2021年4月2日金曜日

長期計画チェック

  「平時にじっくり考えて決めておいたことは、後悔する判断にはなりにくい」いわれているので、今のうちから長期的な計画を考えていく。

■今後の景気について
今年はコロナワクチンの普及により徐々に景気が回復していきそう。ただ今回のコロナ禍では債務がさらに膨れ上がっているので、今後の景気回復は穏やかなものになりそう。2019年のEPSを回復するのは2024年頃になるかもしれない。

ワクチン以外に景気回復を促す要因がいくつかあるので、それらを一通り書いておく。
・イノベーションは経済成長の最も基本的な原動力になるが、今は世界中でイノベーション(デジタル革命など)が起きている。*経済成長の原動力は他に「労働力の増加」と「実物資本(耐久生産財)の増加」がある。
・ネット社会では情報を集めやすく、人が繋がりやすいので、イノベーション(新結合)が起こりやすい。現在はそこに膨大なデータとAIが加わりイノベーション速度は加速している。*AIは一見無関係に見えるものの関連性(新結合)を見つけるのが得意。
・バブルは借金をして資産を買いまくることにより生じるが、今回そのような現象はあまりみられない。現在起きている「金融バブル」は中銀が民間銀行から資金を借り入れて通貨を供給し、その通貨で国債などの資産を買い入れることにより生じているので破裂しにくい。(日米欧の中銀の総資産は2100兆円を突破し、リーマンショック前の4倍以上に膨らんでいる。11/13日経)。中銀が資金を引き揚げればバブルは崩壊するが、中銀はインフレ政策にこだわっているので、資金を引き揚げる可能性は低い。
 *ただ足元では従来型のバブルも醸成されつつある。2020年12月時点での機関投資家や個人の信用取引口座の借入残高は過去最高の80兆円まで積み上がっている。1/28日経
・社債市場はバブル気味だが、今のような低成長、低インフレ、過剰貯蓄の状況では金利が上がりにくく、バブル(高債務)の状態が維持されやすい。
・先進国の金融機関の財務状態は比較的良好なため、先進国では金融危機が起こりにくい。コロナの影響でデフォルト連鎖が起きても金融機関は7%超の自己資本比率を維持できる見通し。参照
・中国の不動産市場にはバブルの兆しがあるが、中国政府の需要抑制策により日本のバブル期ほどの過熱感はない。ただし、シャドーバンキング商品(銀行理財商品、委託融資、信託商品)への投資は過熱感が強く、2017年末の残高は1000兆円とGDP比8割の規模まで膨らんでいる。
・中国の企業債務は積み上がっているが、その大半は国有企業のものなので計画に沿って徐々に削減していけそう。
・中国政府には財政出動や金融緩和の余地がある。

景気後退シナリオもいくつかあるのでそれらも一通り書いておく。
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景気後退シナリオ1:災害や紛争で景気後退
日本ではいずれ必ず南海トラフ地震が起こるといわれており、中東では紛争などの地政学リスクが高まっている。こうした問題が実際に起こると景気には強い下押し圧力がかかり、過去の例では株価が15~35%下落している(参照)。しかし、このような状況になると必ず政府や中銀が大規模な支援策を講じるので景気は反発しやすくなる。また一過性の問題が過ぎ去されば経済はV字回復することが多い。一般に、災害や紛争は押し目買いのチャンスと言われている。

しかし、今回のコロナのように問題が大きく、長引きそうな場合は、そのまま景気後退に突入することもある。ただ、そこでも政府や中銀の大型の経済対策により、株式市場は上昇しやすくなる。今回のようなパンデミックは歴史的に見ると株式市場には追い風で、金融緩和や社会構造、経済構造の転換などにより、長期にわたる株高が発生しやすくなる。12/15ロイター

