2025年4月1日火曜日

『メタトレンド投資』

 3月初旬、PACの損切りで打ちひしがれているときに、Googleニュースの「おすすめ」欄に「「次のエヌビディア」を見つける方法はこれしかない…「100倍になる株」を次々と掘り当てた投資家の絶対ルール」(3/3プレジデント)という記事が入ってきた。読んでみると、今まさに必要なことが書かれていたので、そこで紹介されていた本を読んでみることにした。参考になる点が多かったのでここで簡単にまとめておく。

■メタトレンド投資とは
メタトレンドとはメタ(高次の)とトレンド(流れ)を組み合わせた造語で、メタトレンド投資とは、時代の巨大なうねりを早い段階で捉え、しかるべき企業に投資し、その長期的な成長を狙う、という投資法。メガトレンド(巨大な流れ)投資とほぼ同義。

メガトレンド投資自体は目新しいものではないが、著者は20年以上この手法を実践し、そこで築き上げた独自のノウハウがとても参考になった。

■メタトレンド投資を実践するポイント

1,焦る必要はない
メタトレンドは10年、20年単位で社会やライフスタイルを変える大きな流れなので、多少出遅れても全く問題はない。多くの人が「これは来る」と思い始めた段階で投資をしても十分間に合う。例えばエヌビディアの株価は、ChatGPTが登場した後に10倍以上上昇した。

また、トレンドが本当に起きるかどうかを様子見できるため、リスクを抑えることもできる。

2,いきなり大きく賭けない
株式で先行利益を得るためには早い段階で有望株に一気に資金を投じるべきと考える人は多いが、確実に予測できる未来はないので、いきなり大金を投じるのはリスクが高い。有望企業はメタトレンドという大きな流れに乗って飛躍的に成長していくので、小額の投資から始めても大きなリターンを得るチャンスは十分にある。

3,「推し」の視点を活用する
メタトレンド市場では競争が激化するため企業選定が難しい。そんなときは「推し」の視点が役立つ。「これがないと生活できない」と思えるほど支持している商品・サービスを提供している企業や、心から応援したい会社があればそれが重要な選別ポイントになる。ファンならではの知識と熱量が投資判断のアドバンテージとなる。

4,薄く広くベットする
今後急成長していく企業を初期の段階でピンポイントで当てるのは不可能に近い。メタトレンドに乗りそうな企業をまずは複数抑えておくのが無難。気になった会社をウォッチリストに入れるか小額投資をして、半年から1年程度様子見する。そこで思ったほど業績が伸びない、あるいはこの企業には確信が持てないと思えばカットする。まずは小さな関わりから始めることが大事。

5,取捨選択を繰り返す
銘柄の「次のきっかけ」を見極めながら、継続的に取捨選択していく。経営者の発言や業績動向を観察し、取捨選択を繰り返していくと、最終的に確信を持てる本命だけが生き残る。有望企業を10社見つけても最終的に残るのは1か2社。さんざん調べた揚げ句、投資を見送ることも多い。しかしその試行錯誤があるからこそ、これはと確信を持てる企業に出会える。

6,確信が持てたら投資を増やす
企業の成長を確信したら投資額を増やす。ただし、ここでもいきなりフルベットはしない。ベストな買い時を見極めるのは難しいのでドルコスト平均法を活用する。ドルコスト平均法とは最終的に○○万円投じると決めたら、複数回に分けて毎月一定額を投資する方法。平均購入単価がならされるため高値づかみのリスクを下げられる。ただし、市場が大きく下げたときはバーゲンセールなので、資金を多めに投じてもよい。

7,推せなくなったら売る
多くの企業では、魅力が薄れ、推せないと感じる瞬間がくる。そのようなときはさっさと売る。推せなくなった株を未練がましくもっていてもストレスがたまるだけ。株価が下がれば金銭的なダメージも大きくなる。仮にその後、株価が上昇したとしても、推していたころのような高揚感は戻ってこない。推せなくなったら売る、というスタンスが長期にわたって精神的に健全な状態で投資を続けていくための秘訣。


