市場の仕組みを理解しやすい順番で見ていく。
■米長期金利 (保有資産:なし)今後1年の予想レンジ:0.8%~1.3%の間で推移
米長期金利に与える影響が大きい要因順に見ていく。
・経済成長率+インフレ率↓
米長期金利の基準値は経済成長率+インフレ率になるが、今年はコロナの影響により経済成長率は-4.3%まで低下し、インフレ率は1.3%程度にとどまる。来年は予想経済成長率3.1%、インフレ率1.5%程度になり、若干回復する見込み。
*数値はIMF予想。
・金融政策↓
米長期金利の基準値は経済成長率+インフレ率になるが、今年はコロナの影響により経済成長率は-4.3%まで低下し、インフレ率は1.3%程度にとどまる。来年は予想経済成長率3.1%、インフレ率1.5%程度になり、若干回復する見込み。
*数値はIMF予想。
・金融政策↓
FRBは政策金利を下限(0~0.25%)まで下げており、長期金利も0%台に抑えようとしている。FRBはゼロ金利政策を完全雇用(失業率4.1%程度)とインフレ率が2%に近づくまで続ける予定。FRBは少なくとも2023年末まではゼロ金利政策を続けると言っている。12/17日経
ただ米国では今年の臨時の財政支出が合計で400兆円を超えている。FRBの国債購入ペースは月8兆円程度なので、今のペースでは長期金利の上昇を抑制できない可能性が高い。FRBは「必要になれば追加緩和に踏み切る」とも言っているので、購入ペースを倍増して長期金利の上昇を抑えにかかる可能性もある。金利の上昇を放置すると、財政出動がしにくくなり、また雇用創出や経済成長も見込みにくくなるので、今後、FRBが国債購入量を倍増させる可能性も少なからずありそう。
・財政赤字の拡大↑
2018年から米国の財政赤字は年100兆円を超えはじめており、2020会計年度はコロナの影響により330兆円まで拡大している(10/17日経)。2021年も高水準の財政赤字が続く見込み。
2018年から米国の財政赤字は年100兆円を超えはじめており、2020会計年度はコロナの影響により330兆円まで拡大している(10/17日経)。2021年も高水準の財政赤字が続く見込み。
財政赤字が続くと通貨の信認が低下し、海外の投資家が米国債を敬遠するようになる。ただ、今は世界中が似たような状況なので、米国債だけ敬遠されるという展開にはならないのかもしれない。
*財政支出を拡大すると景気刺激の面からも長期金利に上昇圧力がかかる。
・リスクオン、オフ↑
コロナはリスクオフ要因になるが、ワクチンの投与が始まり、政府と中銀が大規模な経済対策をしているので、全体ではややリスクオン気味。
・利回り低下による米国債の人気低下↑
現在の米10年国債の利回りは0%台(インフレを加味した実質長期金利はマイナス圏)なので海外からの購入は減っている。
・資金需要の低下↓
第4次産業革命の主役はデジタル企業になるが、デジタル企業は設備投資のための資金需要がそれほど多くないので金利が上がりにくい。少子高齢化の影響で住宅ローンなどの借り入れなどが減っているのも金利低下圧力になる。
・潜在成長率の低下↓
生産性の伸び悩みで潜在成長率は長期的に低下している。
・チャート→
日足チャートでは底打ち。週足チャートでは天井。しばらく現在の水準(0.9%)を維持しそう。
■WTI原油 (保有資産:なし)
今後1年の予想レンジ:35ドル~55ドルの間で推移
■WTI原油 (保有資産:なし)
今後1年の予想レンジ:35ドル~55ドルの間で推移
原油価格に与える影響が大きい要因順に見ていく。
・需要↓
原油の需要予測はIMFの世界経済成長率予想などを基につくられるが、2020年の世界経済成長率は-4.4%まで落ち込んでおり、今期の需要は日量1000~2000万バレル程減少している。来期の経済成長率は5.2%と持ち直す見込み。
原油の需要予測はIMFの世界経済成長率予想などを基につくられるが、2020年の世界経済成長率は-4.4%まで落ち込んでおり、今期の需要は日量1000~2000万バレル程減少している。来期の経済成長率は5.2%と持ち直す見込み。
*平時の世界の石油消費量は日量約1億バレル。
コロナ下では職場や学校のリモート化が進んでいるが、この変化は不可逆的なところもあるので、コロナが収束しても石油需要が元の水準に戻らない可能性が高い。またESG(環境、社会、企業統治)啓発や技術革新により、環境リスクの高い石油は今後敬遠される可能性が高い。英BPは新興国、途上国の成長などを考慮した「標準シナリオ」では2030年頃まで石油需要は増加を続けるとしているが、コロナや温暖化対策を考慮した「急速シナリオ」では「すでにピークを打った可能性がある」と言っている。9/15日経
