2023年1月1日日曜日

有望株

よく調べないで買った株は失敗することが多いので、これからはネチネチと調べてから買うことにする。

<10倍株候補の条件>
 ・上場5年以内の会社
 ・社長が若い
 ・オーナー企業
 ・時価総額が300億円以下
 ・長期的なテーマに合っている
 ・急成長している
 ・(IPOから時間が経過し、株価が右肩下がりになっているチャートが狙い目)

<優良企業の条件>
 ・参入障壁が高い
 ・ストック型ビジネスを手がける
 ・時流に乗っている(潜在市場が大きい)
 →業績が落ちにくく、利益成長を続けやすいビジネスモデル
(例)エムスリーやリクルートなど

■よさそうな会社
・サイバーエージェント、Zホールディングス、エムスリー、リクルート
時価総額は大きいが長期で成長できそうな優良テック企業。仕込むタイミングさえ間違わなければ株価3倍は目指せそう。この中で一番面白そうなのはサイバーエージェントになるが、事業がほぼ国内のみなので円安の恩恵を受けられないのがネック。Zホールディングスもしかり。長期で考えるとエムスリーやリクルートの方がよいのかもしれない。

・マネーフォワード、フリー、弁護士ドットコム
優良SaaS企業。時価総額が微妙に大きく強敵がいるのがネックだが、市場拡大と超優秀なスタッフにより業績3倍は目指せそう。SaaS企業は足元で大きく売り込まれており、だいぶ値ごろ感が出てきた。ただマネーフォワードとフリーが低価格で電子契約SaaSを始めていることに気づいた。電子契約はコモディティ化が進んでいるのかもしれない。そうなると弁護士ドットコムはやや厳しい展開になる。

・SUMCO。シリコンウエハーを製造する会社。高品質のシリコンウエハーへの引き合いは強く、増産投資もしているので長期で成長できそう。底値で買えば株価3倍は目指せそう。

・メック。電子基板の表面処理剤を製造する会社。CPUに使う半導体パッケージ基板用の高機能品は世界シェアほぼ100%。研究開発投資に積極的で価格競争力は強く、営業利益率は20%を超える。近年注力しているのが高周波の電気信号のロスを抑える技術。5Gや次世代自動車向けの需要拡大が期待できる(11/26ヴェリタス)。株価が下げたときに買えば3倍は目指せそう。

・オキサイド。12/22の大スポで紹介されていた銘柄。「レーザーテックと株式持ち合いをしていて、同社向けのレーザー光源を独占供給している。しかも半導体(露光装置)世界最大手ASMLもオキサイドから納入していて、世界シェアを独占している。ほかにも超高品質なSiCウエハーを共同開発する国の補助金事業も有望。半導体の演算処理を電気ではなく光で処理する次世代技術でもキーになる会社で“超”将来性がある」。テンバガーのにおいがする。

・パラマウントベッド
日本は2025年以降、団塊の世代が後期高齢者入りし始め、介護の需要爆発が起きるとされる。一方、少子化や共働き世帯の増加、厳しい労働条件、外国人労働者の減少などで介護人材の供給が追いつきそうにない。厚労省は2040年に医療や介護など福祉関連の人材が96万人不足すると推計している(11/21日経)。人手不足の問題を和らげる一つの策は介護のデータ化、デジタル化になる。例えば要介護者のベッドに睡眠・心拍・呼吸センサーを付けると、遠隔で患者の状態を確認できるようになり、夜会巡回が不要になる(11/22日経)。またセンサーで呼吸数などを継続的に計測すると発熱や認知状態を予測できるようになるともいわれている。パラマウントベッドは数年前から介護施設に睡眠・心拍センサーを提供している。NTT西と共同で睡眠センサーとAIで睡眠の質を解析し、高齢者の睡眠改善を促すサービスも始めている(12/8日経産業)。パラマウントベッドの医療・介護用ベッドの国内シェアは7割に達しており、センサーの普及は始まったばかりなので、今後の需要爆発・業績拡大が期待できる。

・エス・エム・エス
介護・医療業界向けの人材紹介サービス最大手。介護事業者の経営支援も行っている。業績の柱である人材紹介サービスの成長は今後も期待できるが、それ以上におもしろそうなのが介護システムSaaS事業になる。このシステムは介護記録はもちろん、勤怠管理、従業員・利用者の健康管理、オンライン面会などができる。介護分野のDXはまだ始まったばかりなので、このシステムもセンサーと並んで潜在力がある。

