2020年7月3日金曜日

持ち株チェック

保有比率の高い順に見ていく。

■弁護士ドットコム
基本シナリオ:法律分野をITで変革し最強のプラットフォーマーに
新型コロナを機に「脱はんこ」の動きが加速してきた。5/30の日経に「法務省などは(クラウドサインのようなクラウドを使った第三者が電子署名する)立会人型の電子契約書について、文書が有効だとは推定されない」みたいなことが書いてあったが、翌日の日経には「法務省がクラウドを使った電子署名を認める」と見解が変わり始め、6/19の日経には「政府が立会人型の電子契約でも契約の効力に問題がないことを認めた」みたいなことが書いてあった。なかなかドラマチックな展開になってきた。株式投資は下手なノンフィクションドラマを見るよりよっぽど面白いことがわかった。

持ち株は3年3ヶ月の保有でテンバガーを達成した。今回の勝因は主に3つ。まず1つ目はビジネスモデルが強かったこと。この会社は「10倍株候補の条件」「優良企業の条件」「最強のビジネスモデルの条件」をほぼ全て満たしていた。2つ目が人材が優秀だったこと。会社の成長は結局のところ人材によって決まるが、その人材が極めて優秀だった。そして3つ目が運になる。地合いや内部事情はよくわからないところも多いので、運の要素も大きかったのではないかと思う。

ただ現在の株価に割高感があることは否めない。PSR(株価売上高倍率)は45倍もある(トヨタは0.9倍、米アルファベットは6倍、エムスリーは20倍、米ドキュサインは26倍)。株価は「EPS(業績)×  PER(期待度・人気度)」で決まるが、この会社の業績はこの4年間で3倍くらいの拡大なので、残りはすべて期待や人気が押し上げたことになる。

株価は長期的には業績と連動していくので、期待や人気で押し上げられた分は不安定要因になりやすい。現在の株価は長期で見れば通過点に過ぎないとは思うが、今後しばらくは不安定な展開が続くのではないかと思う。

6/1の日経に「弁護士が相談者とビデオ通話」という記事があった。小さな記事だったが、これはなかなか画期的なことのように感じた。いよいよ「専門家が身近」になってきたように感じる。

今後3年の予想売上高成長率は年率30%程度。現在の妥当だと思える時価総額は1300億円(株価5800円、PSR25倍)程度。2030年の予想売上高は、売上高成長率が年率25%の場合は400億円、年率35%の場合は860億円。2030年の予想時価総額は4000~8000億円。

■ペプチドリーム
基本シナリオ:最強のペプチド創薬プラットフォームに
事業計画には今期2~6つの候補化合物が臨床試験入りする予定とあったが、4/23の日経に、「コロナの影響で新規治験中止広がる」とあったので、予定通り治験入りできない可能性が出てきた。仮に治験が止まった場合は特許の有効期間が短くなるという問題も出てくる。

ペプチドリームの空売りレポートを出した米マディ・ウォーターズがラッキンコーヒーの会計不正を暴いた(4/4日経)。昨年12月には英フィナブラーと英NMCヘルスの不正も暴いている。ペプチドリームが不正をしているとは思わないが、マディは侮れない存在だということがわかった。

米メルクと対コロナ薬を開発すると発表した。今回のコロナには間に合わないかもしれないが、将来的に発生し得るコロナに対しても有効性が期待できるようなので(6/11ロイター)、なかなか良さそうだと思った。

今後3年の売上高成長率は年率20%程度。現在の妥当だと思える時価総額は5000億円(株価4000円、PER100倍)程度。2030年の予想利益は、売上高成長率が年率20%なら300億円、年率30%なら700億円。2030年の予想時価総額は2兆~5兆円。