サウジが財政均衡に必要な水準は1バレル83ドル、アラブ首長国連邦(UAE)は70ドル、イラクは60ドル、ロシアは42ドル、米企業の採算ラインは45ドルになる。3/10日経、4/30 日経
この水準以下で石油を生産しても意味がないので、長期でこの水準を下回る展開は考えづらい。
・供給↓
OPECプラスは協調減産を実施しており、それ以外の産油国も油価低迷で産油量を減らしている。現在の油価は産油国の財政均衡ラインを下回っているが、産油国の財政は原油収入に依存しているので今以上減産することはできない。そのため、足下では在庫がだぶついている。
OPECプラスは協調減産を実施しており、それ以外の産油国も油価低迷で産油量を減らしている。現在の油価は産油国の財政均衡ラインを下回っているが、産油国の財政は原油収入に依存しているので今以上減産することはできない。そのため、足下では在庫がだぶついている。
ただ現在は原油価格の停滞や脱化石燃料への投資家圧力などにより新規の油田開発が停滞しているので、長期的には供給不足に陥る可能性もある。12/16ロイター
・米政府の介入↓
米石油産業は1000万人の雇用を生む巨大産業であり、WTI価格が40ドル程度で推移した場合はシェール企業の4割が2年以内に破綻するとも言われているので(6/30日経)、米政権は原油価格を下支えする政策をとる可能性がある。
米石油産業は1000万人の雇用を生む巨大産業であり、WTI価格が40ドル程度で推移した場合はシェール企業の4割が2年以内に破綻するとも言われているので(6/30日経)、米政権は原油価格を下支えする政策をとる可能性がある。
一方で、バイデン新大統領はクリーンエネルギーとインフラ投資に200兆円の支出を公約しており、そこには連邦政府所有地での新規採掘・フラッキングの禁止、米国沖合の新たな油ガス田開発禁止、化石燃料に対する補助金廃止、燃費基準の再強化などが含まれているので、トータルでみると、新政権は市場への介入に抑制的になりそうな感じ。
・産油国で不測の事態が起こる↑
世界最大の石油埋蔵量を誇るベネズエラは米国の制裁や政治の混乱、投資不足などから産油量が著しく低下している。イランも米国などから制裁を受けており、産油量が減っている。
しかし、米新政権はイランやベネズエラに対する制裁を緩和する構えなので、今後原油供給が増える可能性が高い。
リビアでは内戦が続いていたが、8月に停戦合意。今後、原油輸出量は持ち直す見込み。
・リスクオン、オフ↑
コロナはリスクオフ要因になるが、ワクチン接種が始まったのでややリスクオン気味。
*原油は株式と同じリスク資産になる。
・為替↑
原油はドル建てのためドル高になると原油価格に低下圧力がかかるが、ドルは下落基調なので今後は原油価格に徐々に上昇圧力がかかってきそう。ドル安になると新興国の輸入が増えやすくなるのでこれもまた上昇圧力になる。
(WTI原油価格連動型上場投信においては、ドル安(円高)が進むと基準価額が下がる)
・船舶の燃料規制↑
2020年から船舶燃料油の硫黄分濃度規制がはじまっているが、硫黄分の少ないWTI原油や北海ブレントには5ドル程度の価格上昇圧力がかかる。
・チャート
短期では上昇トレンドだが、長期では頭打ちな感じ。
■ドル円 (保有資産:なし)
今後1年の予想レンジ:95円~105円の間で推移
為替に与える影響が大きい要因順に見ていく。
・日米の金融政策↓(↓は円高方向)
ドル円レートの基準値は購買力平価になるが、現在は購買力平価(95円)から円安方向に振れている。円安方向に振れている最大の要因は日銀の金融緩和になるが、その緩和が限界に近づきつつある。一方で米国は金融緩和余地があり、足下では最大限の緩和を始めている。
FRBの保有資産は2019年末には400兆円程度だったが、それが2020年末には740兆円まで拡大している。対して日銀の保有資産は2019年末には610兆円程度だったが、2020年末には690兆円と小幅な伸びに留まっている。保有資産の対GDP比の拡大幅は米国の方が大きいので、その分、米ドルの減価率の方が高くなる。
・船舶の燃料規制↑
2020年から船舶燃料油の硫黄分濃度規制がはじまっているが、硫黄分の少ないWTI原油や北海ブレントには5ドル程度の価格上昇圧力がかかる。
・チャート
短期では上昇トレンドだが、長期では頭打ちな感じ。
■ドル円 (保有資産:なし)
今後1年の予想レンジ:95円~105円の間で推移
