2021年1月1日金曜日

持ち株チェック

 保有比率の高い順に見ていく。

■弁護士ドットコム
基本シナリオ:法律分野をITで変革し最強のプラットフォーマーに
電子契約市場は混戦模様だが、詳しく調べてみるとクラウドサインは優位性を保てそうなことがわかった(詳細は「GMOグローバルサイン」に)。ただ、住友商事やビットフライヤーなどが手がける不動産の総合契約プラットフォーム(10/28日経)のような特定領域に特化した契約プラットフォームが増えると少し厄介になりそう。

弁護士ドットコム事業の方は成長が多少鈍化しているが、弁護士業務のデジタル変革を支援する事業をコンスタントに立ち上げているので特に問題なさそう。

<1年チャート> 株価は200日線と累積売買高線に支えられてそろそろ下げ止まりそう。
DX(デジタルトランスフォーメーション)の「期待相場」は終わったようなので、今後の「業績相場」に期待したい。

今後3年の予想売上高成長率は年率30%程度。現在妥当だと思う時価総額は2000億円(株価9000円、PSR40倍)くらい。2030年の予想売上高は、売上高成長率が年25%の場合は400億円、年35%の場合は860億円。2030年の予想時価総額は4000~8000億円。

■ジモティー
基本シナリオ:最強の地元取引プラットフォームに
第2四半期決算はパッとしない業績だったが、にもかかわらず、その後株価は大きく上昇した。第3四半期決算は第2四半期決算とほぼ同じ内容だったが、今回は大きく下落した。投資家がいかに気まぐれかということがよくわかった(笑)。

「ジモティー」のアクセス数・ユーザ数はは順調に増えており、プラットフォームの価値(利便性)は順調に高まっているようなので、事業の方は特に問題なさそう。

決算資料に「得意領域だけでも現状の取り扱い量の約51倍もの拡大余地がある」とあったので今後に期待したい。

<1年チャート> 三尊天井(五尊天井?)が完成しており、いったん天井を打った感じ。今後1~2年の業績はパッとしなさそうなので株価はしばらくボックス圏(2200~3200)で推移するかもしれない。

「ジモティー」の主要カテゴリーの件数
・売ります・あげます 7月 893080 →10月 945116 →1月 1013333
・メンバー募集 67116 →69364 →71879
・助け合い 25300 →26203 →27226
・不動産 466478 →511537 →518859
・アルバイト 43710 →44585 →46999
・正社員 13703 →14002 →15335

今後3年の予想売上高成長率は年率20%程度。現在の妥当だと思える時価総額は280億円(株価4800円、PSR20倍)くらい。2030年の予想利益は現在の10倍くらい。

■ペプチドリーム
基本シナリオ:最強のペプチド創薬プラットフォームに
ヤンセンファーマとPDPSの非独占的ライセンス契約を締結した。これでライセンス契約は9社になった。この契約はPDPSの使用料だけでなく、相手企業がそれを使って独自で開発した新薬の収益の一部も定期的に受領できるものなのでとてもおいしい契約になる。ただ新薬が出るまで開発状況が開示されないのが、もどかしいところ。

武田薬品と神経疾患領域におけるPDC(ペプチド薬複合体)創薬に関する独占的ライセンス契約を結んだ。薬剤にペプチド(や抗体)を合体させ患部に薬剤を正確に届ける”ペプチド(抗体)・ミサイル療法”は副作用が少なく、効果が高いので今後普及が拡大していきそう。第一三共はエンハーツというADC(抗体薬複合体)で企業評価を高め、時価総額で武田薬品を抜いている。武田もPDCで画期的な薬剤を開発して企業評価を高めてくれればと思う。

・・ペプチドリームはプロの評価が極めて高い。ステムリムもこうなってくれれば安泰なのにと思う。

薬価引き下げに積極的なバイデンさんが米大統領になり、米国では薬価引き下げ圧力がかかり始めた。日本では医療費抑制のために毎年薬価が引き下げられている(12月17日経)。このような状況では製造コストの安いペプチド薬への期待が今後ますます高まりそう。

