2023年4月1日土曜日

保有株

保有比率の高い順に見ていく。

■ジモティー
基本シナリオ:最強の地元取引プラットフォームに
地味な本決算だった。今後の成長戦略もインパクトに欠けた。前期から新たに始まった人手を介した広告枠の販売は、業績の内訳をみると、自動配信広告の顧客がただ単にそちらにシフトしただけという感じなので、やる意義はなさそうだと思った。顧客側からすると広告単価は上がり、広告効果はおそらくあまり変わらないので、満足度は低下したのではないかと思う。ジモティーにしても、人手を介した分、広告事業全体の利益率は悪化したのではないかと思う。ただジモティーはこの分野に精力的に取り組んでいるようなので、なんらかの勝ち筋が見えてきた可能性もある。もう少し様子をみたい。

今後は地域限定の広告も載せていくという。地域限定の「ミスドのギフト券」などの広告はユーザー・企業ともに需要はありそうだが、現在「ジモティー」の広告枠を席巻している”コンプレックス広告”よりも単価は低くなりそう。今後はいかに”コンプレックス広告”を排除していくかが課題になりそう。

本決算で1つだけサプライズがあった。それは「ジモティー」広告を打っていないのにもかかわらずページビュー数と投稿数が伸びていたこと。昨年の4Qは広告を打っていたにもかかわらずページビューは微減で投稿数は微増だった。広告なしでこれらの数値が伸びたのはよい兆候。「ジモティー」が地域に定着し、自然需要が増えているのかもしれない。自治体との提携増加も地味に効いていそう。ジモティーは今期、広告をあまり打たず、「リユースの啓発活動」に力を入れていくという。よい作戦ではないかと思う。

ただ今後ユーザーやページビューが増えていくとしても、現在の1.5倍くらいが限界になりそう。そのためこの部分だけでは大きな成長は期待しにくい。今後業績を拡大させていくには、それ以外の部分、広告枠の販売拡大、エスクロー決済、地域SNS、スキルシェア、その他の新規事業に注力していく必要がありそう。

エスクロー決済については、先日、振り込み手数料引き下げを知らせるメールが届いた。これまでは1万円以下の売上金の振り込み手数料は500円かかっていたが、それが150円になるという。これはなかなかインパクトのある改善なので、この決済は今後伸びていくかもしれない。

地域SNSについては特に進展なし。この分野はブルーオーシャンなので投資する価値はありそう。責任者を置くなり、この分野の企業を買収するなりしたら、大きく成長できるのではないかと思う。

スキルシェアについてももっと力を入れてもよさそう。「ジモティー」でスキルシェアをした場合は手数料がエスクロー決済の5%しかかからない。他サイトと比べ価格競争力があり、ユーザー数の面でも強みがある。なぜ力を入れないのだろうか。
*この件については2,3年前にIRに提案している。

3/12日経産業に空き家のマッチングサイトに関する記事が載っていた。現在、立地が不便で傷んでいるなど、不動産仲介会社が扱いにくい物件の個人取引が増えているという。日本の空き家は2018年は約850万戸で、2030年代には約2000万戸まで増えるようなので、この分野のマッチングは今後急増していきそう。「ジモティー」にもすでにこういった物件は掲載されているとは思うが、「空き家ゲートウェイ」や「家いちば」などのサイトを参考にして、利便性を高めたら大きく伸びるのではないかと思う。
*この件もIRに提案しようと思ったが、スルーされるだけなので今回は提案しなかった。

3/17日経に「ジモティー」の求人広告に「闇バイト」掲載との記事があった。これに関しては、なにを今さらという感じ。この手の求人広告は表面上は普通の広告と見分けがつかないのでジモティーでは対処できなさそう。深刻な事件が起きないことを祈るしかない。

決算説明資料から社員数の表示が消えた。都合の悪い情報は隠す、というジモティーの悪いクセがまた出てしまった笑。こういう体質の会社は顧客にもおそらく都合の悪い情報を隠していると思うので少し心配。透明性の高いデジタル時代は自社に都合の悪い情報を隠してもすぐにバレるので、こういう会社は長期で信頼を失っていくのではないかと思う(2/9日経)。こういう体質は人間性の問題なので改めるのは難しそうだが、できたら改めてくれればと思う。今期からは有価証券報告書に人的資本情報を開示しなければならなくなる。その意味でも社員数の情報くらいは明記してほしいと思う。

