「平時にじっくり考えて決めておいたことは、後悔する判断にはなりにくい」いわれているので、今のうちから長期的な計画を考えていく。
■今後の景気についてイノベーションの加速とコロナの収束により景気は徐々に回復していきそう。ただコロナ時に積み上がった債務と、インフレ対策の金融引き締めにより、景気には強い下押し圧力もかかりそう。今後は景気鈍化と物価上昇が併存するスローフレーション(スローグロースとインフレーションの造語)のような展開になりそう。
<補足>
景気循環の基本的なパターンは不景気 →金融緩和 →失業率低下・債務拡大 →景気過熱 →インフレ過熱 →金融引き締め →債務圧縮 →景気後退の流れになる。足元では景気が過熱する前にインフレが過熱しているので、従来のパターンとは少し異なる。景気が過熱する前に金融引き締めをすると景気が鈍化しやすくなる。
■景気後退シナリオ
景気後退シナリオ1:金利上昇でバブルが崩壊し景気後退
世界の政府・民間債務はGDP比で過去最高水準まで高まっているので、米金利が中立金利の2.5%を超えて上昇していくと、バブルが破裂する可能性がある。ただ現時点で金利が大幅に上昇する可能性は低い。
世界の政府・民間債務はGDP比で過去最高水準まで高まっているので、米金利が中立金利の2.5%を超えて上昇していくと、バブルが破裂する可能性がある。ただ現時点で金利が大幅に上昇する可能性は低い。
景気後退シナリオ2:中国のバブル崩壊で景気後退
中国の民間債務残高は積み上がっており、GDP比220%に達している(9/27日経)。景気下振れなどでいったんデフォルトが起これば、急激な資金の引き上げが発生して連鎖的なデフォルトが起こる可能性が高い。バブルが崩壊すれば独裁政権に責任が集中し、政権が転覆する可能性もある。もしそうなれば政治的混乱が相まって不況が深刻化する。経済大国・中国の不況が世界に連鎖していく。ただ中国政府には財政・金融政策をする余地があるのでバブルが崩壊する可能性は低い。
景気後退シナリオ3:中国が武力で台湾を併合して米中戦争が激化し景気後退
中国は台湾周辺の軍備を増強しており、2024年頃までに台湾を併合するという説がある(11/2日経)。実際にそれが起きれば米中戦争が激化し景気後退に陥る可能性がある。ただデメリットの大きな政策なので実際に起こる確率は低そう。
景気後退シナリオ4:災害や紛争で景気後退?
大災害や戦争が起こると景気には強い下押し圧力がかかる。しかし、こうしたことが起こると必ず政府が大規模な支援策を講じるので景気は反発しやすくなる。また一過性の問題が過ぎ去されば景気はV字回復することが多い。一般に、災害や紛争は押し目買いのチャンスといわれている。今回のようなパンデミックも株式市場には追い風で、社会構造・経済構造の転換や金融緩和などにより、長期にわたる株高が発生しやすくなる。ロイター
大災害や戦争が起こると景気には強い下押し圧力がかかる。しかし、こうしたことが起こると必ず政府が大規模な支援策を講じるので景気は反発しやすくなる。また一過性の問題が過ぎ去されば景気はV字回復することが多い。一般に、災害や紛争は押し目買いのチャンスといわれている。今回のようなパンデミックも株式市場には追い風で、社会構造・経済構造の転換や金融緩和などにより、長期にわたる株高が発生しやすくなる。ロイター
ただし日本で南海トラフ地震と首都圏直下型地震が同時に起きた場合は1000兆円規模の損失が発生し、財政破綻する可能性がある(参照)。
円が100円くらいまで上昇したら、3倍以上の値上がりが見込める海外資産を買っていく。ただ馴染みのある海外企業はすべて巨大なので株価の大幅上昇は見込みにくい。無理して買わないようにする。
よさそうな米国株は、アルファベット、アマゾン、マイクロソフト、アップル、フェイスブック、セールスフォース。
よさそうな新興国株は、インド株のETF、東京海上インドオーナーズ株式オープン。インドは人口ボーナスで2050年頃までは成長しそう。ただ、成長率の高い国はインフレ率も高いので株価が上昇しても為替差損で思ったほど利益があがらないかもしれない。
*GDP成長率とインフレ率は同程度になる。
よさそうな商品は銅。グリーン革命で需要は右肩上がりだが、優良鉱山の減少や環境規制などで供給不足に陥りそう。6/7日経
日本円と米ドルが暴落しそうになったら、スイスフランやスイスフラン建てのETF(UBS ETF スイス株 (MSCIスイス20/35))を買っていく。
■今後の株式市場について
日本や米国の公的債務は返済不可能な水準まで積み上がっており、この巨額の債務を返済するには財政を健全化するか、インフレを起こすしかない。しかし生活者に余裕のない状態で財政を健全化しようとすると逆効果になるので、現実的にはインフレを起こすしかない。
しかし、そのインフレもデジタル化やグローバル化などの影響で起こりにくくなっている。この状態でインフレを起こすには中銀が通貨を大量供給するしかない。現在、政府が大量発行した国債を中銀が買い取る形で通貨を大量供給しているが、この構図は今後もしばらく続く可能性が高い。
このような状態が続くと通貨の価値(信認)が落ちていき、資産価格には上昇圧力がかかる。株式市場はこのような流れで今後、長期で上昇を続けるのではないかと思う。
ただし、このような政策を永遠に続けることはできない。このような政策を続けていると、どこかで必ず通貨の信認喪失が起こる。そうなると通貨安・インフレが加速し、国内からお金が逃げ出し、株式市場は大暴落する。それが起こるタイミングはおそらく、日本の経常収支が赤字に転落したとき(国の借金が民間の貯蓄を上回ったとき)になる。危機は2030年頃に訪れるかもしれない。
*5/3日経によると2031年に日本が財政破綻する確率は50%になる。
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