ペプチドリームは富士通、みずほキャピタル、竹中工務店、キシダ化学と5社で感染症医薬開発に特化した会社・ペプチエイドを設立した。今はmRNAワクチンといった、あらゆる感染症に対して短期間で対応可能な予防薬が開発されているが、ペプチエイドでは感染症に罹患した後の治療薬を開発するようなので、これはこれで存在意義がありそう。

今後3年の売上高成長率は年率20%程度。現在の妥当だと思える時価総額は5000億円(株価4000円、PER100倍)くらい。2030年の予想利益は、売上高成長率が年率20%なら300億円、年率30%なら700億円。2030年の予想時価総額は2兆~5兆円。

■ステムリム
基本シナリオ:再生誘導医薬が再生医療の主役に
『週刊エコノミスト2020年10月20日号』に国内で行われている脳梗塞治験についての記事があった。ステムリムの競合薬がいつくか載っていたので、それらについて調べてみた。

・ティムスのSMTP化合物。米バイオジェンに総額360億円で導出した低分子薬。血栓除去作用と抗炎症作用が期待されている。適応時間は発症後12時間まで。治験は現在、第Ⅱ相が終了し、結果は21年の半ば頃にわかる予定。

・ヘリオスのマルチステム。英アサシス社から導入した細胞治療薬。厚労省から「先駆け審査指定制度」対象品目の指定を受けている。骨髄由来の間葉系幹細胞から製造する。脾臓からの炎症性細胞の動員・放出を抑制する作用と、抗炎症性細胞の動員・放出を活性化する作用が期待されている。適応時間は発症後36時間まで。治験は現在、後期第Ⅱ相、第Ⅲ相が終了し、結果は21年前半にもわかる予定。

・JCRの細胞治療薬。歯髄由来の幹細胞から製造する。詳細な作用機序や適応時間は不明。治験は現在、第Ⅱ相が行われており、結果は21年の後半頃にわかる予定。

・生命科学インスティチュートのミューズ細胞。骨髄などに含まれる間葉系幹細胞からミューズ細胞を抽出し、それを培養して製造する。ミューズ細胞は脳や心臓、皮膚などの細胞に変化する能力があり、損傷箇所に移動して修復させる効果が期待されている。適応時間は発症後4週間まで。治験は現在、第Ⅱ相が終了しており、安全性と有効性が確認されている(詳細は不明)。

・ステムリムのレダセムチド。塩野義に導出したペプチド薬。骨髄にある間葉系幹細胞を損傷箇所に誘導する(そして修復させる)効果が期待されている。生体内にある核タンパクの一部(HMGB1断片ペプチド)を化学合成して作ったものなので安全性は高く、製造コストは安い。適応時間は発症後24時間まで。治験は現在、第Ⅱ相が行われており、結果は22年の前半頃にわかる予定。

こう見ていくと、ステムリムの治験は他よりも結果が出るのが少し遅れるが、薬剤の安全性、コスト、有効性の面でそこそこ優位なポジションにいるようにみえる。ステムリムの薬剤は幹細胞を誘導するだけなので、他の薬剤と競合しない(併用できる)可能性もある。

12/9の日経に急性期脳梗塞の治療法の1つ「血栓回収療法」についての記事があった。この療法はカテーテルを使って血栓を吸引したり絡め取ったりする方法で、症状によっては発症後24時間まで対応できるという。この治療法では血栓溶解剤「t-PA療法」では対応できない太い血管の血栓も除去できるという。ただこの治療法は難易度が高いので専門医でないとできないという問題がある。ステムリムの薬剤は適応時間でバッティングしているが、治療のしやすさというところに商機がありそう。また血栓回収療法は成功した場合でも後遺症が残ることが少なからずあるようなので、ステムリムの薬剤を併用するという道もあるのかもしれない。

ステムリムの第1四半期決算書には、導出先の塩野義から「(脳梗塞治験の)契約に関わる対価として今後最大で11億9千万円を受領する予定」とあるが、これはティムスのSMTP化合物の導出額(360億円)と比べ見劣りする。塩野義のこの治験に対する期待値はあまり大きくないのかもしれない。