社員数の表示を消した理由を考えてみた。ぱっと思いついた可能性は2つ。1つは社員の定着率の悪さを知られたくなかったため。2022年3Q末の社員数は54名だが、4Q末の社員数は50人に減っている(この数値は「株主総会招集通知」を参照)。また平均勤続年数は3.11年と短い(参照「株主総会招集通知」)。上場時(2019年12月末)の社員数は48名なので、社員の入れ替わりが激しそうなことがわかる。社内環境はあまりよくないのかもしれない。

もう1つは非正規雇用ばかりが増えているのを気づかれたくなかったため。2019年12月末の非正規雇用は23名だが、2022年12月末には115名と5倍に増えている。非正規を増やすのは状況によっては別に悪いことだとは思わないが、もしかすると現在注力している広告枠販売事業の主力を非正規にしていることを知られたくなかったのかもしれない。ただもしそうだとしても、広告枠販売事業は厳しそうなので、これは正しい戦略に見える。

・・情報を隠されるとこのように邪推してしまうので、その意味でも情報はオープンにしていったほうがよいのではないかと思う。

<「ジモティー」の主要カテゴリーの投稿件数>
・売ります・あげます 2022年4月 14860604 →7月 15540651(+680047) →10月 16507035(+966384)→2023年1月 17533994(+1026959) →4月 18503955(+969961)
・アルバイト 1173013 →1029785(-143228) →1175078(+145293) →1165733(-9435)→1309112(+143379)
・正社員 263384 →288632(+25248) →297837(+9205) →349910(+52073) →376806(+26896)
・中古車 891605 →880663(-10942) →899161(+18498) →1020510(+121349) →1015101(-5409)
・不動産 4746672 →5066025(+319353) →2731414(-2334611) → 2734151(+2737) →987150(-1747001)
・メンバー募集 755081 →777596(+22515) →800154(+22585) →823552(+23397) →828769(+5217)
・助け合い 381023 →392329(+11306) →409002(+16673) →426671(+17669) →436281(+9547)
・イベント 285390 →298778(+13388) →314690(+15912) →330160(+15470)→343348(+13188)
・教室・スクール 186931 →190520(+3589) →195454(+4934) →199244(+3790) →201831(+2587)
・地元のお店 165633 →170234(+4601) →176953(+6719) →183685(+6732) →188465(+4780)
・里親募集 122899 →127698(+4799) →136674(+8976) →144211(+7537) →144188(-23)
*投稿件数は「取引終了分」も含めてカウントされているので、実際に取引可能な投稿件数は上記の14分の1くらいになる。

<第1四半期の売上高予想>
まずは前回の予想の振り返りから。第4四半期の売上高予想は、ページビューが微増、投稿数も微増、広告単価は小幅増で自動配信売上高は小幅増の3億5千万円、マーケティング手数料は微増の9200万円、その他手数料(エスクロー決済手数料と掲載課金型広告)はほぼ横ばいの2600万円、合計売上高は4億7000万円(累計売上高は18.1億円)だった。

実際は、ページビューは微増、投稿数は小幅増、広告単価は微減で自動配信売上高は3億2500万円、マーケティング手数料は小幅減の8100万円、その他手数料(エスクロー決済手数料と掲載課金型広告)は5000万円、売上高は4億5700万円(累計売上高は18.02億円)だった。この中で、「その他手数料(エスクロー決済手数料と掲載課金型広告)」の伸びが一見サプライズに見えたが、よく見てみると自動配信売上とマーケティング手数料の一部が「その他手数料」にシフトしただけのように見える。広告事業の売上はトータルでは伸びていないので(利益率はおそらく低下)、掲載課金型広告事業はやる意義がないのではないかと思った。

以上を踏まえて、第1四半期の売上高を予想すると、ページビューと投稿数は微減、広告単価は横ばい、自動配信の一部が掲載課金型広告にシフトして自動配信売上高は微減の3億1000千万円、マーケティング手数料はマーケティングの一部が掲載課金型広告にシフトして7500万円、その他手数料(エスクロー決済手数料と掲載課金型広告)は7000万円になり、合計の売上高は4億5500万円になる。

2023年12月期通期の売上高予想は、1月にこのブログで17.5~20.5億円と予想していたが、会社が出した予想売上高は19.82億円だった(*「会社四季報2022年12月16日号」の予想は25億円だった)。

今期、ジモティーは営業利益率25%程度を目安に投資を実行していくという。投資は広告を控え目にし、主に「人」にしていくとのこと。広告への投資を減らすことに異論はないが、利益率25%にこだわる理由がいまいちわからない。株価対策だろうか。