・SREホールディングス
12/26日経に紹介されていた銘柄。「SREホールディングスは適正な不動産の売買価格をAIで素早く査定するシステムを手がける。不動産業界では正確な売却価格を査定するために現地に訪問して物件状況や周囲の生活環境を調査する。相場価格のほか、過去の類似物件の取引価格を手作業で調べて算出するため手間と時間がかかる。SREホールディングスは周辺の相場のほか、協力してくれる顧客企業から成約価格のデータをもらい、AIの精度を高め、10分程度を査定書を作成できる。AIによる査定価格と実際の成約価格を比べた誤差率は4%程度で、人が判断したときの誤差率は7~8%なので、AIの方が適正な価格を算出できる。契約社数は2500社と1年前から7割増。解約率は0.6%程度。このシステムは消費者側にも利点がある。不動産を売りたいときは情報が不足し、適正な価格の判断ができず、買い手側が優位な状況が多い。AI査定で作成した査定書には解析データが記載されているので消費者も客観的に適正価格を知ることができる。矢野経済研究所は不動産テック市場は25年度に20年の2倍に膨らむと予想している。SREホールディングスは培った技術を応用し、証券会社向けのAIシステムも開発。証券会社の顧客の住所から不動産価格を推定し、過去の証券取引データと組み合わせて潜在的な富裕層を見つけ、金融商品の提案につなげている。社長は「業界を超えて需要は高い」と語る」

・アサヒホールディングス。貴金属リサイクルの大手。貴金属の価格は高騰しており貴金属リサイクルはメガトレンドになっている。アサヒは全国に回収ルートを持つのが強みで、新工場稼働により業績の拡大が期待できる。割高感はなく、配当はよい。底値で買えば株価2倍は目指せそう。ヴェリタス


■IPO企業
今年も新規に上場した会社を調べた。ただ直近で上場した会社は売買や評価が落ち着いていないので、2022年に上場した会社は調べなかった。今回調べたのは2021年10月~12月に上場した会社のみになる。

まずはそれらの会社を調べる前に、去年ピックアップしたIPO企業をみていく。

・STIフードホールディングス。主にセブンイレブン向けの惣菜(焼き魚やカップサラダ)を製造している会社。成城石井や世田谷自然食品などの高級スーパーなどへの納入も始めており、やや高級路線で攻めている。惣菜・弁当市場は単身世帯の増加に伴い拡大傾向にあるので今後も伸びが期待できる。9月に生産設備増強のための増資を実施しており、23年12月期には生産能力が現在の60%増になる見込み。
<ビジネスモデルの強度> ★★★
参入障壁は高いか ★★
ストック型収益か ★★★
時流に乗っているか ★★★☆

考察:2021年12月30日の株価は2860円。現在の株価3060円。
株価は3月くらいに1800円まで沈んだが、現在は去年より少し高い水準。業績は悪くなく、新工場稼働により今後生産拡大が期待できる。しかし成長力がやや地味な印象。

・プレイド。ウェブ上の消費者行動を分析するSaaS「KARTE」を開発・提供する会社。この分野では国内トップシェア。レッドオーシャン市場だがグーグルと提携しているので期待が持てる。時価総額は800億円(PSR10倍)とやや大型になるが伸びしろはありそう。ただグーグル以外の差別化ポイントを素人が見つけるのは難しそう。
<ビジネスモデルの強度> ★★★☆
参入障壁は高いか ★★
ストック型収益か ★★★☆
時流に乗っているか ★★★★★

考察:2021年12月30日の株価は2135円。現在の株価663円。
株価は年初が天井で、その後360円まで下落している。この下げはSaaSバブル崩壊の影響もありそうだが、下げの度合いが大きすぎるのでそれだけではなさそう。ただ興味がわかないのでそれ以上調べる気が起こらない。

