2026年1月1日木曜日

セキュア(4264)

 ■調べようと思ったきっかけ

投信の月報を見て。
株価に過熱感はなく、業績の伸びしろは大きそうで、時価総額が87億円(当時)と小型なところに魅力を感じた。今期は下期偏重の業績予想のため、上期の数字は冴えないが、むしろその一時的な低調さに「仕込みどころ」としての妙味があると思った。


■どんな会社か
AIを活用したセキュリティカメラシステムを提供する会社。

物理セキュリティ分野は、ハードウェアとソフトウェアの両立が求められるため、導入難度が高い。セキュアはその両面に精通し、設計から導入・運用・保守までをワンストップで提供できる点に強みがある。

導入先は、オフィス、商業施設、工場、倉庫、データセンター、学校、病院など幅広く、累計導入社数は1万3,000社超。顧客は中小企業から大手企業まで多岐にわたる。


■事業概要

主な事業は以下の4つ。 

1.入退室管理システム「SECURE AC (Access Control)

顔認証を中心とした非接触型の入退室管理システムを展開。従来のカードキーや暗証番号方式と比べ、「触れない・持ち歩かない・かざさない」という高い利便性とセキュリティ性を両立している。

AIによる画像認識精度の向上、スマートフォンの顔認証普及、コロナ禍以降の衛生意識の高まりを背景に、顔認証システムは急速に普及している。

同社はこの分野で2020年以降トップシェアを維持しており、現在の市場シェアは約50%に達する。

202412月期の売上構成比は約28%、前年比成長率は+18%になる。

2.監視カメラシステム「SECURE VS(Video Surveillance)

AIカメラを用いた防犯・監視システムを提供。防犯用途にとどまらず、動線分析やマーケティング活用など、付加価値の高い用途への展開が進んでいる。主な導入先は、ドラッグストア、コンビニ、データセンター、物流センターなど。

監視カメラは5~7年周期でのリプレース需要が見込まれ、更新案件による安定的な売上も期待できる。

202412月期の売上構成比は約62%、前年比成長率は+9%になる。

3.映像解析クラウドサービス 「SECURE Analytics

AI画像認識を活用し、混雑度、動線、作業安全管理などを可視化するクラウド型サービス。レジレス店舗の開発にも注力しており、引き合いは着実に増加している。

2024
12月期の売上構成比は約4%、前年比成長率は+40%になる。

4.施工・管理サービス「SECURE ES(Engineering Services)

システム施工や保守・管理を担う子会社による事業。高度な工事ノウハウを有し、セキュアの統合実装力を支える基盤となっている。

202412月期の売上構成比は約6%。前期の大型案件の反動により約25%減収だったが、過去4年間では横ばい傾向を維持しており、今後は案件増加に伴い、増収の見込み。

■ 販売体制
販売は、自社による直販と販売パートナー経由の2チャンネル体制。

売上の約9割はパートナー経由であり、ALSOK、イトーキ、リコーといった大手企業が主要パートナーとして全国をカバーしている。手数料負担は発生するものの、大型案件の獲得や地域対応力の高さにつながっている。

なお、パートナー企業であるALSOKやセコムなどの警備大手もセキュリティカメラシステムを提供しているが、AIソフト開発力は限定的で、既存システムはやや旧式。セキュアはそれらの点で差別化を図っている。

■業績推移と収益構造

決算期

売上高

 営業利益

 営業利益率

2019/12

17億円

 ▲0.5億円 

 —

2020/12

28億円 

 0.3億円

 1.1%

2021/12

33億円

 1.5億円

 4.5%

2022/12

33億円

 ▲1.7億円

 —

2023/12

52億円

 1.8億円

 3.5%

2024/12

62億円

 約3.0億円

 約5%

2025/12(予)

70億円

 約4.0億円

 約5.7%

売上高は中長期的に見て着実な拡大基調にある。特に2023年以降は、大型案件の獲得や需要回復を背景に成長率が再加速している。

利益面では、2022年に一時的な赤字を計上したものの、その後は黒字基調に回復。収益構造の改善が進み、営業利益率は足元で5〜6%台まで向上している。

収益源は、導入時のフロー型収入と、保守・運用・SaaSによるストック型収入になる。両者の比率は非開示だが、売上構成や粗利などから推定するとおそらくフロー:ストックは73くらいの割合になる。


■成長ストーリー

基本シナリオ:セキュリティカメラを「知能化」するSIerとして業界トップに
(※SIer=システムインテグレーター)

従来のセキュリティカメラは、防犯や事故発生時の証拠映像の取得が主目的だった。しかし近年は、画像認識技術の進化により、顔認証や行動解析といった機能が高度化し、業務効率化やマーケティング活用にも貢献する存在へと進化している。