為替に与える影響が大きい要因順に見ていく。
・日米の金融政策↓(↓は円高方向)
ドル円レートの基準値は購買力平価になるが、現在は購買力平価(95円)から円安方向に振れている。円安方向に振れている最大の要因は日銀の金融緩和になるが、その緩和が限界に近づきつつある。一方で米国は金融緩和余地があり、足下では最大限の緩和を始めている。
FRBの保有資産は2019年末には400兆円程度だったが、それが2020年末には740兆円まで拡大している。対して日銀の保有資産は2019年末には610兆円程度だったが、2020年末には690兆円と小幅な伸びに留まっている。保有資産の対GDP比の拡大幅は米国の方が大きいので、その分、米ドルの減価率の方が高くなる。
・日米の長期金利差→
日米の長期金利差はドル円相場との相関が強いが、現在その金利差がほとんどなくなっている。その影響で、為替相場に影響の大きいドル円のキャリー取引は大きく減少している。
*キャリー取引とは金利差を狙った取引で、市場環境が落ち着くと低利通貨を売り、高利通貨を買って、金利差で収益を得る取引が盛んになる。ただ足下では円以外のドルやユーロも低金利通貨になりつつあるので、キャリー取引は減少しつつある。
・日米の財政政策↓
米国の財政赤字は年100兆円を超え始めており、コロナにより今年はさらに300兆円程上乗せされる。日本も米国と似たような状況だが、米ドルは基軸通貨なので今後、米国はより思い切った財政政策をする可能性が高い。
*IMFは20年の米財政の赤字額がGDP比18.7%、日本が14.2%になると予測している。
・日米の経済の強さの違い→
資金は経済の強い国へ流れ、その国の株式や不動産などが買われるが、デジタル革命を主導する米経済は相対的に強いのでドル資産が買われやすい。ただコロナショックで米国のデジタル企業以外は多大なダメージを受けているので全体で見るとドル資産の売買は拮抗している。
・リスクオン、オフ↑
大規模な金融緩和や財政出動でややリスクオン気味。
資金は経済の強い国へ流れ、その国の株式や不動産などが買われるが、デジタル革命を主導する米経済は相対的に強いのでドル資産が買われやすい。ただコロナショックで米国のデジタル企業以外は多大なダメージを受けているので全体で見るとドル資産の売買は拮抗している。
・リスクオン、オフ↑
大規模な金融緩和や財政出動でややリスクオン気味。
*リスクオフになった場合はまずキャリー取引の巻き戻し(円の買い戻し)が起こる。本格的なリスクオフまで発展すると対外資産の引き上げ(投資撤退)が起こる。日本が保有する対外純資産は世界最大の340兆円になるが、そのうち資産の引き上げが起こりやすい証券投資の割合は3割(100兆円)程度になる。
・ドル需給↓
コロナショックにより、一時期ドル需要が急激に高まったが、FRBがドルを大量供給して、現在では落ち着いている。過去のパターンでは需給が一巡した後は円高になっている。3/24日経、5/7ダイヤモンド
・ドル需給↓
コロナショックにより、一時期ドル需要が急激に高まったが、FRBがドルを大量供給して、現在では落ち着いている。過去のパターンでは需給が一巡した後は円高になっている。3/24日経、5/7ダイヤモンド
・国内投資家の対外証券投資↑
これまで日本の債券投資家は国内の超低金利で運用難に陥っていたので、高い運用利回りが見込める海外債権などを買っていた。しかしコロナショックで外債の利回りも低下しているので、対外証券投資は減りつつある。とはいえ、2020年は6月までに13兆円を買い越している(9/1日経)。ここ数年は年10兆円程度の買い越しが続いている。
これまで日本の債券投資家は国内の超低金利で運用難に陥っていたので、高い運用利回りが見込める海外債権などを買っていた。しかしコロナショックで外債の利回りも低下しているので、対外証券投資は減りつつある。とはいえ、2020年は6月までに13兆円を買い越している(9/1日経)。ここ数年は年10兆円程度の買い越しが続いている。
*日本の主要生命保険会社は、外債の金利が低下して日本国債の魅力が相対的に増したとして、今年度は日本国債への投資を増やすことに決めている(4/24日経)。一方、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、今後外債投資を強化するという。この強化により今後15~25兆円の対外証券投資需要が発生する。4/1日経
*為替ヘッジ付き米10年債利回りが4月末に約1年半ぶりにプラス圏に浮上し、日本勢は再び米国債を購入し始めている。7/21日経