日本で南海トラフ地震と首都圏直下型地震が同時に起きた場合は1000兆円規模の損失が発生し財政破綻する可能性がある(参照)。
*政府は首都直下、南海トラフいずれについても30年以内に起きる確率を70%としている。1/22日経
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景気後退シナリオ2:インフレが過熱し景気後退
景気循環の従来のパターンは金融緩和→失業率低下・債務拡大→景気拡大→インフレ過熱→金融引き締め(金利上昇)→債務圧縮→景気後退になるが、今回はインフレが過熱していないので、景気後退モードに入りにくい。足元ではインフレが進み始めたが、構造的にインフレは起こりにくくなっているので、一時的な上昇で終わりそう。
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景気後退シナリオ3:中国の債務バブル崩壊で景気後退
中国の企業債務は積み上がっているが、その7割以上は実物投資ではなく、リスクの高い金融資産(シャドーバンキング商品)への投資に回っている。景気下振れなどによりいったんデフォルトが起きれば急激な資金の引き上げが発生して連鎖的なデフォルトが起こる可能性が高い。景気後退に陥ると独裁政権に責任が集中し、政権が転覆する可能性も出てくる。独裁体制は経済的に成熟した社会には適さないシステムとも言われているので、その意味でもこのタイミングで独裁体制が終わる可能性もある。これらの政治的混乱も相まって不況が深刻化していく。経済大国・中国の不況が世界に連鎖していく。

ただ、中国企業の債務は実質的には中国政府の債務なので、債務バブルが破裂する可能性は低い。
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景気後退シナリオ4:マイナス金利により金融機関が破綻し景気後退
先進国の金利はマイナス圏に突入しているので、利ザヤの縮小から金融機関が破綻していく可能性がある。金融機関が破綻すると信用収縮が起こり(金回りが悪くなり)、景気後退に陥りやすくなる。しかし、現時点では中銀が民間金融機関に配慮しながら金融政策を行っているので、穏やかな統廃合で済みそう。
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景気後退シナリオ5:中銀のインフレ政策が限界に達して景気後退
先進国の中銀はこれまで金融緩和で市場を支えてきたが、その金融緩和が限界に達しつつある。今後市場は支えを失い、大崩れする可能性がある。ただ、中銀の通貨供給能力は健在なので、今後は財政ファイナンスで市場を支えていけそうでもある。
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株価下落シナリオ1:米国での増税により株価下落
米国では新政権誕生により企業や富裕層への増税機運が高まっている。法人税の引き上げが実施されれば企業利益を押し下げ、キャピタルゲイン税が40%に引き上げられれば、増税前の利益確定売りは避けられない。ただ、法人増税はおそらくコロナ後であり、キャピタルゲイン税引き上げ前の売りは、その後に再投資されそうなので、当面は特に問題なさそう。

■今後の計画
円が90円台まで上昇したら、株価3倍以上を狙える海外株などを買っていく。ただ馴染みのある海外企業はすべて巨大なので株価の大幅上昇は見込みにくい。無理して買わないようにする。

よさそうな米国株は、アルファベット、アマゾン、マイクロソフト、アップル、フェイスブック、ツイッター、セールスフォース、ドキュサイン、ファイバーインターナショナル。

よさそうな新興国株は、インド株のETF、東京海上インドオーナーズ株式オープン。インドは2050年頃までは成長しそう。ただ、インフレ率が高いので株価が上昇しても為替差損で思ったほど利益にならないのかもしれない。

よさそうな商品は銅。EVなどで需要は右肩上がりだが、優良鉱山の減少や環境規制などで供給不足に陥りそう。

日本円と米ドルが暴落しそうになったら、スイスフランやスイスフラン建てのETF(UBS ETF スイス株 (MSCIスイス20/35))を買っていく。 

■今後の株式市場について
日本や米国の公的債務は返済不可能な水準まで積み上がっており、この巨額の債務を返済するには財政を健全化するか、インフレを起こすしかない。生活者に余裕のない状態で財政を健全化しようとすると逆効果になるので、現実的にはインフレを起こすしかない。

しかし、そのインフレもデジタル化やグローバル化などの影響で起こりにくくなっている。この状態でインフレを起こすには通貨を大量供給するしかない。現在、政府が大量発行した債権を中銀が買い取る形で通貨を大量供給しているが、この構図は今後もしばらく続く可能性が高い。

このような状態が続くと通貨の価値が下落していき、資産価格には上昇圧力がかかる。株式市場はこのような流れで今後、長期で上昇を続けるのではないかと思う。

ただし、このような政策を永遠に続けることはできない。このような政策を続けていると、どこかで必ず通貨の信認喪失が起こる。そうなるとインフレが加速し、国内からお金が逃げ出し、株式市場は大暴落する。それが起こるタイミングはおそらく、日本の経常収支が赤字に転落したとき(国の借金が民間の貯蓄を上回ったとき)になる。危機は2030年頃に訪れるかもしれない。

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