今後3年の予想売上高成長率は年率0~15%程度。現在の妥当だと思える時価総額は100億円(株価1650円、PSR5倍)くらい。2030年の予想売上高・利益は現在の2~3倍くらい。


■イントラスト
基本シナリオ:債務保証事業で未収金撲滅
株価がやっと動き始めた。株式を保有してから2~3年、長かった。底値圏で半分売ってしまったのは残念だが、全部売らなかったのは幸いだった。あとは医療費用保証が軌道に乗ってくれさえすればベストシナリオが描ける。株価5倍も夢ではなさそう。第3四半期決算では医療費用保証の契約数が急増していたが、これは旧商品からの乗り換えがそこそこありそうであり、まだ軌道に乗ったかどうかはわからない。今後の契約推移を見守りたい。

イントラストが2022年5月に出資した「プライム・ストラテジー社」が東証スタンダード市場に上場することが決まった。この会社はAI導入やDX支援、自動化支援などを行う会社で、イントラストもこの会社の支援を受けているという。イントラストの出資比率は1.3%程度なので投資収益は軽微なものにとどまりそう。

イントラストが親会社プレステージの子会社であるプレミアライフを買収した。この会社は中小規模の管理会社をターゲットとした家賃債務保証を手がける会社で、中規模以上の管理会社をターゲットとしているイントラストとは補完関係になる。プレミアライフの過去3年の売上は平均4億円、営業利益は-2600万円~3200万円とパッとしないが、イントラストはこの会社を吸収して業績・生産性を高めていく考え。プレミアライフの顧客は信用力が若干低そうで、イントラストのノウハウをどこまで適用できるかわからないが、社長は商売上手なのでうまいことやってくれそう。

「ゼロゼロ融資」の終了や人手不足、物価高などが原因で倒産が増えている。東京商工リサーチによると2023年は倒産がさらに増える可能性が高いという。とはいえ前年比で10%増くらいでおさまりそうなので、イントラストには深刻な影響は出なさそう。1/14日経3/25ヴェリタス

2027年までのイントラストの成長シナリオと業績予想をざっと書いておく。今後3年は家賃債務保証事業が業績を牽引し、24年3月期の売上高は80億円、営業利益は20億円になる。その後は医療費用保証が業績を牽引し、27年3月期の売上高は120億、営業利益は26億になる。この時点での医療費用保証の導入病院数は300になる。

今後3年の予想売上高成長率は年10~20%程度。現在の妥当だと思える時価総額は240~320億円(株価1070~1430円、PSR3~4倍)。2030年の予想売上・利益は現在の2.5~3.5倍くらい。


■オキサイド
基本シナリオ:超高品質単結晶でグローバル・ニッチトップ10個


■ステムリム
基本シナリオ:再生誘導医薬でテンバガー達成
3月に変形性膝関節症のフェーズ2治験の結果が出た。安全性は問題なしで、患部への有効性は現在解析中とのこと。今のところプラセボ群より若干優位な状況らしい。今回の治験の主目的が「効果」ではなく「安全性」だったところに肩透かし感があった。素人的にはパッとしない結果に感じたが、株価はプラスに反応したので、プロの評価は悪くないのかもしれない。

表皮水疱症の治験が3月に始まった。
脳梗塞の治験は去年の12月に始まる予定だったがまだ始まっていない。悪い情報は出ていないので、もうじき始まりそう。

3月に決算説明動画がアップされたが、この会社にはもうほとんど興味がなくなってしまったので、今回は見なかった。

<イベント一覧>
・慢性肝疾患の第2相治験結果が2023年の4月頃に出そう。
・変形性膝関節症の第2相治験結果の詳細が2023年の5月頃に出そう。
・心筋症の第2相治験が2023年の半ば頃に始まりそう。
・表皮水疱症の第2相・追加治験の結果が2024年の中頃にわかりそう。
・脳梗塞(急性期)の第3相治験結果が2025年の後半あたりにわかりそう。

今後3年の予想売上高成長率は年率-20~20%程度。業績が急拡大するのは早くて2年後。現在の妥当だと思える時価総額は600億円(株価1000円)くらい。2030年の予想利益は30~500億円くらい。

■今後の計画
インフレが落ち着くまで静観する。ただし米VIXが40超、騰落レシオが70以下になった場合は買っていく。米国が景気後退入りして5~10ヶ月くらいたったときにも買っていく。株価が下げたときに買えるように銘柄のリストアップ・調査をしていく。

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