セキュリティカメラの役割が「守る」から「活かす」へと変化する中で、市場は拡大を続けている。セキュアはこの構造変化を追い風に、ハードとソフトを統合した“知能化セキュリティ”の提供を強みとし、顧客ごとに最適化されたソリューションを提供するリーディング企業として、持続的な成長を目指している。

成長戦略1.既存ビジネスの拡大

セキュアは現在、4つの事業領域を展開しており、いずれも安定的な需要拡大が見込まれる。今後もセキュリティカメラの多目的利用ニーズは拡大すると想定されており、同社は以下の施策により成長を取り込む方針。

①パートナー戦略の深化
主要販売パートナーの成功事例やノウハウを他パートナーと共有し、受注率を高める。さらに新規パートナーの発掘・育成を進め、案件獲得力の底上げを図る。

②直販体制の強化
全国10拠点のネットワークを基盤に、来期は人材開発センターを新設する。セールス人員を早期に100名体制へ拡充し、高度化・大型化する顧客ニーズへの対応力を強化する。

③ソフトウェア開発の強化
マスク着用時や屋外環境下でも高精度な顔認証を可能とする技術開発を進める。また、勤怠管理、不正検知、各種データ分析など、他システムとの連携を深めることで、付加価値の高い統合ソリューションを提供する。

成長戦略2.分析SaaS領域への展開

映像データを活用した店舗・商業施設向けの分析SaaSを成長ドライバーとして育成する。カメラ映像を解析し、混雑度、滞在時間、動線などを可視化することで、経営改善やマーケティング支援につなげる。

人手不足が深刻な小売業界に対しては、「AIストア(ウォークスルー型店舗など)」の導入を提案。現在は実証実験段階を経てソフトウェア精度は実用水準に達しており、今後はコスト面の課題が解消され次第、本格的な普及フェーズに移行すると見られる。

成長戦略3.M&A・海外展開の推進

M&Aや資本提携を通じ、サービス品質の向上と経営効率化を進める。20252月にはバッファローと業務資本提携を締結。来期は両社合計で年間3億円超のコスト削減効果を見込む。今後は協業を通じて、新たな製品・サービス開発にも取り組む方針。

海外では、需要が拡大する東南アジア市場を中心に展開を模索。一部地域ではすでにサービスを提供しており、韓国子会社では、クラウド型サービス事業を展開している。 

これらの戦略を軸に、年率20%前後の売上成長と、営業利益率10%を目指す。


■成長余地

国内のセキュリティカメラ市場は年率約5%で拡大を続けており、特に顔認証分野では年10%超の成長が見込まれている。さらに、映像分析SaaS分野では年率30%を超える伸びが期待される。

セキュリティカメラ市場全体の規模は現在約1,800億円。これに対し、セキュアの今期売上高予想は約70億円にとどまっており、市場全体に対して依然として小規模であることから、拡大余地は極めて大きい。

 世界のセキュリティカメラ市場規模は約3.5兆円に達し、成長率は年約10%。中でも、東南アジアや南米、アフリカなどの新興国では都市インフラ整備が進行中であり、今後、大規模な監視・安全管理プロジェクトの立ち上げが相次ぐ見込み。セキュアにとって、こうした地域は中長期的な成長ドライバーとなり得る。


■リスク・問題点

1.競争激化リスク

セキュリティカメラ市場の参入障壁は比較的低く、競争は年々激化している。主な競合は以下の通り。

・ハイクビジョン(中国)
世界最大手のセキュリティカメラメーカー。高性能・低価格を武器に圧倒的な競争力を持つ。一方、中国政府系資本であることから情報漏洩リスクが指摘されており、日本国内では大規模普及の可能性は限定的。

・NEC
顔認証精度は世界最高水準。ただしコストが高く、主にハイエンド市場向け。性能面では優位だが、汎用市場でのシェア拡大は難しい。

・新興企業
安価かつ高精度な顔認証ソフトを開発するスタートアップも存在する。ただし、施工・保守まで含めた一貫対応が可能な企業は少なく、大規模案件には不向き。

・セーフィー
クラウド特化型で国内では圧倒的なシェアを持つ。レコーダーや専用モニターが不要で、初期費用・メンテナンスコストを大幅に削減できるほか、API連携によりSaaS的なスケールを実現している。

一方、クラウド特化型は、大規模・長期録画案件ではランニングコストの増大、通信遅延、サイバーリスクといった課題を抱える。このため、オンプレミスとクラウドを組み合わせたハイブリッド型が主流となっており、セキュアはこの分野で高い統合力(SI力)を有する。

