2023年4月1日土曜日

マクロ系金融指標

市場の仕組みを理解しやすい順番で見ていく。

■米10年金利
今後1年の予想レンジ:1.8%~3.6%の間で推移

米長期金利に与える要因を、影響の大きい順にみていく。
・経済成長率+インフレ率↑
長期金利の基準値は経済成長率+インフレ率になる。2023年の米GDP成長率は+1.4%程度、米インフレ率は+3~5%程度になる。

FRBの急激な金融引き締めにより米シリコンバレーバンクなどの金融機関が破綻し始めた(3/25ヴェリタス)。金融不安の高まりにより米経済成長率は下振れる確率が高まっている。3/25ヴェリタス

・金融政策→
FRBはインフレ対策として2022年3月から金融引き締めを始めており、2023年半ば頃までに政策金利を5.25%まで引き上げる予定。2024年は金融緩和に転換し4.3%程度まで引き下げる予定。3/23日経

金融不安が極度に高まった場合、FRBは金融政策を緩和に転換する可能性が高い。

政策金利を中立金利(2.4%)を超える水準まで引き上げると、景気(長期金利)には下押しの圧力がかかる。

FRBは2022年9月から国債などの保有資産をこれまでの倍速ペースで売却し始めており、年間で1.1兆ドルの資産(約150兆円)を売却する予定。FRBが今後3年で保有資産を3割(3兆ドル)売却すると長期金利には1%程度の上昇圧力がかかるとされる(日経日経)。ただし長期金利が過度に上昇した場合は英国のように国債売却を止める可能性もある。日経日経

金利が上昇すると政府債務の金利負担も重くなり、政府は予算規模を縮小せざるを得なくなる。そうなると景気(長期金利)には下押し圧力がかかる。

・リスクオン、オフ↓
インフレ高進、金融引き締め、金融機関の破綻などによりリスクオフ気味。

・米国債の人気上昇→
米長期金利は海外の主要先進国の長期金利よりも相対的に高いので、海外勢から買われやすい。2022年の買越額は約100兆円と過去最大になっている。2/22日経

ただ、米金利上昇により為替ヘッジコストは上昇しており、日本では米国債利回りから為替ヘッジコストを差し引くと利回りがなくなってしまう。そのため日本の一部の金融機関は米国債から日本国債に資金をシフトしている(日経)。

海外勢の中で最も米国債を保有する中国は米中対立により米国債の保有を減らしている。2/17日経

そもそも論になるが、海外の高利回り国債は購入しても最終的には為替で価値が調整されてしまうので、買ってもそれほど利益は出ない。ヴェリタス

・資金需要の低下、金余り↓
第4次産業革命の主役はデジタル企業になるが、デジタル企業は設備投資のための資金需要が少ない。少子高齢化の影響で借り入れ需要も減っている。

金余りで運用難に陥っている米金融機関や米企業は多く、そういうところがこぞって米国債を買っている。日経日経

・潜在成長率の低下↓
生産性の伸び悩みなどで潜在成長率は低下傾向にある。

・財政赤字の拡大↑
米国の財政赤字は毎年100兆円を超えているので、米国債の供給増や通貨の信認低下により、長期金利には上昇圧力がかかっている。ただ、他国の財政状況も似たようなものなので、たいした影響はない。

投機筋は米10年債先物を大きく売り越している。投機筋は今後金利が上がるとみている。

・チャート↓
<10年チャート> 高値圏でもみ合っている感じ。そろそろ下げに転じそう。


■WTI原油
今後1年の予想レンジ:60ドル~120ドルの間で推移

原油価格に与える要因を、影響の大きい順にみていく。
・需要→
原油の需要は世界経済成長率にほぼ連動する。2023年の予想世界GDP成長率は2.9%になる。ただ足元では景気後退により成長率が下振れする確率が高まっている。

長期では、再生可能エネルギーの増加や学校・職場のリモート化などにより石油需要は減少していく可能性が高い。仏トタルや英BPは2030年頃に石油需要がピークアウトすると予想している(ヴェリタス日経)。

ロシアのウクライナ侵攻により原油・ガスの供給途絶リスクが表面化し、脱炭素シフトが前倒しされる可能性出てきた(日経3/14日経)。国際エネルギー機関(IEA)は再生可能エネルギーが2025年に最大の電源になると予想している。日経

