保有比率の高い順に見ていく。
■ジモティー
基本シナリオ:最強の地元取引プラットフォームに
今期の業績予想は売上高+6.7%、営業利益は+9%とやや弱気な予想になっている。会社説明によると「コロナ禍による巣ごもりで増加したユーザー数は徐々に平常化されていく」「自動配信、マーケティング支援の広告需要は2020年と同様の低調なトレンドが継続する」のが理由とのこと。
ただ、足元での「ジモティー」への投稿数は順調に増えている。前第1四半期の投稿数はブログではカウントしてないが、決算資料から前第1四半期と前第4四半期の投稿数はほぼ同数であり、その第4四半期の投稿数と今期の第1四半期の投稿数を比較すると、約21%伸びている(主力の「売ります・あげます」カテゴリーのみカウント)。これはロックダウンの影響もありそうだが、通期でも会社予想より若干上振れるのではないかと思う。米クレイグスリストの月間投稿数は8000万件を超えており(wiki)、ジモティーはまだ27万件程度なので、まだまだ拡大余地はありそう。
一方で、広告需要(広告単価)の方は不透明感が強い。会社側は「2020年と同様の」と言っているが、今年3月からiPhoneでIDFA規制(利用者の行動履歴や広告効果の測定に使われるクッキーの規制のようなもの)が始まったので、広告単価がさらに下がる可能性が高い。iPhoneの国内シェアは50%を超えているので、この規制のインパクトはそこそこ大きなものになりそう。
とはいえ、「ジモティー」に表示される広告にはIDFAを使うターゲティング広告以外にもリスティング広告(検索ワード連動広告)やノンターゲティング広告などもある。またドコモやグーグルのIDを使ってログインするソーシャルログイン(データを融通し合うログイン)もあるので、業績への影響は限定的になりそうでもある。足元ではポスト・クッキー技術の開発も進んでいるようなので(1/27日経、2/13日経、2/3デジタルガレージ、12/10日経、2/10日経)、数年後にはiPhoneでターゲティング広告が復活する可能性もある。収益の97%を広告収入に依存する米フェイスブックの株価は落ちてないので、この点はそれほど心配しなくてもよいのかもしれない。
上記を勘案すると、今期業績は売上・利益ともに10~20%程度の伸びになるのではないかと思う。ただし、前第1四半期はコロナの影響をほぼ受けていないので、今期の第1四半期の業績は前期比で横ばい程度になりそう。
今回の決算説明では他に、社員が2人減っていることが気になった。「ジモティー」は1000万人を超えるユーザーからのフィードバックで改善すべきところは山ほどありそうだが、この状況で人が減っているのが不可解。もしかすると、従業員が50人程度の米クレイグスリスト(売上高1000億円、営業利益500億円)を見習っているのかもしれないが、一株主としてはジモティーはもっと攻めてもよいのではないかと思う。社長は優秀なタイプには見えるのだが、創業者にみられるようなパワフル感に欠けるところが少し気がかかり。
それと、以前「ジモティーレポート」に書いた成長ストーリーが実現できるかが微妙になってきた。レポートには米クレイグスリストのように、仕事や不動産の分野でも大きく成長する、みたいなことを書いているが、今はそれらの分野で競合がひしめいているのでそれほど伸びない可能性もある。ただそれを考慮しても「無料広告」の潜在市場は巨大だと思うので、ジモティーの成長余地はまだまだあるのではないかと思う。
ココナラを調べていて、ジモティーは有望なスキルシェア・プラットフォームになれる可能性があると気づいた。ココナラなどのスキルシェア・プラットフォームは手数料が25~35%と高いことが問題だが、「ジモティー」は基本的に手数料がかからない。加えて、集客力が高いので、スキルシェア市場に本格参入したら面白いのではないかと思った。
「ジモティー」には動画でやりとりする機能はないが、スキルシェア「モッシュ」のようにズームやインスタライブと連携すればその問題も解消する。売り手と買い手の金銭の授受については手数料を少し取ってエスクロー決済(買主がサービスの代金を決済代行業者に対して支払い、サービス完了後に売主にお金を引き渡す決済方法)を導入すればよさそう。売り手の信頼性についてはレビューをきっちり書かせるようにすれば、それも徐々に高まっていくのではないかと思う。ジモティーはこの分野でも活躍できそうだと思ったので、このプランを書いたメールをIRに送っておいた。
「ジモティー」の主要カテゴリーの投稿件数
・売ります・あげます 7月15日 893080 →10月 945116 →1月 1013333 →4月 1096141
・メンバー募集 67116 →69364 →71879 →74732
・助け合い 25300 →26203 →27226 →28662
・不動産 466478 →511537 →518859 →402393
・アルバイト 43710 →44585 →46999 →61359
・正社員 13703 →14002 →15335 →17574
・イベント →31575
・中古車 →43199
