プラットフォームとは基盤という意味で、ビジネスにおいては取引やコミュニケーションの「場」を提供するという意味合いがある。プラットフォームビジネスでは利用者が増えるほど「場」の価値は高まり、従来では成立しなかったようなニッチ分野の取引市場も、インターネットの普及により成立するようになってきた。
プラットフォーム企業はいったん市場を独占してしまえば、他の会社が後からその市場に参入することはほぼ不可能になり、「場」を提供しているだけのため独占禁止法にも抵触しにくい。利用者にとっても「場所」は1つのほうが利便性が高いため独占は許容されやすい。
独占型プラットフォーム企業の他の良い点は、リピーターが多いため収益にストック性があり、また競合がいないため高収益を保持することができることになる。そして独占している市場が成長市場であれば市場の成長と連動して業績を拡大させることができる。時価総額が50兆円を超えるAmazonやアルファベットでも、いまだに年率20%以上の成長を続けることができるのは一重にプラットフォーム企業であるため。
プラットフォーム企業に株式投資をすることにおいては、会社の方向性を見通しやすく、競合を調べる必要がないというメリットもある。私はプラットフォーム企業である弁護士ドットコムとペプチドリームに投資をしているが、持っていて非常に安心感がある。
投資における問題点は、強いビジネスモデルのため人気が高く、通常の投資尺度ではどうしても割高に見えてしまうこと。
以下、日本のプラットフォーム企業をざっと調べていく。
・エムスリー。医師向けの医薬品情報サイトを運営し、医薬情報担当官(MR)を配置しなくても医師に情報を提供できるプラットフォームを運営。治験や人材のプラットフォームも手がける。事業を海外に水平展開しているため伸びしろはまだまだある。
売上高成長率20% 営業利益率30% PER76倍 時価総額1兆4600億円
・アイスタイル。化粧品口コミのプラットフォームを運営。口コミサイトの成長は頭打ち
になりつつあるが、掲載された口コミの情報を使ってリアル店舗を展開し新たな成長ステージに入りつつある。
売上高成長率40% 営業利益率8% PER98倍 時価総額1130億円
・カカクコム。商品比較サイトのプラットフォームを運営。成長の伸びは穏やかになっているが売上や利益率は高水準を維持している。株価は保ち合いの状態だが、今後は配当UP、もしくはアイスタイルのようなさらなる成長が期待できる。
売上高成長率8% 営業利益率40% PER24倍 時価総額3930億円
・クックパッド。料理レシピのプラットフォームを運営。いったんは市場を独占していたが、経営者が変わって経営方針が変わり、動画付きレシピを提供する競合企業が現れたため業績は低下傾向。
前社長がいるときは株価が高かったが、それはオウチーノやみんなのウェディングなどのプラットフォーム企業を買収して、プラットフォーム帝国を築こうとしていたからのように思う。
売上高成長率0% 営業利益率30% PER18倍 時価総額620億円
・じげん。様々なプラットフォーム事業を展開・買収し、プラットフォーム帝国を築こうとしている。問題は市場を独占しているプラットフォーム事業が見当たらないこと。
売上高成長率30% 営業利益率30% PER66倍 時価総額1290億円
・夢の街創造委員会。出前の注文プラットフォームを運営。成長率や利益率はそこそこだがPERは175倍まで達している。決算の伸びはいまいちでも株価はそれほど落ちない。
売上高成長率10% 営業利益率15% PER175倍 時価総額840億円
・シンクロフーズ。飲食店物件仲介のプラットフォームを運営。まだ市場を独占したわけではないが、コンサル出身のやり手経営陣がその牙城を築きつつある。
売上高成長率30% 営業利益率40% PER128倍 時価総額420億円
・ゴルフダイジェストオンライン。ゴルフ関連の総合プラットフォームを運営。ゴルフは斜陽産業だが業績は堅調。
売上高成長率10% 営業利益率7% PER20倍 時価総額175億円
・IBJ。婚活関連で最大のプラットフォーム。日本は人口減なため市場としては厳しそうな印象だが、出生率の低下という解決すべき社会的課題があるので、今後も伸びていきそう。
売上高成長率10% 営業利益率15% PER38倍 時価総額450億円
・インフォマート。企業間取引のプラットフォーム。最近社長が交代して株価が息を吹き返した。
売上高成長率15% 営業利益率25% PER81倍 時価総額1360億円
・鎌倉新書。葬儀関連のプラットフォームを運営。
売上高成長率15% 営業利益率25% PER96倍 時価総額250億円
・ビューティガレージ。美容室向け商材のプラットフォームを運営。
売上高成長率20% 営業利益率6% PER32倍 時価総額130億円
・マークラインズ。車部品情報のプラットフォーム。
売上高成長率15% 営業利益率30% PER48倍 時価総額260億円
参考:株式投資のためのプラットフォームビジネス概論
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