・ポピンズホールディングス。ベビーシッターの派遣、保育所・学童施設の運営、介護の在宅支援サービスなどを手がける会社。15~64歳女性の就業率は7割を超えており、共働きが増えているので需要は底堅い。コロナの影響で一時成長が鈍化したが、足元では回復傾向。投資を着実に実行しており、今後も穏やかな成長を続けていけそう。
<ビジネスモデルの強度> ★★★
参入障壁は高いか ★★
ストック型収益か ★★★
時流に乗っているか ★★★★

考察:2021年12月30日の株価は2943円。現在は1533円。
株価は年初をピークに11月に1400円台まで下落。コロナ対策で人員を増やしたことなどが影響して業績は下振れ。コロナが明ければ業績は回復しそうだが、成長力はやや地味な印象。

・coly。スマホゲームの開発・運営を手がける会社。女性向け恋愛ゲームに強い。ゲームのキャラクターを利用したグッズ販売や舞台化、アニメ化も手がける。スマホゲーム市場は成熟市場かつレッドオーシャン市場ではあるが、双子姉妹の共同代表や内定倍率100倍を勝ち抜いた優秀なスタッフ(女性比率72%、外国籍社員比率10%、平均年齢28歳)により独自性のあるものを作れそう。IR資料に「同性婚歓迎」といった記載もあるので、LGBTQ向けのニッチゲームも生まれるかもしれない。
<ビジネスモデルの強度> ★★
参入障壁は高いか ★
ストック型収益か ★★
時流に乗っているか ★★★☆

考察:2021年12月30日の株価は2456円。現在の株価は1095円。
株価は3月に3100円台まで上昇しているがその後は下落基調。スマホゲーム市場はやはり成熟&レッドオーシャンで優秀なスタッフがいても厳しそう。

・Enjin。中小企業や医療機関に「PR支援サービス」を提供する会社。決算資料を読んでも具体的に何をやっているのかよくわからない会社だが、売上・利益は力強く伸びている。ホームページを開くと従業員の”圧”のあるPR感が伝わってくるので、なにかしらのPR力はありそう(IRのPR力はないが)。こういうわかりにくい会社は誰も調べないと思うので、ある意味チャンスかもしれない。
<ビジネスモデルの強度> ?
参入障壁は高いか ?
ストック型収益か ?(数字を見る限りストック型っぽい)
時流に乗っているか ?

考察:2021年12月30日の株価は2239円。現在の株価は1820円。
株価は4月に好業績を好感して3520円まで上昇しているが、その後はPR支援サービスのキャンセル増加や業績の進捗悪化などにより下落している。IRはわかりやすくなっており、この会社のやっていることは独自性がありそうなので調べてみる価値はありそうだが、いかんせん業態的に興味がわかないので調べる気にならない。

・アイ・パートナーズフィナンシャル。IFA(独立系金融アドバイザー)のサポートサービスを手がける会社。日本では資産形成層を中心に証券投資への意欲が高まっており、今後はそれをサポートするIFAの存在感も高まっていきそう。それに伴いIFAサポート事業も伸びそう。ビジネスモデルは有望に見えるが、時価総額が30億円と割安感がある。
<ビジネスモデルの強度> ★★★☆
参入障壁は高いか ★★★
ストック型収益か ★★★☆
時流に乗っているか ★★★★☆

考察:2021年12月30日の株価は850円。現在の株価は479円。
株価は年初以降、下落基調。ここはストック型のビジネスモデルだと思っていたが、調べてみるとそうではないことがわかった。市況悪化や競争激化などの影響もあり、業績は悪化が続いている。

・ベイシス。通信・電力・ガス等の事業者に対し、通信インフラの設計・施工・運用・保守を提供する会社。店舗内にAIカメラを設置したり、スマートメーターの設置・保守などを手がける。5G時代にはIOT機器が爆発的に増えていくのでその波に乗れそう。ただ事業の半分程度を「設計・設置」などのフロー型ビジネスが占めているため、ストック型の会社という感じではない。当初この会社は、電波塔のシェアリング事業を手がけるJTOWERのような存在かと思ったが、それとは全く異なるもよう。それほど特色のある会社ではないのかもしれない。
<ビジネスモデルの強度> ★★★
参入障壁は高いか ★★
ストック型収益か ★★★
時流に乗っているか ★★★★☆