上記を勘案すると、ステムリムの脳梗塞治験はたいして期待できないのかもしれない。

肝硬変の治験が始まった。IR資料には「レダセムチドは肝硬変モデルマウスに対して高い抗炎症、線維化改善効果が確認されており、有効な治療法のなかった線維化を伴う慢性肝疾患・肝硬変の患者に対し、新たな治療の選択肢になり得る可能性があります」とあるので期待できそう。ただ、治験者数はわずか10名であり、脳梗塞治験の150名と比べるとかなり少ないので、塩野義はこの治験に対してもあまり期待してないのかもしれない。肝硬変のような慢性疾患では薬剤を引きつける物質(ケモカイン)の分泌量が少ないので、あまり効かないのかもしれない。

ここまでいろいろネガティブなことを書いてきたが、画期的な表皮水疱症の薬剤がもうじき承認申請されそうであり、これが世界に普及すればステムリムの評価は一変すると思うので、見限るのはまだ早そう。それと今期の予想売上高は23億円とあるが、これは塩野義以外からの受領金の可能性もある。海外のメガファーマとの契約に少し期待したい。

・・ただ表皮水疱症の薬剤の承認申請がまだ出ていない。第Ⅱ相臨床試験の追跡調査の結果も、治験がとっくに終わってるのに、まだ出ていない。表皮水疱症の薬剤は疾患を根治できるものではないので、再投与が必要になるが、そこらへんで何か問題が生じた可能性もある。ここでコケると大暴落するので注意しときたい。

12/24の日経にミューズ細胞について、「新型コロナウイルスの感染拡大で、海外からの入手が必要な材料を調達しにくくなっている」「材料は健康な人から取り出す生体材料にあたる。国内では生体材料に関する規制が厳しく、海外から調達する必要がある」とあった。ミューズ細胞とステムリムのレダムセチドは似た作用機序(仕組み)を持つが、コストと安全性の面でステムリムの方が優位だとわかった。

今後3年の予想売上高成長率は年率0~10%程度。業績が急拡大するのは早くて3年後。現在の妥当だと思える時価総額は600億円(株価1000円)くらい。2030年の予想利益は0~500億円くらい。

■eBase
基本シナリオ:最強の商品情報管理プラットフォームに
今期の業績予想が出たが、売上は前年比6%減、営業利益は17%減になるとのこと。前期比減となるのは、コロナによる期ズレや顧客企業の投資抑制が原因らしい。これはほぼ想定通りのことなので特に問題なし。

今後3年の予想売上高成長率は年率10%。現在の妥当だと思える時価総額は550億円(株価1200円、PSR25倍)くらい。2030年の予想利益は現在の3倍くらい。
*PSR算出で使う売上高は「eBASE事業」の売上高だけ。

■チームスピリット
基本シナリオ:最強の業務管理クラウドソフトに
本決算資料からTeamSpiritの解約率が1%以下ということがわかった。以前書いた調査レポートでは15%程度としていたが、それが誤りだとわかった。*レポートを仕上げる時には情報源を確認できなかった。

この情報で、この会社の印象がガラリと変わった。ビジネスモデルはかなり強いので、長期で順調に成長していけそうだと思った。

日本オラクルで戦略担当をしていた山下氏がチームスピリットの戦略企画担当に、セールスフォースなどで働いていた菅原氏がソリューション&セールス担当に、そーせいの株価黄金期を支えた虎見氏が社外取締役になっていることがわかった。成長の勢いが増しそうだと思った。

人材は順調に増えているようだが、主に海外要員のようなので、そこが少しネック。海外事業は期待しにくい。

今後3年の予想売上高成長率は年率25%程度。今年の妥当だと思える時価総額は320億円(株価2000円、PSR10倍)くらい。2030年の予想利益は現在の3倍くらい。

■今年の計画
今年も去年と同様、損益はあまり気にせず、知識をつけることに専念していこうと思う。10月10日の日経ヴェリタスに日本電産の永守会長の言葉「(株式投資は)もうけようと思ったらもうからない。私にとって株式投資は学びを得る場、そこで得たことを事業に生かしていく」が紹介されていたが、こういうスタンスが自分には合っているのかなと思った。

一応、去年の運用成績は+38%。上出来。今年の予想損益は去年と同じ±30%。

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