が減りそうなので、経常黒字は拡大しそう。5/31日経

・米国の経常収支↑
米国は経済が強いので経常収支は改善傾向にある。

・リスクオン、オフ↑
リスクオン気味。

・日米の経済の強さの違い↑
資金は経済の強い国へ流れ、その国の株式や債権、不動産などが買われる。デジタル革命を主導する米経済は相対的に強いのでドル資産が買われやすい。
*日本の個人投資家は2021年に海外株を8兆3千億円買い越しており、その9割程度は米国株になる。同年の日本株の買越額は280億円になる。日経日経

・日本企業の対外直接投資↑
国内需要はほぼ頭打ちなので、日本企業は海外での直接投資を増やしている。ここ数年は年12~22兆円の買い越しが続いている。

・国内投資家の対外証券投資→
日本の機関投資家は国内の超低金利で運用難に陥っているので、高い運用利回りが見込める海外債権や株式などを買っている。個人投資家は成長力の高い海外株を積極的に買っている。ここ数年は両者合わせて年10兆円超の買い越しが続いていた。ただ最近ではドル調達コストの上昇などにより機関投資家の海外証券投資は大幅に減っている。生保に限っては2022年に11兆円売り越している。日経日経

・海外投資家の国内証券投資↓
円調達時の上乗せ金利(ベーシススワップ)が低く、日本国債の金利は安定しているため、ここ数年、海外投資家は日本国債を年10兆円程度のペースで買い越している。日経日経

・FX投資家の持ち高 ー
FX投資家(個人投資家)の月あたりの取引規模は約1000兆円(うちドル円取引は約800兆円)に拡大しており、東京市場での取引の約半分を占めている(ヴェリタス日経)。2022年10月頃までは個人が大きく買い越しており、円安が進むとみていた。現在は不明。

・投機筋の持ち高↑(「円 投機的ネットポジション」で検索)
投機筋は円を大きく売り越している。円が下落するとみている。
*ドルを売り持ちした場合はスワップポイント(金利差分)を支払わなければならないので、ドル売りが長く続くことは少ない。
*スワップポイントはドル買い時よりもドル売り時の方が高く設定される傾向がある。例えば、日米短期金利差が約3%あった2022年9月にドルを1万ドル買った場合、1日の金利差収入は92円くらいになるが、ドル売った場合は金利差損失が1日159円くらいになる。日経

・ドル需給↑
FRBがドルを大量供給しているのでドルはだぶつき気味だったが、量的引き締めやウクライナ紛争などによりドルの需要が高まっている。

購買力平価
物価が上がると(インフレが進むと)、物やサービスを買うときにより多くの額のお金が必要になるが(購買力は下がるが)、物価が下がると(デフレが進むと)、物やサービスを買うときにより少ない額のお金しか必用なくなる(購買力は上がる)。この物価変動に着目して二国間の通貨価値をならしたものが購買力平価になる。

インフレ率は日本より米国の方が慢性的に高いので円の購買力平価は長期的な円高傾向にある。ただ米国のインフレ率は年々低下しており日本のインフレ率との差が縮まってきているので、購買力平価の下降曲線はなだらかになってきている。

現在の購買力平価(企業物価)は90円になる。為替相場は長期的にはこの値に収斂していくので、円の下限は70円、上限は110円くらいになる。

・日銀が保有する日本国債の値下がり↑
日銀が1%程度の金利上昇を許容するような金融政策を行った場合、日銀は債務超過に陥る可能性が高い。日銀は国債について満期保有を前提とした会計処理を採用しており、債務超過になっても日銀は自ら通貨を発行できるので資金繰りに行き詰まることはないが、円に対する信用は落ちる。
*日本経済研究センターは日銀が長短金利操作を撤廃した場合、長期金利が1.0%程度まで上昇すると予想している。日経
*日銀は長期金利が1%に上昇した場合は日銀が保有する国債に28兆円、5%に上昇した場合は108兆円の含み損が生じると試算している。日経

・日銀が保有するETFの簿価割れ→
日銀の自己資本は約10兆円なのに対し、保有する日本株ETFは簿価で約35兆円ある。日銀の保有するETFの損益分岐点は日経平均株価21000円くらいであり、日経平均株価が15000円台まで下がると日銀は債務超過に転落する(日経)。ただ現時点でそこまで下がる可能性は低い。

・米制裁によるドル離れ↓
米国は対立する国に「ドル取引の制限や禁止」といった金融制裁を課すことがある。現時点で米国はロシアやイラン、トルコ、中国などに金融制裁を課しており、これらの国は米国債の保有を大きく減らしている。今のところドル離れは一部に留まっているが、今回のロシアへの制裁(ロシア中銀が保有するドル資産凍結)をきっかけに、ドル離れが加速する可能性がある。日経日経

・日本政府の過剰債務↑
日本政府の債務は返済不可能な水準まで膨れ上がっており、2030年頃には臨界点に達し円の暴落が起きる可能性がある。米国も返済不可能な水準まで債務は積み上がっているが経済が強く、ドルは基軸通貨なのでドルの暴落は起きにくい。