考察:2021年12月30日の株価は4875円。現在の株価は2144円。
株価は半値落ちし、その後は緩やかな下落傾向。業績はそれほど悪くなさそうで成長ストーリーも描きやすそうではあるが、他社と差異化できるような特色はなさそう。

■まとめ
今回わかったのは、優秀そうな経営陣がいてもビジネスモデルが弱いと成長は難しいこと、IPO後1年は株価変動が激しく半値落ちがザラにあること、IPO後に力強く成長できる会社は全体の5%以下なこと、リスクに見合うリターンは得られそうにないこと、あたり。

前回の調査で見落としていたのはバイセル・テクノロジー。ここは高齢者宅へ出張訪問をして貴金属など高価なものを買い取り、オークションなどで販売する会社。査定時には現場査定に加え、モバイル端末を利用した専門家鑑定も行う。このようなニッチでアナログな領域をデジタルで変革していく会社こそピックアップすべきだと思った。

以上のような点を踏まえて、2021年10月~12月に上場した会社の中からめぼしい会社をピックアップした。今回ピックアップしたのは、サスメド1社。サスメドについては冒頭の売買記録のところに書いた。


■ZAIで紹介されていた銘柄
「ZAI 23年1月号」に10倍株特集が掲載されていたので久々に買ってみた。紹介されていた銘柄の中で目を引いたのはケアネットとカオナビの2社。簡単に調べてみた。

・ケアネット
国内の医師の約7割が登録する医療情報サイトを手がける。エムスリーの小型版のような会社。売上の9割は医師への医薬品情報の提供事業になる。30億円だった売上は新型コロナ発生後に90億円まで拡大している。会社は今後3年でさらに3倍の売上300億円、営業利益100億円にする計画を立てている。

ケアネットは医薬DX市場が現在の1200億円から10年後には3000~4000億円まで拡大すると推計している。M&Aや事業提携などをしてこの流れに乗っていくのが基本戦略だという。

事業計画書を読んである程度の説得力は感じたが、あと3年で業績3倍になるイメージはわかなかった。会社がこの計画を立てたタイミングは業績が急拡大していたときなので、少し楽観的になりすぎていたのではないかと思う。

仮に医薬DX市場がケアネットの推計通りに拡大するとしたら、素直にエムスリーを買おうと思う。

・カオナビ
タレント・マネジメント・システム「カオナビ」(SaaS)を開発・提供する会社。タレント・マネジメント・システム(人事管理システム)とは、従業員が持つ能力やスキル、他システムのデータなどの人材情報を一元化し、人事や経営の課題を解消するシステム。これを使うと人材配置シミュレーションや人材評価の効率化、ハイパフォーマー分析、モチベーション分析、離職分析などができる。

日本企業は人手不足感が強く、人材のミスマッチなどの課題も抱えているため、タレント・マネジメント・システムへのニーズは強い。にもかかわらず2021年の導入済み企業はまだ約13%にすぎない。調査会社のITRは今後3~5年は年20~30%の市場拡大が続くと予想している。

カオナビの業績は足元で力強く拡大しており、解約率は0.5%以下と強固なストック型ビジネスを形成している。導入企業数は人材管理市場において7年連続シェア№1を維持。カオナビは今後もトップを維持し2025年3月期に売上を現在の1.8倍の100億円、営業利益を現在の25倍の30億円にする計画を立てている。

ただ足元では競争激化により優位性が薄れてきたようにみえる。タレント・マネジメント・システムがその効果を最大限に発揮するのは人材が多い会社、つまり大企業になる。しかしカオナビは大企業からの採用率が低い。かわりに大企業はプラスアルファ・コンサルティングの「タレントパレット」を導入している。この分野で最も競争力があるのは「タレントパレット」ではないかと思う。

未上場企業のHRbrainも企業価値が前年比2.6倍の215億円になっているので(12/6日経)競争力がありそう。以前調査したチームスピリットにより、市場が拡大しても競争力が弱いソフトウェア企業は稼ぎにくくなることがわかっているので、カオナビのような会社は成長できない可能性がある。

カオナビがオフィスを縮小して在宅ワーク勤務にシフトしているのも気になる。アイデア勝負のソフトウェア企業はオフィスワークのままの方が競争力が高まるのではないかと思う。正直、ここを買うならプラスアルファコンサルティングの方を買った方がよいのではないかと思う。

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