*対外証券投資のうち外貨建て(円売り)は7割程度になる。
*国内勢が外債を買うときは、円を売って外貨を買い、その外貨で外債を買うわけだが、円を買う側の海外勢はその円で日本国債を買うことが多い。海外勢は2019年1月~8月までの間に12兆円の日本国債を買っている。現在はFRBのゼロ金利政策で日米金利差が縮小し、海外投資家が円を買う際に受け取れる上乗せ金利(ベーシススワップ)が減少しているので、日本国債への投資は減っている。
*国内勢が外債を買うときは、円を売って外貨を買い、その外貨で外債を買うわけだが、円を買う側の海外勢はその円で日本国債を買うことが多い。海外勢は2019年1月~8月までの間に12兆円の日本国債を買っている。現在はFRBのゼロ金利政策で日米金利差が縮小し、海外投資家が円を買う際に受け取れる上乗せ金利(ベーシススワップ)が減少しているので、日本国債への投資は減っている。
・日本企業の対外直接投資↑
国内需要はほぼ頭打ちなので、日本企業の対外直接投資は今後も増えていきそう。2019年の対外直接投資は22兆8千億円と過去最大を記録している。ただ、コロナ下では対外直接投資は停滞しつつある。2020年上期の日本企業による海外企業の合併・買収は前年同期比77%減となっている。7/4日経
国内需要はほぼ頭打ちなので、日本企業の対外直接投資は今後も増えていきそう。2019年の対外直接投資は22兆8千億円と過去最大を記録している。ただ、コロナ下では対外直接投資は停滞しつつある。2020年上期の日本企業による海外企業の合併・買収は前年同期比77%減となっている。7/4日経
*対外直接投資額のうち外貨建て(円売り)は半分程度になる。
・米経常赤字(貿易赤字)の拡大→
・米経常赤字(貿易赤字)の拡大→
米国では財政赤字が大きくなっているが、民間部門の貯蓄が増えているので、経常収支の赤字額はあまり膨らんでない。8/14日経
・日本の経常収支→
まずは貿易収支について。
輸入額の4分の1を占める石油・天然ガスの価格は低下しており、これは貿易黒字要因になるが、日本には世界で稼げるデジタル企業が少なく、モノの生産の現地化が進んでおり、さらには電子機器(スマホなど)や医薬品の輸入が増加しているので、貿易黒字は年々減少しつつある。2019年の貿易黒字は約5000億円にとどまる。2020年はコロナの影響で自動車などの輸出が減少しているので、貿易赤字に転落する可能性がある。
(貿易収支を含む)経常収支は20兆円程度の黒字を維持しているが、この黒字の大半は過去に行った投資のリターンである所得収支が占めている。所得収支の黒字は貿易黒字と違い、半分程度が円に換えず現地で再投資されるため円買いフローは半分(10兆円)程度しか発生しない。
*ただし景気後退期に入ると企業は手元資金を確保するため再投資を減らし本国に送金するので円高圧力が若干増す。過去の例ではだいたい3~4兆円の送金需要が発生している。5/12ロイター
・日銀が保有するETFの簿価割れ→
日銀の自己資本は8兆円なのに対し、保有する日本株ETFは簿価で約35兆円ある。日銀の保有するETFの損益分岐点は日経平均株価が19500円くらいなので、ここを下回ると自己資本が目減りし通貨の信認が低下する。日経平均株価が13000円台まで下落すると債務超過に転落し、さらに通貨の信認が落ちる。3/9日経
・日米の公的債務→
日本と米国の公的債務は返済不可能な水準まで膨れ上がっており、コロナの影響でこれがさらに膨らむ可能性が高い。この債務を解消するには、インフレしかなさそうなので、そう遠くない将来にドルショック(ドルの大幅下落)、もしくは円ショックが起こる可能性がある。
・投機筋の持ち高↓(「円 投機的ネットポジション」で検索)
買い持ちが多い。投機筋は円高が進むとみている。
*円を買い持ちした場合はスワップポイント(金利収入)がマイナスになるので、買い持ちポジションが長く続くことは少ない。
・購買力平価↓
物価が上がると(インフレが進むと)、物やサービスを買うときにより多くの額のお金が必要になるが(購買力は下がるが)、物価が下がると(デフレが進むと)、物やサービスを買うときにより少ない額のお金しか必用なくなるので購買力は上がる。この物価変動に着目して二国間の通貨価値をならしたものが購買力平価になる。
日本円を米ドルと比較した場合、米国の方が慢性的にインフレ率が高いので円の購買力平価は長期的な円高傾向にある。ただ米国のインフレ率は年々低下しており日本のインフレ率との差が縮まってきているので、購買力平価の下降曲線はなだらかになってきている。為替相場は長期的にはこの購買力平価に収斂していくとされているので、円の下限は75円、上限は115円くらいになる。