・キャピタルフライト↑
日本は財政問題や経済低迷などの問題を抱えているため、日本人は円資産を海外資産にシフトし始めている。国内の家計の預貯金は約1100兆円あり、その1%(11兆円)でも海外に向かえば円相場へのインパクトは大きくなる。

・為替介入→
2022年9月に政府・日銀が円安を食い止めるために為替介入を始めた。ただ規模が小さく、海外と連携した協調介入を行っているわけでもないので(日経)、影響はほとんどない。

・チャート
<10年チャート> 再び上昇基調に。Wトップになりそうな雰囲気。


<前回の予想が外れた原因>
前回の予想は「110円~135円の間で推移」だったが、現在1ドル144円と予想より大幅に円安に振れている。

外れた要因は、短期金利の影響を見落としていたことになりそう。これまで為替には長期金利のみが影響すると考えていたが、短期金利の影響も大きいとわかった。日本と海外の短期金利差はまだ広がりそうなので、円は150円くらいまで下落するかもしれない。



■日経平均
今後1年の予想レンジ:27000~36000円で推移

日経平均に与える要因を、影響の大きい順にみていく。
・金融政策→
世界の中銀の総資産と世界の株価指数はほぼ連動している(日経)。現在中銀は資産を売却し始めているが、2022年の10月ごろからは日本、欧州、中国の中銀が資産を増やしている。日経

・金利↓
金利が上がると、株式から債権へ資金が流れやすくなる。現在、金利は高水準にある。

金利上昇により金融機関が保有する債券の含み損が膨らんでいる。一般に、金融機関の含み損率が高まると株式などのリスク資産投資が減少するとされる。日経日経日経

・為替↑
円安が進むと海外勢は日本株を買いやすくなる。現在、円の価値は過去最低水準にある。6/25日経6/17日経

・需給↑
海外勢の売り玉はなくなりつつあり(6/9トウシル)、日本企業の自社株買いは活発なので、日本株は下がりにくい。大きく下げたときは日銀が買い支えてくれる。

主な投資主体の売買動向
<2023年の予想と現状>
日本銀行:買い支えで1兆円の買い越し。現状は1400億円の買い越し。
事業法人:自社株買いで5兆円の買い越し。現状は1.6兆円の買い越し。

*東京証券取引所は日本株の魅力を高めようと、上場企業に資本効率を改善するように働きかけている。特にPBR1倍割れの企業には圧力をかけており、その状態が続くなら上場廃止もいとわないという姿勢を見せている。その甲斐あって、1倍割れの企業は自社株買いなどを実施し、資本効率を高めている(5/17日経)。今年の日本企業の自社株買い取得枠設定は過去最速ペースになる。6/9日経

海外投資家:日本企業の資本効率改善期待や中国株からのシフトなどにより4兆円の買い越し。現状は4.6兆円の買い越し。
個人投資家:逆張り投資で1兆円の売り越し。現状は3兆円の売り越し。

・EPS(1株利益)↑
日経平均株価は基本的にはEPS(1株利益)× PER(期待度・人気度)で決まる。2023年の予想EPSは0~10%になる。
ーーーーー
EPSに影響を与える外部要因をみていく。
・為替→
日本企業は海外で収益の6割を稼ぐので為替相場の影響が大きい。今は円安気味なので利益は増えやすそうではあるが、輸入価格が高騰しており、この分を価格転嫁できなければ利益はそれほど増えない。現在は物価上昇分を価格に転嫁しきれていないので、円安の恩恵をあまり受けられていない。

・海外景気→
日本企業は海外で収益の6割を稼ぐので海外景気の影響を大きく受ける。足元の世界景気は比較的堅調だが、今後は徐々に停滞していきそう。

・失業率↓
失業率が低下すると賃金が上昇して企業収益を圧迫する。労働量力不足で成長が頭打ちになりやすい。現在の失業率は最低水準にある。

・減価償却費や資源価格↑
減価償却費や資源価格(原材料費)が上昇すると利益が圧迫される。足元では減価償却費は横ばいで、資源価格は下落している。

・金融政策→
金融引き締めで金利が上昇すると企業の利益や資金調達環境は悪化する。今は世界中で金融引き締めをしているが、日本では緩和を続けている。
ーーーーー

・PER(期待度、リスク選好度)→
日経平均の過去のPERは11~17倍くらいだが、現在のPERは15.倍29と比較的高い水準にある。これは日本企業の上方修正を織り込んでいるため。

・リスクオン、リスクオフ ↑
リスクオン気味。

・株式利回り↑
東証プライムの益回りは約6.39%、配当利回りは約2.22%と、日本の10年国債の利回り0.39%より高いので、株式に資金が流れやすい。

投機筋の持ち高
買い残は1兆5100億円で、裁定売り残高は732億となっている。投機筋は日本株が上がるとみている。

・個人投資家の流入↑
日本の家計が抱える預金・現金は約1100兆円あり(日経)、コロナ禍の「巣ごもり」や「老後2000万円問題」などの影響で株式市場に個人投資家が流入している。