・売ります・あげます 7月15日 893080 →10月 945116 →1月 1013333 →4月 1096141
・メンバー募集 67116 →69364 →71879 →74732
・助け合い 25300 →26203 →27226 →28662
・不動産 466478 →511537 →518859 →402393
・アルバイト 43710 →44585 →46999 →61359
・正社員 13703 →14002 →15335 →17574
・イベント →31575
・中古車 →43199
・教室・スクール →18364
・地元のお店 →13453
・里親募集 →7628
*投稿件数は削除されたものもあるので実際の投稿件数はもっと多い。
今後3年の予想売上高成長率は年率20%程度。現在の妥当だと思える時価総額は280億円(株価4800円、PSR20倍)くらい。2030年の予想売上・利益は現在の10倍くらい。
■ステムリム
基本シナリオ:再生誘導医薬でテンバガー達成
基本シナリオ:再生誘導医薬でテンバガー達成
第2四半期の決算説明で表皮水疱症の承認申請の協議がそこそこ順調に進んでいることがわかった。承認申請が遅れているのはレダムセチドが今までにない医薬コンセプトのためかもしれない。ただ、日経で少し気になる情報も目にしたのでその点についても少し考えておく。
2/7日経に腰椎間板ヘルニアの新しい治療薬「ヘルコニア」が紹介されていた。ヘルコニアはメリットの多い治療薬のようだが、アナフィラキシー(過敏症)のリスクもあるという。ヘルコニアは一度使うと体内に抗体ができ副作用が起こりやすくなるようで、生涯に一度しか使用できないという制約がある。ヘルコニアの主成分はタンパク質であり、ステムリムの薬剤の主成分も”ミニタンパク質”であるペプチドなので、同じような副作用が起こる可能性もありそう。詳しいことはわからないが、このリスクも考慮しておく。患者にとって有意義そうな薬剤が承認されないのは何かわけがあるに違いないので、この点は今後も探っていく。
今後3年の予想売上高成長率は年率0~10%程度。業績が急拡大するのは早くて3年後。現在の妥当だと思える時価総額は600億円(株価1000円)くらい。2030年の予想利益は0~500億円くらい。
■ペプチドリーム
基本シナリオ:最強のペプチド創薬プラットフォームに
基本シナリオ:最強のペプチド創薬プラットフォームに
前期はコロナによる研究開発の遅れで業績が確実に下ブレると思っていたが、まさかの上方修正が入った。本決算説明では今期も前期と同程度(売上110億円)は稼げるという。
株価は1月の上方修正時のコメント「(新薬開発などで)新たな契約の締結などが見込め、2ケタの増収増益を目指す」以降、上昇基調だったが、決算時の“慎重な”業績予想により元に戻ってしまった。
今期業績予想は悲観シナリオに基づいて作成されているようで、会社説明によるとコロナの影響は今期の方が大きくなる可能性もあるという。
去年はコロナにより臨床開発がストップしていたので、現在FDAには臨床試験の申請が殺到しているという。しかし、臨床試験は一気に全部できるわけではないので、そこで絞り込みが行われ、ペプチドリームの薬剤が除外される可能性もあるという。ペプチドリームの今期臨床入り予定のパイプラインは4~8本あるが、今期の臨床入りの本数でペプドリ薬の有望性がある程度推し量れそう。
不透明要素はいくつかあるが、長期的なシナリオには変化なし。創薬プラットフォームにはますます磨きかかかっているようなので、今後も安心してこの会社の株は持っていられそう。
共同創業者の窪田会長が退任してしまった。ただこれは円満退社であり、経営陣は金城副社長など優秀そうな人材で固められているので特に問題なさそう。
グーグル系のAI会社がタンパク質の立体構造を高精度で予測するAI「アルファフォールド」を開発した(1/16日経)。薬は主に病気に関わるタンパク質に結合して作用するので、このAIが予測したタンパク質の立体構造は創薬でも使えそう。今後は「アルファフォールド」×「富士通のデジタルアニーラ」×「PDPS」×「実験ロボ」で創薬速度がさらに加速していきそう。
*デジタルアニーラとは量子コンピューターに似た計算能力を持つ超高速計算機。用途は膨大な組み合わせパターンから最適なものを選ぶ「組み合わせ最適化問題」に特化している。
今後3年の売上高成長率は年率20%程度。現在の妥当だと思える時価総額は7000億円(株価5500円、PSR65倍)くらい。2030年の予想売上・利益は現在の5倍くらい。
■ココナラ
基本シナリオ:最強のスキルシェアプラットフォームに
2030年の予想売上・利益は現在の10倍くらい。
■今後の計画
株式市場では「金融相場」と「業績相場」が同時に起こっているので株価は上がりそうではある。しかし、米長期金利の上昇により割高感のあるグロース株には厳しい展開になりそうでもある。ココナラのような割高株は慎重に買っていく。ジモティーのような割高感のない株はいけそうだと思ったタイミングで買っていく。
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