なお、セキュアのクラウド比率は5%未満(「SECURE Analytics」は100%)にとどまる。

2.ストック収入の脆弱さ

売上の大半がオンプレミス型の初期導入収益(フロー収益)に依存しており、保守・運用・SaaSによる継続課金(ストック収益)はまだ小さい。そのため、受注状況によって業績変動が大きくなりやすい。

3.情報開示の不十分さ

受注残やストック売上(MRR/ARR)、解約率といった重要KPIが非開示のため、収益の安定性が見えにくく、企業価値評価が難しい。

また、累計導入企業数のカウント方法が不明瞭で、開示資料間で数値が整合しない点は、株価ディスカウント要因となっている可能性がある。


4.為替変動リスク

 主要ハードウェアの多くを海外から調達しており、円安時には原価上昇が直接収益を圧迫する。粗利率は約40%にとどまり、ハード・施工コストの比率が高いため、為替感応度が高い構造となっている。足元の円安基調は、利益率に対して逆風となる。

5.提案の中立性リスク

セキュアは「1000種以上のハードから最適構成を提案」としているが、実際には正規代理店である韓国IDIS製品および大株主バッファロー製品の採用比率が高いとみられる。

自社利益を優先した構成となれば、顧客最適性を欠き、信頼を損なうリスクがある。

 なお、IDISは世界シェア10〜15位圏の中堅メーカーで、ハイクビジョンのようなバックドアリスクは小さい。価格競争力に加え、完全統合型の映像ソリューションを提供できる点に強みがある。


6.レジレス店舗領域の不確実性

レジレス店舗の社会実装は進むものの、採算化には課題が多い。Amazon Goや中国大手も店舗閉鎖を繰り返しながら試行段階にある。こうした中で、セキュアのようなスタートアップの取り組みが事業化まで到達し、競争力を保てる可能性は高くはない。

もっとも、カメラ認識型アプローチで国内先行しており、「テック・スーパー」開発を進めるトライアルHDと一部事業で協業しているので、一定の成功余地は残されている。11/3日経11/8日経


7.ソフトウェアの低付加価値化

生成AIの進化によりソフトウェア開発の難易度は低下し、単体ソフトの差別化は今後さらに難しくなると考えられる。

ただし、セキュアはハードウェア、施工、運用を含めた統合提案力(SI力)を強みとしており、統合ソリューション需要の拡大とともに成長できるポジションにある。

また、小資本企業である同社にとって、開発の民主化は競争激化という側面を持ちつつも、大資本企業との技術格差を縮める追い風として働く可能性がある。

8.人手不足・離職リスク

202412月期の決算説明資料によると、セールス人員の採用は当初計画を下回り、離職率も約13%とやや高水準だった。物理セキュリティ事業では、顧客環境に合わせた提案力と専門知識が不可欠であり、人材確保の遅れは成長鈍化に直結する。

ただし、セキュアもこの課題を認識しており、今期は教育・採用・人事制度の見直しを進めている。11月の3Q時点では、セールス人員は+15名、離職0と改善傾向を示している。


9.情報漏洩・サイバー攻撃リスク

生成AIの悪用により、ハッキング手法が高度化している。セキュリティ関連企業が被害を受けた場合、ブランド毀損や受注減少につながるおそれがある。もっとも、セキュアは大量の機微な個人情報を多く保有していないため、被害の影響度は相対的に限定的とみられる。


10.法規制リスク

欧州では、プライバシー保護の観点から、公共空間での顔認証利用が禁止されている。また採用面接での感情分析も規制対象となっている。EUが2024年に施行したAI法では、職場や教育現場における感情推測AIの利用が原則禁止された(医療・安全目的は例外)。

今後、同様の規制が他地域に拡大すれば、顔認証分野の普及ペースが鈍化する可能性がある。

もっとも、セキュアの主要顧客は企業(BtoB)であり、また面接分野の顔認識は手がけていないので、現時点での影響は限定的になる。日本では明確な法規制が未整備であり、今後のルール形成の動向には注視が必要となる。


■ビジネスモデルの強度 ★★★☆(3.8

・参入障壁の高さ ★★★☆

セキュリティカメラ市場そのものの参入障壁は高くない。しかし、AIソフトウェアとハードウェアを統合する実装ノウハウや、全国規模の販売・施工ネットワークを構築する難度は高い。

セキュアは、1万3,000社超の導入実績を通じて、業種・用途ごとに最適化された標準仕様や運用ノウハウを蓄積してきた。これらは、単なる技術的優位性(顔認証精度など)を超えた実務レベルでの参入障壁となっており、新規参入企業が短期間で模倣することは難しい。

・ストック型ビジネスの度合い ★★★

セキュリティカメラ・システムは、一度導入されると入れ替えコストが高く、顧客が長期にわたり継続利用しやすい構造を持つ。そのため、保守・運用サービスやSaaSといったストック型収益を積み上げやすい土壌は整っている。