一方で、世界人口増や再生エネルギー開発の滞りなどが原因で石油需要が増えるという見方もある。米エネルギー情報局(EIA)は2050年の石油需要が2020年比で4割増になると予想している(日経)。

・供給↑
OPECプラスは1バレル90ドル前後の水準を維持することを目的に減産に動いている(日経1/28日経)。米国のシェールオイルは増産ペースが鈍い(2/19日経)。国際エネルギー機関(IEA)は2023年前半は石油の需給バランスはとれるものの、年後半は大幅な供給不足に転じる可能性があると予想している。3/10日経

長期では、脱炭素の潮流を受けて油田開発投資が大きく減少しており(3/6日経)、また再生可能エネルギーの普及には時間がかかるので、大幅な供給不足に陥る可能性がある。

米国の戦略石油備蓄は40年ぶりの水準まで減っている。ロシアの減産に伴う価格高騰を抑えるため備蓄を放出しているのが原因。ただこれ以上の放出は緊急時の対応ができなくなる恐れがあるので、大規模な放出は難しくなってきている。米エネルギー省は原油価格が67~72ドルになれば戦略石油備蓄の補充に動く方針とのこと。3/10日経

・産油国で不測の事態が起こる↑
ロシアがウクライナに侵攻したため、西側はロシアからの原油輸入を大幅に減らしている。一方、中国やインドはロシアからの原油輸入を大幅に増やしている。ロシアの原油生産はほとんど減っていない。日経日経

ベネズエラやイランは西側から制裁を受けており、産油量が減っている。ただ西側は2国への制裁を緩和しそうなので、供給は徐々に増えていきそう。日経日経

中東では石油施設へのテロ攻撃が度々起きている。日経

*石油(エネルギー)は人間にとって食料と同じ生活必需品のため、わずかでも不足が生じると価格が跳ね上がりやすい。

・産油国、産油企業、再生可能エネルギーの採算ライン→
サウジアラビアとロシアで財政均衡に必要な原油価格の水準は1バレル80ドル、アラブ首長国連邦(UAE)とイラクは75ドル(日経)、米産油企業の採算ラインは45~70ドル、再生可能エネルギーは30~80ドルになる。原油価格はこの範囲内に収まりやすい。

・リスクオン、オフ↓
リスクオフ気味。原油は株式と同じリスク資産なので、リスクオフ時に売られやすい。

・インフレ対策↑
原油などの商品はインフレヘッジ手段になる。足元ではインフレ対策としても買われている。

・為替↓
原油はドル建てのためドル高になると原油価格に下押し圧力がかかる。足元ではドルが下落基調なので、原油価格には上昇圧力がかかりそう。

・チャート→
<10年チャート> 下げ止まりつつあるように見える。60ドルくらいが底になりそう。


■ドル円
今後1年の予想レンジ:110円~135円の間で推移

為替に与える要因を、影響の大きい順にみていく。
・日米の長期金利差↑ (↑は円安方向、↓は円高方向)
米10年金利は高インフレと政策金利の引き上げにより3.5%まで上昇している。一方、日本の長期金利は金融緩和などの影響で0.3%程度で停滞している。

金利差拡大によりキャリー取引が増えている。
*キャリー取引とは金利差を狙った取引。短期金利差が大きくなると低利通貨を売り、高利通貨を買って、金利差で収益を得る取引が盛んになる。ただ市場が荒れ始めると金利収入以上の為替差損を抱えるリスクが増すので、手仕舞われやすくなる。

・日米の量的緩和政策↑
米国は2022年5月ごろから量的引き締めをしているが、日本は量的緩和を続けている。日経

・日本の経常収支↓
円安や資源高、産業競争力の低下、輸出主導の経済構造の変化などにより、22年度の貿易赤字は過去最大の約19兆円になった。ESPフォーキャスト調査では、23年度は17兆円、24年度は13兆円の貿易赤字が続くと予想されている(1/20日経)。ただ所得収支も増加しているため、経常収支は11兆円の黒字を確保している(3/18ヴェリタス2/9日経)。2023年は所得収支の黒字が増えて貿易赤字が減りそうなので、経常黒字の拡大が予想されている。3/18日経