・パッシブ運用の膨張↑
パッシブ運用にはストック効果(積み上げ効果)があるので、この運用が増えると株価は下がりにくくなる。現在、投信やETFでパッシブ運用の比率が高まっており、世界では44%、日本では73%まで高まっている。日経日経

・チャート↑
<10年チャート> 出来高をつけて新高値を更新。力強い上昇トレンドにみえる。


<前回の予想が外れた原因>
前回の予想は「今後1年の予想レンジ:22000~28000円で推移」だったが、現在の株価は33200円。大きく外れた。外れた要因を考えていく。

1つ目は、もともとこの数値にはあまり興味がなかったため。数字をただコピペしていただけだった。上記のファンダメンタルズを考慮すれば、需給的に株価が下がりにくいことはわかった。ただそれを踏まえても、予想は25000~29000円くらいで、29000円を超えて大きく上昇するとは思わなかった。

2つ目は、東証の資本効率改善要求のインパクトの大きさに気づかなかったため。企業は資本効率を改善するために大規模な自社株買いや還元策を実施しており、それで株価が大きく上昇した。この資本効率改機運は今後もしばらく続く見込みで、もしもPBRが欧米並みの2倍近くまで高まれば日経平均は4万2000~4万8000円になるとも言われている。6/24ヴェリタス6/15日経

3つ目は、企業業績がこれほど改善するとは思わなかったため。しかし実際はコロナが収束して、インバウンドが復活し、個人消費や設備投資も大幅に回復した(6/23日経)。企業の値上げの成功や資源価格の下落なども企業の利益を押し上げた。5/17日経6/15日経6/24ヴェリタス

4つ目は、海外勢の爆買いを予想できなかったため。日本経済は海外経済と比べると比較的堅調で買いやすかったもよう。円の価値が過去最低水準まで落ちていたのも日本株の魅力を高めた。実質金利の低下についてもしかり(5/19日経)。企業の資本効率改善や経営改革への期待など、日本独自の材料もあった。6/9日経5/17日経6/17日経6/5日経

中国株の代わりとしても買われていた。中国では景気停滞リスクや地政学リスクなどがあり、日本株は比較的安全な代替投資先として選ばれていた。5/22日経6/21日経6/14日経6/18日経

5つ目は、リスクオンになったため。過剰流動性が維持されている状態で、米経済のソフトランディング期待が高まり、一気にリスクオンに傾いた。6/17日経6/17日経

今後はどうなるか。世界景気の鈍化により企業業績は伸び悩みそうだが、企業の資本効率改善や中国株の代替投資という構造要因は残るので、日経平均株価は比較的堅調に推移しそう。


■東証グロース指数(旧マザーズ指数)
今後1年の予想レンジ:900~1350の間で推移

東証グロース指数に与える要因を、影響の大きい順にみていく。
・金融政策→
東証グロース指数は中銀の総資産との相関が全市場の中で最も高いので、中銀の資産縮小時には真っ先に売られやすい。
グロース指数はすでに緩和前の水準まで売られているので底を打ったように見える。

金利の上昇も小型グロース株には逆風になる。金利が上昇すると将来の成長期待を買われている小型グロース株はバリュエーションが低下しやすくなる(詳細は後述)。また小型グロース企業には赤字企業が多く、金利上昇時には成長資金を調達しにくくなる。
日本では金利がほとんど上がっていないので、この影響はほとんどなさそう。

・需給↑
グロース市場は日銀の買い支えがなく、自社株買いもあまり期待できないので、相場下落時は下げ止まりにくい。ただ海外投資家は売り尽くした感があるので(ヴェリタス日経)、売り圧力はそれほどなさそう。足元では買いに回り始めたような雰囲気もある。個人投資家の含み損は解消されつつあるので(松井証券)、個人の買いも少し期待できる。

・EPS(1株利益)成長率 ー
不明。

<グロース市場の反転シグナル>
信用評価損益率の急激な悪化は一つの反転シグナルになる。信用評価損益率が急激に悪化して、追い証回避の投げ売りが殺到すると、信用取引での買い持ちが急減して需給が軽くなる。過去の例では、そのタイミングで海外投資家が買いに転じるパターンが多い。

2007~2009年の金融危機では、2007年12月に信用評価損益率が-30%を超え、そこから約1年5ヶ月にわたってマイナス幅が30を超えていた。この間にマザーズ指数は900台から300近くまで落ちている。当時も今も金融引き締めなど、似たような状況であり、このような前例を踏まえると、東証グロース指数の停滞はもうしばらく続くのかもしれない。ヴェリタス

<マザーズ指数の10年チャート> 上昇トレンドに転換したように見える。1000円くらいが天井になりそう。

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