2020年1月1日水曜日

長期計画チェック

「平時にじっくり考えて決めておいたことは、後悔する判断にはなりにくい」いわれているので、今のうちから長期的な計画を考えていく。

■景気後退について
今は低金利、デジタル革命、政府・中銀のバックアップにより景気拡大が持続しやすい。一方で、債務の積み上がりや雇用の引き締まりにより力強い景気拡大は期待しにくい。となると今後は非常に穏やかな景気拡大が長期で続いていくのかもしれない。

以下、景気拡大が続きやすくなる(景気後退に陥りにくい)要因を一通り書いていく。
・イノベーションは経済成長の最も基本的な原動力になるが、今は世界中でイノベーション(デジタル革命)が起きている。
・バブルは借金をして資産を買いまくることによって生じるが、今回そのような現象はあまりみられない。
・社債市場はバブル気味だが、今のような低成長、低インフレ、過剰貯蓄の状況では低金利が続きやすく、高債務の状態が維持されやすい。
・信用力の低い企業の債務が膨張しているが、全体でみると健全な企業の貯蓄に相殺されている。
・先進国の金融機関の財務状態は比較的良好なため、先進国では金融危機が起こりにくい。
・中国の不動産市場にはバブルの兆しがあるが、中国政府の需要抑制策により、日本のバブル期ほどの過熱感はない。ただし、シャドーバンキング商品(銀行理財商品、委託融資、信託商品)への投資は過熱感が強く、2017年末の残高は1000兆円とGDP比8割の規模まで膨らんでいる。
・中国の企業債務は積み上がっているが、その大半は国有企業のものなので計画に沿って徐々に削減していけそう。
・中国政府には財政出動や金融緩和の余地がある。
・中国は独裁体制のため、不況に陥るとすべての批判が指導部にふりかかる構造になっている。そのため指導部はなんとしても不況を起こさないようにする。
・トランプ大統領の再選には株価の維持もしくは上昇が不可欠なので、トランプ政権は株価の上がりやすい政策を採る。
・先進国の中銀はインフレターゲットを2%に設定しているが、現在のようなインフレが起こりにくい環境でインフレ2%を達成・維持するには株高のような資産価格の維持・上昇が不可欠になる。そのため中銀は株式市場に優しい政策をとらざるを得ない。
・中銀が量的緩和をして国債などの資産を大量に買っているので資産価格は下がりにくい(金利は上がりにくい)。中銀が資産売却を進めれば資産価格は下がるが、今のところそれを進める気配はない。足下では資産購入を再開している。シティグループは「21年末まで世界の中央銀行による資産買い入れ額は増加する」と言っている。11/30日経