・米国の経常収支↑
米国は経済が強いので経常収支は改善傾向にある。

・リスクオン、オフ↓
リスクオフ気味。日本は世界一の対外純資産国なのでリスクオフ時に円は買われやすい。

・日米の経済の強さの違い↑
資金は経済の強い国へ流れ、その国の株式や債権、不動産などが買われる。デジタル革命を主導する米経済は相対的に強いのでドル資産が買われやすい。
*日本の個人投資家は2021年に海外株を8兆3千億円買い越しており、その9割程度は米国株になる。なお同年の日本株の買越額は280億円になる。日経日経

・日本企業の対外直接投資↑
国内需要はほぼ頭打ちなので、日本企業は海外での直接投資を増やしている。ここ数年は年12~22兆円の買い越しが続いている。対外純資産に占める対外直接投資の比率は増加傾向で、2020年には47%まで上昇している。一方、対外証券投資の比率は28%まで低下している。日経

・国内投資家の対外証券投資→
日本の機関投資家は国内の超低金利で運用難に陥っているので、高い運用利回りが見込める海外債権や株式などを買っている。個人投資家は成長力の高い海外株を積極的に買っている。ここ数年は両者合わせて年10兆円超の買い越しが続いていた。ただ直近ではドル調達コストの上昇などにより機関投資家の海外証券投資は大幅に減っている。生保に限っては2022年に11兆円売り越している。日経2/20日経

・海外投資家の国内証券投資→
円調達時の上乗せ金利(ベーシススワップ)が低く、日本国債の金利は安定しているため、ここ数年、海外投資家は日本国債を年10兆円程度のペースで買い越していた(日経)。ただ2022年は国債価格の下落を見越して中長期債を10兆円超売り越している(1/13日経)。足元では日銀の国債貸出料の引き上げや米欧の金融不安などにより中長期債の買い越しに転じているもよう。3/25日経

・FX投資家の持ち高→
FX投資家(個人投資家)の月あたりの取引規模は約1000兆円(うちドル円取引は約800兆円)に拡大しており、東京市場での取引の約半分を占めている(ヴェリタス1/18日経)。2022年10月頃までは個人が大きく買い越しており、円安が進むとみていた。現在の持ち高は不明。

・投機筋の持ち高↑(「円 投機的ネットポジション」で検索)
投機筋は円売りを継続している。円が下落するとみている。
*ドルを売り持ちした場合はスワップポイント(金利差分)を支払わなければならないので、ドル売りが長く続くことは少ない。
*スワップポイントはドル買い時よりもドル売り時の方が高く設定される傾向がある。例えば、日米短期金利差が約3%あった2022年9月にドルを1万ドル買った場合、1日の金利差収入は92円くらいになるが、ドル売った場合は金利差損失が1日159円くらいになる。日経

・ドル需給↑
FRBがドルを大量供給しているのでドルはだぶつき気味だったが、ウクライナ危機などにより基軸通貨ドルの需要が高まっている。

購買力平価
物価が上がると(インフレが進むと)、物やサービスを買うときにより多くの額のお金が必要になるが(購買力は下がるが)、物価が下がると(デフレが進むと)、物やサービスを買うときにより少ない額のお金しか必用なくなる(購買力は上がる)。この物価変動に着目して二国間の通貨価値をならしたものが購買力平価になる。

インフレ率は日本より米国の方が慢性的に高いので円の購買力平価は長期的な円高傾向にある。ただ米国のインフレ率は年々低下しており日本のインフレ率との差が縮まってきているので、購買力平価の下降曲線はなだらかになってきている。

現在の購買力平価(企業物価)は89円になる。為替相場は長期的にはこの値に収斂していくので、円の下限は70円、上限は110円くらいになる。

・日銀が保有する日本国債の値下がり↑
日銀が1%程度の金利上昇を許容するような金融政策を行った場合、日銀は債務超過に陥る可能性が高い。日銀は国債について満期保有を前提とした会計処理を採用しており、債務超過になっても日銀は自ら通貨を発行できるので資金繰りに行き詰まることはないが、円に対する信用は落ちる。
*日本経済研究センターは日銀が長短金利操作を撤廃した場合、長期金利が1.0%程度まで上昇すると予想している。日経
*日銀は長期金利が1%に上昇した場合は日銀が保有する国債に28兆円、5%に上昇した場合は108兆円の含み損が生じると試算している。日経
*22年末に日銀が保有する国債の含み損は約9兆円まで膨らんでいる。3/18日経