これらのポイントを押さえた売買をすれば、多少のマイナスこそあれ、大損はしにくくなる。


■その他のポイント

・経営者が大事
企業を見極める上で最も重要なのは経営者の資質。経営者のビジョン、人間性、経営哲学を理解せずに投資することはあり得ない。最終的に企業が成功するかどうかは経営者の根性にかかっている。経営では計画通りにいくことはあり得ない。不測のトラブルが起こるのは日常茶飯事で、そうした苦境に直面したとき、最後までやり抜く胆力と粘り強さを持っているかどうかが重要。経営者が諦めた瞬間に全てが終わる。

経営者に期待しすぎて痛い目に遭うこともあるが、それでも信頼できる経営者という条件は必須。

・2つの指標を確認する
<手元資金>
赤字企業の場合は手元資金で3年もつかどうかを見る。3年の猶予があれば、その間に資金調達や黒字転換できる可能性も十分ある。3年もたないようならスルーする。

<PER20倍>
PER20倍ということは、現在の利益の20年分が株価に織り込まれているということ。これは逆数(1/20)を取ると1年あたり5%となり、毎年5%の利益成長が少なくとも20年続くと市場が予想していると解釈できる。成長余地が少ないのにPERが20倍を超える企業は注意が必要。逆にPER20倍を大きく下回っていて割安に見えても、価値の下落が続くバリュートラップになる可能性もある。重要なのはPERとその企業の成長率とのバランス。

この2つを確認するだけでも、倒産リスクや割高企業をある程度避けられる。

・競合との比較はざっくりする
競合の動向はさほど重視しないが、ざっくりとは比較する。その目的は、自分の推し企業への情熱は思い込みではないか、冷静な判断力を失っていないかを確認するため。

・情報源はポッドキャストや一部メディア
もっとも重宝しているのがインタビュー系のポッドキャスト。1つのテーマがじっくりと深掘りされているので経営者の人となりがわかる。メディアはニューヨークタイムズ、ブルームバーグ、the informationなどが参考になる。

・情報収集には生成AIを活用する
生成AIは優秀な情報収集アシスタントになる。例えば、英語の記事や難解な論文をスピーディーに翻訳、整理してくれる。そこに質問をぶつけて、掘り下げることも可能。質問攻めをすることで見落としがほぼなくなる。ふわっとした質問でも、情報のとっかかりにはなる。まずは生成AIに情報をざっくりまとめさせると時間を大幅に節約できる。


■問題点
・「推し」企業は売りづらい
投資の世界では情に流されるべきではないと言われるが、推し企業は推しすぎるゆえに客観性を失い、シビアな判断をしづらくなることがある。そのため下落局面では損切りしづらい。しかし裏を返せば、長期保有しやすいともいえる。結果として、復活を待ち、報われることもある。

・「メタトレンド投資」には時間と熱意が必要になる
メタトレンド市場の個別企業をピックアップして、調べて、長期で観察、取捨選択していくには、一定の時間と熱量が必要になる。

・企業の見極めには専門知識がいる
著者は「10倍株」「100倍株」を多数引き当てているが、それらの株はすべてテック株になる。著者はWindows95やInternet Explorer のチーフ・アーキテクト(システム設計者)を務めたほどのテックマニアなので、それで精度の高い判別ができたともいえる。素人には真似がしにくい。

■これから来るメタトレンド
・AI:汎用人工知能(AGI)、超人工知能(ASI)の開発。

・ロボット・自動運転:アルファベット、エヌビディア、テスラ。

・AR/VR:余暇時間の増加に伴う需要拡大。

・EV・再生エネルギー・核融合:温暖化対策、エネルギー転換。

・量子コンピューター:スパコンの1億倍の計算能力と低消費電力。

・光半導体(IWON):NTT主導で開発中。超低消費電力。2032年頃完成予定。

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