■ステムリム
基本シナリオ:再生誘導医薬が再生医療の主役に
塩野義と提携拡大のIRが出て再生誘導医薬の評価が高まり始めた。

今後3年の予想売上高成長率は年率10%程度。業績が急拡大するのは早くても3年後。現在の妥当だと思える時価総額は1000億円(株価1800円)程度。

■ジモティー
基本シナリオ:最強の地元取引プラットフォームに
地元掲示板「ジモティー」の伸びしろはまだまだありそうだが、いくつかの問題点もある。ぱっと思いついたものを書いていく。
・コロナで広告需要が減る。ジモティーの収益の柱は広告収入になるが、それがコロナの影響で落ち込みそう。業績は期初の計画よりも最大で20%くらい落ち込む可能性がある。ただ、在宅勤務や余暇時間の増加、金欠などでアクセス数・投稿数は増えそうでもある。長期的にはプラットフォームが地域に根付くことの方が重要なので、コロナは全体的に見るとプラス作用の方が大きいのではないかと思う。
・対面取引が面倒。ジモティーで取引する場合は、わざわざ相手に会わないといけないので面倒。若い人の利用が少ないのはおそらくそのため(コアユーザーは40~50代)。コロナの感染拡大が起これば対面取引は敬遠されそうでもある。
・必用なものがすぐに手に入らない。ジモティーで取引するのは地元だけなので、なにか必用なものがあっても検索して見つかる可能性はほとんどない。よほど暇な人でない限り利用しなさそう。
・犯罪の温床になりそう。ジモティーが取引を保証しているわけではないのでトラブルが起こる可能性が少なからずある。メルカリなどの競合がこの分野から撤退したのはおそらくそのため。ただジモティーは10年近くこの事業をしているので、ここら辺のノウハウは蓄積されていそうでもある。ドコモのdサービスと連携しており、ドコモが大株主になっているのでなんとなく安心感もある。
・妥当な時価総額がいまいちよくわからない。ナスダックに上場する同類の企業、58.comは好業績にもかかわらずPSRが4~5倍くらいしかない。これは犯罪リスクなどで株価がディスカウントされているためかもしれない。となるとジモティーも今くらいのPSR5~6倍が妥当な水準なのかもしれない。
・地合いが微妙。金融バブルは当面続きそうな雰囲気もあるが、肝心のファンダメンタルズが悪いのでなんともいえない。マザーズに関しては過熱感があるので、そろそろピークアウトしそうでもある。
・ロコガイドがライバルに浮上する可能性がある。先日上場したロコガイドはスーパーの電子チラシを閲覧するアプリなどを提供する会社だが、ロコガイド=「ローカル(地域)のガイド」であるように、今後は地域全般の情報を扱うようになる可能性が高い。経営者はカカクコム元社長の穐田誉輝氏であり、上場時に120億円を資金調達しているので、ジモティーを猛追してくる可能性がある。*ジモティーも1月に上場して資金調達をしているが、この上場はベンチャーキャピタルのイグジットを目的としたものだったので、資金調達は5億円くらいしかしてない。
・社長は株式市場への理解がない?社長は株式上場後に「自社の戦略を話す必要はない」として記者会見を行っていないが(3/4日経)、こういうスタンスではプロは買ってくれないのではないかと思う。もしかすると社長には株式市場への理解が不足しているのかもしれない。ただこの会社にはベンチャーキャピタルの資金が大量に入っており、筆頭株主のオプトとの関係も冷めたもののようなので(1/31日経)、社長は投資家(資金調達)に対してなにかトラウマのようなものを抱えているのかもしれない。

今後3年の予想売上高成長率は年率20%程度。現在の妥当だと思える時価総額は150億円(株価2700円、PSR10倍)程度。2030年の予想利益は現在の5倍くらい。

■eBase
基本シナリオ:最強の商品情報管理プラットフォームに
5年で2倍の株価を目指していたが、わずか半年でその目標を達成してしまった。全く買えてないので微妙な心境だが、とりあえずは喜んでおきたい。今回この会社や弁護士ドットコムを見ていてわかったのは株価は業績よりも地合いや人気で大きく動くということ。今後はその点も考慮して銘柄分析していこうと思う。

今後3年の予想売上高成長率は年率10%。現在の妥当だと思える時価総額は400億円(株価800円、PSR20倍)程度。2030年の予想利益は現在の3倍くらい。
*PSR算出で使う売上高は、「商品情報管理プラットフォーム事業」の売上高だけ。

■チームスピリット
基本シナリオ:最強の業務管理クラウドソフトに
クラウドソフト「TeamSpirit」はリモーワークに完全対応しているのでコロナ下でも順調に成長していけそう。この会社は1月30日から全面的にリモートワークにシフトしているので、今後もこの分野の機能が強化されていきそう。

ただ、このままリモートワークに全面的に移行したままでもよいのかという疑問もある。

リモートワークには、「仲間が毎日同じ場所で働いていないと不一致が生まれやすい」(ピーター・ティール)という欠点があるが、もともと不一致気味だったチームスピリットでは余計に不一致が生じてしまうのではないかという懸念がある。

また
「ホワイトボードの前で同僚とアイデアを出し合うことが、新しいことを始めるのに役立つと感じるようになった」(米ボックス社長)

「いろんな人とコーヒーを飲み、食事をとりながらオープンな態度で多くを話せば無限にアイデアは出てくる」(ファーウェイ会長)

「対面での接触が簡単だと知識の共有がすすみ利益を生み出しやすくなる。都市が発生した要因はこれだ。だからこそホワイトカラーが担う産業では集積度の高い方が収益性は高くなる。真の付加価値はデジタルでは置き換えられない対面接触で生まれている。むしろデジタル化が加速したことで都市に集積するメリットは高まっているとさえいえる」(BNPパリバ・チーフエコノミスト、河野隆太郎)

とあるように、創造性を高めるためにはオフィスワークが必須のようにも見える。

5月には資生堂が「TeamSpirit」を導入し、足下の業績は好調のようだが、長期では技術革新が停滞し競争力が落ちていく可能性もある。とりあえずもうしばらくは様子見を続けようと思う。

今後3年の予想売上高成長率は年率30%程度。今年の妥当だと思える時価総額は260億円(株価1600円、PSR10倍)程度。2030年の予想利益は現在の5倍くらい。

■今後の計画
株式市場は米金融政策(量的緩和)との相関が強いが、足下では世界中で大規模な金融緩和がされているので、株式市場ではちょっとしたバブルが形成されつつある。FRBなどは今後もコロナ制圧を最優先にして、金融市場や経済を全面的にバックアップしていく方針のようなので(4/10日経)、今後さらにバブルが膨らんでいく可能性がある。

とはいえ、ファンダメンタルズはかなり悪いので、今後株式市場が大きく下げても全く不思議ではない。

地合いの予想は難しいので、とりあえずは「強そうな銘柄を買って保持する」というスタンスでいこうと思う。

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