塩野義の新型インフル薬の第2相臨床試験は良好な結果で終了した。ペプドリの新型インフル薬とどちらが有望かを調べてみる。
■塩野義のインフル薬
<作用機序>
ウイルスが複製をつくるのに使う酵素エンドヌクレアーゼを阻害して、ウイルスが細胞内で増殖するのを防ぐ。
<特徴>
・一日一回の投与で効果がある。服用してから24時間後にウイルスが激減する。
・発症後48時間以降に飲んでも効果がある。
・インフルエンザA型、B型、強毒型すべてに効果あり。
・大きな副作用なし
■ペプドリのインフル薬
<作用機序>
ウイルスは細胞内で増殖した後、別の細胞に移動して増殖していくが、その細胞移動のときに使うタンパク質・ヘマグルチニンを阻害してウイルスが体内で増殖するのを防ぐ。タミフルやリレンザと似た仕組みで、ウイルスを細胞内に閉じ込める。
<特徴>
・細胞内での増殖は止められないため、5日程度は外出を控える必要がある。
・リレンザよりも2,3倍の薬剤活性がある。
・発症後48時間以降に飲んでも効果がある。
・インフルエンザA型、B型、強毒型にも効果あり。
■従来のインフル薬 タミフル、リレンザ
<作用機序>
ウイルスは細胞内で増殖した後、別の細胞に移動して増殖していくが、その細胞移動のときに使う酵素ノイラミニターゼを阻害してインフルエンザが体内で増殖するのを防ぐ。ウイルスを細胞内に閉じ込める。
<特徴>
・細胞内での増殖はとめられないため、5日程度は外出を控える必要がある。
・5日間服用。途中で服用をやめると薬剤耐性ウイルスが発生する危険性がある。
・感染後48時間以内に服用しないと効果が限定される。
・すでに耐性ウイルスが出現している。
・効果なしというレポートも散見される。
■富士フイルムのインフル薬 アビガン
<作用機序>
ウイルスが複製をつくるのに使うRNAポリメラーゼを阻害して、ウイルスが細胞内で増殖するのを防ぐ。
<特徴>
・発症48時間後に飲んでも効果あり。
・妊娠中に飲むと胎児に奇形をもたらす可能性がある。
・エボラ出血熱や、他のウイルス感染症にも効果あり。
・特殊な場合でしか使用は認められていない。
■結論
インフル薬で経験豊富なロシュが塩野義と提携した時点で勝負はついていたかもしれないが、やはり塩野義がもっとも有望に見える。
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