・チャート↓
長期チャートでは大きな三角持ち合いが完成し、下方に振れている。
・チャート↓
長期チャートでは大きな三角持ち合いが完成し、下方に振れている。
■日経平均 (保有資産:なし)
今後1年の予想レンジ:24000~33000円で推移
日経平均に与える影響が大きい要因順に見ていく。
・金融政策↑
日本株はFRBの量的緩和(資産買い入れ)との相関が強いが、FRBは3月から過去最大規模の量的緩和を始めている。世界の主要中銀は2020年に1000兆円程の資産を買い入れている(12/31日経)。中銀の資産購入は今後もしばらく続く見通し。
今後1年の予想レンジ:24000~33000円で推移
日経平均に与える影響が大きい要因順に見ていく。
・金融政策↑
日本株はFRBの量的緩和(資産買い入れ)との相関が強いが、FRBは3月から過去最大規模の量的緩和を始めている。世界の主要中銀は2020年に1000兆円程の資産を買い入れている(12/31日経)。中銀の資産購入は今後もしばらく続く見通し。
・利回り↑
日本株式の益回りは約3.6%、配当利回りは約1.8%と、日本国債の利回り0%より高いので、株式に資金が流れやすくなっている。
・需給↑
日銀が株式を買いまくっているので日本株は下がりにくい。日銀の買越額は年間6~12兆円になるが、他の投資主体の売り玉はつきつつあるので(アベノミクス後の海外投資家の買越額は4.5兆円まで縮小)、残りの売り玉はすべて日銀が吸収してくれそう。
<2020年の主な投資主体の予想売買動向と現状>
日本銀行、(予)金融政策により6~12兆円の買い越し。現状は7兆円の買い越し。
事業法人、(予)自社株買いにより2~3兆円の買い越し。現状は1兆3千億円の買い越し。
海外投資家、(予)景気後退懸念で2~4兆円の売り越し。現状は3兆3千億円の売り越し。
個人投資家、(予)逆張り投資で1~3兆円の買い越し。現状は6千億円の売り越し。
*事業法人はコロナの影響で現金収入が減っているので、今後は自社株買いより手元資金の確保を優先する可能性が高い。
・EPS(1株利益)↓
日経平均株価は基本的にはEPS(1株利益)× PER(人気度)で決まる。2020年の予想EPSは-30~-15%になる。
ーーーーー
EPSに影響を与える外部要因についても見ていく。
・為替↓
今後為替は中長期的に円高に振れていきそうなので、海外で6割を稼ぐ日本企業の利益は下振れしていきそう。
・海外景気↓
日本企業は海外で6割を稼いでいるので海外景気の影響を大きく受けるが、2020年はコロナの影響で世界景気が停滞しそう。
・失業率↑
失業率が低下すると賃金が上昇して企業収益が圧迫され、また労働量力不足で成長が頭打ちになるが、現在の失業率はコロナの影響で上昇傾向にある。
・減価償却費や資源価格(原材料費)↑
景気拡大期の終盤は減価償却費や資源価格(原材料費)が上昇して利益が圧迫されやすくなるが、コロナの影響で資源価格は低下している。
・金融政策→
景気拡大期の終盤は上昇した金利により企業の利益や資金調達環境は悪化するが、今回は金融緩和が続いているのでほとんど影響なさそう。
ーーーーー
・PER(人気度、リスク選好度)→
日経平均の過去のPERは11~16くらいだが、現在のPERは25.26。金融緩和や来期の業績を考慮するとこのくらいが妥当なのかもしれない。
・投機筋の持ち高↓
買い残は3600億円で、裁定売り残高は1兆3400億なので、投機筋は日本株が下がるとみている。
*裁定残高は通常、売り残高よりも買い残高の方が多い。一般に、裁定買い残高が3000~6000億円まで減少すると「売られすぎ」、3.5兆~4兆まで増加すると「買われすぎ」とされる。
・個人投資家の流入↑
コロナによる「巣ごもり」や「老後2000万円問題」の影響で株式市場に個人投資家が流入している。米株式市場においては個人の売買シェアがコロナ前の10%から足下では25%にまで高まっている。12/30日経
コロナによる「巣ごもり」や「老後2000万円問題」の影響で株式市場に個人投資家が流入している。米株式市場においては個人の売買シェアがコロナ前の10%から足下では25%にまで高まっている。12/30日経
・チャート↑
新高値を突破しているので上昇トレンドは続きそう。
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