・日銀が保有するETFの簿価割れ→
日銀の自己資本は約10兆円なのに対し、保有する日本株ETFは簿価で約35兆円ある。日銀の保有するETFの損益分岐点は日経平均株価21000円くらいであり、日経平均株価が15000円台まで下がると日銀は債務超過に転落する(日経)。ただ現時点でそこまで下がる可能性は低い。

・米制裁によるドル離れ↓
米国は対立する国に「ドル取引の制限や禁止」といった金融制裁を課すことがある。現時点で米国はロシアやイラン、トルコ、中国などに金融制裁を課しており、これらの国は米国債の保有を大きく減らしている。今のところドル離れは一部に留まっているが、今回のロシアへの制裁(ロシア中銀が保有するドル資産凍結)をきっかけに、ドル離れが加速する可能性がある。日経2/17日経

・日本政府の過剰債務↑
日本政府の債務は返済不可能な水準まで膨れ上がっており、2030年頃には臨界点に達し円の暴落が起きる可能性がある。米国も返済不可能な水準まで債務は積み上がっているが経済が強く、基軸通貨なのでドルの暴落は起きにくい。

・キャピタルフライト↑
日本は財政問題や経済低迷などの問題を抱えているため、日本人は円資産を海外資産にシフトし始めている。国内の家計の預貯金は約1100兆円あり、その1%(11兆円)でも海外に向かえば円相場へのインパクトは大きくなる。

・為替介入→
2022年9月に政府・日銀が円安を食い止めるために為替介入を始めた。ただ規模が小さく、海外と連携した協調介入を行っているわけでもないので(日経)、影響は小さい。

・チャート
<10年チャート> ピークアウトして下落基調にある。

■日経平均
今後1年の予想レンジ:22000~28000円で推移

日経平均に与える要因を、影響の大きい順にみていく。
・金融政策→
世界の中銀の総資産と世界の株価指数はほぼ連動しており(日経)、現在中銀は資産を売却し始めている。ただ2022年の10月ごろから、日本、欧州、中国の中銀の資金供給が増えており(2/18日経)、米国でも2023年3月の金融不安をきっかけに資金供給が増えている。3/22日経3/17日経

・金利↓
金利が上昇すると株式から債権へ資金が流れやすくなる。現在、金利は高水準にある。

米長期金利上昇により、米金融機関全体の債券の含み損は22年末時点で6204億ドル(約80兆円)と1年前の79億ドルから急拡大している。これは米金融機関全体の自己資本の約3割に相当する(3/24日経)。日本の金融機関も外債の含み損が膨らんでいる(日経)。一般に含み損率が高まると株式などのリスク資産投資が減少する。

・株式利回り↑
東証プライムの益回りは約7.09%、配当利回りは約2.39%と、日本の10年国債の利回り0.32%より高いので、株式に資金が流れやすい。

・為替↑
円安が進むと海外勢は日本株を買いやすくなる。ただ、2022年は売り基調になっている。日経

・需給↑
海外勢の売り玉はなくなりつつあり、日本企業の自社株買い意欲は旺盛なので、日本株は下がりにくい。大きく下がったときは日銀の買い支えも期待できる。

主な投資主体の売買動向
<2023年の予想>
日本銀行:買い支えで1兆円の買い越し。現状は1400億円の買い越し。
事業法人:自社株買いで4兆円の買い越し。現状は1兆円の買い越し。
海外投資家:静観モードで5千億円の売り越し。現状は1.1兆円の売り越し。
個人投資家:逆張り投資で1兆円の買い越し。現状は1300億円の買い越し。

・EPS(1株利益)↓
日経平均株価は基本的にはEPS(1株利益)× PER(期待度・人気度)で決まる。2023年の予想EPSは-10~5%になる。
ーーーーー
EPSに影響を与える外部要因についてもみていく。
・為替→
日本企業は海外で収益の6割を稼ぐので為替相場の影響が大きい。今は円安気味なので利益は増えやすそうではあるが、輸入価格が高騰しており、この分を価格転嫁できなければ利益は大きく増えない。2月の企業物価指数は前年同月比8.2%で消費者物価指数は3.1%なので、約5%分を価格転嫁できていないことになる。この調子でいけば利益はあまり増えない。