景気後退に陥りやすくなる要因もいくつかあるので、それらも書いていく。
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景気後退シナリオ1:インフレが過熱し景気後退に陥る
景気循環の従来のパターンは金融緩和→失業率低下・債務拡大→景気拡大・インフレ過熱→金融引き締め→債務圧縮→景気後退になる。しかし今回は失業率が低下してもインフレが過熱せず、足下ではFRBが再び金融緩和をし始めている。
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景気後退シナリオ2:米長期金利が上昇し景気後退
今後、米長期金利は財政悪化(国債増発)により長期的に上昇していく可能性がある。長期金利が上昇すると株式や不動産が売られ、借り入れが減り、景気後退に陥りやすくなる。しかし今はプラスの利回りがついている米国債が人気で長期金利が上がりにくくなっている。またFRBがさらなる金融緩和の手段として長期金利のコントロールにも触れ出しているので、長期金利が今後大きく上昇していく可能性はそれほどない。
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景気後退シナリオ3:マイナス金利により金融機関が破綻し景気後退
先進国の金利はマイナス圏に突入しているので、利ザヤの縮小から金融機関が破綻していく可能性がある。金融機関が破綻すると信用収縮が起こり(金回りが悪くなり)、景気後退に陥りやすくなる。しかし現時点では中銀が民間金融機関に配慮しながら金融政策を行っているので、比較的穏やかな統廃合で済みそう。
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景気後退シナリオ4:中国のバブル崩壊による景気後退
中国の企業債務は積み上がっているが、その7割以上は実物投資ではなく、リスクの高い金融資産(シャドーバンキング商品)への投資に回っている。景気下振れなどによりいったんデフォルトが起こると、急激な資金の引き上げが発生して、連鎖的なデフォルトが起こる可能性が高い。そのようにして景気後退に陥ると独裁政権に責任が集中し、政権が転覆する可能性も出てくる。独裁体制は経済的に成熟した社会には適さないシステムとも言われているので、その意味でもこのタイミングで独裁体制が終わる可能性がある。これらの政治的混乱も相まって不況が深刻化していく。経済大国・中国の不況が世界に連鎖していく。ただこのシナリオも上記のような理由で、実際に起こる確率はそれほど高くはない。
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景気後退シナリオ5:ウォーレン氏が米大統領に選出され景気後退
ウォーレン氏は反大企業的で、トランプ氏以上に対中強硬的(国内産業保護主義)であり、また各種規制を強化し、法人減税を見直す方針のようなので、ウォーレン氏が米大統領に選ばれた場合は景気後退に陥る可能性がある。しかし米国で選挙に行く人の大半は中道・保守派なので、急進左派のウォーレン氏が選出される可能性は低い。米国で過去に急進左派で大統領になった人はいない。
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景気後退シナリオ6:上記の景気後退シナリオ複数が同時に起こる
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景気後退シナリオ7:各国中銀がインフレ政策をやめる
先進国の中銀はインフレターゲットを2%に設定しているが、経済成長率が2%を下回り、インフレが起こりにくい経済構造でそのような政策を続けるのはもともと無理がある。日本においてはインフレ目標達成のために、日本銀行が日本株を最も買っているが、これはあまりにも不自然。そのためどこかでインフレ政策を転換する必要が出てくる。インフレ政策を転換すれば資産価格は下落するが、今のところインフレ政策よりもマシな政策はなさそうなので、インフレ政策が限界にくるまで(おそらく10年以内)この政策は続きそう。足下ではFRBが平均インフレ目標政策などを検討するなど、インフレ政策を強化する方向で動いている。
*平均インフレ目標政策とは、インフレ目標を下回る期間が長引けば、その後上回ることを許容し平均で目標達成を図る手法。
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■今後の計画
穏やかな景気拡大が続きそうなので持ち株はホールドの方向でいく。ただ景気後退に陥る可能性も少なからずあるので新規投資は控え目にしていく。

景気後退に陥り、円が90円くらいまで上昇、もしくは日経平均が17000円くらいまで下落したら、米欧通貨や外国株、日本株を買っていく。おそらく今回が最後の円高局面になると思うので、海外資産の比率を高めにしていく。
*日経平均が18000円以下になると日銀が保有するETFが簿価割れを起こし、円の信認が揺らぎ始め(円安圧力がかかり始め)、日本株が反発しやすくなる。

次の円高時に仕込みたい外国株
・(米)VISAや(米)マスターカード。両社はフィンテック企業のボス的存在で、電子マネーは結局ここらへんが中核になりそう。
・(米)P&G。経営体制は盤石で、”奇跡の化粧水”SK-IIが世界的にヒットしそう。10/23の日経によるとSK-IIは世界でヒットし始めているもよう。市場はでかいのでまだまだ伸びそう。
・(米)ボーイング。大型航空機はボーイングとエアバスの寡占状態で参入障壁は非常に高い。長期的な需要も旺盛。足下では新型機737MAXの墜落により受注が落ち込んでいるが、エアバスの生産も全然追いついてないようなので乗り換えられる心配はほとんどない。中国経済が底打ちしたところが仕込み時になりそう。ただ12/2の日経に「(排ガス対策などで)旅客機の世界は自動車に比べて20年以上遅れている」とあった。やはり寡占(または独占)ではいろいろと問題が出てくるなと思った。
・NASDAQ100ETF。第4次産業革命の中核ETF。
・アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信(為替ヘッジなし)。腕利き米国人が運用する趣味の良さそうなファンド。
・米国株式長期厳選ファンド。奥野一成氏が運用するビジネスモデルが堅固な企業に投資する永久保有系ファンド。積み立てオンリーなのがやや難。
・インド株のETF。インドは2040年まで人口ボーナス期が続く。
・インドネシア株のETF。インドネシアは2030年まで人口ボーナス期が続く。
・銅。銅をたくさん使う電気自動車などにより銅の需要は長期的に右肩上がりだが、優良鉱山の減少や環境規制などにより供給が追いつかなくなる可能性がある。現在の銅の採算ラインは1トン5500ドル程度。

■次の上げ相場について
次の景気拡大期は中銀に金融緩和をする力があまり残されてなさそうなので今回のような資産インフレは期待できそうにない。今後の市場環境はゼロ成長、ゼロ金利が基本になりそうだが、そのような環境で投資収益を上げていくには企業の成長性に賭けるしかないように思う。どのようなときでも時代の変化に合わせて成長していく会社はあるので、そういうところを見つけて投資していきたい。

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