ただし、現状のセキュアは売上の大半を初期導入時のフロー収入に依存しており、ストック収入の割合は限定的になる。

 

・時流との適合度 ★★★★★

AIを活用した顔認証入退室管理や「知能化」セキュリティカメラは、防犯 × DX × 労働力不足対応という複数のメガトレンドが重なる領域に位置している。

さらに、レジレス店舗や無人化ソリューションの普及も追い風となっており、セキュアの事業方向性は中長期的な社会変化と高い親和性を持つ。



■業績予想と株価評価

今期業績の会社計画は売上高70億円、営業利益4億円。

ブログ予想もほぼ同水準であり、バッファローとの提携によるコスト削減効果により、営業利益が約0.5億円程度上振れする可能性はあるものの、円安による原価上昇や人材投資・開発投資の拡大によるコスト増によって、最終的には相殺される見込みと考えている。

今期3Q決算のブログ予想は、売上高52億円、営業利益は2.6億円。

来期業績のブログ予想は、売上高82億円(前期比+18%)、営業利益7億円(+80%)、純利益5.5億円(+80%)と予想。

11月11日の株価は1538円、時価総額は86億円。PERは29倍で、PSRは1.4倍。
来期のブログ予想を基準にすると、PER14倍、PSR1.05倍まで低下する計算となり、割安感がある。

今後3年間の売上成長率を年10〜20%、利益成長率を年15〜30%と想定した場合、妥当だと思う評価水準はPER23倍くらい・PSR2倍くらいになる。

この水準で評価すると、想定時価総額は約130億円、株価は約2000円になる。


■チャート 10月29日の5年チャート

一見すると下振れ型の三角持ち合いにも見えるが、下落局面では大陽線を伴う強い反発が複数回出ているので、下がりにくそうでもある。

株価は横ばいレンジが2年以上続いており、エネルギーが蓄積された状態。そろそろ上下どちらかに大きく振れそうなタイミング。

ファンダメンタルズ的には、今のところ業績下振れの兆候は見られず、むしろ提携効果や下期偏重業績を背景に、上方向へのブレイクシナリオが優勢と考えられる。


現在の5年チャート: 三角持ち合いからやや下ブレたが、かろうじて持ちこたえている状態。雲は薄くなっているので、ポジティブサプライズがあれば上値抵抗は軽そう。



■まとめ

当初、セキュアは「ストック性の高いビジネスモデル」を持つ企業だと考えていた。しかし実際に調べてみると、システムインテグレーター色の強い、フロー収益主体の企業であることがわかった。

これで少し冷めてしまったところはあるが、同社が掲げる「セキュリティカメラの知能化」という事業テーマは時代の潮流に合致しており、またハードウェアを含む統合提案型モデルであることから、生成AIによるソフトウェア代替リスクも限定的と考えられる。

総合的に見ると、急成長は見込みにくいが、堅実に成長を積み重ねていける企業という印象を受けた。

8月の2Q決算説明で社長は「今は端境期」と述べている。この発言は、現状の停滞を認めつつも、今後のギアチェンジによる成長加速を示唆するものとも受け取れる。

そして印象的なのは、決算説明の締めに、社長または取締役(社長の弟)が必ず述べるひと言。

「今後も株主の皆様の期待にしっかり応えられるよう、社員一丸となって全力で取り組んでまいります。」

他社の説明会ではあまり耳にしない”株主への配慮”がストレートに伝わってくる(笑)。

株主の期待に応えてくれるよう、今後の成長に期待したい。


■今後のチェックポイント

注目ポイントは、売上高成長率と営業利益率の2点。
売上高成長率は最低でも年10%超、営業利益率は7%超。
この水準を継続的に維持できるかを投資判断の基準とする。
このラインを継続的に下回りそうな雰囲気になってきたら、売却を検討する。



■3Q決算後に全売却
3Q決算で、業績が事前に想定していた下限値をすべて下回ってきた。加えて、今後も下振れしそうな雰囲気だったので、すべて売ることにした。

今回、予想が外れた主な要因は、「競争激化」と「特色の弱さ」あたりになりそう。

2025年3月公表のIR資料「事業計画及び成長可能性に関する事項」では、競争激化の発生可能性は「低」とされている。しかし、実際には同社の成長率が市場全体の成長率を下回っている点を踏まえると、競争環境は想定以上に厳しくなっているように見える。

またセキュアを改めて客観視すると、セキュリティカメラシステムを「セット提案」するだけのあまり特色のない会社に見える。今後はレッドオーシャンでの戦いを余儀なくされるのではないかと思った。

0 件のコメント:

コメントを投稿