・海外景気↓
日本企業は海外で収益の6割を稼ぐので海外景気の影響を大きく受ける。今後の世界景気は後退する可能性が高い。

・失業率↓
失業率が低下すると賃金が上昇して企業収益が圧迫される。労働量力不足で成長が頭打ちになりやすい。現在の失業率は最低水準にある。

・減価償却費や資源価格↓
減価償却費や資源価格(原材料費)が上昇すると利益が圧迫される。足元では減価償却費は横ばいだが、資源価格は上昇している。

・金融政策↓
金融引き締めで金利が上昇すると企業の利益や資金調達環境は悪化する。今は世界中で金融引き締めをしている。
ーーーーー

・PER(期待度、リスク選好度)→
日経平均の過去のPERは11~17倍くらいだが、現在のPERは13.09倍とやや低い水準にある。ただ景気後退によりEPSが下がりそうなので、妥当な水準にみえる。

投機筋の持ち高
買い残は1兆4300億円で、裁定売り残高は2800億となっている。投機筋は日本株が上がるとみている。

・個人投資家の流入↑
日本の家計が抱える預金・現金は約1100兆円あり(日経)、コロナ禍の「巣ごもり」や「老後2000万円問題」などの影響で株式市場に個人投資家が流入している。ただし、買っているのはほとんど米国株になる。

・パッシブ運用の膨張↑
パッシブ運用にはストック効果(積み上げ効果)があるので、この運用が増えれば株価は下がりにくくなる。現在、投信やETFでパッシブ運用の比率が高まっており、世界では44%、日本では73%まで高まっている。ただパッシブ運用が増えると流動性が低下し、値動きが激しくなりやすいという問題がある。日経日経

・チャート→
<10年チャート> 辛うじて上昇トレンドを保っているがそろそろ下げそうな雰囲気。


■東証グロース指数(旧マザーズ指数)
今後1年の予想レンジ:800~1000の間で推移

東証グロース指数に与える要因を、影響の大きい順にみていく。
・金融政策↓
東証グロース指数は中銀の総資産との相関が全市場の中で最も高いので、中銀の資産縮小時には真っ先に売られやすい。とはいえ、中銀が資産を売り始める前にグロース指数はコロナ前の水準まで売り込まれているので、やや売られすぎの感がある。

金利の上昇も小型グロース株には逆風になる。金利が上昇すると将来の成長期待を買われている小型グロース株はバリュエーションが低下しやすくなる(詳細は後述)。また小型グロース企業には赤字企業が多く、金利上昇時には成長資金を調達しにくくなる。

・需給→
グロース市場は日銀の買い支えがなく、自社株買いもあまり期待できないため、相場下落時は下げ止まりにくい。ただ海外投資家は売り尽くした感があるので(ヴェリタス日経)、売り圧力は弱そう。

個人投資家は含み損を抱えているため大きな買いはあまり期待できない。

・EPS(1株利益)成長率
不明

<グロース市場の反転シグナル>
信用評価損益率の急激な悪化は一つの反転シグナルになる。信用評価損益率が急激に悪化して、追い証回避の投げ売りが殺到すると、信用取引での買い持ちが急減して需給が軽くなる。過去の例では、そのタイミングで海外投資家が買いに転じるパターンが多い。

現在の信用評価損益率は-??%と平均の-10%より低いが、下落の仕方が緩やかなのでセリング・クライマックスのような投げ売りはまだ見られない。

2007~2009年の金融危機では、2007年12月に信用評価損益率が-30%を超え、そこから約1年5ヶ月にわたってマイナス幅が30を超えていた。この間にマザーズ指数は900台から300近くまで落ちている。当時も今も金融引き締めなど、似たような状況であり、このような前例を踏まえると、東証グロース指数はあと半年くらい調整が続くかもしれない。ヴェリタス

<マザーズ指数の10年チャート> 下降トレンドだが、MACDがゴールデンクロスしているので底を打ったように見える。

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